MENU

株式会社春日商会の企業審査|総合55点・シビックランクD|有給約15日・昇給実績と資源循環を評価、労災指標・BCP・サイバー開示が課題

調査日:2026年9月27日
対象法人:株式会社春日商会
法人番号:3180001065419
本店所在地:愛知県一宮市丹陽町九日市場字中田136番地10
代表者:代表取締役 菊地 明

金属スクラップは、私たちが普段あまり意識しないところで生活を支えています。工場から出る端材、解体現場の鉄骨や配線、使われなくなった機械、自治体が回収した資源物。それらが適切に回収され、鉄・銅・アルミなどに選別され、再び原料として使われなければ、新しい資源を採掘する量も、廃棄物として処分する量も増えます。

株式会社春日商会は、その「使い終わった物を資源へ戻す」工程を担う会社です。愛知県一宮市を中心に、富山・滋賀・福井・石川にも拠点を持ち、スクラップの買取、回収、選別、加工、輸出、解体工事、倒産物件整理などを行っています。自治体や官公庁との取引実績もあり、2026年にも防衛省や裁判所、国土交通省関連の金属売却案件を受注していることが政府系法人情報で確認できます。[S1][S2]

一方、人間への貢献を評価する企業審査では、「リサイクル企業だから高評価」とはしません。働く人の賃金、休み、安全、雇用の安定、ハラスメント対策、技術による負担軽減、災害時の事業継続、サイバー対策まで含めて評価します。

今回の結論は、総合55点、シビックランクDです。

資源循環という事業そのものの社会的価値、自治体の資源ごみ関連受注、正規従業員の有給取得約15日、求人で確認できる昇給・賞与実績、安全装置付き車両や分析機器の導入は評価できます。その反面、労働災害件数や度数率、休業災害、ヒヤリハット、BCP訓練、復旧目標、サイバー対策など、事故や有事に直接関わる情報の公開がかなり少ないことが大きな減点要因になりました。[S3][S4][S5]

目次

総合評価

評価軸得点満点
Safety3450
Innovation1625
Protection525
総合55100
シビックランクD

ランク基準は、S=90~100点、A=80~89点、B=70~79点、C=60~69点、D=50~59点、E=40~49点、F=20~39点、G=0~19点です。

会社概要

株式会社春日商会は2008年5月設立の金属リサイクル企業です。GビズINFOでは法人番号3180001065419、本店所在地を愛知県一宮市丹陽町九日市場字中田136番地10、代表者を菊地明氏、設立日を2008年5月1日と確認できます。公式サイトでは、鉄・非鉄金属・特殊銅・ステンレス等の買取、家電製品のリサイクル販売と輸出入、産業廃棄物収集運搬を主な業務としています。[S1][S2]

現在、公式サイトには一宮本社、富山支店、滋賀支店、福井支店、石川支店、木曽川支店、豊橋港ヤードが掲載されています。一宮本社には本社工場と第2工場があり、50トンのトラックスケール、120トンプレス機、油圧ショベル、フォークリフトなどを備えています。豊橋港ヤードではクローラクレーンを使った鉄スクラップの船積み作業も行っています。[S2][S6]

会社規模については情報の更新時点に差があります。2024年3月の名古屋銀行ポジティブインパクトファイナンス評価書では、2024年1月末時点で従業員37人、売上高38億6,100万円、資本金4,000万円とされています。公式会社概要も資本金4,000万円としています。一方、2026年のハローワーク求人票では資本金5,000万円、企業全体の従業員数60人とされており、少なくとも人員規模は2024年から拡大しているとみられます。資本金については資料間に差があるため、本記事では「公式サイト4,000万円、2026年求人票5,000万円」と併記し、どちらか一方を最新確定値とは断定しません。[S3][S4]

何をしている会社なのか

工場や解体現場から出る金属を資源へ戻す

春日商会の中心業務は、工場、建築現場、解体現場などから発生する金属スクラップの回収・買取です。対象は鉄だけではありません。アルミニウム、ステンレス、真鍮、砲金などの非鉄金属、モーターやラジエーターなど複数素材が混ざった雑品、廃プラスチック、パソコンやOA機器、自転車、家電製品なども扱っています。[S7]

