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杭州松下家電(総合保税区)有限公司のホワイト度は?労働環境と事業内容を審査

杭州松下家電(総合保税区)有限公司は、中国・杭州市で食器洗い乾燥機の完成品や部品、洗濯機部品などを製造するパナソニックグループの会社です。

日本で販売されているパーソナル食洗機「SOLOTA(NP-TML1)」は、販売店の仕様表示で原産国が中国とされています。公開情報では、日本向け食洗機の完成品を製造している会社として、杭州松下家電(総合保税区)有限公司が最有力候補となります。

ただし、同社がSOLOTAを製造していると型番単位で確認できる公式資料は見つかりませんでした。そこで本記事では、推測を事実として扱わず、同社の労働環境と事業内容を審査するとともに、SOLOTAとの関係をどこまで確認できたのかも明らかにします。

審査項目ランク主な判断
労働環境C(やや悪い・暫定)企業単体ではB相当だが、中国の労働制度によるリスクと労働情報の不足を反映
事業による人間への貢献A(良い)食器洗いを自動化する製品を日本や中国へ供給し、修理用部品も製造している
シビックカンパニーランクC(やや悪い)労働環境を最重視し、事業貢献がAでも総合ランクは労働環境のCを上限とした
調査日2026年7月29日中国の企業情報、求人、行政資料、報道、パナソニックとILOの資料をもとに判定

SOLOTAとの関係について

杭州松下家電(総合保税区)有限公司は、日本向け食洗機の完成品と中核部品を製造しています。2022年に稼働した新工場でも、食洗機の完成品を主力製品の一つとしています。

また、台湾向け食洗機「NP-K1YWHR2TW」の公式取扱説明書には、同社が製造者として明記されています。一方、日本のSOLOTA公式ページや取扱説明書では、中国の工場名までは公表されていません。

以上から、同社はSOLOTAの製造会社として有力ですが、現時点では「SOLOTAを製造している可能性が高い」までの判定とします。

目次

杭州松下家電(総合保税区)有限公司の基本情報

杭州松下家電(総合保税区)有限公司は、もともと輸出加工を中心としていた会社です。現在は、製造だけでなく、部品の調達、輸出入、保税倉庫、越境EC、修理用部品の供給まで行っています。

項目内容
中国語社名杭州松下家电(综合保税区)有限公司
略称PAPHZ-EP、松下EP社
設立2001年12月10日
法定代表者秦武俊
董事長林一斌
株主松下電器(中国)有限公司が100%保有
登録資本17億1,900万円(日本円建ての登録資本)
企業形態外国法人の完全子会社
所在地浙江省杭州市銭塘区白楊街道18号大街398号-1
分公司所在地浙江省杭州市銭塘区白楊街道18号大街398号-2
従業員規模求人サイトでは100~499人。現在の正確な人数は非公表
主な事業食洗機の完成品・部品、洗濯機部品などの開発、設計、製造、販売、修理用部品供給、輸出入、保税倉庫、越境EC
統一社会信用コード913301007338152073

2018年の会社紹介では従業員約400人、2022年の行政処分資料では116人とされています。調査時点や集計範囲が異なる可能性があるため、116人を現在の従業員数として扱うことはできません。

主な業務内容

同社の仕事は、工場での組立だけではありません。食洗機の完成品を作る工程に加え、品質管理、部品の調達、製品開発、輸出入、倉庫管理、安全管理などがあります。

仕事の分野主な業務職場のイメージ
製造・組立購入した部品を組み立て、食洗機や各種部品を完成させる生産ラインでの立ち仕事や反復作業が中心となる可能性がある
成形・生産技術樹脂・金属部品の成形条件、設備、工程を改善する工場と技術部門の両方で働く
品質管理・検査部品や完成品の検査、不具合分析、品質データの管理検査工程のデジタル化が進められている
製品・ソフトウェア開発組み込みソフトウェア、材料、製品仕様などを開発する技術系のオフィス業務と試作・検証
調達・仕入先管理国内外から部品や金型を調達し、仕入先の品質を確認する社内外との交渉や工場訪問が多い
物流・貿易保税倉庫、輸出入、通関、海外拠点への出荷を管理する倉庫、事務所、港湾・物流会社との調整
日本語業務日本側の事業部との連絡、翻訳、資料作成、業務調整日本語を使うデスクワーク
EHS・安全管理労働安全、危険物、職業衛生、環境対応を管理する工場内の巡回、教育、法令対応
修理用部品の供給日本向けの洗濯機・食洗機用サービス部品を製造・出荷する製造、在庫、品質、輸出業務が関わる

