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GEODISの企業審査|総合57点・シビックランクD|自動化による残業削減と災害時の代替輸送を評価 実労働時間・全社賃金実績・サイバー開示が課題

ネット通販で注文した商品が届かない。工場へ必要な部品が届かず生産ラインが止まる。医薬品を適切な温度で運べず病院や患者へ供給できない。物流が止まると、私たちは初めて、普段は見えない倉庫、トラック、航空貨物、通関、港湾、配送センターで働く人たちに生活が支えられていることに気づきます。

GEODISは、その物流を世界規模で担うフランス系の総合物流企業です。2025年時点で4万7,955人を雇用し、約166カ国をカバーするネットワーク、約1,000拠点、約970万平方メートルの倉庫面積を持ち、売上高は106億ユーロです。主な事業は国際貨物輸送、契約物流、配送・エクスプレス、道路輸送の4分野です。

一方、物流の便利さは働く人の負担と切り離せません。倉庫では歩行、重量物、フォークリフト、反復作業、暑熱・寒冷環境があり、ドライバーは道路事故や長時間運転のリスクを負います。GEODIS自身も、物流業務には滑り・転倒、道路事故、重量物運搬、歩行者とフォークリフトの交錯、危険エネルギーなどのリスクがあると公表しています。

安全面では改善材料があります。2025年の休業災害頻度率は100万労働時間当たり9.2、75%の拠点が少なくとも1年間休業災害ゼロ、重度率は1,000労働時間当たり0.7でした。2024年の頻度率10.3から改善しています。

ただし、グループ平均が改善しているから個別の事故を無視できるわけではありません。米国子会社GEODIS Logistics LLCのCarson拠点では、2025年9月に事故を契機とするCal/OSHA検査が入り、Other区分4件、合計2,120ドルのペナルティが確定しています。Serious、Willful、Repeatはいずれも0件でした。

2026年にもKeasbeyやBloomingtonなどの米国拠点で苦情起因のOSHA検査が確認できます。ただし、苦情を契機に検査されたことだけで会社の違反が確定したとは扱いません。

その一方でInnovationとProtectionには具体的な成果があります。米国倉庫で12台のAMRを導入した事例では、生産性50%向上、残業75%削減、処理能力65UPHから98UPHへの改善を会社が公表しています。重いカートを人が押す作業もAMRへ移し、歩行と身体負担を減らしています。

災害対応にも実績があります。2026年8月のコロンビア地震では、航空・海上・陸上の代替経路、倉庫・通関の継続プロトコル、個別貨物の追跡と顧客連絡を実施しました。2024年のCrowdStrike世界障害では一部システムが一時停止しましたが、7月22日にはアプリケーションが通常稼働へ戻ったと公表しています。

固定配点で採点した結果、Safety 19点、Innovation 19点、Protection 19点、総合57点。

シビックランクDとします。

目次

総合評価

項目得点満点
Safety1950
Innovation1925
Protection1925
合計57100
シビックランクD50点以上60点未満

GEODISの特徴は、Safetyだけを見ると高得点にしにくい一方、物流を止めないための技術・ネットワーク・代替経路にはかなり強い証拠があることです。

Safetyでは、グループ全体の現在の平均残業時間、実労働時間、有給取得率、平均賃金、2025~2026年の全社賃上げ率が確認できません。従業員満足度は2025年81%、参加率87%ですが、「満足度が高い」ことを労働時間や賃金の代替データにはしません。

一方、Innovationでは、ロボット導入による残業75%削減という人間への直接還元が具体的に示されています。Protectionでも、地震、港湾障害、中東情勢、IT障害など現実の危機に対して、代替輸送と顧客連絡を実施した記録があります。

基本情報

今回の審査対象は、GEODIS SAを頂点とするGEODISグループです。GEODISというブランドの物流サービスは多数の国・子会社を通じて提供されるため、グループ数値と個別法人の記録を明確に分けます。米国子会社のOSHA記録や日本法人の口コミを、フランス本体の事実として直接移しません。

