私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査する協栄J&T環境株式会社は、総合42点、シビックランクEです。
協栄J&T環境株式会社の特に強い点は、食品接触材料の基準に適合した再生PETを製造し、西日本のボトルtoボトル供給拠点を構築していることです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、使用済みPETボトルを国内で再び飲料ボトルへ戻し、災害で東西物流が分断されても資源循環を維持しやすい社会につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として交替夜勤と月平均30時間の時間外労働に加え、法人単体の労災KPI、人権・ハラスメント対応実績、サイバー防御・復旧時間が公表されていないことが残ります。
この記事では、協栄J&T環境株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
協栄J&T環境株式会社の企業審査結果
協栄J&T環境は、使用済みPETボトルをフレークと再生PETペレットへ戻す西日本PETボトルMRセンターを運営しています。環境省は、同社の設備について事業系や混合回収のPETボトルから飲料ボトル用再生PETペレットを製造できることと、年間約9万2,269t-CO2の削減効果を試算しています。一方、働く人のSafetyでは、現在の操業職求人に昼夜交替勤務と月平均30時間の時間外労働があり、労災件数などの結果情報が公表されていません。
| 評価軸 | 得点 | 主な評価 |
|---|---|---|
| Safety | 21/50点 | 昇給・賞与、年休122日、育休取得実績、食品接触材料認証を評価。交替夜勤・月30時間残業と、労災・人権実績の非公表が課題 |
| Innovation | 12/25点 | 事業系PETまで飲料ボトル原料へ戻すメカニカルリサイクルと微細異物除去を評価。自動化効果の人への還元KPIは非公表 |
| Protection | 9/25点 | 西日本豪雨を受けたBCP拠点としての設立、複数供給元と2ラインを評価。自社訓練、RTO、サイバー防御、市民支援の開示が不足 |
| 総合 | 42/100点 | シビックランクE |
評価時点:2026年10月
適用基準:Google Drive「企業審査マスター仕様書」最新版
主な強み
- 2025年末にJCIIの食品接触材料用リサイクルプラスチック材料認証を3件取得。
- 事業系や混合回収のPETボトルも飲料ボトル用再生PETへ戻せる設備を導入。
- 環境省の事例集では年間約9万2,269t-CO2の削減効果を試算。
- PETボトルリサイクル推進協議会の取材では、原油由来PET比でCO2約63%削減、太陽光を加味して約65%削減と紹介。
- 2018年西日本豪雨で道路が寸断された経験を背景に、西日本側のボトルtoボトルBCP拠点として設立。
- セブン&アイ、協栄産業、J&T環境の資本・回収・技術ネットワークを組み合わせている。
- 2024年にはSUPER GT会場で回収したPETボトルの水平リサイクルに参加。
主な課題
- 2026年の操業職求人で月平均時間外労働30時間。
- 7時30分~17時45分と19時30分~翌5時45分の昼夜交替勤務。
- 年間休日122日、有給休暇は入社6か月後20日付与だが、実際の有休取得率は公表されていない。
- 法人単体の平均年間給与、男女賃金差、女性管理職比率、離職率は公表されていない。
- 法人単体の死亡労災、休業労災、労災度数率が公表されていない。
- 人権方針、ハラスメント相談件数、是正件数、研修実績が対象法人単体では公表されていない。
- 個人情報保護方針はあるが、MFA、EDR、SOC、バックアップ、復旧時間などのサイバー防御情報は公表されていない。
- 自動化・設備導入で何時間の作業、何kgの重量物、何件の危険作業を減らしたかは公表されていない。
- 設備による生産性向上を残業削減、休日、賃金へどう返したかも公表されていない。
事業内容と人間への貢献
