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キリンディスティラリー株式会社の企業審査|総合65点・シビックランクC|約100台の安全見守りと年休123日を評価、女性経営職0%・復旧実績の非公表が課題

ウイスキーや缶チューハイを店頭で手に取るとき、その一本がどこで、どんな働き方によってつくられているかまで意識することは多くありません。しかし、蒸留酒の製造では高温設備やアルコールを扱い、缶チューハイやミネラルウォーターの製造では夜間を含む交替勤務も発生します。安全管理が弱ければ働く人が負担を負い、製造設備が止まれば商品供給にも影響します。

キリンディスティラリー株式会社は、静岡県御殿場市の富士御殿場蒸溜所で、モルトウイスキーとグレーンウイスキーの仕込みから発酵、蒸留、熟成、ボトリングまでを一貫して行い、缶チューハイやミネラルウォーターも製造する会社です。現在の求人では、蒸留担当者が製造PCへ予定を入力し、設備を巡回し、現場で機械を操作し、蒸留度合いを分析するところまで仕事内容が確認できます。

審査で特に評価できたのは、安全対策を理念だけで終わらせず、富士御殿場蒸溜所で約100台のスマートウォッチを本格運用し、転倒、熱中症予兆、体調変化を検知する仕組みを導入していることです。年間休日123日、現在の製造系求人で残業月10~20時間程度、法定開示で男性育児休暇取得率100%といった具体的な数字も確認できました。

一方、2025年を対象とする法定開示では女性経営職比率が0.0%、男女賃金差異は全労働者73.9%、正規雇用労働者75.8%でした。2026年の会社単体ベースアップ額、会社単体の最新休業災害度数率、危機発生時の目標復旧時間や実際の復旧実績も公開情報では確認できませんでした。

100点制・第1版で採点すると、Safety 33点、Innovation 19点、Protection 13点、合計65点です。総合シビックランクはCとします。

評価時点:2026年9月18日
適用基準:100点制・第1版

目次

結論:総合65点・シビックランクC

評価軸得点主な評価
Safety33/50年休123日、男性育休100%、安全見守り約100台を評価。女性経営職0%、男女賃金差、会社単体の労災指標不足が課題
Innovation19/25転倒・熱中症予兆を検知する安全技術、設備増強、現場改善の仕組みを評価。改善による時間・利益の還元KPIは不足
Protection13/25グループBCP、RTDの複数工場生産、サイバー対策、過去の災害時飲料支援を評価。会社単体の復旧時間・復旧実績は非公表
総合65/100シビックランクC

この会社は「キリングループだから高評価」としたわけではありません。キリンビールやキリンホールディングスの制度を、そのまま子会社の実績として扱っていません。グループ共通施策しか確認できない部分は「グループ共通」と明記し、キリンディスティラリー自身の数値や実績と分けています。

基本情報

項目内容
会社名キリンディスティラリー株式会社
設立1972年8月
所在地静岡県御殿場市柴怒田970
代表者代表取締役 岡田義宗
資本金1,000万円
出資比率キリンビール株式会社100%
事業内容酒類・清涼飲料の製造
従業員数194名、2023年12月31日時点の会社公式値
主な事業拠点富士御殿場蒸溜所
上場区分非上場、キリングループの連結子会社

会社公式ページの従業員数は194名で、時点は2023年12月31日です。一方、GビズINFOが職場情報総合サイト由来として表示する従業員数は190人です。時点や集計範囲が異なる可能性があるため、二つの数字を混ぜず、基本表では会社が明示する194名を使いました。

情報ランク:A。GビズINFOの法人・職場情報部分はS相当として補助確認しています。

主な業務内容と国内拠点

この会社を理解するうえで重要なのは、「ウイスキーをつくる会社」という一言で終わらせないことです。富士御殿場蒸溜所では、原料を仕込み、発酵させ、蒸留し、長期間熟成させ、最終製品としてボトリングするまで複数の仕事があります。さらに、同じ御殿場拠点で缶チューハイやミネラルウォーターの製造も行っています。

ウイスキーの仕込み・発酵・蒸留

現在募集されている蒸留工程の製造スタッフでは、担当者は単に蒸留器の横に立つだけではありません。

  • 製造PCへ生産予定を入力する
  • 計画通りに設備が動いているか監視する
  • 現場を巡回して設備の状態を確認する
  • 仕込み、発酵、蒸留に関わる製造オペレーションを行う
  • 蒸留の進み具合を分析する
  • PC操作だけでなく現場で機械を動かす
  • 経験を積んだ後は工程改善の提案にも関わる

求人では蒸留チームを9人とし、そのうち20代1人、30代5人としています。勤務は7時30分~16時、15時~23時30分、23時15分~翌7時45分、8時30分~17時を組み合わせた交替制です。

ウイスキー製造では、モルト原酒だけでなくグレーン原酒もつくります。富士御殿場蒸溜所では、モルト用のポットスチルに加え、グレーン用にマルチカラム、ケトル、ダブラーという異なる方式の蒸留設備を使い分けています。現在の工場見学では6基のポットスチルを確認でき、増設したポットスチルも公開されています。

情報ランク:A~B。製造工程・設備はキリン公式情報、現在の勤務内容は対象企業名義の求人を中心に確認しました。

熟成・貯蔵

蒸留した原酒は樽に詰め、熟成庫で年単位の時間をかけて熟成させます。2019年に約80億円の設備増強が発表され、樽熟成庫のリニューアル・大型化で保管能力を約2割増やし、小型発酵タンク4基、蒸留器2系列4基を導入する計画が示されました。

