私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査する株式会社セルートは、総合61点、シビックランクCです。
株式会社セルートの特に強い点は、年間休日120日・平均残業18.5時間の社員労務と、検体・治験薬・細胞などを扱うメディカル輸送、災害時の救援物資配送を両立していることです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、働く人の休息を確保しながら、通常の宅配では扱いにくい医療物資や緊急物資を必要な場所へ届けられる社会につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として、既存社員への賃上げ実績、正社員と契約ライダー・ドライバーを含む事故・労災KPI、デジタル化による成果の人への還元が十分公開されておらず、業務委託の配送員が全国安全運転管理者会議の直接管理下に含まれない点が残ります。
この記事では、株式会社セルートの強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
株式会社セルートの企業審査結果
セルートは、バイク・軽四輪による緊急配送、全国ネットワークを使った物流、検体・治験薬・細胞・再生医療関連物資などのメディカル輸送を行っています。社員の年間休日120日と平均残業18.5時間、ISO 9001やGDPに沿ったメディカル輸送品質、阪神・東日本・熊本地震での救援活動を評価します。
一方、既存社員の賃上げ、契約ライダー・ドライバーを含む事故率、デジタル配車やODDS導入による残業・賃金・事故削減効果、全社サイバー対策の実装・復旧実績は公開情報が不足しています。
| 評価軸 | 点数 |
|---|---|
| Safety | 27/50 |
| Innovation | 17/25 |
| Protection | 17/25 |
| 総合点 | 61/100 |
| シビックランク | C |
評価時点:2026年10月6日
主な強み
・社員の年間休日120日
・社員の平均残業時間18.5時間
・2026年3月期売上高56億8,548万円、従業員291名
・契約ライダー・契約ドライバー352名による配送網
・検体、治験薬、細胞、再生医療関連物資などの専門輸送
・メディカル・バイオ関連物流でISO 9001:2015認証
・GDPに沿った品質管理、輸送容器の性能評価
・24時間365日の全国配送ネットワーク
・自社配送管理システム「Delivalue」による配送状況の可視化
・自社安全運転支援システム「ODDS」による速度記録・安全指導
・阪神・東日本・熊本地震で救援物資配送等を実施
・阪神・淡路大震災時の活動で日本赤十字社から感謝状
主な課題
・既存社員全体のベースアップ率、賃金中央値、職種別賃金の公開情報が不足
・契約ライダー・契約ドライバーは全国安全運転管理者会議の直接管理下ではない
・会社全体の死亡事故、重大事故、有責事故、労災件数、度数率の継続開示が不足
・ODDS、クラウド点呼、Delivalue等によって残業・事故・配車作業がどれだけ減ったか非公表
・デジタル化で浮いた時間や利益が賃金・休日へどう返ったか非公表
・MFA、EDR、SOC、分離バックアップ、復旧訓練など全社サイバー対策の具体的な公開情報が不足
・2021年に神戸市の新型コロナワクチン192バイアル、960回分が温度管理上使用不能となった事例がある
事業内容と人間への貢献
株式会社セルートは、東京都新宿区高田馬場に本社を置く物流会社です。法人番号は4011101011336、代表取締役は髙木惠理氏です。2026年3月期の売上高は56億8,548万円、従業員は291名、契約ライダー・契約ドライバーは352名です。[出典1・2]
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社セルート |
| 英文名 | SAROUTE Co., Ltd. |
| 本社 | 東京都新宿区高田馬場1-31-18 |
| 代表者 | 代表取締役 髙木惠理 |
| 法人番号 | 4011101011336 |
| 売上高 | 56億8,548万円、2026年3月期 |
| 従業員数 | 291名 |
| 契約ライダー・契約ドライバー | 352名 |
| 主な許認可 | 貨物軽自動車運送、第一種・第二種貨物利用運送、特定信書便、労働者派遣、有料職業紹介 |
主な事業内容
