私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査する東洋製罐グループホールディングス株式会社は、総合78点、シビックランクBです。
東洋製罐グループホールディングス株式会社の特に強い点は、グループ横断のDXを進め、RPAで2018年から2023年までに約400業務・累計約5万時間を削減しながら、提出会社単体では男性育休取得率100%、正規雇用の男女賃金比率90.9%まで到達していることです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、定型作業を技術へ移し、働く人が育児や高度な仕事へ時間を使いやすい社会につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として、2025年度のグループ労災度数率が1.65と製造業平均1.33を上回っていること、工場・システム停止時のRTO・RPOや実測復旧時間が十分に公表されていないことが残ります。
この記事では、東洋製罐グループホールディングス株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
東洋製罐グループホールディングス株式会社の企業審査結果
今回の評価対象は、東京都品川区東五反田に本社を置く東洋製罐グループホールディングス株式会社です。持株会社としてグループ会社の経営管理、技術・研究開発、人事、DX、品質保証、リスク・コンプライアンス、サステナビリティなどのグループ横断機能を担っています。2026年3月期の提出会社単体従業員数は533人、連結従業員数は19,067人です。[出典1・2]
| 評価軸 | 得点 | 主な評価 |
|---|---|---|
| Safety | 37/50 | 平均年収757万円、男性育休100%、正規男女賃金比90.9%、年休122日・入社時有休20日を評価。単体残業KPI、グループ労災度数率1.65が課題 |
| Innovation | 22/25 | RPA約400業務・累計約5万時間削減、DX教育、AI・省人化方針、研究開発基盤を評価。削減時間の賃金・休日への直接還元の定量化は不足 |
| Protection | 19/25 | BCP、調達分散、国内外の多数拠点、約9,000人へのセキュリティ訓練、災害支援を評価。RTO・RPO、実測復旧時間の開示不足が課題 |
| 総合 | 78/100 | シビックランクB |
東洋製罐グループホールディングス株式会社は、2013年に持株会社体制へ移行し、現在はグループ会社の経営管理等を主な事業としています。包装容器そのものの大量生産は東洋製罐株式会社などの事業会社が担うため、本審査では「持株会社本体の働き方」と「持株会社がグループ全体へ与えている人事・DX・安全・危機管理・品質統括の成果」を分けて評価します。[出典1・3]
事業内容と人間への貢献
東洋製罐グループは、金属、プラスチック、紙、ガラスなどを使った包装容器を中心に、充填、物流、鋼板、機能材料、不動産などを展開しています。持株会社である東洋製罐グループホールディングス株式会社は、これらの企業を直接製造現場で動かすのではなく、経営方針、人材、DX、品質、研究開発、サステナビリティ、リスク管理を横断的に整える役割を担います。[出典3・4]
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 東洋製罐グループホールディングス株式会社 |
| 英文名 | Toyo Seikan Group Holdings, Ltd. |
| 本社 | 東京都品川区東五反田二丁目18番1号 |
| 代表取締役社長 | 中村 琢司 |
| 創立 | 1917年6月25日 |
| 資本金 | 110億9,460万円 |
| 法人番号 | 7010701026096 |
| 従業員数 | 単体533人、連結19,067人(2026年3月期) |
| 平均年齢 | 42.3歳 |
| 平均勤続年数 | 16.9年 |
| 平均年間給与 | 757万3,087円 |
| 主な事業 | グループ会社の経営管理等 |
主な利用企業・取引先
持株会社本体は、一般消費者へ包装容器を直接販売する事業会社ではありません。経営管理、研究開発、DX、人事、品質保証などの機能をグループ会社へ提供し、東洋製罐、東洋鋼鈑、東罐興業、日本クロージャー、メビウスパッケージング、東洋ガラスなどの事業会社が食品・飲料・生活用品メーカー等へ製品やサービスを届けています。[出典3・4]