この設備は計画だけで終わっていません。2022年のキリン公式発表では、約80億円の設備増強を実施し、2021年から稼働を開始したこと、熟成庫の保管能力を約2割増強し、小型発酵タンク4基と蒸留器2系列を新たに導入したことが確認できます。

ここで重要なのは、「80億円投資したからInnovationが高い」とは評価しないことです。公開情報から確認できる具体的成果は、熟成できる原酒の保管量が増え、異なるタイプの原酒をつくる発酵・蒸留設備が増えたことです。一方、設備増強によって作業人数が何人減ったのか、重労働が何時間減ったのか、従業員の賃金や労働時間へどれだけ還元されたのかは会社単体の数値を確認できません。

情報ランク:A。

缶チューハイ・ミネラルウォーターの製造

富士御殿場蒸溜所はウイスキー専用工場ではありません。現在の採用情報では、缶チューハイやミネラルウォーターの製造オペレーターも募集されています。

現在の製造オペレーター求人で具体的に確認できる作業は次のとおりです。

  • 缶チューハイ製造ラインの工程を監視する
  • ミネラルウォーター製造ラインの工程を監視する
  • PETボトル成形ラインを担当する
  • 製造設備をメンテナンスする
  • 機械を操作する
  • 異常がないか工程を確認する

入社後は約3カ月のOJTがあり、先輩オペレーターが横について仕事を教える期間があるとされています。ハローワーク由来の2026年9月求人では、業務の変更範囲として製造担当、事務員、品質保証も示されています。

勤務は3交替を含み、2026年の求人では7時~15時30分、15時~23時30分、23時~翌7時30分、8時~16時30分の時間帯があります。深夜帯は公共交通機関がないため自動車通勤が必須とする求人も確認できます。これは「交替勤務あり」という一言だけでは見えない、働く人の通勤条件です。

主な製造品として「キリン 氷結」「キリン 本搾りチューハイ」「麒麟特製レモンサワー」などの缶チューハイと「キリン 自然が磨いた天然水」が求人で示されています。

情報ランク:A~B。会社採用サイト、ハローワーク由来求人、現在の求人媒体で確認しました。

工場設備エンジニア

製造担当者とは別に、設備そのものを更新・改善するエンジニアも働いています。2026年のプラントエンジニア求人では、ウイスキーや飲料水の製造環境を最適化する仕事として募集されています。

確認できる仕事は、単なる故障修理ではありません。

  • 製造現場の課題を見つける
  • 設備更新や改善策を検討する
  • 設備投資の予算を組む
  • 基本計画や仕様をまとめる
  • 工事を発注する
  • 工事中の施工管理を行う
  • 蒸留・熟成・貯蔵設備を扱う
  • ボイラーや冷却設備など製造を支える設備も扱う

つまり、製造担当者が日々設備を運転し、エンジニアが工程や設備を更新するという役割分担があります。Innovationを「新しい機械を買った」で終わらせず、誰が改善を実行するのかまで確認できる事例です。

情報ランク:B。

主な利用企業・取引先の例

公開情報だけで取引契約の全体像を確認することはできませんでした。確認できない会社名を無理に3社へ増やさず、製造品や販売主体との関係を確認できる範囲だけ示します。

利用企業・関係先確認できた関係キリンディスティラリーが担う具体的な仕事
キリンビール株式会社100%株主。「富士」「陸」、RTDなどキリンビールが販売する商品の製造場所として富士御殿場蒸溜所が明記されるウイスキー原酒の製造・熟成・ボトリング、缶チューハイ製造
キリンビバレッジ株式会社「キリン 自然が磨いた天然水」はキリンビバレッジの商品で、キリンディスティラリーの現在求人では主な製造品に掲載ミネラルウォーター製造。ただし法人間の契約条件は非公表
一般消費者への直接販売「人生を共に生きるウイスキー」では特定商取引法表示上、キリンディスティラリー自身が販売業者富士御殿場で原酒を熟成し、ウイスキー等を販売する

3番目は法人顧客ではありません。企業名を埋めるために架空の取引先を加えるより、同社が製造受託だけでなく一部事業では販売業者にもなることを示す方が実態に近いと判断しました。

事業による人間への貢献

飲料を実際につくる製造拠点としての役割

キリンディスティラリーの社会的な役割は、ブランドを管理することより「実際に製品をつくること」にあります。とくに缶チューハイでは、2026年の「氷結」「氷結無糖」大規模リニューアル商品について、キリンビールの仙台、取手、横浜、名古屋、岡山、福岡など複数工場と並び、富士御殿場蒸溜所が製造予定工場に含まれる商品があります。

これは一つの商品を全国へ供給する際、御殿場の製造能力が実際の供給網の一部になっていることを意味します。ただし、商品によって製造工場は異なり、すべての「氷結」を富士御殿場で製造しているわけではありません。

ミネラルウォーターも製造しており、酒類だけでなく日常的な水分補給に使われる清涼飲料をつくる機能を持っています。酒類は過剰摂取による健康リスクがあるため、酒の販売量が多いこと自体を「人間への貢献」として高く評価することはしません。一方、安全な製造、品質維持、飲料の安定供給、地域雇用といった製造機能は人間への具体的な貢献として評価できます。

