私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、未来の社会を形作ることができます。JR東海リテイリング・プラスの商品やサービスを利用することは、東海道新幹線や在来線の駅で食品・飲料・土産・日用品を届ける仕組み、新幹線車内サービス、東京・名古屋・大阪の食品工場、さらに無人決済やモバイルオーダーといった新しい販売方法を売上によって支えることにつながります。一方で、駅ナカ小売や食品製造は、早朝・深夜を含む勤務、立ち仕事、製造作業、混雑対応など、人の負担が生じやすい仕事でもあります。
今回の評価は56点/100点、シビックランクDです。強みは、2026年春闘でベースアップ8,000円・夏季手当2.7カ月で妥結していること、2025年度の平均残業時間7.8時間・有給休暇取得率76.1%を対象会社単体で公開していること、男性育児休業取得率100%、東京工場のFSSC22000認証、名古屋・大阪工場のJFS-B規格取得などです。
課題も具体的です。2025年度の労働災害は51件、年千人率8.2で、会社自身が掲げる46件・7.0という目標を上回りました。メンタル不調による休職者率も1.0%で、目標0.5%以下には届いていません。また、無人店舗、セルフレジ、モバイルオーダーなどを導入している一方、それによって従業員の残業、必要人数、事故、賃金、休日がどれだけ改善したかを示す公開情報がありません。さらに、東京・名古屋・大阪の3工場を持つものの、1工場が止まった場合にどの商品をどの工場が何割代替できるのか、復旧目標時間や訓練結果についても公開情報がありません。こうした重要情報が公開されていない点は課題であり、採点上も減点対象です。
株式会社JR東海リテイリング・プラスの企業審査結果
評価時点:2026年10月2日
適用基準:企業審査マスター仕様書・100点制
| 評価軸 | 得点 | 主な評価 |
|---|---|---|
| Safety | 37/50 | 2年連続のベア、残業7.8時間、有休76.1%、男性育休100%、食品安全認証を評価。労災51件、メンタル休職率1.0%、男女賃金差、人権対応の結果開示が課題 |
| Innovation | 13/25 | 無人決済、セルフレジ、モバイルオーダーなどを継続導入。導入後の残業・人数・賃金・休日・事故の改善結果が非公表 |
| Protection | 6/25 | 個人情報保護の基本的な安全管理と新幹線車内の緊急対応は確認。代替生産、BCP訓練、復旧時間の公開が弱い |
| 総合 | 56/100 | シビックランクD |
主な強みは、賃上げを実際に労使妥結していること、会社単体の残業・有休・労災を数字で公開していること、育児支援、食品工場の安全認証、駅や新幹線でのサービス改善です。
主な課題は、労災が自社目標を上回っていること、自動化後に働く人へ何が返ったかを数字で示していないこと、工場停止時の代替生産と復旧力、サイバー復旧訓練の成果が見えないことです。
事業内容と人間への貢献
JR東海リテイリング・プラスは、単なる駅売店会社ではありません。駅で商品を売る仕事、自社工場で弁当を作る仕事、新幹線車内で商品を届ける仕事、EC、飲食、フランチャイズ、卸売、自動販売機までを一つの法人で担っています。2026年3月末時点で従業員は約6,400人、店舗数は254店舗、2025年度の取扱高は1,181億円です。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社JR東海リテイリング・プラス |
| 設立 | 2023年10月1日 |
| 成立経緯 | 東海キヨスク株式会社と株式会社ジェイアール東海パッセンジャーズが合併 |
| 資本金 | 7億円 |
| 代表者 | 代表取締役社長 小林 創 |
| 本社 | 東京・名古屋の2本社制。登記上は名古屋 |
| 従業員数 | 約6,400人、2026年3月末 |
| 取扱高 | 1,181億円、2025年度 |
| 店舗数 | 254店舗、2026年3月末 |
| 主な事業 | ストア、新幹線車内サービス、FC・ライセンス、製造、EC、飲食、卸売、自動販売機 |
| 親会社 | 東海旅客鉄道株式会社、出資比率100% |
情報ランク:A・S。