項目内容
企業名GEODIS SA
本社Espace Seine, 26 quai Charles Pasqua, 92300 Levallois-Perret, France
法人形態フランスのSA
RCS番号Nanterre 542 084 322
資本金404,461,760ユーロ
CEOMarie-Christine Lombard
所有関係SNCF GroupがSNCF Participationsを通じ100%保有
2025年売上高106億ユーロ
2025年従業員47,955人
ネットワーク約166カ国
拠点約1,000
顧客約86,000
倉庫面積約970万平方メートル
主な事業Freight Forwarding、Contract Logistics、Distribution & Express、Road Transport
審査基準日2026年9月29日

GEODIS SAの法人情報と本社所在地は公式Legal Information、現在のCEOは公式Governanceで確認できます。

2024年から2025年への規模変化

2024年の公式報告では、売上高113億ユーロ、従業員49,720人、1,080拠点、91,000のアクティブ顧客でした。2025年の現行公式サイトでは売上高106億ユーロ、従業員47,955人、約1,000拠点、86,000顧客となっています。

数値の減少だけから大量解雇や事業縮小を推定しません。売却、統合、連結範囲、事業構成の変更などが影響する可能性があり、原因を確認できる資料が不足するためです。

一方、2026年3月にはTransports Malherbeの買収を完了しました。Malherbeはフランス国内40拠点、約1,500台のトラック、3,000人超の従業員を持ち、GEODISのEuropean Road Networkへ統合されました。

主な事業内容と現場の仕事

GEODISを「荷物を運ぶ会社」とだけ説明すると、現場で何が起きているかが見えません。

実際には、国際輸送の手配、通関、倉庫管理、ピッキング、梱包、在庫管理、工場への部品供給、トラック輸送、宅配、返品、温度管理、重量物プロジェクト輸送まで、商品の移動を工程ごとに担います。

Freight Forwarding

国際貨物輸送では、担当者が航空会社、船会社、鉄道・道路運送会社などを組み合わせ、荷主の貨物を出発地から目的地まで運びます。

例えば中国から欧州へ商品を運ぶ場合、飛行機や船を予約するだけではありません。

  • 貨物の大きさ・重量・危険物区分を確認する
  • 輸出入書類を準備する
  • 通関手続きを行う
  • 空港や港へ搬入する
  • 国際輸送を手配する
  • 到着後の国内輸送へ接続する
  • 通常経路が止まれば別の港・空港・陸路を検討する

航空、海上、道路、鉄道を組み合わせられることが、単一輸送手段に依存しない強みになります。

Contract Logistics

契約物流では、顧客企業の物流センターそのものを運営します。

倉庫では入荷した商品を検品し、決められた棚へ格納し、注文データに従って商品を取り出し、梱包し、出荷します。返品された商品を検査して再販・修理・廃棄へ分けるreverse logisticsも含まれます。

物流センターではwarehouse associate、picker、packer、forklift operator、team leader、inventory staffなどが働きます。

人が倉庫内を長距離歩く、重いカートを押す、商品を繰り返し持ち上げるという負担があるため、自動化では「処理件数が増えたか」だけではなく、働く人の身体負担と残業をどう変えたかを見る必要があります。

Distribution & Express

フランスでは100超の営業拠点とパートナー網を使い、翌朝のエクスプレス配送、24~48時間の小口配送、パレット配送、緊急・特殊輸送などを行います。

2024年資料では年間約1億個の小包、1日6,000ルート、1日10万の届け先という規模が示されています。

利用者から見れば「予定通り荷物が届く」という当たり前ですが、その裏側では仕分け、積み込み、運転、配達が毎日繰り返されます。

European Road Network

欧州道路輸送では完成車、部品、化学品、食品、小売商品などをトラックで運びます。

2026年のMalherbe買収によってフランスのFTL・LTLネットワークが大きく拡大しました。買収後の同分野の売上規模は約20億ユーロと会社は説明しています。

トラック輸送は供給継続に重要ですが、道路事故、長時間運転、積み下ろし、夜間勤務などのSafetyリスクを伴います。ネットワークの大きさ自体を安全性の加点には使いません。

