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Danone Waters of America, Inc.(現Danone Waters of America, LLC)の企業審査|総合35点・シビックランクF|B Corp 85.2と水質検査を評価、労働時間・BCP・サイバー実績の非公表が重い

海外から届く一本の水は、店頭に並ぶまでに想像以上に長い経路を通ります。フランスで採水・ボトリングされたevianを米国で買えるのは、船で大西洋を渡し、北米の港で受け入れ、トラックと地域の販売網へつなぐ仕事があるからです。この機能が止まれば、水そのものが消えるわけではありませんが、北米の消費者は同じ商品を安定して買えなくなり、小売店やホテル、飲食店も代替商品の手配を迫られます。

その北米側の輸入・流通を担うのがDanone Waters of Americaです。evian公式FAQは、同社がフランスから海上輸送でevianを運び、北米の複数の港へ到着したコンテナをトラック輸送へつなぎ、その後に各地域のディストリビューターが小売店へ届ける流れを説明しています。つまりこの会社の主な役割は、フランスで水を採ることでもボトルを製造することでもなく、「完成した水を北米市場へ安全に持ち込み、販売網へつなぐこと」です。

ただし、会社名には注意が必要です。ユーザー指定のDanone Waters of America, Inc.は歴史的な法人名で、Danoneの2025年公式子会社一覧では現行法人はDanone Waters of America, LLCと記載されています。一方、evianの米国公式FAQやB Labの認証ページには現在もInc.表記が残っています。本記事では、この法人継承・表記差を明示したうえで、現在のLLCを中心に、旧Inc.時代から継続している事業・認証は継続性が確認できる範囲だけ評価します。

評価日:2026年9月27日
適用基準:企業審査100点制・第1版

目次

結論:総合35点・シビックランクF

Danone Waters of Americaは、北米でevianなどの輸入・流通を担う会社として、商品の安全確認と社会・環境面の第三者評価には具体的な強みがあります。

B Labの現行プロフィールでは、Danone Waters of America, Inc.はB Corp認証企業として総合85.2点を取得しています。内訳はGovernance 17.5、Workers 30.8、Community 14.8、Environment 17.3、Customers 4.5です。WorkersではFinancial Security 11.6、Health, Wellness & Safety 7.3、Career Development 3.9、Engagement & Satisfaction 5.3と、従業員に関する第三者評価も確認できます。2019年の総合81.7点から85.2点へ上昇している点も、改善の継続性を見る材料になります。

また、evianの2025年水質報告では、第三者機関NSFによる試験と工場監査が示され、米国FDAのボトル水基準に沿った検査で大腸菌群・E. coliを含む多数の項目が確認されています。商品安全の面では、企業の自己申告だけでなく第三者の検査資料まで追えることは評価できます。evian公式サイトも、製品サイクル全体で300を超える品質検査を行うと説明しています。

一方、企業審査で重視する「働く人への実際の還元」は、法人単体で確認できる情報が少ない状態です。現在の平均賃金、賃上げ率、賞与実績、平均残業時間、有給休暇取得率、離職率、内部昇進率、労働災害件数、メンタルヘルス休職、育児・介護制度の利用率などは、今回の公開情報調査で十分な定量実績を確認できませんでした。

さらに、物流会社として重要なBCP、代替港への切替基準、在庫日数、重大IT障害時の復旧時間、サイバー攻撃への検知・復旧実績についても、Danone Waters of America単体の具体的な公開情報は不足しています。

そのため本審査では、B Corp認証や親会社Danoneの制度を理由に推測で高得点を与えず、Danone Waters of America自身について確認できた範囲だけを採点しました。

総合点:35/100点
シビックランク:F

内訳

  • Safety:21/50点
  • Innovation:8/25点
  • Protection:6/25点

このFランクは、重大な労働問題や重大事故が多数確認されたという意味ではありません。最大の要因は、法人単体の重要な実績KPIが非公表であることです。一方で、B Corp認証、水質検査、100%rPET化など、確認できた具体的な強みもあります。

Danone Waters of Americaとは

Danone Waters of Americaは、Danoneグループの北米水事業に関わる法人で、evianを中心とする輸入・販売・流通を担っています。

法人の基本情報

項目内容
ユーザー指定名Danone Waters of America, Inc.
現行のDanone公式子会社一覧上の法人名Danone Waters of America, LLC
所在国米国
親会社Danone S.A.
Danone持分100%
主な役割北米での水ブランドの輸入・流通・販売支援・消費者対応
主なブランドevian。B LabプロフィールではVolvic、Badoitも記載
B Corp認証2019年6月から認証、現行スコア85.2
本社地域B Lab上はNew York, United States
従業員数対象法人単体の最新人数を今回の公開情報では確認できず

