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Danone Waters (UK & Ireland) Ltd.の企業審査|総合13点・シビックランクG|2020年B Corp 95.7の旧水事業法人、2022年から任意清算中

英国やアイルランドでevianやVolvicを買うとき、店頭に水が並んでいることだけを見れば、その裏で「誰が輸入・販売・消費者対応を担う法人なのか」を意識する機会はほとんどありません。しかし販売法人が変われば、商品の問い合わせ先、個人情報の管理主体、働く人の雇用先、事故時の説明責任、災害やシステム障害が起きたときの供給責任も変わります。

Danone Waters (UK & Ireland) Ltd.は、かつて英国・アイルランドでevian、Volvic、Badoitなどの水ブランドを扱った法人です。英国清涼飲料業界団体は同社をボトル入りミネラルウォーターとフレーバーウォーターの輸入事業者として紹介し、evian、Volvic、Volvic Touch of Fruit、Badoitをポートフォリオとして挙げています。

2020年にはB Corp認証で95.7点を取得しました。同年にはDanone側の英国水事業としてHarrogate Water Brandsへの出資にも関わり、小売だけでなく外食・Out of Home分野まで英国の水事業を広げようとしていました。

ところが、この会社を2026年の「現役の水販売会社」として扱うのは正確ではありません。英国Companies Houseによる現在の会社状態はLiquidationで、2022年9月22日からMembers’ Voluntary Liquidation、つまり株主主導の任意清算に入っています。Companies Houseは同日にDeclaration of Solvencyが行われたことも記録しています。これは、支払不能となった会社を債権者主導で整理する手続きと同じ意味ではありません。

しかも清算は2022年だけの一時的な記録ではありません。2023年、2024年、2025年にも清算人の収支報告が提出され、2025年11月24日にも2025年9月21日までの清算人報告がCompanies Houseへ提出されています。2026年現在も法人は清算状態です。

さらに、現在のevian英国サイトではNutricia Limitedがサイト運営者であり、英国居住者の個人情報についてもNutricia Limitedがデータ管理主体と明記されています。一方、Volvicの現在のWebページにはDanone Waters (UK & Ireland) Limitedの社名と会社番号01522581、旧Chiswick Park住所などが残っています。ブランドによって表示される法人が異なる状態です。

したがって本審査では、2020年前後までの操業実績と、2022年以降の清算法人としての現在を分離して評価します。B Corp 95.7という過去の実績は評価しますが、それを2026年現在の賃金、雇用、安全、BCP、サイバー防御へ自動的に引き継ぎません。

その結果、Safety 6点、Innovation 7点、Protection 0点、総合13点、シビックランクGとしました。

このGは「過去に劣悪な会社だった」という意味ではありません。現在は清算中であり、現役事業会社として評価するための最新の労働・安全・危機対応実績がほとんど成立しないことが点数へ強く反映されています。

目次

結論|総合13点・シビックランクG

評価軸点数主な理由
Safety6 / 502020年のB Corp・従業員施策は評価できるが、現在の賃金、労働時間、雇用、安全KPIは確認できない
Innovation7 / 25Harrogate Waterへの出資やWeActForWaterなど操業時代の改善を評価
Protection0 / 25清算中の対象法人について、現在のBCP、供給代替、サイバー防御、復旧実績を確認できない
総合13 / 100シビックランクG

評価で最も注意すべきなのは、B Corp 95.7とシビックランクGが矛盾しているわけではないことです。

B Corp 95.7は2020年に操業していた当時の社会・環境評価です。Danone自身の資料でも、Danone Waters UK & Irelandが2020年に95.7点でB Corp認証されたことが確認できます。

一方、今回の企業審査は2026年時点の同一法人について、現在の賃金、休息、安全、技術改善、危機対応などを100点制で確認しています。

現在の法人は任意清算中であり、Companies Houseで最後に通常決算として掲載されているのは2020年12月期です。過去の好実績を「今も同じ」と推定せず、現在確認できる範囲だけで採点しました。

