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プロロジスのホワイト度は?労働環境と物流施設事業を審査

プロロジスは、倉庫や配送センターとして使われる物流施設を開発・運営する企業です。自社で商品を仕分けたり、消費者の自宅まで荷物を届けたりする運送会社ではありません。物流会社、メーカー、小売会社などが利用する建物と設備を提供する物流不動産会社です。

物流施設は、単に商品を置くための大きな建物ではありません。施設の立地、車両動線、耐震性、浸水対策、空調、照明、休憩場所、通勤手段、自動化への対応によって、商品の安定供給と、そこで働く人の身体的な負担が変わります。

一方、プロロジスの施設内で荷物を扱う人の多くは、入居企業、業務委託会社、派遣会社などに雇われています。建物が新しく快適でも、入居企業が長時間労働や無理な作業量を求めていれば、施設内の労働環境まで良いとは限りません。

本記事では、株式会社プロロジスが直接雇用する人の労働環境と、物流施設事業が人間へ与える利益と負担を分けて審査します。

審査結果

プロロジスのシビックカンパニーランクは、A(良い)です。

直接雇用する社員には、高い賃金水準、長期所得補償、退職金、企業型確定拠出年金、社宅、研修、柔軟な勤務制度などが用意されています。2026年版の「働きがい認定企業」に選ばれ、2017年版への初参加から10年連続で認定を受けていることも確認できました。

事業面では、災害に強い物流施設、危険物を安全に保管する専用倉庫、再生可能エネルギー、物流現場の重労働を減らす設備などが人間の生活を支えています。

ただし、日本法人単体の平均賃金、男女賃金差、雇用形態別の人数、公式の残業時間、労働災害件数は公開されていません。施設内で働く入居企業の従業員についても、事故、休憩、健康、賃金、自動化後の仕事に関する横断的な実績を確認できません。以上から、SではなくAと評価します。

目次

プロロジスの基本情報

日本では株式会社プロロジスが、物流施設の用地取得、開発、運営、顧客対応などを行っています。米国のPrologis, Inc.を中心とする世界的な企業グループの日本法人です。

日本プロロジスリート投資法人やプロロジス・リート・マネジメント株式会社も同じ名称を使用していますが、株式会社プロロジスとは別の法人です。施設によって、開発会社、所有者、資産運用会社、入居企業が異なります。

項目内容
会社名株式会社プロロジス
法人番号9010001140067
日本法人の代表者代表取締役会長兼CEO 山田御酒
日本での事業開始1999年に東京オフィスを開設
東京オフィス東京都千代田区丸の内2丁目7番3号 東京ビルディング
大阪オフィス大阪府大阪市北区梅田1丁目13番1号 大阪梅田ツインタワーズ・サウス
主な事業物流施設の開発・所有・運営、資産運用、物流・自動化支援、エネルギー事業
親会社Prologis, Inc.
日本の施設規模運営・開発中の物流施設91棟(2026年4月時点)
日本法人単体の従業員数公式の現行人数は確認できず
公式サイトプロロジス

日本法人の沿革によると、1999年に東京オフィスを開き、2002年に日本で最初の施設であるプロロジスパーク新木場を完成させました。2026年4月の公式発表では、運営・開発中の施設は全国91棟です。

日本の従業員数は、公式の会社概要に単体の人数が掲載されていません。2026年の全社ボランティア活動には、関東と関西を合わせて140名を超える従業員が参加しました。ただし、過去の活動にはプロロジス・リート・マネジメントの社員も参加しているため、この人数を株式会社プロロジス単体の社員数としては扱いません。

