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LOTTE Chemical Corporationの企業審査|総合51点・シビックランクD|育児支援と再生材・供給継続を評価、実残業非公表と2026年個人情報流出が課題

スーパーで買う食品の包装、病院で使う輸液バッグ、自動車の内外装、スマートフォンの部品、住宅の断熱材や塗料。これらの価格や安全性は、完成品メーカーだけで決まるわけではありません。原料となる樹脂や化学素材が止まれば、製品を作れず、代替原料への切り替えには時間と費用がかかります。

2026年には中東情勢による供給網不安の中、LOTTE Chemical Corporationが医療用輸液バッグ原料の生産を維持し、コンクリート混和剤原料を韓国内需要の約140%に相当する水準まで先行供給したと公表しました。素材メーカーの供給判断が、医療や建設の現場までつながる具体例です。

一方、化学工場は高温・高圧・可燃性物質を扱うため、便利な素材を作ることと同時に、働く人や周辺住民を事故から守る責任があります。

LOTTE Chemicalでは2024年に社員の業務上災害8件、死亡0件、重大傷害0件を公表しましたが、LTIFRやTRIRは前年より悪化しました。

さらに2026年8月27日には社内システムECOMSが外部攻撃を受け、氏名、ログインID、携帯電話番号、メールアドレス、社員番号、職級・職位などを含む可能性のある個人情報流出を会社自身が公表しています。

同社には、平均勤続14年超、幅広い福利厚生、育児休職後の高い復帰率、再生材の実製品採用、取引先への供給支援といった強みがあります。

その一方で、実際の平均残業時間、既存社員のベースアップ、2026年時点の労災結果、サイバー攻撃後の最終的な影響範囲や復旧時間など、評価に必要な情報には不足もあります。

本記事では、LOTTE Chemical Corporation本体を対象に、働く人への還元、安全、技術による負担削減、災害・供給途絶・サイバー攻撃への強さを分けて審査します。

2026年6月に分社したLOTTE Daesan Petrochemや、LOTTE Chemical Titan、LOTTE Fine Chemical、LOTTE Energy Materialsなどの子会社・関連法人の実績は、対象法人へ自動的に移しません。

評価時点:2026年9月25日

適用基準:100点制・第1版

目次

結論:総合51点・シビックランクD

評価軸得点主な評価
Safety24/50高水準の平均給与、正規雇用比率、育児支援と復帰実績、ISO45001、安全KPI公開を評価。一方、実残業・既存社員のベースアップが不明、2024年の労災指標悪化と過去の大山爆発事故が課題
Innovation14/25Galaxy S25・自動車向け再生材、AI・RPA、素材設計技術を評価。自動化による社員の時短・配置転換・賃金還元の定量実績は不明
Protection13/25防災訓練、複数拠点、在庫と定修調整による重要原料供給を評価。2026年の個人情報流出と、自社ITのRTO・バックアップ等の詳細不足が課題
総合51/100シビックランクD

Dランクになった理由は、重大な不祥事だけで評価が落ちたからではありません。

福利厚生、育児支援、雇用の長期性、再生材開発、供給継続には具体的な実績があります。

しかし、本評価では制度の存在だけでなく、実際の残業、賃上げ、安全結果、サイバー復旧などの結果データを重視します。

実残業が十分な調査後も確認できなかったこと、2024年の労災率が前年から悪化したこと、2026年8月に実際の個人情報流出が起きたことが点数を押し下げました。

基本情報

項目内容
会社名LOTTE Chemical Corporation/롯데케미칼 주식회사
設立1976年3月16日
本社LOTTE World Tower 14~16階、300 Olympic-ro, Songpa-gu, Seoul
代表取締役Shin Dong-bin、Lee Young-jun、Joo Woo-hyun
従業員数4,301人、2026年1Q公式。2026年6月末のDART由来集計では3,509人
2025年末従業員4,349人、うち正規4,291人・期間制58人
2025年平均勤続14.6年
2025年平均給与約1億313万ウォン
主な事業基礎化学、先端素材、電池素材、水素エネルギー、精密化学
主な国内拠点ソウル本社、議旺、麗水基礎化学、麗水先端素材、蔚山、研究開発拠点等
上場韓国KOSPI、証券コード011170

情報ランク:A|設立、代表者、本社、2026年1Q従業員数、事業領域は会社公式。

2025年末の4,349人、平均給与約1億313万ウォン、平均勤続14.6年などは2025年事業報告書を基礎にしたDART集計で確認しました。

2026年6月末には3,509人へ減っていますが、この間の2026年6月に大山工場が別法人LOTTE Daesan Petrochemへ分社されました。

したがって、この減少をそのまま「約800人を解雇した」とは扱いません。

2026年6月、大山工場は別法人になった

企業審査では、この法人境界が重要です。

LOTTE Chemicalは2026年6月、従来の大山工場と関連事業を物的分割し、LOTTE Daesan Petrochem Corporationを設立しました。

会社公式の個人情報移管通知では、2026年6月1日を予定日として、大山工場・関連事業の運営に必要な人事・取引情報を新法人へ移すことを明記しています。

そのため、本記事の評価時点である2026年9月25日には、大山工場はLOTTE Chemical Corporation本体の工場ではありません。

ただし2020年3月の大山工場爆発事故は、事故発生当時はLOTTE Chemicalの工場でした。

過去の安全履歴として扱いますが、2026年9月時点のLOTTE Daesan Petrochemで起きた事故のようには書きません。

この会社は何をする会社か

LOTTE Chemicalは、石油・ガス等を原料に基礎化学品や合成樹脂を作り、それを自動車、家電、IT、医療、包装、建築などで使える高機能材料へ加工・供給する化学素材メーカーです。

