普段ペットボトルの水やお茶を買い、飲み終わったボトルを分別して捨てていても、その後に誰がボトルをリサイクル工場まで運んでいるのかを意識する機会はあまりありません。
しかし、回収したペットボトルを新しいボトルへ戻す技術がどれだけ優れていても、使用済みボトルや再生原料を必要な工場へ運ぶ仕組みがなければ、資源循環は成立しません。
協栄物流株式会社は、ペットボトルリサイクルを手掛ける協栄産業グループの中で、この「運ぶ」という役割を担う会社です。一般貨物自動車運送と倉庫業を中心に、自社車両による収集・運搬、原料や製品の保管、フォークリフトによる入出荷などを行っています。採用情報では、自社を「協栄の足」と表現し、協栄産業グループと顧客を直接つなぐ役割を担っていると説明しています。
協栄産業グループは、使用済みPETボトルから再びPETボトルを作るボトルtoボトルを国内で早くから事業化し、サントリーホールディングスなどとFtoPダイレクトリサイクル技術を共同開発した企業グループです。ただし、このリサイクル技術そのものを協栄物流のInnovationとして評価することはできません。技術開発主体である協栄産業と、物流を担う協栄物流は別法人だからです。
協栄物流について直接確認できる強みは、全国規模の産業廃棄物収集・運搬許可、自社車両、倉庫・物流センター、ISO14001認証を受けた本社などを組み合わせ、資源をリサイクル工程へ移動させる能力です。一方、社員の平均残業時間、平均年収、有給取得率、労働災害件数、交通事故件数、男女賃金差、育児休業取得率など、会社単体の人的データは十分公開されていません。
求人から確認できる待遇は極端に悪いものではなく、昇給、賞与、家族手当、退職金共済、資格取得支援なども確認できます。しかしフォークリフト、トレーラー、トラック、産業廃棄物の収集運搬を扱う会社である以上、Safetyを判断するには「重大事故が報道されていない」だけでは不十分です。
以上を踏まえ、協栄物流株式会社の総合シビックランクはBとします。
協栄物流株式会社の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 協栄物流株式会社 |
| 法人番号 | 1060001017219 |
| 設立 | 1988年4月と公的資料で確認 |
| 本社 | 栃木県下都賀郡壬生町大字壬生乙4036番地 |
| 代表者 | 古澤栄一 |
| 資本金 | 現行の一次・公的資料では確認できず。二次資料には5,000万円との記載あり |
| 主な事業 | 一般貨物自動車運送事業、倉庫業、産業廃棄物収集・運搬 |
| 従業員規模 | 公式単体値を確認できず。二次資料では36~50人程度と差があるため確定値として採用しない |
| 主な関連企業 | 協栄産業、ジャパンテック、東京ペットボトルリサイクルなど |
| 上場区分 | 非上場の協栄産業グループ会社 |
法人番号と本店所在地は経済産業省のGビズインフォで確認できます。一方、Gビズインフォでは代表者、資本金、従業員数、創業年などの項目が空欄になっており、会社単体の基本情報開示は多くありません。
設立については、環境省資料に協栄産業グループの主要会社として「協栄物流株式会社、1988年4月設立」と記載されています。
代表者については、千葉県が公開する産業廃棄物収集運搬業者の資料で協栄物流株式会社の代表者として古澤栄一氏を確認できます。
従業員数については二次資料に36人、民間企業データベースには推定50人など異なる値があります。このため、本記事ではどちらかを現在の確定人数として採用しません。
主な業務内容と国内拠点
協栄物流の事業は、大きく分けると「輸送」「収集運搬」「倉庫・構内物流」です。
会社の採用情報では、事業内容として一般貨物自動車運送事業と倉庫業を明記しています。さらに協栄産業グループの認証・登録情報では、協栄物流が産業廃棄物の収集運搬業者として位置付けられています。
| 拠点 | 所在地 | 主な役割として確認できる内容 |