プロロジスは何をしている会社なのか

物流施設が完成するまでには、土地を買い、建物を設計し、工事を管理し、入居企業を集める必要があります。完成後も設備点検、修繕、防災、顧客対応などが続きます。

仕事主な内容人間への影響
用地取得道路、消費地、災害、周辺環境を調べて土地を取得配送距離、周辺交通、自然災害の危険を左右する
施設開発建物の規模、構造、倉庫床、車路、事務所などを計画商品の保管能力と施設内の安全を左右する
建設管理設計会社や建設会社と工事の品質・費用・日程を管理建設作業員の安全と建物の耐久性に関わる
営業・賃貸物流会社、メーカー、小売会社などへ区画を貸すどの企業が施設を使うかを決める
施設管理設備点検、修繕、防災、清掃、入居企業への対応日々の安全性、快適性、事業継続に関わる
物流支援現場調査、作業改善、自動化設備の導入を支援作業負担、生産性、雇用人数に影響する
エネルギー太陽光発電、蓄電池、電力利用の改善を進める電力の安定供給と環境負荷に関わる
投資・資産運用物流施設へ投資し、資金を集めて運用する施設開発を可能にする一方、賃料と投資利益にも影響する

株式会社プロロジスの社員は、倉庫内で商品を棚へ入れたり、荷物を梱包したりする作業員が中心ではありません。不動産、建築、設備、法人営業、施設管理、金融、法務、財務などの専門職が中心です。

施設内で商品を扱う人の雇用主は、入居企業やその委託先である場合が多くなります。その人たちの賃金、休日、福利厚生、作業量は、原則として各雇用主が決めます。

主な施設とサービス

プロロジスは、利用企業と地域の違いに応じて、複数の種類の物流施設を開発しています。

種類内容主な利用者
マルチテナント型一つの大型施設を複数企業が区画ごとに利用物流会社、メーカー、小売、EC事業者
BTS型特定企業の業務に合わせて専用設計大手物流会社、メーカー、荷主企業
都市型消費地に近い都市部へ小規模な施設を提供短時間配送、医療機器、食品、EC
HAZMAT・危険物倉庫アルコール、化粧品、電池などを法令に沿って保管化学品、日用品、電池関連企業
冷凍・冷蔵対応食品などを温度管理して保管食品会社、卸売、小売、物流会社
物流支援現場調査、業務改善、自動化導入を支援入居企業、荷主企業
inno-base物流やエネルギーの新興企業へ場所と交流機会を提供技術開発企業、導入を検討する企業
エネルギー事業太陽光、蓄電池、EV充電などを導入入居企業、電力利用者

物流施設は、全国のどこにでも同じ設備を置けばよいわけではありません。積雪地域では屋内車路、沿岸部では浸水対策、都市部では小規模配送、危険物を扱う場所では専用の消火設備が必要になります。

主なグループ会社・関連組織

「プロロジス」という名称が付く組織には、それぞれ異なる役割があります。

組織主な役割株式会社プロロジスとの関係
Prologis, Inc.世界20か国で物流不動産を展開する米国上場会社世界の親会社
株式会社プロロジス日本で物流施設を開発・運営本記事の主な審査対象
日本プロロジスリート投資法人投資家から資金を集め、物流施設を保有別法人。東京証券取引所に上場
プロロジス・リート・マネジメント株式会社日本プロロジスリート投資法人の資産を運用株式会社プロロジスが100%出資
一般財団法人プロロジス財団教育、環境、福祉の支援日本法人設立20年を機に2019年設立

施設の名称に「プロロジスパーク」と付いていても、必ず株式会社プロロジスが直接所有しているとは限りません。日本プロロジスリート投資法人などが所有し、グループの資産運用会社が運用している場合があります。

また、建物の所有者と、施設内で商品を扱う企業も別です。施設内で問題が起きた場合は、建物と共用設備の問題なのか、入居企業の人員配置や作業方法の問題なのかを分けて見る必要があります。

シビックアイテムで関連企業として扱う条件

プロロジスは、商品の製造会社や販売会社ではありません。個別の商品がプロロジスの施設で保管・出荷されていることを確認できる場合に、物流施設の提供会社としてシビックアイテムの関連企業に表示します。

