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総合シビックランクB|低残業と男性育休95.4%を評価、契約社員中心の現場雇用と男女格差が課題

目次

結論:サントリーフィールドエキスパートの総合シビックランクはB

サントリーフィールドエキスパート株式会社の総合シビックランクはBと審査します。

同社はサントリーホールディングスが100%出資する店頭マーケティング会社で、スーパー・量販店におけるサントリーグループ製品の店頭販売促進と、飲食店における樽生ビールの飲用時品質向上活動を担っています。製造会社や物流会社のように商品を直接つくったり運んだりする会社ではなく、商品が消費者へ届く最後の接点で、売場づくり、商品陳列、販売店との企画商談、樽生機材のメンテナンス、飲用時品質の改善、飲食店へのメニュー提案などを行う会社です。2026年1月時点の従業員数は1,874人です。

今回の審査で最も高く評価できるのは、労働時間管理と育児支援です。2025年のフルタイム労働者の月平均残業時間は4時間48分で、男性労働者の育児休業取得率は95.4%でした。会社はさらに所定外労働削減、有給休暇年16日取得、男性の育児目的休暇80%以上を行動計画に掲げています。現場を自動車で回り、店舗ごとの商談、陳列、報告まで行う仕事でありながら、フルタイムの平均残業が5時間を下回っている点は明確な長所です。

福利厚生も、年次有給休暇、時間単位休暇、育児休業、育児時差勤務、育児短時間勤務、介護休業、介護時差勤務、介護短時間勤務、健康診断、婦人科検診、歯科健診、正社員登用、無期雇用転換など、同社自身の制度として幅広く確認できます。

一方で、雇用構造には重要な課題があります。公式職種紹介で確認できる主要4職種のうち、マーケティングアドバイザー、樽生アドバイザー、グランドメニューアドバイザーのフルタイム3職種はいずれも契約社員で、マーケティングパートナーはパートタイムです。正社員登用制度や無期雇用転換制度があり、2026年の求人では2016年から2026年までの正社員登用実績534人も確認できますが、店頭・料飲店の最前線を担う人材を最初から正社員として採用する仕組みが中心ではありません。

男女の構成差も大きく残っています。2025年末時点で女性比率は正社員10.7%、契約社員26.8%、パートタイム100%、派遣社員100%、全体33.9%でした。女性管理職比率は3.8%、男女の賃金差異は正社員86.4%、非正規雇用74.0%、全体67.5%です。会社自身もフルタイム労働者の女性比率の低さを課題として認識し、パートタイムからフルタイム契約社員への転換50人を目標にしています。改善施策は評価できますが、現状の差が小さいとはいえません。

Safetyでは、今回確認した公的資料や主要報道から、同社固有の死亡事故、重大労災、書類送検、重大な行政処分、重大な情報漏えいを確認できませんでした。ただし、これは事故が存在しないことを意味するものではありません。会社単体の労災件数や交通事故件数、度数率等は公開情報では確認できず、安全実績の透明性には限界があります。

現場業務にはマイカー移動、重量物の陳列、カッター等を使う売場づくり、樽生機材のメンテナンスなどの危険要素があります。同社は入社時研修で車両取扱いを教え、安全教育用テキストや職種に応じた安全器具を用意しています。樽生アドバイザーはディスペンサーのホースやヘッドの洗浄、ガス圧確認などを行い、飲食店へ日常的な洗浄の重要性を伝えており、消費者側の飲用時品質を守る業務も担っています。

Innovationでは、会社貸与スマートフォンを使った出退勤入力、店舗ごとの写真付き活動報告、直行直帰型のフィールドワーク、成功事例の共有など、現場業務を分散して管理する仕組みが確認できます。一方、AI、自動化、高度な分析システム等を用いて労働時間や危険作業を大幅に削減したとする定量的な公開実績は確認できません。したがって、高度な技術導入そのものではなく、現場運営の実用的なデジタル化を評価するにとどめます。

Protectionでは、個人データについてアクセス制御、入退室管理、不正アクセスや不正ソフトウェアからの防御、従業員への定期研修などが公表されています。全国に複数の事業所を持つことも拠点集中リスクを一定程度下げます。しかし、同社単体のBCP、バックアップ、サイバー攻撃時の復旧目標、代替業務、復旧訓練、CSIRT等については十分な公開情報を確認できませんでした。