完成品を直接消費者へ販売する比率より、企業へ原料・素材を供給するBtoB事業の比重が大きいため、普段LOTTE Chemicalの名前を見なくても、その素材が別会社の商品へ組み込まれている場合があります。

主な業務担当する人・拠点具体的な仕事利用先・成果
基礎化学麗水工場等の運転・設備・品質担当ナフサ等からエチレン等の基礎原料、PE・PP等の樹脂を製造し、設備を連続運転する包装、日用品、医療、建設等の原料になる
先端素材麗水先端素材、議旺・研究部門等PC、ABS、エンジニアリングプラスチック等を配合・設計し、顧客部品に必要な強度・難燃・外観等へ調整する自動車、家電、IT、ロボティクス等
再生素材ECOSEED関連部門廃プラスチック、半導体ウェハートレー、廃漁網等を回収・再資源化し、新しい樹脂材料へ戻すスマートフォン、自動車等の部品
品質・安全管理工場・品質・安全部門工程条件、化学物質、設備、製品規格、安全教育、緊急対応を管理する製品不良・事故・漏えいを抑える
研究開発R&D・AI組織触媒、配合、材料物性、リサイクル技術、AIを使った材料設計等を開発する高機能・低環境負荷の材料へ更新する
顧客支援営業・技術サービス材料選定、品質追跡、製品検索、環境データ・LCA情報等を提供する顧客の製品開発・調達・規制対応を支える

基礎化学は「原料を大量に安定供給する」仕事

麗水の基礎化学工場では、ポリマー、モノマー、基礎石油化学品を生産しています。

工場は一度動かしたら簡単に停止・再開する小型設備ではなく、大規模な連続工程を多数の運転員、設備保全員、品質担当、安全担当が支えます。

原料価格、設備保全、需要、物流の影響を受けながら、必要量を継続して供給する能力が重要です。

2026年1Qには中東情勢による原料・供給網不安の中、麗水工場の定期修理日程を調整し、医療用輸液バッグ原料を継続生産しました。

またコンクリート混和剤用原料は韓国内需要の約140%相当を先行供給したと会社が公表しています。

これは「売上が大きい」という話ではありません。

病院で使う輸液バッグの原料や、建築工事に使われる材料を、設備停止の予定を調整して途切れさせないという具体的な供給行動です。

先端素材は「同じプラスチックを用途別に作り分ける」仕事

自動車のランプ、内装、スマートフォンのボタン、ロボット部品では、必要な樹脂性能が違います。

LOTTE ChemicalはPC、ABS、PC/PET、PMMAなどを用途に応じて配合し、衝撃強度、難燃性、外観、再生材比率などを調整します。

2025年にはHyundai Motor・Kiaと70%再生材を含むPC/PETを共同開発し、従来材に比べて65%超の炭素削減効果を示しながら、将来車種の内装材への適用を検討しています。

再生素材を「実製品」へ戻す

再生材は、研究室で作れただけでは人間への価値になりません。

品質を保ちながら量産品へ採用される必要があります。

2025年、LOTTE ChemicalはSamsung ElectronicsのGalaxy S25シリーズへ再生プラスチック材料を供給しました。

半導体ウェハー搬送トレーを再生PCにし、SIMトレー、サイドキー、ボリュームキーへ使用しています。

また廃漁網由来の再生PAをスピーカーモジュール内部部品へ供給しました。

廃棄物を回収して別の製品の部品へ戻すため、「再生材を作っています」という広報より一段具体的な循環実績です。

主な利用企業・取引先の例

確認できた実名取引・共同開発を中心に整理します。

利用企業・取引先関係LOTTE Chemicalが担う仕事
Samsung ElectronicsGalaxy S25向け再生材半導体ウェハートレー由来再生PC、廃漁網由来再生PAを加工し、スマートフォン部品用材料として供給
Hyundai Motor自動車向け再生・高機能材開発再生PP/Talc、PC/ABS、再生PMMA、70%再生PC/PET等を共同開発・提案
Kia自動車向け再生材開発EV3等を想定した再生PMMAや内装用高再生率材料を共同検討

Samsung、Hyundai、Kiaとの関係は会社公式の個別発表で確認できるため、単に「自動車・IT業界へ供給している」と推定した例ではありません。

事業による人間への貢献

LOTTE Chemicalの貢献は、化学素材そのものより「その素材によって何が可能になるか」を見る必要があります。

医療・建設を止めないための原料供給

2026年の供給網不安時、麗水工場の定修日程を調整して輸液バッグ原料を生産し、コンクリート混和剤原料を需要量以上に先行供給した事例は、Protectionと事業貢献の両方で重要です。