主な利用企業・案件の例

顧客名は「大企業と取引しているから優良企業」という評価には使いません。

GEODISが実際にどのような作業を行い、顧客や働く人へどのような変化を生んだのかを見るために使います。

L’Oréal

2026年6月、GEODISはフランス北部のL’Oréal国際配送センターで、Countbotを使った年次棚卸しの3年パートナーシップを発表しました。

Countbotはロボット、16台の高解像度カメラ、高さ10メートルまで伸びるマスト、安定化用ドローンを組み合わせます。

会社説明では棚卸しを2回の6時間セッションで完了し、センターの通常業務を止めません。

人が高い棚を一つずつ確認したり、棚卸しのために物流センターを止めたりする必要を減らす具体的なInnovationです。

Lenovo

GEODISはLenovoと2019年から物流で協力し、航空・海上・道路輸送を主要航路で提供しています。Lenovoは2024年にGEODISへLogistics Sustainability Excellence Awardを授与しました。

顧客側からの表彰という点では、GEODIS自身だけによる自己評価より一段強い材料になります。

Schneider Electric

Schneider Electric Chinaは2023年、GEODISへBest Service Awardを授与しています。

GEODISはフランスと中国を結ぶ航空貨物輸送で、自社管理ネットワークと商用航空会社を組み合わせて容量を確保しました。

特定の航空会社や経路だけに依存しない供給構成をつくる例です。

事業による人間への貢献

GEODISがなくなっても物流そのものがなくなるわけではなく、他の大手物流企業という代替も存在します。

したがって「GEODISがなければ社会が止まる」とは評価しません。

しかし、企業が自社だけで世界各地の倉庫、人員、IT、通関知識、航空会社・船会社・トラック会社との契約網を構築するのは大きな負担です。

GEODISの役割は、異なる輸送手段と倉庫を一つの供給網として組み合わせ、顧客企業が製造や販売へ集中できるようにすることです。

2025年の顧客調査は6万社超へ送付され、9,000件超の回答を得ました。総合満足度92%、NPSは前年の+36から+39へ上昇しました。調査実施はIPSOSへ委託されています。

医薬品、食品、工場部品では、物流遅延は単なる「荷物が遅れた」という問題では済みません。

温度逸脱で医薬品が使えなくなる、原材料が届かず工場が止まる、交換部品が届かず設備復旧が遅れる、といった損失を物流によって小さくすることがGEODISの人間貢献です。

労働環境・賃金・福利厚生

GEODISの約4万8,000人には、オフィス勤務者だけでなく、倉庫作業員、ドライバー、貨物ハンドラー、フォークリフト作業員、重量物輸送担当などが含まれます。

物流企業を評価する場合、テレワーク制度だけを見るのではなく、現場で何時間働き、どのような負荷を受け、どの程度事故が起きているかを見る必要があります。

賃金・利益還元

GEODISは2024年報告書で、報酬政策を外部競争力、個人・集団の成果への報酬、従業員の保護という3軸で説明しています。

フランスの複数子会社では2026年にも給与改定、賞与、利益分配などをテーマとする労使協定がLégifranceへ登録されています。

GEODIS CL OUESTでは給与、賞与、追加利益分配、GEODIS CL Rhône-Alpesでも給与と追加利益分配に関する2026年協定を確認できます。

しかし、これは個別法人の制度です。

GEODISグループ47,955人全体について、現在の平均賃金、中央値、2025~2026年のベースアップ率、利益分配の平均支給額や対象率は確認できませんでした。

一部子会社の制度だけでグループ全体を高得点にできないため、この項目は0点とします。

労働時間・休息

2024年のIPSOS従業員調査では、78%が仕事と私生活のバランスを良好と回答しています。会社は、フランスと米国を中心に従業員の64%が家族休暇制度の対象であるとも説明しています。

一方、2025年のグループ全体について次の実績は確認できませんでした。

  • 平均週労働時間
  • 平均残業時間
  • 長時間労働者割合
  • 有給取得率
  • 夜勤比率
  • 休日出勤率

2025年の従業員満足度81%という数字を、実労働時間の代替指標にはしません。

仕様書に従い、重要な労働時間の実績が非公表であるため0点とします。

福利厚生・家庭支援

2024年資料では、国の法制度に関係なく女性従業員へ最低8週間、賃金100%の産休を設けています。また各種家族休暇、地域別テレワーク、健康予防施策などがあります。