事業による人間への貢献
持株会社の人間への貢献は、19,000人を超えるグループ従業員が働く会社群に、共通の人事制度、DX、品質管理、BCP、情報セキュリティ、人権基準を広げることです。
例えば、一つの工場だけで安全対策を改善しても、その工場で働く人にしか効果は届きません。持株会社がグループ共通の安全指標や教育、品質会議、サイバー対策基準を設ければ、複数の会社・工場へ同じ改善を広げることができます。
DXでも、RPAを人事・経理・営業・SCMなどへ広げ、累計約5万時間のPC作業を削減しています。人が定型入力や転記へ使っていた時間を減らせれば、分析、改善、研究、顧客対応など、人にしかできない仕事へ時間を移しやすくなります。[出典10]
Safety
Safetyでは、持株会社単体の賃金、休暇、育児、公平性と、グループ全体へ広げる健康、安全、人権、品質管理の成果を確認します。単体の給与・男性育休・男女賃金比は良好です。一方、公式の単体平均残業や有休取得率の最新実績が十分見えず、グループ労災度数率は製造業平均を上回っています。
賃金・利益の還元:8/10
2026年3月期の提出会社単体の平均年間給与は757万3,087円、平均年齢42.3歳、平均勤続年数16.9年です。従業員は533人です。[出典2]
新卒採用では、大学卒の初任給は25万7,000円、修士卒27万7,000円、博士卒29万8,000円で、昇給年1回、賞与年2回としています。[出典5]
平均給与が700万円台で、賞与と昇給制度があるため8/10点です。一方、単体の給与中央値、職位別・年齢別賃金、非正規賃金、既存社員のベースアップ率は十分公表されていません。実質賃金の上昇を複数年確認し、中央値や職位別賃金まで公開できれば10点を検討できます。
労働時間・休息:6/10
新卒採用では年間休日122日、完全週休2日制、年次有給休暇は入社時に20日付与されます。本社勤務は8時30分~17時15分で、一部フレックスタイム制度も導入されています。[出典5]
グループではフレックスタイム、テレワーク、時間単位有休、半日有休、ノー残業デー、有休取得奨励日などを整備しています。2025年度の主要7社では、管理職を除く時間外45時間超過者数が100人・月当たり4.6人でした。[出典6・7]
一方、持株会社単体の月平均残業、有休取得率、月45時間超・60時間超の人数を最新年度で一覧できる公開情報は不足しています。転職会議の投稿者集計では平均残業23.2時間、有給消化率58.7%ですが、公式全社員値ではありません。[出典18、情報ランクB]
年間休日122日と入社時有休20日を評価して6/10点です。単体平均残業15時間以下、有休取得率80%以上、月60時間超0%を継続公開できれば8点、さらに職位・部署別でも低負荷を確認できれば10点を検討できます。
雇用の安定・待遇の公平性:4/5
2026年3月期の提出会社単体は、女性管理職比率9.9%、男性育児休業取得率100.0%、男女賃金比率は全労働者88.9%、正規雇用90.9%、非正規90.8%です。[出典2]
従業員数も2025年3月期の495人から2026年3月期は533人へ増えています。2025年4月には主要7社で定年を60歳から65歳へ引き上げ、持株会社も対象となっています。[出典2・6]
男性育休100%と正規雇用の男女賃金比90.9%は高く評価できます。一方、女性管理職比率は9.9%で、会社自身が2030年度に14%超を目標としています。また全労働者の男女賃金比は前年96.7%から88.9%へ低下しました。[出典2]
育休・賃金差・雇用の安定を総合して4/5点です。女性管理職14%超を達成し、正規男女賃金比95%以上を複数年維持できれば5点を検討できます。
福利厚生・育児・介護:5/5
採用情報では、育児休業、介護休暇、看護休暇、配偶者出産休暇などを設けています。グループの主要制度には、育児・介護短時間勤務、始終業時間の繰り上げ・繰り下げ、半日・時間単位有休、失効有休積立、配偶者赴任同行休暇、ボランティア休暇、フレックス、テレワークがあります。[出典5・6]
採用FAQでは独身寮・家族社宅、約450講座の通信教育、修了者への受講料全額補助も案内しています。持株会社単体では男性育休100%という利用結果まで確認できます。[出典5・19]
制度の種類だけでなく利用結果まで確認できるため5/5点です。
人権・ハラスメント・労使関係:4/5
グループは人権方針を定め、Sedexを使ったセルフチェックを2024年度に27社68事業所で実施しました。重大な児童労働・強制労働事例は確認されなかったとしています。また、外国人労働者の就業事業所では第三者調査員とともに書類審査、現場査察、労働者インタビューを実施しています。[出典8]