以上から、低い残業時間、育児支援、福利厚生、正社員登用実績、研修体制は評価できる一方、主要現場職が契約社員・パート中心であること、女性管理職比率と男女賃金差異、Safety・Protection・Innovationの定量的な情報不足を踏まえ、総合シビックランクはBとします。

評価項目ランク主な評価
事業による人間への貢献B売場づくりと飲用時品質向上で消費者・小売・飲食店を支援。ただし販売促進が中心で、酒類の拡販も含む
労働環境B残業月4時間48分、男性育休95.4%、福利厚生を評価。契約社員中心の現場雇用、女性管理職3.8%、全体賃金差67.5%が課題
SafetyB車両教育、安全教育、樽生品質管理を評価。重大事故は確認できないが、労災・交通事故の定量データは不足
InnovationBスマートフォンによる直行直帰・店舗報告等を評価。AI・自動化の人間還元は公開情報で確認できない
ProtectionB情報管理の基本対策と全国拠点を評価。会社単体のBCP・復旧能力は情報不足
総合シビックランクB働き方の良さは明確だが、雇用構造と男女格差、情報公開に改善余地

基本情報

サントリーフィールドエキスパートは、1994年12月21日に株式会社オリーブとして設立されました。当初は酒類の店頭販売促進を担い、2000年にサンリーブ株式会社へ社名変更した後、樽生ビールの飲用時品質向上活動や清涼飲料の店頭マーケティングへ業務を拡大しました。2023年7月に現在のサントリーフィールドエキスパートへ社名を変更しています。

項目内容
会社名サントリーフィールドエキスパート株式会社
設立1994年12月21日
本社東京都港区芝浦3-1-1 田町ステーションタワーN 5F
代表者代表取締役社長 河原浩史
資本金2,000万円
従業員数1,874人、2026年1月時点
株主サントリーホールディングス株式会社100%
上場区分非上場のサントリーグループ会社
主な事業グループ製品の店頭販売促進、樽生ビールの飲用時品質向上活動
旧社名株式会社オリーブ、サンリーブ株式会社

従業員数1,874人という規模は、単なる販促物制作会社とは異なります。全国の小売店・飲食店へ人が直接出向くフィールド業務を大規模に展開していることが同社の特徴です。

主な業務内容と国内拠点

同社の仕事は大きく、店頭販売促進と料飲店支援に分けられます。公式採用サイトでは、マーケティングアドバイザー、マーケティングパートナー、樽生アドバイザー、グランドメニューアドバイザーの4職種が紹介されています。

職種主な業務雇用形態の例主な活動量
マーケティングアドバイザースーパー・量販店での商談、陳列、販促企画フルタイム契約社員約13店舗担当、1日4~6店舗
マーケティングパートナー酒類の陳列、補充、販促、商談パートタイム約13店舗担当、1日3~5店舗
樽生アドバイザーディスペンサー整備、洗浄・品質指導、商品提案フルタイム契約社員約200~250店舗担当、1日6~8店舗
グランドメニューアドバイザー飲食店への商品・飲み方・メニュー提案フルタイム契約社員約150店舗担当、1日8~10店舗

マーケティングアドバイザー

マーケティングアドバイザーは、スーパーや量販店を訪問し、サントリー製品の売場をつくる仕事です。酒類担当と清涼飲料担当があり、キャンペーンや企画の商談、商品陳列、在庫確認、POP設置などを行います。

公式の仕事紹介では担当店舗は約13店舗、1日4~6店舗です。通常はマイカーで直行直帰し、会社貸与スマートフォンで出勤・退勤を入力します。売場を立ち上げた後には写真を撮影し、活動内容を会社へ報告します。上司やリーダーが報告へコメントする仕組みもあり、離れた場所で働く社員をスマートフォンでつないでいます。

売場づくりは見た目を整えるだけではありません。商品の在庫を確認し、客の動線や季節、キャンペーンなどを考慮して販売店へ提案します。他店舗の成功例を共有して売場全体の改善につなげることもあります。

一方、身体的な負担もあります。公式例では一度に100ケースを陳列する場面も掲載されています。商品の補充や大量陳列はデスクワークとは異なる負担があり、労働時間だけで労働環境を判断することはできません。