|---|---|---|
| 栃木本社 | 栃木県下都賀郡壬生町 | 本社機能、物流事業。ISO14001認証 |
| MR物流センター | 栃木県小山市萱橋 | 倉庫、フォークリフトによる原料・製品入出荷 |
| 小山倉庫 | 栃木県小山市梁 | 製品・原料の保管等 |
| 中部営業所 | 三重県津市雲出鋼管町 | コンテナ入替、フォークリフト、配車等 |
グループ公式の会社概要では、協栄物流の栃木本社、MR物流センター、小山倉庫、中部営業所が掲載されています。
自社車両による収集・運搬
協栄物流の中心的な役割は、自社車両による収集・運搬です。
採用情報では、自社車両を使う理由として迅速・確実な輸送に加え、外部への機密漏えいを防ぎ、協栄産業グループと顧客を直接つなぐことを挙げています。
物流を外部企業へ全面委託する方式と比べ、自社で車両や人員を持てば、回収時期、納入時期、積載物、搬入先などをグループ内で管理しやすくなります。
これは資源循環では重要です。
使用済みプラスチックは「いつか運べばよい」ものではありません。大量に保管すれば保管スペースを使い、回収先にも負担がかかります。再生工場側でも、原料が不足すれば設備を十分に稼働できません。
回収地点から再生工場、再生工場から次の加工工程まで資源を継続して移動させる物流は、リサイクル設備と同じくらい循環システムの実働に関係します。
倉庫とフォークリフト業務
MR物流センターでは、フォークリフトによる荷下ろし、積み込み、倉庫管理などが行われています。
現在確認できる採用情報では、小山市萱橋でフォークリフトスタッフを募集しており、グループ会社などから運ばれてきた原料や再生製品を扱います。新しい大型倉庫の完成に伴う増員募集であることも確認できます。
物流会社の人間への貢献を考える際には、トラックだけではなく倉庫も重要です。
回収したPET原料をすべて到着直後に加工できるわけではありません。工場の生産能力、需要、出荷計画などに合わせて一時保管し、必要な量を適切なタイミングで出荷する必要があります。
倉庫があることで、回収と製造の時間差を吸収できます。
中部営業所では配車まで担当
三重県津市の中部営業所では、大型トレーラーヘッドによるコンテナ入れ替え、コンテナ内ライナー交換、フォークリフト積み込み、配車、他の運送会社・保管施設への連絡、配車指示書作成などを担当する求人が確認できます。
求人ではコンテナ入れ替えが1日5~6台程度、配車が通常30~40台、繁忙期には50台程度とされています。
つまり協栄物流は「物を運ぶ人」だけを雇用している会社ではありません。
実際には、
どの車両をどこへ向かわせるか。
どの原料をどの倉庫へ保管するか。
どの工場へいつ搬入するか。
どの運送会社へ指示するか。
こうした物流全体の調整も行っています。
事業による人間への貢献
事業による人間への貢献はAと評価します。
ただし、これは「環境企業だからA」という意味ではありません。
協栄物流の価値は、回収された資源を実際に動かすことによって、廃棄物だったPETやプラスチックを再び原料として利用できる状態へつなげている点にあります。
リサイクルは運ばなければ始まらない
市民がペットボトルを分別しても、そのボトルが回収場所に残り続ければリサイクルは成立しません。
回収したPETボトルを選別・洗浄・粉砕する施設まで移動させる必要があります。
さらに再生フレーク、ペレット、プリフォームなどへ加工された後も、次の製造工程へ運ぶ必要があります。
協栄物流は、この資源の移動を担います。
採用情報では、協栄産業グループと合わせて全国をカバーする40都道府県で産業廃棄物収集・運搬許可を取得していると説明しています。グループの公式認証ページにも北海道から宮崎県まで多数の都道府県の許可番号が個別掲載されています。
リサイクル工場を一つ持っているだけでは、全国の資源を循環させることはできません。
回収可能な地域を増やし、遠隔地からも原料を集められるネットワークは、資源循環の実効性を高めます。
