株式会社Guildの企業審査を行いました。
市民が商品やサービスにお金を使うと、その売上は企業の事業活動を支え、働く人の賃金、休暇、安全対策、人材育成にもつながります。だからこそ、企業が生み出した利益をどのように使い、市民の暮らしに還元しているかが重要です。
株式会社Guildは、YouTuberのヒカルさんをはじめとするクリエイターの活動を支え、映像制作や商品開発にも関与してきた企業です。クリエイターの事業活動を支援する仕組みには、市民への貢献が期待できます。
一方、同社の従業員の賃金水準、年間休日、労働時間、労働安全、災害時の事業継続体制については、十分な資料を確認できていません。
今回の審査では、確認できた事業実績を評価し、未確認の労働条件や安全対策には暫定的に得点を付与していません。
株式会社Guildの企業審査結果
| 評価項目 | 得点 |
|---|---|
| Safety | 0/50点 |
| Innovation | 6/25点 |
| Protection | 0/25点 |
| 総合点 | 6/100点 |
| シビックランク | G(暫定) |
本評価は2026年10月25日時点の暫定結果です。未確認項目の0点は、不正行為や劣悪な労働環境が確認されたことを意味しません。
主な強み
- エージェント型のクリエイター支援事業を展開
- YouTube番組の企画・制作実績
- アパレルブランド「ReZARD」の立ち上げに関与
- クリエイターの収益機会や活動の選択肢を広げる事業モデル
主な課題
- 従業員の賃金、賞与、利益還元に関する情報不足
- 残業時間、休日、有給休暇取得状況の情報不足
- 雇用形態別の待遇、福利厚生、労働安全の情報不足
- サイバー防衛、個人情報保護、災害・障害対応の実績不足
- 事業の成長が従業員の生活改善につながったことを示す数値の不足
事業内容と市民への貢献
株式会社Guildは2019年9月に設立されたクリエイター支援企業です。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 株式会社Guild |
| 英語表記 | Guild inc. |
| 設立 | 2019年9月 |
| 代表 | 高橋将一氏 |
| 所在地 | 東京都千代田区麹町3丁目5番地4 麹町インテリジェントビルB-1(公式サイト記載) |
| 主な事業 | YouTubeエージェント支援、コンテンツ企画制作、営業・バックオフィス支援 |
| 上場状況 | 非上場 |
| 公式サイト | https://guild.to/ |
所在地は現在の公式サイト表記を採用しています。2022年の発表資料には丸の内の旧所在地が記載されています。
主な事業内容
Guildは、クリエイターの仕事を支援するエージェント型の仕組みを特徴としています。
従来型の芸能プロダクションでは、所属タレントが事務所から総合的なマネジメントを受ける仕組みが一般的です。
Guildは企画制作、営業、案件調整、バックオフィス業務などを提供し、クリエイターの活動を必要な部分から支援するモデルを掲げています。
例えば、動画制作者が新しい番組を制作するときには、出演者の調整、企画、撮影、編集、広告主との交渉などが必要になります。
こうした業務を専門スタッフが引き受けることで、クリエイターが企画や出演などの活動に時間を使いやすくなります。
主な関係者・関連事業
Guildの公式サイトには、ヒカルさん、まふまふさん、ひろゆきさん、入江巨之氏などが役員紹介として掲載されています。
また、ヒカルさんとまふまふさんについては、2022年4月19日に取締役就任が正式発表されています。
確認できる事業実績には、次のものがあります。
- ReZARDの立ち上げへの関与
- YouTube番組「Win Win Wiiin」の制作
- ひろゆきさん関連の切り抜きサービス
- YouTubeクリエイターの企画・制作支援
これらは企業公式資料と関係者への取材で確認できる実績です。
事業による市民への貢献
Guildの事業は、クリエイターの活動を支えることで、視聴者へ多様なコンテンツを届ける役割を担っています。
また、クリエイターが独立性を保ちながら専門的な支援を受けられる仕組みは、個人の事業活動を継続しやすくする可能性があります。