Danoneの2025年子会社一覧では「DANONE WATERS OF AMERICA, LLC」が米国の100%子会社として掲載されています。一方でB LabのプロフィールやevianのFAQには「Inc.」表記が残っています。名称だけを見て別事業と判断するのではなく、情報の公表時点と法人形態を区別する必要があります。B Labは同社をBeverages、Wholesale/Retailの企業として掲載し、evian、Volvic、Badoitを流通すると説明しています。

2019年には旧Inc.法人がPublic Benefit Corporationとして紹介された資料がありますが、現在のLLCが同一の法的形態を引き継いでいると確認できる資料は今回見つけられませんでした。そのため、旧Inc.のPBC法的地位を現LLCへ自動的には適用しません。

情報ランク:A|Danone公式の2025年子会社一覧で現行LLCと100%保有を確認。
情報ランク:S|B Labの第三者認証ページでB Corp認証と評価スコアを確認。

主な業務内容と北米での役割

この会社を理解するうえで重要なのは、「水をつくる会社」と「水を北米へ届ける会社」を分けることです。evianの水はフランスのCachat Springを源泉とし、採水地の近くでボトリングされます。Danone Waters of Americaは、その完成品を北米へ運び、市場へつなぐ側です。

輸入・国際輸送

evian公式FAQが示す北米向けの流れは、次のように整理できます。

1.フランスでevianを採水し、採水地近くでボトリングする。
2.完成した商品をコンテナへ積み、海上輸送で北米へ運ぶ。
3.北米の複数の港でコンテナを受け入れる。
4.港からトラックで各地域へ移動させる。
5.地域のディストリビューターが小売店などへトラック配送する。

この流れの中でDanone Waters of Americaが担うのは、フランスから北米への輸送と北米側の流通接続です。海上輸送から港、陸上輸送、ディストリビューターまで複数の主体をつなぐため、物流調整が止まると商品が店舗へ届きにくくなります。

ただし、供給源そのものは一つです。evianは世界向けに同じフランスの水源から供給されるため、北米に複数港があっても、水源やボトリング拠点に重大な障害が起きた場合は完全な代替にはなりません。

情報ランク:A|evian米国公式FAQ。

販売・ディストリビューター管理

Danone Waters of Americaの役割は、港まで商品を運ぶだけではありません。B Labは同社をWholesale/Retailセクターに分類し、evian、Volvic、Badoitの流通会社として説明しています。

過去にはFerrarelleの米国独占販売を担う契約も公表され、販売、流通、マーチャンダイジングまで担当すると説明されていました。現在の全ブランド構成をこの過去契約から推定することはできませんが、同社が北米市場で「輸入後の販売実行」まで担ってきたことを示す具体例です。

現在のevian公式FAQでは、購入先の例としてAmazonなどのECや、Sam’s Club、BJ’sなどの大量購入チャネルが案内されています。ただし、これらをすべてDanone Waters of Americaの直接取引先だと確認できる資料は今回見つかっていません。実際の小売・卸売契約は、確認できた範囲だけを区別して扱う必要があります。

消費者対応・ウェブ運営

evian米国サイトはDanone Waters of Americaにより運営され、商品、品質、問い合わせ、スポンサーシップなどの窓口を提供しています。

水という日常的に口へ入れる商品では、異常を感じた購入者が問い合わせできる仕組み自体がSafety上の重要な機能です。

一方で、年間の苦情件数、品質苦情の解決時間、返品件数、健康被害申告件数、苦情から改善へつながった事例などの結果KPIは今回確認できませんでした。窓口の存在と、窓口がどの程度機能しているかは分けて評価します。

主な利用・販売チャネルの例

利用・販売場面確認できた関係注意点
北米の小売店地域ディストリビューターが店舗へ配送個別小売企業との直接契約は一律に確認できず
AmazonなどECevian公式で購入経路として案内AmazonがDWAの直接顧客とは断定しない
Sam’s Club・BJ’s公式情報で大量購入先例として案内具体的契約条件は非公表
ホテル・飲食等水ブランドの業務用流通実績がある現在の個別顧客名は確認範囲を限定
スポーツ・イベントevianはUS Open等で長期ブランド展開DWAとの契約主体・役割は案件ごとに区別

Danone Waters of Americaがなくなっても、米国の飲料水供給全体が止まるわけではありません。しかし、evianという特定商品を北米で安定的に買える状態を維持するには、同社が担う輸入・流通機能を別の主体へ置き換える必要があります。

