MENU

丸善食品工業株式会社の企業審査|総合シビックランクB|「い・ろ・は・す」富士小山工場と食品安全体制を評価、残業25.9時間・女性管理職4.2%が課題

コンビニや自動販売機で「い・ろ・は・す 天然水」を買ったとき、ラベルの製造所固有記号が「FC」なら、その水は静岡県駿東郡小山町にある丸善食品工業株式会社の富士小山工場で採水・製造されたものです。日本コカ・コーラは「い・ろ・は・す」の全国8カ所の採水地の一つとして、丸善食品工業の富士小山工場を公式に掲載しています。つまり、丸善食品工業という会社名を知らなくても、日常的に同社が製造した水や飲料を口にしている可能性があります。

この会社の良し悪しは、OEMメーカーだから消費者には関係がない、という話ではありません。水や清涼飲料の品質事故が起きれば飲む人へ直接影響し、工場での長時間労働や夜勤、安全管理の不備は働く人の生活と生命に影響します。逆に、食品安全を高い水準で維持し、必要な飲料を大量かつ安定して生産し、災害時には工場を避難施設や物資供給拠点として開放できれば、その製造能力は地域社会のProtectionにもなります。

丸善食品工業株式会社は、長野県千曲市に本社を置く総合食品メーカーです。2026年4月時点の従業員は452人、2026年3月期の売上高は317億円。自社ブランド「テーブルランド」に加え、大手飲料・食品メーカーのOEM生産を広く手掛けています。本社工場、須坂工場、富士小山工場の3つの主要製造拠点を持ち、PETボトル、缶、ボトル缶、ソフトパウチ、レトルト食品など、多品種・多容器の製造に対応しています。

Safetyでは、本社工場・須坂工場・富士小山工場でFSSC22000・ISO22000を更新し、製造ごとの微生物検査、官能検査、アレルゲン検査、環境微生物検査、月1回のトレースバック訓練などを行っています。工場内では5S検査を毎月実施し、厚生労働省「あんぜんプロジェクト」でもリスクアセスメントや労災対策内部監査の取り組みが確認できます。一方、公開されている労災発生件数は古い年度が中心で、2026年時点の休業災害件数、度数率、重大災害の有無を継続的に比較できるデータは十分ではありません。

労働環境では、2025年度の平均勤続年数12.3年、月平均所定外労働時間25.9時間、平均有給休暇取得日数10.8日です。男性育児休業取得率は45.5%、女性は100%。役員・管理的地位にある者に占める女性割合は4.2%でした。新卒の大卒初任給は月22万5,000円、年間休日は121日です。一方、須坂工場の製造職では6時55分から15時40分、18時55分から翌3時40分の交替勤務が確認され、工場職にはオフィス勤務とは異なる夜勤負担があります。

以上を踏まえ、事業による人間への貢献B、労働環境B、Safety B、Innovation B、Protection B、総合シビックランクBと評価します。

目次

結論:丸善食品工業株式会社の総合シビックランクはB

丸善食品工業株式会社の総合シビックランクはBです。

最大の長所は、一般消費者からは見えにくいOEMメーカーでありながら、水、茶、コーヒー、スポーツ飲料、炭酸飲料、レトルト食品など幅広い生活商品を大量生産できる製造基盤を持つことです。特に富士小山工場は「い・ろ・は・す」の採水・製造拠点として、日本コカ・コーラの供給網に組み込まれています。OEMメーカーのためブランドの健康方針や販売価格を自社だけで決める会社ではありませんが、安全に大量生産する能力そのものが多くの生活者を支えています。

食品安全面では、FSSC22000、ISO22000、ISO9001を取得・更新し、HACCPに基づく管理、毎月のトレーサビリティ訓練、微生物・官能・アレルゲン検査を組み合わせています。2026年には富士小山工場を含む各工場のFSSC22000認証更新も確認できます。単に「安全第一」と掲げるだけでなく、異常が起きた際にどの時間帯・どの設備で製造され、どこへ出荷された商品かを追跡する訓練まで行っている点は評価できます。

一方、働く人の側を見ると、A評価には届きません。2025年度の月平均所定外労働時間は25.9時間で、極端な長時間労働という水準ではないものの、食品製造会社として低いとも言いにくい数字です。須坂工場では深夜を含む交替勤務があり、2026年の求人では月19万~24万円の製造職も確認できます。夜勤や繁忙期の負担がある製造現場に対して、賃金や休暇がどこまで還元されているかを見る必要があります。

女性管理職比率4.2%も明確な課題です。2025年の新卒採用では男性6人、女性7人と女性採用は進んでいますが、管理的地位では女性3人/71人にとどまります。新しく入る世代の男女比が改善しても、昇進・配置・継続就業の結果として管理職へつながらなければ、企業内の意思決定は偏ったままになります。