例えば、営業や制作管理に追われていたクリエイターが専門スタッフへ業務を委託できれば、企画・撮影などに集中できます。
ただし、実際にどれだけの労働時間を削減できたのか、支援後にクリエイターの手取り収入が増えたのかについて、比較可能な数値は確認できていません。
Safety|働く人と利用者の安全・健康
Safetyでは、Guildで働く従業員の待遇や健康、取引先クリエイターへの適切な対応、制作するコンテンツの安全性を審査します。
今回確認した資料では、同社のサービス内容と制作実績は把握できる一方、雇用環境の実績を採点できる資料が不足しています。
賃金・利益の還元(0/10点)
Guildの従業員について、職種別・雇用形態別の賃金、賞与、定期昇給、ベースアップ、利益分配などの十分な情報を確認できていません。
エージェント型モデルによるクリエイターの収益改善も、実際の契約条件や手取りの比較が必要です。
現時点では具体的な成果に基づく加点はできません。
従業員の賃金水準、昇給実績、クリエイターへの収益分配条件が確認できれば、再評価できます。
労働時間・休息(0/10点)
Guildの従業員について、平均残業時間、年間休日、有給休暇取得率、深夜・休日勤務の頻度は確認できていません。
映像制作には撮影日程や公開期限に対応する仕事も含まれるため、制作担当者の勤務実態を確認することが重要です。
適正な労働時間管理と休息確保の実績が確認できれば、加点対象になります。
雇用の安定・待遇の公平性(0/5点)
正社員、契約社員、業務委託スタッフの人数や待遇の違い、契約更新状況などについて、十分な資料を確認できていません。
特に外部クリエイターや制作スタッフの報酬支払い条件、契約解除時の対応が重要です。
雇用区分別の制度や実績が確認できれば再評価します。
福利厚生・育児・介護(0/5点)
同社従業員に適用される育児休業、介護休業、健康支援、教育研修などの具体的制度と利用実績を確認できていません。
制度の対象者と取得実績が確認できれば加点対象になります。
人権・ハラスメント・労使関係(0/5点)
ハラスメント相談窓口、内部通報制度、労使協議、差別防止などの制度運用について、十分な情報がありません。
相談経路、対応体制、是正実績の確認が必要です。
労働安全・健康(0/10点)
制作現場を含む業務上の事故件数、健康診断、長時間労働対策、メンタルヘルス対策の実績を確認できていません。
事故が起きていると判断したものではありません。
労災発生率、予防措置、職場の健康管理に関する実績が必要です。
商品・サービスの安全(0/5点)
Guildは映像制作やクリエイター支援を行っています。
サービス提供における契約説明、利用者保護、広告表示、個人情報管理について、対象法人の具体的な運用実績を十分確認できていません。
消費者への適切な広告表示や苦情対応の仕組みを確認することで再評価できます。
従業員・元従業員の口コミ
転職会議、Indeed、OpenWorkなどを対象に確認しました。
しかし、検索結果にはGuildと同名の別法人が複数存在します。
Indeedで見つかった株式会社Guildの口コミには、2018年に福島県で建設業に従事していたとする投稿があります。審査対象のGuildは2019年設立のため、この投稿を同社の従業員口コミとは扱いません。
対象法人との対応関係が確認できる口コミ原文は、今回の調査では掲載できる状態にありません。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイなどについても、会社名と代表者名を組み合わせて検索しました。
従業員の勤務実態に関する投稿で、対象法人との関係と本文を確認できるものは得られていません。
情報が少ないことだけを理由に、良好な職場とも問題のある職場とも判断しません。
Innovation|技術・業務改善による市民への貢献
Innovationでは、Guildがクリエイターの仕事をどう改善し、その成果を働く人に還元しているかを評価します。
同社ではエージェント型支援と映像制作体制の構築が確認できます。
作業負担・危険の削減(0/10点)
Guildはクリエイターの営業・制作・バックオフィス業務を支援しています。
しかし、支援の前後で本人やスタッフの労働時間が何時間減ったかという具体的な数値は確認できていません。
業務支援の仕組みは存在しますが、作業負担の削減成果が不明なため、現時点では加点しません。
