MENU

身延登山鉄道株式会社を企業審査|シビックランクD・54点/100点|索道事故0件と継続的な安全訓練を評価、年間休日96日と労働・復旧情報の不足が課題

私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。

働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。

反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。

だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。

今回審査する身延登山鉄道株式会社は、総合54点、シビックランクDです。

身延登山鉄道株式会社の特に強い点は、身延山ロープウェイの安全運行を支える訓練・点検を具体的に続け、最新の公開実績である2024年度には索道運転事故・インシデント0件を達成していることです。搬器が途中で停止した場合に備えた登はん訓練、救助装置取扱い、予備エンジン運転訓練を毎月行い、消防署との救助訓練や警察とのテロ対策訓練も実施しています。2024年度には1,733.6万円を安全投資へ充て、建設から60年が経過した3号支柱の耐震健全度調査や運行モニター更新も行いました。

そのため、この企業のロープウェイを利用すれば、古い索道設備を点検・更新し、救助訓練を繰り返しながら、参拝客や観光客を山頂まで安全に運ぶ交通サービスを維持する力になります。

一方で、改善点として働く人の休息と労働情報の公開が残ります。2026年7月の正社員求人では、月平均残業10時間に対して年間休日は96日です。月8日のローテーション休で、育児休業、介護休業、看護休暇はいずれも取得実績なしと記載されています。また、会社単体の有給休暇取得率、労災件数、男女賃金差、ハラスメント相談件数などは公表されていません。

この記事では、身延登山鉄道株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。

目次

身延登山鉄道株式会社の企業審査結果

身延登山鉄道は従業員18人の小規模企業ですが、人命を預かる索道設備を運営しています。そのため、会社規模が小さいことを理由に安全評価を軽くすることはできません。

一方、事故ゼロの実績、訓練、設備投資については、小規模企業としてかなり具体的な情報を公開しています。労働条件とProtectionの結果情報が増えれば、大きく評価を上げられる企業です。

評価軸得点主な評価
Safety27/50点事故0件、毎月の救助訓練、安全投資を評価。年間休日96日、育休利用実績なし、労災・人権情報不足が課題
Innovation13/25点新型ゴンドラ、運行モニター更新、多言語案内などを評価。作業削減と社員への還元実績が不足
Protection14/25点毎月の異常時訓練、予備エンジン、地震・雷・降雪時の運休判断を評価。サイバーと代替拠点の公開が弱い
総合54/100点シビックランクD

評価時点:2026年10月4日

主な強み

2024年度の索道事故・インシデント0件、2023年度も事故・インシデント0件という実績があります。毎月の救助訓練、消防・警察との合同訓練、設備投資、気象状況に応じた運休判断まで安全報告書で具体的に確認できます。

2021年には40年間使われた2代目ゴンドラから新型パノラマビューゴンドラへ更新し、足元近くまで広がる窓と多言語液晶モニターを導入しました。

主な課題

2026年の正社員求人は基本給20万~23万円、月平均残業10時間、年間休日96日です。前年度の賞与実績は年2回・合計30万~50万円ですが、昇給実績はありませんでした。

育児休業・介護休業・看護休暇の取得実績がなく、会社単体の有休取得率、労災件数、離職率、男女賃金差、ハラスメント相談件数なども公開されていません。

Protectionでは救助訓練は強い一方、大規模災害で山麓駅や電源設備が使用できなくなった場合の代替設備、目標復旧時間、サイバー攻撃への備えなどは公開情報が不足しています。

事業内容と人間への貢献

身延登山鉄道の最大の役割は、身延山久遠寺の山麓と山頂をロープウェイで結ぶことです。

歩いて登ることが難しい高齢者、障害のある人、小さな子どもを連れた家族でも、山頂の奥之院思親閣へ向かいやすくなります。

基本情報

項目内容
会社名身延登山鉄道株式会社
設立1959年
所在地山梨県南巨摩郡身延町身延字上の山4226-2
代表者代表取締役 鷹取健二
資本金5,000万円
従業員数18人
女性従業員12人
パート従業員9人
主な事業ロープウェイ旅客輸送、売店、食堂
グループ富士急グループ