ボトルtoボトルの「見えない工程」を支える
協栄産業は、使用済みPETボトルから再び飲料用PETボトルを作るボトルtoボトルを国内で先駆けて実用化してきました。
さらに2018年には、サントリーホールディングスなどとFtoPダイレクトリサイクル技術を共同開発しています。従来工程の一部を省き、再生効率や環境負荷を改善する技術です。
しかし、これは協栄産業の技術的成果です。
協栄物流がこの技術を開発したわけではありません。
協栄物流の役割は、その技術が使えるよう、使用済みPETや再生原料を物流面でつなぐことです。
この区別は重要です。
優れたリサイクル設備だけを評価すると、循環の中で必要な回収、保管、運搬に従事する人の役割が見えなくなります。
逆に、物流だけが存在しても再生技術がなければ資源は循環しません。
製造と物流は別機能ですが、両方が接続されて初めてボトルtoボトルが成立します。
国内資源を再利用することは供給安全にも関係する
PET樹脂の原料をすべて新しい石油資源から作る場合、原油・石化原料の価格や国際輸送の影響を受けます。
一方、国内で使用されたPETボトルを回収し、国内で再生原料として利用できれば、少なくとも原料の一部を「国内ですでに存在している資源」から調達できます。
これは環境だけの問題ではありません。
輸入途絶、国際価格上昇、物流混乱などが起きたとき、国内資源を循環利用できる仕組みはProtectionにもつながります。
協栄物流は原料を製造する企業ではありませんが、国内に点在する使用済み資源を再生拠点へ集約する工程を担うため、この循環供給網の一部を構成します。
廃棄物の適正な運搬にも意味がある
産業廃棄物は、一般貨物以上に適正管理が求められます。
不法投棄や不適切な処理が起これば、土壌、水、地域環境へ影響を及ぼす可能性があります。
協栄物流は各都道府県の産業廃棄物収集・運搬許可を取得しています。グループ公式ページでは、協栄物流について「収集運搬業」と明確に位置付けています。
許可を持っているだけで優良企業と断定することはできません。
しかし、法令に基づいた許可のもとで広域の資源・廃棄物物流を構築していることは、適正処理を支える基盤として評価できます。
環境貢献と人間への貢献を分けて考える
シビックランクでは「CO2削減=自動的に人間への貢献」とは評価しません。
人間が安全に生活できること。
資源不足によって必要な商品が手に入らなくならないこと。
廃棄物が生活環境へ放置されないこと。
働く人が過度な負担を負わないこと。
こうした人間側の結果まで見る必要があります。
協栄物流の物流網は、廃棄物を単に遠くへ移動させるのではなく、再生工場へつないで再び資源として利用する循環の一部になっています。
その点で事業の社会的価値は高いと判断します。
代表業務・代表事業の審査
協栄物流の代表業務は「PETボトルや再生プラスチックを中心とした資源循環物流」です。
一般的な宅配会社のように、完成した商品を消費者宅へ届けることが中心ではありません。
協栄物流が主に支えているのは、リサイクル工程の前後にある企業間物流です。
回収資源を工場へ運ぶ。
原料を倉庫へ移す。
再生された製品を次の工程へ届ける。
コンテナを入れ替える。
倉庫で一時保管する。
配車を組む。
これらを一体で行います。
採用ページが自社を「協栄の足」と表現するのは、この事業構造をよく表しています。
代表事業としての価値は高いと判断します。
一方、物流には必ずコストがあります。
トラックは燃料を使います。
長距離輸送ではCO2も排出します。
ドライバーには交通事故リスクがあります。
フォークリフトには衝突、転倒、荷崩れなどの危険があります。
倉庫作業にも身体的負荷があります。
したがって「リサイクル品を運んでいるから環境に良い」で評価を終えることはできません。
資源循環によって減らせる環境負荷と、その循環のために新たに発生する輸送負荷の両方を見る必要があります。