ただし、家族支援がグループ全体へ完全に統一されているわけではありません。

育児休業の男女別取得率、介護休暇取得率、復職率等も十分に確認できません。

制度は具体的ですが対象範囲と成果が限定されるため3点です。

雇用安定・公平性

2025年の従業員数47,955人は2024年49,720人より少なくなっています。

一方、2026年にはTransports Malherbeを買収し、3,000人超の人員を持つ会社をグループへ統合しています。

したがって、単純な人数減だけからリストラを推定することも、買収だけを見て雇用が安定していると評価することもできません。

Diversityでは、現行公式ページで女性が全従業員の40%、女性リーダーが33%、障害のある従業員が3.4%と公表されています。

雇用形態別の離職率などが不足するため3点です。

人権・労使関係

GEODISは国連グローバル・コンパクトへ2003年から参加し、Code of Ethics、内部通報、サプライヤーの社会監査、労使協議などを実施しています。

一方、米国子会社GEODIS Logistics LLCを相手に、雇用差別、FMLA、賃金・労働時間などを争う民事事件も確認できます。

これらは訴訟が存在するという事実であり、原告側のすべての主張が裁判で違法行為として確定したことを意味しません。

労使協議の仕組みを評価する一方、世界全体の通報・是正成果までは十分確認できないため3点です。

教育・能力開発

2024年にはグループ全体で62万7,000時間の研修を実施し、そのうち27万1,000時間がSafety関連でした。

約13,000人のアクティブラーナーがe-learningを利用しています。

将来のDistribution & Express拠点責任者を育てるGEODIS Evolutionでは約300時間の研修があり、会社によれば支店長の約50%がこのプログラム出身、80%が社内異動を経験しています。

研修量だけでなく内部登用との接続が見えるため、Innovationで評価します。

従業員・元従業員の口コミ

IndeedではGEODISについて約4,700件の口コミがあり、総合3.4/5、勤務時間と残業3.3、給与・福利厚生3.2、定着率と昇進3.1、上司との関係3.1、企業文化3.2です。

評価は一方向ではありません。

勤務時間や職場環境を肯定する投稿がある一方、給与、管理職、キャリア、高い生産目標、倉庫の暑さ・寒さなどを問題視する投稿もあります。

日本語サイトでは転職会議にGEODIS Japan株式会社の口コミ23件が確認できます。サイト集計では残業13.3時間/月、有給消化率100%ですが、これは投稿者データによる集計であり、GEODISグループへは適用しません。

2025年投稿には契約社員が契約を突然終了されたという経験談もあります。これは一個人のCランク情報であり、「GEODISでは契約社員が突然解雇される」と一般化しません。

OpenWork、エンゲージ会社の評判についても個別検索しましたが、今回の検索範囲ではGEODISグループ全体を評価できる有効な最新日本語口コミを確認できませんでした。