輸液バッグの完成品をLOTTE Chemicalが作るわけではありません。

しかし原料樹脂がなければ製造会社はバッグを作れません。

素材メーカーの在庫・定修・生産計画が、最終的な医療資材の供給へつながります。

中小顧客の原料費を下げる

2026年7月、LOTTE Chemicalは政府のナフサ支援制度を活用し、中小企業顧客向けの主要石油化学製品供給価格を一時的に引き下げる方針を発表しました。

グローバル供給網の混乱で原料費が上がると、最終製品の値上げや中小メーカーの採算悪化につながります。

対象製品の最終的な値下げ額や、消費者価格へいくら反映されたかまでは確認できませんが、原料メーカーが支援分を顧客価格へ反映する具体的な仕組みとして評価できます。

廃棄物を高機能部品へ戻す

Galaxy S25向けでは、半導体工程で使い終えたウェハートレーをスマートフォン部品へ戻しています。

廃漁網も同様に、回収後にPA材料として再利用しています。

自動車分野では70%再生PC/PETや再生PMMAの実用化を進めています。

再生材が増えるほど自動的に安全になるわけではありませんが、LOTTE Chemicalは物性・臭気・VOC・衝撃強度等の課題を顧客と共同で調整し、量産車向け材料へ適用した実績があります。

代表業務:石油化学原料を連続生産し、安全に供給する

LOTTE Chemicalの基礎となる代表業務は、大規模化学プラントの連続運転です。

1.原料を受け入れ、反応工程へ送る

ナフサ等の原料を受け入れ、温度・圧力・流量を管理しながら分解・反応・分離工程へ送ります。

化学反応では設備内の状態を一定範囲に保つ必要があり、運転員は中央制御室や現場計器を通じて監視します。

2.装置を止めずに異常を見つける

大型化学プラントでは、ポンプ、圧縮機、配管、バルブ、熱交換器等が連続して動きます。

漏えい、温度上昇、振動、圧力異常を早期に発見できなければ、設備停止だけでなく火災・爆発へ発展する可能性があります。

LOTTE Chemicalは各拠点で安全衛生管理システムを整備し、2024年は8事業所でISO45001認証を取得していました。

ポンプ漏えいから火災が起きた想定の訓練、消防・行政・軍等との合同訓練、救助・応急処置、VR教育なども公開しています。

3.定期修理で設備を開放・点検する

連続設備は永久に動かせません。

計画停止して内部を点検し、必要な部品を交換します。

2026年、麗水工場では定期修理が供給不安と重なるため、重要原料の生産・在庫を調整しました。

Protectionで重要なのは、「BCPがあります」という言葉だけではなく、実際に設備停止の前後で必要量を確保したかです。

4.製品規格を確認して顧客へ出荷する

樹脂や化学品は同じ名称でも用途別に規格があります。

分子量、強度、流動性、純度、添加剤等が顧客仕様と合わなければ、顧客の成形・製造工程で不良につながります。

そのため品質部門は製造条件と検査結果を確認し、営業・技術担当は顧客へ製品情報を提供します。

LOTTE ChemicalはMaaS等のデジタル基盤を通じ、注文から到着までの追跡、品質追跡、製品検索等を顧客へ提供してきました。

労働環境

素材が高度でも、それを作る人が長時間労働や危険を負担しているなら、人間への貢献は限定的です。

ここでは制度の説明だけではなく、人数、給与、育休、安全など確認できた結果を見ます。

従業員数と雇用形態

2025年末の事業報告書を基礎とする集計では、従業員4,349人のうち正規雇用が4,291人、期間制が58人でした。

正規雇用比率は約98.7%です。

平均勤続は14.6年で、男性15.5年、女性10.3年とされています。

長期雇用の傾向は強い会社です。

一方、2025年の従業員数は2024年の4,764人から8.7%減少しました。

さらに2026年6月末には3,509人というDART由来集計があります。

ただし2026年6月には大山事業を分社しているため、後者を大規模解雇と同一視しません。

給与

2025年の1人平均給与は約1億313万ウォンで、2024年の約1億116万ウォンから約1.9%増えています。

項目2025年
全社員平均給与約1億313万ウォン
男性平均給与約1億1,066万ウォン
女性平均給与約6,940万ウォン
女性/男性平均給与比約62.7%
平均勤続14.6年

平均給与は高い水準ですが、前年との差をそのまま「ベースアップ1.9%」とは書きません。

平均給与には賞与、人員構成、年齢・職種構成の変化が影響するためです。

また男女平均給与には大きな差があります。

2024年ESG報告でも女性/男性平均給与比は67.3%でした。

これは同じ職務・同じ勤続年数の男女へ差別的な賃金を払っている証拠ではありませんが、女性比率、職種、管理職構成、勤続差を含めた格差が存在するため、雇用公平性の課題として残します。

実残業・労働時間

会社はPC-OFF制度、選択的労働時間制、Family Dayなどを公式に掲げています。

PC-OFFは所定終業時刻後にPCを停止させる仕組みで、長時間労働を抑える設計として意味があります。

しかし、2025年または2026年のLOTTE Chemical Corporation単体について、月平均残業時間、年間総労働時間、夜勤・交替勤務者の平均時間、有給休暇取得日数といった結果を十分な公開資料から確認できませんでした。

本審査基準では、制度だけで実態を補完しません。

実残業が確認できないため、労働時間・休息は0点です。

福利厚生

公式採用ページでは、次の制度を確認できます。

  • 住宅ローン支援
  • 社宅・寮
  • 個人年金支援
  • 慶弔支援
  • 育児休職
  • 事業所内保育所
  • 子どもの学費支援
  • 家族文化活動
  • 総合・定期健康診断
  • 傷害保険
  • 医療費支援
  • 不妊治療向け有給医療休暇
  • 語学学習支援
  • リゾート・コンドミニアム
  • 福利厚生ポイント
  • リフレッシュ休暇

