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第二十七話 具体化していく副業計画

目次

第二合論が始まった

 第二合論の通知は、思ったより早く来た。

【第二合論予定】
【本日 21:00】
【形式:コミュニティモード】
【参加者:第一合論代表者5名】

 俺は、仮宿泊室のベッドの上でその表示を見ていた。

「今日かよ」

 もう一度言っても、通知は消えなかった。

 第一合論で代表者になった。
 その時点で、GVS部の月間報酬見込みは少し上がった。

【GVS部月間報酬見込み:12,800円】

 ありがたい。

 ありがたいのだが、休む時間は増えていない。

 代表になると金は増える。
 だが、やることも増える。

 どうやら、それがGVSらしい。

 俺は、端末を開いた。

【第二合論ルーム:生活再建・収益化確認】
【参加者:第一合論代表者5名】
【目的:各第一合論ルームの代表テーマを接続し、初期参加者が生活を継続しながら収入を増やす方法を検討します】

 画面に、五つのテーマが表示された。

【第二合論テーマ】

  1. 初期参加者向け生活継続確認表を作る
  2. 月六万円から月十万円へ進む副業ルートを作る
  3. シェア村から小さな事業を起こす
  4. 親子参加者向けの生活・見守り・収入ルートを作る
  5. 事業部・支援者から追加予算を引き出すための資料を作る

 俺は、その一覧を見て、少しだけ目を止めた。

 生活継続確認表。

 副業ルート。

 小さな事業。

 親子参加者。

 追加予算。

 俺は、手元三万円で生活できるか知りたかっただけだ。

 それが、第二合論ではもう、副業だの事業だの予算要請だのに広がっている。

「金稼ぎの学校っぽくなってきたな」

 俺は、そう呟いた。

 悪くない。

 少なくとも、前回よりは金に近い話に見えた。

俺のテーマは、ただの家計簿では終わらなかった

 最初のテーマは、俺の持ち込んだものだった。

【テーマ1】
初期参加者向け生活継続確認表を作る

【提案者:RoomA-1】

【概要】
手元資金が少ない状態でシェア村生活を始める人が、本当に生活を継続できるか確認できる表を作る。
初期費用、手元資金、月支出、支援金、GVS部報酬、SNSナビゲーター報酬、子連れ、借金・滞納、体調不良時の代替活動などを含める。

 俺は、第一合論の代表者カードを見ながら入力した。

【RoomA-1の提案】
自分は、初期参加者向けの生活継続確認表を作りたいです。
手元資金、初期費用、月支出、基礎生活支援金、GVS部報酬、SNSナビゲーター報酬、借金・滞納、体調不良時の代替活動を一覧化したいです。

【RoomA-1の要請】
もしよければ、各ルームで出た支出項目、支援金条件、追加報酬、例外条件を共有していただけませんか?
単なる家計簿ではなく、実際に生活を続けられるか確認できる表にしたいです。

 送信。

 すると、すぐにRoomB-1から反応が来た。

【RoomB-1の提案】
生活継続確認表は、支出確認だけで終わらせない方がいいと思います。
どの活動を増やせば収入が上がるのか、どの時点で追加支援や相談が必要なのかまで入れるべきです。

【RoomB-1の要請】
もしよければ、表に「収入を増やす行動」「相談が必要な赤信号」「事業化できるログ」の欄を追加していただけませんか?

 俺は、少し画面を見つめた。

 事業化できるログ。

 また、嫌な言葉が出てきた。

 俺の手元三万円や月六万円の不安が、ログになる。
 表になる。
 誰かの参考になる。
 場合によっては、金になる。

 悪い話ではない。

 だが、落ち着かない。

 続いて、RoomC-1が入力した。

【RoomC-1の提案】
生活継続確認表は、本人用と事業部・支援者向けで分けた方がいいと思います。
本人用は生活の継続確認、支援者向けは支援や予算判断に使える形にします。

【RoomC-1の要請】
もしよければ、公開用と非公開用の項目を分けていただけませんか?
手元資金や借金額などは、本人の許可なしに外部へ出さない前提が必要だと思います。

 これは助かった。

 全部が外に出るわけではない。
 公開用と非公開用を分ける。

 それなら、まだ納得できる。

 RoomD-1は親子参加者系の代表だった。

【RoomD-1の提案】
親子参加者の場合、単身者向けの確認表では不足します。
子供の食費、医療費、学用品、見守り時間、親が副業できる時間も入れる必要があります。

【RoomD-1の要請】
もしよければ、生活継続確認表に「単身者」「親子参加者」「体調不良時」の切り替え欄を作っていただけませんか?