この仕事が市民生活に関係する理由は、廃棄物処理の量を減らし、原材料として再利用できる資源を社会へ戻すからです。鉄や銅、アルミなどは製造業や建設業に不可欠ですが、すべてを新規採掘に依存する必要はありません。すでに社会に存在する金属を回収し、異材を分け、再利用可能な状態にすることで、廃棄と新規資源投入の双方を減らす余地が生まれます。

春日商会は愛知、富山、滋賀、福井、石川の各拠点を使い、持ち込みだけでなく現場回収にも対応しています。定期的にスクラップが発生する工場などには、専用コンテナを設置し、定期回収するサービスも提供しています。つまり、単に「買い取り店を構えて待つ」のではなく、企業の廃棄工程に入り込み、回収を日常業務化する仕組みを持っています。[S7]

品質を確認して再資源化しやすくする

金属スクラップは、何でも混ぜてしまえば価値が上がるわけではありません。素材を正確に識別し、異物や異材の混入を防ぎ、用途に応じて分けるほど、次の製造工程で使いやすい原料になります。

一宮本社では米国Niton社製のXL2-100 XRF Analyzerを使い、金属製品の入出荷時に異材混入防止、品質チェック、各種合金判別を行っています。公式説明では、数秒の照射で分析結果が表示されるとしています。さらに50トントラックスケール、プレス機、油圧ショベル、回転グラップル、フォークリフトなどを配置しています。[S6]

2019年には色彩形状金属選別設備とHLPS-8A大型破砕機を導入したことも、名古屋銀行の評価書で確認できます。人が目視と手作業だけで大量の混合スクラップを処理するのではなく、分析器・選別設備・破砕設備・重機を組み合わせることは、品質の安定と処理能力向上の両面で意味があります。[S3]

自治体や官公庁の資源循環も担う

春日商会の事業は民間工場だけではありません。公式サイトには、一宮市、清須市、稲沢市、日進市、春日井市、豊田市などの自治体や、防衛省、国土交通省、法務省関連の不用物品・鉄屑・設備等の売払い、回収、処分実績が掲載されています。[S2]

さらにGビズINFOには、2026年5月13日の東海防衛支局による施設発生物品の売払い26,842,575円、2026年2月26日の富山地方裁判所高岡支部仮庁舎解体工事に伴う発生材売却9,186,155円など、近年の政府調達情報が掲載されています。過去の実績だけではなく、現在も公的部門との取引が続いていることを確認できます。[S1]

名古屋銀行のモニタリング資料では、自治体の資源ごみ収集について年間1億円の受注維持をKPIとし、2024年3月期は2億円超で達成したとされています。この数字は、地域の資源回収インフラの一部を担う会社であることを示す材料です。[S5]

解体と物件整理で「廃棄前の回収」に入る

公式サイトでは解体工事と倒産物件・破産管財物件の整理も事業として掲げています。建物の解体や工場・店舗の整理では、金属製の設備、機械、什器、配線など大量の有価物が発生します。これらを単純に産業廃棄物として処分せず、再利用可能な物を選別して買い取る仕組みを持つことは、廃棄コストの削減と資源回収を同時に行うことにつながります。[S2]

2026年8月の求人では、木曽川支店で「専任技術者・営業」を募集し、解体工事の管理業務兼営業を仕事内容として掲げています。つまり解体事業は過去の名目上の事業ではなく、現在も人員を募集している実働分野と確認できます。[S8]

海外への販売ルートも持つ

名古屋銀行の2024年評価書と公式会社概要では、中国、韓国、マレーシア、タイなどへの輸出販売実績が確認できます。豊橋港ヤードにはスクラップの船積み機能があります。[S2][S3][S6]

海外ルートがあること自体を高得点にはしませんが、国内の一つの買い手だけに依存せず、素材や市況に応じて複数市場へ販売できる構造は、資源の滞留を避けるうえで意味があります。一方、海外輸出には相手国の廃棄物・資源規制、品質管理、トレーサビリティなど別の責任も生じます。今回の調査では、輸出先別の環境・人権デューデリジェンスや最終再資源化先までの追跡指標は確認できなかったため、その部分は評価を上乗せしていません。