一般の緊急配送では、オートバイや軽四輪を使い、書類、小型荷物、部品、商品などを即日・緊急で届けます。全国ネットワークと自社システム「Delivalue」を使い、集荷から配送状況、完了までを管理しています。[出典1・8]
メディカル分野では、検体、治験薬、細胞、再生医療関連物資、医薬品など、温度・時間・取り扱い条件が厳しい荷物を専門に扱います。輸送容器の性能評価やGDPに沿った品質管理を行い、通常の宅配便では扱いにくい高品質輸送を提供しています。[出典6・7]
主な利用企業・取引先
医療機関、製薬会社、治験関連企業、研究機関、検査会社、一般企業など、迅速または厳格な品質管理を必要とする利用者が主な対象です。
特定の主要取引先については、対象法人単体の売上構成と合わせて比較できる十分な公開情報がありません。取引先名の有無だけで評価を上げず、サービスが誰の何を支えるかを中心に判断します。
事業による人間への貢献
例えば、患者から採取した検体を検査施設へ届ける場合、温度逸脱や到着遅延が起きると、検査のやり直しや診断の遅れにつながる可能性があります。細胞や治験薬では、適切な温度を維持できなければ、研究や治療で使えなくなる場合があります。
セルートは、温度管理、専用容器、配送状況管理、24時間365日の対応を組み合わせ、こうした時間・品質条件の厳しい荷物を運びます。人が自ら遠距離を運ぶ負担を減らし、医療・研究に必要な物を必要な場所へ届けることが、この会社の大きな人間への貢献です。[出典6・7・8]
Safety|27/50
Safetyでは、社員が無理なく働けるか、契約配送員を含む運転者の安全が守られているか、医療物資を利用者へ安全に届けられるかを確認しました。年間休日120日と平均残業18.5時間、メディカル輸送の品質管理は強みです。一方、既存社員の賃上げ実績、契約配送員を含む事故KPI、相談・是正実績の公開情報が不足しています。
賃金・利益の還元|2/10
2026年度の新卒採用では、大卒の基本月給22万400円、大学院修了は22万3,720円で、時間外勤務手当は別途支給されます。昇給は年1回、賞与は年2回です。[出典4]
固定残業代で残業時間をまとめて給与へ含める形ではなく、時間外勤務を別途支給する仕組みは、追加労働に対する賃金を分けて確認しやすい利点があります。
一方、既存社員291名の平均給与、賃金中央値、職種・等級別賃金、2025年・2026年のベースアップ率、利益増加分の人件費還元率について公開情報がありません。新卒初任給だけでは、既存社員へ利益がどの程度返っているか判断できません。公開情報がない点は課題であり、採点上も減点対象です。
そのため2/10点です。既存社員の賃金中央値、職種別賃金、雇用区分別賃金を公開し、広い層で基本給の継続的な上昇が確認できれば4/10点、2年以上にわたり5%前後以上の固定給改善など高い成果が確認できれば6/10点を検討できます。
労働時間・休息|8/10
採用FAQでは、アルバイトを除く社員の平均残業時間は月18.5時間、年間休日は120日と公表されています。[出典3]
物流会社は24時間365日対応が必要になる職種もあります。その中で、社員全体の残業を20時間未満に抑え、年間120日の休日を設定していることは、睡眠、家族との時間、通院、休養を確保しやすくする具体的な成果です。
一方、有給休暇の平均取得日数・取得率、深夜勤務者の休息期間、部署別の残業分布、契約ライダー・ドライバーの実働時間については、同じ基準で比較できる公開情報がありません。
そのため8/10点です。有給取得率80%以上、職種別でも過度な長時間労働がなく、契約配送員についても適切な休息状況が継続的に確認できれば10/10点を検討できます。
雇用の安定・待遇の公平性|3/5
gBizINFOに掲載された職場情報では、従業員は約300人、平均継続勤務年数は男性12.8年、女性7.4年です。[出典2]
男性で10年を超える継続勤務が確認できることは、長期的に働ける雇用基盤を示します。一方、男女で継続勤務年数に差があり、現在の男女賃金比率、女性管理職比率、正規・非正規別の離職率、契約配送員から社員への登用実績などの公開情報は十分ではありません。
そのため3/5点です。男女賃金比率、管理職比率、職種別・雇用形態別の離職率を毎年公開し、男女の勤続差が縮小し、待遇差が小さいことを確認できれば4/5点を検討できます。
福利厚生・育児・介護|4/5
新卒採用では、社会保険、退職金、確定拠出年金、財形貯蓄、定期健康診断、ストレスチェック、育児・介護関連制度などを確認できます。採用FAQでは男性の育児休業取得実績も公表しています。[出典3・4]