 RoomE-1は事業部寄りだった。

【RoomE-1の提案】
この確認表は、かなり良い事業素材になると思います。
手元資金が少ない人が、シェア村でどこに詰まり、どの活動で収入を増やせるかを見せられれば、支援者にも外部参加者にも価値があります。

【RoomE-1の要請】
もしよければ、生活継続確認表を、匿名化した実践ログとしてSNSや動画で発信できる形にしていただけませんか?
広告収益、寄付、企業協賛、食材支援につなげられる可能性があります。

 俺は、思わず声を出した。

「事業素材って言うなよ」

 だが、悪意は感じなかった。

 むしろ、RoomE-1の文章はかなり現実的だった。

 手元三万円。
 月六万円。
 生活継続確認表。
 GVS部報酬。
 SNSナビゲーター報酬。
 副業ルート。

 それらを発信すれば、同じように生活を立て直したい人の役に立つかもしれない。
 支援者にも説明しやすい。
 企業協賛にもつながるかもしれない。

 俺の貧乏を見世物にするな。

 そう思う。

 でも、見せなければ金は集まらない。

 そのくらいは、俺にも分かる。

月六万円から月十万円へ

 次のテーマは、副業ルートだった。

【テーマ2】
月六万円から月十万円へ進む副業ルートを作る

【提案者:RoomB-1】

【概要】
月六万円の初期見込みだけでは不安な参加者向けに、初期費用が少ない副業を練習し、月十万円へ近づく道筋を作る。
Webライター、動画編集、AI活用、SNS運用、データ入力、せどりなどを検討する。

 俺は、少しだけ前のめりになった。

 そうだよ。

 俺が知りたかったのは、これだ。

 生活できるか確認する。
 それも大事だ。

 だが、本当に知りたいのは、どうやって金を増やすかだ。

 RoomB-1の代表者は、かなり現実的だった。

【RoomB-1の提案】
月十万円をいきなり目指すより、まず月一万円の再現性を作る方がよいと思います。
一度でも月一万円を作れれば、作業時間、単価、失敗理由、改善点をログにできます。

【RoomB-1の要請】
もしよければ、各参加者が「今すぐ試せる副業」「練習が必要な副業」「初期費用がかかるため保留する副業」を選べる表を作っていただけませんか?

 俺は、すぐに返した。

【RoomA-1の提案】
自分は、GVS部とSNSナビゲーター部を中心に月一万円から増やすルートなら試せます。
Webライターや動画編集も気になりますが、すぐに稼げるかは分かりません。

【RoomA-1の要請】
もしよければ、GVS部とSNSナビゲーター部を中心にした月一万円、月三万円、月五万円の段階表を作っていただけませんか?

 RoomE-1がすぐに反応した。

【RoomE-1の提案】
RoomA-1さんのケースは、かなり分かりやすいモデルになります。
GVS経験はあるが、手元資金は少ない。SNSナビゲーター活動も始めている。
この条件なら、GVS+SNSナビゲーター中心型のルートを作りやすいです。

【RoomE-1の要請】
もしよければ、RoomA-1さんには、週に使える作業時間、やりたくない活動、顔出し・声出し・匿名発信の可否を入力していただけませんか?

