DB Cargo (UK) Limitedの企業審査|総合58点・シビックランクD|ETCS・低炭素物流は前進、重大安全事故の履歴と売却プロセスが課題
工場で使う鋼材、建設現場へ向かう骨材、自動車工場から港へ運ぶ完成車、港に着いたコンテナ。こうした大量の荷物を鉄道でまとめて運べなくなれば、その分をトラックへ振り替える必要が生じ、道路混雑、運転手不足、輸送コスト、CO2排出の負担が増えます。
DB Cargo (UK) Limitedは、英国各地で貨物列車を走らせ、Channel Tunnel経由で欧州とも接続する大手貨物鉄道会社です。2026年4月にはJaguar Land RoverのHalewood工場からSouthampton港へ完成車を運ぶ7年契約を獲得し、6月にはDay Groupとの骨材・建設リサイクル輸送契約も2031年まで延長しました。
一方、この会社を「環境に良い鉄道会社」という理由だけで評価することはできません。
2014年のTyne Yard、2017年のBescot Yardでは、子どもが25,000ボルトの架線に触れて生命を変える重傷を負い、DB Cargo UKにはそれぞれ270万ポンド、120万ポンドの罰金が科されました。2018年にはDollands Moor Freight Yardで社員が生命を変える負傷を負う事故があり、2021年にはTotonで約1,870トンの貨車群が無人で約1km走って脱線しています。2025年末時点でもToton事故に関するDB Cargo向けRAIB勧告のうちRecommendation 01と03はOpenでした。
さらに2026年8月、DB Cargo UKは新しいオーナーを探す売却プロセスへ入りました。CEOのAndrea Rossiは2,155人の従業員へ計画を説明し、法務・財務アドバイザーを選任して買い手を探すとしています。売却そのものは不祥事ではありませんが、今後の雇用、拠点、設備投資を考えるうえで重要な出来事です。
適用基準:100点制・第1版
評価時点:2026年9月29日
| 評価軸 | 得点 |
|---|---|
| Safety | 26/50 |
| Innovation | 17/25 |
| Protection | 15/25 |
| 総合 | 58/100 |
| 総合シビックランク | D |
低得点の理由は分けて考える必要があります。
確認された問題としては、複数の重大安全事故と刑事処分、Toton事故に関する未完了の安全勧告、現在も残る男女賃金格差があります。
重要情報の非公表としては、全社員の実残業、有給取得率、現在の会社単体労災KPI、サイバー防御の運用結果、復旧訓練やRTOなどがあります。
調査上の制約として、2025年12月期決算の提出期限は2026年9月30日で、評価日の9月29日時点ではCompanies House上の最新決算は2024年12月期です。また、会社売却もまだ進行中です。
結論/総合シビックランク
DB Cargo (UK) Limitedは、英国の物流を道路から鉄道へ移し、国内工場、港、建設、鉄鋼、自動車、インターモーダル物流をつなぐ社会的役割を持つ企業です。
公式情報では228両のディーゼル・電気機関車、約2,200人の従業員、6,450両の貨車を掲げています。貨物列車だけでなく、インフラ列車、チャーター列車、旅客事業者への牽引・乗務員サービス、Channel Tunnel経由の欧州貨物も扱います。
Innovationでは明確な前進があります。
2025年からClass 66へのETCS搭載を進め、2026年4月には66070への最初の改造を完了しました。Totonの担当チームが約8カ月かけて数百点の部品を装着し、運転士の車内画面へリアルタイムの信号情報を送れるようにするものです。
また2026年にはClass 93トライモード機関車をSeaforth―Mossend間で試験しました。25kV架線から最大4MW、バッテリーによる0.6MWの追加出力、Stage V規格の900kWディーゼルエンジンなどを組み合わせる構成です。
労働条件では、整備・技術系求人で給与額や休日、福利厚生が具体的に公開されています。一方、最新の政府データでは女性の中央値時給が男性より15.4%低く、女性は男性の1ポンドに対し85ペンスとなっています。
そして最大の弱点がSafetyです。
現在は「Together, We’re Safer」、12のRed Lines、「STOP・DISCUSS・RESOLVE・REVIEW」という安全介入ルール、監査や訓練を実施しています。しかし、現在の制度があるからといって過去の重大事故を相殺することはできません。
以上から、総合58点/100点、シビックランクDとします。
基本情報
DB Cargo UKを審査するときは、ドイツのDB Cargo AG全体と英国法人を混同しないことが重要です。