退職後の資産形成、健康管理、育児との両立を支える制度が複数あり、男性にも育休取得実績があるため、制度が紙の上にあるだけではなく利用例まで確認できます。
一方、男性育休取得率、女性育休取得率、育休復職率、介護休業利用率など、対象法人全体の利用実績は公表されていません。
そのため4/5点です。育休取得率と復職率、介護制度の利用率を毎年公開し、男女とも高い取得・復職実績が確認できれば5/5点を検討できます。
人権・ハラスメント・労使関係|2/5
個人情報保護や社内管理の方針、従業員教育は公開されています。一方、対象法人単体のハラスメント相談件数、内部通報件数、是正件数、重大な人権問題への対応結果について公開情報がありません。[出典13]
また、Indeedでは2025年10月に業務委託ドライバーによる「ドライバーは、使い捨て!」という投稿があります。単一の口コミであり会社全体の実態と断定はしませんが、直接雇用ではない配送員の待遇や契約関係を確認する必要性を示す情報です。情報ランクBです。[出典14]
そのため2/5点です。社員と契約配送員の双方が利用できる相談・救済制度、相談件数、是正結果、契約終了理由などを匿名化して公開し、重大問題がなく救済が機能していることを確認できれば3/5点以上を検討できます。
労働安全・健康|4/10
セルートは社長直下に全国安全運転管理者会議を設置し、交通安全セミナー、年1回の運転記録証明書取得、実技講習、春・秋の安全キャンペーンなどを実施しています。自社開発のODDSでは平均速度などを記録し、安全指導に使っています。クラウド点呼やアルコール検知アラートも導入しています。[出典5]
安全運転支援車両を採用し、運転教育とデータを組み合わせて事故を防ごうとしている点は、配送員本人だけでなく歩行者・自転車・他車の安全にもつながります。
一方、会社の公式説明では、業務委託契約の配送員、つまり個人事業主は全国安全運転管理者会議の管理下にないと明記されています。安全啓発は行われていますが、契約ライダー・ドライバー352名は、社員と同じ直接管理の範囲ではありません。[出典1・5]
さらに、社員・契約配送員を含む死亡事故、重大事故、有責事故、休業労災、度数率、事故100万km率などの年次KPIは公表されていません。安全制度は具体的ですが、結果を外部から継続比較できない点は課題です。採点上も減点対象です。
そのため4/10点です。社員・契約配送員を共通の安全KPIで管理し、死亡・重大・有責事故、労災、走行距離当たり事故率を毎年公開したうえで、重大事故0を複数年継続できれば6/10点、さらに低い事故率を第三者評価と合わせて継続できれば8/10点を検討できます。
商品・サービスの安全|4/5
メディカル・バイオ関連の物流オペレーションと輸送でISO 9001:2015の認証を取得し、医薬品物流ではGDPに沿った品質管理を行っています。輸送ボックスの性能評価も行い、温度帯に応じて検体、治験薬、細胞、医薬品などを扱っています。[出典6・7]
例えば治験薬や細胞を指定温度から外れた状態で運べば、研究や治療に使えなくなる可能性があります。品質管理手順と専用容器を使って温度を維持することは、医療機関や患者が再採取・再配送を余儀なくされるリスクを減らします。
一方、全配送件数に対する温度逸脱率、破損率、紛失率、重大品質事故件数などの継続KPIは公表されていません。2021年には神戸市のワクチン配送で温度管理上の事故も発生しています。
そのため4/5点です。温度逸脱、誤配送、破損・紛失を毎年公開し、重大品質事故0を複数年継続できれば5/5点を検討できます。
従業員・元従業員の口コミ
Indeedの株式会社セルートに関する評価は、少数の投稿を基にした集計で総合2.6とされています。勤務経験者の投稿では、働き方や委託配送の収入安定性に厳しい意見が見られます。[出典14]
転職会議では約169件の口コミが掲載され、投稿者集計の残業時間は月15.6時間、有給消化率は60%です。残業の投稿者集計は会社公式の18.5時間と大きく離れておらず、少なくとも社員の残業が極端に長いという方向の情報とは一致していません。[出典15]
一方、口コミは職種・年代・時期が異なり、社員291名と契約配送員352名を混ぜると実態を誤認するため、個別投稿の雇用形態を分けて扱う必要があります。
SNS・匿名掲示板の確認結果
Xなどの一般SNS、5ちゃんねる、爆サイについて、セルート、配送員、ライダー、ドライバー、残業、報酬、退職、事故、パワハラなどを分けて調査しました。