事業による人間への貢献

水は生活に不可欠ですが、evianというブランドだけが不可欠なわけではありません。企業審査では「水を売っているから高評価」とせず、どの部分で利用者の安全、便利さ、選択肢、環境負荷の改善へ具体的に貢献しているかを見ます。

Danone Waters of Americaの主な人間への貢献は、海外の天然水を北米市場で安定して選べる状態にすること、品質情報を公開すること、容器の再生材比率を引き上げる市場実装を進めることにあります。

水質の第三者確認

2025年のevian Annual Water Quality Reportでは、採水地からボトル製品まで多数の検査を行っていることが説明されています。NSFによる第三者試験では、米国FDAの21 CFR Part 165.110に基づきサンプルが検査され、大腸菌群やE. coliを含む検査項目について合格結果が示されています。evian公式の水質ページでも、製品サイクル全体で300を超える品質検査を行うと説明しています。

ここで法人の役割は分ける必要があります。採水・ボトリングを直接担うのはフランス側の事業体であり、Danone Waters of Americaが工場で水を製造しているわけではありません。しかし北米で販売する法人として、第三者試験結果を公開し、消費者が確認できる状態にしていることは、サービス安全上の評価材料です。

情報ランク:S|NSF試験を含む2025年水質報告。
情報ランク:A|evian公式水質ページ。

100%rPETへの北米移行

evian米国公式サイトによると、2024年5月時点で、米国向けに新たに製造されるevianのPETボトルは、キャップとラベルを除き100%再生PETになりました。

これは新品の化石由来PETだけに依存する量を減らす具体的な改善です。消費者から見れば、中身の水だけでなく、購入時に選ぶ容器の資源負荷を下げる方向の変化です。

ただし、100%rPET化によってプラスチック問題が解決したわけではありません。公式サイト自身も、リサイクル可能な容器が必ず実際に回収・再生されるわけではないこと、地域によって回収能力に差があることを説明しています。したがって本審査では「100%rPETだから環境問題が解消した」とは評価しません。

また、樹脂技術やボトル製造の研究開発をDanone Waters of America自身が行ったと断定できる資料は限定的です。Innovationでは、北米市場での実装・販売への関与を評価し、上流メーカーやフランスのボトリング法人の技術成果をそのまま同社へ加点しません。

情報ランク:A|evian米国公式Packaging & Recycling。

労働環境

商品が安全でも、それを届ける会社の従業員が長時間労働や不安定な処遇を受けていれば、人間への貢献は十分とは言えません。Danone Waters of AmericaはB Corp認証により第三者から労働面も評価されていますが、企業審査で必要な実績数値には大きな空白があります。

B CorpのWorkers評価

B Labの現行評価は、Danone Waters of AmericaのWorkersを30.8点としています。内訳は次の通りです。

Workers項目B Labスコア
Financial Security11.6
Health, Wellness & Safety7.3
Career Development3.9
Engagement & Satisfaction5.3
Workers合計30.8

B Corp認証は会社の自己宣言だけではなく、B Labによる評価プロセスを通るため、労働面のプラス材料として扱えます。

ただし、この30.8点を本サイトのSafety 50点へ機械的に換算しません。B Labと本企業審査では評価項目と採点ルールが異なるためです。特に本審査では、平均残業、有休、賃上げ、離職などの具体的な結果公開を重く見ます。

情報ランク:S|B Lab認証評価。

賃金・利益還元

B LabのFinancial Security 11.6は、賃金・経済的安定に一定の制度・実績があることを示す第三者評価です。

過去の米国就労ビザ関連データでは、Danone Waters of America名義の一部専門職の給与例も確認できます。しかし件数が少なく、対象職種も限定され、現在の一般社員の給与を代表する統計ではありません。そのため現在の平均年収や中央値として扱いません。

今回確認できなかった重要情報は次の通りです。

  • 現在の一般社員の給与中央値
  • 2024~2026年の平均賃上げ率
  • 定期昇給とベースアップに相当する内訳
  • 賞与の平均・中央値
  • 物流・営業・事務など職種別の賃金
  • 非管理職と管理職の格差
  • 会社利益・生産性向上分を従業員へ還元した割合

第三者評価があるため完全な情報なしとは扱いませんが、本サイトの採点で高得点に必要な「誰へ、いくら、どの程度戻ったか」が不足しています。

労働時間・休息

Danone Waters of America単体の平均残業時間、有給取得率、長時間労働者比率、休日出勤、繁忙期の時間外労働、勤務間休息などの最新KPIは今回確認できませんでした。

過去の同社名義求人では、Danone North Americaの制度として柔軟な休暇制度や長期の育児休業が紹介された例があります。しかし、現在のDanone Waters of America, LLCの全従業員に同じ条件が適用され、実際に何日取得されているかまでは確認できません。

