私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査する株式会社NTTドコモは、総合82点、シビックランクAです。
株式会社NTTドコモの特に強い点は、AIを通信ネットワークの構築・保守へ実際に導入し、人が行っていた複雑な作業と障害対応時間を大幅に減らしていることです。2026年2月から商用利用を始めたネットワーク保守AIでは、複雑な障害への対応時間を従来比50%以上削減しています。さらに5Gコア構築では、ドコモを含む共同プロジェクトでAIとGitOpsを使い、設計から構築までの期間を約80%短縮しました。
そのため、この企業の通信サービスを利用すれば、人が大量のログや設定ファイルを手作業で処理する負担を減らしながら、通信障害からより早く復旧し、災害時にもつながりやすい通信インフラに強い社会になる可能性が高まります。
一方で、改善点として2024年度の平均年間所定外労働時間は308.2時間で、月平均に換算すると約25.7時間です。さらに2026年9月4日にはドコモメールが約2時間10分、10月6日には約42分、一部利用者で利用できない障害が発生しており、重要な生活インフラとして障害件数と復旧時間をさらに減らす余地が残ります。
この記事では、株式会社NTTドコモの強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
株式会社NTTドコモの企業審査結果
NTTドコモは、携帯電話・5G・LTE・光回線などの通信を中心に、映像・エンターテインメント、ヘルスケア、マーケティング、研究開発などを展開する企業です。
2026年3月31日時点の従業員数は単体9,876人、グループ53,780人です。資本金は9,496億8,000万円です。
なお、2026年7月1日からd払い、dカード、保険などの金融・決済事業は100%子会社の株式会社NTTドコモ・フィナンシャルグループへ承継されています。そのため、本記事では7月以降のd払い・dカードの運営実績をNTTドコモ単体の実績として採点していません。
| 評価軸 | 得点 | 主な評価 |
|---|---|---|
| Safety | 36/50点 | 平均給与934.5万円、有休79.7%、男性育休133%、低い離職率を評価。年間所定外労働308.2時間、男女賃金差、最新通信障害が課題 |
| Innovation | 23/25点 | ネットワーク障害対応50%超削減、5Gコア構築期間80%短縮、衛星直接通信、AI自動最適化を高評価 |
| Protection | 23/25点 | 移動基地局車・移動電源車、東西監視拠点、防災訓練、衛星通信、24時間SOCを評価。障害復旧KPIのさらなる改善余地あり |
| 総合 | 82/100点 | シビックランクA |
評価時点:2026年10月7日
適用基準:Google Drive「企業審査マスター仕様書」最新版
主な強み
- 2024年度のNTTドコモ単体平均給与は934万5,000円
- 平均給与は2022年度882万8,000円、2023年度904万2,000円、2024年度934万5,000円と上昇
- 有給休暇取得率79.7%
- 自己都合離職率1.84%
- 男性育休取得率133%
- 女性管理職比率14.9%、新任管理者の女性比率33.1%
- 2026年3月末の単体従業員数は9,876人
- ネットワーク保守AIで複雑な障害への対応時間を50%以上削減
- AIとGitOpsによる5Gコア構築で構築期間を約80%短縮
- 2026年4月にdocomo Starlink Directを開始
- 東京・大阪のネットワークオペレーションセンターが24時間365日で全国を監視
- 移動基地局車、移動電源車、非常用マイクロを全国配備
- 2026年度総合防災訓練には500人超が参加
- セキュリティ監視にAIを導入し、ログ収集から分析までの時間を最大80%短縮
主な課題
- 2024年度の平均年間所定外労働時間308.2時間、月換算約25.7時間
- 平均年間労働時間1,950.6時間で、会社が目標とする1,800時間台に未到達
- 有休取得率79.7%で80%をわずかに下回る