商品・サービスの改善(3/5点)
Guildはクリエイターの活動を個別に支えるエージェント型モデルを展開しています。
従来型の所属契約に依存せず、必要な業務を支援する仕組みは、活動方法の選択肢を増やす点で評価できます。
さらに「Win Win Wiiin」などの企画制作実績もあります。
これらの事業実績を根拠に3点としました。
ただし、契約条件の透明性や顧客満足度、従来方式との成果比較については追加情報が必要です。
改善成果の市民への還元(0/5点)
制作効率の改善によって生まれた利益が、従業員の賃金、休日、労働時間、サービス価格にどう還元されたかを示す数値は確認できていません。
クリエイター側への還元率や報酬の改善実績も調査が必要です。
実際の収益分配と還元成果が確認できれば加点対象になります。
研究開発・現場改善の継続(3/5点)
Guildは2019年の設立後、クリエイターの支援から映像コンテンツの企画制作、商品ブランドの立ち上げ支援などへ事業を展開しました。
複数の事業領域で具体的な実績があることを評価し、3点としました。
一方、研究開発費、業務改善の年間目標、制作現場の改善成果などは確認できていません。
自動化・AI導入後の雇用状況
Guildが従業員の仕事を大規模に代替するAI・自動化システムを導入したという具体的な情報は確認できていません。
したがって、AI導入に伴う人員削減や採用抑制があったとは判断しません。
今後、AIによる映像編集や制作工程の自動化が確認された場合には、導入前後の従業員数、労働時間、外部委託、報酬の変化を追跡する必要があります。
Protection|災害・犯罪・障害への備え
Protectionでは、災害やシステム障害が発生しても、クリエイターや取引先が事業を継続できるかを評価します。
Guildはインターネットを使ったコンテンツ制作・支援を行うため、データ保護やアカウント管理、制作環境の復旧が重要です。
災害への備え・訓練(0/5点)
災害対応計画、避難訓練、緊急連絡体制などの具体的な運用実績を確認できていません。
生産・物流・調達の代替(0/5点)
映像制作設備や制作スタッフ、外部委託先が利用できなくなった場合の代替体制について、十分な情報を確認できていません。
サイバー防衛・情報保護(0/5点)
取引先のYouTubeアカウント、顧客情報、未公開映像などを守るセキュリティ体制について、第三者監査や訓練などの具体的成果を確認できていません。
供給継続・復旧能力(0/5点)
システム障害、制作拠点の停止、主要スタッフの不在などが発生した場合の復旧目標時間や代替手段について、確認できる情報が不足しています。
危機時の市民への対応(0/5点)
緊急時の取引先対応、顧客への通知、補償、復旧支援の実績について、採点に十分な情報を確認できていません。
良いニュース・最近の前向きな動き
Guildの事業展開では、クリエイター個人の活動を支える仕組みと、多様な制作案件への挑戦が評価できます。
2019年:エージェント型のクリエイター支援企業を設立
高橋将一氏がGuildを設立しました。
同社は、クリエイターが必要なサービスを選んで支援を受けるモデルを掲げています。
制作、営業、企画などを専門家へ依頼できるようになることで、個人が事業活動を進める際の負担軽減が期待できます。
2021年:映像番組制作の実績
Guildは「Win Win Wiiin」などの映像コンテンツ制作に関与しています。
テレビ番組に近い制作体制をYouTubeへ持ち込むことで、クリエイターの表現活動と視聴者の選択肢を広げました。
2022年:ヒカルさんとまふまふさんが取締役に就任
2022年4月19日、Guildは両氏の取締役就任を発表しました。
クリエイター自身が企業経営に関わる体制として注目されます。
ただし、役員就任だけで一般従業員の待遇が改善したと判断することはできません。
悪いニュース・問題となった動き
企業の市民貢献度を判断するためには、不祥事や行政処分の有無に加え、働く人の安全や取引先保護に関する問題も確認する必要があります。
対象法人の重大問題
今回の調査では、対象の株式会社Guildについて、重大労災、行政処分、情報漏えい、大規模人員削減などを裏づける確実な資料は得られていません。
なお、検索では別の「株式会社ギルド」に関する雇用調整助成金の不正受給公表が見つかりました。