主な事業内容
ストア事業では、東海道新幹線の主要駅や在来線沿線で、弁当、飲料、日用品、土産などを販売します。移動前の短い時間でも一か所で必要なものを買えることは、旅行者だけでなく通勤・通学者にも直接的な利便性があります。JR東海側も、旧2社を統合した目的として、土産・弁当・飲料をワンストップで買える店舗づくりを挙げています。
製造事業では、東京・名古屋・大阪の3工場で弁当、おにぎり、サンドイッチ、惣菜などを製造しています。採用情報によると工場はほぼ24時間稼働し、朝の出荷に合わせて検品、洗浄、仕込み、仕上げを時間帯ごとに行います。駅で食品が並んでいる背景には、夜間を含む製造・出荷の仕事があります。
新幹線車内サービスでは、「のぞみ」「ひかり」のグリーン車で、座席のQRコードから飲料や軽食を注文し、パーサーが座席まで届けるモバイルオーダーを運用しています。2026年10月1日からはSupreme Classでもサービスが始まりました。乗客が販売員を探す必要を減らしつつ、必要なときに商品を受け取れる仕組みです。
事業による人間への貢献
第一の貢献は、移動中の生活物資へのアクセスです。駅を利用する人は、飲料、食事、日用品、土産を移動経路の中で購入できます。店舗数254という規模そのものを加点理由にはしませんが、多くの駅利用者が別の店へ大きく迂回せずに必要品を買えることは、時間と移動の負担を減らします。
第二の貢献は、食事の供給です。東京・名古屋・大阪の自社工場が駅弁やおにぎりなどを作り、主要駅へ納品します。旅行や出張で調理環境を持たない人にとって、移動中に食事を確保できることは実用的な生活支援です。
第三の貢献は、地域商品の販売です。2026年3月に開業したPLUSTA新富士では、富士市のアンテナショップの特設コーナーを設け、地元商品を強化しました。駅の販売網を地域事業者の販路として使うことで、旅行者が地域商品に触れやすくなります。
第四の貢献は、新幹線の移動中のサービスです。モバイルオーダーによって、乗客は座席から注文でき、パーサーが商品を届けます。特に長時間の移動では、飲料や軽食を座席で受け取れることが快適性を高めます。
Safety 37/50
Safetyでは、駅店舗、食品工場、新幹線車内という異なる職場で働く人の賃金・休息・安全と、購入者が口にする食品の安全を確認します。同社は残業、有休、労災、育児などを数字で公開している点が強い一方、労災とメンタル休職の実績には改善余地があります。
賃金・利益の還元 8/10
JR東海リテイリング・プラス労組は、2025年春闘で定期昇給の完全実施、平均8,500円のベースアップ、夏季賞与2.65カ月で妥結しました。2026年春闘でもベースアップ8,000円、夏季手当2.7カ月で妥結しています。2年連続で月例賃金を引き上げているため、一時金だけでなく毎月の給与へ還元している点を高く評価します。
現在の求人でも、駅内ストアスタッフは2025年度賞与5.45カ月実績などが示されています。働く人にとって基本給の引き上げは、物価が上がったときにも翌年以降の生活費を支える効果があります。
8/10点とした理由は、継続的なベアが具体的に確認できる一方、会社全体の賃金中央値、雇用区分別の賃上げ反映率、利益のうちどの程度を人件費へ還元したかまでは公開されていないためです。これらと、非正規を含めた賃上げ結果が継続的に確認できれば10点を検討できます。
情報ランク:A。
労働時間・休息 8/10
2025年度の平均残業時間は月7.8時間、年次有給休暇取得率は76.1%、平均勤続年数は12年です。平均残業7.8時間は、会社単体の現在値として公開されており、長時間労働を判断するうえで重要な情報です。
現在の駅内ストア求人では年間休日120日が示されています。食品工場はほぼ24時間稼働し、Indeedのパーサー投稿では日勤と泊まり勤務の両方があるとの体験談もあります。全社員が同じ時間帯で働く会社ではありません。それでも全社平均残業を7.8時間に抑えていることは評価できます。
8/10点とした理由は、平均残業と有休という実績が具体的で良好だからです。一方、職種・拠点・雇用形態別の残業、深夜勤務後の休息時間、連続勤務の状況、年休取得のばらつきは公開されていません。店舗、工場、パーサーなど働き方が大きく違う会社なので、職種別でも休息が確保されていることが確認できれば10点を検討できます。
