私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査するイオン北海道株式会社は、総合78点、シビックランクBです。
イオン北海道株式会社の特に強い点は、2026年春闘で正社員にベア1万円を含む平均5.53%の賃上げを行い、年間休日125日・月平均残業9.6時間を実現しながら、物流改革と防災体制によって北海道の生活必需品供給を支えていることです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、働く人へ賃金を返しながら、災害時にも食品や日用品が届きやすい小売の仕組みにつながる可能性が高まります。
一方で、改善点として、正規雇用の男女賃金差81.9%、女性管理職15.7%、労災の最新通期KPI、自動化によって減った作業時間が賃金・休日・雇用へどう還元されたかの継続開示が残ります。
この記事では、イオン北海道株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
イオン北海道株式会社の企業審査結果
イオン北海道株式会社は、北海道内で「イオン」「イオンスーパーセンター」「マックスバリュ」「フードセンター」「ザ・ビッグ」「まいばすけっと」「イオンバイク」などを運営する総合小売企業です。2026年2月末時点で183店舗、売上高3,800億円を公表しています。[出典1]
会社プロフィールでは従業員19,649名、正社員3,067名とされています。有価証券報告書では就業人員3,095名、臨時従業員は年間平均10,164名を1人月160時間換算で外数表示しており、集計方法が異なります。[出典1・2]
| 評価軸 | 点数 |
|---|---|
| Safety | 35/50 |
| Innovation | 21/25 |
| Protection | 22/25 |
| 総合点 | 78/100 |
| シビックランク | B |
評価時点:2026年10月8日
主な強み
・2026年春闘で正社員1人平均賃上げ総額1万6,516円・5.53%、うちベア1万円・3.35%
・パート等の時間給労働者は時給+90.02円・7.09%
・2025年度の年間休日125日、月平均残業9.6時間
・平均有給取得日数10.1日
・女性育休取得率100%、男性50%
・平均年間給与509.1万円、平均勤続10.9年
・労災ダッシュボードで店舗別事故を可視化し、2024年度上期の業務災害を前年295件から167件へ削減
・セルフレジ導入がほぼ完了し、電子棚札は全体の5割超へ拡大
・AIを活用した自動発注、iレジ、イオン石狩PCを活用
・RORO船へのモーダルシフトでトラックドライバー人時を約36%削減
・年1回以上の総合地震防災訓練
・自治体・企業・病院との防災協定
・2018年北海道胆振東部地震時に店舗営業を早期再開し、グループとしてパン・おにぎり等約95万個を緊急供給
主な課題
・正規雇用の男女賃金差が81.9%
・全労働者の男女賃金差は68.5%
・女性管理職比率15.7%で2025年度目標20%を未達
・最新年度の死亡・重篤・休業労災、度数率、事故原因別KPIが十分公開されていない
・2024年度上期時点でも業務災害167件が発生
・生鮮・食品部門の繁忙や人手不足を指摘する従業員口コミがある
・セルフレジ、AI発注、電子棚札導入後の店舗別人員、配置転換、契約更新、残業削減の時系列開示が不足
・対象法人単体のMFA、EDR、SOC、バックアップ分離、復元訓練結果が非公表
・2025年販売のハンディファンで羽根破損・発火事例があり、2026年にも回収を再告知
事業内容と人間への貢献
イオン北海道株式会社は1978年4月5日設立、札幌市白石区本通21丁目南1番10号に本社を置き、総合小売業を展開しています。資本金は61億43万円で、親会社イオン株式会社が2026年2月28日時点で65.62%を保有しています。[出典1・3]
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | イオン北海道株式会社 |