会社概要

Danone Waters (UK & Ireland) Ltd.は40年以上の法人歴を持ちますが、現在と操業時代では役割が大きく異なります。

項目内容
法人名DANONE WATERS (UK & IRELAND) LIMITED
会社番号01522581
設立1980年10月15日
現在の状態Liquidation
清算開始2022年9月22日
清算方式Members’ Voluntary Liquidation
現在の登記住所Care of Restructuring and Recovery Services (RRS) S&W Partners LLP, 45 Gresham Street, London
SIC46170:食品・飲料・たばこ販売の代理業
支配株主Danone Holdings (UK)
最終通常決算2020年12月31日
2020年従業員規模第三者企業データベースでは103人
2020年売上高第三者企業データベースでは約1億4,900万ポンド

Companies HouseではDanone Holdings (UK)が75%以上の株式と議決権を保有し、取締役の任免権を持つ支配者として登録されています。

同社は過去に、

  • Evian (Agencies) Limited
  • Premier Waters Ltd.
  • Evian Volvic (UK & Ireland) Limited

という社名を使用していました。英国市場でevian・Volvic事業に長く関与してきた法人であることが社名履歴からも分かります。

第三者企業データベースGlobalDatabaseでは、2020年12月期について従業員103人、売上高約1億4,900万ポンド、税引後利益約160万ポンドなどが掲載されています。ただし、これは2020年の操業規模を知る補助資料であり、2026年現在の社員数や売上ではありません。

何をしていた会社なのか

現在は清算中ですが、操業時代の役割を理解しなければ、この法人がなぜ存在したのかも、現在のDanone英国水事業と何が違うのかも分かりません。

Danone Waters UK & Irelandは、フランスの水源で水を採る会社ではなく、英国・アイルランド市場側でDanoneの水ブランドを扱う法人でした。

1.ミネラルウォーターを英国・アイルランド市場へつなぐ

British Soft Drinks Associationは、同社をボトル入りミネラルウォーターとフレーバーウォーターの「importer」と説明しています。

取り扱いブランドとして、

  • evian
  • Volvic
  • Volvic Touch of Fruit
  • Badoit

が紹介されています。

つまり役割の中心は、フランスの水源で採水してボトルを製造することではなく、Danoneの水商品を英国・アイルランド市場へ持ち込み、小売・外食などの販売先や消費者につなぐことでした。

この区別は企業審査では重要です。

たとえばevianのボトル軽量化や採水地の水質管理が優れていたとしても、その仕事を実際に担うフランス側の製造法人の実績を、英国販売法人の技術力としてそのまま加点することはできません。

2.evian・Volvicなど複数ブランドを販売する

Danone Waters UK & Irelandは複数の水ブランドを持つ英国側の販売窓口でした。

水を英国へ運んで終わりではありません。英国市場で商品を販売するためには、販売先との商談、商品構成、マーケティング、ブランド施策、消費者問い合わせなどが発生します。

一方、どの物流会社がどの倉庫を利用し、各小売チェーンへどのルートで配送していたのかまで、対象法人単体の詳細な物流網を公開資料から十分確認することはできませんでした。

そのため、業界一般の物流作業を同社自身の業務として創作してはいません。

3.Harrogate Waterを英国水事業へ加える

2020年、Danoneは英国子会社を通じてHarrogate Water Brandsの過半数持分を取得する契約を発表しました。

当時Danone Waters UK & IrelandのManaging DirectorだったJames Pearson氏は、Harrogate Waterを加えることで英国での商品構成を広げ、スパークリングウォーターや外出時の需要へ対応する狙いを説明しています。

特に興味深いのは、両社の役割の違いです。

Harrogate WaterはfoodserviceやOut of Homeに強みを持ち、Danone Waters側はevian・Volvicを通じて小売チャネルに強みを持つと説明されました。両者を組み合わせることで販売経路を広げる構想でした。

これは単に会社を買収したというだけではなく、異なる販売チャネルの強みを組み合わせた具体的なサービス改善としてInnovationへ反映しています。

ただし、2022年以降はDanone Waters UK & Ireland自体が清算中です。現在のHarrogate Spring Water事業を、この法人の2026年の実績として加点してはいません。