Innovationでは、複数のアセプティック充填ライン、多様な容器への対応、稼働率・歩留まり管理、製造設備の改良など高度な生産技術を持ちます。しかし企業審査では設備が大きいだけでAにしません。自動化によって人の作業時間が何時間減ったか、危険作業や事故が何件減ったか、製造コストを価格抑制へどこまで還元できたかという人間側の成果が十分公開されていないためBとします。

Protectionでは、富士小山工場について小山町と災害時の救援物資・避難施設提供協定を結んでいます。予備電源を備え、最大約1,000人を収容でき、飲料・食料・AED等を提供可能としています。地震、風水害、富士山噴火まで想定している点は強みです。一方、実際の大規模災害で工場をどの程度の時間で復旧できたか、代替生産を何日で立ち上げられるか、サイバー攻撃時に受注・製造をどう継続するかなどの定量的公開は限られます。このためProtectionもBとします。

審査項目ランク主な評価理由
事業による人間への貢献B「い・ろ・は・す」を含む大手ブランドのOEM、水・飲料・食品を大規模に安定製造。ブランド方針・価格決定は委託元との分業
労働環境B年間休日121日、有休平均10.8日、新卒定着率90%以上を評価。残業25.9時間、夜勤、女性管理職4.2%が課題
SafetyBFSSC22000、ISO22000、HACCP、月1回トレーサビリティ訓練、検査体制は強い。直近の労災定量開示が不足
InnovationB無菌充填、多容器・多品種生産、大規模ラインを評価。自動化が人間の時間・安全・価格へ与えた結果の開示は限定的
ProtectionB富士小山工場を最大約1,000人の避難施設として提供可能、予備電源・救援物資を備える。実災害時の復旧実績やサイバー開示は限定的
総合シビックランクB食品安全と大規模生産に明確な長所がある一方、労働・Safety・危機対応の結果開示に改善余地

丸善食品工業株式会社の基本情報

今回対象とする丸善食品工業株式会社は、長野県千曲市の法人番号2100001006240の会社です。同名の「丸善食品工業株式会社」が東京都板橋区にも存在しますが、そちらは天然調味料・スープ等を扱う別法人です。「い・ろ・は・す」の富士小山工場を運営しているのは、長野県千曲市に本社を置く丸善食品工業です。

項目内容
会社名丸善食品工業株式会社
法人番号2100001006240
設立1961年2月20日
本社長野県千曲市大字寂蒔880
代表取締役会長春日靖史
代表取締役社長馬場博一
資本金8,000万円
売上高317億円、2026年3月実績
従業員数452人、2026年4月1日時点
主要事業食品・清涼飲料の製造、自社ブランド、OEM・PB商品の製造
主要工場本社工場、須坂工場、富士小山工場
主な物流拠点屋代、戸倉、岐阜ロジスティクスセンター
上場区分非上場
主な取引先コカ・コーラ ボトラーズジャパン、サントリー、キリン、ポッカサッポロ、明治、ヤクルト、伊藤園など

公式会社概要では2024年6月時点の従業員446人、売上高313億円とされていますが、2026年7月更新の採用情報では従業員452人、2026年3月実績の売上高317億円が示されています。企業審査では新しい時点の数字を優先します。

丸善食品工業は独立系の総合食品メーカーです。ブランドオーナーから製造を委託されるOEM事業と、自社ブランド「テーブルランド」の両方を持っています。そのため、消費者から見える会社名と実際の製造会社が一致しない商品が多くあります。

主な業務内容と国内拠点

この会社を理解するうえで重要なのは、単なる「食品工場」ではなく、飲料・食品の多品種大量生産を複数拠点で行う製造プラットフォームだという点です。ブランド企業が商品を企画しても、実際に安全な商品を大量に作れなければ店頭には並びません。

本社工場

長野県千曲市の本社工場では、缶・ボトル缶、PETボトル、炭酸・缶、ソフトパウチ食品など複数ラインを運営しています。

缶・ボトル缶ラインは日産約90万本、PETボトルラインは約81.6万本、炭酸・缶ラインは約84万本、ソフトパウチ食品製造ラインは日産16万食の能力が公表されています。

飲料だけでなく高濃度栄養食品などもFSSC22000の対象範囲に含まれており、製造するカテゴリーが広いことが特徴です。

須坂工場

須坂工場では炭酸飲料、無炭酸飲料、アイソトニック飲料、惣菜瓶詰めなどを製造します。

アセプティック充填ラインの能力は日産約96万本です。2026年の製造職求人では、6時55分から15時40分と18時55分から翌3時40分の二つの勤務時間が示されています。飲料設備を長時間稼働させるため、現場では深夜勤務を含む交替制が発生します。