本審査の対象はDB CARGO (UK) LIMITED、会社番号02938988です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式法人名 | DB CARGO (UK) LIMITED |
| 会社番号 | 02938988 |
| 法人形態 | Private limited company |
| 設立 | 1994年6月9日 |
| 本社 | Doncaster, South Yorkshire |
| CEO | Andrea Rossi |
| 主事業 | 貨物鉄道、インフラ列車、ターミナル、整備、国際物流等 |
| 上場 | 非上場 |
| 会社状態 | Active |
| 2024年売上高 | 2億7,443.2万ポンド |
| 2024年最終損失 | 1,234.1万ポンド |
| 2024年平均従業員数 | 1,895人 |
| 公式サイト掲載機関車数 | 228両 |
会社は1994年にTrainload Freight West Limitedとして設立され、その後Transrail Freight Limited、English Welsh & Scottish Railway Limited、DB Schenker Rail (UK) Limitedを経て、2016年から現在のDB Cargo (UK) Limitedとなっています。
2024年の売上高は2億7,443.2万ポンドで、2023年の2億6,872.8万ポンドから2.1%増加しました。最終損失は6,751.3万ポンドから1,234.1万ポンドへ縮小しています。平均従業員数は1,987人から1,895人へ減少しました。
2026年8月の売却発表時には2,155人の従業員へ計画が通知されています。ただし、1,895人は年間平均、2,155人は特定時点の人数なので、そのまま「大幅増員」とは判断しません。
主な業務内容と、誰がどこで何をしているのか
貨物鉄道会社の仕事は、単に機関車を運転することではありません。
荷主の工場、港、倉庫、ターミナル、Network Railの線路、整備基地をつなぎ、貨車を編成し、安全を確認し、乗務員を配置し、目的地まで輸送し、到着後の荷役や整備までつなぐ必要があります。
| 業務 | 主な担当 | 具体的な作業 | 届け先・成果 |
|---|---|---|---|
| 貨物列車運転 | Train Driver | 信号・速度・運行計画に従い機関車を運転 | 工場、港、ターミナル |
| 地上作業 | Groundstaff | 貨車の連結・解放、入換、編成・安全確認 | 列車を出発可能な状態にする |
| 機関車・貨車整備 | Engineers/Fitters | 故障診断、修理、ブレーキ試験、オーバーホール | 車両の安全性維持 |
| 運行設計 | Operations | 荷量、経路、時間、機関車、乗務員を組み合わせる | 定期・臨時輸送 |
| 国際貨物 | International Team | Channel Tunnelを通じ英国と欧州を接続 | 輸出入物流 |
| インフラ列車 | Drivers/Operations | レール・工事資材等を運ぶ | Network Rail等 |
| ターミナル運営 | Terminal staff | 積替え、留置、施設アクセス管理 | 鉄道物流拠点 |
| Breakdown & Recovery | 復旧専門チーム | 故障・事故車両の復旧 | 運行停止時間の縮小 |
DB Cargo UKはEngland、Scotland、Walesに多数のターミナルとデポを持ち、一部施設を他の鉄道事業者へ開放しています。2026年7月更新の施設情報では、稼働中施設と停止中施設を区別し、緊急時の短期アクセス手順も公開しています。
整備現場の仕事
2026年のWestburyのWagon Maintainer求人では、貨車のmaintenance、overhaul、refurbishment、故障診断、修理、改造、損傷検査、作業記録などが具体的に示されています。開始給与は年2万8,842ポンド+shift allowanceです。
StokeのMechanical Fitterでは、貨車の保守・修理・オーバーホールを担当し、開始給与2万5,914ポンド、competency取得後は2万8,842ポンドという求人があります。
Totonでは、通常整備だけでなくETCS改造のような大規模技術更新も実施されています。66070では数百点の新部品を約8カ月かけて搭載しました。
主な利用企業・取引先の例
| 利用企業・取引先 | 主な内容 | DB Cargo UKの役割 |
|---|---|---|
| CAT UK/Jaguar Land Rover | 完成車輸送 | HalewoodからSouthampton港へ週約3便、7年契約 |
| Day Group | 骨材・建設リサイクル材 | 南England・London圏への鉄道物流、2031年まで |