マーケティングパートナー

マーケティングパートナーはパートタイムで、主に酒類の売場づくりを行います。10時から17時30分の実働6.5時間を基本とし、家庭生活と両立しやすい時間設定となっています。

商品補充、冷蔵ケースの整理、新商品の展開提案、販促物の設置などを担当します。公式の1日紹介ではビールケースを運ぶ場面について、重く体力を使う仕事であることも説明されています。パートタイムであっても、軽作業だけを行う仕事ではありません。

女性比率を見ると、2025年末時点でパートタイムは100%女性です。家庭と両立できる働き方を用意している点は評価できますが、女性が短時間・非正規側へ偏っている構造を固定化していないかという視点も必要です。会社自身がパートタイムからフルタイム契約社員への転換50人を目標にしているのは、この課題への対応と見ることができます。

樽生アドバイザー

樽生アドバイザーは、サントリーの樽生ビールやハイボールを扱う飲食店を訪問し、飲用時品質を維持・改善する仕事です。

ホースやヘッドの洗浄、ガス圧の確認などディスペンサーの基本メンテナンスを行い、飲食店側にも日々の洗浄の重要性を伝えます。ビールの泡と液体のバランス、ハイボールの氷や濃さなど、提供品質についても助言します。

担当は約200~250店舗、1日6~8店舗です。これだけの店舗を継続的に回ることによって、メーカー側が製造時に管理した品質を、実際に客が口にする段階までつなぐ役割を持っています。

製品の品質管理は通常、工場や商品そのものに注目されがちです。しかし飲食店で提供される樽生商品は、店舗側の洗浄や注ぎ方によって品質が変化します。同社は製造後の最後の工程に近い部分を人の訪問によって補完していると評価できます。

グランドメニューアドバイザー

グランドメニューアドバイザーは、飲食店へ新しい飲み方、新商品、新メニューなどを提案する職種です。商品の販売だけではなく、飲食店の売上やメニュー構成を支援するコンサルティング的な仕事も含まれます。

担当店舗は約150店舗、1日8~10店舗です。酒の割り方や注ぎ方を伝えるセミナーを行う場合もあります。

飲食店の経営支援という面では人間への貢献がありますが、同時に酒類販売を促進する仕事でもあります。酒類は嗜好品として生活の楽しみを提供する一方、過剰飲酒や飲酒運転など健康・安全面のリスクもあります。そのため、酒類の売上増加そのものを人間への貢献として加点することはしません。

国内拠点

公式サイトでは、本社のほか北海道、東北、千葉、関東飲料、埼玉、関東酒類、京都、神戸、中国、四国、九州などの事業所が確認できます。

地域主な拠点
北海道北海道事業所、札幌
東北東北事業所、仙台
関東千葉事業所、関東飲料事業所、埼玉事業所、関東酒類事業所
関西京都事業所、神戸事業所
中国・四国中国事業所、四国事業所
九州九州事業所、福岡
本社東京・田町

全国へ人を配置することで、地域ごとの小売店や飲食店に直接対応できることが同社の事業モデルです。

事業による人間への貢献

事業による人間への貢献はBと評価します。

同社の仕事で最も分かりやすい価値は、メーカーと消費者の間にある「最後の接点」を改善することです。

飲料や酒類は、工場で高品質な商品をつくっても、店頭で見つけにくかったり、在庫が十分に並んでいなかったり、商品の特徴が伝わらなかったりすれば、消費者が適切に選ぶことは難しくなります。マーケティングアドバイザーは、販売店と商談しながら在庫を確認し、商品を補充し、POPや陳列を調整します。これは企業側から見れば売上を増やす活動ですが、消費者側から見れば商品を探しやすくし、情報を受け取りやすくする役割もあります。

ただし、「たくさん売ること」自体はシビックランクの高評価理由にはしません。売場を大きくして企業の売上が増えても、それだけで人間の生活が改善したとはいえないからです。

清涼飲料の場合、水、お茶、コーヒーなど日常生活で利用される商品を店頭へ届きやすくすることには一定の利便性があります。公式FAQでも、伊右衛門やBOSSを含むサントリー製品の店頭販売促進を行う会社であることが説明されています。

