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お金が欲しい。どうしたらいいんだ
第十七話 お金が欲しい。どうしたらいいんだ
おにぎりを戻す 夜勤明けのコンビニで、俺は一番安いおにぎりを棚に戻した。 百三十八円。 たった百三十八円。 でも、手が止まった。 財布の中には、小銭が少し。スマホで銀行口座を開けば、残高は八千四百二十円。 給料日は十日前だった。 家賃は払った。... -
ブラック企業への愚痴が世界を変える?
第三話 話し合いって、こういうものだったのか?
終わったはずの部屋 灰色の画面を、俺は無言で見つめていた。 【第1合論完了】【代表者】:RoomA-1【最終テーマ】:愚痴をSNSで発信して、ブラック企業の現状を広める【トークルーム】:ブラック企業のパワハラをなくしたい【外部発信】:進行中(リンク)... -
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【シーズン1最終話】第十六話 人は、仲間になれる
移行施設 移行施設と聞いて、俺は最初、病院みたいな場所を想像していた。 白い壁。閉じた部屋。監視カメラ。許可がなければ開かない扉。元工作員や犯罪歴のある人間が、社会に戻るために訓練される場所。 だが、実際に行ってみると少し違った。 そこは、... -
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第十五話外伝 裏切り者の要請
統制圏の工作員 イリヤ・クロードは、統制圏の工作員だった。 そう名乗ることに、迷いはなかった。 少なくとも、かつてはそうだった。 統制圏で生まれ、統制圏で育ち、統制圏の教育を受けた。協力社会は、人類を堕落させる。GVSは、自由を奪う監視網である... -
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第十四話 シビッカーたちの暮らし
子育て合宿の日 子育て合宿の日、俺は朝から少し緊張していた。 仕事でもない。宇宙訓練でもない。地域防災実践でもない。 家族で参加するイベントだ。 それなのに、なぜか実践訓練より落ち着かなかった。 「パパ、今日ちゃんと来るって言ったよね」 娘が... -
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第十三話 新しい家族の形
家の中にも、ロボットはいる 家の中にも、ロボットはいる。 それはもう、特別なことではなかった。 掃除をするロボット。食事の準備を補助するロボット。子どもの学習ログを確認するロボット。体調変化を知らせるロボット。家庭内GVSを進行するロボット。 ... -
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第十二話 シビックドライブの仕事
今日、ロボットの仕事? 「今日、ロボットの仕事?」 朝食の途中で、子どもが聞いてきた。 まだ小さい手で、合成卵のサンドを持っている。口の周りに少しソースがついていた。 俺は、飲みかけの水を置いた。 「ロボットの仕事っていうか、ロボットが働いて... -
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第十一話 労働のない生活
請求書の来ない朝 税金の封筒が来なくなってから、朝が少し静かになった。 昔は、ポストを見るだけで胃が重くなった。 住民税。国保。年金。所得税。何かの通知。何かの督促。何かの支払い。 働いても、後から来る。 忘れた頃に来る。少し生活が落ち着いた... -
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第十話外伝 政治家になってしまったGVSプレイヤー
当選確実 「当選確実です」 その声が聞こえた瞬間、事務所が揺れた。 拍手。歓声。泣き出すナビゲーター。抱き合う支援者。カメラのシャッター音。何台もの配信用スマホ。 壁の大型モニターには、速報が表示されていた。 【当選確実】 白瀬悠真任意拠出型... -
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第九話 税金が消える日
税金が消える日 そのニュースを見た時、最初に思ったのはこれだった。 税金がなくなるなら、最高じゃないか。 GVSアプリのトップに、見慣れない赤い通知が出ていた。 【高リスク政策ニュース】 強制徴税の段階的廃止を掲げる候補者、支持率急伸。任意拠出...