2026年7月時点の求人では、日本語翻訳、材料成形エンジニア、安全担当、商品担当などが募集されています。工場作業だけでなく、開発・管理・貿易機能を持つ製造会社であることが分かります。

主な拠点

同社の事業は、杭州総合保税区内の旧拠点と、2022年に稼働した新工場を中心に行われています。

拠点所在地主な役割
本社・既存拠点杭州市銭塘区白楊街道18号大街398号-1組立、部品製造、貿易、保税倉庫など
分公司・新工場同398号-2洗濯機部品、食洗機完成品、食洗機部品、炊飯器などの製造

新工場は総投資額3億元、敷地約30ムーで、2022年8月に稼働しました。製品検査などの工程をデジタルで一元管理するスマート工場とされています。

ただし、デジタル化によって品質を高められる一方、どの工程で人員が減ったのか、新たにどの仕事が生まれたのかは公表されていません。

主な関連企業・提携先

食洗機が消費者へ届くまでには、製造会社だけでなく、商品を企画する会社、販売会社、部品会社、輸送会社が関わります。

企業・組織関係主な役割
松下電器(中国)有限公司株主同社株式を100%保有し、中国におけるグループ事業を統括
パナソニック株式会社日本側の事業会社日本向け食洗機の商品企画、ブランド、品質・製品責任を担う
パナソニック マーケティング ジャパン株式会社日本の販売・サービス会社国内販売、修理、問い合わせ対応など
台湾松下販売股份有限公司台湾の輸入・販売会社同社製食洗機の台湾への輸入・販売
浙江越球電機有限公司部品供給・共同開発パナソニック向けに洗濯機・食洗機などのモーターを供給
中国国内の部品・金型会社仕入先樹脂部品、金属部品、モーター、ヒーター、金型などを供給
港湾・通関・物流会社輸送日本や海外拠点への完成品・部品の輸送を担当

浙江越球電機は、杭州松下家電が開催した2025年の仕入先大会で「SCM革新賞」を受賞しています。同社は洗濯機や食洗機向けモーターをパナソニックへ供給していますが、SOLOTAに同社製モーターが搭載されているかまでは確認できません。

労働環境の評価

杭州松下家電の労働環境は、公開されている福利厚生だけを見れば充実しています。五険一金、年末賞与、食事、送迎バス、健康診断、補充医療保険などが確認できました。

一方、製造職の給与、交替勤務の有無、残業時間、有給休暇の取得実績、離職率は公表されていません。2022年には危険物倉庫の安全対策に不備があり、行政処分も受けています。

労働環境は、企業が用意した制度だけで決まりません。労働者が置かれている国・地域の法律、労働組合、団体交渉、司法へのアクセス、情報発信の自由も、実際に権利を守れるかに影響します。

そこで本記事では、企業単体で確認できた労働環境と、生産地である中国の制度的リスクを分けて審査しました。国籍を理由に減点するのではなく、実際に製造が行われる地域の労働制度を評価へ反映しています。

審査項目ランク判断
賃金B(普通・暫定)技術・管理職は杭州市の一般的な水準。ただし、製造職の給与を確認できない
福利厚生A(良い)五険一金、賞与、食事、送迎、健康診断、補充医療保険などがある
労働時間・休日判定保留有給休暇制度は確認できるが、年間休日、残業、交替勤務の実態は不明
雇用の安定性判定保留事業投資と採用は続く一方、人員推移と自動化後の雇用は確認できない
安全性・健康C(やや悪い)安全標準化と職業衛生検査を実施しているが、危険物倉庫の不備で処分歴がある
口コミ・SNSの評判判定保留中国語でも調査したが、対象会社と確認できる十分な社員口コミを収集できない
労働情報の公開度C(やや悪い)賃金、残業、労災、人員構成など、重要な労働情報が会社単位で公開されていない
生産地の制度的保障D(悪い)結社・団体交渉、長時間労働、労働者による情報発信の面に制度的リスクがある
企業単体の労働環境B(普通・暫定)福利厚生と一部求人は評価できるが、複数項目が判定保留
制度的リスク反映後C(やや悪い・暫定)中国の制度的リスクを一段階の補正として反映