| 本社 | 北海道札幌市白石区本通21丁目南1番10号 |
| 代表者 | 代表取締役社長 小寺博之 |
| 設立 | 1978年4月5日 |
| 資本金 | 61億43万円 |
| 事業 | 総合小売業 |
| 売上高 | 3,800億円、2025年3月~2026年2月 |
| 店舗数 | 183店舗、2026年2月末 |
| 会社公表従業員数 | 19,649名、うち正社員3,067名 |
| 有報就業人員 | 3,095名、臨時従業員年間平均10,164名 |
| 平均年間給与 | 509.1万円 |
| 平均勤続年数 | 10.9年 |
主な事業内容
「イオン」「イオンスーパーセンター」は食品、衣料、住居余暇用品などを扱い、「マックスバリュ」「フードセンター」「ザ・ビッグ」「まいばすけっと」は日常の食品・日用品を地域ごとに供給します。
ネットスーパー「ネットで楽宅便」は生鮮食品、冷凍食品、日用品、衣料品など約24,000アイテムを扱い、離島を除く北海道全域への配送に対応しています。[出典4]
主な利用者・取引先
利用者は北海道で生活する一般消費者が中心です。メーカー、食品事業者、物流企業、専門店、農水産事業者、自治体とも関係し、183店舗とオンラインを通じて食品・生活用品を販売します。
事業による人間への貢献
例えば高齢者や子育て世帯が毎日の食品を必要とするとき、近隣のスーパーやネットスーパーで生鮮食品・日用品をまとめて購入できれば、遠方まで移動する時間と負担を減らせます。
北海道では都市間距離が長く、豪雪や地震で物流が止まれば食品や日用品が不足しやすくなります。イオン北海道が店舗網、物流拠点、船舶輸送、自治体との協定を維持することは、平時の買い物だけでなく有事の生活維持にも直結します。
Safety|35/50
Safetyでは、正社員だけでなく多数のパート・有期労働者を含む大規模小売企業として、賃金、休息、待遇差、育児、労災、商品安全を評価します。
賃上げと労働時間は強い一方、男女賃金差、女性管理職比率、最新の労災成果、商品回収が満点を妨げています。
賃金・利益の還元|8/10
2026年春闘で、イオン北海道労働組合は正社員1人平均の賃上げ総額1万6,516円、5.53%で妥結しました。このうち賃金体系維持原資は4,099円、引き上げ分は1万2,417円で、ベースアップは1万円・3.35%です。パート等の時間給労働者は時給90.02円、7.09%の引き上げです。[出典5]
2025年も月例賃金総額1万5,555円・5.40%、時間給82.81円・7.01%の引き上げが確認でき、複数年にわたって賃金を上げています。[出典6]
2026年2月末の平均年間給与は509.1万円です。[出典2]
一時金だけでなく、ベースアップとして月例基本給を上げ、パート等にも7%台の時給引き上げを行っているため8/10点です。
一方、雇用区分・職種・資格等級別の賃金中央値や、物価上昇を差し引いた実質賃金の推移までは公表されていません。これらを開示し、高いベアを複数年継続できれば10/10点を検討できます。
労働時間・休息|8/10
2025年度の年間休日は125日で、公休105日に長期休日20日を加えています。平均有給取得日数は10.1日です。[出典7]
管理職を除く月平均残業時間は9.6時間です。1カ月20営業日で単純換算すると、1日あたり約29分です。週1回程度のノー残業デーと、1日4回の従業員カードスキャンによる未払い残業防止も行っています。[出典7]
年間休日125日と残業9.6時間は、小売業の働き方として良好な実績です。
一方、従業員口コミには生鮮・食品部門で繁忙期の残業や休日出勤を指摘する投稿があります。平均値だけでは店舗・部門間の差を判断できません。
そのため8/10点です。部門別残業、休日出勤、45時間超の人数、有給取得率を開示し、繁忙部門でも長時間労働が少ないことを継続確認できれば10/10点を検討できます。
雇用の安定・待遇の公平性|3/5
