私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、未来の社会を形作ることができます。
株式会社大塚商会は、企業向けITシステム、複合機、通信機器、ソフトウェア、保守、オフィス用品通販「たのめーる」などを提供する大手ソリューション企業です。2025年末時点の単体従業員数は8,287人、連結では10,079人。2025年の連結売上高は1兆3,227億91百万円でした。
今回の企業審査では、平均年間給与1,027.6万円、平均勤続年数17.6年、男性育休取得率63.5%、AI・DXの自社活用、災害時連携協定などを高く評価しました。一方、一般社員の年間総労働時間2,061時間、管理職2,207時間、2025年の労働災害37件、正規雇用労働者の男女賃金比率65.8%、AI・省人化で生まれた成果を賃金・休暇・労働時間短縮へどこまで還元したかの因果開示が弱い点を減点しています。
総合点は77点、シビックランクBです。
株式会社大塚商会の審査結果
| 評価軸 | 点数 |
|---|---|
| Safety | 35 / 50 |
| Innovation | 21 / 25 |
| Protection | 21 / 25 |
| 総合 | 77 / 100 |
| シビックランク | B |
強み
- 平均年間給与が1,027.6万円と高水準
- 平均勤続年数17.6年で、単体正社員数も2020年7,429人から2025年8,287人へ増加
- AIによる営業予定の自動登録、見積作成支援、商談音声の自動要約などを自社業務に導入
- BCP規程、安否確認訓練、避難訓練、自治体との災害時連携協定がある
課題
- 一般社員の年間総労働時間は2,061時間、管理職は2,207時間
- 2025年の労働災害は37件
- 正規雇用労働者の男女賃金比率は65.8%
- 自動化後の配置転換、人員削減の有無、賃金・休日・労働時間への還元を一体で示す公開情報が不足
- 2026年にはCloud IaaSや通信サービスで障害が発生している
事業内容と人間への貢献
大塚商会は、企業が仕事を行うために必要なIT環境をまとめて支える会社です。システム構築、PC・複合機・通信機器の導入、ソフトウェア、保守、セキュリティ、オフィス用品の調達までを一体で提供しています。
人間への貢献として重要なのは、企業の従業員がITトラブルの処理や紙の事務作業、在庫管理、定型集計などに時間を奪われる量を減らせる点です。特に中堅・中小企業では、導入から保守までをまとめて支援できることが、現場の負担軽減や事業継続につながります。
会社概要
- 本社:東京都千代田区飯田橋
- 創業:1961年
- 資本金:103億7,485万1,000円
- 単体従業員数:8,287人
- 連結従業員数:10,079人
- 2025年連結売上高:1兆3,227億91百万円
- 主な事業:システムインテグレーション、サービス&サポート、オフィス用品通販
Safety|35 / 50
賃金・利益還元|8 / 10
2025年の平均年間給与は1,027.6万円でした。25歳平均は664.5万円、45歳平均は1,212.3万円です。2024年の平均992.6万円から上昇しており、給与水準は今回の審査で大きな強みです。
さらに、大塚商会はマルチステークホルダー方針で、生産性向上で生まれた収益・成果を従業員への還元や取引先への配慮につなげる考え方を明示しています。また、決算手当は営業利益の達成率と連動する制度が確認できます。
ただし、2025年は営業利益が前年比21.0%増となった一方、利益増のうちどの程度が一般従業員の賃上げや決算手当に配分されたかを比較できる公開情報は限定的です。
労働時間・休息|6 / 10
2025年の一般社員一人当たり年間総労働時間は2,061時間、管理職2,207時間、裁量労働制社員2,199時間でした。有給休暇取得率は63.9%、所定休日・有給・特別休暇を合計した年間平均休日取得数は135日です。
制度面では、長時間労働の是正、安全衛生委員会での管理、テレワーク・サテライトオフィスの整備を進めています。
一方、Indeedでは勤務時間と残業の評価が2.2 / 5、転職会議では投稿者ベースの残業時間が月32.8時間とされています。口コミは部署・職種差が大きく、そのまま全社実態とはみなしませんが、公式の年間総労働時間と合わせると、さらに改善余地があります。
雇用の安定・平等|3 / 5
単体正社員数は2020年7,429人から2025年8,287人へ増え、平均勤続年数は17.6年です。AIや業務自動化を進める中でも会社全体の正社員数は増えており、大規模な人員削減を示す公開情報は確認できませんでした。
