私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査する幸楽輸送株式会社は、総合69点、シビックランクCです。
幸楽輸送株式会社の特に強い点は、苫小牧埠頭株式会社との共同中継輸送を2025年3月から本格稼働し、年間約2,400時間の運転時間削減を見込むなど、長距離物流をドライバーの長時間労働だけに頼らない形へ変えていることです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、一人のドライバーへ長距離運転を集中させず、輸送設計の改善で生活物資を届け続ける社会につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として、対象法人単体の最新の交通事故件数、休業労災、度数率・強度率と、共同中継輸送後に実際の残業・拘束時間がどれだけ減ったかが公表されていないことが残ります。
この記事では、幸楽輸送株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
幸楽輸送株式会社の企業審査結果
幸楽輸送は、北海道コカ・コーラボトリング株式会社の100%子会社として、飲料の商品輸送、工場内荷役、保管を担うほか、農産物、食品、乳製品、日用品、農業資材、液糖、LNG、白油なども扱う物流会社です。トラックだけでなく、フェリーやJRコンテナも組み合わせ、北海道と本州をつなぐ輸送網を運営しています。[出典1・2]
評価時点は2026年10月15日です。旧方式の記事では総合Bとしていましたが、新100点制ではSafety 32/50点、Innovation 20/25点、Protection 17/25点の合計69点となるため、現行のシビックランクはCへ更新します。
3軸の得点表
| 評価軸 | 点数 | 主な評価 |
|---|---|---|
| Safety | 32/50 | 年間休日126日の求人、男性育休100%、Gマーク、点呼・デジタコ等を評価。男女賃金差、最新の事故・労災KPI非公表が課題 |
| Innovation | 20/25 | 混載、共同中継輸送、クラウド型デジタコを評価。年間約2,400時間削減は見込みで、実際の残業・離職・事故への効果公開が不足 |
| Protection | 17/25 | トラック・フェリー・JR、複数拠点、本社BCP設備、災害支援実績を評価。サイバー復旧時間と拠点代替能力の定量開示が不足 |
| 総合 | 69/100 | シビックランクC |
主な強み
・2025年3月から苫小牧埠頭との共同中継輸送を本格稼働し、年間約2,400時間、ドライバー約2.5人分に相当する運転時間削減とCO2約46%削減を見込んでいます。[出典3・4]
・経済産業省北海道経済産業局は、既存のコカ・コーラ輸送網へ他社の小口貨物を混載し、20トントレーラーの積載率を100%近くへ高める物流効率化事例を紹介しています。[出典5]
・2025年度の法定開示では男性育児休業取得率100%、正規雇用の男女賃金比81.6%です。[出典2]
・2006年にGマークを取得し、2018年度には札幌輸送課と十勝事業部がGマーク運輸局長表彰の対象となりました。[出典8]
・乗務前にアルコール、血圧、免許証を確認し、クラウド型デジタルタコグラフ、ドライブレコーダー、IT点呼を安全・労務管理へ使っています。[出典1・10]
・2026年1月に輪厚DCを開設し、2025年5月の千葉事業所開設と合わせて北海道・関東の保管・輸送基盤を広げています。[出典1]
主な課題
・2025年度の男女賃金比は全労働者64.1%、正規雇用81.6%、パート・有期51.2%で、雇用区分によって大きな結果差があります。[出典2]
・対象法人単体の最新の死亡災害、休業労災、交通事故件数、休業度数率、強度率を継続比較できる公開情報がありません。安全施策の結果を外部から検証しにくい点は課題であり、採点上も減点対象です。