協栄J&T環境が扱うのは、消費者が飲み終えた後のPETボトルです。回収されたボトルから異物を取り除き、粉砕・洗浄してフレークへ加工し、さらに高温・減圧下の処理や溶融・ろ過を通じて不純物を除去し、飲料ボトルに再利用できる再生PETペレットへ戻します。飲料容器を同じ飲料容器へ戻せれば、石油から新しいPET原料を作る量を減らせます。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 協栄J&T環境株式会社 |
| 法人番号 | 2190001027303 |
| 設立 | 2020年4月 |
| 所在地 | 三重県津市雲出鋼管町1番地、JFEエンジニアリング津製作所内 |
| 工場名称 | 西日本PETボトルMRセンター |
| 資本金 | 1億円、資本準備金4億円 |
| 代表者 | 代表取締役会長 長谷場洋之、代表取締役社長 古澤栄一 |
| 主な事業 | 使用済みPETボトルからフレーク・再生PETペレットを製造 |
| 従業員数 | 2026年求人で企業全体100人、うち女性11人・パート1人 |
| 出資者 | J&T環境、協栄産業、セブン&アイ・ホールディングス |
| 公表処理能力 | 対象会社の現行会社概要は年間5万t、J&T環境の現行拠点紹介と業界取材は年間6万t |
会社概要、法人情報、出資関係は公式・公的資料から確認できます。
対象会社の現行会社概要は年間5万tと掲載しています。一方、J&T環境の現行拠点紹介とPETボトルリサイクル推進協議会は年間6万tと掲載しています。公開資料間で数字が異なるため、本記事では一方を誤りと断定せず、「年間5万~6万t規模の公表能力を持つ大型拠点」と扱います。
主な事業内容
回収されたPETボトルは、選別、粉砕、洗浄などを経てフレークになります。西日本PETボトルMRセンターでは、再縮合重合反応による不純物除去と物性回復、溶融、微細異物除去、切断、結晶化を経て飲料ボトル用再生PETペレットを作ります。
環境省の事例では、1,800kg/hのメカニカルリサイクル設備とスクリーンチェンジャー、1,450kg/hのメカニカルリサイクル設備とスクリーンチェンジャーなどが導入されています。ガラス等の微細異物を除去できるため、従来は品質確保が難しかった事業系・混合回収の使用済みPETまで飲料ボトル原料へ戻せる範囲を広げています。
主な利用企業・取引先
協栄J&T環境は、単独の回収網だけで原料を集める会社ではありません。
セブン&アイ・ホールディングスの資本参加により、店頭のPETボトル回収機で集めた使用済みPETを安定的に受け入れる仕組みが作られました。
2022年の全面稼働時にはサントリーホールディングス、セブン-イレブン・ジャパン、コカ・コーラ ボトラーズジャパンなどの関係者が開所式へ参加しています。
2024年にはGTアソシエイション、コカ・コーラ ボトラーズジャパン、協栄産業と協働し、SUPER GTの各サーキットで回収したPETボトルをボトルtoボトルへ戻す取り組みを開始しています。
事業による人間への貢献
PETボトルを一度だけ別製品へ再利用するのではなく、再び飲料ボトルへ戻せれば、新しい石油由来PETの需要を減らせます。
環境省は同社の高度リサイクル設備について、年間約9万2,269t-CO2の削減効果を試算しています。PETボトルリサイクル推進協議会は、同社のリサイクルPETについて原油からPET樹脂を作る場合よりCO2を約63%削減し、屋根の太陽光発電を加味すると約65%になると紹介しています。
この数字は「ペットボトルを回収している」という抽象的な環境活動ではなく、同じ容器原料を国内で循環させることで、新規化石資源と温室効果ガスを減らす具体的な効果を示します。
Safety|21/50点
協栄J&T環境のSafetyでは、食品容器原料の安全性は非常に強い一方、製造現場で働く人の結果情報が弱いという大きな差があります。求人では昇給、賞与、年休122日、育休取得実績まで確認できますが、月平均残業30時間と交替夜勤があります。さらに、労災件数やハラスメント対応実績は法人単体で公表されていません。点数が高いほど、工場で働く人と再生PETを利用する人の双方が安全に暮らせる状態へ近づくという基準で採点します。
賃金・利益の還元|6/10点