賃金

賃金ランクはB(普通・暫定)です。

同社は非上場企業であり、全社員の平均給与、役職別給与、製造職の給与分布を公表していません。確認できた求人の給与例は次の通りです。

求人・職種公開されていた月給補足
日本語翻訳6,000~8,000元杭州勤務、経験1~3年、学部卒
組み込みソフトウェア開発8,000~13,000元職友集が直近求人から集計
安全管理担当7,000~9,000元15か月分支給とする求人情報あり

杭州市の2024年における私営企業の平均給与は年9万2,054元、単純に12か月で割ると月約7,671元です。現在の杭州市区の最低賃金は月2,660元です。

日本語翻訳は地域平均前後、技術職は地域平均を上回る可能性があります。ただし、比較に使った平均給与には賞与や各種手当も含まれるため、求人の月給と完全には一致しません。

最も人数が多いと考えられる製造・組立職の基本給、出来高給、残業代が確認できないことから、AではなくBとしました。

福利厚生

福利厚生ランクはA(良い)です。

求人・企業情報サイトでは、次の制度が福利厚生として掲載されています。

分野確認できた制度
社会保障五険一金
医療・健康定期健康診断、補充医療保険
給与外の支給年末賞与、交通手当
通勤無料送迎バス
食事食事提供
休暇・余暇有給休暇、社員旅行
教育パナソニックグループの研修・人材育成制度

法定の社会保険だけでなく、補充医療保険、食事、送迎、健康診断まである点は、一般的な製造業の福利厚生として評価できます。

ただし、職友集に掲載された制度は、すべての従業員へ同じ条件で適用されると公式に保証されたものではありません。正社員、契約社員、派遣・外包社員で対象が異なる可能性があります。

転職時には、五険一金の算定基礎、賞与月数、食事代、送迎ルート、補充医療保険の対象、派遣会社との契約かどうかを確認する必要があります。

労働時間・休日

労働時間・休日は判定保留です。

公開情報では有給休暇制度を確認できましたが、所定労働時間、年間休日、平均残業時間、有給休暇の取得日数は確認できませんでした。

製造、検査、倉庫は生産計画や出荷量に合わせて働くため、オフィス職と同じ勤務時間とは限りません。交替勤務や休日出勤がある可能性はありますが、現在の求人からは断定できません。

情報が少ないことだけを理由に「長時間労働」と判定することはできません。しかし、普通に働けるとも確認できないため、Bを付けるのではなく判定保留としました。

応募する場合は、次の点を求人ごとに確認した方がよいでしょう。

  • 1日の所定労働時間と休憩時間
  • 製造職の交替勤務と夜勤の有無
  • 月平均残業時間と繁忙期の上限
  • 年間休日と土曜出勤の回数
  • 有給休暇の付与日数と実際の取得日数
  • 残業代、深夜手当、休日手当の計算方法

雇用の安定性

雇用の安定性は判定保留です。

同社は2001年から事業を続け、2022年には総投資額3億元の新工場を稼働させました。2026年7月時点でも技術職、商品担当、安全担当、日本語翻訳を採用しており、会社や事業が縮小しているとはいえません。

その一方、従業員数は2018年の会社紹介で約400人、2022年の行政処分資料で116人とされています。集計対象や雇用形態が同じか分からないため、この数字だけで284人を削減したとは判断できません。

問題は、会社が現在の従業員数、正社員と派遣・外包社員の割合、採用数、退職者数を公表していないことです。

新工場では品質検査などのデジタル化が進められています。自動化によって危険な作業や単純作業を減らせるなら、人間への貢献になります。しかし、自動化で生まれた利益を働く人へ還元せず、人員削減だけに使うなら、雇用の安定性は下がります。

現時点では積極投資と採用を確認できる一方、自動化後の雇用方針は分かりません。情報不足だけで雇用が不安定とは断定できないため、Cではなく判定保留としました。

安全性・健康

安全性・健康ランクはC(やや悪い)です。

2022年、杭州市応急管理局は、危険物倉庫で十分な安全対策を取っていなかったとして、同社へ3万元の罰金を科しました。

工場では、引火・爆発の危険がある接着剤を保管していました。倉庫には雷、静電気、換気への対策があったものの、可燃性ガス警報器がなく、監視設備も防爆仕様ではありませんでした。