制度が存在する可能性を、利用実績の確認なしに加点することは避けます。

福利厚生・健康

B LabではHealth, Wellness & Safetyが7.3点で、従業員の健康・ウェルビーイング面に一定の評価があります。

一方、本企業審査で欲しいのは制度名だけでなく実利用です。医療保険の会社負担率、メンタルヘルス支援利用率、育児・介護休業取得率、復職率、休職者数など、対象法人単体の具体的な数値は今回確認できませんでした。

そのため、第三者認証を評価しつつも満点には届かない採点としています。

雇用安定・公平性

B LabのCommunity評価にはDiversity, Equity & Inclusion 4.4、Supply Chain Management 4.9が含まれています。またWorkersにはEngagement & Satisfaction 5.3があり、公平性や職場参加に関する一定の第三者評価があります。

一方、次の数値は対象法人単体で確認できませんでした。

  • 正社員・契約社員など雇用区分別人数
  • 年間離職率
  • 自己都合・会社都合離職の内訳
  • 内部昇進率
  • 男女や人種別の給与格差
  • 管理職構成
  • 買収・組織再編に伴う人員削減の推移

情報がないことを「不公平な会社」と断定することはできませんが、説明責任の観点では高評価にしにくい状態です。

人権・ハラスメント・労使関係

B LabのGovernanceは17.5点で、Ethics & Transparencyは4.7、Mission Lockedは10です。CommunityのDEIも4.4あります。

これは倫理・透明性・ステークホルダー配慮に関する制度が一定水準にあることを示します。一方、Danone Waters of America単体で、ハラスメント相談件数、内部通報件数、是正件数、報復防止の実績、労使協議件数などの結果は確認できませんでした。

親会社Danoneの人権方針や通報制度を、そのまま対象法人の実績とみなすことも避けています。

労働安全衛生

輸入・販売主体であるDanone Waters of Americaは、フランスの採水・ボトリング工場そのものを運営する法人ではありません。そのため工場製造企業と同じ種類の機械巻き込まれ・高温・重量物リスクを想定して評価するのは不適切です。

それでも、物流調整、営業、オフィス、出張、倉庫・配送との接点など、働く人の健康・安全管理は必要です。

B LabのHealth, Wellness & Safety 7.3はプラス材料ですが、対象法人単体の労災件数、休業災害、疾病、メンタルヘルス休職、安全訓練参加率などは確認できません。

検索では2002年の旧称に近い「Danone Waters Of North America」に関するOSHAデータも見つかりましたが、20年以上前で、現在のDanone Waters of America, LLCとの法人・事業継続関係を十分に特定できないため、今回の現在評価には直接反映していません。

従業員・元従業員の口コミ

対象法人をDanone North America全体やDanone USと混同しないため、Danone Waters of Americaの完全一致・近似名称で個別に検索しました。

Indeed、Glassdoor、OpenWork、転職会議、エンゲージ会社の評判を検索しましたが、今回の取得範囲では、現在のDanone Waters of America, LLCの従業員と明確に確認できる十分なレビュー本文を取得できませんでした。

MyVisaJobsのDanone Waters of Americaページでは、2026年時点で従業員・求職者レビューは0件と表示されています。同サイトには過去のビザ・給与データがありますが、少数の専門職申請に基づくため、会社全体の働き方評価には使っていません。

このため、口コミが少ないこと自体を減点材料にはしていません。減点は会社が本来開示可能な労働実績KPIの不足に対して行っています。

情報ランク:C|確認できた勤務口コミがあればこの区分とするが、今回は対象法人を確実に特定できるレビュー本文が不足。
情報ランクなし|口コミが見つからないこと自体には情報ランクを付けない。

Safety評価:21/50点

Safetyでは、従業員の生活・健康・安全と、消費者が口にする水の安全を分けて評価します。Danone Waters of Americaでは、B CorpとNSF水質検査という第三者確認がある一方、従業員の定量実績が不足しています。