現在の直接雇用社員または契約配送員であること、投稿時期、職種・拠点まで具体的に確認でき、採点根拠として使える投稿は確認できませんでした。SNS・匿名掲示板で有用情報が見つからないことを、問題がないことの証明には使いません。
Innovation|17/25
Innovationでは、緊急配送を電話と人手だけに頼らず、DelivalueやODDS、クラウド点呼などで可視化していること、メディカル輸送の温度・品質管理を高度化していることを評価します。一方、デジタル化によって配車担当者や配送員の作業時間、事故、残業が何時間・何件減ったのか、浮いた時間や利益が賃金・休日へ返ったかは十分公開されていません。
作業負担・危険の削減|6/10
自社配送管理システム「Delivalue」では、配送状況をリアルタイムで把握し、配送データを蓄積・分析できます。ODDSでは運転速度などを記録し、安全指導へ使っています。クラウド点呼やアルコールアラートも導入しています。[出典5・8]
従来、配車担当者が電話で一台ずつ位置を確認したり、配送員が紙や口頭だけで状況を共有したりする場合と比べ、車両・案件情報をシステムで共有できれば、確認作業と連絡の往復を減らしやすくなります。ODDSや点呼システムは危険運転・飲酒運転を発見する補助にもなります。
一方、システム導入前後で配車担当者の電話時間が何時間減ったのか、配送員の待機・移動時間が何%減ったのか、事故が何件減ったのかについて公開情報がありません。
そのため6/10点です。導入前後の配車作業時間、待機時間、走行距離、事故件数を測定し、20%以上など明確な負担・事故削減が確認できれば8/10点を検討できます。
商品・サービスの改善|5/5
セルートは通常の緊急配送から、検体、治験薬、細胞、再生医療関連物資、特殊医薬品へ対象を広げています。2025年には生殖医療領域の専門輸送「START」を本格展開し、2026年にはドライシッパーを使う輸送や、毒劇物・感染性物質・遺伝子組換え生物など特殊条件の輸送対応を拡大しました。[出典10・11]
一般宅配では扱いにくい物を専門品質で運べるようになると、医療機関や研究者が自分で運搬する負担を減らし、必要な検体・細胞・医薬品をより広い地域へ届けられます。
サービスの対象と品質管理を継続的に広げており、利用者の具体的な不便を減らしているため5/5点です。
改善成果の人間への還元|2/5
社員の平均残業18.5時間と年間休日120日は良好な労働条件です。[出典3]
しかし、Delivalue、ODDS、クラウド点呼などの導入前後で、残業が何時間減ったのか、配車担当者が何人分の作業を減らせたのか、賃金・賞与・休日がどれだけ増えたのかについて公開情報がありません。良好な労働条件とデジタル化の因果関係は公表資料から結びつけられません。
そのため2/5点です。システム導入前後の作業時間、残業、事故、必要人数、配置転換、賃金、休日を時系列で公開し、人員整理ではなく残業削減・危険作業削減・賃金上昇のうち複数が確認できれば4/5点を検討できます。
研究開発・現場改善の継続|4/5
セルートは配送管理システム、ODDS、クラウド点呼の導入だけでなく、メディカル輸送の品質管理、2025年のSTART、2026年の特殊医療輸送拡大など、複数年にわたってサービスと現場運用を更新しています。[出典5・8・10・11]
2026年には、タクシーなど旅客輸送車両の空き能力を物流にも活用する「全国貨客混載輸送普及促進センター」の設立にも参画しています。これは地域の交通・物流維持を狙う取り組みですが、現時点では普及促進組織の設立段階であり、削減時間や輸送量などの成果は今後確認が必要です。[出典12]
継続的な改善が確認できるため4/5点です。複数の施策について、導入前後の時間・事故・コスト・人員負担を共通KPIで追い、成果まで継続公開できれば5/5点を検討できます。
自動化・AI導入後の雇用状況
セルートでは、Delivalue、ODDS、クラウド点呼など、配車・運行管理のデジタル化を進めています。現在の公式会社概要では従業員291名、契約ライダー・契約ドライバー352名です。[出典1]
今回確認した公開情報では、これらのシステム導入を理由とした大規模希望退職、整理解雇、契約配送員の一斉契約終了、採用停止を示す公表情報はありません。
一方、システム導入前後の配車担当者数、配送員数、配置転換人数、契約更新数、採用数の時系列データは公表されていません。現在の人数だけでは、デジタル化が雇用維持に使われたのか、人員削減に使われたのか、採用難を補ったのかを判断できません。
雇用への影響を明確にするには、導入前後の職種別人員、契約更新、採用、配置転換、退職を時系列で公開する必要があります。