制度の数だけで満点にはしません。

LOTTE Chemicalでは利用実績も確認できます。

2024年は育児休職の対象者232人に対し、女性86人、男性103人、計189人が育児休職を取得しました。

育休終了後の復帰対象187人の復帰率は100%、復帰後12カ月の在籍率は97%でした。

また2024年に子どもが生まれた男性社員の71%が育休を利用したと会社は公表しています。

2025年には家族親和制度の評価で3回連続の家族親和優秀企業認証を受けています。

男性・女性とも育休最初の1カ月は通常賃金の100%を支援するとしています。

制度と結果が両方確認できるため、福利厚生・育児介護は高評価としました。

人権・ハラスメント・労使関係

LOTTE Chemicalは人権声明で差別、強制労働、児童労働、職場ハラスメント・セクハラを禁止し、結社・団体交渉権を尊重するとしています。

また、社員だけでなく顧客、株主、取引先も利用できるEthics Hotlineがあり、金品授受、法律違反、会計不正、不公正行為、セクハラ、暴言等の人権侵害を実名・匿名で通報できます。

採用ページでは労使協議会、従業員協議会、現場運営委員会、Junior Board、苦情相談制度を掲げています。

2024年にはESG委員会で人権経営強化の実施結果も報告されました。

一方、会社単体の2025~2026年のハラスメント相談件数、認定件数、是正件数、通報者への救済結果を一貫した数値として確認できませんでした。

制度の実在は評価しますが、結果公開が不足するため満点にはしません。

従業員・元従業員の口コミ

口コミは会社の公式制度では見えない職場感覚を補うために確認します。

ただし部署・時期によって差があり、口コミだけで企業全体を断定しません。

情報ランク:C|Blindでは2026年9月時点で1,500件を超えるレビューがあり、総合2.9/5、Work-Life Balance 3.2、給与・福利厚生2.8、企業文化2.6、経営陣2.1です。

2026年9月18日の本社系現職者レビューでは、ソウル勤務のワークライフバランスと基本給を評価する一方、近年の成果給不足と会社・社員間の情報共有への不満が書かれています。

情報ランク:C|JobPlanetでは総合3.1/5、福利厚生・給与3.1、ワークライフバランス3.3、社内文化2.8、昇進機会2.9、経営陣2.4と表示されています。

情報ランク:C|JobKoreaのレビュー集計では、休暇を使いやすい、福利厚生ポイント、合理的な昇給、ワークライフバランスを肯定する回答がある一方、会社の将来を危機と見る回答や経営への不安も多く表示されています。

情報ランク:C|Catchでは95人参加の現職者レビューで総合3.9/5、ワークライフバランス4.1、給与・福利厚生3.9と比較的高い結果です。

媒体によって評価が大きく違います。

したがって「社員満足度が低い会社」「働きやすい会社」と一つの口コミ点数で決めず、公式の育休実績や雇用データと併せて読みます。

Safety:24/50

Safetyでは、給与・働き方から工場事故、製品の化学物質管理までを一体で見ます。

賃金・利益の還元:4/10

2025年平均給与約1億313万ウォン、2024年比約1.9%増という結果は公開されています。

平均勤続14.6年で、給与水準そのものは低くありません。

ただし、既存社員の基本給を何%上げたのか、定期昇給とベースアップをどう分けたのか、賞与・成果給が何カ月分だったのかという賃金改定の中身は確認できませんでした。

2025年は連結営業損失9,436億ウォンで、社員口コミには近年の成果給が少ないという声もあります。

平均給与の実績は評価しつつ、「利益を社員へ継続還元した」とまでは確認できないため4点です。

労働時間・休息:0/10

PC-OFF、選択的労働時間制、育児支援など制度は具体的です。

しかし会社単体の実残業、総労働時間、有休取得率、交替勤務負担を十分な調査後も確認できませんでした。

本基準では制度の存在を実残業の代用にしないため0点です。

雇用の安定・待遇公平性:3/5

2025年末は4,349人中4,291人が正規雇用で、約98.7%が正規です。

平均勤続14.6年も長期雇用を示します。

一方、2025年に人員が減少し、2026年には大山分社を含む大きな事業再編が進行しています。

また女性社員比率18.3%、男女平均給与比62.7%という差があります。

正規雇用と長期勤続を評価しつつ、事業再編と男女の構成・給与差を踏まえ3点です。

福利厚生・育児・介護:5/5

幅広い制度に加え、2024年は育休189人、復帰率100%、12カ月後在籍97%という利用結果があります。

男性育休も、子どもが生まれた男性社員の71%が利用したと公表されています。

制度だけでなく利用・復帰結果まで確認できるため5点です。

人権・ハラスメント・労使関係:3/5

人権声明、Ethics Hotline、匿名通報、労使協議会、従業員協議会、苦情相談制度、人権影響評価の仕組みを確認できます。

ただし、直近の通報件数、ハラスメント認定・救済件数などの会社単体結果が十分に見えないため3点です。

労働安全・健康:6/10

2024年の社員の業務上災害は8件で、死亡0件、重大傷害0件、記録対象傷害7件でした。

LTIFRは0.64、TRIRは0.15で、2023年の0.32、0.06から悪化しています。

LTIRも0.129で、会社目標0.07を上回りました。

協力会社では死亡0、重大傷害0、記録対象4件でしたが、LTIFR1.3、TRIR0.26、LTIR0.259となり、前年から大きく悪化しています。

プラス面では、8事業所がISO45001認証を取得し、労働安全衛生委員会を通じて代表される社員比率は96.2%でした。

工程安全事故PSICは0、輸送事故も0でした。

重大な過去事例として、2020年3月4日に当時LOTTE Chemicalだった大山NCC工場で爆発・火災が発生しました。

事故後の大田地方雇用労働庁による特別安全保健監督では82件の違反事項が確認され、約5億741万ウォンの過料が科され、当時の工場責任者と法人が刑事立件されたと報道されています。