ウイスキーを一つの場所で仕込みからボトリングまで行う

富士御殿場蒸溜所は、モルトとグレーンの双方を一つの拠点で製造し、仕込み、発酵、蒸留、熟成、ボトリングまで行います。

モルトウイスキーでは銅製ポットスチルを使います。グレーンウイスキーではマルチカラム、ケトル、ダブラーという3タイプの蒸留設備を使い分けます。この「3種類のグレーン原酒を一つの蒸溜所でつくり分ける」設備構成が、2026年9月18日に発表された「富士 12年」の製品設計にも使われています。

こうした技術の蓄積は文化・技能面の価値があります。ただし、企業審査では高級酒をつくれることだけで高得点にはしません。そこで働く人への還元や安全、危機時の供給継続まで含めて評価します。

地域への具体的な災害支援

地域貢献については、理念だけでなく実際の行動を確認できました。

2011年3月31日、東日本大震災を受けて御殿場市が宮城県柴田町へ送った第2便の災害支援物資に、キリンディスティラリーが提供したミネラルウォーターが積み込まれています。これは御殿場市が公開している記録で確認できます。

15年以上前の実績なので、これだけで現在の災害対応能力を満点評価することはできません。しかし「災害時に飲料水を提供する」という役割が実際に一度は行動として確認できる点は、抽象的な地域貢献方針より重い事実です。

情報ランク:S。

代表業務:ウイスキー製造を審査

代表業務は、富士御殿場蒸溜所でのウイスキー製造とします。

この仕事の特徴は、原料を入れて機械を動かせば終わる大量生産ではない点です。仕込み、発酵、蒸留、熟成、ブレンド、ボトリングの各段階で状態を管理する必要があります。現在の蒸留担当求人でも、生産PCへの予定入力、設備巡回、製造操作、蒸留度合いの分析が仕事として明示されています。

さらに、設備エンジニアは蒸留・熟成・貯蔵設備、ボイラー、冷却設備を対象に、課題抽出から設備更新の構想、仕様、発注、施工管理まで担当します。製造担当者と設備担当者が別の役割を持ち、製造条件と設備状態を維持していることが分かります。

2019年に発表された約80億円の増強は2021年から稼働し、熟成庫能力約2割増、小型発酵タンク4基、蒸留器2系列の追加まで実施されています。現在の見学案内でも、増設したポットスチルや木桶発酵槽を確認できます。

一方で、ウイスキー製造の中核機能が御殿場に集中していることはProtection上の弱点にもなります。RTDは複数工場で同一商品を生産できる例がありますが、キリンのウイスキーづくりの拠点として富士御殿場が担う熟成原酒を、災害直後に別工場で短期間に再現することは構造上難しいと考えられます。これは「BCPがない」という断定ではなく、長期熟成品に固有の集中リスクです。

労働環境

製品が高品質でも、夜勤や危険作業を担う人の待遇が悪ければ、人間への貢献が十分とはいえません。ここでは会社全体の平均だけでなく、現在募集されている蒸留担当、缶チューハイ・水の製造、設備エンジニアなど、職種ごとの働き方を分けて確認します。

賃金・賞与

2026年9月時点の蒸留工程の正社員求人では、月給20万1,000円~29万5,000円です。

缶チューハイ・ミネラルウォーター製造オペレーターでは月給21万500円~41万円です。別求人では年収例として、25歳製造職が月給23万2,500円に残業代・交替勤務手当を加えて年収510万円、30歳製造職が月給25万2,500円に残業代・交替勤務手当を加えて年収540万円とされています。

設備エンジニア求人では基本給25万円~35万5,000円程度、賞与は2025年度実績5.3カ月分、年間休日123日とされています。蒸留スタッフの別媒体求人では前年賞与5.4カ月分とされており、職種や掲載時期が異なるため、5.3~5.4カ月を全社員一律の支給実績とは扱いません。

2026年春闘については、キリンディスティラリー労働組合がフード連合の2026春闘関連会合に参加していることは確認できました。しかし、キリンディスティラリー既存社員の会社単体ベースアップ額は、十分に検索した今回の公開範囲では確認できませんでした。親会社キリンビールや他のキリングループ会社の賃上げ額は、この会社のベアとして代用していません。

情報ランク:B。労組参加は労組側の公式情報としてB、求人は会社名義でも媒体掲載条件を含むため主にBとして扱います。

交替勤務・残業・休日

蒸留工程は交替勤務です。2026年9月の求人では次の時間帯が示されています。

  • A:7時30分~16時
  • B:15時~23時30分
  • C:23時15分~翌7時45分
  • D:8時30分~17時

勤務サイクルの例は、Aを4勤して1休、Cを4勤して2休、Bを4勤して2休、Dを2勤して1休です。1日の所定労働時間は7時間30分、1カ月の平均所定労働時間は151時間、残業は月平均10~20時間程度とされています。

缶チューハイ・ミネラルウォーター製造では、

  • A:7時~15時30分
  • B:15時~23時30分
  • C:23時~翌7時30分
  • D:8時~16時30分

で、Cを4勤・2休、Bを4勤・2休、Aを4勤・1休、Dを2勤・1休というサイクル例です。こちらの残業は月平均10~15時間程度です。

年間休日は123日です。半日有休、積立休暇、慶弔休暇、産前産後休暇、育児休暇、介護休暇があり、30歳・40歳・50歳の節目には5日間のリフレッシュ休暇があります。採用サイトでは土日や有休を組み合わせ最大14日の連休も可能としています。

数字だけを見ると休日は一定水準にありますが、23時台から翌朝まで働く勤務が含まれます。また、夜勤時間帯に公共交通機関がないため自動車通勤を必須とする現在求人もあります。夜勤による睡眠負担、通勤負担、部署ごとの実際の有休取得率を会社単体の最新KPIとしては確認できませんでした。