・共同中継輸送の年間約2,400時間削減とCO2約46%削減は公表時点の見込みです。本格稼働後の実測の運転時間、残業、離職、事故件数への効果は公表されていません。[出典3]
・会社全体の平均残業時間、有休取得率、離職率、基本給改定率、賃金中央値を対象法人単体で継続比較できる公開情報が不足しています。
・クラウド型デジタコやIT点呼を使う一方、対象法人単体のサイバー訓練、オフラインバックアップ、RTO・RPO、復旧試験結果は公表されていません。
事業内容と人間への貢献
幸楽輸送の事業は、工場や産地にある商品・原料を、店舗、物流拠点、工場へつなぐ仕事です。北海道は都市間距離が長く、大雪や道路寸断の影響も受けやすいため、輸送の効率だけでなく、ドライバーの休息と代替輸送の設計が市民生活へ直結します。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 幸楽輸送株式会社 |
| 設立 | 1969年1月23日 |
| 本社 | 北海道札幌市清田区清田一条一丁目1番33号 |
| 代表者 | 代表取締役社長 佐々木誠 |
| 資本金 | 2,000万円 |
| 親会社 | 北海道コカ・コーラボトリング株式会社(100%) |
| 従業員数 | 179人(会社公式、2025年4月1日時点) |
| 主な事業 | 道路運送、利用運送、荷役、運送取扱、倉庫、車両賃貸、労働者派遣等 |
| 主な拠点 | 札幌、十勝、旭川、大洗、市原、江別、石狩、輪厚 |
[出典1・7]
主な事業内容
北海道コカ・コーラグループでは、札幌工場などで生産した商品を道内の配送センターや全国のコカ・コーラボトラーへ運び、工場内荷役や保管も担います。親会社の商品物流だけでなく、農産物、食料品、乳製品、日用雑貨、農業資材、液糖、LNG、白油などへ事業を広げています。[出典1・2]
経済産業省の事例では、コカ・コーラ関連売上は全体の50%以下まで下がり、既存輸送網を一般貨物にも開く混載を進めていると紹介されています。[出典5]
主な利用企業・取引先
北海道コカ・コーラボトリング株式会社とは100%親子関係にあり、商品輸送、工場内荷役、保管を担います。苫小牧埠頭株式会社とは2025年に共同中継輸送を実証し、本格運用へ移行しました。その他の主要顧客名は十分に公表されていないため、公開情報で確認できない取引先は推測して掲載しません。[出典2・3]
事業による人間への貢献
第一の貢献は、飲料、食品、農産物、原材料を必要な場所へ届けることです。北海道内の長距離輸送と本州への輸送が止まれば、店舗の欠品だけでなく、食品工場や農業の生産にも影響します。
第二の貢献は、小口貨物を既存の大型輸送網へ載せ、空車や空きスペースを減らすことです。積載率を100%近くへ高められれば、同じ貨物量を運ぶために必要な車両・走行距離を減らし、ドライバー不足と燃料消費の両方を軽減できます。[出典5]
第三の貢献は、一人のドライバーへ長距離行程を集中させない輸送設計です。道央と道東の途中でトレーラーを交換する共同中継輸送は、輸送量を維持しながら長距離運転を分割する仕組みで、物流の2024年問題を残業だけで埋めない方向へ進めています。[出典3]
Safety
Safetyでは、ドライバー、倉庫・荷役作業員が十分な賃金と休息を得て安全に働けるか、輸送中の事故から道路利用者や荷主の商品を守れるかを評価します。幸楽輸送は休日制度、育児休業、安全装備、第三者表彰に強みがありますが、対象法人単体の事故・労災結果と会社全体の労働時間の公開不足が大きな課題です。
賃金・利益の還元:6/10
大型トレーラードライバーの求人では月給25万~30万円、本採用後の入社2年目モデル年収は約490万円、賞与年2回、退職金、資格取得支援が示されています。千葉事業所では月給33万円以上、本採用後モデル年収550万円の求人例もあります。[出典6]