ただしサントリーフィールドエキスパートは商品の製造や品質設計を行う主体ではないため、商品そのものの健康価値や安全性を同社の功績として加点することはできません。

人間への貢献がより明確なのは樽生ビールの飲用時品質向上活動です。飲食店のディスペンサーをメンテナンスし、ホースやヘッドを洗浄し、ガス圧を確認し、店舗スタッフへ日々の洗浄方法や注ぎ方を伝えることは、客が実際に飲む段階の品質を安定させる業務です。メーカーの製造品質と飲食店の提供品質の間をつなぐ仕組みとして意味があります。

飲食店へのメニュー提案も、単なる商品の押し込みではなく、店舗の立地や客層、メニューに合わせた提案を行うことで、店舗運営を支援する面があります。特に小規模飲食店にとって、他店舗の成功例やメーカー側が蓄積した知見を利用できることには価値があります。

一方、事業のかなりの部分が酒類の販売促進です。酒類には健康・依存・飲酒運転などの社会的リスクがあり、販売量の増加を無条件に人間への貢献と評価することはできません。

サントリーグループの企業倫理綱領では、責任あるマーケティングと適正飲酒の促進、過剰消費や飲酒運転の抑制を掲げています。これはグループ方針として評価できますが、今回の調査では、サントリーフィールドエキスパート単体が店頭・飲食店で適正飲酒をどのように実装し、その効果をどのように測定しているかまでは確認できませんでした。

そのため、消費者の選択を支える売場づくり、飲食店支援、飲用時品質管理は評価しつつ、事業そのものをA相当の社会貢献とまでは判断せずBとします。

代表業務を審査:店頭マーケティング・販売促進

サントリーフィールドエキスパートを最も象徴する代表業務は「スーパー・量販店における店頭マーケティング・販売促進」とします。

同社は商品をつくる会社ではありません。消費者が商品を見る売場をつくる会社です。

マーケティングアドバイザーは担当店舗を定期的に訪問し、在庫、商品の配置、POP、キャンペーン、季節、店舗の客動線などを確認しながら売場を改善します。販売店側と商談して展開スペースを確保するだけでなく、他店舗の成功事例を伝えるなど、店舗全体の改善を意識した提案も行っています。

この業務の長所は、現場に人がいることです。全国一律の広告を流すだけでは、店舗ごとの在庫や棚の状況までは把握できません。現地へ人が行けば、在庫が裏に残っている商品、客が見つけにくい場所、販促物が古くなった場所などを直接確認できます。

一方で、人が現場へ行くからこそ、移動時間、交通事故、重量物の運搬、店舗ごとの作業負担が発生します。同社では直行直帰とスマートフォン報告によって事業所への往復を減らしていますが、業務そのものを大幅に自動化したわけではありません。

また店頭マーケティングは、消費者にとって必要な情報を届ける活動と、企業の商品をより多く買わせる活動が重なっています。

したがって、目立つ売場をつくること自体を高評価するのではなく、情報の分かりやすさ、販売店への支援、人間の労働負担、扱う商品の社会的影響を合わせて見る必要があります。

この代表業務は同社の存在理由を理解するうえで非常に分かりやすく、人間への貢献は一定程度確認できます。しかし社会に不可欠なサービスというより、商業活動を支える役割が中心であるため、企業全体の評価を単独でAへ押し上げるほどではありません。

労働環境

労働環境はBと評価します。

低残業、育児支援、休暇制度、健康支援はかなり強い一方、雇用形態と男女構成には大きな課題が残っています。

残業時間はかなり低い

2025年のフルタイム労働者の月平均残業時間は4時間48分です。

店頭ラウンダーや飲食店巡回という仕事は、取引先の都合、交通状況、店舗ごとの作業量などによって勤務時間が延びやすい仕事です。その環境で全フルタイム平均が5時間を下回っていることは高く評価できます。

2026年の求人でも、東京都の酒類ラウンダーで月4~5時間程度、大阪で月5~8時間程度、山梨では月平均1時間未満とする募集が確認できます。募集地域や職種によって差はありますが、会社公表の4時間48分と大きく矛盾していません。

口コミサイトでも投稿者集計の残業時間は月7.5時間、有給消化率86.3%となっており、公式数字だけが極端に良好という状況ではありません。ただし口コミは自己申告であり、企業全体の正式な統計としては扱いません。