協栄物流の今後の評価をさらに高めるには、輸送距離削減、積載率向上、低燃費・電動車両、配車最適化、事故率低減などを具体的な数字で開示できるかが重要になります。
労働環境
労働環境はBと評価します。
求人から見る限り、正社員には昇給、賞与、家族手当、時間外手当、資格取得支援、退職金共済、健康診断などがあり、物流企業として一定の福利厚生が整っています。
一方、会社全体の平均年収、基本給、ベースアップ額、平均残業時間、有給取得率、離職率、育児休業実績、非正規雇用者数、男女賃金差などは公開情報で確認できません。
そして、実際の仕事はフォークリフトや大型トレーラーを扱う現場職です。
制度だけでなく、仕事量と安全性を見る必要があります。
公開求人で確認できる主な労働条件
| 項目 | 小山・フォークリフト | 中部営業所・構内作業 |
|---|---|---|
| 雇用形態 | 正社員 | 正社員 |
| 月給 | 18万~24万1,000円 | 22万2,000~30万円 |
| 想定年収 | 求人集約情報では320万~420万円 | 333万~450万円 |
| 勤務時間 | 詳細求人8:00~17:00。採用一覧には8:00~17:30表記もあり | 8:00~17:00 |
| 実働 | 詳細求人では7時間30分 | 7時間30分 |
| 転勤 | なし | なし |
| 休日 | 土日祝中心の週休2日。ただし月2~3回土曜出勤 | 同左 |
| 昇給 | 年1回 | 年1回 |
| 賞与 | 年2回。求人に2021年度2.8~3.1か月実績 | 年2回。2023年度3~3.5か月実績 |
| 退職金 | 退職金共済 | 退職金共済 |
| 資格支援 | あり | あり |
| 育児関連 | 産前産後・育児休暇制度の記載 | 同左 |
小山市のフォークリフト求人では月給18万~24万1,000円、8時~17時、実働7時間30分、土日祝を中心とした週休2日制となっています。ただし月2~3回の土曜出勤があります。
なお、協栄物流の採用トップページでは同じ求人について8時~17時30分と表示されており、詳細求人の8時~17時との間に表記差があります。本記事ではこの差を無理に解消せず、公開ページ間で勤務時間表記が一致していないことを明記します。
月給は基本給と同じとは限らない
給与を評価するときは、月給と基本給を分ける必要があります。
中部営業所の求人では、月給22万2,000~30万円に「一律支給の住宅手当を含む」と明記されています。
したがって22万2,000円をそのまま基本給として比較するのは適切ではありません。
小山求人についても、会社全体の基本給表や賃金テーブルは公開されていません。
2026年のベースアップ額についても、協栄物流株式会社単体で確認できる一次情報は見つかりませんでした。
「賃上げをしていない」という意味ではありません。
公開情報では確認できないという評価です。
年収は物流現場として中程度だが、高待遇とまでは判断できない
小山の求人では月給18万~24万1,000円です。
民間求人集約サイトでは年収320万~420万円程度の表示があります。中部営業所の求人では会社自身が想定年収333万~450万円を掲載しています。
生活できないほど低いと断定する水準ではありません。
一方、物流・フォークリフト・大型車両という身体的・安全上の負担を伴う仕事として見た場合に、非常に高い利益還元が確認できるとも言えません。
企業審査では「グループが大手飲料企業と取引している」「高度なリサイクル技術を持つ」という理由だけで、物流子会社の待遇まで高く評価することはしません。
賞与・手当・退職金はプラス
福利厚生面では良い部分があります。
中部営業所の求人では、年1回の昇給・昇格、年2回の賞与、交通費、時間外手当、家族手当、役職手当、職能手当、資格取得支援、退職金共済、定期健康診断などが確認できます。
2023年度の賞与実績は3~3.5か月とされています。