情報ランク:A~B。

育児・男女格差

2025年を対象とする法定開示では、キリンディスティラリーの男性育児休暇取得率は100.0%でした。

一方、同じ開示で女性経営職比率は0.0%です。男女賃金差異は、男性を100としたとき、

  • 全労働者:73.9%
  • 正規雇用労働者:75.8%
  • パート・有期労働者:84.8%

でした。

男女賃金差があることだけで、「同じ仕事をする女性に男性より低い賃金表を適用している」と断定はできません。等級、職種、勤続年数、交替勤務、管理職比率など人員構成でも差は生じます。ただし、女性経営職比率0%と正規雇用の賃金比率75.8%が同時に確認されるため、女性がどの職種・等級まで配置され、昇進しているのかは重要な課題です。

情報ランク:S。法令に基づく有価証券報告書の連結子会社別開示を確認しました。

福利厚生・人材育成

現在の求人で確認できる制度には、住宅賃借料補助、引越手当、通勤時の高速道路料金支援、退職金、従業員持株制度、財形制度、資格取得支援、インフルエンザ予防接種補助、置き型社食、制服貸与などがあります。

蒸留担当では、入社後3~4日間に工場見学、座学、安全教育を受け、その後は先輩社員について各工程を学びます。業務に必要な資格は入社後に会社負担で取得できるとされ、求人で歓迎資格として次が挙げられています。

  • 酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者
  • 危険物取扱者乙種第4類
  • フォークリフト免許
  • 食品衛生、品質管理、設備保全に関する経験

資格名を見るだけでも、製造現場が危険物、酸欠リスク、設備、運搬を伴う仕事であることが分かります。安全教育を記事では単に「充実」と書かず、入社直後の安全教育と必要資格まで具体化して評価します。

労働組合

フード連合の加盟組合一覧には「キリングループ労働組合連合会 キリンディスティラリー労働組合」が掲載されています。2026年2月の中部ブロック中小労組代表者会議、2026年の飲料ビール部会情報交換会にも参加しており、現在活動する組合であることを確認できます。

ただし、労組が存在することだけで労使関係を満点にはしません。会社単体の組合加入率、2026春闘の具体的な妥結額、ハラスメント相談件数、内部通報件数、通報後の是正実績は公開情報から確認できませんでした。

情報ランク:B。労働組合側の公開情報です。

従業員・元従業員の口コミ

口コミは公式制度だけでは見えない現場感を知るために確認しましたが、キリンディスティラリーでは投稿の古さに注意が必要です。

Indeedでは、2021年1月24日の元契約社員・酒類製造・御殿場勤務の口コミが1件確認できます。社員と契約社員の双方が研修へ参加でき、立場を分けず話しやすかったという趣旨の肯定的な内容です。

一方、同じ元従業員によるIndeedのQ&Aには、女性の現場契約社員について、本人が正社員化や部署異動が難しいと受け止めたという不満があります。これは1人の2021年の経験談であり、現在の制度や契約社員全体の扱いとして断定はできません。

転職会議には125件の口コミがあり、サイト上の投稿者データ集計では残業10時間/月、有給消化率100%と表示されています。しかし、これは会社公式の全社員実績ではありません。

2017年ごろの正社員・生産技術の口コミでは、残業を強要する雰囲気はなく、有休も取りやすい一方、部署によって人員が少ないことや交替勤務によって休みを取りにくい場合があるという趣旨の投稿が確認できます。2015年ごろの非正社員の口コミには、三交替手当で月収が増える一方、正社員登用や正社員との手当差への不満が記載されています。

これらは現在から9~11年以上前の投稿です。現在の2026年正社員求人とは雇用区分も制度時点も違うため、現在の労働条件を決める主要根拠にはしません。ただし、過去に非正規からの登用や待遇差への不満が投稿されていたことは、法定開示のパート・有期雇用賃金差とあわせ、雇用区分別の最新情報を今後確認すべき理由になります。

OpenWorkとエンゲージ会社の評判についても対象企業名で検索しましたが、今回の公開検索範囲では現在の対象法人・富士御殿場製造現場について本文を安定して確認できる有用な口コミを取得できませんでした。

情報ランク:C。

Safety:33/50

Safetyでは、働く人の賃金・時間・雇用・安全と、利用者へ届ける商品の安全を見ます。キリンディスティラリーでは深夜交替勤務という負担がある一方、事故を起こしてから対応するだけでなく、ウェアラブル端末で熱中症や転倒を早期検知する具体策があります。

約100台のスマートウォッチで転倒・熱中症を見守る

2021年7~10月、富士御殿場蒸溜所では安全見守りサービス「Work Mate」の実証実験を行いました。実証段階では1工場当たり6人が勤務中にスマートウォッチを装着し、次の3項目を検証しています。

  • 転倒検知
  • 健康検知として熱中症予兆・体調変化を検知
  • 操作性

着用した従業員から、転倒時に管理者へ通知されることで安心感が増す、端末が軽く違和感が少ないという趣旨の反応が得られ、熱中症や転倒への早期対応に一定の有効性を確認したとして、2022年6月から富士御殿場蒸溜所で約100台を本格運用しています。

ここは「安全に配慮している」という抽象表現ではありません。6人で実証し、転倒、熱中症予兆、体調変化を検証し、その後約100台を実運用したところまで確認できます。夜勤や設備巡回を伴う製造現場で、異常を本人の自己申告だけに頼らず管理者へ知らせる仕組みを追加した点を評価します。

