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パナソニック オペレーショナルエクセレンスのホワイト度は?労働環境とグループ共通業務を審査

パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社(以下、PEX)は、家電や電池を製造する会社ではありません。

経理・財務、人事、調達、物流、情報システム、品質・環境、法務、知的財産、デザインなど、パナソニックグループの共通業務を担う会社です。

PEXは自社について、「機械設備や販売チャネルを持たない、人材が全ての会社」と説明しています。つまり、同社の価値は工場や商品ではなく、そこで働く人の専門知識によって生み出されています。

だからこそ審査では、グループの効率を高めたかだけでなく、効率化によって人の負担が減ったのか、働く時間や待遇が改善したのかを重視しました。

調査の結果、PEXのシビックカンパニーランクは、B(普通)と評価します。

評価項目ランク主な理由
労働環境B(普通)賃金、福利厚生、柔軟な勤務制度は良好。一方、所定外労働は月25時間で、有休取得率も63.9%にとどまる
事業による人間への貢献B(普通)調達、物流、品質、人権、経理などを通じてグループ全体を支えるが、人への効果を示す成果指標が少ない
シビックカンパニーランクB(普通)専門人材を比較的良い条件で雇用している一方、効率化とAI導入が雇用や労働時間へ与えた結果の説明が不足

結論

PEXは、待遇の悪い単純な業務請負会社ではありません。専門職を中心とするパナソニックグループの中核会社で、給与、福利厚生、育児支援、リモートワークは比較的充実しています。

ただし、「オペレーションの効率化」を担う会社でありながら、公式の月平均所定外労働は25時間です。また、グループが1万2,000人規模の人員削減を行った中で、PEXの自動化や共通化が雇用へどう影響したのかは明らかにされていません。この点を考慮し、AではなくBとしました。

※本記事の年度は、特に記載がない限りパナソニックグループの会計年度です。調査日は2026年7月30日です。

目次

パナソニック オペレーショナルエクセレンスの基本情報

PEXは、2022年4月にパナソニックグループが持株会社制へ移行した際に発足しました。

パナソニック ホールディングス株式会社が株式を100%保有する非上場会社です。各事業会社が商品やサービスの開発・製造・販売を担うのに対し、PEXは複数の会社で共通して必要となる専門業務を担当します。

項目内容
会社名パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社
英文名Panasonic Operational Excellence Co., Ltd.
略称PEX
設立2022年4月1日
本社所在地大阪府門真市大字門真1006番地
代表者代表取締役 社長執行役員 CEO 玉置肇
株主パナソニック ホールディングス株式会社 100%
上場状況非上場
社員数1,903人(2025年3月末、国内単独)
売上総収入5,125.7億円(2024年度)
平均勤続年数男性18.2年、女性19.8年(2025年3月末)
主な事業経理・財務、人事、調達、物流、法務、情報システム、品質・環境、知的財産、デザインなど

会社名、設立日、所在地、株主、代表者はPEXの公式会社概要、社員数や売上総収入は「数字で見るPEX」を参照しました。

売上総収入5,125.7億円は、一般消費者へ家電を販売して得た売上ではありません。グループ各社へ提供する調達や共通業務などの取引を含むため、家電メーカーの売上高と同じ意味ではない点に注意が必要です。

PEXは何をしている会社なのか

PEXの仕事は、商品が企画されてから製造・販売されるまでの裏側を支えることです。

例えば、製品に使う部品の購入先を選ぶ、部品と製品を適切な場所へ運ぶ、品質基準を作る、法令に適合しているか確認する、特許を取得する、従業員の給与や人事制度を運用するといった仕事があります。

部門実際に行う主な仕事人間への影響
経理・財務決算、税務、資金管理、原価管理、投資判断、監査対応不正や資金不足を防ぎ、事業の継続を支える
人事採用、人材育成、人員配置、評価・報酬制度、労務支援従業員の待遇、働き方、成長機会に直接影響する
調達部品・材料の契約、購入、納期、在庫、取引先の確認製造の安定と、取引先で働く人の人権に影響する
物流部品調達から製品販売までの輸送計画、在庫、物流費の改善商品を安定して届け、輸送現場の負担にも影響する
品質・環境品質管理、監査、製品法規、環境戦略、CO2算定製品事故や法令違反を防ぎ、利用者の安全を守る
情報システムグループ共通のIT基盤、業務のデジタル化、サイバー対策反復作業を減らす一方、仕事の内容や人員にも影響する
法務契約、法令対応、紛争予防、グループの法務支援取引の公正さや被害発生時の対応に関わる
知的財産特許、商標、意匠、著作権、技術契約、権利活用技術開発を守り、新しい商品を生み出しやすくする
デザイン商品・サービス、事業構想、将来像の可視化使いやすさや事業の方向性に影響する
ブランド・広報ブランド管理、社内外への情報発信消費者が企業を判断するための情報に影響する

