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ヤマエグループホールディングス株式会社を企業審査|シビックランクC・66点/100点|男性育休100%とグループAI発注50%短縮を評価、男女賃金差・労災KPI・BCP開示が課題

私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。

働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。

反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。

だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。

なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット

今回審査するヤマエグループホールディングス株式会社は、総合66点、シビックランクCです。

ヤマエグループホールディングス株式会社の特に強い点は、持株会社自身で男性育児休業取得率100%を達成し、年間休日125日・通常残業10~15時間程度の求人条件を整える一方、グループの物流DXではヤマエ久野のAI需要予測自動発注によって、熟練担当者1人あたり1日約3時間かかっていた発注作業を約1時間半へ短縮していることです。[出典2・3・4・7・8]

そのため、この企業グループの商品やサービスが選ばれれば、食料や生活資材を安定して届ける仕事を維持しながら、育児へ時間を使いやすくし、人が繰り返していた発注・物流作業をAIや自動化へ移す社会につながる可能性が高まります。

一方で、改善点として、持株会社単体の男女賃金比率が71.1%、女性管理職比率が6.7%にとどまること、死亡・休業労災件数や度数率を単体で比較できる公開情報がないこと、災害時の復旧時間や代替拠点への切替時間が十分公開されていないことが残ります。[出典2]

この記事では、ヤマエグループホールディングス株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。

目次

ヤマエグループホールディングス株式会社の企業審査結果

ヤマエグループホールディングスは、食品卸・物流・食品製造・住宅・ITなど82社の連結子会社を統括する純粋持株会社です。今回の採点では、子会社の良い実績をそのまま持株会社の点数へ移していません。持株会社自身の労働条件と、持株会社がグループ横断で決定・監督している人権、DX、品質、危機管理などを分けて評価しています。[出典1・2]

評価軸点数
Safety31/50
Innovation18/25
Protection17/25
総合点66/100
シビックランクC

評価時点:2026年10月

主な強み

  • 持株会社単体の平均年間給与695万7,000円、前年比2.8%増
  • 持株会社単体の男性育児休業取得率100%
  • 現行求人で年間休日125日、通常残業10~15時間、繁忙期でも20時間未満
  • 2025年度のグループ・コンプライアンス研修実施率100%
  • 健康診断受診後の就労判定100%、従業員50人以上の事業場でストレスチェック実施100%
  • ヤマエ久野のAI需要予測自動発注で発注作業を約3時間から約1.5時間へ50%短縮
  • 2026年5月に経済産業省のDX認定を更新
  • グループIT会社リンネットがISO/IEC 27001認証を持ち、24時間365日の運用・監視体制を整備
  • 82社の連結子会社と広域の物流・販売ネットワークを保有
  • 2026年熊本地震では会社・役職員・契約プロゴルファー等が計1億4,200万円を寄付

主な課題

  • 持株会社単体の男女賃金比率71.1%
  • 持株会社単体の女性管理職比率6.7%
  • 持株会社単体の死亡労災、休業災害、度数率、強度率が非公表
  • 持株会社単体の有給取得率、45時間超・80時間超残業者数が非公表
  • グループ教育・研修参加率は2025年度91%で目標100%未達
  • AI・物流自動化で減らした時間が、残業・休日・賃金へどこまで返ったかは非公表
  • BCP訓練の実測値、代替物流への切替時間、RTO・RPOが十分公開されていない
  • 持株会社本体のサイバー第三者認証、攻撃訓練結果、事故件数、実測復旧時間は十分公開されていない

事業内容と人間への貢献

ヤマエグループホールディングス株式会社は2021年10月1日設立、福岡市博多区に本社を置く純粋持株会社です。東京証券取引所プライム市場と福岡証券取引所へ上場し、2026年3月末時点で連結子会社82社、連結従業員6,414人を抱えています。持株会社単体の従業員は123人です。[出典1・2]