人間への貢献

「なくなったら困る」仕事である

もし金属スクラップ回収・選別を行う企業がなければ、製造工場や解体現場、自治体の回収現場には金属系廃棄物が蓄積します。排出側の企業が自力で素材判別、運搬、加工、販売先開拓まで行うのは現実的ではありません。

春日商会は、排出企業から回収し、ヤードで計量・分析・選別・加工し、国内外の販売先へ流す中間機能を担っています。専用コンテナを設置して定期回収するサービスは、排出企業が「スクラップが溜まったら毎回業者を探す」負担を減らします。自治体の不用物品や資源物の売払いを受けることは、税金で購入された資産の残存価値を回収する機能にもなります。[S1][S7]

雇用の受け皿としても拡大している

2024年1月末37人だった従業員数は、2026年のハローワーク求人では企業全体60人とされています。同じ会社の同一事業所番号で、愛知だけでなく富山、福井、石川など複数拠点の求人が確認でき、現場仕分け、営業、大型運転、トレーラー運転、事務、支店管理、解体工事管理など職種も広がっています。[S3][S4][S8]

ただし、従業員増加だけでは働きやすさを意味しません。採用拡大の背景が成長なのか離職補充なのか、定着率がどう推移しているのかは公開情報だけでは判断できません。このため「従業員が増えた」ことは事業拡大の材料として扱い、雇用の質の加点とは分けています。

労働環境とSafety

賃金と従業員への還元

2026年8月12日受付の一宮本社「現場仕分け作業員」求人は、正社員・無期雇用で月額300,400円~368,400円、基本給246,400円~302,400円、仕分け手当53,000円~65,000円、永年勤続手当1,000円とされています。経験者手当は20,000円~30,000円です。固定残業代はありません。[S4]

同求人では、前年度の昇給実績が月5,000円~20,000円、賞与実績が年1回10万円~40万円と明記されています。制度として「昇給あり」と書くだけではなく、前年度実績が金額で出ている点は評価できます。[S4]

一方、営業や支店長兼営業など一部職種では固定残業代を含む求人も確認できます。たとえば2026年の富山の代理支店長兼営業では固定残業代60,000円~74,000円が28.6~28.7時間分として設定されています。固定残業時間を超えた分は追加支給とされていますが、実際の残業時間との関係を継続的に見る必要があります。[S9]

会社全体の平均年収、中央値、男女賃金差、職種別賃上げ率、利益に対する人件費還元率などは確認できませんでした。したがって、求人上の賃金水準と昇給実績は評価する一方、「利益が広く従業員へ十分還元されている」とまでは判定していません。

労働時間と休み

一宮本社の現場仕分け作業員求人では、勤務時間8:30~18:00、休憩90分、月平均時間外労働15時間、年間休日113日、GW・夏季・正月休暇、6か月経過後の年次有給休暇10日とされています。[S4]

ここで特に重要なのが実際の有給取得です。名古屋銀行の年次モニタリングでは「従業員の有給取得日数10日以上を毎期実現する」というKPIに対し、2024年3月期の正規従業員の取得日数は約15日で達成とされています。単なる求人票の「有給制度あり」より、一段強い実績情報です。[S5]

一方、ハローワーク求人には36協定の特別条項として「受注集中、期間6か月・月80時間」とする記載が確認できる求人もあります。これは通常時の実残業が月80時間という意味ではなく、特別事情時の上限設定です。現在の求人では月平均15時間の職種や3時間の職種も確認できますが、繁忙期に長時間労働が発生し得る制度設計であることは無視できません。[S4][S10]

そのため、労働時間は「実績の平均は過大ではなく、有給取得は良好」というプラスと、「特別条項の上限が大きく、全職種の分布や最長残業時間が不明」という不確実性を両方反映しました。

雇用の安定と多様性

複数の2026年求人で、正社員、雇用期間の定めなし、転勤なしと確認できます。現場仕分け作業員では経験不問、学歴不問、資格不問、年齢不問です。入口を狭く限定せず、無期雇用で採用している職種がある点は雇用安定のプラス材料です。[S4]

また名古屋銀行モニタリングでは、従業員全体に占める外国人割合30%以上を毎期実現するKPIに対し、2024年3月期は40%で達成とされています。外国人雇用そのものを点数化するのではなく、多様な人材を実際に雇用していることと、その比率を外部金融機関とのKPIとして追跡している点を評価しました。[S5]

