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楽天グループ株式会社を企業審査|シビックランクB・75点|EC・通信・金融の生活インフラを評価、個人情報保護と労働情報には改善余地

私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、その企業の働き方や安全対策、事業のあり方を間接的に支えています。

Business Supply Shopで文具やオフィス用品、生活用品などを購入すれば、その売上は運営会社である楽天グループ株式会社に入ります。Business Supply Shopの会社概要には、運営会社として楽天グループ株式会社、店舗運営責任者として杉田厚氏が記載されています。 そこで得られた利益が、従業員の賃金や休暇、システムの安全対策、AI開発、ECサービスの改善などにどう使われるのかは、購入する側にとっても無関係ではありません。

働く人を大切にし、利用者の個人情報や資産を守り、中小企業や地域の事業者が商品を販売しやすい仕組みを作る企業に売上が集まれば、そうした事業を続ける力になります。反対に、情報漏えいや長時間労働、利用者保護の問題が改善されなければ、その点も購入先を考える材料になります。

今回の審査では、楽天市場を中心とするEC、通信、金融、AIなどによって生活と事業のデジタル化を進めている点を高く評価しました。2025年の国内EC流通総額は約6.3兆円、楽天市場の出店店舗数は5万店以上です。

一方、2025年には楽天市場でメールアドレスが暗号化されないまま送信される個人情報保護上の事故が発生しました。2024年にも別の利用者とのメール履歴が表示される不具合が確認されています。

以上から、楽天グループ株式会社を総合75点/100点、シビックランクBと評価します。

目次

審査結果

評価項目点数
Safety34 / 50
Innovation23 / 25
Protection18 / 25
総合点75 / 100
シビックランクB

評価時点:2026年10月3日

楽天グループ株式会社とは

楽天グループ株式会社は1997年2月設立。本社は東京都世田谷区の楽天クリムゾンハウスにあり、代表取締役会長兼社長は三木谷浩史氏です。

2025年12月末時点の従業員数は単体9,989人、連結29,419人。資本金は4,595億800万円です。

現在は楽天市場を中心としたインターネットサービスに加えて、

  • 楽天カード
  • 楽天銀行
  • 楽天証券
  • 楽天ペイ
  • 楽天モバイル
  • 楽天トラベル
  • 楽天ブックス
  • 楽天Kobo
  • ラクマ

など約70のサービスを展開しています。2025年度のグループサービス利用者数は21億超、日本国内の楽天ID数は1億以上とされています。

Business Supply Shopについても、楽天市場の会社概要で運営主体が楽天グループ株式会社であることを確認できます。

この会社がなくなると何が困るのか

楽天グループの大きな役割は、小規模な事業者でもインターネットを利用して全国の顧客へ商品を販売できる仕組みを提供していることです。

楽天市場は1997年に13店舗から始まりました。現在は5万店舗以上が出店しています。楽天IDは1億以上、2025年の国内EC流通総額は約6.3兆円に達しています。