- 男女賃金比率80.3%で約20ポイントの差
- 女性管理職比率14.9%
- 労働災害について最新公開値は複数社・子会社を含む集計が多く、NTTドコモ単体結果を分離しにくい
- 2026年9月と10月にドコモメールで全国規模の障害が発生
- 2025年10月にも東日本の一部でドコモメールなど複数サービスが約3時間52分利用できない・利用しづらい障害
- AIによって削減した時間を、従業員の労働時間や休日へ何時間返したかは公表されていない
- 主要サービスごとのRTOや年間総停止時間の一覧開示は限定的
事業内容と人間への貢献
NTTドコモの事業は、スマートフォンの契約を販売することにとどまりません。
携帯電話基地局、5Gコアネットワーク、光回線、監視センター、災害用設備などを組み合わせ、全国で通信を使える状態を維持することが事業の中心です。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社NTTドコモ |
| 英文名 | NTT DOCOMO, INC. |
| 営業開始 | 1992年7月1日 |
| 本社 | 東京都千代田区永田町2丁目11番1号 山王パークタワー |
| 代表者 | 代表取締役社長 前田義晃 |
| 資本金 | 9,496億8,000万円 |
| 単体従業員数 | 9,876人 |
| グループ従業員数 | 53,780人 |
| 主な事業 | 5G・LTE等の通信、光ブロードバンド、スマートライフ、マーケティング、法人通信、研究開発等 |
| 親会社 | 日本電信電話株式会社 |
2026年3月31日時点の数字です。
主な事業内容
コンシューマ通信では5G・LTEによる携帯電話通信、光ブロードバンド、国際通信などを提供します。
スマートライフでは映像・音楽・電子書籍、電気・ガス、マーケティング、端末補償などを扱います。
法人通信では企業の5G・LTE、衛星電話、光回線などを支えます。
金融・決済については、2026年7月1日にd払い、dカード、保険などの運営主体がNTTドコモ・フィナンシャルグループへ変更されています。現在の法人審査ではこの事業再編を反映します。
通信は生活インフラになっている
現在のスマートフォンは電話だけに使われるものではありません。
災害情報、地図、仕事、学校、行政手続き、病院との連絡、家族の安否確認など、多くの行動が通信へ依存しています。
NTTドコモ自身も全国のネットワークを24時間365日監視し、災害で基地局が被災した場合には移動基地局車や可搬型基地局、移動電源車などを使って復旧します。
通信が停止する時間を短くすることは、人が連絡できない時間を減らすことに直結します。
衛星とスマートフォンを直接つなぐ
2026年4月27日から「docomo Starlink Direct」の提供を開始しました。
対応スマートフォンから基地局を介さず衛星へ直接つながり、地上基地局の電波が届かない地域や、災害で基地局が被災した地域でもメッセージ、位置情報共有、対応アプリのデータ通信などを利用できます。
開始時点ではahamoを含む全料金プランの約2,200万人が、当面追加料金なし・申込不要で利用できる仕組みでした。
山間部、海上、離島、災害地域で通信手段を残せることは、Protectionに直結する改善です。
Safety|36/50点
NTTドコモのSafetyでは、平均給与、育児支援、有休、低い離職率、人権・労使制度などを高く評価できます。
一方、働く時間はまだ短いとは言えず、2024年度の平均年間所定外労働時間は308.2時間です。また、通信そのものが生活インフラであるため、サービス障害もSafetyとして評価します。
賃金・利益の還元|8/10点
2024年度のNTTドコモ単体の平均給与は934万5,000円です。
2022年度は882万8,000円、2023年度904万2,000円、2024年度934万5,000円と2年連続で上昇しています。
国税庁の2023年分民間給与実態統計では情報通信業の平均給与は649万2,000円でした。年度が完全には一致しませんが、ドコモの934万5,000円は業界平均より約285万円高い水準です。
2025年4月の初任給は、大卒31万6,040円、修士32万8,040円、博士40万3,430円です。