基本情報

項目内容
会社名ヤマエグループホールディングス株式会社
英文名YAMAE GROUP HOLDINGS CO., LTD.
設立2021年10月1日
本社福岡県福岡市博多区博多駅東2丁目13番34号
代表者代表取締役会長CEO 網田日出人、代表取締役社長COO 大森礼仁
資本金93億3,306万5,692円
上場東証プライム、福岡証券取引所
単体従業員数123人
連結従業員数6,414人
連結子会社数82社
2026年3月期連結売上高1兆852億円

2026年3月期の連結売上高は1兆852億円、営業利益180億円、経常利益186億円、親会社株主に帰属する当期純利益110億円で、いずれも過去最高と会社は公表しています。[出典14]

主な事業内容

持株会社自身の仕事は、食品や住宅資材を直接配送することではなく、グループ各社の経営管理、人事、財務、法務、DX、投資、M&A、ガバナンスなどです。

グループには、食品・酒類・農産物等の卸売と共同配送を行うヤマエ久野、運送・倉庫を担う高千穂倉庫運輸、弁当・惣菜を製造するデリカフレンズや惣和、食品・菓子卸、住宅資材・不動産、エネルギー、ITのリンネット、日本ピザハットなどがあります。[出典10]

主な利用企業・取引先

ヤマエ久野は一般加工食品、冷凍食品、小麦粉、酒類、農産物などを仕入れ、コンビニエンスストアや量販店等へ販売し、共同配送も行っています。ヤマエグループはメーカーから小売・飲食店までの間に入り、多数の商品をまとめて調達・保管・配送する機能を持っています。[出典7・15]

個別の主要顧客名・取引額は公開範囲が限られるため、公開情報のない顧客名を推測して記載しません。

事業による人間への貢献

食品卸・物流は、商品を作るメーカーと、スーパー、コンビニ、飲食店などをつなぐ仕事です。

メーカーが各店舗へ個別配送すれば、トラック、受発注、荷受けの回数が増えます。卸売会社が複数メーカーの商品をまとめて在庫し、共同配送すれば、店舗側は必要な量をまとめて受け取ることができます。[出典15]

ヤマエグループは食品だけでなく、住宅資材、物流、IT、エネルギーなども扱います。持株会社が人員、資本、DX、安全基準を適切に配分できれば、生活に必要な商品を届ける現場の負担を減らし、供給を止めにくくすることにつながります。

一方で、グループ全体では正社員6,414人に加え、年間平均の臨時従業員が10,214人います。この臨時従業員数にはパートタイマーを含み、派遣社員は含みません。食品製造や店舗事業の拡大など、労働集約的な事業を多く抱えるため、持株会社は正社員だけでなく幅広い働き手の待遇・安全を監督する責任があります。[出典2]

Safety――31/50点

Safetyでは、持株会社123人の賃金・休息・公平性を中心に評価し、グループ全体の人権・健康・食品安全施策は、持株会社が方針を定めて監督している範囲で評価します。

男性育休、休日、健康施策は強い一方、男女賃金差、女性管理職比率、単体の労災結果の非公表が大きな課題です。

賃金・利益の還元――6/10点

2026年3月期の持株会社単体の平均年間給与は695万7,000円で、前年度から2.8%増えています。平均給与には賞与と基準外賃金を含みます。[出典2]

現行の人事労務求人は予定年収450万~600万円、DX企画・IT戦略求人は500万~750万円で、時間外手当は別途支給されます。住宅手当、家族手当、社宅、退職金も確認できます。[出典4]

給与が前年より上昇し、固定残業代ではなく実際の時間外労働へ残業手当を払う条件を評価して6/10点です。

一方、給与中央値、等級別給与、既存社員のベースアップ率、利益増加分を社員へどの程度戻したかは公表されていません。これらを継続公開し、広い社員層で基本給が上昇していることまで確認できれば8/10点、さらに長期的な高水準の還元を確認できれば10/10点を検討できます。

労働時間・休息――8/10点

2026年の持株会社求人では、勤務時間は8時30分~17時、所定労働時間7時間30分、年間休日125日です。DX・人事労務の求人はいずれも通常残業10~15時間、繁忙期でも20時間未満としています。[出典4]