一方、2025年の課長職に占める女性比率は14.1%、部長職は2.1%、正規雇用労働者の男女賃金比率は65.8%です。職種構成などの影響を含む数値ではありますが、格差が小さいとはいえません。
福利厚生・育児・介護|5 / 5
2025年の男性育休取得率は63.5%、女性は100%でした。短時間勤務者は291人、在宅勤務利用者は8,124人です。「くるみん」「えるぼし」の認定も公表されています。
制度だけでなく利用実績も公開されているため、この項目は高く評価しました。
人権・ハラスメント・労使関係|4 / 5
大塚商会グループ人権方針では、差別禁止、ハラスメントのない職場、適正な労働時間、結社の自由、団体交渉権の尊重を明記しています。
また、全従業員を対象に毎年ハラスメント研修を実施し、社内外の通報・相談窓口も整備しています。
一方、相談件数、是正件数、再発率など、制度が実際にどれだけ機能したかを比較できる成果指標の公開は限定的です。
労働安全・健康|6 / 10
健康診断受診率は99.5%です。自社開発の健康管理システムを使い、ストレスチェック、保健指導、長時間労働チェックなどを行っています。
ただし、2025年の労働災害発生数は37件でした。2024年の39件からは減少していますが、事故の重症度、発生場所、主要原因、再発防止後の効果などが一覧で公開されていません。
公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。
商品・サービスの安全性|3 / 5
大塚商会はIT・セキュリティサービスを扱う会社であり、情報セキュリティ基本方針、プライバシーマーク、全社員向け情報セキュリティ教育などを整備しています。
一方、2026年7月にはCloud IaaS/おまかせIaaSで約6時間44分の障害、9月にはO-CNETフォンで41分間の通信断が公表されています。重大な個人情報漏えいが確認されたという意味ではありませんが、ITインフラを支える会社にとってサービス停止は利用者の仕事を止める問題です。
障害原因、再発防止策、SLA達成率、年間停止時間などを継続的に一覧公開できれば、より高く評価できます。
従業員口コミ
Indeedでは2026年8月時点で26件の口コミがあり、総合評価3.0 / 5、勤務時間と残業2.2、給与と福利厚生3.0、定着率と昇進2.6、上司との関係2.8、企業文化2.4でした。
転職会議では3,800件を超える投稿があり、投稿者ベースの残業時間は月32.8時間、有給消化率44.5%です。営業職については、高い成果を出せば高年収を狙えるという意見がある一方、ノルマや業務量への負担を指摘する投稿もあります。
口コミは情報ランクBとして扱い、公式データより優先していません。しかし、同じ傾向の指摘が複数見られる場合は、制度と現場運用の差を探る材料になります。
SNS・匿名掲示板調査
X、5ch、爆サイについて、会社名と残業、退職、営業、ノルマなどを組み合わせて確認しましたが、今回の採点で使用できるほど、投稿全文・時期・対象部署・本人との関係を安定して確認できる現社員・元社員投稿は確認できませんでした。
そのため、SNS・匿名掲示板情報による加点・減点は行っていません。
Innovation|21 / 25
負担・危険を減らす技術|8 / 10
大塚商会は、自社でITを使ってから顧客に提供する方針を長年続けています。社内では300種類以上のドキュメントプロセスをデジタル化し、AIによる訪問先の判断と営業スケジュールへの自動登録、見積作成支援、商談音声の自動要約などを進めています。
物流では横浜物流センターにロボットストレージ「AutoStore」を導入し、既存センターと比べ保管効率3.5倍以上と省人化を公表しました。中部物流センターでも移転前と比べ1.5倍の出荷対応能力を公表しています。
ただし、何人の作業を何時間減らしたか、身体負担や事故率がどう変わったかという人間側の成果データは限定的です。
商品・サービス改善|5 / 5
2026年はAIエージェント、業務プロセス自動化AI、生成AI伴走支援、オンプレミスDBと連携するAIエージェントなど、新しい業務支援サービスを継続的に投入しています。
単なる新商品ではなく、定型資料作成、データ分析、営業支援など、人が繰り返していた作業を減らす用途が明確です。
改善成果の人間への還元|3 / 5
会社は、AIで生まれた時間を顧客との商談時間拡大に充てられると説明しています。また、2020年から2025年にかけて正社員数は増加し、平均給与と有給取得率も上昇しました。