地方の店舗や中小企業が、自社だけで全国規模のECシステム、決済システム、広告、ポイント制度、顧客獲得基盤を整えるには大きな費用が必要です。

楽天市場はこうした機能を共通基盤として提供しています。

Business Supply Shopもその仕組みを利用するサービスの一つです。

また楽天グループは、ECだけでなく通信、銀行、証券、クレジットカード、キャッシュレス決済、旅行などを提供しています。

事業規模が大きい分、障害や情報漏えいが起きた場合には影響を受ける人も多くなります。そのため、社会への貢献と同じくらい安全管理を厳しく見る必要があります。

Safety|34点/50点

Safetyでは、従業員の労働環境、人権、安全衛生、個人情報保護、サービス利用者の安全を確認します。

女性管理職比率は約34%

2025年の楽天グループ株式会社では、女性管理職比率は約34%となり、2025年目標の33%を上回りました。

2030年には36%を目標としています。

有価証券報告書では、楽天グループ株式会社の男性育児休業等取得率は73.3%とされています。

男女賃金差は、男性を100とした場合、

  • 全労働者:78.0%
  • 正規労働者:81.6%
  • 非正規労働者:58.9%

となっています。

正規雇用では約18%の差が残り、非正規ではさらに大きな差があります。

単純に同じ仕事をする男女の賃金差を意味する数字ではありませんが、職種や役職への配置を含め、格差の要因と改善実績をさらに詳しく公開してほしいところです。

健康・長時間労働対策

楽天グループは勤怠管理システムを利用して労働時間を管理し、長時間労働者とその管理職への注意喚起を実施しています。

ストレスチェックも毎年実施し、必要に応じて産業医との面談を勧めています。基地局建設や倉庫などの作業現場では安全衛生監査も行っています。

衛生委員会では労働時間や労災発生状況を確認しています。

こうした制度が存在することは評価できます。

ただし、公式ページでは現在の平均残業時間、長時間労働者数、労災件数、労災度数率などを一目で比較できる形で十分公開していません。

制度があることと、その制度によって事故や長時間労働がどれだけ減ったのかは別に評価する必要があります。

従業員口コミでは残業約27~30時間

OpenWorkでは楽天グループの月平均残業時間は約26.5時間、有給休暇消化率は約71%と集計されています。

転職会議では月平均残業30.1時間、有給消化率67.4%です。

2026年の口コミには有給を取得しやすく長期休暇も取れるという声がある一方、部署によって業務量に差があるという投稿もあります。

口コミは投稿者や部署による偏りがあるため、直接減点の根拠にはしません。

ただし1万人規模の企業であることを考えると、会社自身が平均残業時間や職種別の労働時間を公開することで、実態をより正確に判断できるようになります。

個人情報の漏えい事故

Safetyで重く見たのが楽天市場の個人情報保護です。

楽天グループは2025年12月、特定利用者情報の漏えい事案を公表しました。

2024年12月には、楽天市場の出店店舗と利用者のメール一覧表示機能で、異なる利用者とのメール履歴が表示される不具合が発生しました。

さらに2025年10月には、定期購入サービスの通知メールについてシステムアップデート時の不具合が発生し、本来暗号化されるべき利用者と店舗のメールアドレスが暗号化されない状態で送信されました。