高い平均給与と複数年の上昇を確認できるため8/10点です。
一方、平均給与だけでは全社員の給与分布や利益増加分の配分率までは分かりません。2025年度・2026年度の単体平均給与を同じ算定方法で継続公開し、中央値やベースアップ率、利益増に対する従業員還元率まで確認できれば10/10点を検討できます。
労働時間・休息|6/10点
2024年度のNTTドコモ単体では、
平均年間労働時間:1,950.6時間
平均年間所定外労働時間:308.2時間
有給休暇取得率:79.7%
です。
所定外労働308.2時間を12か月で割ると約25.7時間です。
有休約80%は比較的高い一方、所定外労働は月20時間を上回っています。
会社自身も総労働時間を1,800時間台へ下げる目標を掲げ、DX、組織別の労働時間可視化、長時間労働が発生する職場への面談などを進めています。
転職会議の2026年時点の投稿者集計では残業22.8時間、有給消化率85.7%です。OpenWorkでは残業24.0時間、有休92%台の集計も確認できます。いずれも情報ランクBであり、会社公式値より優先しません。
会社公式値と口コミの双方で極端な長時間労働企業とは言いにくい一方、さらに短縮する余地があるため6/10点です。
平均所定外労働を月20時間未満、年間総労働時間を1,900時間未満、有休取得率80%以上へ改善できれば8/10点を検討できます。
雇用の安定・待遇の公平性|4/5点
2024年度末の正社員数は9,433人でした。
2022年度7,903人、2023年度8,919人、2024年度9,433人と増えています。自己都合離職率も2022年度2.14%、2023年度1.99%、2024年度1.84%へ低下しています。
さらに2026年3月末の公式会社概要では従業員9,876人です。集計定義が完全に同一とは限らないため単純比較はしませんが、AI・自動化を大きく進める中で会社全体の雇用が大幅縮小している状況は確認できません。
一方、2024年度の男女賃金比率は80.3%です。給与体系自体は男女同一と説明されていますが、年齢・等級構成などによって約20ポイントの差があります。
女性管理職比率も14.9%で、会社目標の15%にほぼ到達しているものの、男女比が均衡しているとは言えません。
雇用の増加、低い離職率を評価して4/5点です。
男女賃金比率を90%以上へ近づけ、女性管理職比率も継続的に上昇させ、その原因別改善結果を公開できれば5/5点を検討できます。
福利厚生・育児・介護|5/5点
2024年度の男性育休取得率は133%でした。
100%を超えるのは、年度内に子どもが生まれた男性社員数と育休取得者を比較する制度上、前年度対象者などの取得時期によって100%を超えることがあるためです。
NTTドコモは男性育休100%を目標にし、育児休職前の本人・上司との面談、休職中のオンライン支援、復職前後の面談などを行っています。
「プラチナくるみん」認定も受けています。
制度だけではなく高い利用実績まで確認できるため5/5点です。
人権・ハラスメント・労使関係|4/5点
NTTドコモグループ人権基本方針では、差別やハラスメントのない職場づくり、人権問題への改善、人権啓発推進委員会などを明記しています。
また2024年度のNTTドコモグループの労働組合加入率はほぼ100%で、経営幹部と労働組合の間で、労働条件、経営施策、ワークライフバランス、安全衛生などについて複数の協議機会を設けています。
カスタマーハラスメントから従業員を守る基本方針も公開しています。
一方、人権・ハラスメント相談件数、是正件数、再発防止後の結果をNTTドコモ単体で比較できる公開は限定的です。
制度と労使協議を評価して4/5点です。単体の相談・是正結果を匿名化して毎年公開できれば5/5点を検討できます。
労働安全・健康|6/10点
NTTドコモグループでは安全衛生委員会を設け、会社側と労働者側が参加して安全・健康管理を行っています。
2024年度の業務災害は0件、休業災害度数率0.00という結果が公開されています。
ただし、この数字の対象範囲にはNTTドコモだけでなく、NTTドコモビジネス、NTTドコモソリューションズ、機能分担子会社などが含まれます。