4.消費者との接点を持つ

現在のWeb表示を見ると、法人移行の複雑さがよく分かります。

Volvicの現在の英国向けImprintには、Danone Waters (UK & Ireland) Limitedという社名、会社番号01522581、旧Chiswick Park住所が掲載されています。国際版のContactページでもDanone Waters (UK & Ireland) Ltd.がHead Officeとして表示されています。

しかしevian側は異なります。

現在の英国evianサイトではNutricia Limitedがサイト運営者です。Privacy Statementでも英国居住者の個人情報についてNutricia Limitedがデータ管理主体と明記されています。

したがって、「Danone Waters UK & Irelandが現在もevianとVolvicの英国事業をすべて一元運営している」と断定することはできません。

Volvic側に旧法人表示が残っていることについても、不正や違法表示とは断定しません。サイト更新時期、消費者窓口として残っている可能性、ブランドごとの役割分担など複数の可能性があります。

確認できる事実は、「Companies Houseでは清算中なのに、Volvicの現行Webページには同法人の旧情報が残っている」というところまでです。

事業による人間への貢献

水販売会社を「水分補給できるから人間に貢献している」とだけ評価すると、ほとんどすべての飲料会社が同じ評価になってしまいます。

この会社固有の貢献を見るには、商品アクセス、従業員施策、社会・環境基準、販売方法の改善を分けて確認する必要があります。

市販水へのアクセスを広げた

Danone Waters UK & Irelandは、evianやVolvicなどを英国・アイルランド市場へつなぎました。

フランスなどで製造された商品を英国のスーパー、飲食店、外出先で購入できるようにする流通・販売機能は、消費者にとって選択肢を広げる役割があります。

ただし、これは公共水道とは違います。

ボトル水は有料商品であり、PETなどの包装、輸送、店頭価格という負担も伴います。「水を供給する会社だから社会に不可欠」と過大評価せず、市販飲料の選択肢を広げた範囲で評価します。

B Corp 95.7を取得

同社を特徴づける最も明確な第三者評価の一つが、2020年のB Corp認証です。

Danone自身の資料でもDanone Waters UK & Irelandの2020年B Impact Scoreは95.7とされています。

B Corp関連報道では、対象法人とDanone Essential Dairy & Plant-based UKがworkers領域で高く評価されたことが紹介されています。

具体的には、

  • Danoneスタッフへの株式提供
  • 従業員に無制限のボランティア時間を認める制度
  • COVID-19期にリモートでもボランティアできる仕組み

などが報じられています。

これは単に「社員を大切にします」と理念を掲げるより具体的です。

一方で、95.7点は2020年の評価です。2022年に清算へ入った同一法人について「2026年現在も95.7点相当の職場だ」とは扱えません。

WeActForWaterなどの改善活動

B Corp取得時には、同社の認証へ寄与した取り組みとしてWeActForWaterが紹介されています。

内容には、

  • 責任ある包装
  • 気候中立への取り組み
  • 地域社会への支援
  • 健康的な水分補給

などが含まれていました。

水ブランドを単に大量販売するだけでなく、包装や環境負荷を事業課題として扱った点は評価できます。

ただし、PETボトルの具体的な製造技術や採水設備そのものを英国販売法人が開発・運転していたわけではありません。

製造側の技術革新を、この法人のR&D実績として二重に加点することは避けています。

代表業務の審査|英国・アイルランドでの水ブランド販売

代表業務は、evian・Volvicなどの水ブランドを英国・アイルランド市場で販売・展開する仕事です。

操業時代には、海外の製造拠点から来る商品を英国市場へつなぎ、小売、外食、Out of Homeへ商品を広げる役割を持っていました。

Harrogate Waterへの出資では、Danone Waters側の小売チャネルと、Harrogate側のfoodservice・Out of Homeの強みを組み合わせる方針が具体的に示されています。