コンプライアンスでは内部通報制度を設け、2025年度には国内17社、海外20社で贈収賄・腐敗防止の教育を実施しています。[出典20]
人権デューデリジェンスと内部通報制度を評価して4/5点です。一方、持株会社単体のハラスメント相談件数、認定件数、是正件数、相談後の不利益防止結果などは十分公表されていません。これらを匿名化して年次公開し、再発率や是正完了率まで確認できれば5点を検討できます。
労働安全・健康:6/10
主要グループ会社を含む安全衛生データでは、2025年度の労働災害発生件数62件、負傷者62人、死亡者0人です。死亡災害0は評価できます。[出典9]
一方、国内連結子会社を含む2025年度の労災度数率は1.65です。厚生労働省の同年製造業平均1.33を上回っています。強度率は0.03で、製造業平均0.07を下回っています。つまり、重大度は平均より低い一方、休業災害が起きる頻度には改善余地があります。[出典9]
健康面では主要7社の総合健康リスクが2025年度99となり、目標100以下を達成しました。ただし高ストレス者率は16.5%で、会社目標10%以下には届いていません。[出典7]
死亡0、健康リスク改善を評価して6/10点です。持株会社単体の労災件数・度数率を開示し、グループ度数率を1.0以下へ下げ、死亡・重篤災害0を複数年継続できれば8点以上を検討できます。
商品・サービスの安全:4/5
持株会社はグループ品質保証を統括し、品質統括部とグループ品質会議を通じて、重大欠陥、品質不正、意図的な製品汚染、法令・契約違反、激甚災害時の品質保証などを横断的に管理しています。デジタル・自働化技術を品質保証へ使う方針も示しています。[出典11]
飲料や食品の包装は、中身を汚染・漏出させず、輸送中の破損を防ぐ役割があります。複数の素材・事業会社を持つグループで共通品質会議を行うことは、一社で起きた不具合を別会社へ横展開しやすくする効果があります。
一方、グループ全体の重大品質事故件数、回収件数、顧客重大苦情、是正完了までの日数などを年次比較できる統一KPIは十分公表されていません。品質統括体制を評価して4/5点とし、重大品質事故0と具体的な結果KPIを継続公開できれば5点を検討できます。
従業員・元従業員の口コミ
転職会議では、東洋製罐グループホールディングス株式会社の投稿者集計として平均残業23.2時間、有給消化率58.7%と表示されています。公式の単体全社員値ではないため補助情報として扱います。[出典18、情報ランクB]
2024年頃、20代後半女性・正社員・機械関連職の投稿では、「有休は取りやすい。育休も取りやすい。」とあります。男性で3カ月取得する人もいるとの記載があり、現在の男性育休100%という法定開示と方向性が一致します。[出典18、情報ランクB]
2023年頃、30代前半男性・正社員・基礎/応用研究の投稿では、「有給が消化しやすい。」とする一方、大型連休は自分の有給を使う必要があるという記載があります。[出典18、情報ランクB]
2022年頃、30代前半男性・正社員・生産技術の投稿では、「出張や外出が多く、ワークライフバランスが良いとは言えない。」とあります。部署や職種によって負荷の差がある可能性を示します。[出典18、情報ランクB]
公式制度は強い一方、単体の部署別残業・有休取得率が不足しているため、制度と現場差を確認できる公式KPIの拡充が必要です。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイについて、社名と残業、給料、退職、パワハラ、事故、DX、省人化、人員削減などを組み合わせて確認しました。
対象法人との雇用関係、勤務時期、職種、具体的体験を本文まで確認でき、今回の採点を変えるだけの現在の投稿は確認できませんでした。同名企業や子会社の投稿、検索結果だけで本文を確認できないものは採点根拠に使っていません。
Innovation
Innovationでは、持株会社がグループ全体の定型作業や製造現場の負担を技術で減らし、その時間をより高度な業務へ移せているかを評価します。RPA約5万時間削減、DX人材育成、製造現場の夜勤・省人化方針は強い一方、削減時間が賃金や休日へどれだけ返ったかの因果関係は十分定量化されていません。
作業負担・危険の削減:8/10
グループでは2018年から2023年までの6年間に、RPAで約400を超える業務を稼働させ、累計約5万時間を削減しました。対象はSCM、営業、人事、経理、総務、購買などへ広がっています。[出典10]