家族手当は条件付きながら、配偶者月1万円、子ども1人につき月5,000円です。
中小規模の物流会社としては、一定の福利厚生が整備されていると評価できます。
特に退職金共済と資格取得支援は、長期雇用と技能形成を考えるうえでプラスです。
土日祝休みだけではない点に注意
求人タイトルだけを見ると、土日祝休みの会社に見える場合があります。
しかし詳細には「月2~3回の土曜出勤あり」と明記されています。
したがって完全な毎週土日休みとは言えません。
一方、夏季、秋季、年末年始、創立記念日、社内指定休日、慶弔、産前産後・育児休暇など複数の休日制度があります。
年間休日数について民間求人サイトでは120日以上との表示がありますが、現在の会社求人本文では具体的な年間休日数を確認できないため、本記事では120日以上を確定値として採用しません。
残業時間は会社全体の現行平均を確認できない
協栄物流単体の最新会社平均残業時間は公開情報では確認できませんでした。
2024年に掲載された中部営業所求人では「月残業時間20~30時間」と記載されています。
ただしこれは2024年当時の一拠点の求人です。
2026年現在の全社員平均へ拡張することはできません。
物流業界では繁忙期、輸送距離、荷待ち、配車状況などによって労働時間が変わります。
だからこそ、会社単体で平均残業時間を継続的に公開してほしいところです。
フォークリフト・大型車両を扱う現場負荷
小山ではフォークリフトによる原料・製品の荷下ろし・積み込みを行います。
中部営業所では大型トレーラーヘッドによるコンテナ入れ替え、フォークリフト作業、配車などがあります。
一般的な事務職よりSafety上の危険は明らかに大きい仕事です。
フォークリフトは人との接触、荷崩れ、転倒などのリスクがあります。
大型車両では交通事故リスクがあります。
この仕事に対する賃金を評価する際には、単純な地域平均給与だけでなく、このような危険・技能・責任を含めて考える必要があります。
教育期間を設けている点は評価できる
中部営業所の求人では、入社後3か月間は先輩社員と一緒に業務を進め、構内ルールや仕事の流れを学ぶ研修期間が説明されています。
未経験採用を行う物流会社で、いきなり単独作業へ入らせず教育期間を設定することはSafety上も重要です。
資格取得支援制度も確認できるため、人材育成面では一定の評価ができます。
非正規・女性・育児実績は情報不足
Gビズインフォの職場情報には、平均勤続年数、女性活躍、育児と仕事の両立などの具体的数値が掲載されていません。
したがって、
女性従業員は何人いるのか。
女性管理職はいるのか。
男性育休取得率はいくらか。
有給休暇取得率はいくらか。
正社員と非正規の待遇差はどうなっているか。
こうした点を確認できません。
小規模企業では大企業ほど詳細な人的資本情報の法定開示が求められない場合があります。
それでも、人間への利益還元を評価する企業審査では重要な情報です。
制度は一定程度整っていますが、実績値の透明性が十分ではないため、労働環境はAではなくBと評価します。
Safety
SafetyはBと評価します。
協栄物流は食品メーカーではありません。
したがって食品回収、異物混入、アレルゲン表示などを直接評価する会社ではありません。
主要なSafetyリスクは、
トラック・トレーラーの交通事故。
フォークリフト事故。
荷崩れや挟まれ。
倉庫内事故。
産業廃棄物の不適切な運搬。
長時間労働による運転リスク。
などです。
産業廃棄物許可を広範囲で取得
協栄物流は、多くの都道府県で産業廃棄物収集運搬業の許可を取得しています。
公式ページには北海道から宮崎県まで許可番号が列挙されています。倉庫業登録と第一種利用運送事業許可も確認できます。
千葉県の公的資料でも、協栄物流株式会社、代表者古澤栄一、許可番号01200079733が掲載されています。
これは法令の枠組みの中で事業を行うための基礎条件です。
ただし、許可を持っているから事故が起きないという意味ではありません。