2026年のハローワーク求人では従業員18人、うち女性12人、パート9人です。1959年設立、資本金5,000万円とされています。

富士急グループの企業一覧でも、身延登山鉄道が「身延山ロープウェイ」を運営する会社として掲載されています。

身延山ロープウェイ

身延山ロープウェイは1963年8月に営業運転を開始しました。

線路全長は1,665m、高低差763m、片道約7分で山麓と山頂を結びます。現在のゴンドラは2021年に導入された3代目で、定員は41人です。

歩いて山頂まで登れば大きな体力と時間が必要ですが、ロープウェイなら約7分です。

足腰が弱い人でも、身延山の宗教・文化、山頂からの景色へアクセスしやすくなります。

バリアフリーへの対応

車いすやベビーカーでもロープウェイへ乗車できます。

山麓側にはスロープがあり、山頂駅にある約6段の階段には昇降機が用意されています。

例えば階段を自力で上れない人でも、昇降機を使えば山頂側へ移動できます。

観光サービスのバリアフリーは「便利」というだけではなく、身体条件によって旅行や参拝を諦める人を減らすことにつながります。

地域観光への貢献

身延山は日蓮宗総本山久遠寺がある宗教・観光地です。

身延登山鉄道はロープウェイだけでなく、山頂売店「身延屋」、展望食堂「身延庵」、展望施設なども運営しています。

ロープウェイを利用する人が増えれば、身延町まで訪れる人が増え、周辺の宿泊、飲食、交通、小売にも需要が生まれます。

2017年には開通54年で累計乗車2,000万人を達成しており、長期間にわたって身延山観光を支えてきた施設であることが分かります。

Safety|27/50点

身延登山鉄道のSafetyでは、働く人の給与・休息と、ロープウェイそのものの安全を分けて評価します。索道安全の情報公開はかなり具体的ですが、労働環境の結果情報は少なく、両者の差が大きい企業です。

賃金・利益の還元|4/10点

2026年7月の正社員求人では基本給が月20万~23万円です。

固定残業代はなく、時間外労働には別途賃金が支払われます。扶養手当、資格手当、月3万円までの通勤手当があります。

前年度賞与実績は年2回、合計30万~50万円です。

固定残業代で給与を高く見せる仕組みではないことと、賞与実績があることは評価できます。

一方、前年の昇給実績はありませんでした。

また、

平均年間給与
既存社員の賃上げ率
正社員とパートの平均賃金
会社利益の従業員への還元額

は公表されていません。

公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。

そのため4/10点とします。

既存社員の基本給引き上げと実際の平均年収上昇を継続確認できれば6点以上を検討できます。

労働時間・休息|6/10点

2026年求人の月平均残業は10時間です。

特別条項付き36協定もありません。月10時間なら、単純計算では1営業日あたり30分弱です。残業そのものは比較的抑えられています。

一方、年間休日は96日です。

月8日のローテーション休が基本で、年間休日120日前後の企業と比較すると休日数は少ない水準です。

観光施設は土日祝日も営業するため、一般的な会社と同じ休日配置にはできません。しかし年間を通して何日休めるかは別問題です。

月平均残業10時間という良い実績がある一方、年間休日96日のため6/10点とします。

年間休日105~110日以上への増加や、有休取得率80%以上などが確認できれば8/10点を検討できます。

雇用の安定・待遇の公平性|3/5点

従業員18人のうち女性は12人です。

パートは9人で、従業員の半数を占めます。

現在の正社員求人は未経験者も応募可能で、定年65歳、70歳までの再雇用制度もあります。退職者の再雇用制度も設けられています。

年齢や経験だけで入口を狭くせず、長く働ける制度があることは評価できます。

一方、

正社員・パートの賃金差
男女賃金差
離職率
正社員登用実績

について公開情報がありません。

そのため3/5点です。

福利厚生・育児・介護|3/5点

正社員には雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金、退職金共済、勤続1年以上の退職金制度があります。