| Tata Steel | 鋼材輸送・HVO実証 | 重量鋼材を列車で輸送し代替燃料も試験 |
| Network Rail | インフラ物流・ETCS | 鉄道資材輸送とデジタル信号対応 |
CAT UKとの契約ではJaguar Land RoverのHalewood工場からSouthampton港まで完成車を運び、現在は週約3便を運行しています。EV生産拡大に伴う輸送量増加も想定されています。
Day Groupとの契約では、KentやEast Sussexから骨材と建設リサイクル材を運び、契約は2031年まで延長されました。
事業による人間への貢献
DB Cargo UKの社会的価値は「荷物を運ぶ」ことではなく、大量の重量物を一度に鉄道へ載せられることにあります。
道路の大型トラックを減らす
鉄鋼、骨材、セメント、完成車などを道路だけで大量輸送すれば、多数のHGVと運転手が必要です。
DB Cargo UKは、貨物列車1本で大量輸送できることで道路混雑、トラック運転手需要、道路側の事故リスク、排出ガスを減らす役割を持っています。
CAT UKとの契約発表では、同社は鉄道貨物が同等の道路輸送よりCO2排出を約76%減らせると説明しています。これは企業側の説明であり情報ランクAですが、鉄道へのモーダルシフトの具体的な狙いが分かります。
建設を支える
骨材やセメントは重く、大量に必要です。
Day Groupとの契約では、Cliffe Brett MarineやNewhaven Marineから南EnglandやGreater Londonの拠点へ骨材やリサイクル建設材を運びます。住宅やインフラ建設の資材物流を鉄道側から支える仕事です。
自動車産業を港へつなぐ
Jaguar Land RoverのHalewood工場で生産された車両をSouthampton港へ鉄道輸送します。
製造工場から輸出港まで大量の完成車をまとめて運ぶことで、一台ずつroad transporterへ載せる場合より道路輸送量を抑えることができます。
鉄道インフラそのものを支える
DB Cargo UKはNetwork Rail向けのインフラ列車も運行します。
レールや工事資材が更新現場へ届かなければ、旅客列車も貨物列車も安全に運行できません。一般消費者からは見えにくいものの、鉄道そのものを維持する物流です。
環境性は「鉄道だから」で終わらせない
HVOについてもTata Steelなどと実証を行っており、既存のClass 60、66、67で代替燃料を使うことでディーゼル依存を減らす取り組みがあります。
一方で、列車の運行量そのものが減れば排出量も下がります。
そのため、単純な総排出量低下だけを「効率改善の成果」と扱わず、車両性能、燃料、電化、輸送量当たり排出量などを分けて見る必要があります。
労働環境・賃金・福利厚生
貨物鉄道では、運転士、地上作業員、整備担当者が安全重要業務を担います。
事故が起きれば社員だけでなく、周辺住民や旅客鉄道にも影響します。そのため「給料が高いか」だけではなく、実働時間、夜勤、安全、休息、雇用の安定まで見る必要があります。
賃金・利益の還元
現在確認できる求人例では、
- Wagon Maintainer:年2万8,842ポンド+shift allowance
- Mechanical Fitter:年2万5,914ポンド、competency取得後2万8,842ポンド
- Technical Team Member:年3万5,952ポンド+training後shift allowance
- Locomotive Engineer:年3万6,099ポンド+4,086ポンドのshift allowance
などが確認できます。
一方、2024年の法定決算由来データでは平均従業員数1,895人、wagesは約1億911.5万ポンドです。個人の平均給与とは一致しないため、単純に割って社員年収とは扱いません。
全社員のベースアップ率や2025~2026年の実質賃金変化までは確認できません。
賃金・利益の還元:4/10点
労働時間・休息
整備系求人には週36時間契約が確認でき、求人によって25日の年次休暇+bank holidaysなども示されています。
Apprenticeshipでも25日の有給休暇+bank holidays、毎週のstudy dayが明記されています。
ただし、貨物鉄道では夜勤や交替勤務があります。
実際に社員が年間何時間残業しているか、休日出勤が何回あるか、有給休暇を何%取得したかという会社単体実績は確認できません。
労働時間・休息:6/10点
雇用の安定・待遇の公平性
2024年平均従業員数は1,895人で、2023年の1,987人から4.6%減少しました。
2026年8月には会社売却プロセスも始まりました。
売却は解雇を意味しません。会社側は、追加資本、市場機会、長期成長を得るため新しいオーナーを探すと説明しています。
したがって「雇用削減が決まった」とは書けませんが、買収先が未確定である以上、雇用の将来には不確実性があります。