ただし、次の点に注意が必要です。

  • 同じメーカーの商品でも、すべてが同じ施設を通るとは限らない
  • 返品先や納品先の住所だけでは、保管、出荷、修理などの役割を断定できない
  • 施設名が同じでも、所有者、運営者、入居企業が異なる場合がある
  • プロロジスの施設を使っているだけで、商品の品質を保証していることにはならない

商品ページ、メーカーの案内、入居企業の発表、施設情報などから関係が確認できた場合に限って関連付けます。特定商品との関係は、会社の審査記事ではなく、各アイテムの記事に掲載します。

労働環境の評価

労働環境の総合評価:A(良い)

プロロジスの社員は、不動産、建築、設備、金融などの専門職が中心です。公開されている求人と第三者の回答では賃金水準が高く、福利厚生も一般的な企業より充実しています。

一方、残業時間は情報源によって月9時間から28.9時間まで開きがあり、現在の求人には月30時間を見込む例があります。日本法人単体の雇用形態別人数、平均賃金、男女賃金差、公式残業時間、労働災害件数も確認できません。

評価項目ランク主な判断
賃金A高い水準だが、公式平均と男女賃金差は非公表
福利厚生S長期所得補償、退職金、年金、社宅、家庭支援などが充実
労働時間・休日B年間休日は良好だが、月約30時間の残業を見込む資料がある
安全性・健康A健康支援は充実。ただし日本法人単体の事故実績は非公表
ジェンダー・昇進B女性役職者の目標と実績を公開しているが、上位職は目標未達
口コミ・SNSの評判A総合評価と待遇満足度は高いが、育成面の評価は普通
雇用の安定性A世界的な事業基盤と専門性があるが、不動産市況の影響を受ける
情報公開B制度は詳しいが、人数、賃金、残業、安全実績が不足
総合評価A待遇と制度は良好だが、労働実績の公開には改善余地

賃金

賃金ランク:A(良い)

株式会社プロロジスは非上場の日本法人であり、社員の平均年間給与を公式には公表していません。日本の全社員を対象とした給与分布や、役職・性別・雇用形態による差も確認できませんでした。

第三者資料と現在の専門職求人では、次の水準が見られます。

情報源確認できた賃金注意点
OpenMoney平均年収1,517万円7人、平均年齢41.0歳
OpenMoney年収範囲978万~2,000万円回答者は35~45歳に限られる
アクイジション職の求人年収800万~1,500万円経験者向け専門職
同求人の月給内訳基本給43万3,461円、固定残業代10万5,000円月30時間分。超過分は別途支給
同求人の賞与年1回、年俸の30%が目安業績・評価などで変わる可能性

OpenMoneyの集計は回答者7人に限られ、若手、一般事務、契約社員などを十分に反映しているとはいえません。会社全体の平均年収が1,517万円だと断定することはできません。

それでも、求人の基本給と年収帯から、不動産開発や投資などの専門職には高い賃金が提示されていることが確認できます。OpenWorkでも待遇面の満足度は5点中4.3です。

ただし、高賃金であることと、全員が公平に評価されていることは別です。日本法人単体の男女賃金差、職位別の賃金、非正規雇用の有無と待遇が分からないため、SではなくAと評価します。

なお、プロロジスパーク内の倉庫作業員の賃金を、プロロジス社員の賃金として扱ってはいけません。倉庫作業員の雇用主が入居企業や派遣会社であれば、その会社を別に審査する必要があります。

福利厚生

福利厚生ランク:S(ホワイト)

福利厚生は、プロロジスの労働環境で最も高く評価できる部分です。公式の福利厚生案内では、次の制度が確認できます。

分野主な制度
退職後の生活退職金、企業型確定拠出年金
住居・移動社宅、通勤手当、単身赴任時の別居手当
病気・事故生命保険、傷害保険、長期所得補償保険
健康健康診断、人間ドック、メンタルケア
家庭生活家事、育児、介護サービスの優待
子育てベビーシッター割引助成、短時間勤務など
学習英語研修、社外研修、資格取得費用の援助
キャリアメンター、社内FA、社内公募
余暇農園リゾートの法人契約など