富士小山工場

静岡県小山町の富士小山工場は、今回の「い・ろ・は・す」と最も関係が深い拠点です。

日本コカ・コーラ公式では、同工場が「い・ろ・は・す」の全国8採水地の一つとして記載され、製造所固有記号はFC、採水地は静岡県駿東郡小山町菅沼884-1、硬度は41です。

富士小山工場にはアセプティック充填1号・2号・3号ラインがあり、公表能力はそれぞれ日産81.6万本、96万本、96万本です。ボトルドウォーターだけでなく、お茶、コーヒー、果汁飲料、フレーバー水、機能性飲料、炭酸飲料にも対応します。

この工場で働く人の安全と製造品質は、「い・ろ・は・す」を買う消費者のSafetyへ直接つながります。

ロジスティクスセンター

屋代、戸倉、岐阜などに物流センターを持っています。食品製造では作った時点で仕事が終わるわけではなく、保管、ロット管理、出荷先追跡まで品質保証の一部です。

丸善食品工業は月1回のトレースバック訓練を行い、製品がどの工場、どの設備、どの時間帯で作られたかを追跡すると説明しています。また、製品がどこへ配送されたかを確認するトレースフォワード訓練も実施しています。

事業による人間への貢献

事業による人間への貢献はBと評価します。

丸善食品工業の役割は、ブランドを前面に出して商品を売ることより、他社が企画した飲料・食品も含めて、同じ品質で大量に作ることです。一般消費者から会社名が見えにくいからこそ、その貢献は製品の供給量、安全、価格、災害対応を通じて現れます。

水や飲料を大量に安定供給する

「い・ろ・は・す」のような天然水は、日常の水分補給だけでなく、猛暑、移動、災害、備蓄でも使われます。

富士小山工場だけでも複数の大型無菌充填ラインを持ち、ボトルドウォーターや茶、スポーツ飲料などを大量生産できます。需要が急増したときに一定量を作れる能力は、市民にとって「必要なときに買える」ことへつながります。

ただし、販売価格や商品の成分・ブランド方針はOEM委託元が決める部分が大きく、丸善食品工業だけで「健康的な商品を増やした」「価格を抑えた」と評価することはできません。

同社の人間貢献は、商品企画よりも安全で柔軟な製造能力に置いて評価します。

自社ブランドでは食品の選択肢も提供

自社ブランド「テーブルランド」では、なめ茸、レトルト食品、おかゆ、炊き込みご飯の素などを扱っています。

常温保存できるレトルト食品は、調理時間を短縮しやすく、災害備蓄や体調不良時の食事にも利用できます。調理に必要な時間とエネルギーを減らすという意味では、人間への具体的な利便性があります。

一方、個別商品の栄養、安全、価格については企業審査の中で一括評価せず、必要に応じて商品審査側で確認するのが適切です。

OEMはブランド企業の供給力を支える

OEM企業は、自社名が商品パッケージの前面に出ない場合が多い会社です。しかし、大手ブランドが商品を大量販売できる背景には、受託製造会社の設備と人材があります。

丸善食品工業はコカ・コーラ ボトラーズジャパン、サントリー、キリンビバレッジ、ポッカサッポロ、伊藤園、明治、ヤクルトなど多数の企業を取引先として公表しています。

一つのブランド専用メーカーではないため、複数ブランド・複数カテゴリーへ製造能力を提供しています。この分散性は事業の安定だけでなく、飲料供給網全体の柔軟性にもつながります。

水源を使うだけでなく森林整備へ関与

富士小山工場で使う天然水は周辺森林の状態と無関係ではありません。

丸善食品工業は小山町やOEM提携企業と連携し、約162ヘクタールの森林を対象に定期的な植林活動を行っています。小山町、サントリーホールディングス、丸善食品工業の3者による「天然水の森 しずおか小山」の森林整備協定もあります。

水を大量に商品化する企業が、取水だけを行って森の管理を地域へ任せるのではなく、水源涵養へ関与することは長期的な供給と地域防災の双方に意味があります。

ただし森林活動を行っていることだけで、水使用量や地下水への影響が完全に問題ないとは断定しません。採水量、涵養量、地下水位などを継続的に定量公開できればさらに評価しやすくなります。

事業貢献Bの理由

丸善食品工業は、水・清涼飲料・保存食品の製造を通じて日常生活を支えています。「い・ろ・は・す」の富士小山採水地のように、大手ブランドの重要製造拠点も担っています。