5万時間は、1人が年間2,000時間働くと仮定した場合、単純換算で25人年分に相当します。人が画面入力、転記、定型集計などへ使っていた時間を減らし、分析や改善へ移せる規模です。
製造部門では、長時間労働や身体負担がエンゲージメントと関係すると分析し、交替シフト見直し、夜勤ラインの自動化、省力化投資を進める方針を明示しています。[出典7]
定量的な削減時間を評価して8/10点です。一方、製造現場で何kgの重量物、何時間の夜勤、何人の危険作業を機械へ移したかという最新の横断KPIは不足しています。事故・夜勤・持ち上げ回数まで定量化できれば10点を検討できます。
商品・サービスの改善:5/5
持株会社は「Group Digital Vision 2030」を定め、データとデジタル技術を使って製品、サービス、プロセスを進化させる方針を進めています。2026年4月にはデジタル戦略機能を新設しました。[出典12・13]
グループの研究開発人員は871人、2026年8月時点の特許件数は2,872件です。持株会社自身も技術開発機能を持ち、包装容器に加えて高機能フィルムなど新領域を展開しています。[出典4]
包装、素材、物流、DXの複数領域で改善を継続しているため5/5点です。
改善成果の人間への還元:4/5
RPAで累計約5万時間を削減し、会社は従業員がより高度な業務へ注力できるようにすることを目的として明示しています。また、DXの目的として働きがい、ワークライフバランスの向上も掲げています。[出典10・12]
雇用面では、提出会社単体の従業員数は495人から533人へ増えており、RPA導入が大規模な単体人員削減へ直結した形は確認できません。主要7社では定年を65歳へ延長し、50代管理職向けキャリア支援も始めています。[出典2・6]
一方、RPAを導入した部署で残業が何時間減ったか、賃金がいくら増えたか、有休が何日増えたか、配置転換人数や再訓練後の定着率は十分公表されていません。時間削減と雇用維持は確認できるため4/5点です。削減時間が休暇・残業・賃金へ返った結果を部署別に示せれば5点を検討できます。
研究開発・現場改善の継続:5/5
RPAは2018年以降継続し、2023年からは持株会社全社員向けにDXリテラシー教育を開始しました。2026年にはデジタル戦略機能を新設し、中期経営計画2030でも「デジタル技術を駆使した業務の効率化」を経営基盤強化の柱にしています。[出典10・13・14]
単発導入ではなく、教育、データ基盤、RPA、AI、製造自動化を長期で拡張しているため5/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
RPAの活用は2018年から継続し、2018~2023年に約400業務、累計約5万時間を削減しています。持株会社単体の従業員数は2025年3月末495人から2026年3月末533人へ増加しました。[出典2・10]
現在の中期経営計画では、成熟事業領域から成長事業領域への「人材シフト」を掲げています。また、製造部門の人手不足に対応するため、夜勤ラインの自動化、省力化投資を進める方針です。[出典7・14]
今回確認した2024~2026年の公式資料・報道・求人・本文確認可能な口コミでは、RPAやAI導入を理由とした持株会社本体の大規模希望退職、整理解雇、採用停止は確認されていません。
一方、RPA対象部署ごとの必要人数、配置転換人数、契約終了、採用抑制、再訓練人数、導入後離職率は公表されていません。今後は「削減した5万時間を誰のどの仕事へ戻したか」を人員・残業・賃金・休日と同じ時系列で示すことが重要です。
Protection
Protectionでは、地震、火災、調達停止、サイバー攻撃などが起きても、グループの包装・物流・素材供給を止めにくくする経営基盤を評価します。BCP、調達分散、国内外拠点、セキュリティ教育、災害支援は強みです。一方、復旧時間や供給維持率の実測開示が不足しています。
災害への備え・訓練:4/5
持株会社とグループ各社はBCPを策定し、リスク・危機管理規程に基づく管理体制を整えています。2025年度は災害・事故情報配信サービスを導入し、各拠点周辺の自然災害・事故情報をタイムリーに把握する体制を強化しました。[出典15]
事業会社では、東洋製罐が茨木工場の火災を想定し、訓練当日に条件を提示する実践型BCP訓練を実施しました。東洋鋼鈑やメビウスパッケージングでも火災・停電を想定した訓練やチェックリスト整備を行っています。[出典15]