大山は2026年6月に別法人となりましたが、事故時はLOTTE Chemicalの工場なので企業の安全履歴として残します。

現在は緊急訓練、ISO45001、協力会社とのSafety Partnership Forumなど改善策を継続し、2024年に死亡・重大傷害0を公表しているため、過去事故だけで0点にはしません。

一方、2024年の災害指標悪化を踏まえ6点です。

商品・サービスの安全:3/5

化学メーカーでは、製品が破損するかだけでなく、危険有害性を把握し、顧客へ適切に情報提供できるかが重要です。

2024年ESGデータでは、GHSカテゴリー1・2の健康・環境有害物質を含む製品が18.8%で、そのうち危険性評価を実施した製品は64.6%でした。

2023年の33.0%から改善していますが、100%ではありません。

工程安全事故0、輸送事故0という結果と、危険化学物質の削減・代替ロードマップを評価する一方、全対象製品の危険性評価完了には至っていないため3点です。

Innovation:14/25

LOTTE ChemicalのInnovationでは、新材料だけでなく、人が行っていた作業をAI・RPA・システムへ移せているかを見ます。

作業負担・危険の削減:4/10

LOTTE Chemicalは2020年からRPAを使い、繰り返し事務作業の自動化を進めています。

顧客向けMaaSでは、注文から到着までの確認、品質追跡、製品検索をオンライン化し、営業担当と顧客が個別に確認する作業を減らしました。

2024年には基礎素材部門にAI Solution Team、先端素材部門にAI Task Forceを新設し、触媒・製品開発、品質改善、顧客別材料提案へAIを導入しました。

2026年のRed Dot受賞材料では、材料デザイン開発プロセス全体へデザイン特化AIエージェントを導入しています。

ただし、「社員の定型作業が月何時間減った」「RPAで何人を別業務へ移した」「危険区域への立入りが何%減った」という人間側の定量成果は確認できません。

仕組みは具体的でも効果測定が不足するため4点です。

商品・サービスの改善:5/5

Samsung Galaxy S25へウェハートレー由来再生PCと廃漁網由来再生PAを供給し、Hyundai Motor・Kiaとは70%再生PC/PETや再生PMMAを共同開発しています。

これらは展示品だけではなく、Galaxy S25では実際の量産部品へ採用されています。

自動車向けも既存の再生PP/Talc、PC/ABS等を2022年から供給してきた実績があります。

また2026年にはロボット用途を想定した柔軟材料設計と、塗装を使わず石材風の外観を作る再生材料を発表しています。

利用者・顧客の製品を実際に変えた実績が複数あるため5点です。

改善成果の人間への還元:0/5

AI、RPA、スマートシステム、設備効率化が、LOTTE Chemical社員の労働時間短縮、賃金、配置転換、休暇増加へどれだけ戻ったかは確認できません。

顧客の利便性と商品の改善は別項目で評価済みです。

二重加点を避け、社員への定量還元が不明なため0点です。

研究開発・現場改善の継続:5/5

再生材、モビリティ材料、ロボティクス材料、AI材料設計、LCA管理、電池・水素関連など複数分野で継続的な研究開発を確認できます。

2024年のAI専門組織設置、2025年のGalaxy S25向け循環材、Hyundai・Kiaとの高再生率材料、2026年のAIを使った材料デザインまで、年をまたいで開発が続いています。

研究開発の継続性と実製品採用が確認できるため5点です。

Protection:13/25

Protectionでは、工場が平常時に動くことではなく、火災、戦争、原料不足、設備停止、サイバー攻撃のときに生活・供給をどれだけ守れるかを見ます。

災害への備え・訓練:3/5

会社はポンプ漏えいから火災が発生した想定の訓練、消防・行政等との合同訓練、火災対応、救助・応急処置、VR教育を公開しています。

これは単なる方針ではなく、シナリオ型訓練の具体例です。

一方、全社BCPの訓練回数、非常電源の維持時間、拠点別RTO等は確認できないため3点です。

生産・物流・調達の代替:2/5

LOTTE Chemicalには麗水の基礎化学・先端素材、蔚山など複数の国内拠点があります。

2026年1Qには原料調達と稼働率を機動的に調整し、定期修理日程も変更しています。

しかし、大山が別法人となった現在、特定製品を他工場へ何日で切り替えられるか、原料供給停止時の正式な代替調達先が何社あるかという会社単体のバックアップ計画は十分に確認できません。

複数拠点と運転調整能力を評価し2点です。

サイバー防衛・情報保護:2/5

2026年8月27日、社内ECOMSが外部サイバー攻撃を受け、一部個人情報の不正流出が発生しました。

会社が8月31日に公表した時点で、氏名、ログインID、携帯番号、メール、社員番号、職級・職位、業務関連情報などが影響を受けた可能性があり、対象範囲は調査中でした。