一方、OEMという事業構造上、最終商品の健康方針、価格、販売方法を自社だけで決定できるわけではありません。また、人間への還元を示す価格抑制や労働時間削減の定量結果も限定的です。

そのため事業による人間への貢献はBとします。

代表業務・代表事業の審査

代表業務は「清涼飲料・食品のOEMを中心とする多品種大量製造」とします。

個別の「い・ろ・は・す」を丸善食品工業の商品として審査するのではなく、多様なブランドの商品を安全に大量生産する製造機能そのものを評価します。

多品種を同じ安全基準で作る難しさ

飲料工場では、水だけを作る場合と、茶、コーヒー、果汁、炭酸、機能性飲料を同じ拠点で作る場合では管理の複雑さが違います。

原材料、アレルゲン、糖度、pH、微生物、容器、殺菌条件などが商品ごとに変わります。切り替え時の洗浄や設定ミスがあれば、品質事故へつながります。

丸善食品工業はFSSC22000とHACCPに基づく管理を行い、製造ごとに微生物検査、官能検査、アレルゲン検査を実施しています。環境微生物検査では空気、機械、水も対象にしています。

アセプティック充填の意味

富士小山・須坂の主力設備の一つがアセプティック充填です。

無菌状態を維持して飲料を容器へ充填することで、品質を保ちながら常温流通しやすい商品を大量生産できます。常温で広域流通できる飲料は、冷蔵設備に依存する商品より物流上の自由度が高くなります。

一方、設備能力が大きいほど、一度設定や衛生管理に問題が起きたときの影響量も大きくなります。そのため大量生産能力と追跡・回収能力はセットで評価する必要があります。

追跡訓練を月1回行う

食品事故が起きた場合、「問題があるかもしれない商品を全部回収する」より、対象ロットを速く正確に特定できる方が消費者保護と廃棄削減の両面で有効です。

同社は無作為に商品を選び、製造工場、設備、時間帯、保管場所まで追跡するトレースバック訓練を月1回行っています。さらに出荷先を追うトレースフォワード訓練も定期的に実施しています。

これは代表業務のSafetyとProtectionを支える重要な仕組みです。

労働環境

労働環境はBと評価します。

飲料・食品工場の雇用を見るとき、平均値だけでは実態を把握できません。日勤の事務・技術職と、夜間まで設備を動かす製造職では負担が違います。丸善食品工業では、2025年度の平均残業25.9時間という全体指標に加え、現場求人の交替勤務や賃金を分けて見る必要があります。

労働環境の主要数値

項目確認値時点・注意点
従業員数452人2026年4月1日
平均勤続年数12.3年2025年度
月平均所定外労働時間25.9時間2025年度
平均有給休暇取得日数10.8日2025年度
男性育休取得率45.5%2025年度、対象11人・取得5人
女性育休取得率100%2025年度、対象7人・取得7人
女性管理職等割合4.2%2025年度、71人中3人
2025年新卒定着率92.3%採用13人、離職1人
2024年新卒定着率100%採用13人、離職0人
2023年新卒定着率90.0%採用20人、離職2人
2027年大卒初任給月22万5,000円総合職
2027年大学院了初任給月24万円総合職
2027年短大・高専・専門卒月20万5,000円総合職
年間休日121日新卒採用。配属先により異なる場合あり
平均年間給与公開情報では確認できず口コミや求人年収を会社平均にしない
2026年ベースアップ公開情報では確認できず初任給と区別
男女賃金差公開情報では確認できず管理職比率から推定しない

平均残業25.9時間

2025年度の月平均所定外労働時間は25.9時間です。

年間換算すると単純計算で300時間を超えるため、生活時間への影響は小さくありません。もちろん繁忙期と閑散期、部署によって差があるため、全社員が毎月25.9時間残業しているとは限りません。

口コミサイトにはさらに長い残業を経験した過去の投稿もありますが、古い個人経験を現在の会社全体へ拡張しません。企業審査では2025年度の採用データを主要指標とします。

25.9時間はC評価を決めるほど極端ではありませんが、A評価とするには長いと判断します。

夜勤を含む製造職

須坂工場の2026年製造求人では、6時55分から15時40分、18時55分から翌3時40分の勤務時間が示されています。年間休日は125日、賃金は月19万~24万円です。