一方、導入後に熱中症件数が何件減ったか、転倒事故が何%減ったか、救護までの時間が何分短縮されたかという会社単体の効果測定値は確認できませんでした。この未公表部分があるため、導入台数だけで満点にはしません。

情報ランク:A。

毎月の安全衛生委員会と職場巡視はあるが、会社単体LTIRが不足

キリングループでは、各事業場が毎月安全衛生委員会を開催し、職場巡視によって危険箇所や健康障害につながる要因を確認・改善すると説明しています。安全衛生活動の対象にはパートナー会社、業務委託会社、協力会社従業員も含める方針です。

グループは休業災害度数率LTIRの目標を設定し、対象会社としてキリンディスティラリーを明記しています。しかし公開ページで示されるのはグループ目標であり、キリンディスティラリー単体の最新LTIR、休業災害件数、死亡災害件数を分離して確認できませんでした。

会社名と富士御殿場蒸溜所名を使い、「労災」「死亡事故」「書類送検」「火災」「爆発」等でも追加検索しましたが、今回の公開検索範囲で現在の対象法人について重大事故を裏づける公的資料・信頼できる報道は確認できませんでした。ただし、「検索で重大事故が見つからない」と「事故ゼロ」は同じではありません。

情報ランク:A。重大事故検索は確認結果であり、情報自体が得られないため情報ランクは付けません。

商品安全

キリングループの国内酒類・飲料事業では、原材料調達から開発、製造、物流、販売まで品質保証の仕組みを設け、内部監査や食品安全教育を行っています。

2026年6月1日時点の主要生産拠点の食品安全認証一覧では、キリンビールのFSSC22000取得状況が11/11、キリンビバレッジが3/3などと表示されています。ただし、キリンディスティラリー富士御殿場蒸溜所の認証名を法人・拠点別に独立して特定できる表記ではありません。

そのため本記事では、「富士御殿場蒸溜所がFSSC22000を取得している」と推測で補いません。グループ品質保証体制が適用されることは評価しつつ、対象拠点自身の認証状況は公開表から判別できないという扱いにします。

今回の重大問題検索では、キリンディスティラリーを製造主体とする近年の大規模回収・重大行政処分を裏づける資料も確認できませんでした。ただし、これも「重大事故が絶対にない」という証明ではありません。

Safety採点

項目点数根拠
賃金・利益の還元6/10現行給与レンジ、交替勤務手当を含む年収例、賞与実績は具体的。2026年の会社単体ベアと利益還元KPIは未確認
労働時間・休息6/10所定7.5時間、年休123日、残業10~20時間程度。一方で深夜3交替と自動車通勤負担がある
雇用安定・待遇公平性2/5正社員採用は継続。一方、女性経営職0%、男女賃金差、雇用区分別の最新待遇詳細に課題
福利厚生・育児・介護4/5男性育休100%、住宅支援、資格支援、リフレッシュ休暇等を確認
人権・ハラスメント・労使関係3/5独立した労組の現在の活動を確認。会社単体の相談・通報・是正実績は未確認
労働安全・健康8/10Work Mate約100台を実運用し、毎月の安全衛生委員会・巡視もグループ制度として確認。会社単体LTIRと事故減少効果は不足
商品・サービス安全4/5グループ品質保証・監査・教育体制あり。富士御殿場単体の認証状況は公開表から判別できず
合計33/50

Innovation:19/25

Innovationは設備投資額の大きさではなく、実際に人の負担や危険を減らしたか、品質や利用者体験が改善したか、その成果が人へ戻っているかを見ます。

安全技術は人へ直接戻っている

Work MateはInnovationでも重要です。これは単に「DXを導入した」という話ではありません。

従来、製造現場で作業者が転倒したり熱中症の兆候が出たりした場合、本人や周囲が気づき、連絡する必要があります。Work Mateでは作業者がスマートウォッチを装着し、転倒や脈拍等から読み取る健康変化を検知して管理者へ知らせます。

実証では1工場6人が着用し、その後富士御殿場では約100台へ拡大しました。つまり「実験した」で止まらず、現場運用へ移っています。危険検知を人の目と自己申告だけに依存しない設計になったことは、改善成果が働く人へ直接返った具体例です。

ただし、何人分の巡回が不要になった、休業災害が何件減った、残業が何時間減ったという結果は公開されていません。安全技術の導入は評価しますが、定量的な人間への還元を推測で補ってはいません。

80億円設備増強で何が実際に変わったか

2019年に発表された約80億円の設備増強は、2021年から実際に稼働しました。

具体的には、

  • 樽熟成庫をリニューアル・大型化し、保管能力を約2割増やした
  • 小型発酵タンクを4基導入した
  • 蒸留器を2系列追加した
  • 現在は増設したポットスチルを工場見学で確認できる

という変化があります。

設備投資によって多様なモルト原酒をつくる余地と、長期熟成させる保管能力が増えています。一方で、従業員の手作業をどの工程で何時間削減したのか、配置をどう変えたのか、増えた生産性を賃金や勤務時間へどれだけ戻したのかは確認できません。

したがって、設備投資の金額そのものではなく、確認できた生産・商品面の変化だけを評価します。

現場改善を仕事として組み込む

現在の蒸留担当求人では、仕事に慣れた後に改善提案も担当すると明記されています。

設備エンジニアも、現場の課題抽出、設備投資の検討、仕様作成、発注、施工管理まで担当します。改善が経営層の掛け声だけでなく、製造職・技術職の日常業務に組み込まれていることが分かります。