ただし、外国人従業員の賃金差、昇進機会、日本語支援、在留資格支援、相談窓口、管理職比率などは公開されていません。多様性を人数だけで判断することはできないため、満点にはしていません。

福利厚生

一宮本社の現場仕分け作業員求人では、雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金への加入、単身用住宅ありとされています。[S4]

一方、同求人では企業年金なし、退職金制度なし、定年制なし、再雇用制度なし、利用可能託児施設なしとされています。定年制がないことは年齢による一律退職を求めない側面がありますが、退職金や企業年金がない点は長期的な生活保障の面で弱みです。

介護休業や子の看護休暇の取得実績、住宅制度の利用人数、健康診断の上乗せ制度、メンタルヘルス支援など、会社全体の利用実績も十分には確認できませんでした。

人権、ハラスメント、労使関係

2024年のポジティブインパクトファイナンス評価では、SDGs宣言において働きやすい職場環境づくり、ハラスメント禁止、資格取得や継続雇用、多様な人材の活用などに取り組む方針が示されています。[S3]

一方、ハラスメント相談件数、解決件数、内部通報制度の利用実績、労働組合との協議、従業員サーベイなどの具体的な結果は確認できませんでした。2026年求人票では労働組合「なし」とする記載もあります。[S10]

方針があることは評価しますが、第三者が実効性を確認できるデータがないため中位評価に留めました。

労働安全

ここが今回の大きな課題です。

春日商会の現場では、油圧ショベル、フォークリフト、プレス機、大型破砕設備、大型トラック、トレーラーなどを使用します。スクラップは重量物、鋭利物、混合物を含み、運搬・荷下ろし・選別・破砕の各工程に挟まれ、切創、墜落、車両接触などのリスクがあります。[S6]

プラス材料として、2026年求人では大型運転手に「安全装置付きの最新モデル車」を用意すると明記されています。牽引運転手求人では積み降ろし作業がないとされており、運転職の一部では荷役負担を分離していることも確認できます。[S11]

しかし、会社単体の労働災害件数、休業災害件数、度数率、強度率、死亡災害、ヒヤリハット件数、安全教育時間、安全パトロール実績、フォークリフトや重機の事故件数などは確認できませんでした。重大事故や行政処分について公的資料・報道・検索結果を調べましたが、今回の検索範囲では対象法人に結びつく重大な労災・死亡事故・行政処分を確認していません。ただし「見つからなかった」ことは事故ゼロの証明ではありません。

設備と車両の対策は評価できますが、危険度の高い業種で安全KPIが公開されていないため、Safetyの労働安全項目は10点満点中4点に抑えました。

商品・サービスの安全

スクラップ取引では、素材の誤判定や異材混入は、再資源化先の品質や設備トラブルにつながります。一宮本社でXRF金属分析器を用い、入出荷時の異材混入防止、品質チェック、合金判別を行っている点は具体的な品質管理です。[S6]

公式会社概要にはISO 9001とISO 14001の認証番号が掲載されています。ただし今回の調査では、認証機関の最新データベースまで含めた有効期限の独立照合や、顧客クレーム率、誤出荷率、品質事故件数などの定量データまでは確認していません。[S2][S3]

Innovation

重機・分析器・選別設備で人力依存を減らす

Innovationで最も評価したのは、スクラップ処理を人の目と力だけに依存させず、分析器、プレス機、破砕機、選別設備、重機、大型車両を組み合わせている点です。

一宮本社には油圧ショベル、回転グラップル、フォークリフトなどがあり、重量物を機械で扱う構成です。2019年には色彩形状金属選別設備と大型破砕機を導入しています。運転手求人で安全装置付きの新型車を使用し、牽引運転では積み降ろし作業をなくしていることも、負担・危険の低減につながる設計です。[S3][S6][S11]

ただし、導入前後で必要作業人数が何人減ったのか、腰痛や挟まれ事故が何件減ったのか、選別時間が何%短縮したのか、といったBefore/Afterの効果測定は公開されていません。そのため10点満点中6点です。

サービス改善と拠点拡張

専用コンテナの定期回収、金属分析器による迅速な検収、複数ヤードでの受け入れ、豊橋港からの船積みという組み合わせは、顧客側の廃棄・資源処理負担を下げるサービス改善です。[S6][S7]