会社は2025年から2030年の行動計画で、所定外労働削減を明確な目標とし、毎月の個人別勤怠データを基に課題対応を行い、管理職の評価指標にも労働時間管理項目を複数設定するとしています。単に残業削減を呼びかけるのではなく、管理職のマネジメント評価と結び付けている点は評価できます。

休日・有給休暇

公式福利厚生では、年次有給休暇は入社初年度に入社時期に応じて5日または10日、2年度目以降16日、6年度目以降20日が付与されます。

取得方法は1日、半日、時間単位から選べ、時間休は年5日分を上限に1時間単位で利用できます。さらに年5日の計画年休制度があります。

会社の次世代育成行動計画では、有給休暇年16日取得を目標とし、毎月1日と7~9月に7日間を取得する目標を示しています。実際の会社全体の平均取得日数は公開ページでは確認できないため、16日を実績として扱うことはしません。

2026年の募集では年間休日121日の職種が多く、短時間勤務の一部募集では128日とする例もあります。これは求人ごとの条件であり、全社員一律の年間休日とは扱いません。

基本給・給与・賞与

サントリーフィールドエキスパート単体について、全社員の平均年収や2026年ベースアップ額を確認できる公式資料は見つかりませんでした。

親会社サントリーホールディングスの賃金や初任給を同社社員の待遇として代用することはしません。

現在の求人からは地域ごとの具体的な月給を確認できます。2026年8月更新の東京の酒類ラウンダーでは月給30万円、残業代別途全額支給、賞与は前年実績年2回です。大阪の求人では月給28万4,000円、東広島の清涼飲料担当では月給24万円、長崎の樽生関連では月給23万円など、地域・職務で差があります。

東京の募集では月給30万円に外勤日当を加え、月20日外勤した場合の月収例を34万円としています。自家用車を業務利用する職種では、ガソリン代等も別途支給されます。

金額だけを見ると一部地域では一定水準がありますが、これは契約社員求人の募集時給与です。正社員の平均賃金、昇格時の給与カーブ、勤続による上昇額などは公開情報から十分確認できません。

主要な現場職は契約社員・パート中心

今回の労働環境審査で最も大きな論点です。

公式職種紹介では、マーケティングアドバイザー、樽生アドバイザー、グランドメニューアドバイザーはいずれもフルタイム契約社員です。マーケティングパートナーはパートタイムです。

つまり、会社を代表する店頭・料飲店の現場業務について、公開採用ルートでは非正規雇用が中心となっています。

一方、同社には正社員登用制度があります。2026年の求人では2016年から2026年の登用実績534人が示されており、制度だけ存在して登用実績がほぼない会社ではありません。また、有期契約社員として5年を超えた場合には、原則選抜試験なしで無期雇用契約社員への転換を申し込めます。

ハローワークの2026年東京求人では、契約期間4か月、個人の成績評価を条件に更新可能という募集も確認できます。これは一つの求人条件であり全契約社員へ一般化できませんが、少なくとも新規入社時点では雇用期間の定めがある仕事が存在します。

口コミには、正社員登用後の給与やキャリアの伸びに不満を示す投稿もあります。個々の投稿だけで会社全体を断定はできませんが、正社員登用人数だけでなく、登用後に待遇や権限がどの程度改善するのかも今後確認したい論点です。

低残業と充実した福利厚生があるからこそ、現場を長期間支える人をどの雇用区分で処遇するかは重要です。

シビックランクでは、正社員登用の入口があり、実績も確認できることを評価しつつ、最初から現場の中心を正社員で雇用している企業と同じ評価にはしません。

女性比率と男女賃金差異

2025年末時点の女性比率は次のとおりです。

雇用区分女性比率
正社員10.7%
契約社員26.8%
パートタイム100%
派遣社員100%
全体33.9%

女性管理職比率は3.8%です。

男女の賃金差異は、女性の賃金を男性100に対する割合で示すと、正社員86.4%、非正規雇用74.0%、全体67.5%でした。

賃金差があることだけで、同じ職務の男女へ異なる賃金を支払っているとは断定できません。職種、雇用形態、勤務時間、勤続年数、役職構成などによって平均値は変化します。

しかし、正社員の女性比率10.7%、管理職3.8%、パートタイム100%女性という雇用構成を見ると、女性が短時間・非正規側へ偏っていることは確認できます。全体の賃金差67.5%も小さいとはいえません。

