私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、未来の社会を形作ることができます。
富士急建設株式会社に住宅・建築・土木・造園工事を依頼すれば、その売上は同社に入り、施工管理者や作業員の賃金、安全対策、健康管理、施工技術の改善、地域インフラの維持などに使われます。建設会社を利用することは、完成した建物や道路だけでなく、そこで働く人の安全や地域の災害対応を間接的に支えることにつながります。
富士急建設は、山梨県富士吉田市を本拠とする富士急グループの総合建設会社です。建築、土木、造園の三部門を持ち、学校・病院・道路・下水道・トンネル・橋梁・公園・富士急グループ施設、別荘・住宅などを施工しています。2026年8月時点の従業員数は35人です。
今回の審査では、健康経営優良法人2026の認定、やまなしSDGs推進企業の登録更新、公共インフラ工事の実績、災害協定や除雪業務への関与、個人情報保護方針の更新を評価しました。
一方、現在の正社員求人では年間休日108日で、営業職は月平均残業10時間、造園スタッフ求人では25時間です。過去の転職会議では月40時間という投稿者平均や、土曜・祝日出勤、休日出勤・代休運用への厳しい指摘も確認されます。
また、労働災害件数、有給取得率、男女賃金差、ハラスメント相談実績、BCP訓練、RTO・RPO、ICT施工による作業時間・人員削減効果などの公開情報がありません。
総合点は48点、シビックランクEです。
富士急建設株式会社の審査結果
富士急建設は、地域の公共施設・道路・上下水道・観光施設を実際に造り、維持する会社として社会的役割があります。一方、施工実績の情報に比べて「働く人の安全」「働き方」「デジタル化による人への還元」「災害時の事業継続」に関する数値開示が弱く、今回の審査では情報不足が大きな減点になりました。
| 評価軸 | 点数 |
|---|---|
| Safety | 27 / 50 |
| Innovation | 11 / 25 |
| Protection | 10 / 25 |
| 総合 | 48 / 100 |
| シビックランク | E |
強み
- 健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)に認定
- 2026年4月にやまなしSDGs推進企業の登録を更新
- 道路、橋梁、トンネル、下水道、公共施設、観光施設など地域インフラの施工実績がある
- 山梨県の公共工事評価資料では、災害協定や除雪業務など地域貢献項目が確認できる
- 個人情報保護方針で不正アクセス・ウイルス対策、従業員教育を明記
課題
- 現在の求人で年間休日108日
- 職種により月平均残業10~25時間、過去口コミでは40時間との投稿者平均
- 労働災害件数、度数率、重大事故を対象会社単体で公開していない
- 有給取得率、女性管理職比率、男女賃金比率を公開していない
- ICT施工の作業時間・人数・危険作業削減効果を公開していない
- BCP、復旧目標、代替拠点、サイバー復旧訓練の公開情報がない
富士急建設株式会社とは
富士急建設は1955年創業の総合建設会社です。建築・土木・造園を一社で扱い、各部門を組み合わせた工事にも対応しています。
建築部門では学校・病院・公共施設、富士急グループ施設、住宅・別荘を施工します。土木部門では道路、舗装、下水道、橋梁、トンネル、治山、遊戯施設基礎などを扱います。造園部門では公園、競技場、観光施設、別荘地などの緑地を整備しています。
山梨県立富士山世界遺産センター、山梨県立リニア見学センター、富士北麓公園などの施工実績もあります。
会社概要
- 所在地:山梨県富士吉田市新西原5丁目2番1号
- 代表者:代表取締役社長 飯島慶一
- 資本金:6,000万円
- 従業員数:35人
- 事業:建築、土木、造園
- 静岡支店:静岡県裾野市
- 建設業許可:国土交通大臣許可
- 一級土木施工管理技士10人、一級建築施工管理技士7人、一級造園施工管理技士4人などを公表
Safety|27 / 50
富士急建設では健康経営や育児・介護制度、社会保険、退職金などを確認できました。一方、建設業で最重要となる労災実績や休日取得の実績値が公開されていないこと、現在の休日数が多くないことを大きく減点しています。
賃金・利益還元|5 / 10
2026年8月に受理された営業職求人では、月給22万円~38万円、固定残業代なし、昇給は月0~7,500円、賞与は年2回で25万円~50万円の前年度実績が示されています。
造園スタッフの求人では、月額換算18万8,320円~28万8,900円、賞与は年1回7万5,000円~11万円でした。
賃金条件そのものは公開されていますが、正社員平均年収、中央値、賃上げ率、利益増加時の従業員還元率は公表されていません。会社の利益と従業員の賃金改善を比較できないため5点です。