また2025~2026年Gender Pay Gap Reportでは、女性のmedian hourly payは男性より15.4%低く、最高賃金四分位に占める女性は7.4%、最低四分位では16.0%です。
雇用安定・待遇公平性:2/5点
福利厚生・育児・介護
求人やApprenticeship情報では、
- 会社年金
- 25日休暇+bank holidays
- Employee Assistance Programme
- Cycle to Work
- Employee benefits
- 研修・資格取得
- apprentice向けstudy day
- 無料駐車場
などが確認できます。
一方、育児休業や介護休業の会社単体利用率などは十分確認できません。
福利厚生・育児・介護:4/5点
人権・ハラスメント・労使関係
DB Cargo UKはCompliance窓口、whistleblowing hotline、匿名通報システムBKMSを公開しています。
2026年のModern Slavery Statementは2025年1月から12月を対象とし、政府推奨の6領域すべてをカバーすると登録されています。
一方、政府レジストリではtrainingの対象者、worker grievance、priority risks、working conditions monitoringなど任意設問の未回答も多くあります。制度の存在に比べて結果の透明性は十分とは言えません。
人権・ハラスメント・労使関係:3/5点
従業員・元従業員の口コミ
Indeed UKではDB Cargoのレビューが6件あり、総合3.5/5です。
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| Work-life balance | 3.4/5 |
| Pay and benefits | 3.0/5 |
| Job security and advancement | 3.8/5 |
| Management | 2.8/5 |
| Culture | 3.4/5 |
2024年12月のStoke-on-TrentのCoded Welderは、management、給与、安全運用について厳しい不満を投稿しています。
一方、2024年1月のMechanical Fitterは、同僚関係、職場環境、仕事量、成長機会について肯定的に評価しています。
情報ランク:C
口コミ数は少なく、勤務経験自体も独立確認されていないため、これだけで会社全体を「働きやすい」「危険」と断定しません。
OpenWork、転職会議、エンゲージ会社の評判についても対象法人名で確認しましたが、今回の検索範囲ではDB Cargo UKの有効な勤務口コミ本文を確認できませんでした。
SNS・匿名掲示板の確認結果
従業員口コミとは別工程として、X、Facebook、YouTube、TikTok、5ちゃんねる、爆サイについて会社名、employee、driver、work、safetyなどの語を組み合わせて確認しました。
XやFacebook、YouTubeには企業情報や鉄道関連投稿がありますが、対象法人の現在の労働実態を裏づけられる一般社員の投稿は限定的でした。
TikTokは検索・閲覧上の制約があり、十分な本文確認ができませんでした。
5ちゃんねる、爆サイではDB Cargo UKの社員との関係を確認できる有用な投稿を今回の検索範囲では確認できませんでした。
これは「問題がない」という意味ではありません。
SNS投稿が見つからないことや閲覧制限は、企業による重要情報の非公表とは別問題なので、0点の根拠にはしていません。
Safety|26点/50点
SafetyはDB Cargo UKで最も重要な課題です。
| 項目 | 得点 | 主な理由 |
|---|---|---|
| 賃金・利益の還元 | 4/10 | 職種別給与は公開、全社賃上げ等は不足 |
| 労働時間・休息 | 6/10 | 36時間契約や休日制度あり、実残業等不明 |
| 雇用安定・待遇公平性 | 2/5 | 男女格差と売却による不確実性 |
| 福利厚生・育児・介護 | 4/5 | 福利厚生は具体的、利用実績不足 |
| 人権・労使関係 | 3/5 | 通報制度あり、結果KPIは限定的 |
| 労働安全・健康 | 4/10 | 複数の重大事故、勧告一部未完了 |
| 商品・サービスの安全 | 3/5 | 現行安全施策・ETCSあり、事故履歴あり |
| Safety小計 | 26/50 |
Tyne Yard:270万ポンドの罰金
2014年6月14日、Tyne Yardへ入った13歳の少年が停車中の貨車上で25,000V架線に接触し、生命を変える重傷を負いました。別の少年も軽い火傷を負っています。
ORRはDB Cargoが非従業員を危険から十分に守らなかったとして起訴し、2019年に270万ポンドの罰金と約18.9万ポンドの費用負担が命じられました。