PEXの事業紹介では、経理・財務、物流、デザイン、人事、法務、ブランド・コミュニケーション、調達、情報システム、品質・環境、知的財産などの組織が示されています。

経理部門では、金銭出納、債権・債務、在庫、固定資産、決算、監査から、事業計画、原価、投資、税務、グループ資金管理までを担当します。経理・財務の公式説明を見ると、単なる入力作業ではなく、事業会社の意思決定と経営管理を支える仕事であることが分かります。

調達部門は、年間約1.2兆円の部材調達に関わっています。調達職の公式説明では、購入先、数量、納期、輸送経路、在庫、事業継続、人権・環境への配慮などを扱うとしています。

物流部門は、部品の調達から製品販売までの物の流れを対象に、物流拠点、輸送、在庫、IT活用、共通基準などを改善します。PEXの採用サイトでは、各事業会社と協力して国内外の物流改革を進める職種と説明されています。

どの職種で働く人が多いのか

公式サイトは、2024年3月末時点の職種構成を次のように示しています。

職種公式サイトに掲載された比率
調達20%
知的財産20%
物流20%
人事10%
経理・財務8%
品質管理・環境4%
法務2%
事業企画・グループ不動産2%
その他23%

掲載比率を合計すると100%を超えます。職種の重複、集計方法、掲載上の誤差などが考えられますが、公式ページに詳しい説明はありません。そのため、この比率から職種別人数を算出することはできません。

ただし、調達・知的財産・物流の三分野が大きな割合を占めることは読み取れます。一般的な総務代行会社というより、製造業を支える専門職の会社と考える方が実態に近いでしょう。

主な拠点

本店登記上の所在地は大阪府門真市ですが、公式の交通案内では大阪府守口市八雲中町の住所が案内されています。大規模なパナソニックの事業所内に複数の機能があるため、訪問先によって使用する住所が異なる可能性があります。

地域公開されている主な勤務地・役割
大阪府門真市・守口市本社機能、調達、物流、経理、人事、品質、知的財産など
東京都千代田区・港区など経理、法務、人事、ブランド、対外業務など
神奈川県横浜市一部の専門職・グループ共通業務
滋賀県草津市製造事業に近い調達、品質、環境などの業務
国内外のグループ拠点職種により出張、駐在、事業会社への支援を行う

2027年度の募集要項では、東京都、神奈川県、滋賀県、大阪府などが勤務地として挙げられています。職種別採用であっても、将来は転居を伴う異動の可能性があります。パナソニックグループの募集要項で最新条件を確認できます。

主な関連会社とグループ内での立場

PEXは、パナソニック ホールディングスの子会社であり、同時に各事業会社へ専門サービスを提供する立場です。

会社・会社群PEXとの関係
パナソニック ホールディングスPEX株式を100%保有する親会社。グループ方針と監督を担う
パナソニック株式会社家電などを担う事業会社。PEXが調達、物流、品質などを支援する対象
パナソニック エナジー電池事業会社。調達、物流、知的財産などでPEXの機能と関わる
パナソニック インダストリー電子部品・材料の事業会社。品質、調達、物流、知的財産などで関わる
パナソニック コネクト法人向けシステムの事業会社。共通の人事、経理、物流などで関わる
その他のグループ事業会社PEXの専門業務を利用しながら、それぞれの事業を運営する
パナソニックIPマネジメントPEX知的財産部門の傘下で、グループの知的財産業務を担う会社

PEX知的財産部門の公式説明では、傘下にパナソニックIPマネジメント株式会社を設け、グループの知的財産業務を集約していると説明しています。

シビックアイテムではどのように扱うべきか

PEXは多くのパナソニック商品に間接的な影響を持ちますが、個別商品の製造会社ではありません。

そのため、商品ページでは製造・販売会社と同じ欄に無条件で並べるより、**「グループ共通機能」**として役割を分けて表示する方が分かりやすいでしょう。

関係の種類商品ページでの扱い
商品を開発・製造・販売した会社主要な関連企業として表示し、ランクへ強く反映
PEXの調達・品質・物流などへの関与を確認できるグループ共通機能として表示
PEXの個別商品への関与を確認できない会社記事への案内にとどめ、直接関係があるとは断定しない
パナソニックIPマネジメントなどが特許業務を担当知的財産の関連企業として必要に応じて表示

PEXの存在だけを理由に、すべてのパナソニック商品へ同じ重みでBランクを加えると、実際の製造会社や物流会社の責任が見えにくくなります。どの工程へ関わったかを確認してから反映する必要があります。