労働時間・休息|4 / 10
現在の営業職求人では8時30分~18時、月平均残業10時間、年間休日108日です。造園スタッフ求人では8時~17時、月平均残業25時間、年間休日108日でした。
転職会議では投稿者平均残業40時間/月と表示され、過去の施工管理経験者から、土曜・祝日の出勤が多かった、休みを取りづらかった、休日出勤分が代休に回されたという厳しい口コミがあります。
これらは古い口コミであり、現在も同じ運用だと断定はできません。現在の営業求人では残業月10時間まで低下しています。しかし、施工管理職の現在の職種別残業、有給取得率、休日出勤日数が公開されていないため、改善の全体像を確認できません。
雇用の安定・平等|3 / 5
2026年8月時点の従業員数は35人で、営業・施工管理などの採用を続けています。山梨県の就職情報でも施工管理、営業、総務など複数職種の採用計画が確認できます。
一方、現在の求人では35人中女性4人です。女性管理職比率、男女賃金比率、非正規から正規への登用実績は公開されていません。
福利厚生・育児・介護|3 / 5
正社員求人では社会保険、財形、勤続3年以上の退職金制度、富士急グループ共通の託児施設が確認できます。
造園スタッフ求人では育児休業、介護休業、看護休暇の取得実績が「あり」とされています。資格取得補助、フィットネスクラブ契約、インフルエンザ予防接種費用補助もあります。
制度は一定程度確認できますが、男性育休取得率、女性育休復帰率、介護休暇利用人数などの実績値は公開されていません。
人権・ハラスメント・労使関係|2 / 5
現在の公開サイトでは、対象会社単体の人権方針、ハラスメント防止方針、相談窓口件数、通報件数、是正結果を確認できませんでした。
求人では労働組合なしとされています。組合の有無自体を減点するものではありませんが、労使対話をどのように行っているかの代替情報も公開されていません。
公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。
労働安全・健康|6 / 10
富士急建設は健康事業所宣言を行い、2025年に続き健康経営優良法人2026の中小規模法人部門にも認定されたと公式サイトで公表しています。
求人では健康保険、労災保険、インフルエンザ予防接種補助、屋内禁煙などを確認できます。
一方、労働災害件数、休業災害件数、死亡・重大災害の有無、度数率、強度率、熱中症件数、メンタルヘルス休職率などは対象会社単体で公表されていません。
建設業では安全実績は特に重要です。公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。
商品・サービスの安全性|4 / 5
富士急建設は、一級建築士、一級土木・建築・造園施工管理技士など資格者数を公開し、公共工事や富士急グループ施設を長期間施工しています。
山梨県の住みよい県土建設功労表彰では、富士北麓浄化センター管理本館建築耐震補強工事と技術者が表彰されたことが県の就職情報に掲載されています。
今回の調査では重大な施工事故、大規模な欠陥・回収、重大な行政処分を確認できませんでした。
ただし、施工後の重大不具合件数、顧客クレーム、手直し率、安全パトロール結果などを継続的に公開していないため満点にはしていません。
従業員口コミ
転職会議では口コミ7件、総合評点3.08、投稿者平均残業40時間/月と表示されています。
特に古い施工管理系の投稿には、土曜・祝日出勤が多い、休みを申し出にくい、休日出勤の扱いに不満があったという厳しい内容があります。
一方で、これは過去の限られた投稿で、現在の営業求人は残業月10時間、土日祝休みとして募集されています。健康経営優良法人の認定も始まっており、過去の口コミだけで現在を断定することはできません。
現在の施工管理職について、平均残業・休日出勤・有給取得率を会社が公開すれば、改善が進んだかを明確に確認できます。
SNS・匿名掲示板調査
X、5ch、爆サイを会社名と「残業」「事故」「施工管理」「退職」「パワハラ」などで確認しましたが、本人との関係、投稿時期、具体的な勤務先を十分確認でき、今回の採点に使える現社員・元社員投稿は確認できませんでした。
そのため、SNS・匿名掲示板情報による加点・減点は行っていません。
Innovation|11 / 25
富士急建設はICT施工の評価実績や多様な工法、公共工事の技術評価を確認できます。一方、DXや自動化が人間の負担を何時間・何人分減らしたかという公開情報は極めて少なく、Innovationは低めの評価です。
負担・危険を減らす技術|4 / 10
山梨県の公共工事における総合評価資料では、富士急建設にICT施工技術の評価点が付いた事例を確認できます。
ICT施工は、3次元測量や施工データ、ICT建機などによって測量・施工・出来形管理の人手や危険な立入りを減らせる可能性があります。