さらにORRから求められた情報を提出しなかった別件でも3万3,500ポンドの罰金を受けています。
情報ランク:S
Bescot Yard:120万ポンドの罰金
2017年6月1日、Bescot Yardへ13歳の少年3人がフェンスの穴から侵入し、1人が25,000V架線に接触しました。
少年は全身の約40%に火傷を負う生命を変える負傷となりました。
ORRによると、2012年7月から2017年6月までに不法侵入が35件記録されており、事故の数日前にも若者が機関車へ登っているのを会社側が記録していました。
2020年にDB Cargo UKへ120万ポンドの罰金が科されました。
情報ランク:S
Dollands Moor:社員の重大負傷
2018年、Dollands Moor Freight Yardのlevel crossingで貨物列車がOperations Supervisorの車両と衝突し、社員が生命を変える負傷を負いました。
DB Cargo UKはHealth and Safety at Work法違反を認め、2021年に20万ポンドの罰金を受けています。
情報ランク:S
Toton:22両、約1,870トンの貨車が暴走
2021年1月17日、TotonのOld Bank sidingsから22両の貨車が無人で走り出しました。
21両は積載状態で、編成重量は約1,870トン。約1km走り、赤信号を2つ通過した後、先頭4両が脱線しました。
RAIBは、車両を確実に固定しないまま機関車が切り離されたこと、ground staff間の役割が曖昧だったこと、安全保証活動で日常的な不適切運用を把握できていなかったことなどを問題としました。
そして2025年末時点で、DB Cargo UKに関するRecommendation 01と03はOpen、Recommendation 02はClosed – implemented 2025となっています。
これは過去事故が現在のSafety評価にも影響する重要な理由です。
Kineton:2023年のrunaway wagon
2023年5月、DB Cargo所有、Kuehne+Nagelへリースされていた貨車1両がMinistry of DefenceのKineton sidingsから約2.4km暴走し、公道level crossingを通過しました。
負傷者はいませんでした。
RAIBは、DB Cargo社員が安全重要整備を行っていた設備についても「作業に十分適していなかった」と指摘し、DB Cargoへmaintenance procedureの見直しとブレーキ部品の寿命管理を勧告しました。
2025年summaryではDB Cargo向けRecommendation 04と05はいずれもClosed – implemented 2025となっています。
改善が確認された事例として評価できます。
現在の安全施策
現在は12のRed Linesを定め、危険だと感じた場合には、
STOP
DISCUSS
RESOLVE
REVIEW
という手順で誰でも作業へ介入できる仕組みを掲げています。
inspection、investigation、audit、trainingも安全制度として明記されています。
過去事故を踏まえれば、この「現場で止める」制度は重要です。
しかし、重大事故が複数発生しTotonの勧告も一部未完了であるため、制度の存在だけでSafetyを高得点にはしません。
Innovation|17点/25点
| 項目 | 得点 | 主な理由 |
|---|---|---|
| 作業負担・危険の削減 | 6/10 | ETCSや設備改善、成果KPI不足 |
| 商品・サービスの改善 | 4/5 | ETCS、Class 93、HVO等 |
| 改善成果の人間への還元 | 2/5 | 環境効果はあるが社員への還元不明 |
| 研究開発・現場改善の継続 | 5/5 | 複数技術を継続実証 |
| Innovation小計 | 17/25 |
ETCSで信号情報を車内へ
DB Cargo UKはSiemens MobilityとClass 66へのETCS retrofitを開始し、2026年4月には66070への最初の改造を完了しました。
新システムは列車と継続的に通信し、リアルタイムの信号情報を運転士の車内画面へ送ります。
Totonで約8カ月をかけて数百点の新部品が搭載され、次の66003へ作業が移っています。
これは単なるIT導入ではなく、英国鉄道が従来の沿線信号からデジタル車内信号へ移行するための具体的な設備更新です。
Class 93トライモード機関車
2026年、Rail Operations Group、Network Railと共同でClass 93をSeaforthからMossendまで実際のintermodal serviceで試験しました。
電化区間では25kV架線から最大4MW、さらにバッテリーから0.6MWを追加でき、Stage Vの900kWディーゼルエンジンも搭載します。
