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第十九話 金にならねえじゃねえか

目次

報酬見込み

画面が白く光った。

俺は、スマホを握ったまま固まっていた。

ナビゲーター報酬。

活動実績に応じて、報酬が発生する場合があります。

その一文を見たとき、眠気が飛んだ。
第二合論も、レシピも、起業も、シェアハウスも、保険も、一瞬だけ頭の外へ消えた。

報酬。

金が出る。

それなら話は別だ。

俺は、画面に表示された読み込みの輪を見つめていた。

いくらだ。

どれくらいになる。

副業になるのか。
それとも、またただ働きみたいなものなのか。

【ナビゲーター報酬を計算しています】

画面の中央で、丸い光が回り続ける。

遅い。

こういうときの数秒は長い。

俺は、思わず呟いた。

「……で、いくらなんだよ」

読み込みが止まった。

次の瞬間、報酬画面が表示された。

【ナビゲーター報酬見込み】

対象活動:副業実践ログ募集準備

【仮評価】

活動準備:+5
テーマ接続:+3
安全設定:+2
GVS連携準備:+3

合計:13 Civic Points

【推定報酬】

3円〜18円相当

【確定報酬】

審査後に反映

俺は、しばらく画面を見ていた。

3円。

18円。

もう一度見た。

3円〜18円相当。

「……は?」

声が出た。

何かの見間違いかと思った。

俺は画面をスクロールした。
報酬の単位を探した。
ポイント交換率を探した。
追加報酬の表示を探した。

でも、どこを見ても、そこにあるのは同じだった。

3円〜18円相当。

「なめてんのか」

俺は、布団の上でスマホを握りしめた。

報酬が出る。
活動実績に応じて報酬が発生する場合があります。
ナビゲーター活動。
副業実践ログ。
SNS発信。

それっぽいことを言っておいて、3円。

18円でも少ない。
3円はもはや金じゃない。

道に落ちていても、拾うか迷う。

いや、拾うか。
今の俺なら拾うかもしれない。

それがまた腹立たしかった。

俺は、サポーター欄を開いた。

三円ってなんだよ

俺は、勢いのまま打った。

「おい、シビックドライブ金にならねえじゃねえか。これで副業とか言うなよ。3円ってなんだよ。小学生の駄賃以下だろ」

送信しかけた瞬間、変換候補が表示された。

【変換候補】

ナビゲーター活動の報酬見込みが想定より低く、継続する動機が下がっています。
もしよければ、報酬が低い理由と、報酬が増える条件を説明していただけませんか?

俺は、画面を見て顔をしかめた。

「上品にすんな。俺は怒ってるんだよ」

でも、変換後の文章は、たぶん話が進む。

そのまま送ると、ただの文句だ。
変換後なら、説明を求める形になる。

腹立たしい。

腹立たしいが、便利だ。

俺は、変換後の文章で送信した。

すぐに、シビックサポーターから返事が来た。

【シビックサポーター】

報酬が低いと感じているのですね。
現在の活動は、ナビゲーター活動の準備段階として仮評価されています。
実際の報酬は、活動内容、外部反応、実践ログの有用性、安全運用、協力要請、資金プールの状況などにより変動します。

俺は、画面を睨んだ。

「長い」

また打つ。

「結局、なんで3円なんだよ」

【シビックサポーター】

現時点では、外部発信前の準備段階であり、実践ログの収集、外部反応、協力要請、収益化要素がまだ発生していないためです。

俺は、少しだけ黙った。

確かに、まだ何もしていない。

ナビゲーター活動の画面を開いた。
設定を見た。
報酬見込みを押した。

それだけだ。

まだ副業実践ログは集めていない。
投稿もしていない。
外部反応もない。
誰かの役に立ったわけでもない。

それでも、3円は腹が立つ。

「じゃあ、実際に投稿したらいくらになるんだよ」

【シビックサポーター】

投稿単体では大きな報酬にならない場合があります。
報酬は、投稿後の反応、実践ログ化、次回合論素材化、安全運用、協力要請対応などを含めて評価されます。

「つまり?」

【シビックサポーター】

一度投稿しただけでは、報酬は低い可能性があります。

俺は、スマホを布団に投げそうになった。

やっぱりか。

やっぱりそんなうまい話はない。

副業これでいいじゃん。
そう思った数分前の自分を殴りたい。

報酬が増える条件

画面には、続けて説明が表示された。

【報酬評価に影響する要素】

・実践ログの有用性
・投稿への外部反応
・他参加者の行動につながったか
・広告、勧誘、詐欺的情報の分類精度
・安全運用
・協力要請の発生
・SNS発信の継続性
・テーマ全体の社会的価値
・アフィリエイト収益
・支援者、企業、投資家からの資金流入