しかし、AI・RPA・物流自動化によって削減した時間と、賃上げ、休暇増、労働時間短縮、再教育、配置転換の間の因果を定量的に示す公開情報はありません。
公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。
自動化・AI導入後の雇用状況
会社全体では、単体正社員数が2020年7,429人から2025年8,287人へ増えています。したがって「AIを導入した結果、全社で雇用を削減した」とする根拠はありません。
ただし、横浜物流センターなど個別の自動化現場で、従来何人が担当していたのか、自動化後に何人になったのか、余剰人員を配置転換したのか、契約終了があったのかは公表されていません。
自動化を評価するには「省人化できた」だけでは不十分です。人がどうなったかまで公開する必要があります。
継続的な研究開発・現場改善|5 / 5
マルチAI研究センターを設け、複数のAI技術を自社実務に落とし込む研究を続けています。2026年にはJAPAN AIとの資本業務提携も進めました。
研究、社内実証、商品化、顧客提供という循環が確認できるため、この項目は満点としました。
Protection|21 / 25
災害への備え・訓練|5 / 5
BCP規程を整備し、安否確認システムの定期入力訓練、シェイクアウト訓練、避難訓練を行っています。台風や大雨が予想される場合はテレワークや時差出勤を推奨する運用もあります。
制度だけでなく訓練の存在が確認できるため、高く評価しました。
生産・物流・調達の代替|3 / 5
「たのめーる」では複数の物流センターを持ち、首都圏・中部・九州などに分散した物流網を構築しています。コールセンターもクラウド化され、コロナ禍ではテレワークで顧客サポートを継続できた実績があります。
一方、特定物流センターが停止した場合にどの拠点が何%代替できるのか、データセンター停止時の切替先、代替調達の能力などは公開情報が十分ではありません。
公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。
サイバー防衛・情報保護|4 / 5
情報セキュリティ基本方針を定め、プライバシーマークを取得し、全従業員に情報セキュリティのWebラーニングを義務付けています。CP免許制度も運用しています。
一方、自社内部のMFA適用率、EDR導入率、バックアップ分離、復旧訓練の結果、RTO・RPOなどは公開情報が限定的です。
ITセキュリティを販売する会社であるからこそ、自社内部の防御状況をもう一段具体的に公開すると評価が上がります。
事業継続・復旧|4 / 5
BCP規程と訓練に加え、クラウド型コールセンターにより、拠点に人を集められない状況でも顧客サポートを継続した実績があります。
ただし、主要サービスごとの復旧目標時間、バックアップ切替訓練、障害時の復旧実績を統一した形で公開していないため、満点にはしていません。
危機時の市民対応|5 / 5
愛媛県、高知県、兵庫県の計15市町村と災害時相互応援に関する連携協定を締結しています。大規模災害時には生活必需品、可搬型水循環式シャワーキットなどの提供を支援する仕組みです。
2026年の熊本地震では、水2リットル4,800本、大人用おむつ2,100パックを被災自治体へ寄贈し、義援金、機器修理の特別対応も実施しました。
自社の資産と事業を使って市民の生活再建を支えている点を高く評価しました。
良いニュース・最近の前向きな動き
直近では、業績拡大だけでなく、AIの実用化と災害支援が進んでいます。単に利益が増えているだけではなく、その技術や物流網を企業や被災者に提供している点が重要です。
- 2026年上期の連結売上高は7,574億98百万円で前年同期比9.0%増、営業利益は530億88百万円で8.0%増となりました。
- 2026年にはAIエージェント、業務プロセス自動化AI、生成AI伴走支援などを相次いで提供しています。
- JAPAN AIとの資本業務提携を進め、中堅・中小企業への生成AI普及を強化しています。
- 熊本地震では水4,800本、おむつ2,100パックなどを実際に被災地へ提供しました。
悪いニュース・問題のある動き
重大な行政処分や大規模な個人情報漏えいを今回の調査で確認したわけではありません。しかし、労働安全、サービス停止、営業現場の負荷には改善すべき情報があります。
- 2025年の労働災害は37件でした。
- 2026年7月にはCloud IaaS/おまかせIaaSで約6時間44分の障害が発生しました。
- O-CNETフォンでも2026年9月に41分間の通信断が公表されています。