2024年時点で計画されていた木曽川ヤードは、その後、現在の公式サイトで木曽川支店として掲載され、2026年には同支店の仕分け、営業、大型運転、解体管理などの求人も確認できます。計画だけで終わらず、拠点として稼働段階へ進んだことが確認できます。[S2][S5][S8]

生産性向上を人へ戻しているか

ここは慎重に評価しました。

前年度の昇給実績5,000~20,000円、正規従業員の有給取得約15日という結果は、働く人への還元としてプラスです。[S4][S5]

しかし、機械化・拠点拡張・売上増によって生まれた利益や時間が、何%賃上げ、何時間労働短縮、何人増員などに還元されたのかという因果関係は開示されていません。名古屋銀行モニタリングでは2024年3月期売上41億円、2025年3月期は50億円弱を想定としていますが、この成長分と賃金・労働時間の結びつきを示す会社単体KPIはありません。[S5]

したがって、還元の実績は一部認めるものの、Innovationの「生産性向上の人間への還元」は5点中2点に留めました。

Protection

Protectionは総合5点で、今回もっとも弱い評価軸です。

災害への備え

会社単体のBCP、地震・水害時の災害対応マニュアル、従業員安否確認訓練、避難訓練、備蓄、非常電源、燃料確保、拠点間応援訓練などの具体的な公開情報を今回の調査では確認できませんでした。

複数地域にヤードがあるため、単一拠点しかない企業より物理的な分散性はあります。しかし「拠点が複数ある」ことと、「災害時に代替稼働できるよう手順・在庫・人員・システムを準備している」ことは別です。災害訓練の実績が確認できないため、災害準備・訓練は0点としました。

物流・販売ルートの分散

一宮、木曽川、富山、滋賀、福井、石川、豊橋港という複数拠点に加え、国内外に販売ルートを持つことは、事業構造として一定の分散になっています。[S2][S3]

一つの地域で回収・出荷が止まった場合に別拠点へ振り替えられる可能性はあります。ただし代替ヤードの処理能力、緊急時の振替手順、代替輸送業者、非常時の契約などは公開されていません。このため5点中3点です。

サイバー・情報保護

名古屋銀行の評価書では、SDGs宣言の取り組みとして情報管理ルールの周知徹底が示されています。最低限の方針があることは確認できます。[S3]

しかし、MFA、多要素認証、バックアップ、ランサムウェア対策、脆弱性診断、標的型メール訓練、インシデント対応訓練、個人情報漏えい件数などの具体的施策・実績は確認できませんでした。金属相場、顧客情報、車両・物流、輸出入、入札などを扱う事業である以上、情報保護は軽視できません。方針の公開を最低限評価し、5点中1点です。

事業継続と復旧

複数拠点による分散はあるものの、RTO、RPO、復旧目標時間、代替システム、緊急連絡網、復旧訓練の実績は公開されていません。構造的な分散性のみをわずかに評価し、5点中1点です。

市民への危機対応

自治体資源回収や学校への寄贈など地域貢献は確認できます。2025年11月には名古屋銀行のSDGs・寄贈型私募債「未来への絆」を通じ、一宮市立丹陽中学校へデジタルカメラ1台を寄贈しています。[S12]

ただしこれは平時の地域貢献であり、災害・事故など危機時の市民支援とは別です。災害時の緊急回収、自治体との災害廃棄物協定、重機派遣、避難所支援などの具体的な枠組みは今回確認できなかったため、危機時の市民対応は0点です。

主なニュース・最近の動き

時期内容審査上の意味
2024年3月名古屋銀行とポジティブインパクトファイナンス契約。5年間のモニタリング開始有給、外国人雇用、自治体受注、売上などを外部金融機関が継続確認
2024年木曽川ヤードの新設を計画。モニタリング時点では外壁工事中拠点拡張と処理・回収能力増強
2025年11月一宮市立丹陽中学校へデジタルカメラを寄贈地域社会への還元
2026年2月富山地方裁判所高岡支部仮庁舎解体工事に伴う発生材売却を受注官公庁案件の継続
2026年5月東海防衛支局の施設発生物品売払いを26,842,575円で受注公的部門との現在の取引実績
2026年8月一宮、木曽川、富山、福井、石川などで複数職種を求人事業・人員拡大の継続
2026年9月19日公式サイトで非鉄金属買取価格を更新市況変動に合わせた日常的な価格情報更新

