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株式会社MonotaROの企業審査|78点・シビックランクB|高い利便性と労働環境の数値開示、商品安全には課題

企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることは、その企業に売上と需要を渡すことでもあります。企業を選ぶことで、私たちは間接的に、その会社の労働環境、商品の安全性、技術開発、災害対応、社会への向き合い方を支えています。

では、工場用品・工具・事務用品などをインターネットで販売する株式会社MonotaROは、人間にどれだけ貢献している企業なのでしょうか。

今回の調査では、株式会社MonotaROは78点/100点、シビックランクBと評価しました。

最大の強みは、約2,800万点規模の商品群と大規模物流網、データ活用によって、企業や作業現場の「資材を探し、比較し、発注し、受け取る」という仕事を大幅に効率化していることです。2025年には正社員の月平均残業時間15.8時間、有給休暇取得率80.9%、男性の育休取得率83%、健康診断受診率100%など、労働環境についてもかなり具体的な数値を公開しています。

一方で、2026年5月にはMonotaRO名義で販売したパイプ丸イスで、使用中の破損による転倒・負傷事故が発生しました。調査の結果、溶接強度にばらつきがあることが判明し、対象ロットを全数回収しています。過去にも自社ブランドの充電式電動ドライバーについて、発煙・発火のおそれから回収した事例があります。商品安全は同社の事業の根幹であり、この部分は高い事業利便性や利益成長では相殺できません。

目次

先に結論

評価項目得点
Safety37 / 50
Innovation23 / 25
Protection18 / 25
総合点78 / 100
シビックランクB
情報ランクA

MonotaROは、「人の仕事を楽にする」という意味では非常に分かりやすい社会的価値を持つ企業です。

ネット通販による間接資材調達、膨大な品揃え、迅速な配送、物流自動化、検索技術などは、工場・建設・整備・清掃・オフィスなど幅広い仕事から「探す」「買いに行く」「発注する」「運ぶ」といった時間を減らしています。

また、残業、有休、育休、女性管理職比率、男女賃金差、健康診断受診率などを継続的に数値公開している点も評価できます。

ただし、2026年の負傷事故を伴うパイプ丸イス回収は軽視できません。さらに、労働災害件数・休業災害度数率など、物流現場そのものの安全実績を判断できる詳細なKPIを今回確認できなかったため、労働安全について制度の存在だけで高得点にはしていません。

男女の賃金差も、2025年は全労働者で女性58.0%、正規雇用労働者でも72.0%となっています。同社は職位・雇用形態ごとの人数構成によるものと説明していますが、結果として大きな差が存在する以上、改善余地があります。


株式会社MonotaROとは

株式会社MonotaROは2000年10月設立の、事業者向け工場用間接資材を中心とする通信販売企業です。本社は大阪市北区のJPタワー大阪にあり、代表執行役社長は田村咲耶氏です。資本金は2025年12月末時点で20億4,800万円。株主にはGRAINGER GLOBAL HOLDINGS, INC.などが名を連ねています。

2025年度の連結売上高は3,338億8,000万円、営業利益461億9,200万円、親会社株主に帰属する純利益324億3,400万円でした。2026年度について会社は売上高3,813億7,900万円を予想しています。

2025年末にはウェブサイト上の取扱商品が約2,885万点、在庫商品が約68.8万点、登録会員数が約1,126万口座に達しています。

つまりMonotaROは、単純な「工具の通販会社」というより、日本の工場・建設現場・整備・物流・事務などを支える巨大な資材調達インフラに近い存在になっています。


MonotaROが人間に提供している価値

MonotaROの社会的な役割を考える際、最も重要なのは「商品そのもの」だけではありません。

同社の価値は、従来なら担当者がカタログを調べたり、複数の販売店へ問い合わせたり、ホームセンターや専門店を回ったりしていた間接資材調達を、一つのサイトへ集約しているところにあります。

会社自身も、「商品の検索、発注、配送、支払い」という一連の調達プロセスをデータとテクノロジーで効率化し、顧客に「時間」という資源を提供すると説明しています。現在は2,800万点を超える品揃えと70万点前後の在庫商品を組み合わせています。