利用者側の利益は、購入場所と商品の選択肢が増えることです。

一方でボトル水には包装材や輸送負荷があります。同社はB CorpやWeActForWaterによって環境課題へ対応していましたが、その成果とフランス側製造工場の成果は区別する必要があります。

そして現在は清算中です。

現在のevian英国Webサイト運営がNutricia Limitedへ移っていることからも、この代表業務は「現在の中核業務」ではなく「操業時代の中核業務」として評価しました。

労働環境・賃金・福利厚生

働く側から見ると、この会社の評価は特殊です。

2020年前後にはB Corpや具体的な従業員施策があります。しかし2022年には清算へ入り、現在の通常雇用企業としての情報がほぼ更新されていません。

そのため、過去の制度を現在の待遇へそのまま移さずに評価します。

従業員規模

GlobalDatabaseでは2020年12月期の従業員数を103人としています。同じ資料では売上高約1億4,900万ポンドとされています。

これは清算前の会社規模を理解するための補助情報です。

2026年現在の実働社員数ではありません。

Companies Houseでは2022年から清算中であり、現在の通常営業企業としての社員数を確認する資料は見つかりませんでした。

賃金・昇給・賞与

対象法人単体について、

  • 職種別給与
  • 平均給与
  • 毎年の昇給率
  • 賞与水準
  • Living Wageとの比較

を継続的に追える公開資料は確認できませんでした。

2020年のB Corp関連資料では、Danoneがスタッフへ株式を提供していたことは確認できます。これは従業員への経済的還元の一形態です。

ただし、株式付与は基本給や賃上げ率そのものではありません。

さらに現在は清算中なので、過去の株式制度を「現在も同社社員が利用している」と扱うこともできません。

賃金・利益還元は0/10点とします。

労働時間・休息

対象法人単体の、

  • 平均残業時間
  • 週労働時間
  • 年間休日
  • 有給休暇取得率
  • 長時間労働者比率

などを確認できる資料は見つかりませんでした。

販売・マーケティング中心の会社だったからといって、残業が少ないと推定することはできません。

現在の実態を検証できないため0/10点です。

雇用の安定・待遇の公平性

2022年9月22日から会社はMembers’ Voluntary Liquidationに入っています。

ここで注意したいのは、

「任意清算=支払い不能で倒産した」

と書くのは不正確だということです。

Companies HouseはDeclaration of Solvencyも記録しています。

一方、働く人の立場から見れば、通常事業を行っていた法人が清算へ進むことは、同一法人で長期雇用を続けるという意味では大きな変化です。

しかし、2020年に約103人だったとされる従業員について、

  • 何人がDanone内の別法人へ移籍したか
  • 何人が退職したか
  • 給与や勤続年数が引き継がれたか
  • 希望退職や解雇があったか

を確認できる十分な資料は見つかりませんでした。

清算そのものを「劣悪雇用」と評価するのではなく、現在の雇用実態と移行結果が確認できないため0/5点としました。

福利厚生・社員への支援

2020年については具体的なプラス材料があります。

B Corp取得時の報道では、

  • Danoneスタッフへの株式提供
  • Danone Waters UK & IrelandとEDP UKIの従業員への無制限のボランティア時間
  • COVID-19期にリモートボランティアを可能にする仕組み