労働環境の評価

PEXは「人材が全て」とする会社だけに、専門人材を支える制度は充実しています。

2026年の初任給、企業年金、住宅支援、柔軟な勤務制度は良好です。男性の育児休業取得率も86%に達しています。

一方で、公式の平均月間所定外労働時間は25時間、有給休暇取得率は63.9%です。制度の数だけを見ればA以上に見えますが、実際の利用状況まで含めるとBが妥当です。

評価項目ランク評価の要点
賃金A(良い)初任給は高め。社員投稿の平均年収も771万円だが、公式平均は非公表
福利厚生A(良い)企業年金、住宅支援、選択型制度、育児・介護、能力開発が充実
労働時間・休日B(普通)休日制度は良いが、所定外労働25時間、有休取得率63.9%
雇用の安定性C(やや悪い)長期雇用の実績はあるが、グループの人員削減と共通業務の自動化が不安材料
安全性・健康B(普通)事務・専門職中心で制度もあるが、PEX単独の災害・健康指標は少ない
ジェンダー・育児B(普通)女性管理職15.7%、男性育休86%。正規雇用の男女賃金比率は77.1%
口コミ・SNSB(普通)法令順守と待遇は比較的高評価だが、士気、若手育成、評価への不満もある
情報公開B(普通)独自の労働データを公開する一方、更新時期と雇用への影響に不足
労働環境の総合評価B(普通)制度と待遇は良好だが、実際の時間負担と将来の雇用に課題

賃金

賃金ランク:A(良い)

PEXは非上場会社のため、有価証券報告書で単体平均年収を公表する義務がありません。公式サイトにも、全社員の平均年収や役職別賃金は掲載されていません。

そのため、公式の初任給と社員投稿データを分けて確認します。

区分金額出典・注意点
学部卒の初任給月額28万7,000円2026年実績
修士了の初任給月額31万4,000円2026年実績
賞与年2回7月、12月
給与改定年1回4月
OpenMoneyの投稿平均年収771万円46人、平均年齢34.8歳
同サイトの年収範囲400万~1,600万円投稿者の職種、年齢、時期が異なる

初任給は、2026年のパナソニックグループ内でも比較的高い水準です。超勤手当、育英補助給付金、通勤手当、リモートワーク手当も案内されています。2027年度募集要項では、学部卒28万7,000円、修士了31万4,000円と公表しています。

OpenMoneyでは、46人の投稿平均が771万円、平均年齢34.8歳です。職種別ではコーポレート843万円、調達に近い職種718万円など、職種差も見られます。

ただし、これは会社が確認した公式平均ではありません。投稿者が管理職や総合職へ偏る可能性があり、契約社員、出向者、若年層などを同じ割合で含むとは限りません。

初任給と外部データから見れば賃金は良好ですが、全社員の平均と雇用形態別の水準が確認できないため、SではなくAとしました。

福利厚生

福利厚生ランク:A(良い)

PEXの福利厚生は、大企業グループの専門会社として充実しています。

分野主な制度
資産形成従業員持株制度、財形貯蓄、企業年金
選択型支援カフェテリアプラン
住居社宅、住居費補助
健康健康保険、医療施設、健康管理支援
育児・介護育児・介護休業、短時間勤務、週3日・週4日勤務、家族支援休暇
能力開発職種別研修、階層別研修、GLOBIS学び放題、Udemy Business
社内での挑戦社内複業、グループ内公募、自己申告による異動制度
社外での挑戦社外副業、学び直しやボランティアのための短時間勤務・休業
働く場所リモートワーク、通勤圏外からのリモートワーク

PEXの働く環境・制度では、育児や介護をする社員に短時間、週3日、週4日勤務を認める制度があります。学び直し、副業、ボランティアを目的とする場合にも、勤務日数を減らす制度があります。

2025年4月時点で、通勤圏外リモートワークは26件、社外副業は64件でした。制度が書かれているだけでなく、少なくとも実際の利用件数を公表している点は評価できます。

一方、社員1,903人に対して社外副業64件、通勤圏外リモート26件であり、大半の社員が利用している制度ではありません。部署や仕事の性質による制限も考えられるため、SではなくAとしました。

労働時間・休日

労働時間・休日ランク:B(普通)

標準勤務時間は9時から17時30分、実働7時間45分です。一部拠点を除き、1日の最低労働時間を設けないノンコアフレックスタイム制があります。

項目公式情報
標準勤務時間9:00~17:30
所定労働時間1日7時間45分
平均月間所定外労働時間25時間(2023年度)
年間休日毎年124日程度(2027年度募集要項)
年次有給休暇年25日
平均有給取得日数15.3日(2024年度)
有給休暇取得率63.9%(2024年度)
月の半分以上を在宅勤務する人38.3%(2025年3月末)