特に重要なのが、病気やけがで働けなくなった場合の長期所得補償です。健康保険の傷病手当金が終わった後、本人の請求により、最大5年間、月給の60%相当の補償を受けられる制度が案内されています。上限や支給条件はありますが、長期間働けなくなった人の生活を守る制度として大きな価値があります。

能力開発についても、全社研修を合計4,333時間、社員1人当たり30時間実施したと公表しています。約600コースの学習教材、新入社員を1年間支えるメンター制度、希望部署への異動を申し出る制度もあります。

制度の適用範囲や利用率まではすべて公開されていません。それでも、病気、老後、住居、家庭、学習まで幅広く支援し、生活上の大きな危険へ具体的に備えているため、Sと評価します。

労働時間・休日

労働時間・休日ランク:B(普通)

現在確認できる求人では、完全週休2日制で年間休日125日とされ、土日、祝日、夏季、年末年始などが休日に含まれます。フレックスタイム制も採用されています。

休日数は良好ですが、残業時間の資料には大きな開きがあります。

情報源月平均残業有給休暇に関する数値
OpenWork28.9時間消化率68.4%
OpenMoney9時間非公表
現在の専門職求人30時間非公表

OpenWorkは回答者15人、OpenMoneyは6人であり、どちらも社員全体を表すには人数が少なくなっています。OpenMoneyの口コミには、時期や案件によって残業が非常に多くなる場合があるとの記述もあります。

求人では、1日8時間のフレックスタイム制を採用しながら、月30時間分の固定残業代を含む賃金が示されています。固定残業代があるだけで実際に毎月30時間働くとは限りませんが、同じ求人に月平均残業時間30時間と記載されているため、軽視できません。

年間休日と柔軟な勤務制度は良い一方、月30時間前後の残業がある職種も想定されます。会社が公式の職種別残業時間と有給取得率を公表していないことも踏まえ、Bと評価します。

安全性・健康

安全性・健康ランク:A(良い)

プロロジスの社員は、オフィスだけでなく、建設中の現場や稼働中の物流施設へ行くことがあります。工事、設備点検、車両、火災、地震、危険物など、不動産開発と施設管理には現場特有の危険があります。

社員向けには、健康診断と人間ドックの費用負担、生命保険、傷害保険、長期所得補償、メンタルケアなどが用意されています。2024年の公式発表では、経済産業省が制度設計を行う「健康経営優良法人」へ5年連続で認定されたとしています。

会社は、従業員の歩数に応じて非営利団体への寄付額が増える健康増進活動も実施しています。2023年は58人が参加し、14日間で合計1,289万315歩を歩き、270万円を9団体へ寄付しました。

健康支援は具体的ですが、次の情報は確認できませんでした。

  • 日本法人単体の労働災害件数
  • 休業災害の頻度
  • 建設現場を含む事故の種類
  • 長時間労働による健康問題
  • メンタルヘルス不調による休職と復職の実績
  • 協力会社の事故と改善結果

制度は充実しているものの、安全実績を定量的に検証できないため、SではなくAと評価します。

ジェンダー・昇進

ジェンダー・昇進ランク:B(普通)

プロロジスは、女性活躍推進法に基づく行動計画と、役職別の女性比率を公式サイトで公開しています。

指標2027年の目標2024年実績
女性バイスプレジデント・エグゼクティブディレクター比率20%17%
女性ディレクター比率30%30%
男女の平均勤続年数差差なし女性の方が0.5年長い

女性ディレクター比率は2024年に目標へ到達しました。平均勤続年数も、男性9.6年に対して女性10.1年であり、少なくとも女性が短期間で辞めている状態ではありません。