2026年2月末の平均勤続年数は10.9年です。就業人員は2025年2月末の3,071名から2026年2月末3,095名へ増え、臨時従業員換算も9,957名から10,164名へ増えています。[出典2・8]
一方、2025年度の女性管理職比率は15.7%で、会社自身が設定した20%目標を下回りました。正規雇用の男女賃金差は81.9%、全労働者では68.5%です。会社は、資格等級の高い男性が多いことや、全道転勤区分を選ぶ男性割合が高いことを主な要因として説明しています。[出典9]
雇用の継続性は確認できますが、管理職構成と賃金差に改善課題があるため3/5点です。
女性管理職比率20%以上を達成し、正規雇用の男女賃金比率を90%台へ近づけ、その差の縮小を複数年確認できれば4~5/5点を検討できます。
福利厚生・育児・介護|4/5
育児休業取得率は2025年度に女性100%、男性50%です。育児・介護の短時間勤務、転居停止制度、ペア転勤制度、住宅助成、社宅、従業員買物割引なども整備しています。[出典7・9]
育児・介護と仕事を両立する制度があり、男性育休も半数まで利用されているため4/5点です。
一方、男性育休50%は全員取得には届いておらず、介護休業利用率、育休後の復職率、制度利用者の昇進・賃金への影響は公表されていません。男性育休取得率の継続上昇と復職・介護利用実績まで確認できれば5/5点を検討できます。
人権・ハラスメント・労使関係|3/5
イオン北海道労働組合は2026年2月末時点で社員2,779名、臨時従業員11,454名が加入し、有価証券報告書では労使関係は安定しているとされています。[出典2]
内部通報制度として「イオンコンプライアンスホットライン」があり、相談者・調査協力者を保護する運用規程を整備しています。[出典10]
外国人技能実習生についても、監理団体のサポートを受けながら生活面のフォローや相談体制を設けています。[出典9]
一方、イオン北海道単体のハラスメント相談件数、内部通報件数、是正件数、再発率は公表されていません。制度と労組の存在は確認できますが、救済が実際にどう機能したかを外部から比較できないため3/5点です。
匿名化した相談件数、是正率、再発防止結果を継続公開できれば4/5点以上を検討できます。
労働安全・健康|6/10
厚生労働省のSAFEコンソーシアム資料では、イオン北海道は店舗ごとの労災傾向を可視化するダッシュボードを構築しています。2024年度上期の業務災害は累計167件で、前年295件の57%まで減少しました。「切れ・こすれ」の労働災害も前年の66.7%まで減少しています。[出典11]
例えば鮮魚・惣菜・品出しなど、店舗ごとに事故原因が異なる場合、全社平均だけを見るより、自店で転倒が多いのか、切創が多いのかを把握して対策した方が事故を減らしやすくなります。実際に件数減少まで確認できる点は評価できます。
一方、167件という事故自体は残っており、2025年度・2026年度の死亡災害、重篤災害、休業災害、度数率、事故原因別件数は公表されていません。最新通期の結果がない点は課題です。採点上も減点対象です。
そのため6/10点です。重大労災0、度数率、休業災害、転倒・切創・腰痛などの件数を毎年公開し、事故率が継続低下していることを確認できれば8/10点、さらに業界内でも低い水準を複数年維持できれば10点を検討できます。
商品・サービスの安全|3/5
イオン北海道は食品・衣料・住居用品など幅広い商品を販売し、品質・安全を重要な経営リスクとして管理しています。[出典2]
一方、2025年4~6月に販売した「トップバリュ ホームコーディ5WAYスリムハンディファン」では、使用中に羽根が折れる場合と、一部で発火する事例が確認され、2025年6月に回収を開始しました。2026年4月16日にも使用中止と回収を再告知しています。イオン北海道も販売企業の一社です。[出典12]
発火の可能性は利用者のやけどや火災につながるため重大です。回収を継続して告知している点は評価できますが、販売前に危険を防げなかった事実は残ります。
そのため3/5点です。重大な発火・けがにつながる回収を複数年発生させず、販売前検査・仕入先監査・回収率まで継続公開できれば4~5/5点を検討できます。