情報ランク:A・B。
雇用の安定・待遇の公平性 3/5
2026年3月期の法定開示では、管理的地位にある労働者に占める女性の割合は22.0%、男性育児休業取得率は100%です。一方、男女賃金差は全労働者で76.3%、正規雇用で75.2%、パート・有期労働者で101.2%でした。
この賃金差は、同じ職務の男女に違う賃金を払っていることを直接証明する数字ではありません。職種、役職、勤続年数、勤務時間などの構成差でも変わります。ただし、正規雇用で75.2%という差が出ている以上、役職別・職種別・勤続年数別の内訳と、差を縮める施策の結果を公開することが重要です。
3/5点とした理由は、女性管理職比率と男女賃金差を具体的に開示し、男性育休100%も確認できる一方、正規雇用の男女賃金差が残り、離職率や正規・非正規間のキャリア移行実績も十分に公開されていないためです。構成要因を分解した賃金差と改善結果、雇用区分別の定着率が確認できれば4~5点を検討できます。
情報ランク:S。
福利厚生・育児・介護 5/5
男性育児休業取得率は2026年3月期の法定開示で100%です。現在の求人でも育児休暇、住宅支援、従業員持株制度などの福利厚生を確認できます。
制度があるだけでなく、男性育休100%という利用実績まで確認できるため5/5点としました。育児期の従業員が仕事を辞める以外の選択肢を持ちやすくなることは、雇用継続に直接つながります。
情報ランク:S・A。
人権・ハラスメント・労使関係 3/5
同社は内部通報窓口を設け、正社員だけでなく試用社員、嘱託、専任、契約社員、派遣社員、退職後1年以内の元従業員、取引関係者まで対象にしています。通報情報を守秘し、不正目的でない通報を理由とする不利益取扱いを行わないことも公表しています。
また、2025年・2026年の春闘で労組との具体的な賃金妥結が確認できるため、労使交渉が実際に行われていることも分かります。
3/5点とした理由は、相談・通報の入口と労使交渉は確認できる一方、ハラスメント相談件数、内部通報件数、是正件数、再発率、相談後の救済実績について公開情報がないためです。こうした結果情報が公開されていない点は課題であり、採点上も減点対象です。制度の利用実績と是正成果まで継続開示されれば4~5点を検討できます。
情報ランク:A。
労働安全・健康 6/10
2025年度の労働災害件数は51件、年千人率は8.2でした。会社自身の目標は46件、年千人率7.0であり、実績は目標を上回っています。また、メンタル不調による休職者率は1.0%で、目標0.5%以下の2倍でした。「ときめき職場率」は62.5%で、目標70%以上には届いていません。
一方で、会社は労災を件数だけでなく千人率まで公開し、残業、有休、メンタル休職、職場満足度を同じページで追っています。問題が起きているかどうかを外部から判断できる透明性は評価できます。
6/10点とした理由は、健康・安全KPIを具体的に公開し改善目標まで設定している一方、労災件数とメンタル休職率が会社自身の目標を達成していないためです。労災51件の重症度、発生場所、店舗・工場・車内サービス別の内訳、主因、対策後の減少率も公開されていません。51件を46件以下、千人率を7.0以下、メンタル休職率を0.5%以下へ継続的に改善し、重大度別の事故内訳も公表できれば8点以上を検討できます。
情報ランク:A。
商品・サービスの安全 4/5
東京工場はFSSC22000認証を取得し、名古屋・大阪工場はJFS-B規格を取得しています。食品工場が衛生管理を標準化する仕組みを持っていることは、駅弁やおにぎりを購入する人にとって重要です。
ただし、2025年12月1日に東京工場で製造し東京・品川・新横浜の店舗で販売した「おむすび弁当」190個について、本来使用すべきではない原材料が使用された可能性が判明しました。会社は対象商品と販売店舗を公開し、返金と管理体制強化・再発防止を表明しています。
4/5点とした理由は、食品安全認証と自社工場管理を確認でき、問題発生時にも対象を特定して公表・返金している一方、実際に原材料管理上の問題が起きたためです。原因、工程上の是正内容、再発防止後の監査結果まで公開され、同種事例が継続して抑えられていることが確認できれば5点を再検討できます。