現在の公式サイトは2026年9月19日まで買取価格を更新しており、企業サイトが放置されている状態ではありません。[S13]

重大事故・行政処分・不祥事の確認

「株式会社春日商会」「一宮」「丹陽町」「労災」「死亡事故」「書類送検」「行政処分」「火災」「爆発」「情報漏えい」「サイバー」などを組み合わせて、公的情報、報道、一般検索を確認しました。

今回の検索範囲では、対象法人に直接結びつく重大な死亡労災、大規模火災、重大行政処分、大規模情報漏えいを確認できませんでした。

ただし、この結果を「事故や問題が一度もない」とは扱いません。非上場企業では、軽微な事故、社内処理されたトラブル、公開対象外の労災などが検索で出ない場合があります。したがって無事故として加点せず、公開された安全実績が不足していることをSafetyの減点要因としています。

従業員口コミ

企業審査では、公式情報だけでなく、転職会議、Indeed、OpenWork、エンゲージ会社の評判なども別工程で検索しました。

Indeedには「株式会社 春日商会」の企業ページと1件の口コミがあります。しかし、その口コミは「大阪府羽曳野市飛鳥での製造業務」とされており、対象法人の公式拠点である一宮・富山・滋賀・福井・石川・木曽川・豊橋港と一致しません。同名企業の情報が統合されている可能性を排除できないため、Indeedの星4.0、口コミ本文、質問回答は対象法人の労働実態として採点に使用していません。

転職会議、OpenWork、エンゲージ会社の評判については、今回の検索範囲では一宮市丹陽町の対象法人と確実に一致する有用な従業員口コミ本文を確認できませんでした。

口コミが少ないこと自体を「良い会社」「悪い会社」とは評価しません。重要なのは、従業員側から検証できる情報量が少ないという点です。今回の労働評価は、ハローワーク求人、名古屋銀行によるモニタリング、公的法人情報を主軸にしています。

SNS・匿名掲示板調査

媒体今回の検索結果扱い
X対象法人と確実に結びつく有用な労働・事故投稿を確認できず点数根拠に不使用
Facebook対象法人と確実に結びつく有用な投稿を確認できず点数根拠に不使用
YouTube対象法人の労働実態を検証できる有用な投稿を確認できず点数根拠に不使用
TikTok検索側の閲覧制限があり十分確認できず「投稿なし」とは判定しない
5ちゃんねる対象法人と確実に結びつく有用な書き込みを確認できず点数根拠に不使用
爆サイ対象法人と確実に結びつく有用な書き込みを確認できず点数根拠に不使用

SNSや匿名掲示板は、存在したとしてもそれだけで事実認定しません。具体的な主張が見つかった場合に、行政資料、報道、公式発表、複数の独立した証言などで照合する補助線として使います。今回は対象法人を特定できる有力な投稿がなかったため、SNS由来の加点・減点は行っていません。

15項目の採点

Safety 34/50

項目得点根拠対象範囲情報ランク
賃金・従業員還元8/10現場職月30.04万~36.84万円。前年度昇給月5,000~20,000円、賞与10万~40万円実績。全社平均年収や利益還元率は非公開主に2026年求人職種S
労働時間・休息8/10月平均残業15時間、年休113日。正規従業員の有給取得約15日実績。36協定特別条項は受注集中時に月80時間まで正規従業員・求人職種S
雇用安定・公平性4/5正社員・無期・転勤なしの求人多数。外国人割合40%。賃金格差や定着率は不明複数拠点S
福利厚生・ケア3/5社会保険、単身住宅等を確認。一方、退職金・企業年金・託児施設なしの求人あり求人対象職種S
人権・ハラスメント・労使3/5SDGs宣言でハラスメント禁止等の方針。相談件数・解決実績・従業員調査は非公開全社方針A・S
労働安全・衛生4/10安全装置付き車両、荷役を外した牽引職あり。重機・破砕機を使用する一方、労災件数、度数率、休業災害、安全訓練実績が非公開現場・運転職S・A
商品・サービス安全4/5XRF分析、異材混入防止、品質チェック、ISO掲載。品質事故・クレーム率の定量開示なしスクラップ受入・出荷A・S