一方、試用期間中は経験年数に応じた日給制で、本採用後に乗務手当、定期昇給、退職金などが加わります。求人条件は確認できますが、対象法人全社員の平均基本給、賃金中央値、既存社員のベースアップ率、物流効率化で得た利益を固定給へどれだけ返したかは公表されていません。
具体的な採用条件と本採用後の利益還元制度を評価して6/10点です。全社員の賃金中央値、基本給改定率、雇用区分別の実質賃金上昇を複数年公開し、物価上昇を上回る改善が確認できれば8/10点を検討できます。
労働時間・休息:6/10
フォークリフト職のグループ公式採用条件では完全週休2日、年間休日126日で、月給例に使う時間外手当は平均15時間を前提に算出されています。大型トレーラー職も本採用後は年間休日126日、札幌から旭川・帯広・函館などの日帰り運行を基本とし、原則として泊まり運行なしとされています。[出典6]
ただし、求人の15時間は会社全体の実残業ではありません。幸楽輸送単体の平均残業、年間総実労働時間、有休取得率、月45時間・60時間超の人数は公表されていません。公開情報がない点は課題であり、採点上も減点対象です。
年間休日と日帰り運行を評価して6/10点です。対象法人単体で平均残業20時間未満、有休取得率80%以上、月60時間超0人などを複数年確認できれば8/10点を検討できます。
雇用の安定・待遇の公平性:3/5
2025年度の法定開示では、男女賃金比率は全労働者64.1%、正規雇用81.6%、パート・有期51.2%です。正規雇用の比率は前年80.2%からわずかに改善しています。[出典2]
男女賃金比は同じ仕事をする女性へ男性の64.1%しか払うことを意味する数字ではなく、職種、役職、勤続、雇用形態の構成差を含みます。一方、公的職場情報では男性148人、女性11人という強い男性偏重が確認され、高賃金職や管理職への配置を含めた結果差は課題です。[出典7]
雇用継続と正規雇用の差縮小を評価して3/5点です。正規雇用の男女賃金比90%以上、女性管理職10%以上を実現し、職種・等級別の調整後格差も小さいことを公開できれば4/5点を検討できます。
福利厚生・育児・介護:4/5
2025年度の男性育児休業取得率は100%です。グループでは2024年10月から時間単位有休・在宅勤務の対象を全グループ会社へ拡大し、2025年1月から育休取得者の業務を引き継ぐ社員へ支援金を支給する制度も全グループ会社へ導入しました。[出典2・3]
採用情報では退職金、資格取得支援、各種特別休暇も確認できます。制度と男性育休の実利用を評価して4/5点です。平均育休取得日数、復職率、介護休業利用率を対象法人単体で継続公開し、高い利用実績を確認できれば5/5点を検討できます。
人権・ハラスメント・労使関係:3/5
北海道コカ・コーラグループの人権・DE&I方針や相談制度の対象となり、育児支援などもグループ横断で運用されています。幸楽輸送では待遇や雇用条件を求人で具体的に示している点も評価できます。
一方、幸楽輸送単体のハラスメント相談件数、認定件数、是正件数、職場サーベイ、労使協議の結果を年次比較できる公開情報はありません。制度は確認できるものの結果開示が不足するため3/5点です。相談・是正結果と再発防止の実績を匿名性に配慮して継続公開できれば4/5点を検討できます。
労働安全・健康:6/10
幸楽輸送は2006年にGマークを取得し、2018年度には札幌輸送課と十勝事業部がGマーク運輸局長表彰の対象となりました。石狩センターは中央労働災害防止協会の無災害記録証を受けた実績があります。[出典8・9]
現在の安全対策として、乗務前のアルコール、血圧、免許証確認、IT点呼、クラウド型デジタルタコグラフ、ドライブレコーダーを運用しています。2024年度の厚生労働科学研究では、陸上貨物運送業の腰痛予防を目的とする産官学コンソーシアムにも参加しています。[出典1・10・11]