俺は途中で読むのをやめた。

多い。

多すぎる。

俺は金額が知りたいだけなのに、また評価項目が並んでいる。

「で、どれをやれば増えるんだよ」

【シビックサポーター】

現在のテーマでは、まず実践ログの収集が重要です。

「実践ログ?」

【シビックサポーター】

はい。
作業内容、作業時間、報酬、初期費用、失敗理由、継続可否などが含まれる記録です。
これらが集まると、他参加者の判断材料になり、GVS内での有用性評価が上がります。

俺は、少しだけ身を起こした。

それは分かる。

成功談じゃなくて、実践ログ。
何を何時間やって、いくらになったのか。
どこで止まったのか。
どれくらい初期費用がかかったのか。

俺自身が欲しかった情報だ。

「それが集まれば報酬が増えるのか?」

【シビックサポーター】

増える可能性があります。
ただし、必ず増えるとは限りません。

「そこは断言しろよ」

【シビックサポーター】

断言はできません。

正直すぎる。

俺は、少し笑いそうになった。

腹は立つ。
でも、嘘をつかれるよりはマシかもしれない。

「実践ログ以外は?」

【シビックサポーター】

外部反応、協力要請、アフィリエイト収益、支援者や企業からの資金提供なども、報酬プールに影響します。

俺は、その中の一つに反応した。

アフィリエイト。

「なんだ、結局アフィリエイトかよ」

【シビックサポーター】

一部のテーマでは、アフィリエイト収益が発生する場合があります。

「副業テーマなら、クラウドソーシングとか求人サービスとか、そういうやつか?」

【シビックサポーター】

はい。
ただし、GVSでは広告、実践ログ、要請を分けて扱います。
アフィリエイトリンクを利用する場合も、広告であることを明示する必要があります。

俺は、鼻で笑った。

「面倒くせえアフィリエイトだな」

【シビックサポーター】

はい。
報酬目的の不透明な誘導は、評価が下がる場合があります。

また出た。
評価。

GVSは何でも評価する。

でも、お金に困っている人を高額講座や外部LINEへ流すよりはマシだ。

そこは分かる。

分かるけど、面倒くさい。

「じゃあ情報商材のアフィリエイトは?」

【シビックサポーター】

高額商材、外部LINE誘導、リスク説明のない副業紹介、断定的な収益表現を含む広告は、制限または報酬対象外になる場合があります。

「じゃあ稼げないじゃん」

【シビックサポーター】

短期的には、報酬が低くなる場合があります。
ただし、参加者の安全性と信頼性を優先します。

俺は、画面を見ながら唸った。

稼げる広告を貼れない。
怪しい商材も流せない。
外部LINEも使えない。
「誰でも月30万」みたいなことも言えない。

それは健全だ。

健全だが、金にはなりにくそうだ。

「健全な副業って、だいたい儲からないんだよな」

そう呟くと、サポーターは何も返さなかった。

生活できるくらい

俺は、画面に向かって打った。

「つまり、これだけで生活できるようになるのか?」

返事はすぐに来た。

【シビックサポーター】

現時点では、保証できません。
初期段階では、生活費をまかなうほどの報酬にならない可能性が高いです。

俺は、笑った。

「正直すぎるだろ」

【シビックサポーター】

副業や収入に関するテーマでは、過度な期待を避ける必要があります。

その通りだ。

その通りすぎて、また腹が立つ。

俺が欲しいのは過度な期待だったのかもしれない。

副業で人生逆転。
AIで月50万円。
未経験から在宅で自由に稼ぐ。

ああいう言葉を馬鹿にしていた。

でも、どこかで求めてもいた。

今より楽になれるなら。
この生活から抜け出せるなら。
夜勤明けにおにぎりを戻さなくて済むなら。

少しくらい夢を見たかった。

でも、GVSの画面は夢を見せてくれない。

3円〜18円。

現時点では生活費をまかなえません。

過度な期待を避ける必要があります。

「冷めるな」

俺は呟いた。

でも、冷めた情報だからこそ、信用できるのかもしれない。

俺は、もう一度打った。

「じゃあ、シビックドライブの活動に参加して、生活できるくらいの金はもらえないのか?」

少し間が空いた。

【シビックサポーター】

将来的には、達成できる見込みがあります。
ただし、個人の活動だけでなく、テーマ全体の広がりや資金プールの増加が必要です。

「資金プール?」

【シビックサポーター】

ナビゲーターが、富裕層、投資家、企業、支援者から資金を引き出すことで、報酬プールが増える可能性があります。
その場合、GVS参加者やナビゲーターへの報酬も増加します。