ISO14001は評価するが労働安全認証とは別
協栄物流の栃木本社はISO14001の認証取得拠点として掲載されています。
ISO14001は環境マネジメントの国際規格です。
環境負荷の把握、目標設定、管理体制などを継続的に運用する仕組みがある点は評価できます。
しかし、ISO14001は労働安全衛生の認証ではありません。
ISO14001があることを理由に「交通事故対策も万全」「労災が少ない」と推測することはできません。
重大事故・行政処分を別検索
企業審査では通常検索とは別に、死亡事故、重大労災、書類送検、労基署対応、行政処分などを確認しました。
2026年9月3日時点で確認した国土交通省の「事業者の行政処分情報検索」では、協栄物流株式会社という完全一致の名称は検索ページ内で確認できませんでした。
また公開Webを対象に「協栄物流株式会社」と死亡事故、労働災害、書類送検、是正勧告などを組み合わせて検索しましたが、今回の審査で総合ランクを直接引き下げる重大な確定事例は確認できませんでした。
ただし、
「公開検索で確認できない」ことと、
「会社で労災や交通事故が一件も起きていない」ことは全く違います。
協栄物流単体の休業災害件数、交通事故件数、度数率、重大事故件数などは公開情報で確認できませんでした。
物流企業ではこれらは極めて重要なSafety指標です。
情報が公開されれば、将来の再審査で優先的に確認すべき項目です。
Safety教育には一定の材料
中部営業所では入社後3か月間の同行・教育期間があります。
フォークリフト免許を必要とする作業については資格を要求し、資格取得支援制度も設けています。
未経験者を採用する場合、こうした教育体制はプラスです。
しかし具体的な交通安全研修回数、フォークリフト事故防止訓練、ヒヤリハット件数、無事故日数などは確認できません。
したがってSafetyをAまで引き上げる根拠には不足しています。
Innovation
InnovationはBと評価します。
ここは協栄産業と協栄物流を最も慎重に分ける必要があります。
協栄産業グループには非常に強いInnovationがあります。
ボトルtoボトルやFtoPダイレクトリサイクルなどは、日本のPETボトルリサイクルを考えるうえで重要な技術です。
しかし、その技術開発主体を協栄物流へそのまま移すことはできません。
協栄物流自身の役割は物流Innovation
協栄物流自身で確認できる変化としては、大型新倉庫の整備や広域物流ネットワークがあります。
小山のフォークリフト求人は「大型新倉庫建設につき増員」とされており、受注増に対応する物流能力の拡大が確認できます。
倉庫能力を増やすことで、回収量と再生工場の処理量の差を吸収しやすくなります。
また自社車両で回収を行うことで、物流を完全に外部へ依存する場合より情報と運行をグループ内で統合しやすくなります。
これは業務設計として一定の合理性があります。
AIや自動配車の人間還元は確認できない
一方、Innovationの高評価に必要な情報が不足しています。
AIによる配車最適化。
走行距離の削減。
空車率の削減。
倉庫自動化。
自動フォークリフト。
荷役補助設備。
ドライバーの待機時間削減。
電動トラック。
これらについて、協栄物流単体の公開情報では十分確認できませんでした。
Gビズインフォでも、協栄物流名義の特許・意匠・商標は0件と表示されています。ただし特許がないことはInnovationがないことを意味しません。物流改善は特許を取らない業務改善として行われることも多いためです。
企業審査で重要なのは、設備を導入したかどうかだけではありません。
その結果として社員の運転時間が減ったか。
残業が減ったか。
フォークリフト作業の危険が減ったか。
荷役負担が減ったか。
事故が減ったか。
こうした「人間への還元」を確認する必要があります。
現時点ではその具体的データを確認できません。
情報不足を「技術を使っていない」と断定はしませんが、Aとする根拠もありません。