これはまだ大量導入決定ではなく「将来のfleet strategyを検討するための試験」です。
したがって、試験実績は評価しますが、将来の燃料削減や労働負担削減を実績として先取りしません。
HVO
DB Cargo UKは既存ディーゼル車をすぐ全て電気機関車へ置き換えるのではなく、HVOを使う実証も行っています。
英国には非電化区間が多く残るため、既存車両を生かしながら化石燃料依存を減らす方法として意味があります。
一方で、燃料のライフサイクル排出、供給量、コスト、全fleetでの使用比率まで確認する必要があります。
Protection|15点/25点
| 項目 | 得点 | 主な理由 |
|---|---|---|
| 災害への備え・訓練 | 3/5 | 安全訓練等あり、BCP実績不足 |
| 生産・物流・調達の代替 | 4/5 | 多拠点・多数車両・欧州接続 |
| サイバー防衛・情報保護 | 1/5 | 窓口はあるが具体的防御実績不足 |
| 供給継続・復旧能力 | 3/5 | 多拠点・復旧サービスあり |
| 危機時の市民への対応 | 4/5 | COVID期の実継続実績 |
| Protection小計 | 15/25 |
多拠点と多数の車両
公式情報では228両の機関車と6,450両の貨車を掲げています。
さらにEngland、Scotland、Walesにターミナルやデポがあります。
特定の1工場が停止すると全生産が止まる製造企業と比べれば、複数拠点、複数車両、複数経路を持つ鉄道会社には代替性があります。
Breakdown & Recovery
DB Cargo UKは故障・事故車両の復旧サービスも持ち、施設についてはshort notice emergency accessの仕組みも公開しています。
ただし、大規模障害発生時に通常サービスへ何時間で戻れるのかというRTOなどは確認できません。
サイバーProtection
DB Cargo UKはData Privacy TeamとCompliance窓口、匿名通報制度等を公開しています。
一方、
- MFA導入率
- EDR
- SOCによる24時間監視
- network segmentation
- offline backup
- ransomware復旧訓練
- RTO
- penetration testの結果
など、対象会社単体の具体的な運用・成果は十分に確認できませんでした。
重大な情報漏えいが見つからないことを理由に高得点にはせず、1/5点とします。
COVID-19での実際の供給継続
COVID-19流行時にはrail freight employeesがkey workersに指定され、DB Cargo UKはスーパー向け商品や燃料などの輸送を続けたと説明しています。
Protectionは計画書を持っているだけでなく、実際の危機で事業を継続できたかが重要です。
その意味で、これは具体的な供給継続実績として評価できます。
重大事故・行政対応・重要事例
| 年 | 出来事 | 結果 |
|---|---|---|
| 2014 | Tyne Yardで13歳少年が25kV感電、生命を変える負傷 | 270万ポンド罰金 |
| 2017 | Bescot Yardで13歳少年が約40%火傷 | 120万ポンド罰金 |
| 2018 | Dollands Moorで社員が生命を変える負傷 | 20万ポンド罰金 |
| 2021 | Totonで22両・約1,870トンが暴走・脱線 | 2025年末も一部勧告Open |
| 2023 | Kinetonで貨車が約2.4km暴走 | 負傷者なし、DB向け勧告は2025年に完了 |
| 2026 | DB Cargo UK売却プロセス開始 | 新オーナーを探索中 |
Tyne YardとBescot Yardは、ともに外部の子どもが貨車へ登り、25kV架線で重傷を負った事故です。
別々の事故で似た危険が再び現実化したことは、安全管理を評価するうえで特に重く見ます。
主なニュース・最近の動き
2025年:Class 66のETCS改造開始
East Coast Digital Programmeへの対応としてClass 66へのETCS改造を開始しました。
2026年:Class 93を実運用条件で試験
Seaforth―Mossend間のintermodal serviceでトライモード機関車を試験しました。
2026年4月7日:66070のETCS改造完了
Totonで8カ月かけた最初の改造車が完成し、次の66003へ移行しました。
2026年4月9日:CAT UKと7年契約
Jaguar Land RoverのHalewood工場からSouthampton港まで完成車を輸送する7年契約です。
2026年6月9日:Day Group契約を2031年まで延長
骨材・建設リサイクル材・terminal servicesを対象に5年間延長しました。
2026年8月17日:売却プロセス開始