年間25日の有給休暇は多い一方、平均取得は15.3日で、9.7日は使われていません。

また、平均月間所定外労働25時間は、極端に長いとはいえないものの、「業務の効率化」を専門にする会社として高く評価できる水準でもありません。単純計算では、年間300時間ほどの所定外労働になります。

OpenWorkの会社比較ページでは、投稿者の月平均残業時間は22.7時間、有給休暇消化率は55.5%です。公式値と大きく離れてはいません。

口コミには、休暇を取りやすい、フレックスや在宅勤務を使いやすいという声がある一方、部署によって仕事量が多く休みにくいという声もあります。OpenWorkのワーク・ライフ・バランスに関する投稿一覧からも、職場差が大きいことが分かります。

なお、PEX独自の制度ページは年間休日127日程度、2027年度募集要項は124日程度と記載しています。対象年度や休日設定が異なる可能性がありますが、同時点で閲覧できる公式ページ間に差があるため、本記事では更新日が明記された募集要項の124日を優先しました。

休日制度そのものは良好ですが、所定外労働と有休利用の実績を考慮し、Bと評価します。

雇用の安定性

雇用の安定性ランク:C(やや悪い)

PEXで働く人の平均勤続年数は、男性18.2年、女性19.8年です。長く働いている人が多く、短期間で人が入れ替わる会社ではありません。

社員の70.2%が新卒入社、29.8%が経験者として入社した人です。グループ内公募や社内複業もあり、仕事が変わってもグループ内で能力を生かす道は用意されています。

安定材料不安材料
平均勤続年数が18年以上共通業務はAI・自動化の対象になりやすい
パナソニックグループの中核機能グループ全体で1万2,000人を削減
専門職が中心PEX単独で何人が減ったか非公表
グループ内公募や複業制度効率化後の再配置、賃金、労働時間の成果が非公表

パナソニックグループは2025年度の経営改革で、国内8,000人、海外4,000人、合計1万2,000人を削減しました。2026年7月公表のコーポレート・ガバナンス報告書に結果が記載されています。

ただし、この1万2,000人をPEXが直接解雇したという意味ではありません。PEX単独の削減人数や、各部門への影響は公表されていません。

一方、PEX社長の玉置肇氏は、パナソニック ホールディングスの副社長執行役員、グループCTRO、調達・物流担当、オペレーショナルエクセレンス事業担当も兼ねています。パナソニック ホールディングスの役員一覧から、PEXがグループ改革と無関係な外部業者ではなく、中枢に近い会社であることが分かります。

グループは、生成AIを含む技術とデータを使って生産性の高い業務を作り、人員を適正化する方針を示しています。人的資本に関する公式説明では、人員配置の最適化と人員数の管理を同時に進めるとしています。

自動化によって反復作業が減り、労働時間が短くなるなら人間への貢献です。しかし、同じ仕事を少ない人数で行わせるだけなら、残った人の負担増や雇用喪失につながります。

PEXは、効率化後に何人を別の仕事へ移したか、何時間の労働を減らしたか、待遇をどれだけ改善したかを公表していません。長期雇用の実績を考慮してDにはしませんが、現在の不確実性を重く見てCとしました。

安全性・健康

安全性・健康ランク:B(普通)

PEXの仕事は、経理、人事、法務、知的財産、調達などの事務・専門職が中心です。製造設備を直接動かす社員が中心の会社より、機械への巻き込まれや化学物質への接触といった危険は少ないと考えられます。

公式に確認できる主な制度は次のとおりです。

取り組み内容
健康管理健康診断、ストレスチェック、産業医・保健スタッフによる支援
長時間労働対策一定基準を超えた社員への産業医面談
柔軟な勤務フレックス、リモート、短時間・週3日・週4日勤務
職場環境XC門真がWELL Core Silver認証を取得
ハラスメント対策グループ規程、相談窓口、研修

パナソニックグループの安全・健康に関する説明では、各事業場の安全衛生委員会、年1回以上のリスク評価、ストレスチェック、長時間労働者への産業医面談などを公表しています。

同じ資料では、PEXが利用するXC門真が2024年1月にWELL Core Silver認証を取得したことも示されています。建物の健康・快適性へ配慮した点は評価できます。

ただし、PEX単独の労働災害件数、休業災害度数率、メンタル不調による休職者数、長時間労働者数は確認できません。

また、玉置社長はグループの総括安全衛生責任者を兼ねています。グループ全体では2025年度に重篤・重大災害が8件発生しました。ただし、これをPEXの事務職の職場事故として扱うことは適切ではないため、PEX自身の安全評価はBとしました。グループへの品質・安全面の影響は、事業評価で別に扱います。