ただし、「現場提案が年間何件採用されたか」「改善で削減した総労働時間」「改善後に別の高付加価値業務へ何人配置したか」といった会社単体KPIは確認できませんでした。

商品・サービスの改善

2026年には、12年熟成のシングルグレーン「富士 12年」を海外と国内空港免税店で先行発売することが発表されました。また「人生を共に生きるウイスキー」では、2019~2026年に蒸留した原酒から選び、富士御殿場の樽で20年間熟成させるサービスが本格事業化されています。

これは従来の完成品販売とは異なり、熟成の時間そのものを利用者体験として提供する取り組みです。ただし酒類サービスなので、販売拡大を健康への貢献として扱ってはいません。

Innovation採点

項目点数根拠
作業負担・危険の削減8/10Work Mate約100台で転倒・熱中症予兆等を検知し本格運用。事故減少数・救護時間短縮値は非公表
商品・サービス改善4/5多様な蒸留設備、12年熟成品、長期熟成サービスなどを継続
改善成果の人間への還元3/5安全技術は作業者へ直接還元。賃金・時短・配置への定量還元は不明
研究開発・現場改善の継続4/5改善提案と設備改善を製造職・技術職の通常業務として確認
合計19/25

Protection:13/25

富士御殿場蒸溜所が止まったとき、酒類や飲料の供給をどう守るのか。さらに災害時に従業員と地域住民をどう守るのかを確認します。

グループBCPはオールハザード型

キリングループは自然災害、感染症、サイバー攻撃などを個別に考えるだけでなく、従業員や設備、本社機能などの経営資源を失う事態を想定したオールハザード型BCPを整備しています。

現在のリスクマネジメント説明では、グループ会社とキリンホールディングスが相互に報告・支援し、初動対応と復旧計画を定期的に見直し、首都圏直下地震や南海トラフ地震などを想定したグループ横断訓練を行うとしています。国内食領域では復旧目標時間を設定する考え方も公表されています。

ただし、キリンディスティラリー富士御殿場蒸溜所自身の目標復旧時間が何時間・何日なのかは公開されていません。グループにBCPがあることと、対象会社の復旧能力を定量的に検証できることは分けて評価します。

情報ランク:A。

RTDは複数工場で製造できるが、ウイスキーは御殿場に集中

2026年の「氷結」「氷結無糖」の製造予定工場を見ると、多くの商品でキリンビールの複数工場と富士御殿場蒸溜所が並んでいます。

このため、少なくとも一部RTDでは通常時から生産拠点が御殿場だけに集中していません。これは供給分散に有利な構造です。

ただし、「複数工場で通常生産している」ことと「御殿場が停止したときに他工場が即時に全量代替できる」ことは同じではありません。他工場の余力、原材料、缶資材、物流、切替時間は公開されていないため、非常時の完全代替までは断定しません。

ウイスキーについてはさらに代替が難しい構造です。富士御殿場では仕込みから長期熟成まで一貫して行い、12年熟成品のように長期間保管した原酒を使います。設備や熟成庫が大きな被害を受けた場合、その時点で失った長期熟成原酒を別拠点で短期間に再生することはできません。

サイバー対策はグループ共通

キリングループはKIRIN-CSIRTを設置し、SOCと連携した監視、機械学習機能を持つセキュリティツール、多層防御、サイバー保険などを整備しています。各事業会社に情報セキュリティ管理者を置き、工場を含む各拠点にも管理担当者を置くと説明しています。

これはキリンディスティラリーが属するグループ共通統制として評価できます。

一方、富士御殿場蒸溜所について、製造制御系ネットワークを事務系ネットワークからどう分離しているか、オフラインバックアップがあるか、復旧訓練で何時間以内に製造を再開できたかといった会社・工場単体の情報は確認できませんでした。

情報ランク:A。対象会社固有ではなくグループ共通施策であることを明記します。

災害時の市民対応には実績がある

2011年の東日本大震災では、御殿場市が宮城県柴田町へ送った災害支援物資に、キリンディスティラリー提供のミネラルウォーターが含まれていました。

これは実際の危機時に製造会社の機能を地域支援へ使った実績です。ただし15年以上前の事例であり、現在の備蓄量、出荷可能量、何時間以内に供給するかという最新の能力値は確認できません。

そのため「危機時の市民への対応」は実績を評価しつつ、満点にはしません。

情報ランク:S。

会社単体の復旧実績は確認できない

今回の調査では、キリンディスティラリー単体について、

  • 災害時のRTO
  • 富士御殿場蒸溜所の復旧訓練達成時間
  • 大規模停電からの実復旧時間
  • 地震等で製造停止した場合の再開までの実績
  • サイバー攻撃を受けた場合の製造復旧時間

を公開情報から確認できませんでした。

グループBCPが存在するため「復旧策を持っていない」とは断定しません。しかし本審査基準では、重要な復旧能力が十分な調査後も具体的に公開されていない場合、供給継続・復旧能力を0点とします。

これは「キリンディスティラリーは復旧できない」という意味ではなく、「外部から復旧能力を検証できる会社単体の実績・時間が非公表」という評価です。

Protection採点

項目点数根拠
災害への備え・訓練3/5グループのオールハザードBCP・横断訓練を確認。富士御殿場単体の訓練結果は未確認
生産・物流・調達の代替3/5RTDは複数工場生産。一方、長期熟成ウイスキーは御殿場への集中リスクがある
サイバー防衛・情報保護4/5KIRIN-CSIRT、SOC、多層防御、拠点管理者等を確認。工場単体のOT分離・復旧試験は不明
供給継続・復旧能力0/5RTO、復旧訓練達成値、実災害からの復旧時間を十分な調査後も確認できず
危機時の市民への対応3/52011年に被災地向けミネラルウォーター提供の実績あり。現在の量・速度は未確認
合計13/25