賃金・利益還元:4/10点

B LabのFinancial Security 11.6を、第三者評価としてプラス材料にしました。

ただし、現在の賃金中央値、賃上げ率、賞与実績、利益還元額を確認できないため、良好な実績を具体的な金額で公表している水準には達していません。

4/10点とします。

労働時間・休息:0/10点

対象法人単体の平均残業時間、有給取得率、休日出勤、長時間労働者比率などを十分な調査後も確認できませんでした。

親会社・地域グループの制度を対象法人の実利用として換算しないため0/10点です。これは長時間労働が確認されたという意味ではなく、重要情報の非公表による0点です。

雇用安定・公平性:3/5点

B LabのDEI、Engagement & Satisfactionなど、第三者評価は確認できます。

一方、離職率、内部昇進率、雇用区分、給与格差などの会社単体実績が不足しています。3/5点です。

福利厚生・育児・介護:3/5点

B LabのHealth, Wellness & Safety評価などから、福利厚生・健康面の基盤は確認できます。

ただし、現在の対象法人への適用範囲と利用率を確認できないため3/5点です。

人権・ハラスメント・労使関係:3/5点

B LabのGovernance、Ethics & Transparency、DEIを評価します。

一方、相談・通報・是正の件数や労使関係の結果KPIがないため3/5点です。

労働安全衛生:4/10点

B LabのHealth, Wellness & Safety 7.3という第三者評価を具体的な加点根拠とします。

ただし、現在の労災・健康・メンタルヘルスの結果数値が不足するため4/10点です。

製品・サービス安全:4/5点

2025年水質報告で、NSFの試験、FDA基準への適合確認、大腸菌群・E. coliを含む検査結果、継続的な品質確認が公開されています。

Danone Waters of Americaが採水工場そのものを運営しているわけではありませんが、北米販売者として第三者検査結果を公開し、問い合わせ窓口を整備している点を評価します。

一方、対象法人単体での年間品質苦情件数、返品・回収件数、苦情解決期間などが十分公開されていないため4/5点です。

Safety小計:21/50点

Innovation評価:8/25点

Innovationでは、新しい技術があるかではなく、人間の負担や危険、商品利用時の不便を具体的に減らしたかを見ます。Danone Waters of Americaは北米での100%rPET実装や国際物流の運用に関わっていますが、労働時間削減などの結果数値はほぼ確認できません。

作業負担・危険削減:2/10点

北米の複数港、トラック、ディストリビューターをつなぐ既存の流通網により、個々の小売店がフランスから直接輸入手続きを行う必要を減らしています。

ただし、システム導入によってDWA従業員の手作業が何時間減ったか、重量物作業や事故がどの程度減ったかといった具体的効果は確認できません。

2/10点です。

商品・サービス改善:3/5点

2024年5月以降、米国向け新規PETボトルをキャップ・ラベルを除き100%rPETとしたことは、北米市場で確認できる具体的な商品改善です。

また、水質報告を公開し、消費者が品質データへアクセスできる仕組みもサービス改善と評価します。

ただし、ボトル技術そのものはフランスの製造側やグループ・技術パートナーの成果を含むため、DWA単体のInnovationとして満点にはしません。3/5点です。

改善成果の人間への還元:0/5点

物流効率化、包装改善、販売拡大によって生まれた利益や時間を、従業員の賃金、労働時間短縮、人員負担軽減へどの程度戻したかという実績は確認できませんでした。

0/5点です。

研究開発・現場改善の継続:3/5点

B Corp総合スコアは2019年81.7から現行85.2へ上がっています。また北米市場ではrPET比率の引き上げが実際の製品へ反映されています。

継続改善の証拠はある一方、DWA単体のR&D費、改善提案件数、社員の学び直し、配置転換、改善成果の定量KPIは不足しています。3/5点です。

Innovation小計:8/25点

Protection評価:6/25点

輸入飲料会社にとってProtectionは、「災害や港湾停止、サイバー攻撃が起きても商品と顧客対応を止めない能力」です。Danone Waters of Americaは複数港と販売網を使う一方、単一水源への依存やBCP・サイバー実績の非公表が大きな課題です。

災害への備え・訓練:0/5点

Danone Waters of America単体のBCP、避難・復旧訓練、非常電源、在庫備蓄日数、訓練参加率などを確認できませんでした。

Danoneグループ全体の危機管理方針を対象法人の実績として自動適用しないため0/5点です。これは備えがないと断定するものではなく、重要情報の非公表による0点です。

生産・物流・調達の代替:3/5点

evian公式FAQでは、海上輸送後に北米の複数の港へ到着すると説明されています。特定の港だけに依存しない物流構造は、港湾障害時の代替可能性を持つ点で評価できます。

一方、evian自体はフランスのCachat Springという単一水源から供給されます。別水源へ切り替えれば同じevianではなくなるため、原料・製造側の代替性は低い構造です。

複数港という強みと単一水源という弱みを合わせて3/5点とします。

サイバー防衛・情報保護:0/5点

ウェブサイトにはプライバシー関連の説明がありますが、対象法人単体のEDR、SOC、MFA、ゼロトラスト、CSIRT、バックアップ、演習頻度、検知時間、復旧時間などは確認できませんでした。