夜勤は同じ7時間45分勤務でも、睡眠、食事、家族との時間への影響が大きくなります。交替手当や深夜割増が支払われても、夜間勤務そのものの健康負担は残ります。

本社工場の品質保証求人でも、8時30分から17時15分に加えて15時15分から24時までの勤務時間が示されるケースがあります。

「丸善食品工業は年間休日121日だから働きやすい」と一括せず、製造・品質職ではシフト・夜勤を含むことを明示する必要があります。

初任給と工場求人の賃金

2027年新卒の大卒総合職初任給は22万5,000円、大学院了24万円、短大・高専・専門卒20万5,000円です。

一方、2026年の中途製造求人では月19万~24万円、品質保証では月18万~22万円などのレンジが確認できます。

これらは採用時の職種別賃金であり、会社全体の平均年収ではありません。平均年間給与や既存社員の基本給、2026年ベースアップは公開情報では確認できないため、推測で埋めません。

賞与は新卒採用情報で年3回、2024年度実績とされています。給与だけでなく賞与の比重が一定程度ある賃金構造と考えられますが、支給月数は公開情報では確認できません。

年間休日121日と有休10.8日

新卒採用では年間休日121日です。配属先により異なる場合があると明記され、須坂工場の製造求人では125日など職種ごとの差があります。

2025年度の平均有給休暇取得日数は10.8日です。

付与日数が社員によって異なるため、取得率へ単純変換はしません。それでも平均10日を超えている点は一定の休暇利用があることを示します。

男性育休45.5%

2025年度は男性の育休対象者11人に対し取得者5人、取得率45.5%です。女性は対象7人全員が取得しています。

男性育休がゼロに近い状態ではないことは評価できますが、半数未満です。育児を女性へ偏らせないためには、男性も取得しやすい業務設計や代替要員の確保が必要です。

製造現場では一人が長期間離れるとシフトへ影響するため、取得率を高めるには単なる制度周知ではなく人員配置まで必要になります。

女性管理職4.2%

2025年度の役員・管理的地位にある者に占める女性割合は4.2%、71人中3人です。

同年の新卒採用では女性7人、男性6人で、採用入口では女性が半数を超えています。つまり「女性が応募してこないから管理職が少ない」だけでは今後説明できなくなります。

過去の採用構成や年齢構成の影響はあるため、現在の4.2%だけで差別と断定はしません。しかし将来的に女性社員が技術、製造、品質、管理部門で責任あるポジションへ進めるかは重要な評価項目です。

新卒定着率は高い

2023年から2025年の新卒定着率は90.0%、100%、92.3%です。

採用人数が年13~20人と大きくないため、1~2人の退職で比率は変わります。それでも3年分を見る限り、新卒が短期間で大量離職している会社ではありません。

平均勤続年数も12.3年で、一定の雇用継続性があります。

福利厚生と教育

福利厚生として、社会保険、退職金、共済会、財形貯蓄、資格取得支援、社宅・家賃補助、時短勤務などが確認できます。

通信教育を修了した場合の受講料支援もあり、入社時研修、リーダー研修、QCサークル研修などが用意されています。

技術導入が進む製造業では、設備が高度化した結果として社員の仕事がなくなるのではなく、保全、品質、改善、データ管理などの技能へ移れる仕組みが重要です。教育制度はその基盤として評価できます。

労働組合は確認できない

ハローワーク求人では労働組合「なし」とされています。

労働組合がないこと自体を悪い会社と判定しません。しかし賃上げ、交替勤務、夜勤、安全設備などを集団で交渉する制度が見えにくくなるため、社員意見を経営へ反映する別の仕組みが重要になります。

公開情報では労使協議会などの詳細は確認できませんでした。

労働環境Bの理由

新卒定着率は高く、年間休日121日、有休平均10.8日、育児制度、資格取得支援など良い要素があります。

一方、平均残業25.9時間、深夜を含む交替勤務、男性育休45.5%、女性管理職4.2%という課題があります。平均給与やベースアップ、男女賃金差の公開も不足しています。

重大な低賃金や大量離職を示す根拠は確認できないものの、A評価に必要な「時間・賃金・昇進の高い還元」までは確認できないためBとします。

Safety

SafetyはBと評価します。

丸善食品工業では、飲む人の食品安全と、工場で働く人の労働安全を分けて確認する必要があります。食品安全の管理はかなり詳細ですが、直近の労災指標の公開は相対的に弱い状態です。

3工場でFSSC22000を更新

2026年に公表された認証情報では、本社工場、須坂工場、富士小山工場がFSSC22000 Version 6・ISO22000の認証範囲に入っています。

富士小山工場の登録範囲には、お茶、コーヒー、果汁飲料、フレーバー水、機能性飲料、炭酸飲料、ボトルドウォーターが含まれます。

「い・ろ・は・す」を含むボトルドウォーターを製造する工場が、国際的な食品安全マネジメント規格の対象になっている点は評価できます。

HACCPと検査

会社はHACCPに基づく管理を行い、製造ごとの微生物検査、官能検査、アレルゲン検査を実施しています。

さらに製造環境の空気、機械、水を対象とする環境微生物検査も行っています。

製品が完成してから一部を検査するだけでなく、工程そのものを管理することが食品安全の基本です。大量生産メーカーでは一つの異常が多くの商品へ広がり得るため、工程監視の重要性は高くなります。