労働者が日常的に働く工場で、危険物の保管設備に不足があったことは軽視できません。実際の死傷事故は確認できませんでしたが、事故が起こる前に防ぐことが安全管理の役割です。

その後の安全対策として、次の点を確認できました。

安全・健康対策確認できた内容
安全生産標準化2022年度に二級達成企業として掲載
職業衛生2026年に作業場所の職業病危害要因を定期測定
専門人材安全担当・EHS担当を継続して募集
工場管理新工場で品質検査などをデジタル管理

行政処分後も安全管理と職業衛生の取り組みは続いています。ただし、問題となった倉庫へ警報器や防爆監視設備を設置したことを示す公開資料や、工場別の労災件数は確認できません。

安全対策を実施している点は評価できますが、処分歴と改善結果の非公開を踏まえてCとしました。

口コミ・SNSの評判

口コミ・SNSの評判は判定保留です。

現社名の「杭州松下家电(综合保税区)有限公司」だけでなく、旧社名の「杭州松下住宅电器设备(出口加工区)有限公司」、略称の「PAPHZ-EP」「松下EP社」でも中国語検索を行いました。

職友集、BOSS直聘、看準網、脈脈、知乎、小紅書、百度知道、百度貼吧などを調べましたが、対象会社の社員が書いたと確認できる十分な口コミは収集できませんでした。職友集にはフィードバックが2件と表示されているものの、職場全体を評価できる件数ではありません。

「杭州松下」「下沙松下」まで検索対象を広げると、給与や交替勤務に関する投稿も出てきます。しかし、杭州には複数のパナソニック系企業があり、別会社の情報が混ざります。対象会社の口コミとして掲載することはできません。

中国の職場SNSには、会員登録後やアプリ内でしか確認できない投稿もあります。脈脈は表向き匿名で投稿できますが、実名・職業認証を基盤とするサービスです。中国の投稿サービスにも、運営側で利用者の身元を確認し、投稿を審査・巡回する義務があります。

このため、公開ウェブで口コミが見つからないことは、口コミ自体が存在しないことを意味しません。また、口コミが少ないのは会社による情報非公開とは異なるため、それだけで企業を減点することも適切ではありません。

2023年には、人材会社と杭州松下家電を被告とする労働争議の開廷公告が1件あります。ただし、公開情報からは請求内容や判決結果まで確認できず、この1件だけで全社の労務管理に問題があるとは判断できません。

転職を検討する人は、面接時に配属先の人数、平均勤続年数、直近1年間の退職者数、派遣・外包社員の割合を質問すると、職場の安定性を判断しやすくなります。

労働情報の公開度

労働情報の公開度はC(やや悪い)です。

口コミは社員や退職者が投稿するものであり、会社が件数を管理できるものではありません。一方、会社がどこまで労働情報を公開しているかは、企業自身の姿勢として評価できます。

同社については、求人から一部職種の給与と福利厚生を確認できました。しかし、次の情報は会社単位で公表されていません。

  • 製造・組立職の基本給と残業代
  • 雇用形態別の従業員数
  • 月平均残業時間と年間休日
  • 有給休暇の取得実績
  • 労災・職業病の発生件数
  • 離職率と人員削減
  • 自動化後の雇用方針
  • 危険物倉庫の行政処分後に行った具体的な改善

会社が非上場であるため、上場企業と同じ情報開示を求めることはできません。それでも、人間を大切にしているかを外部から判断するには、働く人の安全と生活に直結する情報が必要です。

製造技術や取引条件などの企業秘密を公開する必要はありません。しかし、賃金、労働時間、労災、人員構成はホワイト度と直接関係するため、非公開を情報公開度の評価へ反映しました。

生産地の労働制度・情報環境

生産地の制度的保障はD(悪い)です。

企業が福利厚生を用意していても、労働者の権利が実際に守られるかは、その国や地域の制度にも左右されます。本記事では企業の国籍ではなく、製造が行われる場所の制度を評価します。日本企業の中国工場には中国の制度を、中国企業の日本工場には日本の制度を適用する考え方です。

中国には最低賃金、社会保険、労働時間、安全衛生に関する法律があります。一方、ILOの「結社の自由及び団結権保護条約(第87号)」と「団結権及び団体交渉権条約(第98号)」は、調査時点で批准されていません。

ILOの調査でも、中国では長時間労働が広く残っていることが示されています。法律があっても、労働者が会社と対等に交渉し、違反を外部へ知らせ、改善を求められるかには制度的な不確実性があります。