楽天はそれぞれシステムを修正し、再発しないことを確認したとしています。

しかし、EC事業では住所、氏名、電話番号、購入履歴など大量の個人情報を扱います。

そのため、情報漏えいは通常のシステム障害より重く評価し、Safetyで減点しました。

Innovation|23点/25点

Innovationは楽天グループの大きな強みです。

楽天市場は店舗が独自の商品ページや販促を行う「出店型」のECモールとして発展してきました。

現在は5万店舗以上が出店し、楽天IDは1億以上。2025年の国内EC流通総額は約6.3兆円です。

商品を販売する企業にとっては、

  • ECサイト
  • 決済
  • ポイント
  • 広告
  • 顧客獲得
  • データ分析
  • 配送
  • 金融

などを別々に構築する必要を減らせます。

ECから金融・通信まで一つのIDで利用

楽天はECから銀行、証券、カード、決済、旅行、通信など約70サービスへ事業を拡大しています。

一つの楽天IDを軸に複数のサービスを連携する仕組みは、消費者側の手続きを簡略化すると同時に、企業側にも巨大な顧客基盤へのアクセスを提供します。

2026年第2四半期の国内EC流通総額は1兆5,322億円で、前年同期比5.3%増となりました。

AIへの投資

楽天グループはAIを今後の重点分野としており、検索、広告、カスタマーサポート、データ分析などへの導入を進めています。

一方で、楽天自身もAIについて差別的なアルゴリズム、ターゲティング広告、利用者データ、表現の自由などを人権上のリスクとして認識しています。

2025年にはAI倫理憲章の策定を完了し、2026年以降は責任あるAIガバナンス体制の構築を進めています。

AIを導入したこと自体ではなく、利用者や従業員にどのような利益・不利益が生じたかまで測定する必要があります。

そのためInnovationは高得点としましたが、満点にはしていません。

Protection|18点/25点

Protectionでは、利用者、地域、環境、取引先などを長期的に守る仕組みを評価します。

人権デューデリジェンス

楽天グループは国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を参考に、人権影響評価を行っています。

ターゲティング広告による差別、AIによる差別、利用データの第三者利用などを人権リスクとして特定し、対策を進めています。

サプライヤーについても「サステナブル調達行動規範」を設定しています。2025年にはサプライヤー説明会・勉強会への参加率と自己評価アンケート回答率がともに88%となりました。

一方、高リスクサプライヤーの比率は13%とされています。

リスクを公表している透明性は評価しますが、問題の解消まで確認できるわけではありません。

気候変動対策

楽天グループは2023年度、Scope1とScope2について、グループ全体の事業活動における温室効果ガス排出量の実質ゼロを達成したと公表しています。

削減しきれない排出量についてはカーボンオフセットも使用しています。

さらに2032年までに、2022年比で、

  • Scope1・2:99.7%削減
  • Scope3:30%削減
  • 販売電力量あたり排出量:76.8%削減

を目標としており、SBT認定も取得しています。

楽天モバイルではAIによるネットワーク制御を導入し、消費電力削減にも取り組んでいます。

環境施策は比較的具体的です。

ただし、楽天市場は巨大な物流・通販市場でもあります。

商品の製造、梱包、配送、返品まで含めたScope3の環境負荷は大きいため、今後はEC流通総額の拡大と環境負荷削減を同時に実現できるかを見る必要があります。

良いニュース

楽天グループの良いニュースとして注目したいのは、EC・通信を中心とする事業基盤を維持しながら、収益性を大幅に改善していることです。

2025年度の連結売上収益は約2兆4,966億円となり、29期連続で過去最高を更新しました。

楽天モバイルも携帯キャリア参入後初めて通期EBITDA黒字を達成しています。

2026年第2四半期でも、インターネットサービスの売上収益は3,381億円、Non-GAAP営業利益は231億円となり、前年同期比で増収増益でした。国内EC流通総額も前年同期比5.3%増加しています。

企業審査で利益そのものを加点するわけではありません。

しかし、社会インフラに近いサービスを長期的に維持するには、赤字を外部資金で補い続けるのではなく、自立的に運営できる収益基盤が必要です。

楽天モバイルの収益改善は、その意味ではプラス材料です。

悪いニュース

楽天グループの悪いニュースで最も重要なのは、利用者の情報・資産を扱う事業で安全上の問題が続いていることです。

楽天市場では2024年と2025年に個人情報に関するシステム不具合が発生しました。2025年10月の事故では、暗号化されるべき利用者と店舗のメールアドレスが暗号化されずに送信されました。

グループ会社の楽天証券では2025年、フィッシング詐欺などによる第三者の不正アクセス・不正取引が発生しました。

楽天証券は被害額の50%を基本とする補償、売買手数料の返金、対象者への1万円の見舞金を発表し、ログイン時の多要素認証を必須化するなどセキュリティ対策を強化しました。

この問題は楽天グループ株式会社自身のシステム事故と同一には扱いません。ただし、金融サービスを含む「楽天経済圏」全体で大量の個人情報や資産を扱っている以上、グループとして重要なリスクです。

また、楽天モバイルは2025年5月、5G基地局の開設計画に遅延があったとして総務省から行政指導を受けました。遅延原因として開発ベンダーとの連携や工程管理の不十分さが報告されています。