しかし、富士急建設自身が、どの現場で何の技術を使い、測量時間が何時間減ったか、現場人数を何人から何人へ減らしたか、危険作業が何回減ったかを公開していません。
技術導入の存在だけでは人間への効果を十分確認できないため4点です。
商品・サービス改善|4 / 5
住宅では在来工法、2×4、ログハウス、鉄骨・鉄筋コンクリートなど幅広い工法に対応し、アフターメンテナンスも提供しています。
公共建築では耐震補強、土木では橋梁・トンネル・治山、造園では公園や観光地の環境整備まで対応しています。
建物を造るだけでなく、耐震、維持修繕、緑地管理まで扱う点を、人の生活基盤を長期的に守る改善として評価しました。
改善成果の人間への還元|0 / 5
ICT施工や業務改善によって削減された作業時間と、残業削減、休日増、賃金上昇、安全性向上を結びつける公開情報はありません。
AI・自動化による人員削減、配置転換、外注削減、再教育についても公表されていません。
公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。
自動化・AI導入後の雇用状況
今回確認できた範囲では、富士急建設がAIを大規模導入したという公開情報はありません。
ICT施工技術が公共工事評価で確認できる一方、導入前後の担当人数、契約社員・協力会社人数、配置転換、採用抑制などのデータは公表されていません。
現在も複数職種で採用を行っているため、「デジタル化を理由に全社で人員削減している」と判断する根拠はありません。
継続的な研究開発・現場改善|3 / 5
土木部門は公式サイトで、施工経験から得たノウハウを基に技術開発へ力を入れると説明しています。
公共工事でICT施工技術の評価を得た事例、耐震補強工事での表彰、建築文化賞受賞施工などもあり、現場改善と技術蓄積は確認できます。
ただし、研究開発費、新工法の導入件数、改善提案件数、現場生産性の改善率などは公表されていません。
Protection|10 / 25
建設会社は災害時に道路・施設・地域インフラを復旧する役割があります。富士急建設は災害協定や除雪への関与が確認できる一方、自社BCPと情報システム復旧の開示は弱い状況です。
災害への備え・訓練|3 / 5
山梨県の公共工事評価資料では、富士急建設について災害協定、広域応援に関する災害協定などの地域貢献項目が評価されています。
建設会社が災害協定に参加することは、道路寸断、土砂災害、施設損傷などが発生したときに、重機・人員・施工技術を地域復旧へ投入できる可能性を高めます。
一方、対象会社自身が行う地震・水害・大雪を想定した訓練の回数、参加率、改善結果、備蓄量を公表していません。
生産・物流・調達の代替|1 / 5
本社のほか静岡県裾野市に支店があります。
しかし、本社が使用不能になった場合に静岡支店がどの業務を代替するのか、資材の代替調達先、重機の代替拠点、協力会社との緊急調達体制などは公開されていません。
公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。
サイバー防衛・情報保護|1 / 5
富士急建設の個人情報保護方針では、個人情報保護基準、セキュリティポリシー、不正アクセス対策、コンピュータウイルス対策、従業員への定期教育を明記しています。
一方、MFA、EDR、バックアップ分離、脆弱性診断、外部監査、インシデント件数、復旧訓練などは公表されていません。
方針は確認できるものの、実装状況を外部から確認できる数値が少ないため1点です。
事業継続・復旧|1 / 5
災害協定への参加は確認できますが、富士急建設自身のBCP本文、重要業務、RTO・RPO、安否確認訓練、代替事務所、データ復旧訓練などは公開されていません。
建設会社は災害復旧を担う側でもあるため、自社が被災しても活動できる仕組みの公開は特に重要です。
公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。
危機時の市民対応|4 / 5
公共工事評価では災害協定への関与が確認され、施工実績には道路、橋梁、トンネル、下水道、法面、除雪などがあります。
大雪や地震、豪雨時には、こうした建設会社の重機・施工技術・地域知識が道路確保や復旧に役立ちます。
一方、直近の災害で何人・何台を派遣し、何時間で復旧したかという実績の一覧は公開されていないため4点としました。
良いニュース・最近の前向きな動き
直近では、健康経営とSDGs登録の継続が確認できます。また、現在も施工管理や営業などで採用を続けており、35人規模の会社として地域建設人材を維持しようとしています。
- 健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)に認定
- やまなしSDGs推進企業の登録を2026年4月に更新
- 2026年8月時点で従業員35人、営業や施工関連の採用を継続