Safety|19点/50点

Safetyでは、物流を支える働く人の賃金、時間、事故、福利厚生と、顧客へ届けるサービスの安全性を分けて評価します。

1.賃金・利益還元 0点/10点

報酬方針と一部フランス法人の労使協定・利益分配制度は確認できます。

しかしグループ全体の現在の平均賃金、賃上げ率、利益分配実績を確認できません。

重要情報非公表として0点です。

2.労働時間・休息 0点/10点

2024年調査では78%がワークライフバランスを良好と回答しています。

しかし現在の実労働時間、平均残業、有給取得率は確認できません。

従業員意識調査を勤務時間実績の代替にせず0点です。

3.雇用安定・公平性 3点/5点

世界規模の雇用、Diversity指標、買収による事業拡大は評価します。

一方、2025年人員は2024年より減少し、雇用形態別離職率等も不足しています。

3点です。

4.福利厚生・育児介護 3点/5点

最低8週間100%有給の産休、家族休暇、地域別テレワーク、健康施策があります。

全世界への統一適用や利用率を確認できないため3点です。

5.人権・ハラスメント・労使関係 3点/5点

内部通報、労働者との対話、サプライヤー監査、フランス法人の労使協定を評価します。

米国では労働関連訴訟も存在しますが、訴え自体を違反確定とはしません。

3点です。

6.労働安全・健康 6点/10点

2025年の休業災害頻度率9.2、75%の拠点で1年以上休業災害ゼロという実績はプラスです。

一方、2024年の頻度率は10.3で、事故は継続的に発生しています。米国Carsonでは2025年の事故起因検査から4件の違反が確定しました。

グループ平均改善と個別現場の問題を両方反映し6点です。

7.商品・サービス安全 4点/5点

GEODIS AmericasではISO 9001、14001、45001、13485、27001を維持しています。

また2025年世界顧客調査では満足度92%、NPS+39でした。調査はIPSOSが実施しています。

高い顧客評価と品質マネジメントを評価します。

ただしISO認証はAmericasを中心とする範囲で確認したもので、世界1,000拠点を同じ認証状態とは扱いません。

4点です。

Innovation|19点/25点

GEODISのInnovationで最も評価できるのは、自動化設備そのものではなく、人の残業や身体負担の削減まで公表した事例があることです。

1.労働負担・危険低減 8点/10点

米国倉庫では12台のLocus Vector AMRを4万平方フィートのピッキングエリアへ導入しました。

会社が示す成果は次の通りです。

  • 生産性50%向上
  • 残業75%削減
  • 65UPHから98UPHへ向上
  • 重いカート運搬をAMRへ移行
  • 従業員の倉庫内移動を削減

「ロボットを導入した」という設備情報だけでなく、人の時間と身体負担への効果が示されています。

ただし一拠点の成功事例を世界全体へ一般化せず8点です。

2.商品・サービス改善 4点/5点

2025年顧客調査では満足度92%、NPS+39です。

個別案件では98%オンタイム配送、99.9%注文精度などの成果も会社が公表しています。

2026年にはL’OréalへCountbotを導入し、物流センターを停止せず棚卸しする仕組みも展開しています。

企業自己申告のケースが多いことから4点です。

3.改善成果の人間還元 3点/5点

AMR事例で残業75%削減という具体的な人間還元が確認できます。

重いカート運搬をロボットへ移したことも身体負担の軽減です。

一方、こうした改善がグループ全体の賃金上昇、休日増、人員配置へどの程度広がったかは確認できません。

3点です。

4.研究開発・現場改善の継続 4点/5点

2024年は62万7,000時間の研修を実施し、売上高の3.5%をデジタル技術へ投資したと公表しています。

2026年にもAMR、Countbot、ロボット倉庫などの技術導入を継続しています。

4点です。

Protection|19点/25点

物流企業のProtectionは、事故や災害を完全になくすことではなく、港、空港、道路、ITが止まったときに貨物と情報を別経路へ移し、供給網を復旧できるかで評価します。

1.災害への備え・訓練 4点/5点

2024年には気候災害への脆弱性診断を米国、APAC、欧州の7拠点で実施しています。

2026年コロンビア地震ではBusiness Continuity Planを実際に運用し、航空便、海上、道路、倉庫、通関、顧客連絡ごとに代替策を実行しました。

世界全拠点の訓練結果やRTOは確認できないため4点です。

2.代替物流・調達 5点/5点

166カ国規模のネットワーク、航空、海上、道路、鉄道、約1,000拠点という分散構造があります。

さらに規模だけでなく、現実の危機時に代替経路を使う運用が確認できます。

コロンビア地震では代替航空接続や道路を監視し、中東情勢でも輸送経路変更を行っています。

仕組みと実運用が両方確認できるため5点です。

3.サイバー・情報保護 2点/5点

2024年には1万2,671人が個人データ保護研修を受けています。GEODIS AmericasではISO 27001も維持しています。

一方、グループ全体について次の情報を十分確認できません。

  • MFA導入率
  • EDR導入率
  • SOC運用
  • オフラインバックアップ
  • フィッシング訓練実績
  • サイバーインシデント件数
  • 復旧時間