持株会社が危機対策本部やグループ横断のモニタリングを行い、複数事業会社で訓練しているため4/5点です。全主要会社・拠点の訓練参加率と、安否確認・意思決定・代替生産開始までの実測時間を公開できれば5点を検討できます。
生産・物流・調達の代替:4/5
東洋製罐グループは2026年3月時点で国内78、海外29の生産拠点を持ちます。リスク情報では、調達先の分散、生産拠点のバックアップ体制構築・再配置、適正在庫確保を行うとしています。[出典4・16]
例えば一つの工場が地震や火災で停止した場合、別工場や別調達先へ切り替えられれば、食品・飲料メーカーが容器不足で製品を出荷できない期間を短くできます。
多拠点と調達分散を評価して4/5点です。一方、主要製品ごとに「どの拠点へ何時間で切り替えるか」「平時の何%を代替できるか」という実測データは十分公開されていません。製品別代替率と切替訓練結果を公開できれば5点を検討できます。
サイバー防衛・情報保護:4/5
2025年度、グループ従業員約9,000人を対象に情報セキュリティeラーニングと標的型攻撃メール訓練を実施しました。内容にはランサムウェア、アカウント保護、フィッシング詐欺などが含まれます。[出典17]
2026年度にはグループ共通のサイバーセキュリティ対策基準を制定し、国内外の事業所を対象に外部業者による情報セキュリティリスクアセスメントを開始しています。[出典17]
教育、第三者評価、グループ共通基準まで確認できるため4/5点です。一方、MFA・EDR適用率、重大インシデント件数、検知から封じ込めまでの時間、バックアップ復元試験の成功率などは十分公表されていません。これらを対象範囲付きで公開できれば5点を検討できます。
供給継続・復旧能力:3/5
持株会社はグループBCPを統括し、事業会社には複数拠点、調達分散、バックアップ体制があります。火災・停電を想定した訓練も行われています。[出典15・16]
一方、主要工場、受発注、ERP、ネットワーク、物流について、RTO、RPO、目標供給維持率、実際の切替時間、過去の重大障害からの復旧時間を一覧できる公開情報はありません。公開情報がない点は課題であり、採点上も減点対象です。
仕組みと訓練を評価して3/5点です。重要システム・主要製品のRTO・RPOを設定し、実地訓練で目標時間内の切替・復旧を確認して公開できれば4~5点を検討できます。
危機時の市民への対応:4/5
2024年の能登半島地震では、グループ合計1,800万円の義援金に加え、飲料用紙コップ、紙製丼容器、簡易トイレを支援物資として提供しました。日本トーカンパッケージは段ボールベッド・パーテーション各100セットも避難所等へ提供しています。[出典21・22]
2026年8月の熊本地震でも、グループ合計1,300万円の義援金を拠出し、東罐興業が紙コップ・丼容器を支援物資として提供しました。[出典23]
災害時に現金だけでなく、自社グループの容器・生活支援製品を提供できるため4/5点です。自治体との協定地域、備蓄数量、要請から現地到着までの時間を平時から公開し、複数災害で迅速な供給実績を継続できれば5点を検討できます。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の前向きな動きでは、単体の男性育休100%、DXによる定型作業削減、2026年度のサイバー基準新設、災害時の支援を評価します。これらはSafety、Innovation、Protectionのすべてに関係し、東洋製罐グループの商品やサービスが選ばれることで、働く人の時間を守りながら、非常時にも包装・生活支援物資を届けられる経営を支えることにつながります。
2026年6月 男性育休100%・正規男女賃金比90.9%を開示(Safety)
2026年3月期有価証券報告書では、持株会社単体の男性育休取得率100%、正規雇用の男女賃金比90.9%、女性管理職比率9.9%を公表しました。[出典2]
育児休業制度が存在するだけでなく、対象年度の取得率100%まで確認できることは、男性も育児のために仕事を離れられる結果が出ていることを意味します。今後、女性管理職14%超と男女賃金比95%以上まで進めば、育児と昇進・賃金を両立しやすい職場へさらに近づきます。
2026年 グループ共通サイバー対策基準を制定し外部評価を開始(Protection)
2026年度にグループ共通のサイバーセキュリティ対策基準を新設し、国内外の事業所を外部業者が評価する仕組みを始めています。[出典17]