Andrea Rossi CEOは、現在の株主DB Cargo AGがCentral Europeへ重点を移す中、UK Management Boardが法務・財務アドバイザーを選任し、新たなオーナーを探すと従業員へ通知しました。
2026年9月29日時点の今回の調査では、買収完了の発表は確認できませんでした。
そのため買収先、将来の人員削減、拠点閉鎖などを推測では書きません。
項目別得点
| 評価項目 | 得点 |
|---|---|
| Safety:賃金・利益の還元 | 4/10 |
| Safety:労働時間・休息 | 6/10 |
| Safety:雇用安定・待遇公平性 | 2/5 |
| Safety:福利厚生・育児・介護 | 4/5 |
| Safety:人権・ハラスメント・労使関係 | 3/5 |
| Safety:労働安全・健康 | 4/10 |
| Safety:商品・サービスの安全 | 3/5 |
| Safety小計 | 26/50 |
| Innovation:作業負担・危険の削減 | 6/10 |
| Innovation:商品・サービスの改善 | 4/5 |
| Innovation:改善成果の人間への還元 | 2/5 |
| Innovation:研究開発・現場改善の継続 | 5/5 |
| Innovation小計 | 17/25 |
| Protection:災害への備え・訓練 | 3/5 |
| Protection:生産・物流・調達の代替 | 4/5 |
| Protection:サイバー防衛・情報保護 | 1/5 |
| Protection:供給継続・復旧能力 | 3/5 |
| Protection:危機時の市民への対応 | 4/5 |
| Protection小計 | 15/25 |
| 総合 | 58/100 |
| シビックランク | D |
総合評価
DB Cargo (UK) Limitedの強みは、大量貨物を道路から鉄道へ移し、建設、鉄鋼、自動車、港湾、鉄道インフラをつなげられることです。
2026年にもCAT UKとの7年契約、Day Groupとの2031年までの契約、ETCS改造、Class 93試験が進んでいます。会社が単に縮小しているだけではなく、新しい受注と技術投資が同時に続いている点は重要です。
Innovationは比較的強い領域です。
ETCSは鉄道のデジタル化へ対応し、Class 93は電化区間と非電化区間をまたぐ次世代牽引方式、HVOは既存ディーゼル機関車をすぐ廃棄せず排出を減らす移行策です。
労働条件も、週36時間契約や休暇、年金、研修など具体的な求人条件を確認できます。
一方、女性のmedian hourly payは男性より15.4%低く、賃金格差は残っています。
そして最も重い問題がSafetyです。
2014年と2017年には似た構造の25kV架線感電事故で子どもが生命を変える負傷をしました。
その後も社員の重大負傷、Totonの約1,870トンの貨車暴走などが発生しています。
2025年末時点でもTotonについてDB Cargo向けRecommendation 01と03がOpenである以上、「昔は事故があったが現在は解決済み」とは評価できません。
一方、KinetonのDB Cargo向け勧告が2025年に実施済みとなったことや、現在のRed Lines、安全介入制度、ETCSへの投資などは改善材料として評価しました。
2026年の会社売却も重要です。
売却そのものはマイナスの不祥事ではありません。
新しいオーナーによる資本投入で、安全、fleet更新、デジタル化が加速する可能性もあります。
逆に、拠点再編や人員削減が起こる可能性もあります。
現在はどちらも確定していないため、推測ではなく売却後の実績を待って再評価する必要があります。
総合58点/100点、シビックランクDです。
次のCランクは60点以上なので差は2点です。
ただし、何か情報を公開すれば自動的に2点加算されるわけではありません。公開された実態を100点制・第1版の同じ基準で再評価します。
優先度の高い改善事項は3つあります。
- Totonを含む未完了Safety勧告を完了し、最新Safety KPIを会社単体で公開する
死亡、重大負傷、RIDDOR、near miss、SPAD、監査結果などを年度別に示し、事故防止策が実際に結果へつながったか確認できる状態が必要です。
- サイバーProtectionを「方針」から「運用実績」まで示す
MFA、EDR、SOC、バックアップ、復旧訓練、RTOなどを、攻撃に悪用されない範囲で集計公開できればProtectionの検証性は大きく上がります。
- 売却後の雇用・拠点・投資を追跡する
新オーナー決定後、従業員数、賃金、拠点、fleet investment、安全投資、trainingがどう変化したかを見る必要があります。
DB Cargo UKは、「鉄道貨物だから社会に良い」とだけ評価すれば高得点になりやすい企業です。