が紹介されています。

働く人が地域活動へ参加する時間を企業側が認める点は、人間への還元として評価できます。

ただし、

  • 育児休業
  • 介護休業
  • 医療保険
  • 年金
  • 柔軟勤務
  • 制度利用率

について、対象法人単体で現在まで確認できる十分なデータはありません。

過去の具体的実績に限定して2/5点としました。

人権・ハラスメント・労使関係

B Corp認証ではworkers領域が高く評価されたことが報じられています。

これは外部評価を受けたという意味ではプラス材料です。

しかし、

  • ハラスメント相談件数
  • 内部通報件数
  • 通報後の救済実績
  • 労働組合との協議
  • 差別是正
  • 人権問題への対応実績

など、対象法人単体の具体的な運用結果は確認できませんでした。

B Corpが高得点だったことだけから「ハラスメント問題が存在しなかった」と推定することもできません。

1/5点としました。

労働安全・健康

対象法人へ明確に帰属する死亡事故、重大労災、大規模な労働安全行政処分は今回の公開検索では確認できませんでした。

ただし、「重大事故が検索で見つからない」と「安全成績を具体的に公開している」はまったく別です。

対象法人単体の、

  • 労災件数
  • 休業災害
  • 職業性疾病
  • 安全教育実施率
  • 車両事故
  • メンタルヘルス指標

などは確認できませんでした。

Safetyの重要情報が現在確認できないため0/10点としています。

従業員・元従業員の口コミ

社員口コミは公式資料とは別工程で調査しました。

Glassdoor、Indeedを英語社名で確認し、日本側ではOpenWork、転職会議、エンゲージ会社の評判も個別に検索しました。

Danone全体や現在のDanone UKに関する求人・口コミはありますが、「Danone Waters (UK & Ireland) Limitedの社員・元社員」と法人を明確に特定し、職種、勤務時期、雇用形態などまで確認できる口コミ本文は十分に取得できませんでした。

したがって、Danoneグループ全体の口コミをこの法人の社員口コミとして転用していません。

また、口コミが確認できないこと自体を減点理由にもしていません。

SNS・匿名掲示板の確認結果

口コミサイトとは別に、X、旧Twitter、Facebook、YouTubeを対象法人名で検索しました。

TikTokは検索環境側のアクセス制限があり、投稿本文まで確認できませんでした。

対象法人の賃金、残業、ハラスメント、事故などを具体的に裏づける一般SNS投稿は今回の検索範囲では確認できませんでした。

5ちゃんねる・爆サイについても対象法人名で検索しましたが、会社との関係を確認できる有用な投稿は確認できませんでした。

これは、

「悪評がない」
「問題がない」

という意味ではありません。

匿名投稿が見つからないことと、企業が労働KPIを公開していないことは別問題として扱っています。

Safety評価|6/50点

Safetyでは、現在の従業員を守る仕組みと利用者の安全を中心に見ます。

項目点数評価理由
賃金・利益の還元0 / 102020年の株式提供は確認できるが、給与・昇給・賞与の実態と現在の待遇が不明
労働時間・休息0 / 10対象法人単体の残業、休日、有休取得実績が確認できない
雇用の安定・待遇の公平性0 / 52022年から清算中。従業員の移籍・退職・待遇維持の結果が不明
福利厚生・育児・介護2 / 5過去の株式提供、無制限ボランティア時間を評価。現行制度は不足
人権・ハラスメント・労使1 / 5B Corp workers評価は材料だが、会社単体の相談・救済・労使実績が不足
労働安全・健康0 / 10重大事故は確認できなかったが、労災・安全KPIが非公表
商品・サービスの安全3 / 5長年の水ブランド輸入販売と消費者接点は確認。会社単体の安全KPIは限定的
合計6 / 50

商品・サービス安全を3点としたのは、同社が長期間にわたって水ブランドの輸入・販売を担い、今回の調査では対象法人へ明確に帰属する大規模な製品回収や重大行政処分を確認できなかった一方、対象法人単体の品質事故件数や回収率などが十分公開されているわけではないためです。

また、evianやVolvicの採水・ボトリング工程そのものの安全を同社の5点満点実績としては扱っていません。

同社は英国側の輸入・市場展開法人であり、採水・製造主体とは別だからです。

Innovation評価|7/25点

Innovationでは「新しいことをしたか」だけではなく、それが人間の負担や生活を具体的にどう変えたかを評価します。

項目点数評価理由
作業負担・危険の削減0 / 10自動化によって人の作業時間や危険がどれだけ減ったか、対象法人の具体的成果を確認できない
商品・サービスの改善4 / 5evian・VolvicにHarrogate Waterを加え、小売とOut of Home双方を広げる施策を実施
改善成果の人間への還元0 / 5改善成果を賃金・労働時間短縮へ還元した定量KPIがない
研究開発・現場改善の継続3 / 5B Corp 95.7、WeActForWater等を評価。ただし製造R&Dは別法人
合計7 / 25