例えば一つの工場の端末がランサムウェアへ感染した場合、会社ごとに対策レベルがばらばらだと、弱い拠点からグループ内へ影響が広がる可能性があります。共通基準と第三者評価を使えば、弱い拠点を早く特定し、改善を横展開できます。
2026年8月 熊本地震へ1,300万円と紙容器を支援(Protection)
2026年8月の熊本地震では、グループ合計1,300万円を日本赤十字社へ寄付し、紙コップ・丼容器を支援物資として提供しました。[出典23]
避難所では水や食事を配る容器が必要です。紙コップや丼容器を供給することで、食器を洗う水や設備が限られる状況でも飲食物を配りやすくなります。包装容器メーカーとして事業の強みを災害支援へ使っている点を評価できます。
悪いニュース・問題となった動き
現在の課題は、持株会社単体の制度不足より、グループ経営の「結果」です。労災の頻度が製造業平均を上回り、男女格差の改善も一部で停滞しています。また、過去には飲料缶取引で独占禁止法違反が認定されており、現在の再発防止策を継続して実効性のあるものにする必要があります。
2025年度 グループ労災度数率1.65、製造業平均1.33を上回る(Safety)
2025年度のグループ労災度数率は1.65で、厚生労働省の製造業平均1.33を上回りました。死亡者は0人、強度率は0.03で製造業平均0.07を下回っています。[出典9]
つまり死亡や重篤化は抑えられている一方、休業を伴う事故の発生頻度は製造業全体より高い状態です。包装・鋼板・物流など機械や重量物を扱う仕事が多いため、事故頻度を下げることは働く人の身体を直接守る改善になります。
2026年 単体の男女賃金比が96.7%から88.9%へ低下(Safety)
持株会社単体の男女賃金比は、2025年3月期の96.7%から2026年3月期は88.9%となりました。正規雇用では90.9%です。[出典2]
同一労働への直接的な差を示す数値ではなく、役職、職種、勤続年数などの構成差を含みます。しかし、女性管理職比率9.9%が会社目標14%超に届いていないことと合わせると、高い役職・高賃金職への女性登用をさらに進める余地があります。
2019年 飲料缶取引の独占禁止法違反で公取委が違反を認定(Governance)
公正取引委員会は2019年、飲料用アルミ缶・スチール缶の取引について価格調整等の違反行為を認定しました。2013年3月31日までの期間については、現在の東洋製罐グループホールディングス株式会社が違反事業者として関与していたと公取委資料に明記されています。2013年4月以降は事業を承継した東洋製罐株式会社が対象となり、同社には排除措置命令と課徴金納付命令が出されました。[出典24]
現在は毎年4月20日を「東洋製罐グループ独占禁止法違反風化防止の日」とし、社長メッセージ、教育、遵守状況調査を続けています。過去の違反を現在の状態と混同はしませんが、持株会社自身が関与した重大な競争法違反であるため、再発防止の継続性は今後も確認が必要です。[出典25]
総合評価と、これから改善してほしいこと
東洋製罐グループホールディングス株式会社は78点、シビックランクBです。次のAランクは80点からなので、あと2点必要です。
単体の平均年収757万円、男性育休100%、正規男女賃金比90.9%、RPA累計約5万時間削減、グループ横断の品質・人権・サイバー・BCP管理は強みです。一方、Aランクへ上がるには、制度を増やすより、労働時間、労災、復旧時間という「結果」をさらに具体的に示すことが重要です。
単体の残業・有休結果を公開し、休息を一段引き上げる:労働時間・休息 6→8/10
現在の「労働時間・休息」は6/10点です。年間休日122日、入社時有休20日、フレックス等は強い一方、持株会社単体の平均残業、有休取得率、月45時間超・60時間超人数の最新公式値が不足しています。[出典5・6]
企業が実行してほしいのは、持株会社単体について部署・職位別の平均残業、有休取得率、月45時間超・60時間超人数を毎年公開し、RPAや生成AI導入部署では導入前後の残業削減量も示すことです。
単体平均残業15時間以下、有休取得率80%以上、月60時間超0%を複数年維持できれば6→8点、+2点を想定します。総合78→80点となり、シビックランクAへ上がります。
参考企業はレンゴー株式会社です。Google Drive上の現行審査は84点・Aで、2025年度の月平均残業15.4時間、有休取得率81.4%を公表し、「労働時間・休息」を8/10点と評価しています。[参考企業出典26]
グループ労災度数率を1.0以下へ下げ、単体KPIも公開する:労働安全・健康 6→8/10