一方、対象法人単体の最新の死亡災害、休業労災、度数率・強度率、荷役事故、交通事故件数を毎年比較できる公開情報がありません。公開情報がない点は課題であり、採点上も減点対象です。
第三者表彰と具体的な安全管理を評価して6/10点です。死亡・重大災害0、休業度数率0.5未満など低い水準を複数年維持し、事故類型と再発防止後の推移まで公開できれば8/10点を検討できます。
商品・サービスの安全:4/5
物流サービスの安全では、Gマーク、デジタコ、ドラレコ、アルコール・血圧確認、点呼によって、交通事故と貨物事故を予防する仕組みを持っています。異常気象時には無理な運送を求めず、協力会社が安全確保のため運行中止・中断を判断した場合に尊重する方針も示しています。[出典8・12]
一方、最新の走行距離当たり交通事故率、重大貨物事故件数、誤配送・破損等の品質KPIは公表されていません。仕組みと外部認証を評価して4/5点です。死傷事故0を複数年継続し、事故率・貨物事故率を定量公開できれば5/5点を検討できます。
従業員・元従業員の口コミ
転職会議の2018年頃の契約社員ドライバー投稿には「運送業界では比較的ホワイト」という記述があります。古い単独投稿であり、現在の全社実態としては扱いません。【情報ランクB】[出典15]
口コミサイトの投稿数は少なく、残業・人間関係・定着に関する評価も投稿時期や職種によって分かれています。公式の会社単体KPIが不足しているため、口コミを点数の中心には置かず、現場差を確認する補助情報として扱います。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイについて、社名と残業、退職、事故、パワハラ、中継輸送、人員削減などを組み合わせて確認しましたが、対象法人の現職・元職であること、時期、拠点、職種を確認でき、現在の採点を動かせる具体的な投稿本文は確認できませんでした。
有用な投稿を確認できなかったこと自体は、問題がないことの証明として加点しません。
Innovation
Innovationでは、人が長距離を走り続けたり、空車を動かしたり、運行状況を手作業で追ったりする負担を、輸送設計とデジタル技術でどこまで減らしているかを評価します。幸楽輸送は混載と共同中継輸送を実装している点が強い一方、見込み削減量を実際の残業・安全・雇用へ結び付けた結果開示が不足しています。
作業負担・危険の削減:8/10
2025年の共同中継輸送では、道央圏と釧路圏の長距離輸送を十勝の中継地点で分け、トレーラーを交換します。一人が全行程を往復する構造を変えることで、年間約2,400時間、ドライバー約2.5人分に相当する運転時間削減を見込んでいます。[出典3]
長距離運転時間そのものを減らす設計が具体的で、本格稼働まで進んでいるため8/10点です。ただし2,400時間は見込み値です。実測の拘束時間、残業、疲労起因事故、離職を導入前後で示し、高水準の削減が継続すれば10/10点を検討できます。
商品・サービスの改善:4/5
混載スキームでは、コカ・コーラ輸送網の空きスペースへ他社の小口・不定期貨物を組み合わせ、20トントレーラーの積載率を100%近くへ最適化します。荷主はチャーター便を一台用意しなくても既存便へ貨物を載せやすくなり、幸楽輸送は空気を運ぶ区間を減らせます。[出典5]
共同中継、混載、フェリー、JRコンテナなど複数の手段を組み合わせるサービス改善を評価して4/5点です。輸送単価、遅延率、積載率、実走行距離を同条件で継続公開し、顧客側の費用・納期改善まで確認できれば5/5点を検討できます。
改善成果の人間への還元:3/5
共同中継輸送は、効率化の目的をドライバーの労働環境改善へ明確につなげています。年間約2,400時間という削減目標も、人の時間へ換算して示している点を評価できます。[出典3]
一方、本格稼働後に実際の時間外労働が何時間減ったか、年間休日や有休取得が増えたか、離職・事故が減ったかは公表されていません。見込みだけで人への還元が完了したとは扱わないため3/5点です。