 俺は、そこで少し止まった。

 顔出し。

 声出し。

 匿名発信。

 そこまで行くのか。

 だが、稼ぐなら関係あるのだろう。

 俺は入力した。

【RoomA-1の提案】
自分は、現時点では顔出しはしたくありません。
声出しも抵抗があります。
ただし、匿名の実践ログ、文章投稿、画面収録、GVS上の要約発信なら参加できます。

【RoomA-1の要請】
もしよければ、顔出しなし・声出しなしでもできるSNSナビゲーター活動を優先して整理していただけませんか?

 送信。

 RoomE-1から、すぐ返ってきた。

【RoomE-1の提案】
顔出しなしでも可能です。
匿名月収支ログ、GVS画面の一部ぼかし、音声読み上げ、AIナレーション、生活継続確認表の変化記録などで動画化できます。

【RoomE-1の要請】
もしよければ、公開可能な範囲を先に決め、公開不可の情報は非公開ログとして残す形にしていただけませんか?

 俺は、少しだけ感心した。

 事業部、思ったよりちゃんとしている。

 俺の貧乏を面白がっているだけではない。
 ちゃんと、顔出しなしでどう発信するかまで考えている。

 もちろん油断はできない。

 だが、この時点での俺は、RoomE-1に悪い印象はなかった。

シェア村から小さな事業を起こす

 第三テーマは、事業そのものだった。

【テーマ3】
シェア村から小さな事業を起こす

【提案者:RoomE-1】

【概要】
個人の副業だけでなく、シェア村内の部活や生活ログを使って小さな事業を起こす。
共同食、生活改善、情報商材監査、GVS初心者支援、SNS発信、動画制作などを事業化できるか検討する。

 RoomE-1は、明らかに事業部側の人間だった。

 文章が速い。
 要請が具体的。
 金の話になると、急に温度が上がる。

 俺は少し身構えた。

【RoomE-1の提案】
シェア村の強みは、生活再建の実践ログがその場で生まれることです。
共同食、支出見直し、GVS初心者支援、副業練習、生活トラブル対応は、すべて事業化できる素材になります。

【RoomE-1の要請】
もしよければ、各部活で出ている実践ログを、事業化可能性ごとに分類していただけませんか?
無料公開、寄付導線、広告収益、企業協賛、講座化、資料販売などに分けたいです。

 資料販売。

 講座化。

 寄付導線。

 俺は、少し顔をしかめた。

 情報商材みたいにならないのか。

 そう思ったが、RoomE-1は先回りしていた。

【RoomE-1の補足提案】
情報商材化を避けるため、有料化する場合は、無料公開部分、成果ログ、失敗ログ、返金条件、監査ログを明示する必要があります。

【RoomE-1の補足要請】
もしよければ、情報商材化を防ぐための公開ルールも同時に作っていただけませんか?

 俺は、そこで少しだけ好感を持った。

 金の匂いはする。

 でも、ただ売りつけたいだけではないらしい。

 RoomB-1も反応する。

【RoomB-1の提案】
副業ルートと事業化ルートは分けた方がいいと思います。
個人が月一万円を作る副業と、シェア村全体で収益を作る事業は、必要な時間やリスクが違います。

【RoomB-1の要請】
もしよければ、生活継続確認表に「個人副業」と「共同事業」の欄を分けていただけませんか?

 これは分かりやすい。

 俺は入力した。

【RoomA-1の提案】
自分は、まず個人副業で月一万円から三万円を目指したいです。
ただ、シェア村全体の共同事業で報酬や支援金が増えるなら、そのルートも確認したいです。

【RoomA-1の要請】
もしよければ、個人副業で増える収入と、共同事業によって増える支援金・部活報酬を分けて表示していただけませんか?