一方、より上位の女性役職者は17%で、2027年目標の20%に届いていません。また、全社員に占める女性比率、採用区分別人数、男女賃金差、育児休業の実際の取得率は、今回確認した公式ページでは分かりませんでした。

男性の育児休業等取得率を50%以上にする目標も掲げていますが、現時点の実績値までは確認できません。目標と役職別実績を公開している点は評価できますが、賃金と雇用区分を含む全体像が不足しているためBとします。

口コミ・SNSの評判

口コミ・SNS評判ランク:A(良い)

OpenWorkの総合評価は5点中3.78で、掲載企業の上位2%とされています。回答者は15人です。

項目評価
待遇面の満足度4.3
法令順守意識4.2
人事評価の適正感4.2
風通しの良さ4.1
社員の士気3.4
社員の相互尊重3.2
人材の長期育成2.9
20代の成長環境2.8

待遇、法令順守、評価の納得感は高い一方、若手の育成や長期的な人材育成は特に高い点ではありません。少人数の専門職組織であり、入社直後から責任の大きい仕事を任されることが、合う人と合わない人を分ける可能性があります。

OpenMoneyでは満足度4.33、回答者6人です。平均残業は9時間と少ない一方、案件によって残業が大きく増えるとの口コミもあります。

また、2026年版の「働きがい認定企業」に選ばれ、2017年版への初参加から10年連続で認定を受けています。2025年版では、参加657社のうち中規模部門32位でした。

外部認定は企業が参加して受ける制度であり、認定だけで労働環境の全項目を保証するものではありません。それでも、第三者口コミと複数年の認定が一致しているためAと評価します。

雇用の安定性

雇用の安定性ランク:A(良い)

世界の親会社Prologis, Inc.は、2025年の年次報告書で約87.9億ドルの売上を計上しました。2025年末時点で世界20か国に事業を展開し、物流不動産の賃貸、開発、資産運用などから収益を得ています。

日本でも1999年から事業を続け、2026年4月時点で運営・開発中の施設が91棟あります。食品、医薬品、日用品、ECなどの流通に物流施設が必要であることを考えると、短期間で需要がなくなる事業ではありません。

一方、物流不動産は、金利、建設費、地価、賃料、空室率、企業の設備投資に影響されます。社員数が少ない専門職組織であるため、事業が安定していても、誰にでも同じ仕事を用意できる会社ではありません。

不動産、建築、設備、金融、法務など他社でも利用できる専門性を得られることと、世界的な事業基盤を評価しAとします。

情報公開

情報公開ランク:B(普通)

福利厚生、研修時間、女性役職者比率、平均勤続年数、施設設備、防災、環境目標などは公式サイトで比較的詳しく確認できます。親会社は米国上場会社であり、売上、事業上の危険、役員報酬、環境目標などをSECへ提出しています。

一方、日本法人の働き方を評価するために必要な次の情報は不足しています。

  • 日本法人単体の従業員数
  • 雇用形態別の人数
  • 平均賃金と賃金分布
  • 男女賃金差
  • 職種別の残業時間
  • 有給休暇取得率
  • 育児休業取得率
  • 労働災害件数
  • 退職率と休職者数

制度の内容だけでなく、何人が利用し、どのような結果が出たのかまで公開されると、実際の働きやすさを判断しやすくなります。公開情報は一定量ありますが、労働実績の中心部分が不足しているためBと評価します。

事業による人間への貢献

事業による人間への貢献:A(良い)

プロロジスの物流施設は、食品、医薬品、家電、衣類、日用品などを保管し、必要な場所へ届けるための社会基盤です。災害対策、危険物の安全な保管、再生可能エネルギー、物流現場の身体的な負担を減らす設備にも取り組んでいます。

ただし、商品の安定供給や物流現場の成果は、プロロジスだけで生まれるものではありません。実際に保管、仕分け、運送を行う入居企業と、その現場で働く人の貢献を分けて考える必要があります。