官能検査担当者にも資格試験

官能検査については、自社試験と取引先監修の試験を実施し、合格した資格保有者が検査を担当すると説明しています。官能訓練は毎日行われています。

機器分析だけでは気付きにくい味、香り、外観の違和感を人が検知する仕組みを残している点は、安全と品質の二重チェックになります。

月1回のトレーサビリティ訓練

トレースバック訓練を月1回行い、無作為の商品について工場・機械・製造時間・保管場所を確認しています。

異常商品が市場へ出た場合、対象を早く特定して回収できるかは健康被害の拡大を抑えるうえで重要です。定期訓練を実施している点を高く評価します。

労働安全ではリスクアセスメント

厚生労働省「あんぜんプロジェクト」の登録情報では、本社工場で安全衛生委員による月1回の職場巡回、リスクアセスメント、労災対策内部監査などを実施していることが確認できます。

労災が発生した場合、対策が継続して守られているかを他部署が監査し、当事者へのヒアリングも行うとしています。

2015~2019年度の公開データでは死亡災害は0件、休業災害は2017年度の1件でした。

ただし、この数字は古いものです。2020年代の休業災害件数、死亡災害、度数率・強度率を同じ形式で確認できませんでした。

直近の重大回収は確認できず

消費者庁の回収情報や企業サイトを追加検索しましたが、今回の調査では長野県千曲市の丸善食品工業株式会社を主体とする近年の大規模自主回収や重大食品事故を確認できませんでした。

これは「回収が一度もない」と証明するものではありません。同名企業も存在するため、別法人の回収情報を混同しないよう注意が必要です。

「い・ろ・は・す」の水質検査

日本コカ・コーラは、「い・ろ・は・す」を含む製品に使用する水について法令基準と独自グローバル基準を適用し、PFOS・PFOAも全製造工場で検査して国の基準値・規格値を下回ることを確認していると公表しています。

この検査体制はコカ・コーラシステムの方針であり、丸善食品工業独自制度とは区別します。しかし富士小山工場が同商品の製造拠点である以上、消費者Safetyを確認する補助材料になります。

Safety Bの理由

食品安全の仕組みは強く、FSSC22000、HACCP、各種検査、月1回の追跡訓練まで具体的です。

一方、働く人のSafetyについては、直近の休業災害・死亡災害・度数率などの継続開示が足りません。重大事故が検索で見つからないことだけを理由にAにはしません。

そのためSafetyはBとします。

Innovation

InnovationはBと評価します。

丸善食品工業は大規模な無菌充填設備、多品種・多容器生産、設備設計・導入を社内で行う生産技術部門など、製造技術の基盤は強い企業です。しかしInnovationの評価では設備能力の大きさではなく、人間の負担、安全、価格、品質へどう還元されたかを確認します。

大規模アセプティックライン

富士小山工場には3本のアセプティック充填ラインがあり、1日あたり合計約273万本の公表能力があります。須坂工場にも日産約96万本のラインがあります。

無菌充填は飲料の品質を維持しながら大量生産するための重要技術です。

また複数ラインを持つことで、一ラインの整備中にも他ラインを使える余地が生まれ、Protectionにもつながります。

多容器・多品種対応

PET、缶、ボトル缶、ソフトパウチ、瓶、レトルトなど多様な容器に対応できることも強みです。

ブランド側は自前で工場を持たなくても、新商品を丸善食品工業の設備へ乗せられます。これは新商品の市場投入を容易にし、食品産業全体のInnovationを支えるインフラになります。

生産技術・エンジニアリングを社内に持つ

採用情報では、生産技術職が新規設備の仕様設計・工場導入、新製品の工場導入を担当し、エンジニアリング職が設備のバージョンアップ、機械・電気制御、保守・メンテナンスを担当します。

単に設備メーカーから機械を買うだけではなく、製品に合わせた工程設計や改善を社内で行えることは、品質と生産性を高める基盤です。

人間への還元の数値は不足

しかし、自動化・設備更新によって人員の歩行距離が何%減った、重量物作業が何件削減された、残業が何時間減った、労災が何件減ったという公開データは確認できません。

2025年度の平均残業が25.9時間であることを考えると、高度な設備が必ずしも社員の時間短縮へ十分還元されていると断定できません。

Innovation Aへ進むには、設備能力ではなく人間側の改善結果まで示すことが重要です。

水源保全も長期的な技術運用の一部

富士小山工場では小山町や企業と森林整備に関わっています。

水を採り続けるだけでなく、水源涵養を長期的に維持することは天然水製造の持続性に関係します。工場設備のInnovationとは別ですが、製造基盤を50年・100年単位で維持するための取り組みとして評価できます。