情報ランク:A。
従業員・元従業員の口コミ
Indeedでは2026年9月15日時点で6件の口コミが掲載され、総合評価は3.0です。勤務時間と残業2.0、定着率と昇進1.0、上司との関係1.0など厳しい項目があります。ただし、約6,400人の会社に対して6件なので、会社全体を代表する統計とは扱いません。
2026年9月15日の横浜市の販売スタッフは「有給、希望休、希望日時に必ずとれる。」と投稿しています。一方で人手不足や店舗間の忙しさの差にも言及しています。2026年5月15日のパートリーダーは「新人に対するフォローアップが無い。その為離職率が高い。」と投稿しています。いずれも個人の体験談であり、情報ランクBとして、公式KPIと照合するための補助情報にとどめます。
公式の平均残業7.8時間、有休76.1%は会社全体の実績として優先しますが、口コミに現れる店舗差や新人定着の問題があるなら、拠点別残業、離職率、研修後定着率を会社側が公開することで実態をより正確に判断できます。
情報ランク:B。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイ等について、会社名・旧社名と「残業」「給料」「パワハラ」「労災」「自動化」「人員削減」「配置転換」などを組み合わせて確認しました。今回の検索範囲では、対象法人との関係が判断でき、投稿本文まで確認できる現在の従業員・元従業員情報で、採点根拠として利用できるものは確認できませんでした。
有用な投稿が見つからなかったことは、問題が存在しないことの証明ではありません。Safetyの採点は、会社が公開する現在のKPI、法定開示、労組資料、本文を確認できたIndeedの口コミを中心に行っています。
Innovation 13/25
Innovationでは、無人化やデジタル化そのものではなく、それによって人が担う作業、待ち時間、危険、残業がどれだけ減り、その成果が賃金・休日・安全へ戻ったかを評価します。同社はサービス導入の速度は速い一方、人への事後効果の数字が不足しています。
作業負担・危険の削減 4/10
2024年4月、東京駅の東海道新幹線ホームに無人店舗「TOKYO BANANA express」を開業しました。上部カメラと棚センサーで商品を判別し、利用者はレジで商品を読み取らずにキャッシュレス決済できます。2026年3月のPLUSTA新富士では、レジを2台から3台へ増やし、そのうち1台をセルフレジとして、混雑時の待ち時間短縮を掲げています。
これらは、会計の読み取りやレジ待ちを減らし得る技術です。しかし、導入前後で店員のレジ対応時間が何時間減ったか、レジ担当人数がどう変わったか、品出しや接客へ何時間振り替えたか、残業や労災がどう変化したかについて公開情報がありません。
4/10点とした理由は、人が行っていたレジ工程の一部を機械へ移す具体的な導入が確認できる一方、働く人の負担や危険が実際に減った結果を定量確認できないためです。導入前後の作業時間、歩数、残業、必要人数、労災、顧客待ち時間を公開し、人間側の改善が確認できれば6~8点を検討できます。
情報ランク:A。
商品・サービスの改善 5/5
東海道新幹線のモバイルオーダーでは、グリーン車の座席QRコードから注文し、パーサーが席まで商品を届けます。2025年にはクレジットカードやQR・バーコード決済へ支払方法を拡大し、2026年10月1日からはSupreme Classにもサービスを広げています。
店舗側でも、無人決済、セルフレジ、駅店舗の集約・大型化、地域商品の拡充が続いています。利用者にとって「短い乗換時間で買う」「座席を離れずに注文する」「混雑時の会計を早める」という具体的な改善が複数年で継続しています。
5/5点とした理由は、商品販売と車内サービスの両方で、利用者が実際に使える改善を継続的に実装しているためです。
情報ランク:A。
改善成果の人間への還元 0/5
無人店舗、セルフレジ、モバイルオーダーなどの効率化によって、従業員の残業が何時間減ったのか、基本給がいくら上がったのか、休日が何日増えたのか、身体負担や事故が何件減ったのかを示す公開情報がありません。