- Indeedでは勤務時間と残業2.2 / 5、企業文化2.4 / 5となっています。
- 転職会議では営業ノルマや業務量への負担を指摘する投稿が確認できます。
- 正規雇用労働者の男女賃金比率は65.8%です。
総合評価と改善点
株式会社大塚商会は77点、シビックランクBです。次のAランクは80点からなので、あと3点です。
高い給与、長期雇用、AIによる業務改善、BCP、災害支援まで、強い部分が多い企業です。一方で「ITで効率化した結果、人の働き方が具体的にどう良くなったか」を示す公開データは、技術の強さに比べて不足しています。
改善1|労働時間・休息 6 → 8点
改善条件
- 一般社員の年間総労働時間を2,000時間未満へ下げる
- 有給取得率70%以上を継続する
- 営業、SE、コールセンターなど職種別の残業時間を公開する
実現すれば+2点、総合79点です。
参考企業として、キリングループロジスティクスは当サイト審査で65点・Cランクでしたが、業務改善・多能工化と合わせて年間所定労働時間を1,920時間から1,896時間へ24時間短縮した実績を確認しています。大塚商会もDXの成果を実労働時間の短縮までつなげれば評価できます。
改善2|改善成果の人間への還元 3 → 4点
改善条件
- AI導入前後の作業時間を公開する
- 省人化後の人員数、配置転換、再教育、契約終了の有無を公開する
- 削減した時間や利益の一部が賃上げ、休日増、労働時間短縮に結びついたことを示す
実現すれば+1点、総合78点です。
参考企業として、キリングループロジスティクスは当サイト審査でInnovation 20 / 25、改善成果の人間への還元3 / 5でした。年間所定労働時間を24時間短縮した点は、効率化を人に返したことを確認できる具体例です。大塚商会が4 / 5を取るには、これをさらに一歩進め、AIによる削減時間との因果を示す必要があります。
改善3|労働安全・健康 6 → 8点
改善条件
- 労働災害37件について重症度、職種、場所、原因を公開する
- 再発防止策と翌年の改善結果を公開する
- 重大災害ゼロを継続し、事故件数を明確に減少させる
実現すれば+2点、総合79点です。
参考企業として、アスクル株式会社は当サイト審査で74点・Bランク、労働安全・健康8 / 10と評価しました。死亡・重篤・軽微事故を分けて公開しており、単なる件数だけよりも安全実態を判断しやすい情報開示です。
Aランクへの最短ルート
労働時間・休息を6点から8点へ改善して+2点、改善成果の人間への還元を3点から4点へ改善して+1点。合計+3点で80点となり、Aランクに到達します。
大塚商会は、AIやDXを売る企業であると同時に、自社でも積極的に使う企業です。だからこそ「何時間削減したか」「人を減らしたのか、再配置したのか」「賃金や休暇にどれだけ返したか」を公開できれば、技術革新と人間尊重を結びつけた企業として評価を大きく上げられます。
主な出典
- 大塚商会「会社概要」
- 大塚商会「サステナビリティデータ」
- 大塚商会「ワークライフバランス」
- 大塚商会「大塚商会グループ人権方針」
- 大塚商会「健康・安全のために」
- 大塚商会「自然災害対策」
- 大塚商会「災害時連携協定」
- 大塚商会「情報管理」
- 大塚商会「2025年12月期 決算の概況」
- 大塚商会「2026年12月期 第2四半期決算の概況」
- 大塚商会「統合報告書2025」
- Indeed「株式会社大塚商会の社員クチコミ・評判」
- 転職会議「大塚商会の評判・社員口コミ」
- 大塚商会「Cloud IaaSサービス障害」
- 大塚商会「O-CNETフォン通信・通話障害」
シビックランクの基準
| ランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100 |
| A | 80~89 |
| B | 70~79 |
| C | 60~69 |
| D | 50~59 |
| E | 40~49 |
| F | 20~39 |
| G | 0~19 |
情報ランクの基準
| 情報ランク | 主な情報源 |
|---|---|
| S | 行政機関、裁判所、規制当局、独立した第三者検証・認証 |
| A | 企業公式、IR、採用情報、公式発表、実名の公的発言 |
| B | 現社員・元社員口コミ、一般SNS、匿名掲示板 |
今回の審査では、企業公式の公開情報を中心に、Indeed、転職会議などの口コミを補助的に使用しました。口コミだけで点数を決めず、公式データと方向性が一致するかを確認する材料として扱っています。