従業員・元従業員の口コミ
Indeedでは2026年5月時点で106件のクチコミがあり、勤務時間と残業2.8/5、給与と福利厚生3.2/5、定着率と昇進2.4/5と集計されています。情報ランクBです。[出典13]
2025年3月の生鮮部門に関する投稿には「とにかく生鮮部門は残業が多くて大変」とあります。公式平均残業9.6時間と両立しない数字ではありませんが、一部部門で平均より負荷が高い可能性を示す現場情報です。[出典13]
一方、2024年11月の滝川店パート投稿には「残業はほぼないですが残業したら1分単位で残業代も支給されます」とあります。[出典13]
店舗・部門によって評価が分かれるため、全社平均だけでなく部門別・店舗別の残業を公開すると実態を判断しやすくなります。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイについて、会社名と「残業」「給料」「退職」「パワハラ」「セルフレジ」「人員削減」「品出し」などを分けて確認しました。
5ちゃんねるにはイオン北海道の特売や店舗を扱うスレッドは確認できましたが、対象法人の従業員であること、勤務時期、職種・雇用形態が具体的に分かり、採点根拠として利用できる投稿は確認できませんでした。[出典14]
X、爆サイでも今回の採点に使用できる対象法人従業員の具体的な投稿は確認できませんでした。
Innovation|21/25
Innovationでは、セルフレジ、電子棚札、AI自動発注、食品加工拠点、iレジ、物流モーダルシフトが、人のレジ作業、値札交換、発注判断、店舗加工、長距離運転を減らしている点を評価します。
導入件数と一部の削減成果は具体的ですが、省人化後の店舗人員・契約更新・配置転換と、浮いた時間が賃金・休日へどう返ったかの時系列開示は不足しています。
作業負担・危険の削減|8/10
2025年2月期の事業報告では、店舗DXとしてセルフレジの導入がほぼ完了し、電子棚札の導入店舗は全体の5割を超えました。[出典15]
電子棚札は、価格変更のたびに従業員が紙の値札を印刷し、売場を歩いて差し替える作業を減らせます。セルフレジは会計操作の一部を利用者側へ移すため、レジ担当者が全商品をスキャンする反復作業を減らせます。
さらに、AIを活用した自動発注、イオン石狩PCでの店舗作業軽減、iレジの導入拡大も進めています。[出典16]
物流では、苫小牧港と釧路港を結ぶRORO船を活用し、対象物流でトラックドライバーの人時を約36%削減しました。[出典17]
人が実際に運転する時間を36%減らした成果まで確認できるため8/10点です。一方、店舗DX導入前後のレジ担当時間、値札交換時間、発注時間、腰痛や労災、全社残業が何時間減ったかは公表されていません。これらを実測し、大幅な負担減を複数工程で確認できれば10/10点を検討できます。
商品・サービスの改善|5/5
ネットスーパー「ネットで楽宅便」は離島を除く北海道全域を配送対象とし、生鮮・冷凍・日用品・衣料品など約24,000アイテムを扱っています。[出典4]
iレジは利用者がスマートフォン等で商品を読み取りながら買い物できる仕組みで、2026年時点でも複数店舗で利用できます。[出典18]
2026~2030年度の中期計画ではOMO構築、物流・製造拠点の拡充、生産性を高めるDX・業務改革を重点施策にしています。[出典19]
店舗、ネット、物流を複数年継続して改善しているため5/5点です。
改善成果の人間への還元|3/5
2026年春闘では正社員の平均賃上げ5.53%、パート等の時給7.09%上昇が確認でき、2025年度の月平均残業も9.6時間です。働く人側の指標には良い結果があります。[出典5・7]
RORO船へのモーダルシフトではドライバー人時を約36%削減しており、人が働く時間を直接減らした成果も確認できます。[出典17]
一方、セルフレジ、電子棚札、AI発注、自動化によって生まれた生産性向上が、どの程度ベースアップ、休日、残業削減へ変換されたかという因果は公表されていません。