評価項目ランク主な判断
物流インフラの提供A生活必需品を保管・供給する場所を提供
施設で働く人への配慮A休憩設備、防災、空調、自動化対応などを設計
自動化と仕事への影響B重労働を減らす一方、省人化後の仕事の公開がない
防災・地域社会A災害協定、避難場所、非常用設備を提供
環境・エネルギーA太陽光、蓄電池、LED、ネットゼロ目標を推進
人間へ与えている損害や問題B土地、交通、騒音、排出、雇用減少の危険がある
問題発生後の対応・情報公開B改善事例はあるが、施設別の事故・苦情実績が不足
総合評価A生活を支える事業だが、施設内の全労働者への責任に改善余地

物流インフラの提供

物流インフラの貢献ランク:A(良い)

商品は、工場から直接すべての家庭や店舗へ届くわけではありません。需要に備えて保管し、店舗別や地域別に分け、適切な車両へ積み替える場所が必要です。

プロロジスは、複数企業が利用する大型施設、特定企業向け施設、都市部の小型施設、冷凍・冷蔵施設、危険物倉庫などを開発しています。物流会社やメーカーが自社で土地と建物を持たなくても、必要な面積を借りて物流を始められます。

高速道路や消費地に近い立地を選び、トラックが安全に動ける車路、重量物を置ける床、商品を大量に保管できる高さを用意することで、商品の安定供給を支えています。

2026年4月時点で、日本には運営・開発中の物流施設が91棟あります。世界全体では、プロロジスの建物の下で働く人は115万人を超えると親会社の2026年株主総会資料に記載されています。ただし、その大半はプロロジスではなく入居企業に雇われています。

社会への影響は大きい一方、商品を実際に保管し運ぶ人の貢献をプロロジス単独の成果にはできないため、SではなくAとします。

施設で働く人への配慮

施設で働く人への配慮ランク:A(良い)

物流施設では、広い倉庫内を歩き、荷物を持ち、車両と機械の近くで働きます。気温、照明、休憩場所、通勤手段、車両動線が悪ければ、疲労と事故の危険が増えます。

プロロジスの施設には、物件によって次の設備があります。

  • カフェテリアやラウンジ
  • 売店や自動販売機
  • 空調設備
  • LED照明
  • 乗用車用駐車場
  • 駅からの送迎バス
  • 託児所
  • トラック運転手向けの休憩設備
  • 緊急地震速報
  • 非常用発電機
  • 災害用無線
  • 免震・耐震構造
  • 浸水を想定した建物のかさ上げ

例えば、2025年完成のプロロジスパーク北上金ケ崎は、各区画に専用のラウンジを設け、雪の日も作業しやすい屋内車路を採用しています。2022年完成のプロロジスパーク岩沼は、津波や水害への対策として建物の位置を1.5メートル高くし、非常用発電機と断水対策を備えています。

ただし、すべての施設に同じ設備があるわけではありません。また、賃金、休憩時間、人員配置、作業速度は入居企業が決める部分が大きくなります。

建物の提供者としてできる対策は具体的ですが、施設で働く人の労働条件まで保証してはいないためAと評価します。

自動化と仕事への影響

自動化と仕事への影響ランク:B(普通)

プロロジスは、物流ロボット、自動搬送機、自動倉庫などを導入しやすい施設を開発し、入居企業への導入支援も行っています。

2026年にはプロロジスパーク八千代2へ、コンテナから荷物を降ろすロボットを設置しました。荷降ろしは重量物を扱う負担の大きい作業であり、機械へ移すことで腰痛、転倒、挟まれなどの危険を減らせる可能性があります。

一方、会社自身が行った物流現場の調査では、次の結果が示されています。

調査結果内容
調査対象関東圏の入居企業60社超
何らかの自動化を導入約50%
複数工程を連動させた自動化26%
従業員100人超の現場の自動化率80%超
物流会社の自動化率21%
荷主企業の自動化率86%
主な導入目的省人化