Protection|17/25
Protectionでは、災害や交通寸断、医療上の緊急事態が起きても必要な物を届けられるかを確認しました。24時間365日の全国配送網と過去の震災支援は強みです。一方、全社サイバー防御、主要システム停止時のRTO・RPO、地域別の代替能力は十分公開されていません。
災害への備え・訓練|4/5
セルートは過去の大規模災害で実際に配送支援を行っています。1995年の阪神・淡路大震災ではボランティアライダーを派遣し、安否調査や救援配送を実施しました。活動に対し日本赤十字社から感謝状を受けています。2011年の東日本大震災では救援物資の仕分け・配送、2016年の熊本地震でも救援物資配送を行いました。[出典9]
例えば大地震で道路が混雑し、避難所へ必要な物資が届きにくくなった場合、小回りの利くバイクや軽車両、全国の配送網を使えれば、薬や小口の緊急物資を大型トラックだけに頼らず運べます。
実災害での支援実績が複数回あるため4/5点です。一方、現在の全社防災訓練の頻度、参加人数、備蓄、燃料、通信手段、地域別の訓練結果は十分公開されていません。これらを継続公開できれば5/5点を検討できます。
生産・物流・調達の代替|4/5
24時間365日の全国配送ネットワークを持ち、オートバイ、軽四輪、地域配送パートナーなど複数の手段を組み合わせています。[出典1・8]
一つの車両や一つの拠点へ依存せず、緊急性や荷物特性に応じて配送方法を変えられることは、道路混雑や地域的な障害が起きた場合の代替性を高めます。
さらに2026年には、タクシーなど旅客車両の空き能力を貨物輸送へ活用する全国貨客混載輸送普及促進センターの設立に参画しました。平時から複数の輸送資源を使えるようにする方向性は、ドライバー不足や地域物流の維持にもつながります。[出典12]
一方、主要地域が停止した場合に代替できる車両数、配送量、切替時間を公開していないため4/5点とします。地域別の代替能力と切替訓練を定量公開できれば5/5点を検討できます。
サイバー防衛・情報保護|2/5
セルートは個人情報保護方針を公開し、個人情報保護管理者、社内規程、従業員教育、委託先管理などの安全管理措置を示しています。プライバシーマークも取得しています。[出典6・13]
配送管理システムでは、荷主、配送先、位置情報、医療関連情報など重要なデータを扱うため、情報保護は配送そのものの継続性に関わります。
一方、全社MFA、EDR、SOC、脆弱性診断、分離バックアップ、標的型メール訓練、インシデント件数、復元訓練について具体的な公開情報がありません。公開情報がない点は課題であり、採点上も減点対象です。
そのため2/5点です。全社MFA・EDR・分離バックアップを整備し、年2回以上の訓練、年1回以上の復元試験、重大情報漏えい0件などを継続公開できれば3/5点以上を検討できます。
供給継続・復旧能力|3/5
24時間365日の受付・配送体制と全国ネットワークを持ち、配送状況をDelivalueでリアルタイム管理できることは、特定の配送員や地域だけへ依存しにくい強みです。[出典8]
例えば、予定していた配送員が車両故障や道路規制で動けなくなった場合、配送状況と位置を把握できれば、別の配送員へ切り替える判断を早めやすくなります。
一方、Delivalueや受付システムが停止した場合の手作業代替、データバックアップ、RTO・RPO、拠点・システム別の復旧訓練時間について公開情報がありません。
そのため3/5点です。主要システムごとの復旧目標を定め、システム停止時にも手動・代替システムへ切り替え、例えば主要受付を4時間以内、配送管理を24時間以内に復旧できる実績を訓練で示せれば4/5点を検討できます。
危機時の市民への対応|4/5
阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震で、救援物資配送や支援活動を実際に行っています。[出典9]
また、通常時にも医療検体・医薬品・細胞など、時間制約の厳しい物を24時間365日運べる体制を持っています。災害や医療上の緊急事態で通常物流が使いにくいときに、小口・緊急輸送を担えることは市民生活を守る力になります。
一方、直近の災害で何件・何kg・何人分の物資を何時間で届けたか、自治体や医療機関との現在の正式な災害協定、訓練結果は十分公開されていません。