ジェンダー・育児

ジェンダー・育児ランク:B(普通)

PEXは、他の主要なパナソニック事業会社と比べると、女性管理職比率が高い会社です。男性の育児休業取得も進んでいます。

指標実績基準時点
社員の男女比男性67.8%、女性32.2%2025年3月末
女性管理職比率15.7%2026年4月1日
男性育児休業等取得率86.0%2025年度
全労働者の女性賃金/男性賃金78.2%2025年度
正規雇用の女性賃金/男性賃金77.1%2025年度
パート・有期の女性賃金/男性賃金69.4%2025年度

数値はパナソニック ホールディングスの2025年度有価証券報告書に掲載されたPEX単独の指標です。

PEXの独自サイトでは、2025年4月1日時点の女性管理職比率を18.0%としています。最新の有価証券報告書では2026年4月1日時点で15.7%となっており、基準日や算定範囲の違い、または実際の低下が考えられます。本記事では法定開示で基準日が明確な15.7%を優先しました。

男性育児休業等取得率86%は高く評価できます。一方、正規雇用の女性の賃金は男性の77.1%で、22.9ポイントの差があります。

会社は、制度上は性別で賃金を変えていないと説明しています。賃金差は管理職比率、勤続、職種、役割などの構成差による可能性があります。しかし、人間への結果を見る審査では、理由が制度上の差別でないことだけでなく、実際の差が縮まっているかも重要です。

育児支援と管理職比率は良好ですが、賃金差が残るためBとしました。

口コミ・SNSの評判

口コミ・SNSランク:B(普通)

社員口コミは、会社が公表しにくい職場差を知るために使えます。ただし、投稿者は全社員の無作為抽出ではないため、個々の投稿を会社全体の事実と断定しません。

OpenWorkでは、社員口コミ283件をもとに総合評価3.16と表示されています。

評価項目OpenWorkの表示値
総合評価3.16
待遇面の満足度3.6
社員の士気2.5
風通しの良さ3.1
社員の相互尊重2.9
20代成長環境2.6
人材の長期育成2.7
法令順守意識4.8
人事評価の適正感2.7
月平均残業時間22.7時間
有給休暇消化率55.5%

法令順守意識と待遇は比較的高く、専門性やグループ全体へ関われる仕事を評価する声があります。

一方、社員の士気、若手の成長、人材育成、評価の納得感は高くありません。大きなグループを支える会社のため、意思決定が遅い、部門間の壁がある、成果が見えにくいと感じる人がいる可能性があります。

休暇についても、取りやすいという声と、職場によって仕事量が多いという声が混在しています。制度は整っているものの、利用しやすさや仕事の意味は部署によって差があると判断し、Bとしました。

※口コミ件数と点数は変動します。本記事では2026年7月30日に確認できた表示を使用しています。

情報公開

情報公開ランク:B(普通)

PEXは非上場会社としては、労働環境の数字を比較的多く公表しています。

社員数、男女比、勤続年数、職種比率、所定外労働時間、有休取得日数、育休、女性管理職、リモートワーク、副業の利用件数まで、PEX単独の数字を掲載している点は評価できます。

一方で、次の情報は不足しています。

  • 全社員の公式平均賃金と中央値
  • 雇用形態別・役職別の人数と賃金
  • 2025年度の所定外労働時間と有休取得日数
  • 部門別の長時間労働者数
  • PEX単独の離職率と人員増減
  • グループ人員削減によるPEXへの影響
  • AI・自動化後に削減した労働時間と、配置変更した人数
  • PEX単独の労働災害、休職、復職の指標

情報を隠していると断定することはできませんが、効率化を評価するために必要な「人への結果」が不足しています。そのためAではなくBとしました。

労働環境の総合評価

労働環境の総合ランク:B(普通)

PEXの給与、福利厚生、育児支援、柔軟な勤務制度は良好です。平均勤続年数も長く、専門職として安定して働いてきた人が多い会社です。

しかし、実際の所定外労働は月25時間で、有休取得率も約64%です。男女賃金差も残っています。

さらに、共通業務の自動化とグループの人員削減が同時に進む中、効率化の成果が社員の短時間労働、賃上げ、職種変更の支援へどれだけ還元されたかが見えません。

制度の豊富さだけならAに近いものの、人への結果と将来の安定性を含め、Bと評価します。

事業による人間への貢献

PEXは一般消費者向けの商品をほとんど持ちません。そのため、同社の貢献は見えにくいですが、パナソニックグループの商品と職場の裏側へ広く影響しています。

部品を安定して調達し、製品を運び、品質と法令を確認し、資金を管理し、人事制度を運用する仕事が止まれば、家電、電池、空調、電子部品などの事業も止まります。

一方、コストを減らし競争力を高めることが、そのまま人間への貢献になるわけではありません。本記事では、企業利益だけでなく、利用者、労働者、取引先で働く人へどのような効果があるかを見ます。