一般的なプライバシーポリシーだけではサイバー防衛の実績とは扱えないため0/5点です。

供給継続・復旧能力:2/5点

複数港と複数の地域ディストリビューターを使う構造は、輸送経路の分散として一定の強みがあります。

しかし、実際に港湾停止や災害が起きた際に何日で別港へ切り替えたか、何日分の在庫を確保しているか、重要システムのRTO・RPOがどれくらいかといった復旧実績は確認できません。

2/5点です。

危機時の市民対応:1/5点

evian公式FAQにはスポンサーシップや寄付の提案窓口があり、B LabのCivic Engagement & Givingは3.0です。

ただし、Danone Waters of Americaが災害時に具体的に何本の水を供給したか、何地域・何人を支援したかという継続的な実績は今回確認できませんでした。

1/5点です。

Protection小計:6/25点

主なニュース・最近の動き

最近の動きでは、200周年というブランド面の節目、100%rPET化、水質検査の継続、そして環境表示をめぐる訴訟の終結が重要です。良いニュースだけでなく、消費者が表示をどう受け取るかという課題も確認します。

2026年:evianが200周年

evianは2026年にブランド200周年を迎え、「200 Years Young」を掲げています。長期ブランドとしての認知は北米販売にもプラスですが、歴史の長さ自体は企業審査の高得点理由にはしません。

評価上重要なのは、このブランド力を品質、安全、働く人への還元、環境負荷低減へどうつなげるかです。

情報ランク:A|evian公式ブランドストーリー。

2026年時点:米国向けPETボトルの100%rPET化を継続

evianの米国公式ページでは、2024年5月時点で米国向けに新たに製造されるPETボトルは、キャップ・ラベルを除き100%再生PETとされています。

これはInnovation上の具体的な改善として評価しました。一方で、回収率や海洋流出などの問題は再生材化だけで消えないため、環境表示では限界も併記する必要があります。

情報ランク:A|evian公式Packaging & Recycling。

2026年3月公開:2025年水質報告で第三者検査を確認

evianは2025年分のAnnual Water Quality Reportを公開し、NSFによる検査結果を示しています。

食品・飲料企業では、「安全に取り組んでいる」という説明だけでなく、第三者試験の項目と結果まで公開されることが重要です。本審査では製品・サービス安全4/5点の主要根拠としました。

情報ランク:S|NSF試験を含む水質報告。

2025年4月:「carbon neutral」表示訴訟は請求棄却で終了

Dorris v. Danone Waters of Americaでは、evianの「carbon neutral」表示をめぐる消費者訴訟が争われました。

2024年11月に裁判所が残る請求を棄却し、原告に再修正の機会を与えましたが、原告は期限までにSecond Amended Complaintを提出しませんでした。2025年4月14日、裁判所は請求をwith prejudice、つまり同じ請求を再提起できない形で棄却し、事件を終了させました。

これはDanone Waters of Americaの違法行為が認定された事件ではありません。むしろ最終的には請求が棄却されています。ただし、環境表示が消費者にどう理解されるかが訴訟に発展した事実は、マーケティングの透明性を考える材料です。

情報ランク:S|米国連邦裁判所の2025年4月14日命令。

2025年8月:環境表示訴訟は和解後に取り下げ

Plastic Pollution Coalition v. Danone Waters of America, LLCでは、evianの「natural」「sustainable」などの表示をめぐり、D.C.の消費者保護法違反が主張されました。

2025年3月には裁判所がDanoneの却下申立てを退けて訴訟継続を認めました。その後、2025年8月に当事者が和解契約へ到達し、8月29日にwith prejudiceで訴訟を取り下げました。

和解したことは、Danoneが違法行為を認めたことを意味しません。公開された訴訟経過だけから責任を断定しないことが必要です。一方、再生材化やリサイクル可能性を語る際に、実際の回収率やプラスチック汚染まで含めて説明する必要性を示す事例です。

情報ランク:S|D.C. Superior Court提出資料、Climate Litigation Database。

事故・回収・行政処分・法務の確認

重大問題系として、死亡事故、重大労災、行政処分、大規模回収、火災、爆発、サイバー攻撃、情報漏えい、人員削減、訴訟を追加検索しました。

今回の調査範囲では、現在のDanone Waters of America, LLC固有の死亡事故、大規模な食品回収、事業を長期間停止させたサイバー攻撃を確定情報として確認できませんでした。

ただし「検索で確認できなかった」ことは、「過去に一件も存在しない」ことを意味しません。特に親会社Danone North Americaや別のDanone法人の事件を、対象法人の事件として混同しないよう除外しています。