現在の「労働安全・健康」は6/10点です。2025年度の死亡0と強度率0.03は評価できますが、度数率1.65は製造業平均1.33を上回ります。持株会社単体の労災件数・度数率も公開されていません。[出典9]
企業が実行してほしいのは、事故類型を挟まれ、巻き込まれ、転倒、切創、車両等に分け、重大事故だけでなく休業災害の原因をグループ横断で共有することです。夜勤ライン自動化や省力化設備の導入前後で、危険作業人数、ヒヤリハット、度数率がどう変わったかも測定します。
死亡・重篤災害0を複数年継続し、グループ度数率1.0以下、持株会社単体の死亡・休業災害・度数率・強度率も公開できれば6→8点、+2点を想定します。これだけでも総合80点となりAランクへ到達できます。
参考企業はキリンビバレッジ株式会社です。Google Drive上の現行審査は74点・Bで、労災死亡0、休業災害度数率0.58を法人単位で開示し、「労働安全・健康」を8/10点と評価しています。[参考企業出典27]
復旧時間・サイバー成果を実測して公開する:サイバー4→5/5、供給継続3→4/5
現在は「サイバー防衛・情報保護」4/5点、「供給継続・復旧能力」3/5点です。約9,000人へのセキュリティ教育、共通基準、外部評価、BCP訓練はありますが、重大障害から何時間で復旧できたかを示すKPIが不足しています。[出典15・17]
企業が実行してほしいのは、主要ERP、受発注、ネットワーク、工場システムについてRTO・RPOを定め、地震、停電、ランサムウェアを想定した切替・復元訓練を年1回以上行うことです。MFA・EDR適用率、バックアップ復元成功率、重大サイバー事故件数、目標時間内復旧率も公開します。
重大サイバー事故0と復元訓練成功率100%を複数年確認できればサイバー4→5点、主要機能を目標時間内に復旧した結果を公開できれば供給継続3→4点で、合計+2点を想定します。総合78→80点となりAランクへ上がります。
参考企業は株式会社キングジムです。Google Drive上の現行審査では、2026年の物流センター火災後、翌日から一部出荷、8日後に全面出荷を再開した実績を確認し、「供給継続・復旧能力」を5/5点と評価しています。実際の障害から何日で戻したかを結果で示している点が参考になります。[参考企業出典28]
次のランクへ上がるための具体例
最短の具体例は、持株会社単体の労働時間結果を改善・公開することです。
・持株会社単体の平均残業を15時間以下、有休取得率80%以上、月60時間超0%にし、部署・職位別に継続公開する。
・「労働時間・休息」を6→8点、+2点とする。
・78点+2点=80点となり、シビックランクBからAへ上がる。
別の経路として、グループ労災度数率を1.0以下へ下げて「労働安全・健康」を6→8点にする、またはサイバー復元実績とBCP実測復旧時間を公開して合計+2点を得ても80点へ到達できます。
つまり、東洋製罐グループホールディングス株式会社がAランクへ上がるためには、新しい制度を増やすより、すでに進めているDX、安全、BCPが「残業が何時間減った」「事故が何件減った」「何時間で復旧できた」という人の生活へ直結する結果を示すことが最も重要です。
出典一覧
1.東洋製罐グループホールディングス株式会社「会社概要・組織図・定款」【情報ランクA】
持株会社の事業内容、本社、資本金等。
2.金融庁EDINET「東洋製罐グループホールディングス株式会社 2026年3月期 有価証券報告書」【情報ランクS】
単体従業員533人、平均年収757万3,087円、平均年齢42.3歳、平均勤続16.9年、女性管理職9.9%、男性育休100%、男女賃金比88.9%、正規90.9%等。
3.東洋製罐グループホールディングス株式会社「グループ採用について」【情報ランクA】
持株会社採用・グループ会社への出向制度等。
4.東洋製罐グループホールディングス株式会社「数字で見る東洋製罐グループ」「事業概要」【情報ランクA】
連結従業員19,067人、研究開発人員871人、特許2,872件、国内78・海外29生産拠点等。
5.東洋製罐グループホールディングス株式会社「募集要項・選考フロー」【情報ランクA】
大学卒初任給25万7,000円、年休122日、入社時有休20日、賞与年2回等。
6.東洋製罐グループホールディングス株式会社「多様な人材の共創・働き方改革」【情報ランクA】
フレックス、テレワーク、育児・介護支援、定年65歳への延長等。
7.東洋製罐グループホールディングス株式会社「人的資本への取り組み」「健康経営」【情報ランクA】