会社自身も「フルタイム労働者の女性比率が低い」ことを課題として明記し、パートからフルタイム契約社員へ50人転換する目標を設定しています。評価基準が女性に不利になっていないか継続検討することも行動計画に盛り込んでいます。

課題を認識して改善策を公開していることは評価できますが、改善目標の存在を現在の成果として扱うことはしません。

育児・介護支援

2025年の男性育児休業取得率は95.4%です。会社の行動計画上の男性育児目的休暇80%以上という目標をすでに上回っています。

制度面では、育児休業は一定条件のもと子が2歳になるまで、育児時差勤務と育児短時間勤務は小学校卒業まで利用可能です。キッズサポート休暇、子の看護休暇も用意されています。

介護については通算93日の介護休業、介護時差勤務、介護短時間勤務、介護休暇があります。現場職は店舗訪問が中心で、家庭事情によって働き続けにくくなりやすい職種だからこそ、短時間・時差制度があることには意味があります。

健康支援・復職支援

年1回の定期健康診断に加え、年齢に応じた人間ドック、婦人科検診、歯科健診、インフルエンザ予防接種費用補助などがあります。

長期休職から復帰する場合には産業医や保健師との面談を行い、復帰後も必要に応じてフォローするとしています。

以上から、労働時間と両立支援だけならAを検討できる水準ですが、雇用形態と男女構成の課題が大きいため、労働環境はBとします。

Safety

SafetyはBと評価します。

今回の調査では、現社名「サントリーフィールドエキスパート」と旧社名「サンリーブ」の双方で、死亡事故、重大労災、書類送検、行政処分、重大な情報漏えい等を追加検索しました。公的機関や主要報道で、同社固有の重大事例を確認できませんでした。

ただし公開情報に重大事故が見当たらないことと、事故が一度も起きていないことは同じではありません。同社単体の休業災害件数、労災度数率、業務中の交通事故件数などは確認できませんでした。

マイカー移動が日常業務

マーケティングアドバイザー、マーケティングパートナー、樽生アドバイザーは基本的に自動車で取引先を回ります。担当店舗が複数あり、1日に数店舗を移動するため、交通安全は同社のSafetyで重要な項目です。

入社時オリエンテーションには車両取扱いが含まれています。未経験者は約1か月の同行OJTを経て単独訪問へ移り、その後もマネージャーやトレーナーが支援します。

一方、具体的な交通事故件数、ドライブレコーダー、運転適性診断、安全運転評価、事故後教育などについては公開情報で十分確認できませんでした。

陳列・補充には身体負担がある

店頭業務では在庫置場から商品を運び、ケース単位で陳列します。公式ページにもビールケースが重く体力を使う場面や、100ケースを陳列する例が掲載されています。

売場づくりではカッターやハサミ等も使用します。会社は安全教育テキストを用意し、職種によって安全器具の着用を義務付けていますが、腰痛、転倒、切創などの具体的な発生件数は公開されていません。

樽生品質管理は利用者Safetyにも関係する

樽生アドバイザーは、飲食店のディスペンサーのホースやヘッドの洗浄、ガス圧確認を行い、店舗スタッフへ継続的な洗浄の重要性を伝えています。

これは単に味を良くするだけではなく、飲用時の品質を適切に保つ活動として評価できます。ただし食品衛生検査の数値や不適合件数など、品質改善効果を定量化する資料までは確認できませんでした。

以上から、重大な安全問題は確認できず、教育と品質管理も実施していますが、労災・交通事故の定量的な透明性が不足するためBとします。

Innovation

InnovationはBと評価します。

サントリーフィールドエキスパートは、ロボットや製造設備を持つ会社ではなく、人が店舗を訪問して価値を生み出す会社です。そのためInnovationを見る際には、現場業務をどのように効率化し、人の移動や事務負担を減らしているかが重要になります。

確認できる代表例は、会社貸与スマートフォンによる勤務・活動管理です。

社員は1店舗目へ直行し、スマートフォンで出勤時刻を入力します。売場の作業後には写真を撮影し、店舗ごとに活動内容を報告します。上司やリーダーは報告を確認してコメントでき、最後の訪問先で退勤入力をした後は自宅へ直帰できます。