2026年の操業職求人では、月額21万9,000円~35万2,000円、基本給21万7,000円~35万円、食事手当2,000円です。固定残業代はなく、交替勤務給、特別出勤手当、住宅手当などがあります。
前年度の昇給実績は月2,000円~5,000円、賞与は年2回・計3.5か月分です。実際に昇給と賞与があるため、働く人へ金銭的な還元が行われていることを評価して6点とします。
一方、会社単体の平均年間給与、賃金中央値、会社利益、ベースアップ率は公表されていません。求人の上限と下限だけでは100人全体にどの程度利益が返っているかまでは判断できません。
平均年間給与と既存社員のベースアップ実績を毎年公表し、実質賃金の継続上昇まで確認できれば8/10点を検討できます。
労働時間・休息|4/10点
2026年の操業職求人は、7時30分~17時45分と19時30分~翌5時45分の交替勤務で、休憩105分、月平均時間外労働30時間、年間休日122日です。
2025年の入出荷職求人でも月平均残業30時間、年間休日122日でした。職種は異なりますが、複数求人で30時間という水準が確認されるため、単発の求人表記として無視しません。
年間休日122日と、入社6か月後に年次有給休暇20日が付与される点はプラスです。ただし、実際の有給取得率は公表されていません。交替夜勤と月30時間の時間外労働が組み合わさる製造職では、睡眠・疲労管理がSafetyへ直接関係します。
そのため4/10点です。全社員の平均残業を月20時間以下へ下げ、有休取得率80%以上、交替勤務者の勤務間休息や健康指標を継続公開できれば6/10点を検討できます。
雇用の安定・待遇の公平性|3/5点
2026年の操業職求人では会社全体の従業員数100人、女性11人、パート1人とされ、募集理由は増員で3人を採用予定です。
Gビズインフォが社会保険適用事業所データから掲載する被保険者数は88人で、取得時点・集計対象が異なるため単純比較はできませんが、現在も増員募集を行っている点から大規模な雇用縮小は確認していません。
一方、男女賃金差、女性管理職比率、離職率、正規・派遣を含む雇用構成の推移は公表されていません。現在も同事業所で派遣会社による募集が確認されますが、派遣労働者の雇用主は派遣会社であり、給与を協栄J&T環境の待遇として採点しません。
雇用を増やしていることを評価しつつ、公平性の結果を比較できないため3/5点です。離職率、男女賃金差、管理職構成、雇用形態別人数を公開し良好な実績が確認できれば4/5点を検討できます。
福利厚生・育児・介護|3/5点
2026年求人では社会保険、勤続5年以上の退職金制度、65歳定年、70歳までの再雇用、住宅手当、食事手当などを確認できます。育児休業取得実績も「あり」です。
制度だけではなく育休の取得実績があるため3点とします。一方、男性・女性別の育休取得率、復職率、介護休業や看護休暇の利用実績は公表されていません。求人では介護休業・看護休暇は該当者なしです。
男女別育休取得率と復職率を公開し、高い利用実績が継続して確認できれば4~5/5点を検討できます。
人権・ハラスメント・労使関係|0/5点
対象法人単体の人権方針、ハラスメント相談窓口、内部通報件数、相談・是正件数、人権研修受講率について公開情報がありません。2026年求人では労働組合なしとされていますが、労働組合がないこと自体を減点理由にはしません。
Indeedには人間関係や管理面への強い不満を述べる投稿がありますが、3件という少数口コミであり、会社全体の確定事実とは扱いません。
重要な救済制度と運用結果を外部から評価できないため0/5点です。この0点はハラスメントが多いと確認されたという意味ではなく、重要情報が公表されていないことによる0点です。
対象法人の相談窓口、研修受講率、相談件数、是正・再発防止実績を公開し、制度が実際に機能していることを確認できれば2~3/5点を検討できます。
労働安全・健康|0/10点
操業職は設備操作、原料・製品の運搬・投入、保管、選別を行います。求人では作業服・安全靴の貸与と安全衛生教育を説明しています。
しかし、対象法人単体の死亡労災件数、休業労災件数、労災度数率、ヒヤリハット、熱中症、フォークリフト事故などの結果情報は公表されていません。