評価項目ランク評価の要点
経理・人事などの共通業務B事業継続と従業員制度を支えるが、人への成果が見えにくい
調達と取引先の人権B年間約1.2兆円の調達へ影響。人権確認を進めるが課題も残る
物流B安定供給、在庫、輸送負担の改善に貢献。労働者への効果は非公表
品質・製品安全B監査や法規支援を行うが、グループでは長年の品質不正が発覚
環境・デザイン・知的財産B環境対応、使いやすさ、技術開発を支えるが、成果の多くは間接的
IT・自動化B反復作業を減らせる一方、人員削減との関係が不透明
人間へ与えている損害・問題C雇用、取引先、品質への負の影響をPEX単独で把握しにくい
問題発生後の対応Bグループ規程、監査、調査、改善策はあるが予防に課題
事業による人間への貢献の総合評価B広い基盤を支えるが、人間の利益を示す成果指標が不足

経理・人事などの共通業務

評価:B(普通)

経理・財務は、会社の資金、決算、税務、投資、原価、監査を支えます。正確な経理がなければ、赤字や不正を早く発見できず、事業や雇用を守れません。

人事は、採用、育成、人員配置、評価、報酬、労務、育児支援などを通じ、グループで働く人の生活へ直接関わります。

パナソニックグループの人的資本に関する説明では、PEXがグループ共通の人事施策、事業会社への支援、共通基盤の提供を担うとしています。

共通業務を一社へ集めれば、会社ごとに同じ制度やシステムを作る無駄を減らし、専門人材の知識を広く使えます。小さな事業会社でも、大企業水準の人事、法務、経理支援を利用できる利点があります。

しかし、人事や経理の目的が人の生活を良くすることではなく、固定費削減だけに偏ると、削減対象を決める機能にもなります。

PEXは、共通業務によって給与計算の誤りを何件減らしたか、社員の手続き時間を何時間減らしたか、職場の不満や離職をどれだけ減らしたかといった成果を公表していません。重要な役割は認められますが、人への効果を確認しにくいためBです。

調達と取引先で働く人の人権

評価:B(普通)

PEXの調達部門は、年間約1.2兆円の部材調達に関わります。安い部品を買うだけでなく、品質、納期、供給の安定、災害時の事業継続、環境、人権も判断対象です。

PEX調達部門の公式説明では、集中契約、集中購買、調達DX、専門人材による改善を行うとしています。

大規模な購買力を持つ会社が、人権を守る企業を選べば、サプライチェーン全体の労働環境を改善できます。反対に、価格と納期だけを強く求めれば、取引先の低賃金、長時間労働、危険な職場を生む可能性があります。

パナソニックグループは、取引先行動規範、人権・労働、安全衛生、環境、倫理などを調達先へ求めています。責任ある調達活動では、自己評価や監査を通じて問題を確認し、改善を求める仕組みを公表しています。

2025年度には、外国人移住労働者を雇用する対象拠点への強制労働防止の対面研修実施率が81%でした。100%目標には届いていません。グループのマテリアリティ指標からも、人権対策が進行中であることが分かります。

調達の影響力と仕組みは評価できますが、取引先で働く人の賃金、労働時間、救済件数まで十分に示されていないためBとしました。

物流

評価:B(普通)

PEXの物流部門は、部材の調達から完成品の販売まで、国内外の物の流れを改善します。

適切な物流計画には、次のような人間への利益があります。

  • 必要な商品や部品が必要な場所へ届く
  • 欠品によって医療、空調、設備などが止まる危険を減らす
  • 不要な輸送と在庫を減らす
  • 荷待ち、再配達、緊急輸送などの負担を減らす
  • 輸送に伴う燃料消費と排出を減らす

一方、物流費の削減が、運送会社への低い委託料や無理な納期として現れれば、ドライバーや倉庫作業者の負担が増えます。

PEXの公式説明は、物流費削減、共通基準、物流基盤、IT活用、サプライチェーンの効率化を主に掲げています。しかし、協力会社の待機時間、残業、事故、賃金をどれだけ改善したかは確認できません。

安定供給への貢献は大きいものの、物流で働く人への結果が不足するためBです。

品質・製品安全

評価:B(普通)

PEXの品質・環境部門は、品質管理の仕組み、監査、診断、改善提案、人材育成、製品法規、化学物質規制などを支援します。公式の品質・環境部門紹介では、グループ外への支援も行うとしています。