Innovation Bの理由

設備・製造技術の水準は高く、複数ブランドの多様な商品を大量生産できる能力もあります。

一方で、技術投資が社員の労働時間、安全、賃金、消費者価格へどの程度還元されたかは十分示されていません。

そのためInnovationはBとします。

Protection

ProtectionはBと評価します。

飲料・食品メーカーのProtectionとは、災害が起きても完全に工場を止めないことだけではありません。危険な場合には安全のため設備を止めつつ、別ライン・別工場・在庫を使い、必要な商品を供給し、地域住民へ物資や避難場所を提供できることです。

小山町との防災協定

丸善食品工業は2013年、小山町と地震、風水害、富士山噴火などの災害時に救援物資と避難施設を提供する協定を締結しています。

富士小山工場は飲料や食料品、AEDなどを提供でき、予備電源を備え、近隣住民を最大約1,000人収容可能としています。

富士山噴火まで想定しているのは、立地固有のリスクを踏まえたProtectionです。

工場そのものを避難施設にする

災害用の飲料を寄付するだけでなく、工場の建物と電源を避難拠点へ転用する設計は重要です。

大規模な食品工場は、広い建物、駐車場、水、食品、電源を持ちます。これらを非常時に地域へ開放できれば、平時の生産資産が地域防災インフラになります。

複数工場と物流拠点

本社工場、須坂工場、富士小山工場に加え、複数のロジスティクスセンターを持つことは、一拠点への集中リスクを一定程度下げます。

ただし、すべての工場が同じ商品を製造できるわけではありません。「い・ろ・は・す」の富士小山採水地が止まった場合に他の採水地へ切り替えられるかは、コカ・コーラシステム側の需給判断も関係します。

丸善食品工業だけのProtectionとして、完全な代替性を推測しません。

森林整備は水源のProtection

小山町の森林約162ヘクタールを対象とした森林整備は、水源涵養と土砂流出対策の両方に関係します。

天然水工場は水源自体が劣化すれば事業を継続できません。森林を守ることは環境活動だけでなく、原料供給を長期的に守るProtectionです。

サイバーProtectionの公開は限定的

採用情報では情報システム職が社内システム開発、データ、ネットワーク、セキュリティー管理を担当しています。

プライバシーポリシーでも不正アクセス、紛失、破壊、改ざん、漏えいの予防・是正に努めるとしています。

一方、SOC、24時間監視、EDR、CSIRT、オフラインバックアップ、工場ネットワーク分離、ランサムウェア訓練、復旧目標時間などの具体的な公開情報は確認できませんでした。

食品工場がサイバー攻撃で停止すれば、製造だけでなく受注、在庫、配送にも影響します。今後はIT・OT双方の復旧力を示すことが望まれます。

実災害での復旧時間は確認できない

小山町との防災協定は具体的で高く評価できますが、近年の大規模災害で丸善食品工業の工場が被災し、何時間・何日で復旧したかという実績は今回の公開情報では確認できませんでした。

仕様書ではProtectionを計画の存在だけでAにしないため、現時点ではBとします。

項目別シビックランク

審査項目ランク評価の要点
事業による人間への貢献B水・飲料・保存食品を大規模生産し「い・ろ・は・す」の採水・製造も担う。OEMのため価格・商品方針の決定権は分散
労働環境B新卒定着率90%以上、有休平均10.8日、年間休日121日を評価。残業25.9時間、夜勤、男性育休45.5%、女性管理職4.2%が課題
SafetyB3工場のFSSC22000、HACCP、各種検査、月1回追跡訓練を評価。直近の労災定量開示が不足
InnovationB大規模無菌充填・多品種多容器の製造技術を評価。人の時間・安全・価格への還元実績の開示は限定的
ProtectionB最大約1,000人を収容可能な富士小山工場の防災協定、予備電源、水源保全を評価。実災害の復旧時間とサイバー開示が不足
総合シビックランクB製造・食品安全の基盤は強い一方、労働・Safety・Protectionの結果情報がA評価には不足

総合評価

丸善食品工業株式会社の総合シビックランクはBです。

丸善食品工業は、消費者から見えにくいところで非常に多くの飲料・食品を作っている会社です。「い・ろ・は・す」の富士小山採水地もその一つです。自社ブランドだけを見ていると会社規模や社会との関係を過小評価しやすく、OEMメーカーとしての製造能力まで見る必要があります。