実測で年間運転時間・残業が大きく減り、雇用を維持しながら休息・有休・安全へ成果が返ったことを公開できれば4/5点を検討できます。
研究開発・現場改善の継続:5/5
2004年のデジタルタコグラフ導入、2013年のクラウド化、混載スキーム、フェリー・JR活用、2025年の共同中継輸送まで、改善は単発ではなく複数年続いています。[出典1・5・10]
運行管理、積載率、輸送モード、中継方法を継続的に更新しているため5/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
幸楽輸送で確認できる改善の中心は、AIによる大規模な人員代替より、デジタコ、IT点呼、混載、中継輸送による運行設計の改善です。2026年もドライバー等の採用情報があり、共同中継輸送を理由とする大規模な希望退職・整理解雇を示す公表情報は確認できませんでした。[出典6]
一方、導入前後のドライバー人数、派遣・契約社員数、配置転換、採用数、退職者数を同じ定義で追える公開情報はありません。今後さらに省人化を進める場合は、削減した仕事をどの職務へ移したか、再教育と雇用維持まで公開する必要があります。
Protection
Protectionでは、地震、大雪、道路寸断、港湾停止、停電、サイバー攻撃が起きても、飲料・食品・原材料を届け直せるかを評価します。幸楽輸送は複数輸送モードと拠点分散、本社の災害設備が強い一方、最近の実災害での復旧時間やサイバー復旧指標が不足しています。
災害への備え・訓練:4/5
2022年完成の本社はZEB Ready認証を取得し、太陽光発電、小型ガス発電機、災害時用貯水槽、レジリエンストイレ、マンホールトイレなどを備えています。異常気象時には無理な運送を求めない方針も明示しています。[出典1・12]
例えば豪雪で高速道路が閉鎖され、通常便を止める必要がある場合、運転を強行せず人の安全を守りながら、本社機能と代替ルートの調整を継続できる余地があります。
設備と運行停止ルールが具体的なため4/5点です。幸楽輸送単体のBCP訓練回数、安否確認完了時間、訓練での復旧時間まで公開できれば5/5点を検討できます。
生産・物流・調達の代替:4/5
幸楽輸送はトラックだけでなくフェリーとJRコンテナを利用し、札幌、十勝、旭川、大洗、市原などに拠点を持ち、石狩、輪厚等に保管拠点を置いています。[出典1]
例えば道路が長時間使えない場合、貨物の条件に応じて鉄道・船へ切り替えたり、北海道側と関東側の拠点を組み合わせたりできることは、単一輸送手段だけの会社より復旧余地を広げます。
一方、各主要貨物をどの拠点・輸送手段で何%代替できるか、切替に何時間かかるかは公表されていません。そのため4/5点です。代替率と切替時間を訓練・実障害で実証できれば5/5点を検討できます。
サイバー防衛・情報保護:2/5
個人情報保護方針では、不正アクセス、紛失、破壊、改ざん、漏えい等への安全管理と教育、管理責任者の設置を明示しています。[出典13]
一方、クラウド型デジタコやIT点呼へ依存する物流会社として重要なEDR、SOC、MFA、オフラインバックアップ、ランサムウェア訓練、RTO・RPO、復元試験の対象法人単体の公開情報がありません。公開情報がない点は課題であり、採点上も減点対象です。
基本方針は確認できるため2/5点です。技術対策、年次訓練、バックアップ復元試験と復旧時間を公開できれば3~4/5点を検討できます。
供給継続・復旧能力:4/5
混載、中継輸送、フェリー、JR、複数拠点・倉庫を平時から使っているため、特定の車両・道路・拠点だけに依存しない構造があります。2025年5月の千葉事業所、2026年1月の輪厚DC開設は、保管・輸送能力をさらに分散する動きです。[出典1]
一方、大規模地震・豪雪などで主要拠点が停止した際に、何時間で何%の供給を再開したかという最近の実績と、主要業務のRTOは公表されていません。そのため4/5点です。実災害・訓練で目標時間内の供給再開を示せれば5/5点を検討できます。