そのため3/5点です。DX導入前後で店舗別の作業時間、残業、賃金、休日、人数を追跡し、大規模な契約終了を伴わず、時間短縮と処遇改善の両方を確認できれば4~5/5点を検討できます。
研究開発・現場改善の継続|5/5
セルフレジ、iレジ、電子棚札、AI発注、イオン石狩PC、RORO船、ネットスーパー、OMOなど、店舗・製造・物流・オンラインで改善を継続しています。[出典15・16・17・19]
単発の実証ではなく、効果が出た施策を他店舗へ展開する方針まで確認できるため5/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
セルフレジ導入がほぼ完了し、電子棚札も5割超の店舗へ広がっていますが、会社全体の就業人員は2025年2月末3,071名から2026年2月末3,095名へ増えています。臨時従業員換算も9,957名から10,164名へ増えました。[出典2・8・15]
2026年にも新卒・中途採用を継続しています。[出典20]
したがって、会社全体で自動化を理由とする大規模な人員削減が進んでいるとは判断しません。
一方、セルフレジを導入した個別店舗でレジ担当者が何人減り、品出し・接客・ネット注文対応へ何人配置転換されたのか、パートの契約更新・採用数がどう変わったのかは公表されていません。
自動化後の人への影響を判断するには、導入店舗ごとの従業員数、契約更新、配置転換、離職、残業を時系列で公開する必要があります。
Protection|22/25
Protectionでは、北海道という広大な地域で地震・豪雪・道路寸断・停電が起きても、食品と生活用品を届け続けられるかを評価します。
年1回以上の総合地震防災訓練、自治体等との防災協定、RORO船を含む代替輸送、2018年胆振東部地震での実供給が強みです。一方、サイバー防御は対象法人単体の技術KPIが十分公開されていません。
災害への備え・訓練|5/5
イオン北海道は年1回以上の「総合地震防災訓練」を行い、店舗所在地の市町村、企業、病院等と災害時の生活物資供給や避難場所提供に関する協定を締結しています。[出典21]
例えば大地震で水道や地域商店が止まり、住民が飲料水や食品を必要とした場合、自治体は事前協定に基づいて物資供給を要請できます。店舗側も安否確認、営業再開、避難場所提供の手順を平時から訓練できます。
訓練を毎年継続し、協定も各地域で整えているため5/5点です。
生産・物流・調達の代替|5/5
イオン北海道はトラック輸送だけでなく、苫小牧港と釧路港を結ぶRORO船を活用しています。2024年に実証を始め、2025年7月から対象店舗を広げて本格実施しました。衣料品・食品の一部を週4回、トラックと船舶のハイブリッドで配送しています。[出典17]
この取り組みでトラックドライバー人時を約36%、CO2排出量を約24%削減しました。
平時から船舶を使っていれば、長距離トラック輸送の供給力が不足した場合にも輸送手段を分散できます。
また、イオン石狩PCなど製造・物流拠点を持ち、183店舗へ供給するネットワークがあります。
複数輸送手段と拠点を実際に運用しているため5/5点です。
サイバー防衛・情報保護|3/5
個人情報保護方針では、個人情報保護管理責任者と監査責任者を置き、教育、監査、不適合時の規程改善、取引先への協力要請を行っています。ウェブではSSLとファイアウォールの利用も明示しています。[出典22]
一方、対象法人単体のMFA適用率、EDR、SOC、バックアップ分離、侵入テスト、重大インシデント件数、復元訓練、システム別RTO・RPOは公表されていません。
小売はPOS、発注、決済、ネットスーパーが止まると店舗運営へ直接影響します。基本管理は確認できますが、攻撃後の継続・復旧力を外部から判断できないため3/5点です。
MFA・EDR・SOCの適用範囲、復元訓練時間、重大事故件数を継続公開できれば4~5/5点を検討できます。
供給継続・復旧能力|5/5
2018年北海道胆振東部地震では、イオン北海道と当時のマックスバリュ北海道を含む北海道内165店舗のうち、9月10日時点で163店舗が店内営業を再開し、残る2店舗も店頭販売を行いました。配送センターも9月9日店着分から稼働しました。[出典23]