これは人間への貢献としてかなり明確です。

工具そのものを発明していなくても、

  • 必要なものを探す時間を減らす
  • 店まで買いに行く時間を減らす
  • 相見積もりや発注作業を簡略化する
  • 在庫切れによる現場停止を減らす
  • 購買担当者の事務作業を減らす
  • 小規模事業者でも多数の商品へアクセスできる

といった効果があります。

つまりMonotaROが売っているものは工具や消耗品ですが、社会に提供している大きな価値の一つは**「仕事に必要な物を手に入れるために人間が使う時間の削減」**です。


物流自動化は作業者の負担削減にもつながる

MonotaROは物流センターでも自動化を進めています。

商品棚そのものを作業者のいるステーションまで自動搬送する仕組みや、プロジェクションマッピングによるピッキング指示、注文単位での商品自動整列、商品の大きさに合わせた段ボールの自動成形、封函・送り状貼付の自動化などを導入しています。

これらは単なる企業側の人件費削減だけではなく、物流作業者が倉庫内を長距離歩いて商品を探す作業や、判断を繰り返す負担を減らす効果があります。

そのためInnovationでは、「人間の負担を技術によって減らしている」という点を高く評価しました。


労働環境

給与

2025年度有価証券報告書に基づく単体正社員等931人の平均年間給与は約719万円、平均年齢37.0歳、平均勤続年数5.5年です。平均年収は2021年約556万円、2022年585万円、2023年627万円、2024年706万円、2025年719万円と上昇しています。

給与水準そのものは比較的高く、会社の利益成長に伴って平均給与も増加している点は評価できます。

ただし、これは正社員を中心とした提出会社の平均値です。物流などではアルバイトや派遣社員も多数働いているため、この719万円だけで全労働者の待遇を判断することはできません。


残業と休暇

2025年の正社員の平均残業時間は月15.8時間でした。

有給休暇取得率は全従業員で88.8%、正社員80.9%、アルバイト94.0%です。

数年間の推移を見ても、正社員の月平均残業時間は2021年15.5時間、2022年16.5時間、2023年16.2時間、2024年16.1時間、2025年15.8時間と安定しています。

少なくとも会社全体の公開数値を見る限り、極端な長時間労働を前提にした会社とは判断しにくい状況です。


育児支援

2025年の育児休業等取得率は全体85%、男性83%、女性88%でした。

さらに2025年には厚生労働大臣による「プラチナくるみん」と「プラチナえるぼし」の認定も受けています。

制度を用意するだけでなく、男性83%という実際の取得率まで公開されていることは評価できます。


健康管理

2025年の健康診断受診率は100%、ストレスチェック受検率は88.2%でした。

定期健康診断だけでなく、インフルエンザ予防接種、メンタルヘルス研修、外部カウンセラーへの相談制度なども設けています。

ただし、健康診断受診率と労働安全は別問題です。

物流センターを持つ企業である以上、本来は休業災害件数、労災度数率、重大事故件数などの結果指標も重要です。今回確認した公開資料では、これらについて十分比較できる継続的な数値を確認できませんでした。

そのため「健康制度がある=安全な会社」とは評価していません。


男女格差

2025年の女性従業員比率は60.5%ですが、正社員に限定すると38.0%です。

女性管理職比率は20.9%で、会社は2030年までに25%を目標としています。

一方で、男女の賃金差は、

区分女性の賃金/男性の賃金
全労働者58.0%
正規雇用72.0%
有期アルバイト93.6%

となっています。

会社は性別によらず能力に基づく評価・登用を行っており、差は雇用形態や職位の男女構成によるものと説明しています。

これは「同じ仕事をする女性に男性の58%しか支払っている」という意味ではありません。

しかし、社会全体への結果として、女性が低賃金の雇用形態・役職に多く配置されている構造が存在する可能性を示す数字でもあります。

したがって、差別が確認されたとは判断しない一方、結果として生じている大きな賃金差そのものは改善課題として扱いました。


人権・ハラスメント

MonotaROは「国際人権章典」やILOの労働基準を参照した人権方針を策定しています。

人種、民族、宗教、性別、年齢、国籍、性的指向・性自認、障害、職種、雇用形態などを理由とする差別やハラスメントを認めないとし、全従業員を対象に年1回、ハラスメント研修やGraingerのビジネスコンダクトガイドライン研修を実施しています。