2026年にはGEODISを装うフィッシング試行について顧客へ注意喚起しています。

具体的な地域認証は評価しますが、グループ全体の成果が不足するため2点です。

4.供給継続・復旧能力 4点/5点

2024年7月19日のCrowdStrike世界障害では一部システムが一時利用不能となりました。

GEODISは電話等の連絡手段を維持し、7月22日にはアプリケーションが通常通り稼働していると発表しました。

地震、港湾混雑、中東情勢でも状況監視と代替輸送を継続しています。

正式なグループRTO一覧がないため4点です。

5.危機時の市民・顧客対応 4点/5点

GEODISは災害、台風、ストライキ、港湾混雑、戦争等についてCustomer Advisoryを継続公開しています。

コロンビア地震では個別貨物の追跡と顧客への能動的な連絡まで明記されています。

公共機関の救援活動とは異なりますが、顧客の供給停止を小さくする危機対応として4点です。

重大事故・行政処分・訴訟の確認

通常の企業情報とは別工程で、事故、労災、行政処分、労働訴訟を検索しました。

世界各国に多数の法人があるため、「GEODISグループ」「GEODIS SA」「GEODIS Logistics LLC」を分けています。

2025年 Carson倉庫の事故起因Cal/OSHA検査

CaliforniaのGEODIS Logistics LLC Carson拠点では、2025年9月12日に事故を契機とする部分検査が開始されました。

12月1日にクローズし、Serious 0、Willful 0、Repeat 0、Other 4件、合計2,120ドルのペナルティです。

公開ページだけでは元の事故の負傷程度を確認できないため、「死亡事故だった」「軽傷だった」といった推測はしません。

2025~2026年 米国の苦情起因検査

Mount Julietでは2025年8月に暑熱重点を含むHealth complaint検査、Keasbeyでは2026年2月にSafety complaint検査が行われています。Bloomingtonでは2026年3月開始のcomplaint検査が確認時点でOpenです。

苦情があったことと違反が確定したことは別なので、Carsonの確定違反と分けます。

労働関連民事訴訟

米国ではGEODIS Logistics LLCを被告とする雇用差別、FMLA、賃金・労働時間等の民事事件が複数確認できます。

2025年のSmith事件は2026年に和解へ進み、Washington州のSayaseng事件では賃金・労働時間をめぐる集団訴訟で仲裁条項が争われています。

訴訟や和解を、そのまま会社の違法行為確定とは扱いません。

主なニュース・最近の動き

2026年のGEODISは、買収、海外展開、港湾統合、自動化、災害対応が同時に進んでいます。

2026年9月24日 EcoVadis Gold Medal

GEODISはEcoVadis Gold Medalを受けたと発表しました。

第三者評価は外部確認材料になりますが、EcoVadisの評価をシビックランクへそのまま換算しません。

2026年9月16日 フィリピンに自社Freight Forwarding拠点

Manilaに初の自社Freight Forwardingオフィスを開設しました。

従来の代理店モデルから直接運営へ移り、航空、海上、プロジェクト物流、Supply Chain Optimizationを提供します。

2026年8月 コロンビア地震でBCPを運用

8月10日の地震後、航空、海上、道路、倉庫、通関で継続計画を運用し、8月19日時点でも物流網を維持していると説明しています。

Protectionで高く評価した重要な実運用例です。

2026年7月30日 上期売上53.41億ユーロ

2026年上半期売上高は53億4,100万ユーロ、EBITDAは5億3,400万ユーロ、EBITDAマージン10.0%でした。

同期間にはMalherbe統合、Sealogis系企業のGEODISブランド統合、Le Havreのmulti-service port hub開設などネットワーク再編も進みました。

2026年6月 L’OréalでCountbot

L’Oréal国際配送センターでCountbotを使う3年契約を発表しました。

2回の6時間セッションで棚卸しを実施し、物流活動を停止しない計画です。

2026年3月31日 Transports Malherbe買収完了

40拠点、約1,500台のトラック、3,000人超の従業員を持つMalherbeを買収し、European Road Networkへ統合しました。

供給網と代替輸送力を強める一方、異なる企業間でSafety・労働環境をどの水準まで統一できるかは今後の確認項目です。

SNS・匿名掲示板の確認結果

口コミ調査とは別に、GEODIS、GEODIS Logistics、GEODIS Japanと、残業、給与、事故、安全、倉庫などを組み合わせて検索しました。

媒体確認結果扱い
X対象企業の労働実態を独立検証できる有効な一般投稿を確認できず採点不使用
5ちゃんねる対象法人を確実に特定できる有効投稿を確認できず採点不使用
爆サイ対象法人を確実に特定できる有効投稿を確認できず採点不使用
Facebook公式情報以外で審査を左右する第三者投稿を確認できず採点不使用
YouTube企業・物流紹介はあるが独立した労働安全検証に使える内容を確認できず採点不使用
TikTok検索・閲覧制約があり、対象法人の投稿本文を十分確認できず未確認