 送信。

 どんどん、表が太っていく。

 初期費用。
 月支出。
 支援金。
 GVS報酬。
 SNSナビゲーター報酬。
 副業。
 事業。
 外部発信。
 監査ログ。

 俺は、生活できるか確認したかっただけだ。

 だが、生活を続けるには、稼ぐ道まで見なければならないらしい。

親子参加者向けの生活ルート

 第四テーマは、親子参加者向けだった。

【テーマ4】
親子参加者向けの生活・見守り・収入ルートを作る

【提案者:RoomD-1】

【概要】
子供と一緒にシェア村で生活する場合、単身者向けの生活継続確認表だけでは不足する。
親子生活支援金、子供の食費、医療費、学用品、見守りシフト、親が参加できる副業・部活・在宅作業をまとめる。

 RoomD-1の文章は、丁寧だった。

 だが、重い。

【RoomD-1の提案】
親子参加者は、部活参加時間が制限されます。
本人が元気でも、子供の発熱や見守り不足で活動できない場合があります。
そのため、単身者と同じ支援金条件では不利になる可能性があります。

【RoomD-1の要請】
もしよければ、親子参加者向けに、見守りシフト、在宅作業、子育てログ、親子共同食、学習補助を活動評価に含めていただけませんか?

 俺は、自分の第一合論を思い出した。

 親子エリアの話は、まだ十分に話せていない。

 RoomA-2がそう言っていた。

 ここで、その話が戻ってきた。

 事業部のRoomE-1も反応した。

【RoomE-1の提案】
親子参加者の生活ログは、支援者に届きやすいテーマです。
ただし、子供の情報は慎重に扱う必要があります。
匿名化、撮影禁止範囲、親の同意、子供本人の拒否権を決めるべきです。

【RoomE-1の要請】
もしよければ、親子エリアの実践ログを発信する場合の公開ルールを作っていただけませんか?

 また、俺は少し感心した。

 事業部は、子育てテーマも金にしようとしている。
 そこだけ聞くと嫌な感じだ。

 でも、同時に公開ルールや拒否権も出している。

 この時点では、少なくとも排除しようとしているようには見えなかった。

 むしろ、親子参加者も収入や支援につなげる道を考えている。

 RoomD-1が返す。

【RoomD-1の提案】
親子参加者の発信は、親の収入につながる可能性があります。
ただし、子供の顔、名前、学校、生活リズムは非公開を基本にしたいです。

【RoomD-1の要請】
もしよければ、親子参加者向けの発信テンプレートを、匿名前提で作っていただけませんか?

 俺は、入力した。

【RoomA-1の提案】
自分の生活継続確認表にも、親子参加者向けの切り替え欄を入れるのがよいと思います。
単身者と親子参加者では、支出も活動時間も違うためです。

【RoomA-1の要請】
もしよければ、親子参加者向けに、支出だけでなく「活動できる時間」「見守りが必要な時間」「在宅でできる活動」を入力できる欄を追加していただけませんか?

 送信。

 親子テーマは重い。

 でも、避けることはできない。

 同じシェア村にいる以上、誰かの子供の話は、俺の月六万円問題ともつながっている。

 見守りに人手が必要なら、人件費や部活評価に関わる。
 親が副業できなければ、支援金が必要になる。
 支援金が増えれば、予算が必要になる。
 予算が必要なら、事業や外部発信につながる。

 全部、つながっている。

 面倒くさいくらいに。

もっと予算を寄こせ、を要請書にする

 第五テーマは、かなり露骨だった。

【テーマ5】
事業部・支援者から追加予算を引き出すための資料を作る

【提案者:RoomC-1】

【概要】
現在の支援金や部活報酬だけでは、生活再建や事業化が遅くなる可能性がある。
事業部、支援者、企業、外部ナビゲーターに向けて、どの活動にいくら予算があれば成功確率が上がるのかを示す予算要請書を作る。

 俺は、少し笑った。

 要するに、もっと予算を寄こせ、だ。

 ただし、GVSではそうは書かれない。

 ちゃんと要請書になる。

【RoomC-1の提案】
追加予算を求める場合、「お金が足りません」だけでは通りにくいです。
何に使うのか、いくら必要なのか、使うと何が改善するのか、失敗した場合に何をログとして残すのかを示す必要があります。

【RoomC-1の要請】
もしよければ、生活継続確認表と連動した予算要請書を作っていただけませんか?
食材費、教材費、撮影機材、動画編集費、サポーター報酬、広告費、外部講師費を分けたいです。

 撮影機材。

 動画編集費。

 広告費。

 どんどん話が大きくなる。

 RoomE-1が反応した。

【RoomE-1の提案】
事業部に追加予算を要請する場合、成功確率の上がる活動に絞るべきです。
たとえば、生活継続確認表の動画化、GVS初心者向け講座、共同食レシピ発信、情報商材監査メディアなどは、外部支援につながる可能性があります。

【RoomE-1の要請】
もしよければ、各活動について「必要予算」「期待される収益」「失敗時に残るログ」「担当部活」を一覧化していただけませんか?