危機時の市民への対応:3/5
会社沿革では、2011年の東日本大震災で緊急支援物資輸送を行った実績があります。物流会社が通常の商流から支援物資輸送へ切り替えた具体例です。[出典1]
例えば避難所で飲料や生活用品が不足した場合、車両、倉庫、輸送手配の能力を支援物資へ使えれば、物資が届くまでの時間を短くできます。
ただし実績が古く、近年の災害での輸送数量、要請から出発・到着までの時間、自治体との訓練実績は公表されていません。そのため3/5点です。近年の災害支援を数量・時間付きで公開できれば4~5/5点を検討できます。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の前向きな動きは、物流拠点を増やすだけでなく、長距離運転そのものを分割し、空車を減らす方向へ進んでいる点です。こうした取り組みが実際の残業削減と安全改善へつながれば、InnovationとProtectionの両方で、市民へ物を届けながら物流従事者の時間を守る社会へ近づきます。
2026年1月 輪厚DCを開設(Protection)
2026年1月、北広島市に輪厚DCを開設しました。既存の石狩センター等に加えて保管拠点を持つことで、北海道内の在庫・輸送の組み替え余地が広がります。[出典1]
例えば一つの倉庫周辺で道路障害が起きた場合、別拠点へ在庫・配車を分散できれば、店舗や工場への供給停止を短くできます。今後は拠点間の代替可能量と切替時間を公開することで、Protectionの実力をさらに確認できます。
2025年3月 共同中継輸送を本格稼働(Innovation)
2025年1~2月の実証を経て、苫小牧埠頭との共同中継輸送を3月から本格稼働へ移しました。通年で週3本ずつの運行を予定し、年間約2,400時間の運転時間削減とCO2約46%削減を見込んでいます。[出典3]
長距離輸送を一人で走り切る必要を減らせば、ドライバーが家へ戻れる時間を増やし、疲労蓄積と長時間運転による事故リスクを下げる余地があります。今後は見込み値ではなく実績値が重要です。
2024年度 腰痛予防の産官学コンソーシアムへ参加(Safety)
厚生労働科学研究では、陸上貨物運送業の腰痛予防ガイドライン策定・普及を目指す産官学協働コンソーシアムの参加企業として幸楽輸送が確認できます。作業姿勢計測やアシストスーツの適正導入などを扱う研究です。[出典11]
物流現場では荷役や乗降、長時間の座位が腰への負担になります。研究参加を全社導入実績とは扱いませんが、身体負担を測定し、科学的に減らす取り組みへ関与している点を評価できます。
悪いニュース・問題となった動き
現在の大きな問題は、重大な不祥事が多数確認されたことではなく、働き方と安全の結果を会社単体の数字で追いにくいことです。物流では制度があっても、事故・残業・離職が減っていなければ人への利益は確定しません。情報不足が続けば、SafetyとInnovationの改善を外部から検証できない状態が残ります。
2025年度 全労働者の男女賃金比64.1%、パート・有期51.2%(Safety)
2025年度の男女賃金比率は全労働者64.1%、正規雇用81.6%、パート・有期51.2%です。[出典2]
雇用区分や職種構成の違いを含む数字ですが、パート・有期では女性の平均賃金が男性の約半分という大きな結果差です。職種・時間・役職別に差の原因を公開し、女性が高賃金職や管理職へ進める配置・育成を増やす必要があります。
2026年10月時点 最新の事故・労災KPIを単体で比較できない(Safety)
Gマーク、無災害表彰、点呼、デジタコなどの施策は確認できますが、対象法人単体の直近年度の交通事故件数、死亡・休業労災、度数率、強度率を継続比較できる公開情報がありません。