情報が見つからないことを「評判が良い」「問題がない」という加点には使っていません。

項目別得点

大項目小項目得点満点主な理由
Safety賃金・利益還元010一部法人の協定はあるが、グループ全体の賃金・賃上げ・利益分配実績が不明
Safety労働時間・休息010満足度調査はあるが、実労働時間・残業・有休取得率が非公表
Safety雇用安定・公平性35世界規模の雇用、D&I開示あり。人員減少と雇用形態別データ不足
Safety福利厚生・育児介護35最低8週100%産休等。世界統一ではなく利用実績不足
Safety人権・労使35国連GC、労使協定、通報・監査。米国で労働訴訟も確認
Safety労働安全・健康6102025頻度率9.2へ改善。一方、事故と米国拠点の違反確定あり
Safety商品・サービス安全45IPSOS顧客満足92%、ISO品質認証等。ただし認証範囲に地域差
Innovation労働負担・危険低減810AMRで生産性50%増、残業75%減、重量カート作業削減
Innovation商品・サービス改善45NPS+39、ロボット棚卸し、オンタイム・精度改善事例
Innovation改善成果の人間還元35残業75%削減の具体例。全社賃金・休日への波及は不明
Innovation研究開発・現場改善45研修62.7万時間、デジタル投資、2026年も自動化継続
Protection災害対策・訓練45気候脆弱性診断、コロンビア地震でBCP実運用
Protection代替物流・調達55166カ国・多モード網と実際の代替ルート運用
Protectionサイバー・情報保護25Americas ISO27001、データ保護研修。一方、全社統制・復旧KPI不足
Protection供給継続・復旧45CrowdStrike障害から復旧、複数災害で継続運用
Protection危機時の顧客・市民対応45Customer Advisory、個別追跡、代替経路提示
合計57100シビックランクD

総合評価

GEODISの企業審査で最も特徴的なのは、「物流企業として社会を止めない能力」と「自社で働く人の時間・賃金をどこまで外部から確認できるか」の評価が大きく分かれたことです。

物流技術とProtectionには強い材料があります。

166カ国をカバーし、航空、海上、道路、鉄道、倉庫、通関を一体で扱えるため、一つの港や道路が止まっても別経路へ切り替える余地があります。

2026年コロンビア地震では、実際に代替航空接続、道路ルート、倉庫・通関の継続手続きを運用しました。2024年のCrowdStrike障害でも、システムの一部が止まったことを公表しつつ通常稼働へ復帰しています。

Innovationでも、単なる設備投資ではなく、人の負担削減を数値で示す事例があります。

AMR導入で残業75%削減、処理能力65から98UPH、生産性50%向上。重いカート運搬をロボットへ移す。こうした結果は、効率化が会社の利益だけで終わらず、少なくとも対象倉庫では働く時間・身体負担の削減へ返ったことを示します。

一方、Safetyには大きな空白があります。

GEODISは休業災害頻度率や従業員満足度を比較的詳しく公開しています。2025年の事故頻度率9.2、75%の拠点が1年以上休業災害ゼロという数字は評価できます。

しかし、それと同じ程度に重要な平均残業時間、実労働時間、有給取得率、グループ平均賃金、2025~2026年の賃上げ実績は確認できません。

「81%が満足しているから労働条件も良い」とは評価しません。

また、グループ平均が改善していても個別現場の問題を消すことはできません。米国Carsonでは2025年に事故起因の行政検査から4件の違反が確定しています。

改善優先順位は3つです。

第一は、実労働時間と賃金成果の公開です。

グループ、地域、職種別の平均残業、長時間労働者割合、有給取得率、平均賃金、賃上げ率を出せば、現在0点のSafety項目を実態で再評価できます。

第二は、Innovation成果の全社展開です。

AMR事例で残業75%削減という強い成果があるため、同様の改善が何拠点、何人へ広がったかを示せれば、「一拠点の成功例」からグループ成果へ変わります。

第三は、サイバーProtectionの全社KPIです。

ISO 27001認証をAmericasで確認できますが、全社のMFA、EDR、バックアップ、訓練、復旧時間等は不足しています。

現在57点で、次のシビックランクCは60点からです。差は3点です。

ただし、情報を公開するだけで自動的に3点上げることはありません。残業が実際に抑制され、賃上げや利益還元が確認され、サイバー対策が運用実績として示された場合に再採点します。