これも楽天グループ株式会社への行政処分ではなく、子会社楽天モバイルに対する行政指導として区別して扱います。

従業員口コミ

OpenWorkでは楽天グループの総合評価は約3.9、平均残業時間は約26~27時間、有給休暇消化率は約70~71%となっています。

転職会議では平均残業30.1時間、有給消化率67.4%です。

肯定的な口コミでは、

  • 有給休暇を取得しやすい
  • フレックスを利用しやすい
  • 国際的な環境
  • 若手でも仕事を任される

といった声があります。

一方、

  • 部署によって業務量の差が大きい
  • 人材の入れ替わりがある
  • 長期育成に課題を感じる

といった投稿も確認できます。

OpenWorkの集計では「20代成長環境」が4.3と比較的高い一方、「人材の長期育成」は2.7となっています。

口コミは個人の経験であり、会社全体の事実としては扱いません。

公式の労働時間・離職率・職種別定着率がさらに公開されれば、口コミとの比較がしやすくなります。

SNS・掲示板調査

X、5ch、Facebook、YouTube、TikTokなどの公開情報も確認しました。

楽天市場、楽天モバイル、楽天カードなどサービスごとの投稿量が非常に多く、配送、ポイント、通信品質、カスタマーサポートなどについて肯定・否定双方の投稿があります。

ただし、個別投稿から楽天グループ株式会社全体の労働環境や安全性を判断することは困難です。

匿名掲示板についても社員を名乗る投稿がありますが、本人確認ができないため、企業の減点根拠としては使用しません。

SNS・掲示板は問題を探す入口として利用し、点数は公式資料、公的資料、第三者資料を中心に決定しています。

総合評価

楽天グループ株式会社は、日本のデジタル生活基盤に大きな影響を持つ企業です。

楽天市場によって5万を超える店舗が全国へ商品を販売できる環境を作り、カード、銀行、証券、決済、旅行、通信などへサービスを広げています。

Business Supply Shopで商品を購入することも、こうした楽天グループの事業を支えることにつながります。

Innovationでは、ECを中心に中小事業者の販売機会を広げたこと、金融・通信・AIへサービスを拡大していることを高く評価しました。

労働面でも女性管理職比率約34%、男性育休取得率73.3%など具体的な数字が公開されています。

一方で、個人情報保護は大きな課題です。

楽天市場で2024年、2025年とシステム不具合による情報漏えい事案が発生しています。金融・通信まで含む巨大な楽天経済圏では、一つの安全上の問題が多くの利用者へ影響する可能性があります。

また、男女賃金差、残業時間、労災件数など、人を守るための成果についてはさらに詳細な公開が必要です。

以上から、

Safety 34点/50点
Innovation 23点/25点
Protection 18点/25点

総合75点/100点、シビックランクBと評価します。

改善してほしい点

  1. 楽天グループ株式会社単体の平均残業時間と長時間労働者数を毎年公開する
  2. 労働災害件数、休業災害、度数率・強度率を継続公開する
  3. 男女賃金差について職位・職種別の原因と改善実績を公開する
  4. 楽天市場で発生した個人情報漏えい事故について再発防止策と効果検証を継続公開する
  5. AIによる広告・審査・推薦について差別や不利益が発生していないか定量的に検証する
  6. 高リスクサプライヤー13%について改善・解消状況を継続公開する
  7. EC商品の製造・梱包・配送まで含むScope3排出量の削減を進める
  8. グループ会社で発生したセキュリティ事故を横断的に共有し、楽天ID・金融・通信を含む統一的な安全対策を強化する

情報ランク

情報情報ランク
官公庁・法定開示・第三者保証情報S
楽天グループ公式資料・有価証券報告書・ESG資料A
報道機関・専門媒体による確認情報B
OpenWork・転職会議など従業員口コミC
X・Facebook・YouTube・TikTokなど個人投稿D
5chなど匿名掲示板E

公開されていない項目は「問題がない」とは判定していません。確認できない重要情報については、公開情報が不足している点そのものを課題として評価しています。

最終評価:75点/100点・シビックランクB

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