Innovationで最も具体的なのは2020年のHarrogate Waterへの出資です。

Harrogate側のfoodservice・Out of Homeと、Danone Waters側の小売販売網を組み合わせる狙いが公表されていました。

また、B Corp取得時には包装、気候、地域、健康的な水分補給を扱うWeActForWaterも紹介されています。

一方、技術革新を高く評価しすぎない理由があります。

同社はフランスの採水・ボトリング工場を直接運営する製造法人ではありません。

再生PET、ボトル軽量化、採水設備などの技術成果は、それを実際に設計・製造した法人へ帰属させる必要があります。

さらに「販売効率が上がった」ことと「社員の労働時間が短くなった」ことは同じではありません。

浮いた時間や利益が給与、休日、人員配置へどう戻ったかを確認できないため、人間への還元は0点です。

Protection評価|0/25点

Protectionでは、災害、供給途絶、サイバー攻撃などが起きても、人の生活や商品供給を守れるかを見ます。

項目点数評価理由
災害への備え・訓練0 / 5対象法人単体のBCP、訓練、非常電源、代替拠点を確認できない
生産・物流・調達の代替0 / 5供給途絶時の代替調達・物流ルートの会社単体実績が不明
サイバー防衛・情報保護0 / 5現在の対象法人についてSOC、EDR、認証、バックアップ等の具体的開示なし
供給継続・復旧能力0 / 52022年以降は清算中で、現在の供給主体としての復旧実績を確認できない
危機時の市民への対応0 / 5Danone UK全体のCOVID-19支援はあるが対象法人単体の量的寄与を分離できない
合計0 / 25

2020年のB Corp関連記事ではDanone UK & Ireland全体としてCOVID-19期に金銭・商品寄付や食事支援を行ったことが紹介されています。

しかし、そのうちDanone Waters UK & Ireland単体が何ポンドを拠出し、何本の商品を供給したのかは分離できません。

グループ全体の実績を対象法人の満点実績へ転用していません。

また、現在のevian英国サイトで個人情報を管理しているのはNutricia Limitedです。現在のevianサイトのセキュリティやデータ保護を、清算中のDanone Waters UK & Irelandのサイバー対策として加点することもできません。

このためProtectionは0/25点となりました。

主なニュース・最近の動き

現在は通常の商品発売ニュースよりも、「法人自体がどう変わったか」が重要です。

1.2022年9月22日、Members’ Voluntary Liquidationを開始

Companies Houseは清算開始日を2022年9月22日とし、Members’ Voluntary Liquidationと記録しています。

同日にDeclaration of Solvencyも行われています。

したがって、

「資金が尽きて倒産した」

と単純化するのは適切ではありません。

一方で、現役企業として雇用や商品供給を評価する場合には、通常事業を終えて清算へ移ったことは非常に重要です。

2.2023~2025年も清算手続きが継続

Companies Houseでは、

  • 2023年11月
  • 2024年11月
  • 2025年11月

に清算人の収支報告が提出されています。

さらに2025年8月には登録住所がS&W Partners LLPのRestructuring and Recovery Services宛へ変更されています。

つまり、2022年に清算を決めてすぐ法人が消滅したわけではありません。

2026年現在もLiquidation状態です。

3.現在のevian英国サイトはNutricia Limitedが運営

現在のevian英国サイトのTerms of Useでは、サイト運営者をNutricia Limitedと明記しています。

Privacy Statementでも英国居住者の個人情報管理主体はNutricia Limitedです。

2025年のWimbledon関連キャンペーンでもNutricia Limitedがプロモーション主体として記載されています。

少なくともevianのWeb運営・消費者向け施策について、旧Danone Waters法人から別のDanone英国法人へ機能が移っていることが確認できます。

4.Volvicの現行ページには旧法人情報が残る

一方、Volvicは異なります。

現在のVolvic UKのImprintには、

  • Danone Waters (UK & Ireland) Limited
  • 会社番号01522581
  • Chiswick Parkの旧住所

が表示されています。

Volvic InternationalのContactページにもDanone Waters (UK & Ireland) Ltd.がHead Officeとして表示されています。