- 公共施設、耐震補強、道路・橋梁・トンネル、観光施設など地域に残る施工実績を保有
- 個人情報保護方針で不正アクセス・ウイルス対策、定期教育を明文化
悪いニュース・問題のある動き
今回の調査では、直近の死亡事故や重大な行政処分を確認したわけではありません。むしろ問題は、安全や働き方について「事故がないのか、改善したのか」を外部から確認するデータが少ないことです。
- 労働災害件数、重大災害、度数率を公開していない
- 有給取得率、休日出勤日数、施工管理職の現在の残業実績を公開していない
- 正社員求人の年間休日は108日
- 過去口コミには土曜・祝日出勤や休日取得の難しさへの厳しい指摘がある
- ICT施工の効果を作業時間・人数・事故低減で公開していない
- BCP訓練、RTO・RPO、代替拠点の公開情報がない
総合評価と改善点
富士急建設株式会社は48点、シビックランクEです。次のDランクは50点からなので、あと2点です。
同社は地域インフラや公共施設を実際に造るという明確な社会的役割があります。健康経営や災害協定も評価できます。一方、建設会社で最も重要な労災実績と、働き方の現在値を公開していないことが最大の弱点です。
改善1|労働安全・健康 6 → 8点
改善条件
- 死亡・重大災害、休業災害、軽微事故を分けて毎年公開する
- 度数率、強度率、熱中症件数を公開する
- 事故原因と再発防止策、翌年の改善結果を示す
- 協力会社を含む事故実績と自社社員を分けて示す
実現すれば+2点、総合50点となり、Dランクに到達します。
参考企業として、アスクル株式会社は当サイト審査で74点・Bランク、労働安全・健康8 / 10と評価しました。死亡・重篤・軽微事故を分けて公開しており、事故の実態を外部から判断しやすい点が評価につながっています。
改善2|労働時間・休息 4 → 6点
改善条件
- 施工管理、土木、建築、造園、営業それぞれの平均残業時間を公開する
- 年間休日を現行108日から増やす
- 有給取得率と休日出勤日数を公開する
- 公共工事の週休2日制度運用実績を全社の働き方改善へ結びつける
実現すれば+2点、総合50点となり、Dランクに到達します。
参考企業として、キリングループロジスティクスは当サイト審査で65点・Cランクでしたが、業務改善・多能工化と合わせて年間所定労働時間を1,920時間から1,896時間へ24時間短縮した実績を確認しています。時間削減を実績値として示すことが重要です。
改善3|事業継続・復旧 1 → 3点
改善条件
- 地震、大雪、水害を想定したBCPを公開する
- 本社停止時の代替拠点と指揮系統を明示する
- 安否確認・災害復旧訓練を毎年実施し、結果を公開する
- 重要業務の復旧目標時間を示す
実現すれば+2点、総合50点となり、Dランクに到達します。
参考企業として、キリングループロジスティクスは当サイト審査で65点・Cランク、生産・物流・調達の代替5 / 5と評価しました。トラック・鉄道・内航船など複数輸送手段とバックアップ輸送協定を具体的に確認できたことが高評価につながっています。
Dランクへの最短ルート
最短は、労災情報を毎年公開して労働安全・健康を6点から8点へ上げることです。これだけで+2点となり、総合50点・Dランクに到達します。
富士急建設は「地域に何を造ったか」はよく見える会社です。次に必要なのは「その工事を誰が、どれだけ安全に、どれだけ無理なく働いて完成させたか」を見えるようにすることです。
主な出典
- 富士急建設株式会社「会社概要」
- 富士急建設株式会社「事業内容」
- 富士急建設株式会社「施工実績」
- 富士急建設株式会社「個人情報保護方針」
- 山梨県「就職応援企業ナビ/富士急建設株式会社」
- 山梨県「やまなしSDGs推進企業」
- 山梨県「総合評価落札方式に関する評価調書」
- ハローワーク「富士急建設株式会社 営業職求人」
- ハローワーク「富士急建設株式会社 造園スタッフ求人」
- 転職会議「富士急建設株式会社」
シビックランクの基準
| ランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100 |
| A | 80~89 |
| B | 70~79 |
| C | 60~69 |
| D | 50~59 |
| E | 40~49 |
| F | 20~39 |
| G | 0~19 |
情報ランクの基準
| 情報ランク | 主な情報源 |
|---|---|
| S | 行政機関、裁判所、規制当局、独立した第三者検証・認証 |
| A | 企業公式、IR、採用情報、公式発表、実名の公的発言 |
| B | 現社員・元社員口コミ、一般SNS、匿名掲示板 |
今回の審査では、富士急建設の公式情報、山梨県、ハローワークなどを中心に採点し、転職会議の口コミは補助情報として使用しました。古い口コミだけで現在の労働環境を断定せず、現在の求人条件や健康経営認定と合わせて評価しています。