マイクロプラスチックをめぐる訴訟

Daly v. Danone Waters of America, LLCでは、原告がevianを「natural」と表示することについて、ボトル由来のマイクロプラスチックを理由に消費者法違反を主張しました。

2024年11月5日、米国イリノイ北部地区連邦地裁はDanoneの却下申立てを認め、請求をwithout prejudiceで棄却し、原告に再修正の機会を与えました。

今回の調査では、その後の最終的な確定処理を裁判所資料で十分追い切れなかったため、2024年11月5日の確認済み命令までを記載します。

また、この裁判所の判断は「evianにマイクロプラスチックが絶対に存在しない」「健康リスクが科学的にゼロである」と認定したものではありません。訴訟上の表示・連邦規制との関係について判断したものです。商品安全の評価は、別途NSFの水質試験など確認できる検査資料を基礎にしています。

情報ランク:S|米国連邦裁判所命令。

SNS・匿名掲示板の確認結果

公式資料と口コミサイトとは別工程で、X、Facebook、YouTube、TikTok、Reddit、5ちゃんねる、爆サイについて、Danone Waters of America、旧Inc.表記、現LLC表記、evianと「employee」「work」「pay」「hours」「accident」「recall」等を組み合わせて検索しました。

媒体検索状況今回の確認結果
X検索エンジン経由で検索対象法人との関係を確実に確認できる従業員告発等は取得できず
Facebook検索実施ブランド・公式系情報が中心で、採点に使える労働情報は確認できず
YouTube検索実施商品・ブランド関連が中心で、法人単体の労働実態を裏づける情報は確認できず
TikTok検索を試行閲覧制約があり、十分な本文確認ができず
Reddit検索実施対象法人の従業員と確認できる高確度の投稿は確認できず
5ちゃんねる社名指定検索有用な対象法人投稿を確認できず
爆サイ社名指定検索有用な対象法人投稿を確認できず

SNS上ではDanoneやevian全体に対する環境面の批判・意見は存在しますが、一般利用者の投稿は情報ランクDであり、単独では違法行為や労働実態の認定根拠にしていません。

また、TikTokのように検索・閲覧制約がある媒体について「投稿が存在しない」とは判断していません。調査できた範囲と取得制約を分けています。

採点結果

大項目評価項目点数主な根拠
Safety賃金・利益還元4/10B Lab Financial Security 11.6。ただし賃上げ・中央値非公表
Safety労働時間・休息0/10法人単体の残業・有休実績を確認できず
Safety雇用安定・公平性3/5B Lab DEI・Engagementを評価。離職率等は非公表
Safety福利厚生・育児・介護3/5B Lab健康評価等。現法人での利用実績不足
Safety人権・ハラスメント・労使関係3/5Governance・Ethics・DEIを評価。相談結果KPI不足
Safety労働安全衛生4/10B Lab Health, Wellness & Safety 7.3。労災等の結果KPI不足
Safety製品・サービス安全4/5NSF水質試験・品質報告を評価
Safety小計21/50
Innovation作業負担・危険削減2/10国際流通網はあるが人間側の削減効果非公表
Innovation商品・サービス改善3/5米国向け100%rPET、水質情報公開
Innovation改善成果の人間への還元0/5賃金・労働時間への還元実績を確認できず
Innovation研究開発・現場改善の継続3/5B Corp改善、rPET実装。法人単体R&D KPI不足
Innovation小計8/25
Protection災害への備え・訓練0/5DWA単体のBCP・訓練実績を確認できず
Protection生産・物流・調達の代替3/5北米複数港は強み、単一水源依存は弱み
Protectionサイバー防衛・情報保護0/5技術対策・復旧実績の具体開示なし
Protection供給継続・復旧能力2/5複数港・販売網はあるが切替実績・RTO等不足
Protection危機時の市民対応1/5寄付窓口・B Lab Civic Giving、災害実績量は不明
Protection小計6/25
総合35/100シビックランクF

総合評価

Danone Waters of Americaを人間への貢献で見ると、「商品と第三者認証は比較的よく見えるが、法人単体の働き方と危機対応の実績が見えにくい会社」です。

プラス面は具体的です。

第一に、北米へevianを輸入・流通させる役割が明確です。フランスから海上輸送し、北米の複数港、トラック、地域ディストリビューターへつなぐことで、消費者が海外ブランドの水を継続的に買える状態を作っています。

第二に、商品安全では第三者検査まで確認できます。2025年の水質報告ではNSF試験があり、食品としての水質について企業の宣伝だけに依存しない確認材料があります。

第三に、B Corp認証では総合85.2点、Workers 30.8点を取得しています。従業員のFinancial Security、Health, Wellness & Safety、Engagementなどが第三者評価の対象となっていることは明確な長所です。