高温・回転機械・搬送・夜勤を含む製造現場では、教育制度だけでなく「実際に何人がけがをしたか」が重要です。十分な調査後もこの結果を確認できないため0/10点です。公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。
死亡労災0件、休業災害件数、度数率、事故原因と改善後の推移を毎年公表し、低い水準が確認できれば4点以上を検討できます。
商品・サービスの安全|5/5点
西日本PETボトルMRセンターで製造するMR-PET®は、2025年末に一般財団法人化学研究評価機構のJCII A0001:2024「食品接触材料用リサイクルプラスチック材料」の基準への適合認証を取得しました。認証取得者リストには協栄J&T環境の認証番号JA01-00017、00018、00019が掲載されています。
飲料ボトル原料は食品に触れるため、単に「リサイクルできる」だけでは不十分です。不純物を除去し、食品接触用途で適切に使える品質を第三者認証で確認できることで、飲料容器メーカーは再生材料を使いやすくなります。
環境省も、微細異物除去と物性回復を含む同社の工程をPETボトル水平リサイクル事例として掲載しています。
独立第三者による食品接触材料認証と具体的な除染工程を確認できるため5/5点です。
従業員・元従業員の口コミ
Indeedでは3件の口コミが掲載され、総合評価は1.7/5です。勤務時間と残業、給与・福利厚生、定着率と昇進、企業文化はいずれも1.0/5と表示されています。母数が3件しかないため、評価平均だけで会社全体を断定しません。
2023年の製造職投稿には、情報ランクBとして「昼食代と深夜割増、交代勤務手当が出る。」という記述があります。現在の2026年求人でも交替勤務給が確認できるため、この点は現在の制度とも整合します。
一方、2023年の品質管理職投稿には「すぐに人がやめていく。」、現場作業職投稿には「人間関係悪すぎ。」という厳しい記述があります。
現在の求人では年間休日122日が明示されており、2023年投稿だけで2026年の全社員が同じ状態だとは判断しません。ただし、現在も夜勤と月30時間残業があるため、疲労と現場環境への不満が過去だけの問題かどうかは継続確認が必要です。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイなどで、社名と「残業」「退職」「パワハラ」「事故」「人員削減」などを組み合わせて確認しました。
今回の調査では、本文まで確認でき、協栄J&T環境の現在の職種・拠点・雇用形態と結び付けられる有用な投稿は得られませんでした。したがってSNSや匿名掲示板を理由とした加点・減点はしていません。
Safety小計:21/50点
Innovation|12/25点
協栄J&T環境のInnovationは、回収したPETを再び食品用ボトル原料へ戻せる技術そのものでは強い企業です。一方、企業審査のInnovationは環境技術だけでなく、人が担う重労働・危険作業・反復作業をどれだけ減らし、浮いた時間や利益を働く人へ返したかを評価します。同社は設備技術の具体性に比べ、人間側の削減効果と還元KPIの公開が弱いため12点です。
作業負担・危険の削減|4/10点
工場では選別、粉砕、洗浄、再縮合重合、溶融、スクリーンチェンジャーによる微細異物除去、切断、結晶化といった工程を設備化しています。
大量のPETを高温・真空下で処理し、微細な異物を除去する工程を専用設備が担うことで、人が手作業だけで大量の原料を処理する方式にはしていません。
一方、「設備導入前は人が何時間行っていた作業が、導入後何時間になった」「重量物を持つ回数が何回減った」「危険区域への立入りが何回減った」という人間側の比較値は公表されていません。
そのため4/10点です。導入前後の作業時間、重量、危険作業回数、必要人数を定量公開し、大幅な負担削減が確認できれば8点以上を検討できます。
商品・サービスの改善|5/5点
環境省は、同社の設備について、従来は水平リサイクルが難しかった事業系や混合回収の市町村系廃PETボトルから、飲料ボトル用再生PETペレットを製造できると説明しています。