また、中国のインターネットサービスでは、運営側による実名確認、投稿審査、巡回、通報対応が求められています。虚偽情報や名誉侵害を防ぐ目的はありますが、労働者が会社名を出して職場の問題を発信する際の心理的・制度的な負担にもなり得ます。

ただし、中国で事業を行う企業を無条件に低く評価するわけではありません。企業が労働時間、賃金、労災、人員構成、相談制度、第三者監査結果などを十分に公開し、制度的リスクを補う取り組みを確認できれば、この補正は行いません。

杭州松下家電では、その水準の会社別情報を確認できませんでした。そのため企業単体ではB相当としつつ、生産地の制度的リスクを一段階反映し、労働環境をC(やや悪い・暫定)としました。

事業による人間への貢献

杭州松下家電の中心事業は、食器洗いを自動化する製品と、その部品を作ることです。食洗機は、家庭内で繰り返される無償の家事労働を機械へ移し、人が使える時間を増やします。

同社は完成品を販売するだけでなく、日本向けの修理・交換部品も供給しています。製品を長く使えるようにする役割まで含めて評価しました。

審査項目ランク判断
食器洗いの負担軽減A(良い)食洗機によって、毎日の手洗い作業と使用水量を減らす
日本・海外への製品供給A(良い)日本向け完成品・中核部品、世界のパナソニック拠点向け部品を供給
修理・長期利用への貢献A(良い)日本向けの食洗機・洗濯機用サービス部品を製造・供給
地域の雇用・産業への貢献B(普通)杭州で雇用と部品調達を生む一方、自動化後の雇用方針は不明
人間へ与えている損害や問題C(やや悪い)危険物管理の不備、製造元の透明性、自動化と雇用の関係に課題
問題発生後の対応B(普通)安全標準化、職業衛生検査、品質管理のデジタル化を実施
事業による人間への貢献の総合評価A(良い)家事労働を直接減らす事業の価値が大きい

食器洗いの負担を減らす

食器洗いの負担軽減はA(良い)です。

同社は、食洗機の完成品を中国と日本へ販売し、日本の食洗機事業部へ中核部品も供給しています。

パナソニックのSOLOTAは、一度に食器6点と小物4点を洗い、洗浄から乾燥まで自動で行います。標準的な使用水量は約2.5リットルで、パナソニックの試算では、同じ食器を手洗いした場合の約20.3リットルより少なくなります。

食器洗いは、1回ごとの負担が小さく見えても、毎日繰り返される仕事です。これを自動化することは、働く人、子育て中の人、高齢者、障害や病気で家事が難しい人の時間と体力を守ります。

SOLOTAが杭州松下家電製であることは型番単位で確認できませんが、同社が日本向け食洗機の完成品を製造していることは確認できます。この事業自体は、人間の生活に直接役立っていると評価できます。

日本・海外の家電供給を支える

日本・海外への製品供給はA(良い)です。

同社の役割は、中国国内で製品を販売することだけではありません。

  • 食洗機の完成品を日本へ供給する
  • 食洗機の中核部品を日本の事業部へ供給する
  • 洗濯機の中核部品を日本や関係会社へ供給する
  • パナソニックの世界各地の拠点へ部品を供給する
  • 日本向けの修理・交換部品を供給する
  • 中国国内で調達した部品・金型を海外へ供給する

特に、販売後の修理用部品まで製造している点は重要です。家電は、故障時に部品がなければ本体を買い替えるしかありません。修理部品を長く供給できれば、消費者の負担と廃棄を減らせます。

また、同社は中国国内からの部品調達を増やし、2018年には現地調達額が8億元を超えたと紹介されています。古い数字ではありますが、完成品工場だけでなく、周辺の部品会社にも仕事を生み出す役割があります。

人間へ与えている損害や問題

人間へ与えている損害や問題はC(やや悪い)です。

同社の事業には人間への大きな貢献がありますが、次の問題もあります。

危険物の管理に不備があった

接着剤などの危険物を保管する倉庫で、可燃性ガス警報器と防爆監視設備が不足していました。火災や爆発が起これば、最初に被害を受けるのは工場で働く人です。

製造職の働き方が見えにくい

福利厚生は公開されていますが、製造・組立職の賃金、残業、夜勤、休日、離職率は分かりません。商品の価格や性能だけでなく、それを作る人がどのように働いているかも、人間への貢献を判断するうえで重要です。