 なるほど。

 ただ金をくれ、ではない。

 予算を出したら何が起きるか。
 失敗しても何が残るか。

 そこまで書く。

 これは、かなり現実的だった。

 俺は入力した。

【RoomA-1の提案】
自分の生活継続確認表を使う場合、まずは低予算で試したいです。
匿名ログ、文章投稿、AI音声、簡単な動画化なら、顔出しなしで始められると思います。

【RoomA-1の要請】
もしよければ、初期予算がほとんどない場合、月一万円以下で試せる発信プランを作っていただけませんか?

 RoomE-1がすぐに返した。

【RoomE-1の提案】
月一万円以下でも可能です。
テンプレート作成、AI読み上げ、簡易動画編集、X投稿、noteまとめ、GVSログ要約を組み合わせれば、最初の検証はできます。

【RoomE-1の要請】
もしよければ、RoomA-1さんのケースを、低予算の検証モデルとして扱わせていただけませんか?
公開範囲は本人確認のうえで決めます。

 俺は、画面を見ながら黙った。

 俺のケース。

 低予算の検証モデル。

 やっぱり、俺の貧乏が素材になっている。

 だが、公開範囲は本人確認のうえで決める、と書いてある。

 その一文があるだけで、かなり印象が違った。

 俺は入力した。

【RoomA-1の提案】
匿名で、公開範囲を確認できるなら検討できます。
ただし、手元資金や生活不安を過度に煽る形にはしたくありません。

【RoomA-1の要請】
もしよければ、生活ログを発信する場合の本人同意、匿名化、収益分配、公開停止のルールも一緒に作っていただけませんか?

 送信。

 RoomE-1が返す。

【RoomE-1の提案】
必要だと思います。
生活ログの事業化には、同意、匿名化、収益分配、公開停止、二次利用許可が必要です。

【RoomE-1の要請】
もしよければ、生活継続確認表の次に、生活ログ発信ルールを合論テーマとして接続していただけませんか?

 俺は、少しだけ息を吐いた。

 事業部、思ったより話が分かる。

 この時点では、俺はそう思っていた。

生活継続確認表は、収益化確認表になった

 第二合論の終盤、ログが集約された。

【第二合論ログ集約】

提案数:52件
要請数:48件
追加項目:24件
第二合論代表テーマ候補:3件

【代表テーマ候補】

  1. 初期参加者向け生活継続・収益化確認表を作る
  2. 生活ログをSNS・動画化する際の同意、匿名化、収益分配ルールを作る
  3. 事業部・支援者へ追加予算を要請するための資料を作る

 俺は、一番上を見た。

【初期参加者向け生活継続・収益化確認表を作る】

 いつの間にか、名前が変わっている。

 生活継続確認表。

 それだけではなくなった。

 収益化確認表。

 つまり、生活できるかを確認するだけでなく、どう稼ぐか、どう発信するか、どう予算を引っ張るかまで入る。

 画面に概要が表示された。


【第二合論代表テーマ】

初期参加者向け生活継続・収益化確認表を作る

【概要】
初期参加者が、手元資金・初期費用・月支出・支援金だけでなく、副業ルート、GVS部報酬、SNSナビゲーター報酬、共同事業、SNS発信、追加予算要請、生活ログ公開可否まで確認できる表を作る。
単身者、親子参加者、借金・滞納がある人、体調不良時、低予算発信モデルに対応する。