新卒採用サイトでは2025年3月時点の職場環境として、平均残業15.2時間、有給取得平均12.2日、年間休暇124日、育休・産休後の復帰率100%を公表しています。[出典3]

ただし、新卒採用では入社後にヤマエ久野へ配属・出向する職種も含まれるため、これらすべてを持株会社123人だけの法定開示値とは扱いません。

現在の求人条件と採用データの両方が低残業・多休日の方向で整合しているため8/10点です。

10点へ上げるには、持株会社単体の有給取得率、年間総実労働時間、部署別残業、月45時間超・80時間超の人数を公表し、有給取得率80%以上、残業10時間前後以下などを継続して確認できる必要があります。

雇用の安定・待遇の公平性――3/5点

持株会社単体では男性育児休業取得率100%を達成しています。一方、女性管理職比率は6.7%、男女賃金比率は全労働者・正規雇用労働者とも71.1%です。[出典2]

この71.1%だけで同じ仕事をする女性へ男性の71.1%しか払っていると判断することはできません。役職、職種、勤続年数などの構成差が影響します。

しかし、女性管理職比率6.7%という意思決定層の男女差も同時に存在するため、昇進機会を含めて改善余地があります。

そのため3/5点です。職種・等級・勤続年数を調整した賃金差を公開し、正規雇用の男女賃金比率を80%以上、女性管理職比率を15%以上へ高め、差が継続的に縮小すれば4/5点を検討できます。90%台の賃金比率と管理職登用の高い公平性まで確認できれば5/5点を検討できます。

福利厚生・育児・介護――4/5点

持株会社単体の男性育児休業取得率は100%です。現行求人でも育休取得実績と育休後復帰率100%を確認できます。住宅手当、家族手当、借上社宅、社会保険、退職金などもあります。[出典2・4]

制度を用意するだけでなく、男性が実際に育児休業を取得している結果を確認できるため4/5点です。

一方、持株会社単体の女性育休取得率、介護休業利用者数、介護からの復職率は公表されていません。男女の育児休業と介護休業について取得・復帰・定着を毎年公開し、高い利用実績を維持できれば5/5点を検討できます。

人権・ハラスメント・労使関係――3/5点

2026年5月、ヤマエグループは新しい人権方針を制定しました。国際人権章典、ILOの基本原則、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を支持し、差別、児童労働、過重労働を禁止し、安全な職場を提供する方針です。方針は持株会社と連結子会社の役員・従業員に適用されます。[出典5]

2025年度のグループ・コンプライアンス研修は100%でした。人権侵害が発生した場合の救済方針や相談・通報の仕組みも設けています。[出典2・5]

一方、持株会社単体のハラスメント相談件数、認定件数、是正件数、再発率、労使協議実績は公表されていません。連結子会社カネシメイチには労働組合がありますが、これは持株会社自身の労働組合ではありません。[出典2]

そのため3/5点です。持株会社単体の相談・是正実績を公開し、救済後の再発防止まで確認できれば4点、継続的に高い成果が確認できれば5点を検討できます。

労働安全・健康――4/10点

グループでは2025年度、健康診断受診後の就労判定実施率100%、従業員50人以上の事業場におけるストレスチェック実施率100%を公表しています。[出典2]

健康診断を受けさせるだけでなく、就労可能性や配慮の必要性まで判断する仕組みがあることは、病気や過重労働の悪化を防ぐうえで意味があります。

しかし、ヤマエグループホールディングス単体の死亡労災、休業災害、不休災害、度数率、強度率は公表されていません。

重要情報が公開されていない点は課題です。採点上も減点対象です。

グループ健康施策は評価しますが、対象法人単体の結果を確認できないため4/10点です。死亡・休業・軽微災害と度数率・強度率を単体で公開し、重大事故が低水準であることを確認できれば6点、事故ゼロや低い事故率を複数年維持できれば8点以上を検討できます。

商品・サービスの安全――3/5点

持株会社自身は食品工場を直接運営する事業会社ではありません。

一方、グループは食品卸、弁当・惣菜製造、農畜水産、住宅資材などを扱うため、持株会社は食品安全と製品安全を重要リスクとして管理しています。有価証券報告書では、食品全般の品質管理強化、専門人材の育成・雇用、原材料の現地視察による現物確認を行うとしています。[出典2]