PETボトルリサイクル推進協議会の取材では、高温・真空下で樹脂内部の不純物を除去し、IV値を0.80まで回復させると紹介されています。
さらに2025年末には食品接触材料用リサイクルプラスチックとして第三者認証を取得しました。
より幅広い回収PETを同じ飲料容器へ戻し、安全性も第三者確認できる段階まで製品を改善しているため5/5点です。
改善成果の人間への還元|0/5点
リサイクル設備によって大量処理や品質向上は実現していますが、その生産性向上を自社社員へどのように返したかを示す公開情報がありません。
設備導入後に残業が何時間減ったのか、休日が増えたのか、基本給がどれだけ上がったのか、危険作業から配置転換された人数が何人かという因果KPIは公表されていません。
現在の操業職求人では月平均残業30時間です。
改善成果が賃金・自由時間・安全へ返ったことを確認できないため0/5点です。作業削減量と残業、休日、賃金、事故率の導入前後を結び付けて公開し、複数の改善成果が確認できれば3~4/5点を検討できます。
研究開発・現場改善の継続|3/5点
2022年の全面稼働後も、回収範囲の拡大と品質保証は続いています。
2024年にはSUPER GTの各サーキットで回収したPETのボトルtoボトルに参加し、2025年末にはMR-PET®が食品接触材料用リサイクルプラスチックの認証を取得しました。
設備を一度作って終わりではなく、回収ルートと食品用途の品質保証を拡張しているため3点です。
一方、対象会社単体の研究開発費、改善件数、設備停止時間の削減、歩留まり改善など継続的な技術KPIは公表されていません。これらを年次で確認できれば4~5/5点を検討できます。
自動化・AI導入後の雇用状況
西日本PETボトルMRセンターは開設時点から大規模なメカニカルリサイクル設備を前提とする工場です。そのため「人手工程を後から自動化した前後比較」に使える対象会社の従業員基準値は公開されていません。
Gビズインフォでは社会保険適用事業所の被保険者数88人が掲載されています。2026年の対象会社求人では企業全体100人とされ、操業職3人を「増員」で募集しています。集計対象と時点が異なるため88人から100人へ単純に増えたとは断定しませんが、少なくとも現在、大規模な人員削減を進めている公開情報はなく、増員求人が出ています。
一方、派遣会社による同工場向けの募集も確認できます。派遣社員の雇用主は派遣会社なので、対象会社の賃金や雇用安定性として直接採点しません。
自動化後の採用抑制、契約終了、配置転換、希望退職、人員整理を示す具体的な報道・労組資料・口コミ・SNS投稿は今回確認できませんでした。因果関係がないものを自動化と結び付けて減点していません。
Innovation小計:12/25点
Protection|9/25点
協栄J&T環境は、会社そのものが2018年西日本豪雨を受けた供給網分散の回答として生まれた点に特徴があります。東日本に偏っていたボトルtoボトル拠点を西日本へ広げることで、道路寸断や広域災害時にも国内資源循環を維持しやすくします。一方、対象会社自身の防災訓練、復旧目標時間、サイバー防御、市民向け危機支援は十分に公開されていません。点数が高いほど、有事でも飲料容器の原料供給と地域生活を平時に近い状態へ戻しやすいという基準で採点します。
災害への備え・訓練|3/5点
PETボトルリサイクル推進協議会は、2018年西日本豪雨で道路が寸断した経験から、大手飲料メーカーより西日本側にもボトルtoボトル拠点を求める声が出たことが、協栄J&T環境設立の背景だと紹介しています。環境省の事例集でも、古澤社長がBCPの観点から中部・東海地区に一貫製造工場を立ち上げたと説明しています。
例えば東西を結ぶ道路が豪雨で寸断され、東日本側の再生PET工場へ原料や製品を運べなくなった場合、西日本に別の製造拠点があれば、飲料メーカーは西側で再生PET原料を調達できる可能性が高まります。
ただし、協栄J&T環境自身の地震・津波・高潮・火災を想定した訓練頻度、参加人数、非常電源、備蓄を公表した資料は確認できません。
BCP目的で設立された実績を評価して3/5点です。対象工場の訓練結果と設備を公開できれば4~5点を検討できます。
生産・物流・調達の代替|3/5点