Companies House上の現在住所と法人状態とは一致していません。

ただし、これだけから「虚偽表示」「違法」と断定することはできません。

現時点では、Volvic側のWeb表示が法人登記上の現在状態に追随していない、または何らかの残存窓口として旧法人情報を使用している可能性がある、という範囲にとどめます。

5.2020年のB Corp 95.7は重要な歴史的実績

清算前の会社を理解するうえで、B Corp 95.7は無視できません。

DanoneのB Corp資料でも2020年のDanone Waters UK & Irelandのスコアは95.7と明示されています。

スタッフへの株式提供や無制限のボランティア時間なども報道されています。

したがって、この会社を「昔から情報も取り組みもほとんどない会社」と評価するのも正確ではありません。

問題は、その高評価が現在の清算法人の実績として継続しているか確認できないことです。

重大事故・行政処分・回収・サイバー事故の確認

対象法人名と旧社名について、

  • 重大労災
  • 死亡事故
  • HSE対応
  • 食品・飲料回収
  • 行政処分
  • 火災・爆発
  • 情報漏えい
  • サイバー攻撃
  • 大規模人員削減

を通常調査とは別に検索しました。

今回の検索範囲では、Danone Waters (UK & Ireland) Limitedそのものへ明確に帰属する重大死亡事故、大規模労災、大規模製品回収、重大サイバー漏えいは確認できませんでした。

ただし、これは「一件もなかった」ことを証明するものではありません。

会社単体の事故・労災統計も公開されていないため、Safetyを高得点にする根拠にはしていません。

なお、2016年にはDanone LimitedとDanone Waters (UK & Ireland) Limitedが、「UK Danone Group Food Co., Limited」という類似社名をCompany Names Tribunalへ申し立て、申立人側が成功した公的記録があります。これはDanone Waters側が処分された案件ではなく、社名保護を求めた側の事例です。

現在のevian・Volvicとの関係をどう読むべきか

この会社を商品審査へ使う場合、最も重要なのは、旧法人の評価を現在販売されている商品へそのまま掛けないことです。

Danone Waters UK & Irelandは英国でevian・Volvicを展開した重要な歴史的法人です。

しかし2026年現在、

  • 法人自体は清算中
  • evian英国サイトはNutricia Limited運営
  • Volvicサイトには旧Danone Waters法人情報が残る

という状態です。

したがって、現在の英国evian・Volvic事業を調べるなら、Nutricia Limitedなど現在のDanone英国法人も別途確認する必要があります。

さらに、日本で販売されるevianの商品審査ではもっと注意が必要です。

Danone Waters UK & Irelandが日本向けevianの現在の輸入・販売経路に直接関係していると確認できない限り、この会社の13点・Gを日本のevianへ直接加重するべきではありません。

英国市場の歴史的販売法人としての資料価値はありますが、日本の輸入・販売主体とは分けて評価する必要があります。

総合評価

Danone Waters (UK & Ireland) Ltd.は、単純に「情報が少ない会社」ではありません。

操業時代には約103人、売上約1億4,900万ポンド規模だったとされ、evian・Volvicなどを英国・アイルランド市場へ広げ、Harrogate Waterへの出資にも関わりました。

2020年にはB Corp 95.7という明確な第三者評価も得ています。

従業員施策としてスタッフへの株式提供や無制限のボランティア時間も確認できました。

したがって、過去の社会性や働く人への施策をすべて0点扱いするのは適切ではありません。

しかし企業審査は、過去の最も良かった時点だけを見る制度ではありません。

2026年現在の法人状態はLiquidationです。通常営業の最新決算、現在の給与、残業、有給、雇用人数、労災、安全管理、BCP、サイバー対策、供給継続実績を対象法人として確認することができません。