会社はECOMSと関連システムを停止し、内外の専門家によるフォレンジック調査、関係当局への報告、全社セキュリティ点検と追加対策を開始しました。

重大なマイナスですが、自ら公表し、被害拡大防止と外部専門家を含む調査を実施しているため、非公表のまま放置された問題と同じ0点にはしません。

評価時点の2026年9月25日までに、最終的な流出人数、侵入経路、復旧完了時間、再発防止策の効果まで確認できないため2点です。

供給継続・復旧能力:3/5

2026年1Q、麗水工場の定期修理と中東情勢による供給不安が重なる中、修理日程を調整し、医療用輸液バッグ原料を継続生産しました。

コンクリート混和剤原料も国内需要の約140%相当まで先行供給しました。

予定停止前に必要量を確保し、供給を途切れさせない実運用はProtectionとして具体的です。

一方、火災・サイバー・大規模停電時に主要製品を何時間・何日で復旧するかという正式なRTOは確認できないため3点です。

危機時の市民への対応:3/5

中東情勢による供給網変動の中で、医療用輸液バッグ原料と建設に必要なコンクリート混和剤原料を優先的に確保した行動は、社会に必要な製品の供給維持と直接関係します。

さらに2026年7月には、中小顧客へ主要石油化学品の供給価格を一時引き下げ、原料費負担を軽減する支援を発表しました。

災害時の一般市民への直接物資配布とは異なりますが、重要素材の供給と取引先支援が確認できるため3点です。

重大事故・行政・法的案件

2020年3月:大山NCC工場の爆発・火災

2020年3月4日、当時LOTTE Chemicalの大山NCC工場で爆発・火災が発生しました。

事故後、大田地方雇用労働庁は特別安全保健監督を実施し、火災・爆発予防、危険機械、教育、作業環境等を確認しました。

監督結果として82件の違反事項、約5億741万ウォンの過料、当時の工場責任者と法人の刑事立件が報じられています。

事故後には関連設備が長期間停止し、修復・安全確認を経て再稼働しました。

現在は大山事業が2026年6月にLOTTE Daesan Petrochemへ分社されていますが、2020年事故時の運営主体はLOTTE Chemicalでした。

本記事では歴史的なSafety評価に反映します。

2024年:労災率が前年より悪化

2024年は死亡・重大傷害0でしたが、社員LTIFRは0.64、TRIRは0.15、LTIRは0.129へ上昇しました。

協力会社LTIFR1.3、TRIR0.26、LTIR0.259も前年から悪化しています。

事故件数だけを見て「危険な会社」と断定しませんが、会社自身の目標LTIR0.07を上回っており、改善が必要な結果です。

2026年8月:社内システムから個人情報流出

8月27日にECOMSへの外部攻撃が発生し、8月31日に会社が公表しました。

公表時点では被害範囲を調査中で、氏名、ID、連絡先、社員番号、役職等が含まれる可能性がありました。

会社は対象システム停止、フォレンジック調査、当局報告、追加セキュリティ措置を開始しています。

評価時点までに最終的な流出人数や原因分析の完了報告を確認できないため、Protection上の継続確認事項です。

SNS・匿名掲示板の確認結果

従業員口コミサイトとは別工程で、X、一般SNS、5ちゃんねる、爆サイ等を法人名・韓国語社名・主要拠点名と、残業、給与、事故、退職、ハラスメント等の語で検索しました。

媒体状態確認結果
X検索実施対象法人との勤務関係と具体的な労働実態を十分確認できる投稿を今回の検索範囲で確保できず
Facebook検索実施企業評価の主要根拠にできる現職・元職員投稿を確認できず
YouTube検索実施企業・工場・技術関連情報はあるが、社員の賃金・残業を裏づける投稿は確認できず
TikTok検索実施・閲覧制限あり検索可能範囲では評価に使える本文を十分確認できず
LinkedIn検索実施会社・社員の業務情報はあるが、労務口コミとしては扱わず
5ちゃんねる検索実施LOTTE Chemical本体の労働実態へ確実に帰属できる有用情報を確認できず
爆サイ検索実施対象法人へ確実に帰属できる有用情報を確認できず

SNS・掲示板で有用情報が見つからないこと自体は企業の減点理由にはしていません。

企業自身が開示すべき実残業、安全結果等の公開状況とは別に扱います。

主なニュース・最近の動き

2026年8月31日:個人情報流出を公表

8月27日のECOMSへの外部攻撃により、一部個人情報が不正に流出したことを8月31日に公表しました。

会社はシステム停止、内外専門家による調査、当局報告、追加対策を開始しています。

利用者・社員にとっては、化学プラントの物理安全だけでなく、人事・業務情報を守る情報セキュリティもProtectionの一部だと示した出来事です。

評価時点では最終影響範囲が確定していないため、今後の原因説明、対象人数、復旧、再発防止の実績が重要です。

2026年7月10日:中小企業向けに主要製品価格を一時引き下げ

LOTTE Chemicalは、グローバル供給網の混乱でコスト負担が増えている中小企業顧客を対象に、政府のナフサ支援制度と連動して主要石油化学製品の供給価格を一時引き下げると発表しました。