65歳定年後も70歳まで再雇用できます。

一方、2026年求人では、

育児休業取得実績なし
介護休業取得実績なし
看護休暇取得実績なし
利用可能な託児施設なし

となっています。

従業員18人という小規模会社なので、対象者がいなかった可能性もあります。

しかし企業審査では、制度が実際に使える状態なのかを利用実績から確認するため、高得点にはできません。

3/5点とします。

人権・ハラスメント・労使関係|1/5点

2026年求人では労働組合はありません。

労働組合がないこと自体を問題とは評価しません。

しかし、

内部通報制度
ハラスメント相談窓口
相談件数
人権研修
ハラスメント処分件数
労使協議制度

について、対象会社自身の具体的な公開情報がありません。

18人という小規模職場では、人間関係上の問題が起きた際に独立した相談経路があるかどうかは重要です。

実態を外部から評価できないため1/5点です。

労働安全・健康|6/10点

安全報告書では、2025年度重点施策として「無災害の職場づくり」「職場内危険箇所の把握と改善」「作業時における事故防止」を明記しています。

索道運行では、搬器へ登る訓練、救助装置取扱い、予備エンジン運転などを毎月実施しています。

外部研修にも参加し、消防署との救助訓練、警察によるテロ対策訓練も行っています。

例えばゴンドラが途中で止まり通常運転で戻せなくなった場合、係員がロープ上の搬器へ接近し、乗客を地上へ降ろさなければならない可能性があります。

毎月訓練することで、実際の緊急時に初めて装置を触る状態を避けられます。

一方、

従業員の死亡労災件数
休業労災件数
労災度数率
作業中の負傷件数
メンタルヘルス休職

は公表されていません。

「労災をなくす方針」は確認できますが、実際の労災結果が見えません。

そのため6/10点です。

労災結果を毎年公開し、低水準を確認できれば8点以上を検討できます。

商品・サービスの安全|4/5点

2024年度の索道運転事故・インシデントは0件でした。2023年度も0件です。

2024年度には1,733.6万円を安全関係へ投資しました。

内訳には、

3号支柱の耐震健全度調査 968万円
運転盤運行モニター更新 259万円
送電線支障木伐採工事 220万円

などがあります。

特に3号支柱は建設から60年が経過しており、日本ケーブルが鋼材、コンクリート、構造解析などを調査しています。

古い設備を「まだ動いているから使う」のではなく、専門メーカーへ耐震性を調べさせている点を評価できます。

2026年2月にも索道施設の年次点検整備のため5日間全面運休し、6月と7月にも施設点検のため営業時間を短縮しています。

安全性を優先して営業機会を減らしてでも点検時間を確保していることはプラスです。

ただし、2025年度の事故・インシデント実績をまとめた2026年版安全報告書は今回の公開情報調査では確認できませんでした。

最新年度の結果まで継続公開されれば5/5点を検討できます。

従業員・元従業員の口コミ

Indeed、OpenWork、転職会議などで身延登山鉄道株式会社を検索しました。

今回、対象会社の従業員・元従業員であることを確認でき、本文まで確認できる具体的な口コミは得られませんでした。

会社規模が18人と小さいため、口コミサイトに十分な投稿が集まりにくい可能性があります。

口コミがないことを「働きやすい」とも「働きにくい」とも評価せず、公式求人と公開資料を中心に採点しています。

SNS・匿名掲示板の確認結果

X、Facebook、YouTube、5ちゃんねるなどについて会社名、残業、退職、事故、パワハラなどを組み合わせて確認しました。

身延山ロープウェイの観光利用や景色に関する投稿は多数ありますが、従業員の現在の勤務実態を具体的に示し、採点を変更できる投稿は確認できませんでした。

Safety小計:27/50点

Innovation|13/25点

身延登山鉄道のInnovationでは、派手なAI導入ではなく、ロープウェイの設備更新によって利用者の不便や安全上のリスク、人が行う作業をどこまで減らしているかを評価します。新型ゴンドラや運行モニター更新などは確認できますが、従業員の作業時間を何時間削減したかという結果情報は少ない状態です。