セブン&アイの店頭回収網から原料を受け入れられるほか、J&T環境の全国回収ネットワーク、自治体、ベンダー、スーパー、コンビニ、産業廃棄物事業者など複数の原料供給元との連携が確認できます。
環境省資料ではメカニカルリサイクル設備が2ライン構成になっています。
一つの回収元だけに依存せず、複数経路でPETを集められることは供給途絶リスクを下げます。
一方、工場自体は三重県津市の単一拠点です。主要設備の長期停止時に別工場へ生産を振り替える契約、予備部品、代替物流の具体的手順は対象会社単体では公表されていません。
そのため3/5点です。代替生産先と切替条件、主要原料・物流の代替率を確認できれば4点以上を検討できます。
サイバー防衛・情報保護|0/5点
協栄J&T環境は個人情報保護方針を公開し、JFEグループの個人情報保護方針に従うこと、JFEエンジニアリンググループ各社との共同利用、開示・訂正・利用停止等の手続きを明記しています。
しかし、対象会社単体のMFA、EDR、SOC、標的型メール訓練、OTネットワーク分離、オフラインバックアップ、サイバーインシデント対応訓練、復旧時間について公開情報がありません。
工場設備がネットワーク障害やランサムウェアで停止した場合、再生PET供給も止まる可能性があります。個人情報方針だけでは工場システムの防御・復旧力を評価できないため0/5点です。
技術対策と訓練、復旧実績を対象会社単体で確認できれば2~4点を検討できます。
供給継続・復旧能力|3/5点
西日本PETボトルMRセンター自体が東日本偏重を解消する供給継続拠点です。
さらに環境省資料では、新型コロナウイルスの影響で海外技術者が来日できなかった際、2ラインのうち1ラインを海外技術者がリモートで立ち上げたとされています。
例えば海外技術者が現地へ移動できない感染症・交通途絶時でも、遠隔支援で設備立ち上げを進められた実績は、技術支援の継続性を示します。
一方、現在の設備故障、停電、地震等について「何時間以内にフレーク・ペレット生産を再開するか」というRTO、実際の復旧時間、非常電源の持続時間は公表されていません。
実績と弱点の両方があるため3/5点です。主要停止シナリオごとのRTOと復旧訓練実績を公開できれば4~5点を検討できます。
危機時の市民への対応|0/5点
協栄J&T環境の事業は、災害時にも資源循環と飲料容器の原料供給を維持する点で社会的価値があります。
一方、自治体との災害時支援協定、避難所への物資提供、被災廃棄物の緊急受入、市民向け施設提供など、対象会社自身が危機時に市民へ直接対応した公開実績は確認できません。
通常事業のBCPと市民向け危機支援は分けて評価するため0/5点です。
Protection小計:9/25点
良いニュース・最近の前向きな動き
協栄J&T環境の前向きな動きでは、食品接触安全の第三者確認と、イベント会場まで回収網を広げた点が重要です。これらは商品・サービスSafetyとInnovationに効きます。再生PETを選ぶ企業や飲料メーカーが増えれば、使用済みボトルを焼却・低用途化するのではなく、再び食品容器へ戻す市場を拡大できます。
2026年1月 MR-PET®が食品接触材料用リサイクルプラスチック認証を取得(Safety)
西日本PETボトルMRセンターのMR-PET®は、一般財団法人化学研究評価機構からJCII A0001:2024への適合認証を受けました。認証取得者リストには3件の認証が掲載されています。
飲料ボトルは中身の食品と接触するため、リサイクル率だけを上げても安全性を確認できなければ広く利用できません。第三者機関の基準適合が確認されれば、容器メーカーは再生PETを食品用途へ採用する際の品質情報を得やすくなります。
協栄J&T環境の再生PETが選ばれることは、「石油由来原料を減らしながら食品容器として使える品質を守る」方向の設備・品質管理を支えることにつながります。
2024年 SUPER GTで回収したPETボトルを水平リサイクル(Innovation)
協栄J&T環境はGTアソシエイション、コカ・コーラ ボトラーズジャパン、協栄産業と協働し、SUPER GTの各サーキットで排出されるPETボトルをボトルtoボトルへ戻す取り組みを開始しました。