この結果から、自動化は身体的な負担の軽減だけでなく、必要な人数を減らす目的でも導入されていることが分かります。

人手不足の現場で機械を導入すれば、残った人の過重労働を防げる場合があります。しかし、同じ人数が不要になった後、新しい設備の管理、業務改善、安全管理、品質管理などへ移れるとは限りません。

プロロジスアカデミーや自社社員向け研修はありますが、施設内で働く入居企業の作業員を対象に、機械導入後の仕事へ移るための教育を全国で行っていることは確認できませんでした。自動化前後の雇用人数、賃金、職種、労災、作業負担も公開されていません。

重労働を減らす効果は評価できますが、効率化によって人の仕事と権利が失われる可能性まで解決していないためBとします。

防災・地域社会への貢献

防災・地域貢献ランク:A(良い)

物流施設には、広い建物、駐車場、電力設備、備蓄場所があります。平常時は商品の保管に使われますが、災害時には避難場所、緊急物資の保管場所、車両の待機場所として利用できます。

プロロジスは自治体と防災協定を結び、施設を緊急避難場所や駐車場所として提供しています。入居企業や行政と共同で、火災、地震、土砂災害などを想定した訓練も行っています。

2025年には、郡山市、ヤマト運輸、NTT東日本、フクダ・アンド・パートナーズと、避難者支援、避難所への協力、緊急物資の輸送に関する協定を結びました。

施設自体にも、次のような防災設備が採用されています。

  • 免震・耐震構造
  • 緊急地震速報
  • 非常用発電機
  • 災害用無線
  • 断水への備え
  • 浸水を想定した建物のかさ上げ
  • 泡消火設備を備えた危険物倉庫
  • 災害時に利用できる駐車場や共用部

行政や他社と協力して、人命と物資供給の両方へ備えている点を評価しAとします。防災協定の内容と利用できる範囲は施設ごとに異なるため、Sにはしません。

環境・エネルギー

環境・エネルギーランク:A(良い)

物流施設は広い屋根と大きな電力需要を持つため、太陽光発電、蓄電池、LED照明を導入しやすい建物です。

世界の親会社は、2026年株主総会資料で、2025年に太陽光発電と蓄電の合計容量を1.1GWまで増やし、対象となる物流施設の83%へLED照明を導入したと公表しています。2040年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする目標は、Science Based Targets initiativeの認定を受けています。

日本でも、物流施設の屋根への太陽光発電、蓄電池、EV充電、省エネ設備を導入しています。入居企業の電力使用を調べ、照明や換気設備の利用方法を助言する取り組みもあります。

ただし、物流施設の建設には、鉄、コンクリート、建設機械、土地造成が必要です。施設へ出入りするトラックからも温室効果ガス、大気汚染物質、騒音が発生します。太陽光発電を設置しても、建設から解体までの負担がなくなるわけではありません。

また、世界全体の数値だけでは、日本の各施設がどこまで改善したかを判断できません。日本法人または施設ごとの排出量、廃棄物、水使用量、再生可能エネルギー比率がさらに公開されることを条件に、Aと評価します。

人間へ与えている損害や問題

損害・問題ランク:B(普通)

物流施設は人間の生活を支える一方、開発と運営によって新しい負担も生みます。

主な問題は次のとおりです。

  • 大規模な土地造成による自然環境と地域景観の変化
  • トラック交通の増加による渋滞、騒音、排気ガス、交通事故の危険
  • 建設時に使う鉄やコンクリートによる温室効果ガス排出
  • 大型施設の空調、照明、冷凍・冷蔵設備による電力消費
  • 危険物倉庫で火災や漏出が起きた場合の被害
  • 自動化によって施設内の仕事が減る可能性
  • 入居企業、委託会社、派遣会社の労働環境が外から見えにくいこと
  • 建物所有者、施設管理者、入居企業、雇用主が分かれ、責任が分かりにくいこと