そのため4/5点です。自治体・医療機関との協定、訓練、実災害の配送数量・所要時間を継続公開できれば5/5点を検討できます。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の前向きな動きでは、生殖医療や特殊医療物資の専門輸送を広げていることと、地域の空いている輸送能力を物流へ活用しようとしていることを評価します。これらはInnovationとProtectionに関係し、セルートのサービスが選ばれることで、医療機関が輸送を自前で抱える負担や、地域で「運ぶ手段がない」状態を減らす方向につながります。
2025年5月 生殖医療専門輸送「START」を本格展開(Innovation)
セルートは2025年5月、生殖医療領域の専門輸送サービス「START」を本格展開しました。[出典10]
生殖医療では、検体や関連物資を決められた条件で時間どおりに運ぶ必要があります。医療機関や患者が自ら長距離輸送を手配する負担を専門事業者へ移せれば、医療側は診療・治療へ時間を使いやすくなります。
一般の緊急配送から専門医療輸送へ対象を広げることで、地域によって受けられる医療の差を小さくする可能性があります。セルートの専門輸送を利用することは、こうした医療物流の維持・拡大を支えることにつながります。
2026年2月 ドライシッパー・特殊医療輸送を拡充(Innovation・Safety)
2026年2月、セルートはメディカル輸送サイトを拡充し、ドライシッパーを使った低温輸送、特殊医薬品、毒劇物、感染性物質、遺伝子組換え生物などへの対応範囲を広げました。[出典11]
こうした物は温度や法令、梱包、取り扱い条件が通常荷物より厳しく、専門知識のない人が運ぶと品質低下や曝露リスクにつながります。
専門手順と容器を使って運ぶ範囲が広がれば、研究者・医療従事者が自ら輸送を行う機会を減らし、患者・研究者・配送員の安全を高めやすくなります。
2026年4月 全国貨客混載輸送普及促進センター設立に参画(Protection)
セルートと関連会社セルフィットなどは2026年4月、タクシー等の旅客輸送能力を物流にも活用する全国貨客混載輸送普及促進センターの設立に参画しました。[出典12]
例えば地方で配送ドライバーが不足し、荷物が届きにくくなった場合、空いている旅客車両を法令に沿って貨物輸送へ活用できれば、既存の車両と運転者を地域物流の維持に使える可能性があります。
現時点では組織設立・普及促進の段階であり、何件・何地域の配送を補完したかという成果は今後の確認が必要です。実輸送量と地域の配送維持効果が出れば、Protectionをさらに高く評価できます。
悪いニュース・問題となった動き
最も重要な問題は、医療関連輸送では一度の温度管理ミスが大量の医薬品を使用不能にしうることと、配送員の安全管理が直接雇用と業務委託で同じ仕組みではないことです。前者は商品・サービスSafety、後者は労働安全に関係し、改善されなければ患者・医療機関・配送員へリスクが残ります。
2021年5月 神戸市のワクチン192バイアル、960回分が温度管理上使用不能(Safety)
2021年5月、神戸市の新型コロナワクチン配送で、192バイアル、960回分が適切な温度管理を維持できず使用不能となりました。神戸市は受領・保管工程を見直し、ワクチン管理責任者を置くなどの対策を取りました。[出典16]
この事例について、神戸市側は当初、配送業者の取り扱いを問題として説明しました。一方、セルートは、事故時点では市の指示に従って保冷箱を回収しており、市が事故後に運用指示を変更したとして反論しています。[出典16・17]
したがって、セルート単独の過失が確定した事例としては扱いません。ただし、医薬品輸送では発注者、配送業者、受領者の間で手順が一つでも食い違うと、大量の医薬品が使えなくなることを示した事例です。
現在はGDPに沿った品質管理や輸送容器評価などを進めています。今後、温度逸脱率と品質事故件数を継続公開し、同種事故0を長期間確認できれば、サービス安全性をより高く評価できます。
契約ライダー・ドライバーが全国安全運転管理者会議の直接管理外(Safety)
セルートの公式安全運転ページでは、社長直下の全国安全運転管理者会議による社員への安全教育・管理を説明する一方、業務委託契約の配送員、個人事業主は同会議の管理下にはないとしています。安全啓発活動は実施されています。[出典5]
会社公式では契約ライダー・契約ドライバーが352名おり、社員291名を上回ります。[出典1]
配送サービス全体の安全を考えると、雇用契約の違いにかかわらず、同じ事故KPI、教育基準、アルコール・健康管理、重大事故時の是正を比較できる状態が望まれます。契約配送員まで含む事故・安全成果を公開しなければ、利用者は配送網全体の安全性を判断しにくい状態が残ります。