イベント会場では大量の飲料容器が短時間に排出されます。回収経路を通常の自治体回収だけでなくサーキットへ広げれば、これまで別用途や廃棄へ回っていたPETを飲料容器原料へ戻せる量を増やせます。
同社のサービスを利用する飲料会社や回収事業者が増えれば、回収場所が違っても同じ用途へ戻す水平リサイクルを広げやすくなります。
悪いニュース・問題となった動き
今回確認した公開情報では、協栄J&T環境を直接名指しする直近の重大火災、死亡事故、行政処分、大規模製品回収は確認していません。ただし、事故を確認できなかったことを「事故ゼロ」とは扱いません。現在の評価へ最も大きく影響する問題は、交替勤務の負担と、労働安全・人権の結果情報が外部から見えないことです。この状態が続けば、環境技術の成長に対して働く人のSafetyが追いついているか判断できない状態が残ります。
2026年 操業職求人で月平均残業30時間・昼夜交替勤務が継続(Safety)
2026年の操業職求人では、7時30分~17時45分と19時30分~翌5時45分の交替勤務、月平均残業30時間です。2025年の入出荷職求人でも残業は月平均30時間でした。
夜勤は通常の昼勤務より睡眠リズムを維持しにくく、30時間の時間外労働が加われば休息確保の重要性は高くなります。一方、年休122日と有給20日付与は確認できます。
問題は「夜勤がある」ことだけではなく、実際の有休取得率、長時間労働者比率、交替勤務者の健康結果を会社が公表していないことです。
協栄J&T環境の再生PET需要が伸びるなら、その増産を残業増で吸収するのではなく、人員増、設備改善、シフト改善へ売上を返すことが望まれます。
2023年の従業員口コミで定着・人間関係への強い不満(Safety)
Indeedの3件という小さい母数ですが、品質管理職から「すぐに人がやめていく。」、現場作業職から「人間関係悪すぎ。」という投稿があります。情報ランクBです。
2023年の投稿を2026年の全社実態と断定しません。
ただし、現在も交替勤務・残業が続く一方、離職率、ハラスメント相談件数、是正結果が公表されていないため、過去の不満が改善されたことも外部から確認できません。
定着率や相談対応を数値で公開し改善傾向を示せれば、匿名口コミより強い会社自身の実績で評価できるようになります。
総合評価と、これから改善してほしいこと
協栄J&T環境株式会社は現在42点・シビックランクEです。次のDランクは50点からなので、あと8点必要です。
事業そのものには大きな価値があります。使用済みPETを再び飲料ボトルへ戻し、環境省も大きなCO2削減効果を示しています。食品接触材料としての第三者認証も取得済みです。一方、企業審査では環境性能だけでなく、その工場で働く人がけがをせず、十分に休み、問題が起きたときに相談できるかまで評価します。次のランクへ上がるには、設備の追加よりも「働く人の結果」を改善・公開する効果が大きい企業です。
労災件数と事故率を公開し、実際に減らす|Safety
現在の弱点は、設備操作、原料投入、運搬、選別を行う工場でありながら、対象法人単体の死亡労災、休業災害件数、度数率が公表されていないことです。
現在の「労働安全・健康」は0/10点です。
毎年度、死亡労災件数、休業災害件数、休業災害度数率、ヒヤリハット件数、フォークリフト・設備事故、事故原因と再発防止策を公開し、死亡0件、事故率の低下が複数年度確認できれば4/10点を検討できます。
改善後想定:0→4点
加点幅:+4点
総合点:42→46点
ランク:Eのまま
働く人にとっては、単に「安全教育があります」と聞くより、自分と同じ工場で実際に何件けがが起きているかを確認できる方が安全な職場を選びやすくなります。
参考企業のキリンビバレッジ株式会社は、2024年の労災死亡0人、休業災害度数率0.58などを公開しており、現行審査では「労働安全・健康」8/10点です。
残業を月20時間以下へ下げ、有休取得率を公開する|Safety
現在の操業職は月平均残業30時間で、昼夜交替勤務です。
現在の「労働時間・休息」は4/10点です。
会社全体の月平均残業を20時間以下へ下げ、有休取得率80%以上、交替勤務者の勤務間休息と健康指標を継続公開できれば6/10点を検討できます。
改善後想定:4→6点
加点幅:+2点
総合点:46→48点