時間外45時間超過者、健康リスク、エンゲージメント、女性活躍指標等。
8.東洋製罐グループホールディングス株式会社「人権の尊重」【情報ランクA】
Sedexによる27社68事業所の確認、外国人労働者の第三者調査等。
9.東洋製罐グループホールディングス株式会社「安全衛生活動」【情報ランクA】
2025年度労災62件、死亡0、度数率1.65、強度率0.03。比較値は厚生労働省労働災害動向調査。
10.東洋製罐グループホールディングス株式会社「DX 取り組み事例紹介」【情報ランクA】
RPA約400業務、累計約5万時間削減、DX人材育成。
11.東洋製罐グループホールディングス株式会社「品質保証体制」【情報ランクA】
グループ品質会議、重大品質リスク対応、品質教育。
12.東洋製罐グループホールディングス株式会社「DX」【情報ランクA】
Group Digital Vision 2030、働きがい・ワークライフバランス向上方針。
13.東洋製罐グループホールディングス株式会社「リスク情報」【情報ランクA】
2026年4月のデジタル戦略機能新設等。
14.東洋製罐グループホールディングス株式会社「中期経営計画2030」【情報ランクA】
人的資本、デジタル効率化、組織風土改革、人材シフト。
15.東洋製罐グループホールディングス株式会社「リスクマネジメント」【情報ランクA】
BCP、災害情報配信、火災・停電想定訓練等。
16.東洋製罐グループホールディングス株式会社「リスク情報」自然災害からの事業継続【情報ランクA】
調達先分散、生産拠点バックアップ、適正在庫等。
17.東洋製罐グループホールディングス株式会社「情報セキュリティ」【情報ランクA】
約9,000人へのeラーニング・標的型攻撃メール訓練、2026年度共通基準、外部リスクアセスメント。
18.転職会議「東洋製罐グループホールディングスの口コミ」2026年確認【情報ランクB】
投稿者集計残業23.2時間、有休58.7%、ワークライフバランスに関する原文投稿。
19.東洋製罐グループホールディングス株式会社「よくあるご質問」採用サイト【情報ランクA】
独身寮・家族社宅、通信教育約450講座、修了者補助等。
20.東洋製罐グループホールディングス株式会社「コンプライアンス」【情報ランクA】
内部通報制度、腐敗防止教育、国内外の教育実施。
21.東洋製罐グループホールディングス株式会社「地域との共生:社会貢献活動」【情報ランクA】
災害支援実績、自治体協定等。
22.東洋製罐グループホールディングス株式会社「令和6年能登半島地震による被害に対する支援」【情報ランクA】
1,800万円、紙コップ・紙製丼容器・簡易トイレ等。
23.東洋製罐グループホールディングス株式会社「令和8年熊本地震による被害に対する支援」2026年8月【情報ランクA】
1,300万円、紙コップ・丼容器等。
24.公正取引委員会「飲料用アルミ缶及びスチール缶の製造販売業者らに対する排除措置命令、課徴金納付命令等について」2019年9月26日【情報ランクS】
2013年3月31日まで東洋製罐グループホールディングスが違反事業者であった旨を記載。
25.東洋製罐グループホールディングス株式会社「2026年3月期 有価証券報告書/コンプライアンス」【情報ランクA】
独占禁止法違反風化防止の日、社長メッセージ、教育・調査等。
26.Google Drive「レンゴー株式会社を企業審査|シビックランクA・84点/100点」現行版【参考企業】
月平均残業15.4時間、有休81.4%、「労働時間・休息」8/10点。
27.Google Drive「キリンビバレッジ株式会社を企業審査|シビックランクB・74点/100点」現行版【参考企業】
労災死亡0、休業災害度数率0.58、「労働安全・健康」8/10点。
28.Google Drive「株式会社キングジムを企業審査|シビックランクC・68点/100点」現行版【参考企業】
物流センター火災の翌日に一部出荷、8日後に全面出荷、「供給継続・復旧能力」5/5点。
シビックランクの基準
| ランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関による調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏付けがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、氏名・役職・立場を確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