総合評価と、これから改善してほしいこと
株式会社セルートは現在61点・シビックランクCです。次のBランクは70点からなので、あと9点必要です。
年間休日120日・平均残業18.5時間、専門的なメディカル輸送、実災害での救援配送は明確な強みです。一方、既存社員への利益還元、契約配送員を含む事故成果、デジタル化の人への還元、サイバー防御を具体的な数値で示せれば、働く人、患者、荷主、地域住民がより安心して同社を選べるようになります。
既存社員の賃上げを継続的に数字で示してほしい|賃金・利益の還元 2→6/10
現在は2/10点です。新卒初任給と賞与制度は確認できますが、既存社員291名の賃金中央値、職種別給与、ベースアップ率は公表されていません。[出典4]
まず、社員の賃金中央値、職種・等級別基本給、非管理職の平均昇給率を公開し、既存社員の固定給が実際に上昇していることを示してほしいです。1年間の広い賃上げが確認できれば4/10点、例えば基本給5%前後以上の改善を複数年継続し、広い層へ反映できれば6/10点を検討できます。
2→6点で+4点、総合61→65点です。単独ではCのままですが、配送・配車・医療物流の仕事から得た利益が働く人の生活費へ直接返ることになります。
参考企業の株式会社JR東海リテイリング・プラスは当サイトの現行審査で56点・D、「賃金・利益の還元」8/10点です。2025年に平均8,500円、2026年に8,000円のベースアップを2年連続で実施し、一時金だけでなく月例賃金を継続的に引き上げています。業種は異なりますが、既存社員への還元を数字で示す比較例です。
契約配送員を含む事故KPIを公開し重大事故0を継続してほしい|労働安全・健康 4→6/10
現在は4/10点です。ODDS、実技講習、運転記録証明、クラウド点呼など安全施策は具体的ですが、契約ライダー・ドライバー352名は全国安全運転管理者会議の直接管理下ではなく、会社全体の事故KPIも公表されていません。[出典1・5]
社員・契約配送員を共通の安全基準で追い、死亡事故、重大事故、有責事故、労災、走行100万km当たり事故率、アルコール検知違反を毎年公開してほしいです。重大事故0を少なくとも3年間継続し、事故率の低下が確認できれば6/10点を検討できます。
4→6点で+2点、総合61→63点です。
参考企業のアスクル株式会社は当サイトの現行審査で74点・B、「労働安全・健康」8/10点です。2025年5月期単体で死亡0、重度0、軽度2、度数率0.00まで公開しており、安全の結果を外部から確認できます。
デジタル化で減った時間を残業・賃金・安全へ返してほしい|改善成果の人間への還元 2→4/5
現在は2/5点です。Delivalue、ODDS、クラウド点呼などを導入していますが、導入前後の配車時間、残業、事故、必要人数、賃金、休日の変化は公表されていません。[出典5・8]
配車担当者の電話・入力時間、配送員の待機時間、残業、事故件数を導入前後で測定し、例えば作業時間または残業を20%以上削減し、大規模な人員整理を伴わず、賃金・休日・安全のうち複数指標で改善を示してほしいです。
これらが確認できれば2→4点で+2点、総合61→63点です。
参考企業のアスクル株式会社は当サイトの現行審査で「改善成果の人間への還元」4/5点です。配送管理システム、自動搬送などで再配達や歩行・搬送負担を減らし、人への具体的な負担削減を確認できます。またキリングループロジスティクス株式会社は同項目3/5点で、業務改善・多能工化を背景に年間所定労働時間を1,920時間から1,896時間へ24時間短縮しています。
全社サイバー防御と復旧訓練を具体化してほしい|サイバー防衛・情報保護 2→3/5
現在は2/5点です。個人情報保護管理者、社内規程、教育、委託先管理は確認できますが、MFA、EDR、SOC、分離バックアップ、復元訓練などの具体的な全社実装状況は公表されていません。[出典13]
配送管理、位置情報、医療関連データを扱うため、全社MFA・EDR、オフラインまたは分離バックアップを導入し、年2回以上の標的型メール訓練、年1回以上のバックアップ復元試験を行い、その結果と重大情報漏えい件数を公開してほしいです。
これらが実装・運用され、重大事故が抑えられていることを確認できれば2→3点で+1点、総合61→62点です。
参考企業の株式会社みずほ銀行は当サイトの現行審査で74点・B、「サイバー防衛・情報保護」3/5点です。24時間365日の統合SOC、Mizuho-CIRT、多層防御、TLPT、経営層を含む訓練、年2回以上の標的型メール訓練を実施しています。業種は異なりますが、サイバー防御を具体的な運用まで公開する比較例です。