俺は、画面を見つめた。

富裕層。
投資家。
企業。
支援者。

また話がでかくなった。

「いや、そんな面倒なことできるか」

俺は打った。

「俺に富裕層とか企業と交渉する能力なんかないぞ」

【シビックサポーター】

あなた自身が、富裕層や企業と直接交渉する必要はありません。

俺は指を止めた。

【シビックサポーター】

あなたが行う実践ログ収集やSNS発信は、交渉担当のナビゲーターにとって材料になります。
多くの人の実践ログ、反応、要請、困りごとが可視化されることで、資金提供を要請する根拠になります。

俺は、少しだけ眉をひそめた。

「つまり?」

【シビックサポーター】

あなたは、副業実践ログを集め、発信し、反応を保存します。
交渉担当ナビゲーターは、そのログをもとに、支援者や企業へ資金提供を要請します。

俺は、画面を見ながら黙った。

役割分担。

そういうことらしい。

俺が金持ちに頭を下げるわけじゃない。
俺が企業に営業するわけでもない。
俺が投資家向けの資料を作るわけでもない。

俺は、失敗談を集める。
作業時間を集める。
報酬を集める。
初期費用を集める。
どこで止まったのかを集める。

それが、誰かの交渉材料になる。

「そんなので本当に金が出るのか?」

【シビックサポーター】

保証はできません。
ただし、実践ログが多く集まり、社会的価値が明確になれば、資金提供を受けられる可能性は高まります。

また可能性。

俺は、スマホを睨んだ。

「可能性ばっかりじゃねえか」

【シビックサポーター】

はい。
確定していない報酬を、確定しているように表示することはできません。

俺は、黙った。

それはそうだ。

副業広告なら、きっと違うことを言う。

誰でも稼げる。
月30万円も可能。
今始めないと損。
本気の人だけ。

そういう言葉を並べて、最後に講座へ誘導する。

GVSは、その逆だった。

3円〜18円。
保証できません。
生活費には足りません。
可能性です。

夢がない。

でも、夢がないからこそ、少しだけ信用できる。

現実すぎて、腹は立つけど。

じゃあ何をすればいい

俺は、画面に打った。

「じゃあ、俺は何をすればいいんだよ」

【シビックサポーター】

現在の目的が「報酬を増やしたい」であれば、まず副業実践ログの収集を進めることが有効です。

「どれくらい?」

【シビックサポーター】

最初は少数でも構いません。
ただし、実践ログとして扱うには、最低限の項目が必要です。

画面に項目が出た。

【副業実践ログの基本項目】

・副業名
・作業内容
・作業時間
・報酬
・初期費用
・続いたか、続かなかったか
・失敗した理由
・向いている人、向いていない人
・勧誘や商材誘導の有無

俺は、その項目を読んだ。

これだ。

俺が検索しても出てこなかったもの。
成功者の自慢ではなく、実際の作業時間。
報酬だけではなく、初期費用。
稼げたかどうかだけでなく、続かなかった理由。

これが欲しかった。

俺が欲しい情報を、他の人も欲しがるなら。
それを集めることに価値があるなら。

やることは、単純かもしれない。

実践ログを集める。

「それをXで募集すればいいのか?」

【シビックサポーター】

はい。
ただし、広告・勧誘・外部リンク誘導が混ざる可能性があります。
GVS変換表示とフィルター設定の利用を推奨します。

俺は、画面を見ながら、少しだけ息を吐いた。

副業実践ログを集める。
広告や勧誘を分ける。
安全に見る。
使えるものを次の合論素材にする。

難しい話を全部無視すれば、それだけだ。

富裕層とか、資金流入とか、ムーブメントとか。
そういう話はまだ分からない。

でも、このままでは報酬は3円だ。

それだけは分かる。

3円では、何も買えない。
18円でも、おにぎりは買えない。

なら、増やすしかない。

増やすには、実践ログを集めるしかない。

俺は、投稿作成画面を開いた。

失敗談をください

入力欄が出た。

【今回の投稿に入れたい内容を入力してください】

俺は、少し考えた。

成功談をください。

それでは違う。