今回の公開検索では、2025~2026年に持株会社自身へ出された大規模な製品回収命令や重大な食品行政処分を確認していません。ただし、82社すべての製品事故がゼロであることを意味しません。

グループ全体で、重大回収件数、食中毒、商品事故、品質苦情、監査結果を統一して年次公開していないため3/5点です。事業別の事故・回収KPIを公開し低い水準を継続できれば4~5点を検討できます。

従業員・元従業員の口コミ

転職会議ではヤマエグループホールディングス名義の口コミが14件掲載され、投稿者集計では残業月25時間、有給消化率65%です。[出典12]

2024年頃の20代後半男性正社員・倉庫関連職の投稿には「特定の人に仕事が集中しすぎる」という指摘があります。給与については、少しずつ上がっている印象を述べる投稿もあります。[出典12]

ただし、持株会社は純粋持株会社であり、倉庫関連職の口コミが現在の持株会社123人の勤務実態なのか、旧組織や子会社の勤務経験を含むのかを公開ページだけでは完全に切り分けられません。

そのため口コミは情報ランクBの補助資料として扱い、持株会社単体の採点を直接変更する根拠にはしていません。求人上の残業10~15時間と投稿者集計25時間に差があるため、会社が部署別・職種別の実残業を公開すると実態を判断しやすくなります。

SNS・匿名掲示板の確認結果

X、5ちゃんねる、爆サイについて、会社名と残業、退職、パワハラ、労災、AI、省人化、人員削減などを組み合わせて確認しました。

2026年現在のヤマエグループホールディングスの直接雇用者だと具体的に確認でき、現在の採点を変更できるだけの具体性と裏付けを持つ投稿は得られませんでした。

発信者や勤務先を確認できない投稿は、対象会社の事実として採点に使用していません。

Innovation――18/25点

Innovationでは、持株会社がグループ全体へ導入しているDXと、その技術が実際に人の作業時間をどれだけ減らしたかを評価します。

ヤマエグループではAI需要予測、新物流システム、自動倉庫、アームロボットなどを継続導入しており、発注作業では具体的な50%削減まで確認できます。一方、削減した時間が残業・休日・賃金へどこまで返ったかはまだ十分公開されていません。

作業負担・危険の削減――6/10点

グループ会社ヤマエ久野では2024年4月から、日立と共同開発したAI需要予測自動発注システムを汎用倉庫へ導入しました。

稼働2カ月後の2024年6月末時点で、複数の熟練担当者が1人1日あたり約3時間使っていた発注業務を約1時間半へ短縮し、約50%削減しています。条件の異なる4拠点へ適用しました。[出典7・8]

持株会社自身もDXを重要な経営戦略に位置づけ、2026年にDX認定を更新しています。新物流システム「Eagle」、AI自動発注、自動倉庫、アームロボット等をグループ施策として進めています。[出典6]

人の反復作業を具体的に1.5時間減らした成果は大きなプラスです。

一方、この成果はヤマエ久野の現場であり、持株会社123人自身の作業削減ではありません。また、グループ全体で年間何時間、重量物作業や危険作業を何件減らしたかも公表されていません。

そのため6/10点です。複数会社・拠点へ展開し、年間削減時間、必要人員、残業、重量物作業、労災まで導入前後で示せれば8点、広範囲で高い削減効果が続けば10点を検討できます。

商品・サービスの改善――4/5点

ヤマエ久野では2025年1月から新物流システム「Eagle」を稼働し、物流拠点の標準化、業務効率化、物流品質向上を進めています。持株会社は次期基幹システム「TSUNAGU」、AI需要予測、自動倉庫、アームロボット、デジタル人材教育を一つのDX戦略として進めています。[出典6・7]

食料や生活資材は、商品そのものが良くても発注や物流が不安定なら店頭へ届きません。需要予測と物流システムを改善することは、欠品や過剰在庫、発注ミスを減らす方向に働きます。