次のBランクへ上がるための具体例
現在61点・Cで、Bは70点からです。あと9点必要です。
まず、既存社員について賃金中央値と職種・等級別給与を公開し、基本給5%前後以上の改善を複数年継続して、「賃金・利益の還元」を2/10点から6/10点へ上げます。+4点です。参考企業は、2025年・2026年に2年連続ベースアップを実施した株式会社JR東海リテイリング・プラスです。
次に、社員291名だけでなく契約ライダー・契約ドライバー352名も含め、死亡・重大・有責事故、労災、走行距離当たり事故率を毎年公開し、重大事故0を3年間継続します。「労働安全・健康」を4/10点から6/10点へ上げれば+2点です。参考企業は、死亡0・重度0・軽度2・度数率0.00を公開するアスクル株式会社です。
さらに、Delivalue、ODDS、クラウド点呼の導入前後で、配車作業、待機、残業、事故を測定し、作業時間または残業20%以上削減などの成果を示し、大規模な人員整理を伴わず賃金・休日・安全へ還元します。「改善成果の人間への還元」を2/5点から4/5点へ上げれば+2点です。参考企業は同項目4/5点のアスクル株式会社と、年間所定労働時間を24時間短縮したキリングループロジスティクス株式会社です。
最後に、全社MFA、EDR、分離バックアップを整備し、標的型メール訓練を年2回以上、復元訓練を年1回以上行って結果を公開します。「サイバー防衛・情報保護」を2/5点から3/5点へ上げれば+1点です。参考企業は24時間365日SOCやTLPTを実施する株式会社みずほ銀行です。
計算すると、61点+賃金4点+労働安全2点+人間への還元2点+サイバー1点=70点となり、シビックランクBに到達します。
つまりセルートが次のランクへ上がるには、専門輸送の範囲をさらに広げることよりも、「既存社員の所得が上がった」「社員と契約配送員の事故が減った」「デジタル化で残業や危険が減った」「システムが攻撃・停止しても復旧できた」という人間側・利用者側の成果を数字で示すことが重要です。
出典一覧
1.株式会社セルート「会社概要」
2.経済産業省 gBizINFO「株式会社セルート」
3.株式会社セルート 採用サイト「よくある質問」
4.株式会社セルート「新卒採用 募集要項」
5.株式会社セルート「安全運転への取り組み」
6.株式会社セルート メディカルサポート「品質管理・ISO 9001・プライバシーマーク」
7.株式会社セルート「メディカル・バイオ関連輸送」「ライフサイエンス物流」
8.株式会社セルート「Delivalue」「全国配送ネットワーク」
9.株式会社セルート「沿革・災害時の支援活動」
10.株式会社セルート「生殖医療専門輸送STARTを本格展開」2025年5月1日
11.株式会社セルート「メディカルサポートサービス拡充」2026年2月17日
12.株式会社セルート等「全国貨客混載輸送普及促進センター設立」2026年4月15日
13.株式会社セルート「個人情報保護方針」
14.Indeed「株式会社セルートのクチコミ」
15.転職会議「株式会社セルートの口コミ・評判」
16.神戸市「新型コロナワクチンの温度管理事案」2021年、内部統制関連資料
17.株式会社セルート「神戸市公表のワクチン配送事故に関する見解」2021年
18.Google Drive「キリングループロジスティクス株式会社の企業審査」現行版
19.Google Drive「アスクル株式会社の企業審査」現行版
20.Google Drive「株式会社みずほ銀行を企業審査」現行版
21.Google Drive「株式会社JR東海リテイリング・プラスの企業審査」現行版
シビックランクの基準
| シビックランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
株式会社セルートは61点のため、今回の評価はシビックランクCです。
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、記名取材など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
今回の中心資料は、セルートの公式会社情報・採用情報・安全運転資料・メディカル輸送資料、gBizINFO、神戸市の公的資料、従業員口コミです。社員と業務委託の配送員を分け、公式制度の存在と実際の成果を区別して評価しました。