製品単位で製造会社を確認できない

台湾向け食洗機では製造会社が取扱説明書に明記されています。一方、日本のSOLOTAでは、公開されている公式情報だけから中国の工場名を確認できません。

日本の消費者が、どの会社の労働環境を商品選びへ反映すべきか判断しにくい状態です。違法表示とは限りませんが、シビックマーケットが重視する透明性の面では課題があります。

自動化が雇用へどう反映されたか不明

スマート工場による自動化やデジタル化は、危険作業と単純作業を減らせます。しかし、従業員の仕事を改善したのか、人員を減らすために使われたのかは公表されていません。

技術革新が人間への貢献となるためには、生産性の向上だけでなく、働く人の安全、待遇、仕事の移行まで確認する必要があります。

問題発生後の対応

問題発生後の対応はB(普通)です。

同社は、2022年度の安全生産標準化二級達成企業に掲載されています。2026年には作業場所の職業病危害要因を定期測定し、安全担当者の採用も続けています。

新工場では品質検査を含む製造工程をデジタルで管理しています。工場屋根には341.82kWpの太陽光発電設備があり、2025年には杭州市の市級グリーン低炭素工場候補にも選ばれました。

対応評価
安全生産標準化二級工場全体の安全管理を一定の基準で運用している
職業病危害要因の定期測定化学物質、粉じん、騒音などの職業リスクを把握する取り組み
安全担当の採用安全管理を専門業務として配置している
品質検査のデジタル化不良品と作業上の異常を早期に発見しやすくする
太陽光発電・低炭素工場製造時の環境負荷を減らす

一方、2022年に指摘された倉庫へ可燃性ガス警報器と防爆監視設備を設置したかは、公表資料から確認できません。改善内容と労災実績まで公開すれば、働く人と消費者の双方が安全性を判断しやすくなります。

杭州松下家電(総合保税区)有限公司のシビックカンパニーランク

杭州松下家電(総合保税区)有限公司のシビックカンパニーランクはC(やや悪い)です。

食洗機によって家事労働を減らし、日本向けの完成品・中核部品・修理用部品まで供給している点は、人間への貢献として高く評価できます。SOLOTAのような小型食洗機が、これまで設置場所の問題で食洗機を使えなかった人へ選択肢を増やしたことにも価値があります。

福利厚生は比較的充実し、新工場への投資、技術職の採用、安全生産標準化、職業衛生検査も確認できました。

企業単体で確認できた労働環境はB相当です。しかし、生産地である中国では、結社・団体交渉、長時間労働、労働者による情報発信の面に制度的なリスクがあります。同社がそのリスクを補えるだけの会社別情報を公開していないため、労働環境を一段階下げてC(やや悪い・暫定)としました。

主な判断理由は次の通りです。

  • 危険物倉庫の安全対策不備で行政処分を受けた
  • 製造・組立職の賃金と勤務時間が確認できない
  • 現在の従業員数、離職率、派遣・外包社員の割合が分からない
  • 自動化が雇用と待遇へどう反映されたか公表されていない
  • 中国の制度下で労働者が会社と対等に交渉し、問題を外部へ発信できるかに不確実性がある
  • 制度的リスクを補う会社別の労働情報や第三者監査結果が公開されていない
  • SOLOTAの製造会社を型番単位で確認できない

シビックマーケットでは、事業による人間への貢献よりも、当面は労働環境を重視します。そのため事業による人間への貢献がAでも、シビックカンパニーランクは労働環境のCを上限としました。人の生活を助ける商品を作っていても、その製造に関わる人が十分に守られているか確認できなければ、ホワイト企業とは認定できません。

消費者の立場では、同社が作る食洗機には人間の家事労働を減らす商品として選ぶ理由があります。ただし、関連企業の総合ランクへ反映する際は、製造会社を断定せず「最有力候補」として扱うのが適切です。

転職を考える人は、福利厚生の名称だけで判断せず、直接雇用か派遣・外包か、基本給と賞与、交替勤務、残業、配属先の安全リスクまで確認した方がよいでしょう。

今後、SOLOTAの製造工場、工場別の労災件数、雇用形態別の賃金・人員、自動化後の雇用方針、第三者による労働監査結果が公開された場合は、国・地域による補正を含めてランクを見直します。

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