制度が強い会社ほど、実際の事故結果まで示すことでSafetyを検証できます。事故KPIが公表されない状態が続けば、安全投資がどの程度人の負傷や休業を減らしたのか判断できません。
2026年10月時点 共同中継輸送の実測労働時間削減が未公表(Innovation)
共同中継輸送は年間約2,400時間削減という目標を掲げていますが、本格稼働後の実績として、対象ドライバーの残業、拘束時間、休息期間、離職、事故がどれだけ変わったかは公表されていません。[出典3]
見込みどおり時間を削減できていれば大きな人間貢献です。反対に実績値が示されなければ、Innovationの成果を「人の自由時間が増えた」と確定できません。
総合評価と、これから改善してほしいこと
幸楽輸送株式会社は現在69点・シビックランクCです。次のBランクは70点からなので、あと1点必要です。共同中継輸送、混載、複数輸送モード、安全管理は強く、Bの直前まで来ています。次の一歩は、新しい仕組みを増やすことより、すでに始めた改善がドライバーの時間・安全・待遇を実際に変えたことを数字で示すことです。
共同中継輸送の実測成果を人の時間まで公開してほしい(Innovation)
現在の「改善成果の人間への還元」は3/5点です。年間約2,400時間の運転時間削減を見込む仕組みは実装済みですが、本格稼働後の実績値が公表されていません。
共同中継輸送の対象便について、導入前後の総運転時間、時間外労働、拘束時間、休息期間違反、事故、離職を同条件で1年以上測定し、例えば実運転時間を年間2,000時間以上削減し、対象ドライバーの時間外労働を20%以上減らし、大規模な雇用削減を行わずに効果を維持した結果を公開してほしいところです。
この結果を確認できれば3→4/5点、+1点を検討できます。総合69→70点となり、シビックランクCからBへ上がります。
参考企業はサッポログループ物流株式会社です。現行審査は69点・Cで、「改善成果の人間への還元」は4/5点です。群馬物流センターで作業終了を42分短縮し、残業代を約50%削減したほか、鉄道ラウンド輸送でドライバー拘束時間を年間約1,400時間削減した実績まで公表しています。[参考出典17]
事故・労災結果を法人単体で公開してほしい(Safety)
現在の「労働安全・健康」は6/10点です。Gマークや点呼・デジタコ等は強い一方、直近の死亡・休業災害、度数率、強度率、交通事故件数を法人単体で追えません。
死亡・重大災害0を3年以上継続し、休業災害度数率0.5未満、走行距離当たりの重大交通事故を低水準に抑え、事故原因と再発防止後の推移まで毎年公開してほしいところです。
この水準を確認できれば6→8/10点、+2点を検討できます。単独改善でも総合69→71点となり、Bランクです。
参考企業はTOPPAN株式会社です。現行審査は73点・Bで、2025年の単体労災死亡0、休業災害度数率0.043、強度率0.000を公開し、「労働安全・健康」を8/10点と評価しています。製造業と物流業で危険の種類は異なりますが、法人単体で事故頻度と重大度を毎年示す点が参考になります。[参考出典16]
男女賃金差と女性登用を改善してほしい(Safety)
現在の「雇用の安定・待遇の公平性」は3/5点です。正規雇用の男女賃金比81.6%に対し、全労働者64.1%、パート・有期51.2%という差があります。[出典2]
職種、等級、勤務時間、勤続年数別に差を分析し、女性のドライバー、倉庫、配車、管理職への採用・育成を増やし、正規雇用の男女賃金比90%以上、女性管理職10%以上を達成してほしいところです。
これらを継続し、同一等級・同一職務での調整後格差も小さいことを確認できれば3→4/5点、+1点を検討できます。単独改善でも総合69→70点となりBランクです。
参考企業は遠東石塚グリーンペット株式会社です。現行審査は68点・Cで、正規雇用の男女賃金比94.1%、女性管理職比率21.1%を確認し、「雇用の安定・待遇の公平性」を4/5点と評価しています。[参考出典18]