素材価格は顧客企業の製造原価へ直接影響します。

具体的な対象社数や最終製品価格への反映額は公開情報から確認できませんが、国の支援を自社内で止めず、顧客原料価格へつなげる行動として評価できます。

2026年6月:大山工場を分社

LOTTE Chemicalは大山工場・関連事業をLOTTE Daesan Petrochemとして分社しました。

これは単なる社名変更ではなく、雇用、取引、設備、個人情報管理の主体が別法人へ移る大きな事業再編です。

企業審査でも、2026年6月以降の大山工場の事故・待遇・供給実績をLOTTE Chemical本体へ混同しない必要があります。

会社は今後、大山事業とHD Hyundai Chemicalの統合を通じて汎用品比率を下げ、高付加価値材料へ事業ポートフォリオを移す方針です。

2026年5月11日:医療・建設用原料の供給を優先

中東情勢の影響で原料・物流不安が高まる中、麗水工場の定修日程を調整し、医療用輸液バッグの原料を継続生産しました。

コンクリート混和剤用原料は国内需要の約140%相当まで先行供給したとしています。

会社の利益だけではなく、医療・建設に必要な素材の不足を回避する具体的なProtection実績として評価しました。

2026年6月29日:ロボティクス・再生材でRed Dotを2件受賞

LOTTE Chemicalは、Soft Robotics向け材料デザインと、塗装を使わず石材風の質感を表現する再生材「Beat Plus」でRed Dot Design Award 2026の2件を受賞しました。

開発プロセス全体にデザイン特化AIエージェントを導入したと説明しています。

賞そのものを高得点理由にはしませんが、AIが単なる社内チャット用途ではなく、材料設計プロセスへ組み込まれている具体例としてInnovationへ反映しました。

項目別得点

評価軸項目得点評価理由
Safety賃金・利益の還元4/102025年平均給与約1億313万ウォン、前年比増を確認。ただしベースアップ・賞与内訳が不明
Safety労働時間・休息0/10PC-OFF等はあるが、会社単体の実残業・有休取得等の結果を確認できず
Safety雇用の安定・待遇公平性3/5正規雇用約98.7%、勤続14.6年を評価。事業再編と男女平均給与差は課題
Safety福利厚生・育児・介護5/5育休189人、復帰率100%、12カ月後在籍97%、男性育休71%等を評価
Safety人権・ハラスメント・労使関係3/5人権声明、匿名通報、労使協議・相談制度を確認。救済結果KPIは不足
Safety労働安全・健康6/102024年死亡・重大傷害0、ISO45001等を評価。LTIFR等は悪化、2020年大山爆発の履歴あり
Safety商品・サービス安全3/5工程安全事故0、危険性評価拡大を評価。GHS1・2対象製品の危険性評価64.6%で未完了
Safety小計24/50
Innovation作業負担・危険の削減4/10RPA、MaaS、AI組織・AIエージェントを導入。削減時間・配置転換・事故削減の定量値不足
Innovation商品・サービス改善5/5Galaxy S25再生材、Hyundai・Kiaとの高再生率材料等を実製品・共同開発で確認
Innovation改善成果の人間への還元0/5自動化・AI成果が社員の賃金・時短へどれだけ返ったか確認できず
Innovation研究開発・現場改善の継続5/5再生材、AI材料設計、モビリティ、LCA等で継続的な実用化を確認
Innovation小計14/25
Protection災害への備え・訓練3/5シナリオ型火災訓練、合同訓練、救助等を評価。BCP・非常電源の定量実績不足
Protection生産・物流・調達の代替2/5複数拠点、稼働率・定修・原料調達の調整を評価。正式な代替生産時間は不明
Protectionサイバー防衛・情報保護2/52026年個人情報流出。迅速公表・システム停止・フォレンジック調査を評価するが最終影響未確定
Protection供給継続・復旧能力3/5医療・建設原料を定修調整と先行供給で維持。設備・ITのRTOは不明
Protection危機時の市民対応3/5重要原料供給と中小顧客の価格支援を評価。直接的な災害市民支援とは区別
Protection小計13/25
総合51/100シビックランクD

総合評価

LOTTE Chemical Corporationは、企業規模だけを見れば韓国を代表する大手化学メーカーですが、本審査で評価したのは規模ではありません。

最も強く評価できるのは、働く人の長期雇用と育児支援、そして素材技術が実製品へつながっている点です。

2025年末の正規雇用比率は約98.7%、平均勤続14.6年。

2024年の育休復帰率は100%、復帰12カ月後の在籍率97%で、男性の育休利用も広がっています。

住宅、医療、保育、学費、休暇等の制度だけでなく、実際に育休を取得・復帰している結果が確認できる点は大きな長所です。

Innovationでも、単なる「環境配慮素材」ではなく、Samsung Galaxy S25の部品へウェハートレーや廃漁網由来の再生材を戻し、Hyundai・Kiaと高再生率材料を開発しています。

研究開発が展示会で終わらず、量産品へつながっている点を高く評価しました。

Protectionでも、2026年の中東情勢下で医療用輸液バッグ原料の生産を維持し、コンクリート混和剤原料を需要以上に先行供給したことは具体的です。

素材会社が止まれば、その先の医療・建築・製造も止まり得るため、定修日程と生産量を調整した実績は重要です。

一方、Dランクにとどまった理由も明確です。

第一に、実労働時間が見えません。

PC-OFFや選択的勤務という制度はありますが、実際の平均残業、夜勤・交替勤務の負担、有休取得率を会社単体で確認できませんでした。

化学工場は24時間運転を含む働き方があり得るため、制度紹介だけで「残業が少ない」と評価することはできません。

第二に、安全成績は改善余地があります。

2024年は死亡・重大傷害0だった一方、社員LTIFR、TRIR、LTIRはいずれも前年から悪化し、協力会社の指標も悪化しました。

2020年の大山工場爆発では、事故後の特別監督で多数の安全上の違反事項が確認されています。

現在はISO45001、リスク評価、緊急訓練、協力会社とのSafety Partnership等を進めています。

過去事故だけで現在を断定しませんが、化学メーカーでは「重大事故が起きなかった年」を積み重ねるだけでなく、労災頻度を実際に下げ続ける必要があります。

第三に、2026年8月の個人情報流出です。

ECOMSへの外部攻撃によって個人情報が流出した事実は、Protection上の明確なマイナスです。

会社は4日以内に公表し、関連システム停止、専門家を入れた調査、当局報告、追加対策を始めました。

この対応は評価します。

しかし評価時点では、最終的に何人が影響を受けたのか、侵入経路は何だったのか、何時間で復旧したのか、バックアップ・MFA・EDR・SOC等をどう強化したのかまで確認できません。