プロロジスは、立地、車両動線、防災、環境設備を工夫しています。しかし、施設を建てる地域の住民が受ける交通と騒音、施設内で働く人が受ける作業負担、自動化によって不要になる仕事まで、十分に公開しているとはいえません。

事業の利益だけでなく、周辺住民と施設内の全労働者へ生じる損害を施設ごとに測り、改善結果を示す必要があります。

問題発生後の対応・情報公開

対応・情報公開ランク:B(普通)

2011年の東日本大震災では、プロロジスパーク岩沼1が津波の被害を受けました。主要構造に大きな損傷はなかったものの、区画壁や設備が被害を受け、施設内に土砂などが入りました。

プロロジスは専門の技術社員と建設会社による復旧を進め、区画壁と設備の修理、施設内の清掃を行い、同年4月末から一部を再稼働させました。その後、同じ岩沼市で2022年に完成した施設では、津波と水害を想定して建物の位置を1.5メートル高くし、非常用発電機と断水対策を採用しています。

被害から復旧するだけでなく、その後の建物へ浸水対策を反映している点は評価できます。

ガバナンス面では、世界の全社員へ毎年、倫理・行動規範の研修を義務付けています。規範には反汚職、差別、ハラスメント、報復、公正取引などが含まれ、サプライヤー向けの行動規範も設けています。

一方、次の情報は確認できませんでした。

  • 日本の施設ごとの人身事故と労働災害
  • 火災、危険物漏出、設備事故の件数
  • 周辺住民からの交通、騒音、光に関する苦情件数
  • 苦情を受けて変更した車両経路や稼働時間
  • 入居企業と協力会社への労働安全監査の結果
  • 自動化前後の雇用、賃金、健康、作業負担

方針と良い事例は詳しく発信されていますが、問題の件数と改善結果を同じ水準で確認できません。以上からBと評価します。

プロロジスのシビックカンパニーランク

シビックカンパニーランク:A(良い)

総合評価項目ランク
労働環境A
事業による人間への貢献A
シビックカンパニーランクA

プロロジスは、直接雇用する社員へ、高い賃金、長期所得補償、退職金、企業型確定拠出年金、社宅、研修などを提供しています。福利厚生はSに相当し、外部の社員評価も高い会社です。

事業でも、災害に強い物流施設、危険物の安全な保管、物流現場の身体的な負担を減らす設備、再生可能エネルギーを通じて、人間の生活を支えています。

一方、プロロジスの建物の下で働く人の大半は、入居企業や派遣会社などに雇われています。プロロジス社員が高待遇でも、施設で働く全員が同じように大切にされているとは限りません。

さらに、自動化の主な目的として省人化が挙げられているにもかかわらず、機械に置き換えられた人がどの仕事へ移ったのかは公開されていません。人間への貢献を最優先するなら、重労働を機械へ移すだけでなく、働く人が新しい仕事と権利を得られる仕組みまで必要です。

以上から、株式会社プロロジスのシビックカンパニーランクはA(良い)と評価します。

Sへ上がるには、次の改善が必要です。

  • 日本法人単体の人数、平均賃金、男女賃金差、残業、休暇、育休を公開する
  • 施設と建設現場の事故、苦情、改善結果を施設別に公開する
  • 入居企業と協力会社へ共通の労働安全・人権基準を求める
  • 施設内の休憩、空調、通勤、安全に関する最低基準を全施設へ設ける
  • 自動化前後の雇用人数、職種、賃金、健康への影響を確認する
  • 仕事が減る人へ、新しい設備の管理、業務改善、安全、品質に関する教育を提供する

※本記事は2026年7月時点の公開情報をもとにした暫定評価です。株式会社プロロジス、Prologis, Inc.、日本プロロジスリート投資法人、プロロジス・リート・マネジメント株式会社、各施設の入居企業は別法人です。新しい情報が確認された場合は評価を変更する可能性があります。

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