Safetyは、賃金・休暇の実績開示が比較的強い一方、最も事故リスクの高い現場安全の結果指標が弱い構成です。

Innovation 16/25

項目得点根拠対象範囲情報ランク
負担・危険の削減6/10XRF分析器、選別設備、大型破砕機、重機、安全装置付き車両、牽引職の荷役なし。導入前後の負担・事故削減量は非開示現場・物流A・S
商品・サービス改善4/5定期回収コンテナ、迅速分析、複数ヤード、港湾出荷など顧客負担を減らす仕組み顧客サービスA
生産性向上の人間への還元2/5昇給実績と有給取得は確認。ただし機械化・増収との因果や還元率は不明従業員S
継続的R&D・現場改善4/52019年選別・破砕設備、木曽川拠点増設、現在も設備・車両更新。R&D投資額や改善件数は非開示全社A・S

Innovationでは、技術導入そのものより「人間にどう返ったか」を厳しく見ています。そのため設備が多いだけで満点にはしていません。

Protection 5/25

項目得点根拠対象範囲情報ランク
災害準備・訓練0/5会社単体の災害マニュアル、避難・安否確認・事業継続訓練の実績を確認できず全社非公開
生産・物流・調達の代替経路3/5愛知・北陸・滋賀の複数拠点と豊橋港、複数の国内外販売ルート。正式な代替運用計画は不明事業ネットワークA・S
サイバー・情報保護1/5情報管理ルール周知の方針は確認。MFA、バックアップ、訓練、事故件数などは非公開全社A・S
継続・復旧1/5拠点分散性はあるが、RTO、RPO、復旧訓練、代替システムの開示なし全社A
危機時の市民対応0/5平時の自治体資源回収や学校寄贈は確認。災害廃棄物協定や緊急重機派遣等を確認できず地域社会S

Protectionは「普段うまく回る会社か」ではなく、「災害・サイバー攻撃・拠点停止が起きても人や社会を守れるか」を見る軸です。春日商会は拠点分散という構造上の強みはありますが、訓練と復旧の証拠が足りません。

点数を上げた要素

  1. 2024年3月期の正規従業員の有給取得が約15日と第三者モニタリングで確認できること。
  2. 2026年求人で昇給月5,000~20,000円、賞与10万~40万円の前年度実績が確認できること。
  3. 自治体資源ごみ関連受注が2024年3月期に2億円超あり、地域の資源循環に実際に関与していること。
  4. XRF分析器、色彩形状選別設備、大型破砕機、重機、安全装置付き車両など、品質・作業効率・安全に関わる設備が具体的に確認できること。
  5. 外国人従業員比率40%という実績を外部金融機関とのKPIとして追跡していること。
  6. 2026年も防衛省や裁判所など公的機関の金属売却案件を受注し、事業実態を政府情報で確認できること。

点数を上げられなかった要素

  1. 労働災害件数、休業災害、度数率、強度率、ヒヤリハットなどの安全KPIが確認できないこと。
  2. 36協定特別条項で受注集中時に月80時間までの時間外労働を設定する求人があり、繁忙時の実態を確認できないこと。
  3. 退職金・企業年金がない求人があり、長期生活保障の制度が厚いとはいえないこと。
  4. BCP、災害訓練、安否確認訓練、非常用電源、代替拠点運用などProtectionの実証情報がほぼないこと。
  5. サイバー対策が「情報管理ルール」のレベルにとどまり、技術対策や訓練の公開がないこと。
  6. 対象法人と確実に一致する従業員口コミが乏しく、現場からの独立した検証材料が少ないこと。
  7. 売上や設備投資の成長が、どの程度賃金・労働時間短縮・増員へ還元されたかを示す指標がないこと。

最終評価

株式会社春日商会は、社会に必要な「資源を捨てずに循環させる」機能を現場で担っている会社です。自治体や官公庁の案件、民間工場や解体現場のスクラップ、倒産物件の什器や設備などを回収し、分析・選別・加工して再利用ルートへ流す役割は、人間生活と産業の双方を下支えしています。