2025年・2026年のベースアップや、全社平均残業7.8時間は明確な長所ですが、それらが無人化・デジタル化によって生じた生産性向上の還元だと結びつける資料はありません。因果関係を推測して加点しません。
そのため0/5点です。設備導入前後の必要人数、配置転換、採用、契約更新、残業、賃金、休日、労災を時系列で公開し、効率化後に複数の項目で改善が分かれば3~5点へ上げられます。
情報ランク:A。重要な成果情報は非公表。
研究開発・現場改善の継続 4/5
2024年の無人店舗、2025年のモバイルオーダー決済拡張、2026年のセルフレジ増設とSupreme Class向けモバイルオーダーなど、販売とサービスの改善は複数年にわたって続いています。
4/5点とした理由は、単発の実証ではなく実店舗・実列車で改善を継続している一方、改善提案件数、導入前後の人時削減、労災削減、残業削減などを横断的に測る成果指標が公開されていないためです。改善活動と人間への効果を継続的なKPIで公開できれば5点を検討できます。
情報ランク:A。
自動化・AI導入後の雇用状況
2026年3月末の従業員数は約6,400人です。無人店舗やセルフレジを導入した後も会社全体で多数の従業員を雇用していることは確認できます。
しかし、自動化前後の対象店舗の従業員数、レジ担当者数、配置転換人数、契約終了、採用抑制、希望退職、賃金、残業、休日の変化について公開情報がありません。現在の会社全体の従業員数だけでは、自動化が雇用を減らしたのか、他業務へ人を移したのか、採用難を補ったのかを判定できません。
従業員口コミ、一般SNS、匿名掲示板も追加確認しましたが、自動化導入後の雇用変化を対象店舗・時期まで特定できる公開情報は今回確認できませんでした。自動化の人間への還元を評価するには、対象業務ごとの時系列開示が必要です。
Protection 6/25
Protectionでは、地震、豪雨、停電、工場停止、サイバー攻撃などが起きたときにも、駅利用者が必要な食品やサービスへアクセスできるかを評価します。3工場や多数店舗が存在すること自体と、停止時に実際に代替・復旧できることは分けて採点します。
災害への備え・訓練 1/5
新幹線車内サービスでは、不測の事態が起きた際にJR東海の車掌やクルーと協力して対応すると公式に説明しています。
一方、JR東海リテイリング・プラス単体の防災訓練回数、訓練参加率、店舗・工場の非常電源、備蓄量、対策本部訓練、訓練後の改善結果について、公開情報がありません。こうした重要情報が公開されていない点は課題であり、採点上も減点対象です。
そのため1/5点です。全拠点を対象とする訓練実績、停電・地震・火災時の行動、訓練で発見した問題と是正結果まで確認できれば3点以上を検討できます。
情報ランク:A。
生産・物流・調達の代替 0/5
同社は東京・名古屋・大阪に3つの食品工場を持っています。地理的に分散していることは、単一工場だけの企業より代替余地がある可能性を示します。
しかし、東京工場が停止した場合に名古屋・大阪工場がどの商品を何個追加生産できるのか、原料調達先を切り替えられるのか、物流や配送便をどう切り替えるのか、実際に代替生産訓練をしたことがあるのかについて公開情報がありません。
複数工場があるだけで「代替できる」と推測して加点しないため0/5点です。代替対象商品、能力、輸送経路、切替手順と訓練結果が公表されれば3~5点を検討できます。
情報ランク:A。重要な代替能力情報は非公表。
サイバー防衛・情報保護 2/5
プライバシーポリシーでは、個人情報保護管理者の設置、社内規程・マニュアル、社員教育、委託先監督、内部監査などを公表しています。個人データの漏えい・滅失・毀損防止の安全管理措置を講じることも明記しています。
2/5点とした理由は、基本的な管理体制は対象会社単体で確認できる一方、MFAの適用範囲、EDR・SOCの運用、外部侵入テスト、バックアップ分離、復元訓練、インシデント件数、RTO・RPOなどの成果情報が公開されていないためです。対策の存在だけでなく、攻撃を受けても業務を継続・復旧できる結果が確認できれば3~5点を検討できます。
情報ランク:A。
供給継続・復旧能力 1/5
254店舗、3工場、複数支社・支店を持つため、事業拠点は分散しています。