通常供給に加え、本州からJALやフェリーの臨時便を利用して、パン・おにぎりなど約95万個を緊急輸送しています。[出典23]
停電や道路障害が起きても、店内営業が難しい店舗では店頭販売を行い、航空・フェリーを使って本州から食品を運ぶ代替運用を実際に行ったことが確認できます。
計画だけでなく実災害で営業・物流を復旧したため5/5点です。
危機時の市民への対応|4/5
災害時の物資供給・避難場所提供の協定を各地域で結び、総合地震防災訓練を毎年行っています。[出典21]
胆振東部地震では店舗営業を早期再開し、グループ物流と連携して約95万個のパン・おにぎり等を北海道へ供給しました。[出典23]
これは、例えば停電で家庭の備蓄が尽きた住民に対し、店舗を地域の物資受け取り場所として機能させる具体的な危機対応です。
一方、現在のイオン北海道単体について、自治体別の供給可能数量、避難者何人へ何日分を届けられるか、直近災害での対象法人単体供給数量を継続開示しているわけではありません。
実績は高く評価できますが、現在の定量能力をさらに確認できる余地があるため4/5点です。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の前向きな動きでは、2026年の大幅賃上げと、物流でドライバーの労働時間を実際に減らしたモーダルシフトが重要です。
前者はSafetyで働く人の所得へ直接返る成果、後者はInnovationとProtectionで人手不足と長距離運転負担を同時に減らす成果です。イオン北海道で買い物をすることで、こうした賃金還元と持続可能な物流を続ける売上につながります。
2026年3月|正社員5.53%、パート時給7.09%の賃上げ(Safety)
2026年春闘で正社員1人平均の賃上げ総額は1万6,516円・5.53%、うちベアは1万円・3.35%でした。パート等の時給は90.02円・7.09%上昇しました。[出典5]
正社員だけでなく、店舗運営を支える多数の短時間・有期労働者にも高い賃上げ率が及んでいます。
2025年にも正社員月例賃金5.40%、時間給7.01%の引き上げが確認されているため、単年度だけの改善ではありません。[出典6]
2025年12月|RORO船でドライバー人時約36%削減(Innovation・Protection)
苫小牧港と釧路港間の物流で、トラック輸送の一部をRORO船へ移す取り組みが「物流パートナーシップ優良事業者表彰」の強靭・持続可能表彰を受賞しました。[出典17]
対象物流ではトラックドライバー人時を約36%削減しています。
例えば従来100時間の長距離運転が必要だった規模なら、同程度の条件で約64時間に減る計算です。実際の運転時間を減らすことは、長時間運転による疲労と人手不足の両方を軽くします。
さらに船舶輸送を平時から使うことで、トラック供給力が不足した場合の代替輸送手段にもなります。
悪いニュース・問題となった動き
最近の問題では、2025年販売のハンディファンに発火事例があり2026年にも回収を再告知したことと、人的資本で女性管理職比率・エンゲージメントが会社目標に届かなかったことが重要です。
商品回収は利用者の安全、人的資本目標の未達は働く人の公平性と職場環境に関係します。改善されなければ、便利な店舗や高い賃上げがあっても、安全・公平性の弱点が残ります。
2026年4月|発火事例のあるハンディファン回収を再告知(Safety)
2025年4月9日から6月20日に販売したトップバリュの5WAYスリムハンディファンで、羽根が折れる場合と、一部で使用中に発火する事例が確認されました。2025年6月に回収を開始し、イオン北海道は2026年4月16日に再度使用中止と回収を告知しました。[出典12]
発火は火傷や住宅火災につながる可能性があります。
販売後に回収を継続している点は救済として評価できますが、販売前に危険を止められなかったため、商品・サービス安全は3/5点としています。
2025年度|女性管理職20%目標を未達、エンゲージメントも目標未達(Safety)