SNS・匿名掲示板の確認結果

公式情報だけで調査を終了せず、会社名、富士御殿場蒸溜所名と「残業」「給料」「パワハラ」「事故」「退職」「働きやすい」「休み」「改善」などを組み合わせ、X・一般SNS、5ちゃんねる、爆サイを独立して検索しました。

媒体検索方法・範囲確認結果
X検索エンジン経由で会社名・拠点名+労務・事故語を検索対象法人従業員と裏づけられ、現在の労務評価に使える公開投稿を今回の検索範囲で確認できず
Facebook等一般SNS会社名・拠点名で公開検索現在の従業員実態を具体的に裏づける有用な公開投稿を確認できず
YouTube会社名・拠点名+従業員等で検索工場紹介等とは別に、労務評価へ直接使える従業員投稿を確認できず
TikTok公開検索を試行今回の検索環境ではアクセス制限があり本文確認できず
5ちゃんねる会社名・拠点名を媒体指定検索対象法人・現在の富士御殿場現場を評価できる投稿本文を確認できず
爆サイ会社名・拠点名を媒体指定検索対象法人との関係を確認できる有用な公開投稿を確認できず

「検索で見つからなかった」ことを「悪評が存在しない」とは扱いません。非公開アカウント、削除された投稿、検索エンジンへ登録されていない投稿は確認できないためです。またSNSや掲示板に投稿がないことをSafetyの加点や、会社の情報非公表による減点の根拠にはしていません。

主なニュース・最近の動き

2026年9月18日:「富士 12年」を海外・国内空港免税店へ

2026年9月18日、キリンビールは富士御殿場蒸溜所で製造する「キリン シングルグレーンジャパニーズウイスキー 富士 12年」を、10月から英国・フランス、11月から米国と国内空港免税店で先行発売すると発表しました。日本国内の一般発売は2027年以降の予定です。

この商品は富士御殿場の3タイプのグレーン原酒を使います。12年以上前から原酒を製造し、熟成状態を管理し続ける必要があるため、長期の製造・保管能力が商品そのものに直結します。同時に、熟成庫の被災リスクを短期間で代替できないというProtection上の特徴も分かります。

情報ランク:A。

2026年9月:現在も製造オペレーターと蒸留スタッフを採用

2026年9月15日受付のハローワーク由来求人では、缶チューハイ、ミネラルウォーター、PETボトル成形ラインで工程監視、メンテナンス、機械操作を行う正社員を募集しています。

9月11日掲載開始の蒸留スタッフ求人では、仕込み・発酵・蒸留に関わり、生産PCへの予定入力、見回り、機械操作、蒸留分析を行う人員を1名募集しています。

「人材を募集している」というだけで雇用拡大とは断定できませんが、2026年時点でも実際にどの工程へ人を配置しようとしているかが具体的に確認できるニュースです。

情報ランク:B。

2026年6月:「人生を共に生きるウイスキー」を本格事業化

2026年6月、2019~2026年に蒸留された原酒から購入者が選び、富士御殿場蒸溜所の樽で20年間熟成させる「人生を共に生きるウイスキー」が本格事業化されました。

製造工場はキリンディスティラリー富士御殿場蒸溜所で、特定商取引法表示ではキリンディスティラリー株式会社が販売業者です。キリンビールが企画・販売媒介を担う一方、対象会社自身が原酒の製造・長期保管と販売主体の一部を担うことが分かります。

情報ランク:A。

2026年3月:「氷結」大規模リニューアルでも製造拠点の一つに

2026年3月発表の「氷結」「氷結無糖」の大規模リニューアルでは、多くの商品について富士御殿場蒸溜所が製造予定工場として明記されました。

これはウイスキーだけの専門蒸溜所ではなく、全国流通するRTDの大量生産拠点でもあることを示しています。複数工場生産は供給分散につながる一方、御殿場現場では夜間を含む交替勤務が必要になるため、供給力と働く人の負担をセットで見る必要があります。

情報ランク:A。

安全見守りは6人実証から約100台の本格運用へ

製品ニュースとは別に、企業評価で重要な技術導入として、富士御殿場では2021年の6人実証を経て2022年6月から約100台のWork Mateを本格運用しています。

導入から数年が経過しているため、今後は「導入した」という情報だけでなく、熱中症・転倒の発生数、救護時間、休業災害が実際にどう変わったかまで会社単体で公開されれば、SafetyとInnovationをより正確に評価できます。

情報ランク:A。

項目別得点

評価軸項目得点
Safety賃金・利益の還元6/10
Safety労働時間・休息6/10
Safety雇用の安定・待遇公平性2/5
Safety福利厚生・育児・介護4/5
Safety人権・ハラスメント・労使関係3/5
Safety労働安全・健康8/10
Safety商品・サービス安全4/5
Safety小計33/50
Innovation作業負担・危険の削減8/10
Innovation商品・サービス改善4/5
Innovation改善成果の人間への還元3/5
Innovation研究開発・現場改善の継続4/5
Innovation小計19/25
Protection災害への備え・訓練3/5
Protection生産・物流・調達の代替3/5
Protectionサイバー防衛・情報保護4/5
Protection供給継続・復旧能力0/5
Protection危機時の市民への対応3/5
Protection小計13/25
総合65/100