成功談は、もうネットに溢れている。
月100万円。
一日30分。
未経験から自由な生活。

そういう話は、もう見飽きた。

俺が欲しいのは、成功談じゃない。

失敗談だ。

どこで止まったのか。
何が割に合わなかったのか。
何に金がかかったのか。
どの言葉に騙されそうになったのか。

それが欲しい。

俺は入力した。

「副業で失敗した話をください」

それだけでは短い気がした。

少し足す。

「成功談じゃなくていいです。むしろ失敗談がほしいです。何を何時間やって、いくらになったのか。初期費用はいくらかかったのか。どこで止まったのか。情報商材や高額講座への誘導はいりません」

送信。

すぐに変換候補が出た。

【投稿案】

副業の成功談だけでなく、失敗談や途中で止まった経験を集めています。

もしよければ、実際に取り組んだ副業について、以下を教えていただけませんか?

・作業内容
・作業時間
・報酬
・初期費用
・続いた理由、続かなかった理由
・失敗した点
・情報商材や高額講座に誘導された経験

外部LINE誘導、高額講座、断定的な収益表現は除外します。

#副業初心者
#実践ログ
#情報商材に注意

俺は、その投稿案を見た。

悪くない。

成功談だけでなく、失敗談や途中で止まった経験。

そうだ。

俺がほしいのは、それだ。

ただ、今はまだ投稿しない。

仕事の準備をしなければいけない。
夜勤の時間が近い。

俺は、投稿案を下書きに保存した。

【下書きに保存しました】

画面の下に表示が出る。

【次の活動候補】

副業実践ログ募集を投稿する
投稿への反応をGVSで分類する
実践ログを次回合論素材にする

俺は、それを見て、少しだけ頷いた。

やることは分かった。

金になるかは分からない。
たぶん、すぐにはならない。

それでも、3円のままよりはマシだ。

俺はスマホを伏せた。

部屋の中は、もう暗かった。
仕事用の服が、床に置いたままになっている。

今日も夜勤だ。

口座残高は増えていない。
国保もまだ払っていない。
おにぎりを戻した朝も消えていない。

でも、下書きが一つある。

「副業で失敗した話をください」

それは、成功者に向けた言葉ではない。

俺みたいに、失敗した人。
止まった人。
怖くなった人。
割に合わなかった人。

その人たちに向けた言葉だ。

俺は、立ち上がって仕事用の服を取った。

玄関で靴を履きながら、もう一度スマホを見た。

【報酬見込み】

3円〜18円相当

何度見ても、少ない。

少なすぎる。

俺は、小さく舌打ちした。

「金にならねえじゃねえか」

そう言って、スマホをポケットに入れた。

でも、ポケットの中には、下書きがある。

失敗談をください。

それが、次に俺が投げる言葉だった。

第十九話「金にならねえじゃねえか」解説

第十九話では、シビックドライブにとって最も重要なテーマを扱いました。

それは、シビックドライブに参加すれば本当にお金になるのかという問題です。

どれだけ理想的な仕組みでも、参加してもお金にならないなら、多くの人は続けられません。
特に、お金に困っている人ほど、生活費、家賃、食費、税金、保険料に追われています。

その人たちに対して、

「社会のために参加してください」
「協力的な社会を作りましょう」

と言うだけでは弱いです。

本当に新しい社会形態として成立させるなら、GVSやシビックドライブへの参加そのものが、生活を支える活動になっていく必要があります。

ただし、シビックドライブは「働かなくていい社会」ではありません。

むしろ、労働の形が変わる社会です。

GVSでチャットを打つこと。
自分にできることを書くこと。
協力してほしいことを書くこと。
誰かの提案や要請に応答すること。
実践ログを共有すること。
SNSで発信すること。
集まった反応を合論素材にすること。

これらが、新しい労働になっていきます。

従来の労働は、会社や雇用主から与えられた作業をこなすことが中心でした。
しかし、シビックドライブ社会では、必要な労働を自分たちで考え、提案し、要請し、実行していきます。