女性管理職比率は目標20%に対して15.7%でした。エンゲージメントスコアも目標52.0・BBに対し48.9・B、基本理念への共感度は目標3.75に対し3.49でした。[出典9]
正規雇用の男女賃金差も81.9%です。
会社は制度上の男女差はないと説明していますが、上位資格の男性比率や転勤区分の違いが結果として賃金差につながっています。
女性管理職候補の育成だけでなく、転勤条件、昇格、職務配置、育児との両立が賃金・管理職比率へどう影響しているかを数値で追う必要があります。
総合評価と、これから改善してほしいこと
イオン北海道株式会社は現在78点・シビックランクBです。次のAランクは80点からなので、あと2点必要です。
賃上げ、休日、物流改革、防災は強い企業です。次のランクへ上がるためには、現在残っている労災を最新KPIでさらに減らすこと、男女の待遇差を縮めること、自動化の成果を人へ返したことを時系列で示すこと、サイバー復旧力を具体化することが重要です。
最新の労災KPIを公開し事故率を継続低下させる|労働安全・健康 6→8/10
現在は6/10点です。
2024年度上期に業務災害を295件から167件へ減らした成果はありますが、2025年度・2026年度の死亡・重篤・休業労災、度数率、事故原因別件数が公表されていません。
全店舗について、死亡、重篤、休業、軽微災害、度数率、転倒、切創、腰痛を毎年公開し、重大労災0と事故率低下を少なくとも3年継続してほしいです。
これが確認できれば6→8/10点、+2点を検討できます。総合78→80点となり、シビックランクAへ上がります。
参考企業のアスクル株式会社は、当サイト現行審査で「労働安全・健康」8/10点です。2025年5月期に死亡0、重度0、軽度2、度数率0.00を公開しています。イオン北海道も事故削減活動に加えて、最新通期の結果を同じ粒度で出すことが次の改善です。
男女賃金差と女性管理職比率を改善する|雇用の安定・待遇の公平性 3→4/5
現在は3/5点です。
2025年度の女性管理職比率15.7%、正規雇用の男女賃金比率81.9%です。
女性管理職20%以上をまず達成し、全道転勤・エリア勤務、職種、資格等級ごとの男女構成と昇格率を公開して、正規雇用の男女賃金比率を90%以上へ近づけてほしいです。
これが確認できれば3→4/5点、+1点を検討できます。総合78→79点でBのままです。
参考企業のアスクル株式会社は、当サイト現行審査で「雇用安定・待遇公平性」4/5点です。女性管理職22.8%、男女賃金差81.1%などを対象法人単体で公開しています。賃金差自体には同様の課題がありますが、管理職比率はイオン北海道より高く、比較可能なKPIを継続開示しています。
店舗DX後の人員・残業・賃金を追跡する|改善成果の人間への還元 3→4/5
現在は3/5点です。
セルフレジはほぼ導入完了、電子棚札は5割超、AI発注も進んでいます。物流ではドライバー人時36%削減まで確認できています。
一方、セルフレジやAI発注を導入した店舗で、レジ担当人数、配置転換、契約更新、残業、休日、賃金がどう変わったかは公表されていません。
導入前後2~3年について、店舗ごとの総作業人時、残業、従業員数、パート契約更新率、配置転換人数、賃金を公開し、大規模な雇用削減を伴わず残業短縮や賃上げへつながったことを示してほしいです。
これが確認できれば3→4/5点、+1点を検討できます。総合78→79点です。
参考企業のアスクル株式会社は現行審査で「改善成果の人間への還元」4/5点です。物流自動化によって歩行・搬送・再配達の負担を具体的に減らしています。イオン北海道はさらに、賃金・休日まで結びつけて示せれば4~5点へ上げられます。
サイバー復旧力を対象法人単体で公開する|サイバー防衛・情報保護 3→4/5
現在は3/5点です。
個人情報管理責任者、監査、SSL、ファイアウォールは確認できますが、MFA、EDR、SOC、バックアップ分離、復元訓練、RTO・RPOの公開がありません。