そのためInnovationはBとします。
Protection
ProtectionはBと評価します。
物流会社はProtectionと強く関係します。
災害や供給途絶が起きたとき、製造工場に原料があっても輸送できなければ生産できません。
製品を作れても倉庫・輸送網が止まれば利用者へ届きません。
資源循環の場合も同じです。
使用済みPETの回収が長期間止まれば回収場所に資源が滞留し、再生工場側では原料不足になる可能性があります。
複数拠点は一定の強み
協栄物流には栃木本社、MR物流センター、小山倉庫、中部営業所があります。
すべての機能を一つの建物へ集中させる企業より、複数地域に物流機能を持つことは事業継続上のプラスです。
さらに協栄産業グループ全体では2026年時点で全国15工場・32拠点を持つと説明されています。
ただしグループの32拠点すべてを協栄物流が自由に代替利用できるとまでは確認できません。
そのためProtection評価では、協栄物流自身の拠点と、グループ全体の規模を分けて考えます。
広域許可は代替回収の可能性を高める
多数の都道府県で産業廃棄物収集運搬許可を保有することは、平時の営業範囲だけでなく、物流障害時の柔軟性にも関係します。
特定の県だけでしか運べない会社より、広範な地域で法的に収集運搬できる会社のほうが、回収先・搬入先を変更できる余地は大きくなります。
ただし、許可があるだけで災害時に輸送可能とは限りません。
車両、燃料、道路、人員、倉庫、通信、搬入先工場などが使える必要があります。
BCPの具体的内容は確認できない
今回の公開情報調査では、協栄物流単体について、
災害BCP。
非常電源。
非常用燃料備蓄。
代替配車センター。
車両・倉庫の分散方針。
大規模地震時の従業員参集基準。
サイバー攻撃時の配車継続方法。
オフラインバックアップ。
復旧目標時間。
といった情報を確認できませんでした。
「BCPがない」と断定することはできません。
公開情報では確認できないということです。
サイバーProtectionも情報不足
現在の物流では、配車、在庫、納品、顧客情報などがITシステムと強く結びつきます。
中部営業所の求人でも、配車指示書やメール、電話を用いた調整業務が大量に発生することが確認できます。
配車システムや業務端末がランサムウェアなどで停止した場合、物流継続に影響する可能性があります。
今回、協栄物流株式会社単体の情報漏えい・重大サイバー攻撃は確認できませんでした。
一方、多要素認証、EDR、SOC、CSIRT、オフラインバックアップ、サイバー訓練などについても公開情報では確認できません。
現時点では悪いと評価する根拠はありませんが、サイバーProtectionをAと評価する根拠も不足しています。
広域物流網と複数拠点を評価し、ProtectionはBとします。
項目別シビックランク
| 審査項目 | ランク | 主な評価理由 |
|---|---|---|
| 事業による人間への貢献 | A | PET・プラスチック資源を回収・保管・輸送し、資源循環を実際に成立させる役割を評価 |
| 労働環境 | B | 昇給・賞与・家族手当・退職金・資格支援は評価。賃金水準は中程度で、残業・有給・育休等の単体実績が不足 |
| Safety | B | 広域の許認可、教育制度は評価。重大な行政処分等は今回確認せず。一方、労災・交通事故の単体統計が非公表 |
| Innovation | B | 新倉庫や自社物流網を評価。ただし親会社のリサイクル技術は加点せず、物流自動化による人間還元の数字が不足 |
| Protection | B | 複数物流拠点、自社車両、広域許可は強み。BCP、非常電源、代替配車、サイバー復旧体制は確認できず |
| 総合シビックランク | B | 社会的に重要な資源循環物流を担う一方、労働・Safety・危機対応の単体情報公開に改善余地 |
総合評価
協栄物流株式会社の総合シビックランクはBとします。