次のランクへ上がるための具体例
現在69点・Cで、Bランクは70点からです。あと1点必要です。
・最短例:共同中継輸送で、導入前後を同条件で比較し、実運転時間を年間2,000時間以上削減、対象ドライバーの時間外労働を20%以上削減し、雇用を維持した結果を1年以上公開する。「改善成果の人間への還元」を3→4点、+1点とする。参考企業は、作業終了42分短縮・残業代約50%削減、ドライバー拘束年間約1,400時間削減を公表するサッポログループ物流株式会社です。
・別の到達例:単体の死亡・休業災害、度数率・強度率、重大交通事故を毎年公開し、死亡・重大災害0、休業度数率0.5未満を複数年継続する。「労働安全・健康」を6→8点、+2点とする。参考企業は単体死亡0、度数率0.043、強度率0.000を公開するTOPPAN株式会社です。
・別の到達例:正規雇用の男女賃金比90%以上、女性管理職10%以上を達成し、職種・等級調整後の格差も小さいことを公開する。「雇用の安定・待遇の公平性」を3→4点、+1点とする。参考企業は正規男女賃金比94.1%、女性管理職21.1%の遠東石塚グリーンペット株式会社です。
最短では69点+1点=70点となり、シビックランクCからBへ上がります。つまり幸楽輸送が次のランクへ上がるためには、新しい制度を一つ増やすより、共同中継輸送によって実際にドライバーの残業と拘束時間が減ったことを測定し、その成果を公開することが最も分かりやすい道です。
出典一覧
1.幸楽輸送株式会社「会社概要」「営業品目」「車両紹介・安全への取り組み」「沿革」【情報ランクA】
2.北海道コカ・コーラボトリング株式会社「2025年12月期 有価証券報告書」幸楽輸送の連結子会社情報、男性育休、男女賃金比等【情報ランクA】
3.北海道コカ・コーラボトリング株式会社「サステナビリティレポート2025」共同中継輸送、本格稼働、グループ福利厚生等【情報ランクA】
4.北海道コカ・コーラボトリング株式会社・幸楽輸送株式会社・苫小牧埠頭株式会社「継続的な長距離輸送を実現する共同中継輸送の実証実験を実施」2025年1月20日【情報ランクA】
5.経済産業省北海道経済産業局「共同輸配送による物流効率化」幸楽輸送の混載スキーム【情報ランクS】
6.北海道コカ・コーラグループ採用情報、幸楽輸送のフォークリフト職・ドライバー求人【情報ランクA】
7.Gビズインフォ/職場情報総合サイト由来の幸楽輸送株式会社情報【情報ランクS】
8.国土交通省「平成30年度 Gマーク運輸局長表彰事業所」【情報ランクS】
9.中央労働災害防止協会「幸楽輸送株式会社 物流部石狩センター 中小企業無災害記録証」【情報ランクS】
10.国土交通省「プロドライバーのための健康管理・労務管理の向上による事故防止に関するセミナー」デジタコを活用した労務管理【情報ランクS】
11.厚生労働科学研究「産学官協働による運送業に応用可能な腰痛予防ガイドラインの策定と普及実装」【情報ランクS】
12.国土交通省「ホワイト物流推進運動」幸楽輸送の自主行動宣言・賛同企業情報【情報ランクS・A】
13.幸楽輸送株式会社「個人情報保護方針」【情報ランクA】
14.Indeed「幸楽輸送株式会社の社員クチコミ・評判」【情報ランクB】
15.転職会議「幸楽輸送の転職・採用情報・社員口コミ」【情報ランクB】
16.当サイト「TOPPAN株式会社を企業審査」現行正本【参考企業】
17.当サイト「サッポログループ物流株式会社を企業審査」現行正本【参考企業】
18.当サイト「遠東石塚グリーンペット株式会社を企業審査」現行正本【参考企業】
シビックランクの基準
| ランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、または氏名・役職・立場が確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