総合評価

キリンディスティラリーの強みは、富士御殿場という一つの現場について、実際の製造作業や安全技術をかなり具体的に確認できることです。

蒸留担当者は製造PCだけを見るのではなく、設備を巡回し、現場で機械を動かし、蒸留状態を分析します。製造オペレーターは缶チューハイ、ミネラルウォーター、PETボトル成形の工程を監視し、設備のメンテナンスも行います。設備エンジニアは製造環境の課題を見つけ、設備更新の計画から発注・工事管理まで担当します。

その現場で、2021年に1工場6人を対象に安全見守りサービスを実証し、2022年から約100台を本格運用したことは具体性の高いSafety・Innovationの実績です。転倒、熱中症予兆、体調変化を検知し、異常時に管理者へつなげる仕組みは、技術の成果を働く人の安全へ直接戻す設計になっています。

労働条件でも、年間休日123日、所定7.5時間、現行求人で残業月10~20時間程度、男性育休取得率100%など、確認できる数値があります。賞与5.3カ月分という現在求人もあり、製造職の年収例も具体的です。

一方、Cランクにとどまる最大の理由は、重要な会社単体指標の弱さです。

女性経営職比率は0%で、正規雇用労働者の男女賃金差異は75.8%です。同一労働での賃金差と断定はできませんが、女性が上位職へどの程度進めているかという結果面には明確な課題があります。

また、現在の採用条件はかなり具体的なのに、会社単体の2026年ベースアップ額、最新LTIR、休業災害件数、ハラスメント相談・是正実績などは外部から十分確認できません。

Protectionでは、グループとしてオールハザード型BCP、KIRIN-CSIRT、SOC、多層防御を持ち、RTDは複数工場で製造する商品があります。2011年には被災地向けにミネラルウォーターを提供した実績もあります。

しかし、富士御殿場蒸溜所そのものが被災・停止した場合のRTO、実際の復旧訓練時間、製造再開までの実績は確認できません。特にウイスキーは長期熟成が必要で、熟成原酒を災害後に短期間で作り直すことはできません。だからこそ、工場単体の復旧力を数字で公開する価値は大きいと考えます。

総合すると、キリンディスティラリーは「製造現場の安全対策と技術改善を具体的に確認できる会社」である一方、「男女の登用・賃金結果と、会社単体の労災・復旧KPIの公開」が弱い企業です。

Safety 33点、Innovation 19点、Protection 13点、総合65点。100点制・第1版の総合シビックランクはCです。

出典一覧

1.キリンホールディングス「キリンディスティラリー株式会社」

2.キリン「キリンディスティラリー 富士御殿場蒸溜所」

3.キリン「キリンウイスキーのこだわりを紐解く旅」

4.キリンホールディングス「キリンディスティラリー富士御殿場蒸溜所のウイスキー生産設備を増強」2019年2月7日

5.キリンホールディングス「国産ウイスキー上半期販売数量は前年比140%と好調!」2022年7月19日

6.キリンホールディングス「Work Mateを2022年10月より導入」2022年9月30日

7.キリンディスティラリー株式会社 求人特設サイト

8.ハローワーク由来「ミネラルウォーター製造または缶チューハイ製造オペレーター」2026年9月15日受付

9.「ウイスキーの製造スタッフ(蒸留工程)」2026年9月求人

10.doda「プラントエンジニア」2026年求人

11.キリンホールディングス2025年12月期有価証券報告書の連結子会社別人的資本開示

12.フード連合「加盟組合一覧」

13.フード連合「中部ブロック 中小労組代表者会議」2026年2月

14.Indeed「キリンディスティラリー株式会社の社員クチコミ・評判」

15.転職会議「キリンディスティラリーの評判・社員口コミ」

16.キリンホールディングス「労働安全衛生の確保」

17.キリンホールディングス「品質マネジメント」

18.キリンホールディングス「リスクマネジメント」

19.キリンホールディングス「サイバー攻撃への対応」

20.御殿場市「災害支援物資の輸送、第2便が宮城県柴田町へ」

21.キリンホールディングス「氷結・氷結無糖ブランド史上最大規模のフルリニューアル」2026年3月26日

22.キリンホールディングス「人生を共に生きるウイスキー事業開始」2026年6月2日

23.「人生を共に生きるウイスキー」特定商取引法に基づく表記

24.キリンホールディングス「富士 12年を国内空港免税店と海外で先行発売」2026年9月18日

25.GビズINFO「キリンディスティラリー株式会社」

情報ランクの基準

情報ランク基準
S公的機関の資料で直接確認できる情報、または独立した第三者による検証・監査・認証等の裏づけがある情報。裏づけの対象範囲に限る
A企業自身の公式発表、報告書、採用情報など。独立した裏づけまでは確認していない企業側の説明・自己申告
B役職や立場が確認できる関係者への取材・発言、記者による直接取材、労組資料、求人媒体等に基づく具体情報
C一般社員、元社員、パート、アルバイトなどの勤務経験に基づく口コミ
DXなど一般SNSの投稿で、発信者の立場や内容の裏づけが十分でない情報
E匿名掲示板など、発信者の身元や関与をさらに確認しにくい情報

情報ランクは情報の出どころと裏づけを示すもので、企業の良し悪しを評価する総合シビックランクとは異なります。媒体名だけでなく原発信者と根拠で判定するため、企業公式SNSの発表はAなどとして扱います。低い情報ランクは虚偽を意味せず、高い情報ランクも記述全体の正しさを保証するものではありません。

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