一方、工場、店舗システム、EC、決済、モバイルオーダーが停止した場合の復旧目標時間、実際の復旧訓練時間、手作業への切替方法、代替システムの稼働実績について公開情報がありません。重要な復旧情報が公開されていない点は課題であり、採点上も減点対象です。
そのため1/5点です。主要システムと工場ごとのRTO、バックアップ復元訓練、手動代替、訓練時の復旧時間を公表し、目標内で戻せた実績が確認できれば3点以上を検討できます。
情報ランク:A。
危機時の市民への対応 2/5
新幹線車内では、不測の事態にパーサーがJR東海の車掌・クルーと協力する運用が明示されています。交通機関内で体調不良や運行上の異常が起きた場合、乗客を支える側として動くことは市民への直接的な危機対応です。
一方、自治体との物資供給協定、災害時の食品・飲料無償提供、避難所支援、実災害での供給数量など、JR東海リテイリング・プラス単体の現在の具体的な市民支援実績について公開情報がありません。
そのため2/5点です。鉄道内の緊急対応は評価しますが、広域災害時の直接支援と供給実績まで確認できれば3~5点を検討できます。
情報ランク:A。
良いニュース・最近の前向きな動き
直近の良い動きでは、賃金を毎月の基本給へ返すベースアップと、駅での買い物・新幹線車内サービスの改善が目立ちます。利用者への便利さだけでなく、働く人への利益還元が実際に確認できる2026年春闘は、今回の評価で特に重要です。
2026年4月:ベースアップ8,000円、夏季手当2.7カ月で妥結
JR東海リテイリング・プラス労組は2026年4月23日、ベースアップ8,000円、夏季手当2.7カ月で妥結しました。前年2025年も平均8,500円のベースアップを実施しており、2年続けて月例賃金を引き上げています。
例えば物価が上がって食費や光熱費が増えた場合、一時金だけでなく基本給が上がれば毎月の家計を支えやすくなります。企業の商品・サービスを利用することで、その売上が賃上げを継続できる事業基盤の一部になる点は、Safety上の具体的な長所です。
情報ランク:A。
2026年3月:PLUSTA新富士でセルフレジを導入
PLUSTA新富士はレジを2台から3台へ増やし、そのうち1台をセルフレジとして、混雑時の待ち時間短縮を掲げました。地元商品の特設コーナーと日配品も拡充しています。
例えば新幹線の発車時刻が迫っているとき、レジ待ちが短くなれば買い物を諦めずに済みます。働く側についても会計作業の一部を利用者が担うため負担軽減の可能性がありますが、従業員の作業時間が実際に何時間減ったかは公表されていません。このため利用者への改善は評価し、従業員への効果は先取りして加点していません。
情報ランク:A。
2026年10月:Supreme Classへモバイルオーダーを拡張
2026年10月1日から、Supreme Classでもモバイルオーダーを開始しました。グリーン車と同様、利用者が座席から注文し、パーサーが届ける方式です。
乗客が車内を移動したり販売員を探したりする必要を減らすサービス改善です。一方、パーサー側の歩行距離、注文処理時間、必要人数、残業への影響は今後の評価材料です。
情報ランク:A。
悪いニュース・問題となった動き
購入者が知るべき問題は、2025年末の食品原材料管理の事例と、2025年度の労災・メンタル休職KPIです。会社が問題を公開している点は透明性として評価しますが、公開したことによって問題そのものが消えるわけではありません。
2025年12月:おむすび弁当190個で原材料管理上の問題
2025年12月1日に東京工場で製造し、東京・品川・新横浜の店舗で販売した「おむすび弁当」190個について、本来使用すべきではない原材料が使用された可能性が判明しました。会社は対象商品、販売日、販売店舗を公表し、購入者への返金と管理体制強化・再発防止を表明しました。
駅弁は購入者が製造工程を確認できないため、原材料を正しく管理することは食品販売会社の基本的な責任です。今回、対象範囲を特定して公表したことは評価できますが、商品・サービス安全を満点にしない具体的な理由です。今後は原因と再発防止策、その後の監査結果まで追う必要があります。
情報ランク:A。
2025年度:労働災害51件、メンタル休職率1.0%で自社目標未達