一方、欠品率、誤出荷率、配送待機時間、食品ロスが導入前後で何%変わったかという横断KPIは十分公表されていません。

そのため4/5点です。利用者・取引先の結果まで数字で示せれば5/5点を検討できます。

改善成果の人間への還元――3/5点

AI自動発注によって、担当者1人あたり1日約1.5時間を削減したことは確認できます。熟練者でなければ難しかった発注業務を短期間で習得しやすくなったことも会社が説明しています。[出典7・8]

また、持株会社の求人では通常残業10~15時間、年休125日という比較的良好な条件があります。[出典4]

しかし、AIによって1.5時間減ったから残業が何時間減った、休日が増えた、賃金が上がったという直接の因果は公開されていません。

そのため3/5点です。AI導入前後で同じ部署の残業、休日、配置転換、給与を追い、削減時間が自由時間や賃金へ返っていることを確認できれば4点、複数年・複数拠点で継続すれば5点を検討できます。

研究開発・現場改善の継続――5/5点

ヤマエグループホールディングスは2024年に初めてDX認定を受け、2026年5月に認定を更新しました。[出典6]

TSUNAGU、Eagle、AI需要予測、自動倉庫、アームロボット、デジタル人材教育を複数年にわたり並行して進めています。

一度だけの実証で終わらず、基幹システム、物流、倉庫、人材育成へ対象を広げているため5/5点です。

自動化・AI導入後の雇用状況

AI需要予測自動発注は2024年4月に稼働しました。

ヤマエ久野の従業員数は2024年3月末の約1,047人から、2025年春には約1,021人、2026年3月末には1,058人となっています。2026年3月期の年間平均臨時従業員は946人です。[出典2・15]

会社は現在も新卒・キャリア採用を継続し、2025年度の正規雇用労働者に占める中途採用比率は34%です。カムバック採用も行っています。[出典15]

AI発注の共同発表では、今後、発注作業担当者を集約しつつ生産性を高める方針が示されています。したがって、将来の配置転換や担当人数の変化は継続確認が必要です。[出典8]

今回の公開調査では、AI自動発注を理由とする大規模な解雇、希望退職、採用停止、非正規契約の大量打ち切りを確認できる情報は得られませんでした。

従業員数の増減にはM&A、組織再編、事業拡大など複数要因があるため、AIと人員数の変化を直接結びつけません。今後はAI導入部署の担当人数、配置転換先、採用数、退職数を時系列で公開することが重要です。

Protection――17/25点

Protectionでは、地震や豪雨、システム障害、仕入先停止などが起きたとき、食品・生活資材を届け続けられるかを評価します。

広域物流、複数事業会社、グループIT会社による24時間365日の運用は強みですが、災害訓練の実測値、RTO・RPO、代替拠点への切替時間が不足しています。

災害への備え・訓練――3/5点

有価証券報告書では、大規模自然災害や感染症を主要リスクとし、「食」と「住」の安全・安定供給を支える企業として、人命・安全確保と事業の早期復旧・継続のための体制を構築・整備するとしています。[出典2]

実際、熊本県は2016年熊本地震の際、ヤマエ側が「熊本の食を止めてはならない」として役場や避難所へ物資を届けたと2026年の寄附贈呈式で言及しています。[出典11]

一方、持株会社単体またはグループ全体の防災訓練回数、参加率、安否確認時間、訓練で判明した課題と改善結果は十分公表されていません。

そのため3/5点です。年次訓練と実測結果を公開し、目標時間内に初動できることを確認できれば4~5点を検討できます。

生産・物流・調達の代替――4/5点

グループは食品卸、物流、食品製造、住宅資材、ITなど82社の連結子会社を持っています。ヤマエ久野だけでも2026年4月時点で26事業所を展開しています。高千穂倉庫運輸も九州一円に営業倉庫・配送センターを持ち、沖縄など離島への配送にも対応しています。[出典1・10・15]