さらにevian英国サイトはNutricia Limitedが運営しており、旧法人が現在も全面的なブランド運営主体とは言えません。

一方、Volvicには旧法人名が残っています。

この複雑な法人移行を無視して、2020年のB Corpスコアを現在のDanone Waters UK & Irelandへそのまま適用することも、現在のNutricia Limitedの実績を旧法人へ適用することも避けるべきです。

そのため、過去のB Corp、従業員施策、サービス改善には部分点を残しながら、現在の労働実態とProtectionを過去実績で補完せず、

Safety 6点
Innovation 7点
Protection 0点
総合13点
シビックランクG

としました。

このG評価は、Danone Waters (UK & Ireland) Ltd.が「危険」「悪質」「支払不能で倒産した会社」だという判定ではありません。

2022年に支払能力を前提とするMembers’ Voluntary Liquidationへ入り、2026年現在も清算中であるため、現役企業として人間への貢献を測るための現在の労働・安全・Protection実績が成立しにくいことが点数へ表れています。

最終スコア

評価点数
Safety6 / 50
Innovation7 / 25
Protection0 / 25
総合13 / 100
シビックランクG

評価基準:企業審査マスター仕様書・100点制 第1版
評価時点:2026年9月27日

主な参照資料

1.UK Companies House「DANONE WATERS (UK & IRELAND) LIMITED overview」
法人状態、設立日、SIC、最終通常決算、旧社名を確認。

2.UK Companies House「Insolvency」
Members’ Voluntary Liquidation開始日とDeclaration of Solvencyを確認。

3.UK Companies House「Filing history」
2023~2025年の清算人報告、登録住所変更などを確認。

4.The Gazette「Appointment of Liquidators」
2022年9月22日の株主による清算人選任を確認。

5.Companies House「Persons with significant control」
Danone Holdings (UK)による75%以上の株式・議決権保有を確認。

6.British Soft Drinks Association「Danone Waters UK and Ireland Ltd」
輸入事業者としての役割とevian・Volvic・Badoit等のポートフォリオを確認。

7.Danone UK & Ireland B Corp関連資料
Danone Waters UK & Irelandが2020年に95.7点で認証されたことを確認。

8.Harrogate Water関連発表・報道
2020年の過半数持分取得と、Danone Waters側の小売チャネル、Harrogate側のOut of Homeチャネルを組み合わせる狙いを確認。

9.evian UK「Terms of Use」「Privacy Statement」
現在のサイト運営者・英国居住者の個人情報管理主体がNutricia Limitedであることを確認。

10.Volvic UK「Imprint」およびVolvic International「Contact」
現在もDanone Waters (UK & Ireland) Limitedの旧法人情報が表示されることを確認。

11.UK Company Names Tribunal
2016年の類似社名に対する申立てでDanone Waters側が申立人だったことを確認。

12.GlobalDatabase
2020年売上高・従業員規模の補助資料として使用。公的原資料ではないため補助情報に限定。

情報ランクの基準

ランク定義本記事での主な例
S公的機関の資料で直接確認できる情報、または独立した第三者による検証・認証等で裏づけがある情報Companies House、The Gazette、Company Names Tribunal、B Corp認証
A企業自身の公式発表・公式サイトなどevian・Volvicの法的表示、Danone公式発表
B役職・立場が確認できる関係者への取材・発言、記者による直接取材等Harrogate Water案件での経営者発言、業界報道
C一般社員・元社員の勤務経験に基づく口コミ今回は対象法人を明確に特定できる十分な本文を取得できず
DXなど一般SNSの投稿対象法人の労働実態を裏づける有用情報を確認できず
E匿名掲示板など、発信者の身元・関与を確認しにくい情報5ちゃんねる・爆サイで有用な対象法人情報を確認できず

情報ランクは、情報の出どころと裏づけの強さを示すもので、企業の良し悪しを評価する総合シビックランクとは異なります。

低い情報ランクは虚偽を意味しません。またSランクの情報であっても、その資料が裏づけている範囲を超えて企業全体の状態を保証するものではありません。

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