品質管理は、単に返品を減らす仕事ではありません。発火、感電、故障、誤表示などから利用者を守る仕事です。世界各国の安全規則や環境規制を確認することも、人への被害を防ぐ役割を持ちます。

しかし、パナソニックグループでは品質管理の弱さを示す問題も起きています。

2024年、パナソニック インダストリーの電子材料で、UL認証登録の未実施、データ改ざん、監査用サンプルのすり替えなどが発覚しました。一部は1980年代から続いていました。同社の公式発表では、当初52品番で問題を確認し、外部調査委員会を設置しています。

不正を行った主体はパナソニック インダストリーであり、PEXではありません。ただし、PEXはグループ横断の品質支援と監査に関わる会社です。長期間の不正を予防・発見できなかった事実は、共通の品質機能にも改善余地があることを示します。

品質支援の範囲は広く重要ですが、予防の実効性に課題があったためBとしました。

環境・デザイン・知的財産

評価:B(普通)

PEXの環境部門は、環境戦略、温室効果ガス、製品の環境影響、各国規制への対応を支援します。環境負荷を下げることは、気候変動や汚染による健康被害を減らす点で人間への貢献になります。

デザイン部門は、見た目だけでなく、商品やサービスの使いやすさ、事業構想、将来像を形にする役割を持ちます。高齢者や障害のある人も使いやすい商品へつながれば、人への利益は大きくなります。

知的財産部門は、特許、商標、意匠、著作権、技術契約などを通じ、研究開発の成果を守ります。技術を守ることで投資を続けやすくし、他社との技術協力やライセンスにもつなげられます。

一方、特許やブランドを守ること自体は、主に企業の競争力を守る行為です。技術が実際に生活、安全、健康、労働負担の改善へ使われて初めて、人間への貢献として高く評価できます。

PEX単独では、各部門が人間の生活をどれだけ改善したかを示す共通指標がありません。役割の重要性を認めつつBとしました。

IT・AI・自動化

評価:B(普通)

PEXの情報システム部門は、グループ共通のIT基盤と業務改革を担います。

AIや自動化には、次のような利益があります。

  • データ入力や照合などの反復作業を減らす
  • 人為的なミスを減らす
  • 必要な情報を早く見つける
  • 危険または負担の大きい作業を機械へ移す
  • 人が判断、対話、改善、研究へ時間を使えるようにする

パナソニックグループの2025年度有価証券報告書では、日本地域の生成AI業務利用率が66%となり、現場の改善活動も進んだとしています。中国地域では、AI活用によって約73万時間の業務工数を減らしたと公表しています。

ただし、時間を減らした後に、人がどうなったかが重要です。

削減できた時間を休暇、短時間勤務、学習、研究へ回したのか。それとも同じ人数へさらに多くの仕事を与えたのか。人員を減らしたのか。配置変更した人の賃金を維持したのか。こうした点は十分に公表されていません。

技術の可能性は高く、実際に業務時間を減らした実績もあります。しかし、人間への配分が確認できないためBとしました。

人間へ与えている損害や問題

問題面の評価:C(やや悪い)

PEXの事業で特に注意すべきなのは、効率化が誰のために行われるかです。

問題人間への影響
共通業務の自動化反復作業を減らす一方、事務・専門職の雇用を減らす可能性
調達費の削減消費者価格を下げられる一方、取引先の賃金や安全を圧迫する可能性
物流費の削減無駄な輸送を減らす一方、運送会社へ負担を移す可能性
人事の効率化手続きを簡単にする一方、人を数字だけで判断する危険
品質機能の共通化専門知識を広く使える一方、現場から遠くなり問題を見逃す可能性
情報の集約判断を早くする一方、個人情報やサイバー攻撃の被害を大きくする危険

グループの1万2,000人削減を、すべてPEXの責任とすることはできません。しかし、PEXは改革、情報システム、人事、調達、物流など、人員と仕事の形を変える機能に深く関わります。

そのため、「当社は商品を作っていないから、人への損害もない」とは評価できません。

現時点では、PEXが直接引き起こした重大な消費者被害を確認したわけではありません。一方、雇用、取引先、品質への影響をPEX単独で追える情報も不足しています。負の影響を十分に確認できないこと自体を考慮し、問題面はCとしました。

問題発生後の対応

対応ランク:B(普通)

パナソニックグループには、品質、人権、調達、安全、法令順守、内部通報に関する規程と対応体制があります。

品質不正が発覚した際には、外部調査委員会を設置し、対象品番、期間、工場、問題の内容を公表しました。取引先への説明、認証機関への報告、原因調査、再発防止も進めています。