サプライヤーにも、人権・労働、安全衛生、環境、公正取引、品質、安全性、情報セキュリティなどを求める調達ガイドラインを設けています。

制度設計は評価できます。

一方、労働組合はありません。労使関係について会社側は良好と説明していますが、独立した労働者組織によるチェックとは異なります。


従業員口コミ

会社公式情報だけでは実際の職場を判断できないため、口コミも補助情報として確認しました。

OpenWorkでは168件の社員口コミを基に総合評価4.03、月平均残業13.5時間、有休消化率77.4%となっています。特に「風通しの良さ」4.6、「法令順守意識」4.4などが比較的高く評価されています。一方、「人材の長期育成」は2.8です。

転職会議では301件の口コミがあり、残業時間は月20時間、有給消化率81.1%となっています。部署によっては残業の多さを指摘する投稿もあります。

Indeedでは33件の口コミを基に総合2.7/5で、勤務時間・残業2.5、定着率・昇進2.3、企業文化2.5と低めです。

口コミサイトによって評価にはかなり差があります。

したがって匿名・投稿型口コミだけから「MonotaROは働きやすい」「働きにくい」と断定することはできません。

ただし、公式の残業15.8時間、OpenWork13.5時間、転職会議20時間という数字は大きく乖離しておらず、少なくとも労働時間については複数情報がある程度整合しています。

Indeedの低評価については、物流・アルバイトなど正社員本社部門とは異なる労働環境が混在している可能性にも注意する必要があります。


SNS・匿名掲示板

Xなど一般SNSについても従業員・物流現場・労働環境を中心に確認しましたが、今回の検索範囲では、企業全体の労働環境を判断できるだけの具体性と信頼性を備えた投稿は十分確認できませんでした。

匿名掲示板では5ちゃんねるにMonotaROのスレッドがあり、配送の遅れや当日出荷表示などサービス利用者側の不満が確認できます。例えば2021年の投稿では、当日出荷の商品でも配送会社の都合から受け取りまで日数を要したという不満が書かれています。