第四に、米国向けPETボトルをキャップ・ラベルを除き100%rPETへ移行したことは、販売される商品そのものに反映された改善です。

一方で、今回35点・Fまで下がった最大の理由は、法人単体の情報公開です。

本サイトでは「制度があります」「認証を取得しています」だけでは高得点にせず、実際に働く人に何が起きたかを重視します。しかしDanone Waters of Americaについては、現在の賃上げ率、給与中央値、平均残業、有休取得率、離職率、育休取得率、労災、メンタルヘルス、ハラスメント是正などの数値がほとんど確認できません。

Protectionも同様です。複数港を使う流通構造は確認できますが、港が止まったときに何日で別港へ切り替えたか、何日分の在庫を持つのか、サイバー攻撃を何分で検知し何時間で復旧できるのか、BCP訓練を何人が受けているのかは見えません。

そのため、このFランクを「劣悪企業が確認された」と読むのは適切ではありません。今回のFは、確認できた問題に加え、特に重要情報の非公表が多数の採点項目を押し下げた結果です。

今後、評価を大きく改善できる公開情報は次のようなものです。

  • Danone Waters of America単体の従業員数と雇用区分
  • 一般社員の給与中央値と毎年の賃上げ率
  • 平均残業時間、長時間労働者比率、有休取得率
  • 育児・介護休業の取得率と復職率
  • 離職率、内部昇進率、管理職構成
  • 労災、疾病、メンタルヘルス休職の件数と改善
  • ハラスメント・内部通報の件数と是正結果
  • 港湾停止を想定した代替港・代替物流の切替実績
  • BCP訓練参加率、在庫カバー日数、復旧時間
  • サイバー防衛、バックアップ、演習、実際の復旧KPI
  • 災害時の水提供本数や支援人数
  • 品質苦情件数、解決時間、回収・返品実績

これらが公開されれば、現在B Corpで示されている「良い仕組み」が、実際の従業員・消費者の結果につながっているかをより正確に評価できます。

evian商品審査との関係

Danone Waters of Americaはevianに関わる重要企業ですが、日本で販売されるevianの商品審査へ、その企業点をそのまま加えるべきではありません。

同社の主な役割は北米輸入・流通です。日本市場では株式会社伊藤園が国内の販売を担い、輸入・流通では伊藤園・伊藤忠ミネラルウォーターズ株式会社など別の法人関係を確認する必要があります。

したがって本記事は、evianという世界ブランドの北米流通法人を理解する基礎資料として利用します。日本向けevianの関連企業スコアへ反映するのは、Danone Waters of Americaが日本向けSKUの輸入・製造・物流・販売へ具体的に関与していることを確認できた場合に限ります。

主な出典

  • Danone「List of subsidiaries 2025」
  • B Lab「Danone Waters of America, Inc. – Certified B Corporation」
  • evian US「FAQS」
  • evian US「Water Reports」
  • evian「2025 Annual Water Quality Report」
  • evian US「Packaging & Recycling」
  • evian「The Evian Story」
  • U.S. District Court, Southern District of New York「Dorris v. Danone Waters of America」2025年4月14日命令
  • Climate Litigation Database「Plastic Pollution Coalition v. Danone Waters of America, LLC」
  • U.S. District Court, Northern District of Illinois「Daly v. Danone Waters of America, LLC」2024年11月5日命令
  • MyVisaJobs「Danone Waters Of America Employer Overview」
  • evian米国公式問い合わせ・消費者対応情報
  • Danone North America公開資料・採用関連資料

情報ランクの基準

情報ランク基準
S公的機関の資料で直接確認できる情報、または独立した第三者による検証・監査・認証等の裏づけがある情報。裏づけの対象範囲に限る
A企業自身の公式発表・報告書・採用情報など。独立した裏づけまでは確認していない企業側の説明・自己申告
B役職や立場が確認できる関係者への取材・発言、記者による直接取材等に基づく情報
C一般社員・元社員・パート・アルバイトなどの勤務経験に基づく口コミ
DXなどの一般的なSNS投稿で、発信者の立場や内容の裏づけが十分でない情報
E匿名掲示板など、発信者の身元や関与をさらに確認しにくい情報

情報ランクは情報の出どころと裏づけを示すもので、企業の良し悪しを評価する総合シビックランクとは異なります。媒体だけでなく原発信者と根拠で判定するため、企業公式SNSの発表はAなどとして扱います。低い情報ランクは虚偽を意味せず、高い情報ランクも記述全体の正しさを保証するものではありません。

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