安全面では、重大事故を24時間以内に報告し、原因と対策をグループへ共有する仕組みがあります。取引先についても、自己評価や監査で人権・安全・環境上の問題を確認し、改善を求めています。

対応の仕組みと情報公開は評価できます。

しかし、品質不正が数十年続いたことや、2025年度に重篤・重大災害が8件発生したことを考えると、問題が起きた後の対応だけでなく、発生前に見つける力には課題が残ります。

また、人員削減については、対象者への金銭的な支援だけでなく、その後の生活、再配置、能力開発、所得の維持まで確認できる情報が不足しています。

対応は一定水準にあるものの、予防と人への長期的な支援に改善余地があるためBとしました。

事業による人間への貢献の総合評価

事業による人間への貢献の総合ランク:B(普通)

PEXは、パナソニックグループの商品を利用者へ届けるために欠かせない会社です。

経理、調達、物流、品質、人事、法務、知的財産などを一社へ集めることで、専門知識を複数の事業会社で利用し、重複する業務を減らせます。取引先の人権や製品安全へ与える影響も大きく、適切に機能すれば広い範囲の人を守れます。

一方、公式に示される成果は、コスト、効率、競争力、業務時間の削減が中心です。

人間への貢献としてAにするには、効率化によって社員や取引先の労働時間がどれだけ減ったか、賃金や休暇がどう改善したか、配置変更後も生活が守られたかまで示す必要があります。

重要な基盤を支える会社ですが、人間への最終的な効果が十分に見えないためBと評価します。

パナソニック オペレーショナルエクセレンスのシビックカンパニーランク

シビックカンパニーランク:B(普通)

最終評価ランク
労働環境B(普通)
事業による人間への貢献B(普通)
シビックカンパニーランクB(普通)

PEXは、待遇の悪い業務請負会社ではありません。

専門職を中心に1,903人を雇用し、2026年の学部卒初任給は月28万7,000円です。企業年金、住宅支援、フレックス、リモートワーク、社内外の複業、育児・介護支援もあります。平均勤続年数は男女とも18年を超え、男性育児休業等取得率も86%です。

また、年間約1.2兆円の調達、グループ全体の物流、品質、人事、経理、知的財産などを支える役割には、大きな社会的意義があります。

しかし、次の理由からAにはしませんでした。

  1. 公式の平均月間所定外労働時間が25時間ある
  2. 有給休暇取得率が63.9%で、付与された休暇を十分に使えていない
  3. 正規雇用の男女賃金比率が77.1%にとどまる
  4. 口コミでは法令順守は高いが、士気、若手育成、評価の納得感が弱い
  5. グループの1万2,000人削減と、PEXの効率化・自動化の関係が見えない
  6. 自動化で減らした時間が、休暇、賃上げ、研究、能力開発へ還元されたか不明
  7. 取引先で働く人の賃金、労働時間、救済結果まで確認できない
  8. グループの品質不正を長期間予防できなかった

Aランクになるために必要なこと

PEXがAランクになるためには、制度を増やすだけでなく、効率化の利益を人へ返したことを示す必要があります。

改善項目公表・実行してほしい内容
労働時間部門別の所定外労働、長時間労働者数、削減目標
休暇有給取得率80%以上を目指し、部署差も公表
賃金平均だけでなく、中央値、雇用形態別、役割別の賃金
男女差賃金差の原因と、管理職登用・職種差を縮める計画
自動化削減した業務時間と、その時間を何へ振り向けたか
雇用自動化後の配置変更人数、賃金維持率、学習支援、離職
取引先労働時間、賃金、安全、人権侵害、救済の成果
品質監査件数だけでなく、問題の早期発見率と再発状況
社員参加効率化や人員方針を社員と労働組合が決める仕組み
人間への成果コスト削減とは別に、生活、健康、時間、安全の改善を測る指標

PEXが自動化によって人を不要にする会社ではなく、人を反復作業から解放し、改善・研究・創造へ移す会社になれば、シビックドライブが重視する人間への貢献に近づきます。

調査上の注意

  • PEXは非上場会社であり、上場企業と同じ範囲の単体情報を公表する義務はありません。
  • 公式の労働時間は2023年度、有休は2024年度など、指標によって対象時期が異なります。
  • グループ全体の数値を使用した箇所は、PEX単独の実績と明確に分けました。
  • 1万2,000人の削減はパナソニックグループ全体の数字であり、PEX単独の削減人数ではありません。
  • 口コミサイトの数字は回答者の構成に左右され、全社員を代表する公式統計ではありません。
  • ランクは、公開情報を人間への利益と損害という基準で評価した本サイト独自の判定です。
  • 新しい開示、事故、制度変更、組織再編が確認された場合は評価を更新します。

主な参照資料

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