ただし匿名投稿であり、現在の配送体制や企業全体の品質を示す証拠としては扱いません。

SNS・掲示板で有力な問題が確認できなかったこと自体を加点材料にもしていません。


Safety|37 / 50点

1.賃金・利益還元 8 / 10

2025年平均年間給与は約719万円で、数年間上昇しています。会社の業績拡大と給与増加が同時に見られる点を評価しました。

一方、全労働者の男女賃金差58%や、多数のアルバイト・派遣労働者がいることを踏まえ満点とはしていません。

8 / 10点

2.労働時間・休息 9 / 10

正社員月平均残業15.8時間、有休取得率80.9%、全体88.8%は良好な水準です。

口コミサイトでも残業13.5~20時間程度となっており、公式数値との極端な矛盾は見られません。

9 / 10点

3.雇用安定・公平性 3 / 5

女性管理職20.9%まで上昇している一方、正規雇用男女賃金差72.0%は改善余地があります。

3 / 5点

4.福利厚生・育児介護 5 / 5

男性育休取得率83%、健康診断100%、プラチナくるみん認定など、制度と実績の双方が確認できます。

5 / 5点

5.人権・ハラスメント・労使 4 / 5

人権方針、ILO基準参照、ハラスメント研修、通報制度、サプライヤーガイドラインまで整備されています。

一方、実際の相談・是正件数など、制度の成果を判断できる公開情報は限定されています。

4 / 5点

6.労働安全・健康 6 / 10

健康診断100%、ストレスチェック88.2%などは評価できます。

しかし物流拠点を運営する企業として重要な労災発生件数、休業災害度数率、重大災害件数などを十分確認できませんでした。

公開情報がない部分を「事故がない」と推測して加点しません。

6 / 10点

7.商品・サービス安全 2 / 5

2026年、パイプ丸イスの使用中に破損し、利用者が転倒・負傷する事故が発生しました。溶接強度のばらつきが判明し、対象ロット全数回収となっています。

さらに2022年には自社ブランドのUSB充電式電動ドライバー4,016台について、充電時の発煙・発火のおそれから自主回収を実施しています。

同社は2025年から「商品品質・信頼性・安全性」をマテリアリティに追加していますが、実際に負傷事故が起きている以上、制度の追加だけで高評価にはできません。

2 / 5点

Safety合計:37 / 50点


Innovation|23 / 25点

1.人間の負担・危険の削減 9 / 10

約2,800万点規模の商品を検索・購入できる仕組みにより、資材調達に使う時間を減らしています。物流現場でも搬送・ピッキング・梱包などを自動化しています。

これは「人間が行わなくてもよい単純作業を技術へ移す」という意味で高く評価できます。

9 / 10点

2.商品・サービス改善 5 / 5

置き配、配送日時指定、17時までの注文で最短当日出荷する地域の拡大、検索技術改善、取扱商品拡大など、継続的なサービス改善が確認できます。

5 / 5点

3.技術成果の人間への還元 4 / 5

技術を単なる利益率改善だけではなく、利用者の検索・発注時間や物流作業者の負担削減に利用していることを評価します。

人材面でも1on1、成長計画制度、キャリアアップ休職などがあります。

4 / 5点

4.継続性 5 / 5

物流設備、検索技術、商品数、配送サービスの改善を複数年継続しており、一度限りの実証実験ではありません。

5 / 5点

Innovation合計:23 / 25点


Protection|18 / 25点

1.災害対応・訓練 4 / 5

能登半島地震では2024年1月2日の経済産業省からの要請を受け、ゴム手袋、軍手、ポリ袋、防災・清掃・衛生用品などを供給しました。その後、石川県と災害時の生活必需物資供給協定を締結しています。

実際の災害対応実績は高く評価できます。

一方、社内BCP訓練の頻度や結果を具体的に確認できる情報が限定的なため満点にはしません。

4 / 5点

2.代替性・供給網 4 / 5

笠間DC、猪名川DC、茨城中央SCなど複数物流拠点を持ちます。

ただし会社自身、主要3拠点に物流機能の7割以上を依存しており、大規模災害時の集中リスクを認識しています。

4 / 5点

3.サイバーセキュリティ 3 / 5

注文の99%以上をインターネット経由で受け付けるため、サイバーセキュリティは極めて重要です。

MonotaROはアクセス制御、不正アクセス・マルウェア対策、個人情報管理規程、従業員教育などを公表しています。

一方で、攻撃検知実績、セキュリティ監査結果、可用性指標など具体的な成果データは十分公開されていません。

3 / 5点

4.障害・災害からの復旧 3 / 5

会社はシステム障害、サイバー攻撃、不正アクセス、自然災害などを重要リスクとして認識し、未然防止や対応体制整備を行っているとしています。

ただし、復旧時間目標、バックアップ体制、実際の復旧訓練成果などは十分公開されていません。

3 / 5点

5.市民・利用者への対応 4 / 5

災害時の物資供給に加え、不具合商品について回収専用窓口を設け、返品・返金対応を行っています。パイプ丸イス事故でも使用中止を告知した後、調査を進めて全数回収へ拡大しています。

事故そのものはSafetyで減点していますが、事故後の対応は別に評価しました。

4 / 5点

Protection合計:18 / 25点


良いニュース

企業の評価では、不祥事だけを見るのではなく、人間への貢献を実際に増やした出来事も確認する必要があります。MonotaROでは、労働・災害対応・環境・物流改善で具体的な前進が見られました。

プラチナえるぼし・プラチナくるみんを取得

2025年、女性活躍推進に関する「プラチナえるぼし」と、子育て支援に関する「プラチナくるみん」の認定を受けています。

単なる制度公表だけではなく、男性育休83%などの実績も伴っている点を評価できます。

災害時の物資供給体制を強化

能登半島地震で実際に物資供給を行った後、石川県と災害協定を締結しています。

通販・物流会社として保有している品揃えと物流ネットワークを、平時の利益だけでなく災害時にも社会へ還元している事例です。

再生可能エネルギーの利用を拡大

笠間DC、茨城中央SC、猪名川DC、本社などで再生可能エネルギーや非化石証書を活用し、2025年のScope1+2マーケット基準排出量は648t-CO₂となっています。2020年の2,697t-CO₂から大きく低下しています。


悪いニュース

MonotaROは非常に多くの商品を扱うため、他社製商品の回収情報も多数掲載しています。そのため「MonotaROサイトに回収情報がある」というだけでMonotaRO自身の品質問題とは扱えません。ここでは、同社自身の責任との関係が強いものを区別します。