作業負担・危険の削減|4/10点

2024年度には12年間使用した運行モニター2台を更新しています。

古い監視設備を新しくすることで、運行状態を確認する設備の故障リスクを下げ、安全な運転を続けやすくなります。

また、予備エンジン運転訓練を毎月行っています。

通常設備に異常が起きても予備エンジンへ切り替えられれば、ゴンドラ内で乗客が長時間取り残されるリスクを下げられます。

一方、

新設備で点検時間が何時間減ったか
必要作業人数が何人減ったか
危険な高所作業がどれだけ減ったか
残業がどれだけ減ったか

について公開情報がありません。

そのため4/10点です。

商品・サービスの改善|4/5点

2021年2月、40年ぶりにゴンドラを更新しました。

新型ゴンドラは41人乗りで、足元付近まで広がる大型パノラマガラスを採用しています。

車内には液晶モニターを設置し、身延山の歴史や景色を多言語で案内します。

外国人観光客が日本語を読めなくても景色や身延山について理解しやすくなるため、単なる外観変更ではなく利用者の情報アクセスを改善しています。

乗車券は山麓駅でクレジットカード、iD、交通系IC、WAONに対応しています。

車いす・ベビーカーへの対応も行っています。

サービス改善が複数確認できるため4/5点です。

改善成果の人間への還元|1/5点

設備更新によって安全性と利用者体験が改善していることは確認できます。

一方、自動化や設備更新によって生まれた成果を、

従業員の休日増
残業削減
賃上げ
必要作業人数削減
危険作業削減

へどの程度返したかは公開されていません。

むしろ現在の年間休日は96日のままです。

技術投資が働く人の時間へ返ったことを確認できないため1/5点です。

研究開発・現場改善の継続|4/5点

2021年のゴンドラ全面更新で終わらず、その後もロープ切詰工事、支柱受索輪交換、風向風速計更新、運行モニター更新、耐震健全度調査などを継続しています。

2026年にも2月の年次点検に加え、6月・7月に設備点検時間を確保しています。

索道設備は一度導入したら終わりではなく、ロープ、支柱、制御装置を長期間維持する必要があります。

継続的な設備改善を確認できるため4/5点です。

自動化・AI導入後の雇用状況

大規模なAI・省人化システムの導入は今回確認していません。

2021年の新ゴンドラや運行モニター更新は設備更新ですが、従業員の仕事そのものを大規模に無人化するものとは確認できませんでした。

2026年7月にも正社員1人を新規募集しており、事務、駅務、運転、設備管理、売店、食堂など幅広い仕事を担当する人材を採用しています。

Innovation小計:13/25点

Protection|14/25点

身延山ロープウェイは山間部にあり、雷、強風、雪、地震の影響を直接受けます。そのためProtectionでは、事故が起きた後の救助だけでなく、危険を予測して運行を止める判断、停電や機械故障からの復旧、山中での救助能力を重視します。