今後の追加説明によって評価が変わる可能性があります。

第四に、Innovationの「社員への還元」が見えません。

AI、RPA、材料設計システム、工場の運転最適化は進んでいます。

しかし、その結果として社員の残業が何時間減ったか、危険作業がどれだけ減ったか、浮いた人員をどこへ配置したか、賃金へ何%返したかは確認できませんでした。

今後評価を上げるために特に重要なのは、

  • 月平均残業・年間総労働時間・有休取得率の会社単体公開
  • ベースアップ、定昇、賞与を分けた賃金改定実績
  • 男女の職種・等級を考慮した賃金格差の説明
  • 2025・2026年の労災件数、LTIFR、TRIR、協力会社安全指標
  • 2026年サイバー事件の最終影響人数、侵入原因、復旧時間、再発防止
  • MFA、EDR、SOC、CSIRT、オフラインバックアップ、復旧訓練の具体化
  • AI・RPA・自動化で減った作業時間・危険作業・対象人数
  • 改善成果を賃金・時短・配置へ返した実績
  • 工場停止時の製品別代替生産先と切替時間
  • 重要原料の供給継続実績の継続公開

です。

以上から、Safety 24点、Innovation 14点、Protection 13点、総合51点/100点。

100点制・第1版による総合シビックランクはDとします。

出典一覧

1.LOTTE Chemical「Company Introduction」2026年1Q従業員数、代表者、事業領域
2.LOTTE Chemical「Global Network」麗水・蔚山等の国内拠点、大山分社後の法人区分
3.LOTTE Chemical「Notice of Transfer of Personal Information」2026年5月6日、大山事業の分社・個人情報移管
4.LOTTE Chemical 2025年度事業報告書、DART、従業員数・平均給与・勤続年数
5.LOTTE Chemical「Employee Welfare Benefits」住宅、育児、医療、教育、休暇等
6.LOTTE Chemical「Corporate Culture」PC-OFF、選択的勤務、労使協議等
7.LOTTE Chemical 2024 ESG Report、育休、給与、労災、化学物質、安全指標
8.KRX「2024 LOTTE Chemical ESG Report」第三者検証・報告範囲
9.LOTTE Chemical「Safety & Health」緊急訓練、安全衛生管理、健康管理
10.LOTTE Chemical Ethics Hotline、人権侵害・不公正行為等の通報制度
11.LOTTE Chemical「Statement on Human Rights」
12.LOTTE Chemical「Galaxy S25に再生材供給」2025年3月12日
13.LOTTE Chemical「Hyundai Motor・Kiaと環境配慮プラスチック協業」2025年1月9日
14.LOTTE Chemical「AI Organization」2024年2月22日
15.LOTTE Chemical「Red Dot Design Awards 2026」2026年6月29日
16.LOTTE Chemical「2026年1Q Results」2026年5月11日、輸液バッグ・コンクリート混和剤原料供給
17.LOTTE Chemical「SME customers price support」2026年7月10日
18.LOTTE Chemical「Notice Regarding a Recent Security Incident」2026年8月31日
19.LOTTE Chemical「2026年2Q Results」2026年8月7日
20.大田地方雇用労働庁の特別安全保健監督結果を報じたNewspim、2020年4月1日
21.Blind「LOTTE Chemical Reviews」2026年9月確認
22.JobPlanet「LOTTE Chemical Reviews」2026年9月確認
23.JobKorea「LOTTE Chemical企業レビュー」2026年9月確認
24.Catch「LOTTE Chemical現職者レビュー」2026年9月確認
25.X、Facebook、YouTube、TikTok、LinkedIn、5ちゃんねる、爆サイの対象法人名・拠点名検索

情報ランクの基準

情報ランク基準
S公的機関の資料で直接確認できる情報、または独立した第三者による検証・監査・認証等の裏づけがある情報。裏づけの対象範囲に限る
A企業自身の公式発表、報告書、採用情報など。独立した裏づけまでは確認していない企業側の説明・自己申告
B役職や立場が確認できる関係者への取材・発言、記者による直接取材など、発信者と立場を確認できる情報
C一般社員・元社員・パート・契約社員等の勤務経験に基づく口コミ
DX等の一般SNS投稿で、発信者の立場や内容の裏づけが十分でない情報
E匿名掲示板等で、発信者の身元・関与・経緯をさらに確認しにくい情報

情報ランクは情報の出どころと裏づけを示すもので、企業の良し悪しを評価する総合シビックランクとは異なります。企業公式SNSの発表はA、公的資料で直接確認できる事実はSなど、媒体名ではなく原発信者と根拠で判定します。低い情報ランクは虚偽を意味せず、高い情報ランクも記述全体の正しさを保証するものではありません。

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