最終結果はSafety 19点、Innovation 19点、Protection 19点、総合57点です。

GEODISの総合シビックランクはDとします。

低得点理由の区分

確認された問題

  • 米国Carson拠点では2025年の事故起因検査でOther区分4件、2,120ドルのペナルティが確定。
  • 2026年にも米国複数拠点で苦情起因OSHA検査がある。ただし苦情のみで違反確定とは扱わない。
  • 米国子会社を対象に労働関連訴訟が複数確認される。原告主張を確定事実にはしない。
  • グループでは現在も一定数の労働災害が発生しており、事故ゼロ企業ではない。

十分な調査後も重要情報が非公表

  • グループ全体の現在の平均残業時間、週労働時間、長時間労働者割合、有給取得率。
  • グループ全体の平均賃金・中央値、2025~2026年賃上げ率、利益分配の対象率・平均額。
  • 雇用形態別・地域別の離職率。
  • グループ全体のMFA、EDR、SOC、バックアップ、サイバー訓練、事故件数、復旧時間。
  • 自動化による残業・身体負担削減が全世界で何人へ波及したか。

調査上の制約

  • GEODISは多数の法人・国を含むグループであり、各国の労働制度やSafety記録をGEODIS SAへ直接帰属させていない。
  • 2026年にMalherbe等の統合があり、2025年従業員・拠点数は現在の連結範囲と完全一致しない可能性がある。
  • Indeed、Glassdoor等の口コミは国・職種・拠点が混在するため、全社傾向の確定には使っていない。
  • GEODIS Japanの日本語口コミは別法人であり、グループ本体へ一般化していない。
  • TikTok等は閲覧・検索上の制約があり、十分な投稿本文確認ができない。

主な出典

情報ランクS

  • U.S. Occupational Safety and Health Administration / Cal/OSHA、GEODIS Logistics LLC Carson検査
  • U.S. Occupational Safety and Health Administration、Keasbey検査
  • U.S. Occupational Safety and Health Administration、Bloomington検査
  • Légifrance、GEODISグループ各法人の2026年労使協定
  • Washington Court of Appeals、Sayaseng v. Geodis Logistics LLC

情報ランクA

  • GEODIS About us
  • GEODIS Social
  • GEODIS 2024 Activity and Sustainability Report
  • GEODIS Customer Advisory
  • GEODIS 2025 Customer Survey
  • GEODIS Mobile Robotics case study
  • GEODIS Countbot / L’Oréal
  • GEODIS Transports Malherbe acquisition
  • GEODIS Philippines office
  • GEODIS First Semester 2026
  • GEODIS Legal Information / Governance

情報ランクC

  • Indeed GEODIS employee reviews
  • 転職会議 GEODIS Japan株式会社

情報ランクの基準

情報ランク基準
S公的機関の資料で直接確認できる情報、または独立した第三者による検証・監査・認証等で裏づけられた情報
A企業自身の公式発表、報告書、採用情報、公式SNS等
B役職・立場が確認できる関係者への取材、記者による直接取材等
C一般社員、元社員、パート・アルバイト等の勤務経験に基づく口コミ
DX等の一般SNS投稿で、発信者の立場や内容の裏づけが十分でない情報
E匿名掲示板等、発信者の身元・関与・経緯をさらに確認しにくい情報

情報ランクは情報の出どころと裏づけを示すもので、企業そのもののシビックランクとは別です。

公的資料で問題が確認されれば企業評価は下がり、企業公式発表に良い内容があっても、実績が確認できなければ自動的に加点しません。

審査基準日:2026年9月29日
評価制度:100点制・第1版

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