災害への備え・訓練|5/5点

身延登山鉄道は異常時対応として、

搬器登はん訓練
救助装置取扱い訓練
予備エンジン運転訓練

を毎月実施しています。

さらに全職員が参加する消防署との総合防災訓練、警察指導による施設巡回・テロ対策訓練も行っています。

例えばロープウェイが山中で停止し、通常の駆動装置も使えなくなった場合、乗客を地上へ降ろす必要があります。

実際の搬器へ登る訓練と降下訓練を繰り返しているため、非常時に必要な作業を具体的に練習できています。

訓練内容と頻度の両方が明確なため5/5点です。

生産・物流・調達の代替|3/5点

索道では通常の駆動装置が使えない場合に備えて予備エンジンを持ち、その運転訓練を毎月実施しています。

電気系統や通常駆動に異常が起きても、別の駆動手段を使って搬器を動かせる可能性があることは重要です。

一方、

送電が長期停止した場合の燃料備蓄量
主要設備が完全に損壊した場合の代替輸送
交換用主要部品の在庫
山麓駅・山頂駅の代替施設

について公開情報がありません。

そのため3/5点です。

サイバー防衛・情報保護|1/5点

公式サイトには問い合わせフォームがあり、個人情報を問い合わせ対応のみに利用し厳重管理すると説明しています。

しかし、会社単体について、

情報セキュリティ方針
多要素認証
バックアップ
サイバー訓練
不正アクセス監視
インシデント対応手順
過去の情報漏えい件数

などの具体的な公開情報がありません。

ロープウェイの制御設備と一般社内ネットワークをどの程度分離しているかも公表されていません。

公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。

1/5点です。

供給継続・復旧能力|4/5点

2024年8月8日夜に神奈川県西部を震源とする震度5の地震が発生した際、翌日の始業点検で地震発生時用点検表に沿って設備を確認し、異常がないことを確認した後に試運転・営業運転を行いました。

2024年度には雷により10日間、合計11時間の運転見合わせや営業時間短縮を行いました。

2025年3月18~19日の降雪時には終日運休し、運転前の点検で異常がないことを確認してから再開しています。

これは「何があっても運行する」のではなく、危険時には止め、設備確認後に再開する運用です。

利用者にとっては一時的に不便でも、山中で事故が発生するリスクを下げる方が重要です。

一方、「災害発生から○時間以内に再開する」というRTOは公表されていません。

そのため4/5点です。

危機時の市民への対応|1/5点

通常時には、歩いて山頂まで登れない人を含めて移動を支えています。

一方、大規模災害時に、

自治体からの要請で住民を輸送する
施設を避難場所として開放する
食料・水を避難者へ提供する
災害時の地域輸送を担う

といった身延登山鉄道自身の協定・実績は今回の公開情報から確認できませんでした。

通常の観光輸送と災害時の市民支援は分けて評価するため1/5点です。

Protection小計:14/25点

良いニュース・最近の前向きな動き

身延登山鉄道の最近の良いニュースでは、安全運行のために営業を止めて点検時間を確保していることを重視します。観光施設では営業日を増やすほど売上を得やすくなりますが、ロープウェイでは設備点検を後回しにすれば利用者と従業員の生命に関わります。サービスを利用することによって、こうした継続的な安全投資を支えることにつながります。

2026年2月 年次点検のため5日間全面運休|Safety・Protection

2026年2月6日から10日まで、索道施設の年次点検整備工事のため全面運休しました。

ロープウェイは毎日使う設備だからこそ、営業を止めなければ確認できない部品や設備があります。

売上が発生しない期間を作ってでも整備することは、安全を維持するために必要です。

2026年6月・7月にも設備点検を実施|Safety

6月2日と7月1日にも索道施設点検のため営業時間を短縮しています。

年1回だけ大規模点検して終わるのではなく、営業期間中にも追加で設備確認の時間を確保していることを評価できます。

2024年度 1,733.6万円を安全投資|Safety

安全報告書では2024年度に1,733.6万円を安全関連へ投資しています。

従業員18人の小規模企業としては、安全投資額を具体的に公開していること自体も特徴です。

特に建設後60年が経過した支柱について968万円を使って耐震健全度を確認しています。

古い設備を専門会社に調査させ、構造解析まで行った点を評価します。

悪いニュース・問題となった動き

今回確認した公開情報では、直近の重大な索道事故を確認していません。むしろ最新の安全報告では事故・インシデント0件です。一方、働く人の勤務条件と最新結果の情報公開には改善すべき点があります。安全な観光交通を維持するには、設備だけでなく、それを運転・点検する人が十分に休める状態も必要です。