2026年、パイプ丸イスで負傷事故

2026年5月、MonotaRO名義のパイプ丸イスが使用中に破損し、利用者が転倒・負傷しました。

調査では溶接強度にばらつきがあることが判明し、最終的に対象ロット全数の回収となりました。

商品安全を評価する上では、今回の調査で最も重いマイナス材料です。

過去には充電式電動ドライバーも回収

2022年には、MonotaROのUSB充電式電動ドライバーについて、充電中に発煙・発火する可能性があるとして4,016台を回収・返金しています。

一度だけではなく、自社ブランド商品の品質管理という継続的な課題として見る必要があります。


低得点になった理由を整理

今回の減点は、すべて同じ理由ではありません。

種類主な内容
確認された問題2026年パイプ丸イス破損・負傷事故、過去の自社ブランド商品回収、男女賃金差
重要情報の非公表・不足労災件数・度数率、詳細なBCP訓練成果、システム復旧目標など
調査上の制約SNS・匿名掲示板では全社的実態を確認できる信頼性の高い情報が限定的

ここは重要です。

「公開情報がない」ことと、「事故が起きている」ことは同じではありません。

労災KPIが十分公開されていない部分は透明性の不足として減点し、パイプ丸イス事故は実際に確認された安全問題として別に減点しています。


項目別採点

分野項目点数
Safety賃金・利益還元8 / 10
労働時間・休息9 / 10
雇用安定・公平3 / 5
福利厚生・育児介護5 / 5
人権・ハラスメント・労使4 / 5
労働安全・健康6 / 10
商品・サービス安全2 / 5
Safety小計37 / 50
Innovation人間の負担・危険削減9 / 10
商品・サービス改善5 / 5
技術成果の人間への還元4 / 5
継続性5 / 5
Innovation小計23 / 25
Protection災害対応・訓練4 / 5
代替性・供給網4 / 5
サイバーセキュリティ3 / 5
復旧能力3 / 5
市民・利用者対応4 / 5
Protection小計18 / 25
総合78 / 100

総合評価

78点/100点 シビックランクB

株式会社MonotaROの最大の社会的価値は、「物を売ること」以上に、人が仕事に必要な物を探し、購入し、受け取るまでの時間を減らしていることです。

2,800万点を超える品揃え、検索技術、大規模な在庫・物流網、自動化された倉庫は、多くの企業や現場で生産とは直接関係しない調達作業を効率化しています。

労働面でも、平均残業15.8時間、正社員有休取得率80.9%、男性育休83%、健康診断100%など具体的な成果を開示しています。人権方針、ハラスメント研修、サプライヤー向け調達ガイドラインもあり、制度面は比較的整っています。

それでもAランクに届かなかった最大の理由はSafetyです。

2026年のパイプ丸イス事故では実際に利用者が負傷しています。また過去にも自社ブランド商品の発火リスクによる回収があります。数千万点の商品を販売する企業だからこそ、品質事故を完全にゼロにする難しさはありますが、利用者の身体に直接影響する問題を事業規模の大きさで割り引くことはできません。

さらに、物流企業として労災KPIをより具体的に公開し、男女賃金差の縮小、サイバーセキュリティやBCPの実績開示まで進めれば、現在の大きな事業価値にSafetyとProtectionが追いついてきます。

利用者がMonotaROから商品を購入することは、資材調達を効率化する仕組み、大規模物流網、データ・自動化技術、比較的整った労働制度を支えることにつながります。

同時に、自社ブランド商品の品質管理をさらに強化し、事故を防ぐことを同社へ求め続ける必要があります。


最終ランク

総合点:78点/100点
シビックランク:B
Safety:37/50
Innovation:23/25
Protection:18/25
情報ランク:A

情報ランクについて

今回の中心資料は、MonotaROの会社情報、ESGデータ、サステナビリティ情報、IR資料、商品回収告知などの企業公式情報です。商品回収については経済産業省・消費者庁の公的情報、労働環境についてはOpenWork・Indeed・転職会議などの従業員口コミも補助的に照合しました。

ただし、労働安全KPI、BCP訓練成果、サイバーセキュリティの実績など、一部重要項目は企業単体で十分な公開情報を確認できませんでした。

このため、審査全体の情報ランクはAとします。

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