その法人は神奈川県所在の建設業者であり、高橋将一氏が設立した本記事のGuildとは別法人です。
この事案を審査対象の不祥事として扱うことはできません。
労働環境の透明性
賃金、年間休日、労働時間、労働安全の情報不足が、今回の審査で最も大きな課題です。
公開されている事業実績だけでは、働く人へ利益がどれだけ還元されているかを判断できません。
総合評価と、これから改善してほしいこと
Guildの暫定評価は6点/100点、シビックランクGです。
次のFランクは20点からとなるため、14点の加点が必要です。
特に、Safetyに関する情報を具体的な数値とともに公開し、働く人への還元を証明することが重要です。
労働時間と休日の実績公開
現在:労働時間・休息 0/10点
例えば、年間休日120日以上、平均月間残業20時間以内、有給休暇取得率70%以上といった実績を、雇用区分ごとに継続して確認できる状態にします。
実態と制度運用が確認できれば、想定8/10点までの評価余地があります。
加点幅:+8点
改善後の総合点:14点・G
この数値は改善目標例であり、達成だけで自動的に8点となるものではありません。
賃金と収益分配の透明化
現在:賃金・利益の還元 0/10点
従業員の給与、昇給、賞与、報酬体系を雇用区分別に公開し、前年との比較を可能にします。
また、クリエイターに支払われる報酬と手数料の条件も分かりやすく示します。
十分な実績が確認できた場合の想定点は6/10点です。
加点幅:+6点
改善後の総合点:12点・G(単独改善の場合)
次のランクへ上がるための具体例
労働時間・休息を0点から8点、賃金・利益の還元を0点から6点へ改善できた場合、合計14点の加点になります。
その結果、総合点は6点から20点となり、シビックランクFへ到達します。
ただし、今回の0点には未確認項目が多く含まれるため、まず実際の労働条件と安全対策を十分に確認し、そのうえで正式な改善目標を設定する必要があります。
出典一覧
[出典1]株式会社Guild「公式サイト・会社概要」
https://guild.to/
[出典2]株式会社Guild「YouTuberヒカル、歌い手まふまふ 役員就任のお知らせ」(2022年4月19日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000050064.html
[出典3]ユーチュラ「ヒカルのマネージャー高橋氏にインタビュー。新会社GuildがYouTuberにもたらすものとは?」(2019年11月11日)
https://yutura.net/news/archives/15883
[出典4]Real Sound「ヒカルの地上波特番が意味するものとは? Guild高橋将一が語る『テレビとYouTuberの関係』」(2021年2月20日)
https://realsound.jp/tech/2021/02/post-710178.html
[出典5]株式会社サムライパートナーズ「企業情報」
https://samurai-partners.jp/about/
[出典6]Indeed「株式会社Guildの社員クチコミ」(同名法人の識別に使用。評価対象の従業員口コミとしては不採用)
https://jp.indeed.com/cmp/株式会社guild/reviews
シビックランクの基準
| ランク | 総合点 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
シビックランクは、市民への貢献度をSafety・Innovation・Protectionの3軸から評価する指標です。
情報ランクの基準
| 情報ランク | 判断基準 |
|---|---|
| S | 行政機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関による検証・監査・認証など |
| A | 企業公式資料、公式発表、求人情報、本人確認可能な記名取材・公表発言 |
| B | 従業員口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の関係を独立に検証しにくい情報 |
情報ランクは企業の良し悪しではなく、個々の情報の出どころと確認状況を示すものです。