しかし、人間への貢献を見る企業審査では、その便利さと環境効果を生み出している現場で人が安全に働けているか、過去と同じ事故を防げるようになったか、危機が起きても物流を止めない仕組みがあるかまで評価しなければなりません。
その観点では、社会的役割とInnovationには明確な強みがある一方、Safetyには現在も改善の余地が大きい企業です。
出典一覧
[1] DB Cargo UK「DB Cargo UK signs new seven-year contract with CAT UK」2026年4月9日
[2] DB Cargo「DB Cargo UK extends its partnership with Day Group Ltd by five years」2026年6月9日
[3] Office of Rail and Road「DB Cargo fined £2.7 million after children seriously injured at rail depot」2019年3月13日
[4] Office of Rail and Road「DB Cargo fined £1.2m after teenager suffers life-changing injuries from 25,000 volt electric shock」2020年1月9日
[5] Office of Rail and Road「Health and safety prosecutions」
[6] Rail Accident Investigation Branch「Report 09/2021: Runaway and derailment of wagons at Toton」
[7] Rail Accident Investigation Branch「RAIB summary of recommendation status 2025」
[8] Rail Accident Investigation Branch「Report 04/2024: Runaway wagon at Kineton」
[9] RailBusinessDaily「DB Cargo UK looking for a new owner」2026年8月17日
[10] International Railway Journal「DB puts British freight business up for sale」2026年8月18日
[11] DB Cargo UK「About Us」
[12] DB Cargo UK「Facts and Figures」
[13] DB Cargo UK「DB Cargo UK completes ETCS upgrade to 66070」2026年4月7日
[14] DB Cargo UK「DB Cargo trials Class 93 tri-mode locomotive」
[15] GOV.UK Gender Pay Gap Service「DB CARGO (UK) LIMITED」
[16] DB Cargo UK「Safety」
[17] Companies House「DB CARGO (UK) LIMITED」
[18] DB Cargo UK「Locations and Access」
[19] GOV.UK Modern Slavery Statement Registry「DB CARGO (UK) LIMITED modern slavery statement summary 2026」
[20] DB Cargo UK「Compliance」
[21] DB Cargo UK「Data Protection」
[22] DB Cargo UK「Rail Engineering Apprenticeships」
[23] Indeed UK「DB Cargo Employee Reviews」
[24] DB CARGO (UK) LIMITED 2024 accounts data/The Accounts
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関の資料で直接確認できる情報、または独立した第三者による検証・監査・認証等の裏づけがある情報 |
| A | 企業自身の公式発表・報告書・採用情報など |
| B | 役職や立場が確認できる関係者への取材・発言など |
| C | 一般社員・元社員・パート・アルバイトなどの勤務経験に基づく口コミ |
| D | Xなどの一般SNS投稿で、発信者の立場や裏づけが十分でない情報 |
| E | 匿名掲示板など、発信者の身元や関与をさらに確認しにくい情報 |
情報ランクは情報の出どころと裏づけを表すもので、企業の良し悪しを評価する総合シビックランクとは異なります。
低い情報ランクは虚偽を意味せず、高い情報ランクも記述全体の正しさを保証するものではありません。