協栄物流は、一般消費者からはほとんど見えない会社です。
スーパーでペットボトルの水を買うときに、協栄物流という会社を意識することはまずありません。
しかし、飲み終えたボトルを再び飲料ボトルへ戻すには、製造技術だけでは足りません。
資源を回収する人。
トラックへ積む人。
運転する人。
倉庫へ保管する人。
フォークリフトで動かす人。
配車を組む人。
次の工場へ届ける人。
こうした物流がつながって初めて資源循環は成立します。
協栄物流はその部分を担っています。
協栄産業グループが持つボトルtoボトルやFtoPの高度な技術を協栄物流自身のInnovationとして評価することはできません。
しかし、その技術へ資源を届ける物流機能には独立した社会的価値があります。
特に、自社車両を持ち、多数の都道府県で産業廃棄物収集運搬許可を取得し、倉庫と物流センターを運営している点は強みです。
事業による人間への貢献はAと評価できます。
一方、企業としてAランクにするためには、働く人についての情報が足りません。
フォークリフト求人では月給18万~24万1,000円。
中部営業所では22万2,000~30万円。
昇給、賞与、家族手当、時間外手当、資格支援、退職金共済などもあります。
待遇が極端に悪いと判断する材料はありません。
しかし、高い危険と責任を伴う物流現場に対して十分な利益還元が行われていると断定できるほどの情報もありません。
会社全体の平均年収。
基本給。
2026年のベースアップ。
平均残業時間。
有給取得率。
離職率。
男女賃金差。
育児休業取得率。
こうしたデータは確認できませんでした。
Safetyも同様です。
今回、協栄物流株式会社という名称で重大な死亡事故や国土交通省の行政処分を確認できませんでした。
これはプラス材料ではあります。
ただし物流会社のSafetyを本当に評価するなら、交通事故件数、休業災害、フォークリフト事故、度数率などが必要です。
事故データが公開されていない状態で「安全な物流会社」と断定することはできません。
Protectionも可能性はあります。
複数拠点、自社車両、広域許可は、危機時にも物流を継続するための基礎になります。
しかし、災害時にどの拠点を代替利用するのか、燃料をどう確保するのか、配車システムが停止した場合に手作業へ切り替えられるのか、サイバー攻撃後に何時間で復旧できるのか、といった具体的情報は確認できません。
協栄物流の評価を将来Aへ引き上げるうえで最も重要なのは、「資源循環を支えている」という事業の意義だけでなく、その循環を支えている人をどれだけ大切にしているのかを数字で示すことです。
リサイクル工場の高度な設備だけが資源循環を作るわけではありません。
その裏側で資源を運ぶ物流労働者も循環システムの一部です。
物流の自動化、配車最適化、荷役負担削減、安全設備などが進み、それによって残業や事故、身体的負担が実際に減ったことまで確認できれば、InnovationとSafetyもより高く評価できます。
現状では、
「PETボトルなどの資源循環を物流面から支える社会的価値は高い。一方、その物流を担う人の労働環境、安全実績、災害・サイバー時の継続能力について会社単体の公開情報が不足している」
という評価が最も妥当です。
総合シビックランクはBとします。
出典一覧
1.協栄産業グループ「会社概要・グループ拠点」
2.協栄産業グループ「認証・登録一覧」
3.協栄物流株式会社「採用・求人情報」
4.協栄物流株式会社「フォークリフトスタッフ 小山市」募集情報
5.協栄物流株式会社「構内作業 津市」募集情報
6.Gビズインフォ「協栄物流株式会社」 経済産業省
7.環境省資料「協栄産業株式会社について」
8.千葉県「産業廃棄物処理業者 収集運搬業」
9.協栄産業「事業領域・ペットボトルリサイクル」
10.協栄産業グループ 2026年水平リサイクル協定・グループ概要
11.国土交通省「事業者の行政処分情報検索」
12.協栄物流中部営業所 2024年求人情報