複数の物流拠点と事業会社があることは、一つの倉庫や会社だけに依存する企業より代替性を高めます。

一方、特定拠点が停止した場合にどの拠点へ切り替えるのか、何時間で切替可能なのか、主要食品・建材の代替仕入先が何社あるのかは十分公開されていません。

そのため4/5点です。商品群別の代替拠点・代替仕入先と切替時間を実証できれば5/5点を検討できます。

サイバー防衛・情報保護――4/5点

グループは営業・物流拠点を結ぶ情報システムについて、情報セキュリティ規程と基本方針に基づき、バックアップ回線やセキュリティ対策を行っています。[出典2]

さらにグループIT会社リンネットは、情報システムの設計・開発・運用受託についてISO/IEC 27001認証を取得し、2027年6月まで有効です。2002年から24時間365日の運用業務を行い、現在は24時間365日のSOC監視やデータセンター運営も提供しています。[出典9]

これはグループの情報インフラを支える専門機能として評価できます。

一方、ISO認証はリンネットのものであり、持株会社自身の全システムが同認証範囲に含まれるとは判断しません。持株会社本体の重大インシデント件数、標的型攻撃訓練、侵入テスト、検知時間、復旧時間も十分公表されていません。

そのため4/5点です。持株会社自身の第三者検証と実測KPIまで公開できれば5点を検討できます。

供給継続・復旧能力――3/5点

ヤマエグループには広域物流網があり、IT面ではバックアップ回線、24時間365日のデータセンター・監視体制があります。物流システム「Eagle」も、安全・安定的な事業継続とサービス供給を目的の一つとしています。[出典2・7・9]

しかし、主要物流センター、基幹システム、データセンターが停止した場合のRTO、RPO、代替拠点への切替時間や訓練結果は公開されていません。

そのため3/5点です。重要業務ごとの復旧目標と訓練・実障害の実測時間を公開し、目標内で復旧できることを確認できれば4~5点を検討できます。

危機時の市民への対応――3/5点

2026年8月24日、ヤマエグループホールディングス、グループ会社役職員、契約プロゴルファーらは熊本地震の復旧・復興支援として熊本県へ寄附を行いました。報道では総額1億4,200万円です。[出典11]

また熊本県は、2016年熊本地震の際にもヤマエ側が役場や避難所へ物資を届けたと公表しています。[出典11]

物流会社として事業網を災害支援へ使った過去実績は評価できます。

一方、2026年の地震で会社単独が拠出した金額、飲料・食料の供給量、要請から到着までの時間は公開情報だけでは分けられません。

そのため3/5点です。自治体との供給協定、支援物資数量、配送開始時間を継続公開できれば4~5点を検討できます。

良いニュース・最近の前向きな動き

最近のヤマエグループホールディングスでは、DX、人材、災害支援の三つで具体的な前進を確認できます。こうした改善が続けば、食品や生活資材を届ける事業を維持しながら、人の作業負担を減らし、災害時には地域へ資金や物流力を返す経営につながります。

2026年5月 DX認定を更新(Innovation)

2026年5月29日、ヤマエグループホールディングスは経済産業省のDX認定を更新しました。初回認定は2024年です。[出典6]

会社はTSUNAGU、Eagle、AI需要予測自動発注、自動倉庫、アームロボット、全社員向けデジタル人材教育を継続しています。

認定そのものを高得点理由にはしていません。実際にAI発注で作業時間50%削減という成果が出ており、その改善をグループへ広げていることを評価します。

2026年6月 男性育休100%・平均給与2.8%増を開示(Safety)

2026年6月18日提出の有価証券報告書では、持株会社単体の男性育児休業取得率100%、平均年間給与695万7,000円、前年比2.8%増を公表しました。[出典2]

男性が育児のために仕事を離れられる実績が100%まで上がることは、育児負担を一方の性へ集中させにくくします。

給与についても前年から増えていますが、男女賃金差71.1%が残っているため、今後は上昇分が男女・職位を問わず広く行き渡っているかを確認する必要があります。

2026年8月 熊本地震の復旧・復興へ寄附(Protection)

2026年8月24日、熊本県で寄附金贈呈式が行われました。ヤマエグループホールディングス、グループ会社役職員、契約プロゴルファーらの寄附総額は報道で1億4,200万円とされています。[出典11]