 俺は、それを読んだ。

 正直、悪くない。

 かなり太った表だ。
 かなり面倒くさい表だ。

 でも、悪くない。

 俺は、生活できるか確認したかっただけだった。
 でも第二合論では、生活を続けるには稼ぐ道まで作らないといけない、と言われた。

 たぶん、それは正しい。

 事業部の人間は、少し偉そうだった。
 言葉も、いちいち金に寄っていた。

 だが、俺の話をちゃんと金につなげようとしてくれていた。

 この時点で、俺は事業部に悪い印象を持っていなかった。

 むしろ、少し頼もしいと思っていた。

また俺なのか

【第二合論代表者を決定します】

 画面に表示された瞬間、俺は嫌な予感がした。

【代表者は、第二合論メンバーの提案と要請を最終合論へ接続します】
【代表者には、追加のGVS部活動評価が付与されます】

 端末に、報酬見込みが出る。

【GVS部月間報酬見込み】
12,800円 → 16,500円

 俺は、画面を見た。

 三千七百円増える。

 大きい。

 かなり大きい。

 手元三万円の人間にとって、三千七百円は大きい。

 だが、嫌な予感は消えない。

【代表者候補を表示します】

【第二合論代表者候補:RoomA-1】

「また俺かよ」

 俺は、声に出した。

 候補理由が表示される。

【候補理由】
・第一合論代表テーマの提案者
・生活継続確認表の当事者
・GVS入力経験あり
・副業・SNSナビゲーター活動との接続希望あり
・生活ログ公開範囲について要請を提出
・第二合論テーマを統合しやすい位置にいる

 統合しやすい位置。

 また便利な言葉が出た。

 RoomB-1が投稿した。

【RoomB-1】
副業ルートは、RoomA-1さんの生活継続確認表に入れるのが一番分かりやすいと思います。
代表をお願いしたいです。

 RoomD-1。

【RoomD-1】
親子参加者向けの切り替え欄も、生活継続・収益化確認表に入れてほしいです。
RoomA-1さんに接続してもらえると助かります。

 RoomE-1。

【RoomE-1】
事業化、SNS発信、追加予算要請の話も、RoomA-1さんのモデルケースを軸にすると説明しやすいです。
代表をお願いしたいです。こちらも資料作成で協力します。

 事業部が協力する。

 それはありがたい。

 ありがたいが、俺の負担は減っているのか増えているのか分からない。

 俺は確認した。

【RoomA-1】
アプリ上の代表ですよね。
リアルGVSで前に出て話す代表ではないですよね。

 段ボールカウンセラーから返信が来る。

【段ボールカウンセラー】
現在の役割は、コミュニティモード上の第二合論代表者です。
ただし、最終合論前にリアルGVS確認が予定されています。
リアルGVSでの発言・確認担当は、次回以降に決定します。

 俺は、その一文で固まった。

【最終合論前にリアルGVS確認が予定されています】

 とうとう来た。

 アプリ上の代表なら、まだいい。
 GVSなら慣れている。
 チャットならできる。
 要請文も書ける。

 でも、リアルGVSは違う。

 実際に人が集まる。
 顔を合わせる。
 その場で話す。
 逃げにくい。

 俺は、しばらく画面を見ていた。

 報酬見込み。

【12,800円 → 16,500円】

 リアルGVS予定。

 どちらも、同じ画面に表示されている。

 金は増える。

 逃げ道は減る。

 俺は、深く息を吐いて、承認を押した。

【第二合論代表者が決定しました】
【代表者:RoomA-1】

 同時に、報酬見込みが更新された。

【GVS部月間報酬見込み:16,500円】

 金は増えた。

 かなり増えた。

 でも、次に来る通知を見て、俺は素直には喜べなかった。

【次回予定】
【最終合論前リアルGVS確認】
【詳細は追って通知します】

「いや、リアルはさすがに無理だろ」

 俺は、仮宿泊室のベッドの上で呟いた。

 生活できるか確認したかっただけだった。

 それが、副業になり、事業になり、SNS発信になり、予算要請になり、ついにリアルGVSにまで近づいている。

 金稼ぎの学校。

 思ったより、本気だった。

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