労働面でも、2024年3月期の正規従業員の有給取得約15日、2026年求人の昇給・賞与実績、正社員・無期雇用の求人、外国人従業員40%など、評価できる具体的数字があります。設備面でもXRF分析器、大型破砕機、選別設備、重機、安全装置付き車両など、現場作業を支える投資が確認できます。[S4][S5][S6]

それでも総合55点・Dに留まる最大の理由は、Protectionと労働安全の「結果」が見えないことです。

スクラップ業は大型重機・車両・重量物を扱うため、安全管理は企業審査の中心項目です。事故が検索で見つからなかったことより、労災件数や安全教育実績を継続的に公開することの方が重要です。同様に、複数拠点を持っていても、災害時の代替運用、安否確認、復旧目標、サイバー防御といった計画と訓練が公開されていなければ、高いProtection点は付けられません。

今後、労災KPI、長時間労働の分布、BCP訓練、サイバー対策、復旧目標を公開し、その実績を名古屋銀行のPIFのように外部が継続確認できる形にすれば、評価は大きく変わる余地があります。

現時点のシビックランクはD、総合55点とします。

主な出典

[S1] GビズINFO「株式会社春日商会」:法人番号、本店所在地、代表者、設立、政府調達実績。
[S2] 株式会社春日商会 公式「会社概要」:事業内容、拠点、資本金、許認可、官公庁実績。
[S3] 名古屋銀行「株式会社春日商会 ポジティブインパクトファイナンス評価書」2024年3月25日:従業員、売上、設備、SDGs方針、KPI。
[S4] ハローワーク求人「現場仕分け作業員」2026年8月12日受付、および同求人の公開転記:賃金、残業、休日、昇給、賞与、保険。
[S5] 名古屋銀行「ポジティブインパクトファイナンス モニタリング」:2024年3月期売上、自治体受注、有給取得、外国人割合、木曽川拠点進捗。
[S6] 株式会社春日商会 公式「一宮本社・工場紹介」:XRF分析器、プレス、重機、車両、豊橋港ヤード。
[S7] 株式会社春日商会 公式「スクラップ買取事業」:取扱品目、回収地域、定期回収コンテナ。
[S8] ハローワーク「専任技術者・営業(木曽川)」2026年8月12日受付:解体工事管理の現在求人。
[S9] 2026年ハローワーク由来求人「代理支店長兼営業(富山)」:固定残業代、昇給、賞与。
[S10] ハローワーク求人票:36協定特別条項、従業員数、労働組合等。
[S11] ハローワーク「運転手(牽引)」「運転手・大型(木曽川)」:積み降ろしなし、安全装置付き最新モデル車。
[S12] 一宮市立丹陽中学校「寄贈品の贈呈式」2025年11月25日。
[S13] 株式会社春日商会 公式トップページ:2026年9月19日までの買取価格更新。

情報ランクの基準

情報ランク基準本記事での例
S公的機関、行政、第三者機関、第三者による継続モニタリングなど、企業自身だけでは変更できない外部情報GビズINFO、ハローワーク、名古屋銀行モニタリング、一宮市立学校
A企業公式サイト、企業公式資料など会社自身が公開した情報春日商会公式サイト、設備・事業説明
B氏名・立場が確認できる関係者発言、取材、業界関係者の記名情報今回は主要な採点根拠として使用せず
C在職者・退職者の勤務口コミIndeed等を検索したが対象法人との照合ができず、採点に使用せず
D一般利用者のSNS・口コミ補助情報として扱う
E匿名掲示板5ちゃんねる、爆サイ等。今回は有用な対象法人投稿を確認できず

情報ランクは「Sなら会社が優良、Aなら劣る」という企業評価ではありません。情報そのものの検証可能性を表す基準です。公式情報は会社の制度や設備を知るうえで重要ですが、自社申告である以上、外部資料で裏付けられる場合はそちらを優先します。逆に匿名投稿は問題発見のきっかけにはなっても、それだけで不祥事や労働問題を事実認定しません。

また「非公開」と「問題が確認された」は区別しています。BCPや労災指標が見つからなかった項目は「問題がある」と断定したのではなく、十分調査しても評価に必要な公開情報を確認できなかったため、仕様書のルールに従って低得点または0点としています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次