熊本県は、2016年の熊本地震時にもヤマエ側が役場や避難所へ物資を届けたことを紹介しています。

平時の食品物流網と地域との関係を、危機時の支援へつなげている点はProtection上の意味があります。

悪いニュース・問題となった動き

今回の公開調査では、持株会社自身について2025~2026年の大規模な商品回収命令、重大な行政処分、大規模情報漏えいを確認したわけではありません。

現在の大きな問題は、女性の管理職登用と賃金差、労働安全・BCPの結果情報が足りないことです。問題が起きていないと推測するのではなく、公開された数字と公開されていない数字を分けて評価します。

2026年6月 男女賃金比率71.1%・女性管理職6.7%(Safety)

2026年3月期の持株会社単体では、男女賃金比率が71.1%、女性管理職比率が6.7%でした。[出典2]

男性育休100%という育児面の結果は強い一方、意思決定層への登用と報酬構成には大きな男女差が残ります。

賃金差の原因を職種、等級、勤続年数、管理職比率などに分解し、女性の昇進機会と報酬が実際に改善しているかを毎年示す必要があります。

2026年開示 持株会社単体の労災・BCP結果KPIが不足(Safety・Protection)

2026年の有価証券報告書では、グループの健康管理、安全・安定供給、システムリスクへの対策方針は確認できます。

しかし、持株会社単体の死亡・休業労災、度数率・強度率、BCP訓練回数、重要業務の復旧時間、システムのRTO・RPOは十分公表されていません。[出典2]

公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。

事故や災害対応を改善しているのであれば、その結果まで数字で示すことで、利用者と働く人は現在の安全性を判断しやすくなります。

総合評価と、これから改善してほしいこと

ヤマエグループホールディングス株式会社は現在66点、シビックランクCです。

Bランクは70点からなので、次のランクまであと4点です。

男性育休100%、休日、DXの継続性は強みです。Bへ進むには、男女の機会・賃金差を縮め、持株会社自身の労災結果を公開し、災害・システム停止から実際に何時間で復旧できるかを示す必要があります。

男女賃金差と女性管理職比率を改善してほしい(Safety)

現在の「雇用の安定・待遇の公平性」は3/5点です。

正規雇用の男女賃金比率71.1%、女性管理職比率6.7%です。

職種・等級・勤続年数を調整した男女賃金差を公開し、正規雇用の男女賃金比率を80%以上、女性管理職比率を15%以上へ引き上げ、差が複数年縮小していることを確認できれば3→4点を検討できます。

加点は+1点で、総合66→67点。ランクはCのままです。

参考企業はプラス株式会社です。Google Drive上の現行企業審査では、正規雇用の男女賃金比率79.1%、女性管理職比率15.8%を確認し、「雇用の安定・待遇の公平性」4/5点、総合76点・Bと評価しています。

女性が管理職へ進む割合と賃金差が縮まれば、性別によって将来の役職や所得の選択肢が狭くなる状態を減らせます。

持株会社単体の労災結果を公開してほしい(Safety)

現在の「労働安全・健康」は4/10点です。

健康診断後の就労判定やストレスチェックのグループ施策は確認できますが、対象会社単体の死亡災害、休業災害、労災総件数、度数率、強度率は公表されていません。

これらを毎年公開し、重大事故0件または低い事故率を継続し、事故原因と再発防止後の推移まで確認できれば4→6点を検討できます。

加点は+2点で、総合66→68点。ランクはCのままです。

参考企業は三井物産株式会社です。Google Drive上の現行企業審査では、単体の労働災害0件、死亡災害0件、度数率0、健康診断100%、ストレスチェック98.2%を確認し、「労働安全・健康」8/10点、総合77点・Bと評価しています。

安全結果が見えるようになれば、社員本人だけでなく、家族や求職者も「安全対策が実際に機能しているか」を判断できます。

BCPの切替・復旧時間を実測して公開してほしい(Protection)