店舗POS、発注、ネットスーパーを対象にMFA・EDRの適用率、24時間監視体制、バックアップ復元訓練、目標復旧時間を公開し、目標内で復旧できることを訓練で実証してほしいです。
これが確認できれば3→4/5点、+1点を検討できます。総合78→79点です。
参考企業の株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、当サイト現行審査で「サイバー防衛・情報保護」4/5点です。アクセス制御、監視、委託先管理、脆弱性診断、インシデント対応、演習を具体的に開示しています。
次のAランクへ上がるための具体例
現在78点・Bで、Aランクは80点からです。あと2点必要です。
最も直接的な道筋は、労災ダッシュボードを最新年度まで更新し、死亡・重篤・休業災害と度数率を毎年公開したうえで、重大労災0と事故率低下を3年程度継続することです。「労働安全・健康」が6/10点から8/10点になれば+2点となり、78+2=80点でAランクへ上がります。
別の道筋としては、女性管理職20%以上・正規男女賃金比率90%以上へ改善して「雇用の安定・待遇の公平性」を3→4/5点、店舗DX後の雇用・残業・賃金を時系列で公開して「改善成果の人間への還元」を3→4/5点とすれば、+1点+1点で同じく80点へ到達します。
つまりイオン北海道が次のランクへ上がるためには、すでに強い賃上げ・DX・防災に加え、「事故がさらに減った」「男女の待遇差が縮んだ」「自動化で浮いた時間が人へ返った」という結果を最新年度の数字で示すことが重要です。
出典一覧
1.イオン北海道株式会社「会社概要」
2.イオン北海道株式会社「第48期 有価証券報告書」
3.イオン北海道株式会社「株式基本情報」
4.イオン北海道株式会社「事業紹介」
5.流通ニュース「賃上げ2026/パート時給いなげや6.35%、イオン北海道7.09%アップ」2026年3月23日
6.連合北海道「2025春季生活闘争ニュース 第4号」2025年3月13日
7.イオン北海道株式会社「新卒採用 会社を知る」
8.イオン北海道株式会社「第47期 有価証券報告書」
9.イオン北海道株式会社「人的資本経営の取り組み」
10.イオン北海道株式会社「コーポレートガバナンス」
11.厚生労働省 SAFEコンソーシアム「SAFEアワード2024 イオン北海道株式会社」
12.イオン株式会社・イオン北海道株式会社・イオントップバリュ株式会社「トップバリュ ホームコーディ5WAYスリムハンディファン 商品回収のお詫びとお知らせ」2026年4月16日
13.Indeed「イオン北海道株式会社の社員クチコミ・評判」
14.5ちゃんねるスレタイ検索「イオン北海道」
15.イオン北海道株式会社「2025年2月期 事業報告」
16.イオン北海道株式会社「2025年2月期 決算説明会資料」
17.イオン北海道株式会社「令和7年度物流パートナーシップ優良事業者表彰 強靭・持続可能表彰を受賞」2025年12月24日
18.イオン北海道株式会社「iレジご利用ガイド」
19.イオン北海道株式会社「中期経営計画 2026-2030年度」
20.イオン北海道株式会社「採用情報 NEWS」
21.イオン北海道株式会社「社会の取り組み 防災の取り組み」
22.イオン北海道株式会社「プライバシーポリシー」「サイトのご利用について」
23.イオン株式会社「平成30年北海道胆振東部地震への対応について 第5報」2018年9月10日
24.Google Drive「アスクル株式会社の企業審査」現行版
25.Google Drive「株式会社セブン‐イレブン・ジャパンの企業審査」現行版
シビックランクの基準
| シビックランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
イオン北海道株式会社は78点のため、今回の評価はシビックランクBです。
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、記名取材など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