2025年度の労働災害は51件、年千人率8.2で、目標46件・7.0を上回りました。メンタル不調による休職者率も1.0%で、目標0.5%以下を達成していません。「ときめき職場率」も62.5%で目標70%以上に届いていません。
例えば店舗で転倒や負傷が増えたり、工場で身体負担が蓄積したり、精神的不調で休職する人が増えれば、本人の健康だけでなく、残った従業員の負担にもつながります。件数を公開していることは改善の出発点ですが、今後は事故の重大度・原因・拠点別内訳と、対策後にどれだけ減ったかまで示す必要があります。
情報ランク:A。
2024年:無人店舗で販売価格設定の誤り
東京駅の無人店舗「TOKYO BANANA express」では、2024年5月31日から6月23日まで、一部会計で土産商品の価格を誤って高く設定して販売していたことが判明し、会社は差額返金を案内しました。
無人決済は会計を省力化できますが、設定ミスがあると人がその場で気づかないまま複数の会計へ広がる可能性があります。自動化では省人効果だけでなく、価格マスターの二重確認、異常検知、返金まで含む安全設計が必要です。
情報ランク:A。
総合評価と、これから改善してほしいこと
現在は56点・シビックランクDです。次のCは60点からなので、あと4点必要です。強みは、2026年もベースアップを継続し、平均残業7.8時間、有休76.1%、男性育休100%、食品安全認証など具体的な実績を持つことです。弱点は、自動化の成果が働く人へどう返ったか、労災がどう減るか、1工場・1システムが止まったときにどう代替し何時間で戻すかが見えないことです。
自動化の成果を残業・賃金・休日・安全へ返す:改善成果の人間への還元 0→3/5
現在、「改善成果の人間への還元」は0/5点です。無人店舗、セルフレジ、モバイルオーダーは確認できますが、導入前後の必要人数、配置転換、残業、賃金、休日、事故の変化が公開されていません。
改善条件は、対象店舗・サービスごとに導入前後の人時、残業、従業員数、配置転換、契約更新、賃金、休日、労災を時系列で公開し、少なくとも複数の人間側指標で実際の改善が確認できることです。その場合、0→3点、プラス3点を想定できます。総合点は56→59点となり、単独ではDのままですがCまであと1点になります。
参考企業はキリングループロジスティクス株式会社です。Google Drive上の最新版企業審査は65点・C、Innovation 20/25点で、「改善成果の人間への還元」は3/5点です。同社は業務改善・多能工化を背景に年間所定労働時間を1,920時間から1,896時間へ24時間短縮し、その勤務設計を継続しています。自動化・改善で生まれた余力を、働く人の時間へ戻したことを具体的に確認できるため参考になります。
従業員にとっては、技術が「人を減らす仕組み」だけでなく、「残業や疲労を減らし、生活時間を増やす仕組み」になることが重要です。
労災とメンタル休職を自社目標以下へ下げる:労働安全・健康 6→8/10
現在の「労働安全・健康」は6/10点です。2025年度は労災51件・千人率8.2、メンタル不調休職率1.0%で、いずれも会社目標を達成していません。
改善条件は、労災を46件・千人率7.0以下、メンタル不調休職率を0.5%以下へ改善し、事故の重症度、発生場所、原因、対策、再発件数を継続公開することです。良好な改善が継続すれば6→8点、プラス2点を想定できます。総合点は56→58点となります。
参考企業はアスクル株式会社です。Google Drive上の最新版企業審査は74点・Bで、労働安全・健康は8/10点です。2025年5月期単体で死亡0、重度0、軽度2など、事故の結果を具体的に公開している点を評価しています。重要なのは制度の有無ではなく、「何件起き、重大事故が何件で、改善後どうなったか」を追えることです。
事故や休職が減れば、負傷・療養する本人だけでなく、欠員を補う周囲の従業員の負担も減ります。
3工場を実際の代替生産網にする:生産・物流・調達の代替 0→3/5
現在の「生産・物流・調達の代替」は0/5点です。東京・名古屋・大阪の3工場はありますが、1工場停止時に他工場がどの商品をどれだけ代替できるかについて公開情報がありません。
改善条件は、主要商品ごとの代替工場、追加生産可能量、原料の代替調達先、代替配送ルート、切替判断者を定め、実際の訓練で切替時間と供給維持率を測ることです。実用的な代替能力が確認できれば0→3点、プラス3点を想定でき、総合59点になります。