2026年求人の年間休日は96日|Safety

現在の正社員求人では年間休日96日です。

月平均残業10時間は比較的少ない一方、月8日休みが基本です。

ロープウェイは土日祝日こそ利用者が増えるサービスなのでシフト勤務は避けにくいですが、年間休日自体を増やすことは可能です。

特に設備点検や接客、売店、食堂まで少人数で担当する会社だからこそ、採用を進めて一人当たりの休息を増やすことがSafetyにつながります。

前年度の昇給実績なし|Safety

2026年求人では昇給制度そのものはありますが、前年度の昇給実績はなしとされています。

賞与30万~50万円は確認できますが、物価が上がる中で基本給が増えなければ実質的な生活余力は小さくなります。

2026年4月から大人往復運賃は1,700円へ改定されています。会社は安全輸送と利便性向上を継続すると説明しています。

値上げで得た収益が、安全投資だけでなく働く人の基本給や休日増加にも使われれば、企業審査上の評価は上がります。

最新年度の索道事故実績がまだ見えにくい|情報公開

今回確認できた最新の安全報告書は2025年9月公表のもので、2024年度の事故や安全投資を掲載しています。

2025年度の索道事故・インシデント実績をまとめた2026年版安全報告書は、今回確認した公開情報では取得できませんでした。

安全報告の継続性そのものは評価していますが、最新年度まで追いやすい状態にすると利用者はさらに安心して選べます。

総合評価と、これから改善してほしいこと

身延登山鉄道株式会社は現在54点、シビックランクDです。

Cランクは60点からなので、あと6点必要です。

最大の強みは索道安全です。事故0件という結果だけでなく、毎月訓練し、古い支柱を専門業者へ調査させ、営業を止めて点検しています。

一方、働く人に関する公開は安全報告ほど充実していません。

年間休日を増やし、有休実績も公開する|Safety

現在の「労働時間・休息」は6/10点です。

残業は月平均10時間ですが、年間休日は96日です。

年間休日を105~110日以上へ増やし、有休取得率80%以上を継続確認できれば8/10点を検討できます。

改善後想定:6→8点
加点幅:+2点
総合点:54→56点
ランク:Dのまま

Google Drive上の株式会社高島屋の現行企業審査では、月平均残業5.7時間、年間休日122日などを具体的に公開しています。

業種は異なりますが、観光交通会社でも「残業だけ少ない」から一歩進み、年間の休息日数を増やすことが重要です。

労災件数を安全報告書へ追加する|Safety

現在の「労働安全・健康」は6/10点です。

索道事故・インシデントは0件まで公開されていますが、従業員の労災件数は公開されていません。

毎年度、

死亡労災
休業労災
軽微な作業事故
労災度数率
ヒヤリハット件数

を安全報告書へ追加し、低水準を継続していることを確認できれば8/10点を検討できます。

改善後想定:6→8点
加点幅:+2点
総合点:56→58点

Google Drive上の鴻池運輸株式会社では、休業度数率や労災度数率を公開しており、働く人自身の安全結果まで外部から確認できます。

身延登山鉄道は利用者側の安全情報が強いため、社員側の安全実績を加えるだけでもSafetyの透明性が大きく高まります。

設備更新で作業時間がどう変わったか示す|Innovation

現在の「改善成果の人間への還元」は1/5点です。

新型ゴンドラや運行モニターの更新は行っていますが、それによって、

点検時間が何時間減ったか
故障対応が何件減ったか
高所作業が何回減ったか
社員の残業がどれだけ減ったか

は公開されていません。

例えば運行監視設備の更新によって年間500時間の確認作業が減り、その結果休日や残業時間が改善したことまで確認できれば3/5点を検討できます。

改善後想定:1→3点
加点幅:+2点
総合点:58→60点
ランク:D→C

Google Drive上のキリンビバレッジ株式会社では、最大約25kgの原料を扱う作業をロボットへ移し、年間約2,300時間の負担削減を公開しています。

身延登山鉄道でも「設備を新しくした」だけではなく、「人の仕事がどれだけ安全・短時間になったか」まで出すことが重要です。

災害時の代替運行と復旧目標を公開する|Protection

毎月の救助・予備エンジン訓練は非常に強い取り組みです。

一方、長期停電や支柱・駅舎の損傷など、数時間では復旧できない災害への対応情報が不足しています。

例えば、

予備電源・予備エンジンを何時間運転できるか
主要部品をどこから調達するか
通信途絶時にどう連絡するか
何時間以内に乗客救助を完了するか
通常営業を何日以内に再開する目標か