現在の「供給継続・復旧能力」は3/5点です。

広域物流網、バックアップ回線、24時間365日のIT運用体制はありますが、重要物流拠点や基幹システム停止時のRTO・RPO、代替拠点への切替時間は十分公開されていません。

毎年の実地訓練で、代替拠点への切替時間、基幹システム復旧時間、データ復旧点、災害時の出荷再開時間を測り、目標内で復旧できることを確認できれば3→4点を検討できます。

加点は+1点で、総合66→67点です。

参考企業はプラス株式会社です。Google Drive上の現行企業審査では全国6物流拠点、60を超える自治体との災害時協定などを確認し、「災害への備え・訓練」4/5点、「供給継続・復旧能力」4/5点、総合76点・Bと評価しています。

食料や生活資材を扱う企業が復旧時間を短くできれば、地震や豪雨の直後に店頭・避難所へ必要品が届かない時間を減らせます。

次のランクへ上がるための具体例

現在は66点・Cで、Bランクは70点からです。

次の三つを同時に改善すると、

  • 雇用の安定・待遇の公平性:3→4点 +1
  • 労働安全・健康:4→6点 +2
  • 供給継続・復旧能力:3→4点 +1

となります。

66点
+1点
+2点
+1点
=70点

これでシビックランクBへ上がります。

具体的には、男女賃金比率80%以上・女性管理職15%以上を一つの目安として差を縮小し、持株会社単体の労災件数・度数率を毎年公開し、さらに物流・システムの実地訓練で復旧時間を計測・公開することです。

現在すでに男性育休100%とAI発注時間50%削減という具体的成果があります。今後は同じ程度の具体性で、公平性、安全性、危機からの復旧力を示せるかがBランクへの条件です。

出典一覧

情報源主な確認内容
出典1 ヤマエグループホールディングス「会社概要」設立、資本金、事業、連結子会社82社、連結従業員6,414人
出典2 ヤマエグループホールディングス「2026年3月期 有価証券報告書」単体従業員、平均給与、男女賃金差、女性管理職、男性育休、人的資本、品質、災害、システムリスク
出典3 ヤマエグループホールディングス「新卒採用・職場環境」残業15.2時間、有給平均12.2日、育休復帰等
出典4 2026年ヤマエグループホールディングス求人年休125日、通常残業10~15時間、給与、福利厚生、育休復帰
出典5 ヤマエグループ「人権方針」適用範囲、人権基準、安全・労働時間、救済
出典6 ヤマエグループホールディングス「DX認定更新」2026年認定更新、TSUNAGU、Eagle、AI、自動倉庫、ロボット
出典7 ヤマエ久野「ヤマエ久野について」AI発注50%短縮、Eagle、物流DX
出典8 ヤマエ久野・日立「AI需要予測自動発注」約3時間→約1.5時間、4拠点、今後の担当者集約
出典9 リンネット「会社情報・ISMS・運用サービス」ISO/IEC 27001、24時間365日運用、SOC、バックアップ
出典10 ヤマエグループ「グループ会社一覧」食品、物流、製造、住宅、ITなどのグループ構造
出典11 熊本県・報道「2026年熊本地震支援」寄附、2016年地震時の物資供給実績
出典12 転職会議「ヤマエグループホールディングスの口コミ」投稿者集計残業25時間、有給65%、個別勤務経験
出典13 ヤマエグループホールディングス「中期経営計画」人材・DX・サステナビリティ施策
出典14 ヤマエグループホールディングス「2026年3月期決算発表」売上高1兆852億円、過去最高利益
出典15 ヤマエ久野「会社概要・採用情報」従業員1,058人、26事業所、採用継続、中途採用比率

シビックランクの基準

シビックランク総合点
S90~100点
A80~89点
B70~79点
C60~69点
D50~59点
E40~49点
F20~39点
G0~19点

ヤマエグループホールディングス株式会社は66点のため、シビックランクCです。

情報ランクの基準

情報ランク基準
S公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏付けがある情報
A企業公式資料、採用情報、公式声明・公式SNS、氏名や立場を確認できる公表発言など、発信主体を確認できる情報
B従業員・元従業員口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者と対象企業との関係を独立して確認しにくい情報

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