つまり、働かなくなるのではなく、何のために働くのか、誰の要請に応答するのかを自分たちで決める社会です。

第十九話の主人公は、ナビゲーター活動に報酬が出ると知って期待します。
しかし、最初に表示された報酬見込みは、たったの3円〜18円です。

当然、主人公は怒ります。

「金にならねえじゃねえか」

この反応は、かなり大事です。

シビックドライブは、参加すればすぐ大金がもらえる仕組みではありません。
もし最初から高額報酬が出るように描いてしまうと、ただの都合のいい夢物語になります。

最初は小さい。
ほとんど金にならない。
それでも、実践ログや反応が集まり、テーマが社会的需要を満たすようになれば、報酬が増える可能性が出てきます。

では、そのお金はどこから来るのか。

一つは、アフィリエイト収益です。
ただし、GVSでは広告、実践ログ、要請を分けて扱います。高額商材や外部LINE誘導、断定的な収益表現などは制限されます。

もう一つは、富裕層、投資家、企業、支援者からの資金流入です。

たとえば、副業実践ログが大量に集まり、情報商材被害や低単価案件への誘導を減らす判断材料になる。
怪しい副業広告を見分けるチェックリストができる。
お金に困っている人が、安全に副業や転職、支出見直しを考えられるようになる。

そこまで具体的な社会的価値が見えれば、支援する理由が生まれます。

企業にとっては、社会貢献や信用形成になります。
投資家にとっては、新しい社会インフラへの投資になります。
富裕層にとっては、自分の資金を社会的価値のある活動に使う選択肢になります。

ただし、この資金流入は、開発者や一部の権威者だけが独占するものではありません。

シビックドライブの資金は、シビックファンドのような形でプールされ、GVSでの活動実績、合論、AIによる総合判断をもとに分配される設計です。

開発者である私の取り分でさえ、GVSによる合論やAIの総合判断の対象になります。
一部の人間が「自分が作ったから全部自分のもの」と独占する仕組みではありません。

むしろ、シビックドライブは、参加者全体に富を分配するための仕組みです。

もちろん、これが実際に成立するかどうかは、ムーブメントを起こせるかにかかっています。

GVSでは、発言を提案と要請に絞ります。
これは自由を奪うためではなく、人間の活力を分散させないためです。

単なる愚痴、批判、人格攻撃、正しさの押しつけに流れると、人は疲れます。
しかし、自分にできること、協力してほしいことへ変換されると、行動につながります。

この仕組みは、アドラー心理学的な勇気づけにも近いと考えています。

人を責めるのではなく、要請にする。
正しさを争うのではなく、提案にする。
孤独な不満を、協力可能な活動へ変換する。

これが積み重なれば、人間の熱、活気、勇気を生み出せる可能性があります。

そして、その熱がSNSや現実活動に広がり、社会的な影響を持つようになれば、資金流入も起こり得ます。

富裕層や企業が、シビックファンド全体に資金を入れる場合もあるでしょう。
あるいは、特定の合論テーマや特定の活動にだけ、寄付や投資を行う場合もあります。

たとえば、

「副業詐欺を減らす実践ログ活動に支援したい」
「低単価案件の可視化に資金を出したい」
「子育て支援の合論テーマに寄付したい」
「地域防災のナビゲーター活動に投資したい」

という形です。

つまり、シビックドライブにお金が集まるかどうかは、思想が評価されるかどうかではありません。

具体的な社会的需要を満たせるか。
人々の要請を可視化できるか。
実践ログを集められるか。
協力の流れを作れるか。
そこに資金を出すだけの価値を示せるか。

ここにかかっています。

第十九話では、その入口として、主人公にあえて3円〜18円という低すぎる報酬を見せました。

最初は金にならない。
だから主人公は怒る。

でも、そこから問いが始まります。

どうすれば報酬は増えるのか。
誰が資金を出すのか。
なぜ企業や富裕層が支援するのか。
主人公のような普通の参加者は何をすればいいのか。

第十九話は、その問いを始める回です。

主人公は、富裕層と交渉する能力なんてありません。
企業から資金を引っ張る力もありません。

でも、実践ログを集めることはできます。
失敗談を集めることはできます。
SNSで発信することはできます。

そして、それが交渉担当のナビゲーターの材料になります。

シビックドライブでは、全員が同じ役割を担う必要はありません。

失敗談を出す人。
ログを集める人。
SNSで広げる人。
安全性を確認する人。
資金提供を要請する人。
企業や富裕層と交渉する人。
分配を監査する人。

それぞれが、自分にできることを出し、協力してほしいことを要請する。

この分業がうまく回れば、シビックドライブは善意だけの活動ではなく、生活できる活動になる可能性があります。

第十九話は、その可能性と、まだ全然金にならない現実の両方を描いた回です。

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