を訓練実績とともに公開すればProtectionをさらに評価できます。

Google Drive上の株式会社フジエクスプレスの現行企業審査では、防災無線訓練、可搬式給油機の確認、営業所別の避難計画などを確認し、Protection16/25点と評価しています。

次のランクへ上がるための具体例

現在54点・Dです。

Cランクは60点からなので、あと6点必要です。

例えば、

労働時間・休息:6→8点 +2点
労働安全・健康:6→8点 +2点
改善成果の人間への還元:1→3点 +2点

まで改善すれば、

54点 → 60点

となり、シビックランクCへ上がります。

身延登山鉄道は、安全なロープウェイを作るための「設備・訓練」についてはすでに具体性があります。

次に必要なのは、その安全投資を働く人の休日、給与、安全へも返し、その結果を数字で公開することです。

最終評価

身延登山鉄道株式会社は、身延山の山麓と山頂を約7分で結び、高齢者や身体的に長距離の登山が難しい人にも参拝・観光の機会を提供する企業です。

2024年度には索道運転事故・インシデント0件を達成し、前年も0件でした。

事故0件だけでなく、毎月の救助訓練、予備エンジン訓練、消防署・警察との合同訓練、耐震健全度調査、運行モニター更新など、安全を維持するための具体的な行動も確認できます。

特に建設後60年が経過した支柱をそのまま使うのではなく、専門メーカーによる構造調査へ968万円を投入していることは高く評価できます。

一方、働く人については、2026年求人で月平均残業10時間という良い数字がある一方、年間休日は96日です。育児・介護・看護休暇の取得実績もなく、労災件数、男女賃金差、人権・ハラスメント関連実績などの情報も不足しています。

Innovationでも新型ゴンドラや多言語案内、設備更新は進んでいますが、その成果を社員の自由時間や給与へどれだけ返したかは見えません。

Protectionでは非常時訓練が非常に強い一方、長期的な事業復旧やサイバー対策に関する説明が不足しています。

以上から、

Safety:27/50点
Innovation:13/25点
Protection:14/25点

総合54/100点

シビックランクD

と評価します。

出典一覧

身延登山鉄道株式会社「安全報告書(2025年)」

身延登山鉄道株式会社「安全報告書(2024年)」

身延山ロープウェイ「新型パノラマビューゴンドラ2月23日運行開始!」

身延山ロープウェイ「ロープウェイの歴史」

身延山ロープウェイ「ロープウェイ案内」

身延山ロープウェイ「よくあるご質問」

身延山ロープウェイ「2026年2月運休について」

身延山ロープウェイ「2026年7月1日営業時間短縮のお知らせ」

身延山ロープウェイ「2026年4月1日運賃改定」

ハローワーク・身延登山鉄道株式会社 正社員求人

ハローワーク求人掲載情報・給与、賞与、勤務条件

富士急行株式会社「富士急グループ企業一覧」

シビックランクの基準

シビックランク総合点
S90~100点
A80~89点
B70~79点
C60~69点
D50~59点
E40~49点
F20~39点
G0~19点

身延登山鉄道株式会社は54点のため、シビックランクDです。

情報ランクの基準

情報ランク基準
S行政、裁判所、規制当局、独立した第三者機関による調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報
A企業公式資料、IR、採用情報、公式声明・SNS、氏名や立場を確認できる記名取材など、発信主体を確認できる公表情報
B従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立して確認しにくい情報

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次