参考企業はキリングループロジスティクス株式会社です。最新版企業審査は65点・Cで、「生産・物流・調達の代替」は5/5点です。平時からトラック、鉄道、内航海運を組み合わせ、鉄道が災害等で止まった場合にトラック等へ切り替えるバックアップ輸送協定まで持っています。
例えば東京工場が止まっても、名古屋または大阪で一部商品を代替し別ルートで首都圏へ運べるなら、駅で食事が必要な人への供給を維持しやすくなります。同時に、停止した拠点の従業員へ無理な復旧作業を集中させる必要も減らせます。
サイバー復旧力を「方針」から「訓練結果」へ進める:サイバー防衛・情報保護 2→3/5
現在の「サイバー防衛・情報保護」は2/5点です。個人情報保護管理者、規程、教育、内部監査は公表されていますが、外部侵入テスト、SOC、バックアップ復元訓練、RTO・RPOなどの結果は公開されていません。
改善条件は、重要システムのMFA・EDR等の対象範囲、分離バックアップ、復元訓練、外部評価、インシデント件数、復旧目標時間と訓練時の実績を公表し、実際に目標時間内で復旧できることを示すことです。これが確認できれば2→3点、プラス1点を想定できます。総合点は56→57点です。
参考企業はキリングループロジスティクス株式会社です。最新版企業審査ではサイバー・情報Protection 4/5点で、対象会社を含むグループのCSIRT、SOC、自動検知、多層防御などが確認されています。
次のランクへ上がるための具体例
現在56点・Dで、Cの下限60点まであと4点です。
「改善成果の人間への還元」を0→3点にしてプラス3点、「サイバー防衛・情報保護」を2→3点にしてプラス1点になれば、総合56→60点となりCへ到達します。
別の組み合わせなら、「労働安全・健康」を6→8点でプラス2点、「サイバー防衛・情報保護」を2→3点でプラス1点にしたうえで、「災害への備え・訓練」を1→2点へ改善すれば、同じく60点です。
公開しただけで自動的に加点するのではありません。公開内容から、実際に残業が減った、事故が減った、供給を切り替えられた、復旧目標を守れたという成果が確認できた場合に点数を更新します。
出典一覧
- 株式会社JR東海リテイリング・プラス「JR-PLUSについて」
- 東海旅客鉄道株式会社「連結子会社」
- 株式会社JR東海リテイリング・プラス「健康経営の取り組み」
- 日本鉄道労働組合連合会「JR連合NEWS ~2026春闘~ No.24」
- 日本鉄道労働組合連合会「JR連合NEWS ~2025春闘~ No.26」
- 東海旅客鉄道株式会社 2026年3月期有価証券報告書・連結子会社人的資本情報
- マイナビ転職「株式会社JR東海リテイリング・プラス」求人情報
- 株式会社JR東海リテイリング・プラス「内部通報窓口について」
- 株式会社JR東海リテイリング・プラス「事業内容」
- 株式会社JR東海リテイリング・プラス「TOKYO BANANA express」
- 株式会社JR東海リテイリング・プラス「PLUSTA新富士」
- 株式会社JR東海リテイリング・プラス「モバイルオーダーサービス」
- 株式会社JR東海リテイリング・プラス「Supreme Class限定モバイルオーダーサービス」
- Indeed「株式会社JR東海リテイリング・プラスの社員クチコミ・評判」
- 株式会社JR東海リテイリング・プラス「おむすび弁当(東京工場製造分)に関するお詫びとお知らせ」
- 株式会社JR東海リテイリング・プラス「事業内容・緊急時の対応」
- JR東海「グループ事業~沿線都市と移動の価値向上~」
- 株式会社JR東海リテイリング・プラス採用サイト「食品製造職/食品工場」
- 株式会社JR東海リテイリング・プラス「プライバシーポリシー」
- 株式会社JR東海リテイリング・プラス「土産商品の販売価格に関するお詫びとお知らせ」2024年6月25日
シビックランクの基準
| ランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、または氏名・役職・立場が確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