これは単純な勤怠アプリの導入に見えますが、全国で多数のフィールドスタッフが店舗を回る会社では意味があります。

毎日事業所へ集合してから店舗へ向かい、夕方に報告のため戻る仕組みであれば、移動時間が増えます。スマートフォンと直行直帰を組み合わせることで、事業所往復を減らしながら現場活動を管理できます。

また、店舗ごとの成功事例を別店舗へ共有する仕組みや、写真を使って売場状況を確認する運用も、人の経験を組織内へ循環させる方法として評価できます。

ただし、今回確認した公開情報では、AIによる売場分析、自動発注、画像認識、ルート最適化、高度なデータ分析などがサントリーフィールドエキスパート単体で導入され、それによって何時間の労働を削減した、事故を何%減らした、といった成果は確認できませんでした。

人間中心の営業活動であること自体は悪いことではありません。しかしシビックランクのInnovationは新技術を人間の自由時間や安全へ還元できているかを見るため、スマートフォン活用だけでAにはできません。

Protection

ProtectionはBと評価します。

同社の事業は飲料製造や物流のように、停止すれば直接生活必需品が供給できなくなる事業ではありません。それでも、全国の店頭活動、取引先情報、従業員情報、採用情報などを扱う会社として、災害時の業務継続とサイバーProtectionは必要です。

個人情報の安全管理措置は具体的に公開

同社は個人情報の安全管理について、責任体制、社内規程、従業員への定期研修、入退室管理、機器や媒体の盗難・紛失防止、アクセス制御、不正アクセスや不正ソフトウェアから情報システムを守る仕組みなどを公表しています。

また個人情報は原則日本国内に保管し、クラウドや委託先を通じ外国で扱う場合には、その国の制度を把握して適切な安全管理措置を取るとしています。

これらはProtection上の具体的なプラスです。

全国拠点による分散

北海道から九州まで複数拠点があり、関東では酒類と飲料の事業所も分かれています。一拠点へ人員を集中させる会社よりは、地理的な分散があります。

ただし、拠点が分散していることだけでBCPが十分とは判断できません。大規模地震等で本社や情報システムが停止した場合、他拠点へどこまで業務を移せるかは公開情報では分かりません。

サイバー復旧力は情報不足

個人情報保護の基本的な防御は確認できますが、SOCやCSIRT、ネットワーク分離、オフラインバックアップ、ランサムウェア対応、復旧訓練、復旧時間目標、システム停止時の代替運用などは同社単体の公開情報で確認できませんでした。

サントリーグループ全体には情報セキュリティ方針がありますが、親会社・グループの体制を確認なしに子会社単体へ満額で加点することはしません。

したがって、基礎的な情報管理対策は評価しつつ、実際の復旧力が十分見えないためBとします。

項目別シビックランク

項目ランク評価理由
事業による人間への貢献B店頭の利便性、飲食店支援、樽生品質向上に価値があるが、販売促進が中心で酒類拡販も含む
労働環境Bフルタイム残業月4時間48分、男性育休95.4%、休暇・育児介護制度、登用実績を評価。非正規中心と男女格差が課題
SafetyB研修、車両取扱教育、安全器具、飲用時品質管理を評価。労災・交通事故数の公開不足
InnovationBスマートフォンによる直行直帰・店舗報告で効率化。AI・自動化の定量成果は未確認
ProtectionB個人情報の技術的・物理的対策を評価。会社単体のBCP、バックアップ、復旧力は不明
総合B働き方の長所がある一方、雇用区分・男女格差・情報公開に無視できない課題

総合評価

サントリーフィールドエキスパートは、「サントリーの商品を売る会社」とだけ見ると、人間への貢献が分かりにくい企業です。

しかし実際の仕事を見ると、メーカーの工場と消費者の間にある最後の現場を支える会社です。

スーパーでは商品を補充し、売場を整え、店舗担当者と企画を考える。飲食店では樽生機材を洗浄・点検し、注ぎ方を伝え、メニューを一緒に考える。製品そのものをつくるわけではありませんが、消費者が商品を手に取り、実際に口にする瞬間まで品質や情報をつなぐ役割があります。

労働環境については、かなり評価できる数字があります。

2025年のフルタイム平均残業は月4時間48分です。男性育休取得率は95.4%です。年次有給休暇は時間単位でも利用でき、育児時差勤務や育児短時間勤務は小学校卒業まで利用できる制度があります。介護支援、正社員登用、無期雇用転換、健康診断等も確認できます。