ランク:Eのまま
残業が月10時間減れば、単純計算では1人あたり年間120時間を仕事以外へ戻せます。100人規模なら、全員が同じ削減幅の場合、年間約1万2,000時間に相当します。
参考企業の株式会社ロジスネクストは、2024年度の平均残業9.18時間、年間休日128日、有休取得率80%・平均17.6日を公開し、現行審査では「労働時間・休息」8/10点です。
人権・ハラスメント相談の制度と結果を公開する|Safety
現在、対象法人単体の人権方針、ハラスメント相談窓口、相談・是正件数、研修受講率は公表されていません。Indeedには人間関係を強く批判する少数口コミがあります。
現在の「人権・ハラスメント・労使関係」は0/5点です。
独立した相談・内部通報窓口を明示し、全社員向け研修を実施したうえで、相談件数、是正件数、再発防止の実施状況を匿名化して年次公開し、制度運用が確認できれば2/5点を検討できます。
改善後想定:0→2点
加点幅:+2点
総合点:48→50点
ランク:E→D
相談経路が明確になれば、上司との関係に問題がある場合でも別ルートへ伝えやすくなり、問題を抱えたまま退職する以外の選択肢を増やせます。
参考企業の株式会社ロジスネクストは、労働組合、ヘルプライン、人権方針・デューデリジェンスを確認でき、現行審査では「人権・ハラスメント・労使関係」3/5点です。
次のランクへ上がるための具体例
現在42点・Eで、Dランクの50点まで8点必要です。
具体的には、まず死亡・休業労災と度数率を年次公開し、事故率を低い状態へ改善して「労働安全・健康」を0→4点へ上げます。次に、昼夜交替勤務の平均残業を月30時間から20時間以下へ減らし、有休取得率80%以上を確認できる状態にして「労働時間・休息」を4→6点へ上げます。さらに、ハラスメント相談窓口、全社員研修、相談・是正実績を公開して「人権・ハラスメント・労使関係」を0→2点へ上げます。
42点
+ 労働安全・健康 +4点
+ 労働時間・休息 +2点
+ 人権・ハラスメント・労使関係 +2点
= 50点・シビックランクD
参考企業では、キリンビバレッジが死亡災害・休業災害度数率を公開し、ロジスネクストが平均残業9.18時間・有休80%とヘルプライン等を公開しています。
つまり協栄J&T環境が次のランクへ上がるために必要なのは、リサイクル能力をさらに増やすことだけではありません。工場の事故結果、休息、人権相談の成果を改善し、製品の食品安全と同じくらい「働く人のSafety」も外部から確認できる会社へ変えることです。
出典一覧
- 協栄J&T環境株式会社「会社概要」
- J&T環境株式会社「拠点紹介」
- セブン&アイ・ホールディングス「協栄J&T環境への資本参加」
- 環境省「PETボトルの水平リサイクルを実現したリサイクル事業者」
- PETボトルリサイクル推進協議会 RING Vol.41「協栄J&T環境株式会社の誕生」
- 一般財団法人化学研究評価機構「認証取得者リスト」
- 協栄J&T環境株式会社「MR-PET® 食品接触材料用リサイクルプラスチック材料認証」
- ハローワーク由来 2026年「協栄J&T環境株式会社 操業職」求人
- ハローワーク由来 2025年「協栄J&T環境株式会社 入出荷職」求人
- Gビズインフォ「協栄J&T環境株式会社」
- Indeed「協栄J&T環境株式会社 従業員クチコミ」
- 協栄J&T環境株式会社「SUPER GTでボトルtoボトルに向けた取り組み」
- 協栄J&T環境株式会社「個人情報の取り扱いについて」
- シビックギルド「株式会社ロジスネクストの企業審査」
- シビックギルド「富士ミネラルウォーター株式会社の企業審査」内のキリンビバレッジ比較情報
シビックランクの基準
| シビックランク | 総合点 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
協栄J&T環境株式会社は42点のため、シビックランクEです。
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、または氏名・役職・立場が確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