事業面で評価できるのは、複数工場と大型設備を使い、水、茶、コーヒー、スポーツ飲料、炭酸飲料、レトルト食品などを安全に大量生産できることです。こうした供給能力は、普段は「商品が棚にある」という当たり前の形で生活へ還元されています。

SafetyではFSSC22000、ISO22000、HACCP、微生物・アレルゲン・官能検査、月1回の追跡訓練など具体的な管理策があります。大量生産企業ほど品質異常の影響範囲が大きくなるため、追跡能力を定期訓練している点は特に評価できます。

一方、働く人のSafetyについては公開情報が十分ではありません。厚生労働省の過去データでは死亡災害0、休業災害も少ない年度が確認できますが、直近の度数率や休業災害件数が継続的に公開されていません。食品安全の認証が優れていることと、労働災害が少ないことは別の問題です。

労働環境では、新卒定着率90%以上、平均有休10.8日、年間休日121日、賞与年3回など良い点があります。しかし平均残業25.9時間はさらに減らす余地があります。須坂工場や品質保証では夜間勤務も存在し、工場労働者はオフィス勤務者とは違う負担を受けます。

女性管理職4.2%も大きな改善課題です。新卒採用では男女がほぼ同数になっているため、今後は採用だけでなく昇進・配置・育児との両立まで結果を追う必要があります。男性育休45.5%を上げることも、女性だけへ家庭負担を集中させないために重要です。

Innovationでは、大規模なアセプティックラインと多品種・多容器対応を高く評価します。しかしシビックランクでは、「最新設備だからA」とはしません。製造設備の更新が社員の残業、夜勤人数、重量物作業、事故、消費者価格をどれだけ減らしたのかという結果を示せれば、Innovationの評価はさらに上げられます。

Protectionでは、富士小山工場を最大約1,000人の緊急避難施設として提供でき、予備電源や飲料・食料・AEDを備える防災協定は明確な長所です。地震や風水害だけでなく富士山噴火まで対象にしている点は、地域固有の危機を考えた取り組みです。

ただし実際の大規模災害でどの程度供給を継続できたか、工場停止後に何日で復旧できるか、サイバー攻撃時に製造と物流をどこまで維持できるかの情報は限られます。計画が具体的でも、実績と復旧時間が分からない以上、ProtectionはAではなくBとしました。

丸善食品工業がAへ進むためには、平均残業をさらに減らし、男性育休と女性管理職を引き上げること、平均給与・ベースアップ・男女賃金差を公開すること、直近の労働災害件数・度数率を継続開示すること、自動化による作業時間・危険作業削減の結果を示すこと、BCPの目標復旧時間や実災害での復旧実績、サイバー防御・バックアップ体制を具体化することが重要です。

現時点では、

「『い・ろ・は・す』を含む大手ブランドの飲料・食品を、高い食品安全基準と大規模設備で支える製造企業。防災拠点としての地域貢献も明確だが、残業・夜勤・女性登用と、直近の労災・復旧力の定量開示に改善余地がある企業」

と評価します。

総合シビックランクはBです。

出典一覧

1.丸善食品工業株式会社「会社概要」

2.丸善食品工業株式会社「事業所紹介」

3.丸善食品工業株式会社「工場案内・ライン能力」

4.丸善食品工業株式会社「安全・安心について」

5.丸善食品工業株式会社「安全方針」

6.丸善食品工業株式会社「FSSC22000の認証を更新いたしました」

7.丸善食品工業株式会社「ISO9001の認証を更新いたしました」

8.丸善食品工業株式会社 採用サイト「新卒採用」

9.マイナビ2027「丸善食品工業株式会社 会社概要・働き方データ」

10.マイナビ2027「丸善食品工業株式会社 採用データ」

11.厚生労働省「あんぜんプロジェクト 丸善食品工業株式会社 本社工場」

12.ハローワークインターネットサービス「丸善食品工業株式会社 須坂工場 製造求人」2026年

13.ハローワークインターネットサービス「丸善食品工業株式会社 本社工場 品質保証求人」2026年

14.経済産業省 Gビズインフォ「丸善食品工業株式会社」

15.日本コカ・コーラ株式会社「い・ろ・は・す おいしい水の秘密/工場別固有記号」

16.日本コカ・コーラ株式会社「い・ろ・は・す 製品情報・PFASに関するFAQ」

17.丸善食品工業株式会社「防災協定」

18.丸善食品工業株式会社「植林活動」

19.小山町「広報おやま 2024年1月号」

20.小山町「サントリー天然水の森しずおか小山 植樹イベント」2025年

21.サントリーホールディングス株式会社「サントリー 天然水の森 一覧」

22.丸善食品工業株式会社「プライバシーポリシー」

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次