特にフィールド営業・店頭活動という、取引先や交通事情に勤務時間を左右されやすい仕事で残業が低く抑えられている点は強みです。会社は勤怠データを毎月確認し、管理職評価にも労働時間管理を組み込むとしており、長時間労働の抑制を制度面から管理しています。

一方で、ここで「ホワイト企業だからA」と結論づけることはできません。

最も大きな課題は、会社を代表する現場職の雇用形態です。

マーケティングアドバイザー、樽生アドバイザー、グランドメニューアドバイザーはフルタイムでありながら契約社員として募集されています。マーケティングパートナーはパートタイムです。正社員登用実績が2016年から2026年までで534人あること、5年以上の有期雇用者が無期契約へ申し込めることは評価できますが、現場で恒常的に必要な仕事をどの雇用区分で担わせるかという問題は残ります。

男女の構造も同様です。

全体の女性比率は33.9%ですが、正社員では10.7%、管理職では3.8%です。一方、パートタイムと派遣社員は100%女性です。全体の男女賃金差異は67.5%です。

会社はこの問題を認識し、パートからフルタイム契約社員への転換や登用基準の見直しを進めています。これは改善姿勢として評価できます。しかしシビックランクは将来の計画だけではなく、現在の状態を評価するため、課題が解消したものとして扱うことはできません。

Safetyについて重大な事故や行政処分は今回確認できませんでした。研修では車両取扱いを教え、職種によって安全器具を使用し、樽生アドバイザーは飲用時品質を守っています。一方、毎日自動車で複数店舗を回り、重量物を扱う会社でありながら、交通事故や労災件数の単体データを公開情報で確認できない点は透明性上の弱さです。

Innovationは、直行直帰とスマートフォンの組み合わせが現場企業として合理的です。活動写真と報告をその場から送ることで、全国へ分散した人員を管理し、事業所へ戻るための移動を減らしています。しかしAIや自動化によって人間の労働そのものを大幅に減らした実績はまだ公開情報から見えません。

Protectionでも、アクセス制御や不正アクセス対策等の基本的な情報セキュリティは確認できますが、サイバー攻撃後の復旧能力や事業継続計画の詳細は不明です。

総合すると、サントリーフィールドエキスパートは「長時間労働を抑えながら全国の現場を回す仕組み」には強みがあります。育児支援も高い実績があり、非正規から正社員・無期雇用へ移る制度も実際に使われています。

その一方で、契約社員中心の現場雇用、女性がパート側へ偏る構造、女性管理職比率、男女賃金差異は、働く人への還元を考えるうえで無視できません。

今後、主要現場職で正社員採用を広げる、正社員登用後の待遇改善を具体的に示す、女性正社員・管理職比率と賃金差を改善する、労災・交通事故の安全指標を公開する、サイバー・BCPの復旧能力を具体化する、といった進展が確認できればAランクを検討できる企業です。

現時点では、明確な長所と無視できない構造課題が共存しているため、総合シビックランクはBと審査します。

出典一覧

1.サントリーフィールドエキスパート株式会社「企業情報」

2.サントリーフィールドエキスパート株式会社「女性活躍推進に関する行動計画」

3.サントリーフィールドエキスパート株式会社「次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画」

4.サントリーフィールドエキスパート株式会社「福利厚生」

5.サントリーフィールドエキスパート株式会社「研修制度」

6.サントリーフィールドエキスパート株式会社「マーケティングアドバイザー」

7.サントリーフィールドエキスパート株式会社「マーケティングパートナー」

8.サントリーフィールドエキスパート株式会社「樽生アドバイザー」

9.サントリーフィールドエキスパート株式会社「グランドメニューアドバイザー」

10.サントリーフィールドエキスパート株式会社「事業所」

11.サントリーフィールドエキスパート株式会社 契約社員採用サイト・2026年求人情報

12.厚生労働省「ハローワークインターネットサービス サントリーフィールドエキスパート株式会社求人情報」

13.サントリーフィールドエキスパート株式会社「個人情報保護に関する公表事項」

14.サントリーホールディングス株式会社「サントリーグループ企業倫理綱領」

15.転職会議「サントリーフィールドエキスパート株式会社の評判・社員口コミ」

16.Indeed「サントリーフィールドエキスパート株式会社の社員クチコミ」

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