さらに通信設備工事では2024年度に人身事故6件、そのうち重傷・重篤3件が報告されています。対象には協力会社も含まれます。
つまり、グループ・協力会社を含めた安全情報は具体的ですが、NTTドコモ単体社員だけの死亡労災、休業災害、度数率を完全に切り分けた最新データではありません。
安全管理と良好な集計結果を評価して6/10点です。
NTTドコモ単体の死亡労災、休業災害、度数率を毎年分離して公開し、0件または低水準を継続できれば8/10点を検討できます。
商品・サービスの安全|3/5点
通信サービスでは、障害が起きた場合に電話、メール、仕事、行政サービスなど多くの行動へ影響します。
NTTドコモは東京と大阪のネットワークオペレーションセンターから24時間365日全国を監視しています。
一方、2026年9月4日にはドコモメールが全国の一部利用者で午後0時53分頃から午後3時3分頃まで約2時間10分利用できない障害が発生しました。原因は通信設備の故障です。
さらに10月6日には午後5時44分頃から午後6時26分頃まで約42分、一部利用者でドコモメールが利用できない障害が発生し、こちらも通信設備の故障でした。
2025年10月21日にも、東日本地域の一部でドコモメールや当時ドコモが運営していたd払いなどが午後0時15分頃から午後4時7分まで利用できない、または利用しづらい状況が発生しました。
通信インフラ全体の安全対策は強いものの、近い時期にサービス障害が複数起きているため3/5点です。
主要サービスごとの年間障害件数、利用者影響時間、平均復旧時間を一覧化し、複数年度で改善を確認できれば4~5/5点を検討できます。
従業員・元従業員の口コミ
転職会議では2026年時点で残業22.8時間/月、有給消化率85.7%という投稿者集計です。
2026年6月20日の30代前半男性・正社員・ブランド/プロダクトマーケティング・主任クラスの投稿では、
「残業規制が厳密。」
と述べ、有休も取りやすい一方、管理職では労働時間が長くなる人もいると指摘しています。情報ランクBです。
2026年9月2日の20代後半男性・正社員・法人営業の投稿でも、有休取得や残業の少なさを評価する一方、会議や社内資料への時間、仕事への意欲などを改善点として挙げています。
口コミの傾向は会社公式の有休79.7%、所定外労働月約25.7時間と大きく矛盾しません。
ただし部署・職種・役職による差があるため、口コミだけで全社を判断していません。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、一般SNS、5ちゃんねるなどについて、NTTドコモと「残業」「退職」「AI」「人員削減」「通信障害」「パワハラ」などを組み合わせて確認しました。
サービス障害への利用者投稿は多数ありますが、NTTドコモ社員本人であること、職種、雇用関係、投稿日を十分確認でき、企業審査の点数を変更できる現社員・元社員投稿は今回の調査では得られませんでした。
そのためSNS・匿名掲示板情報だけを理由とした加点・減点は行っていません。
Safety小計:36/50点
Innovation|23/25点
NTTドコモのInnovationは今回の審査で最も強い分野です。
研究成果を発表するだけでなく、AIを実際の商用ネットワークの構築・保守へ入れ、従来人間が行っていた分析、設定、最適化を機械へ移しています。
特に「何%短縮したか」が公開されているため、人間への効果を評価しやすい企業です。
作業負担・危険の削減|10/10点
2026年2月4日から、モバイルネットワーク保守業務向けAIエージェントを商用利用しています。
従来、複雑な故障では複数の保守担当者が大量のデータを集め、分析し、故障場所を特定する必要がありました。
新システムは100万台以上のネットワーク装置から集まる情報をAIが横断分析し、異常検知、被疑箇所の特定、対処案提示まで行います。
その結果、複雑な故障への対応時間を従来比50%以上削減するとしています。
さらに2026年2月26日から商用提供を始めたAWS上の5Gコアでは、ドコモ、NTTドコモビジネス、NTTドコモソリューションズなどがAIとGitOpsを組み合わせ、設計・設定ファイル作成などを自動化しました。
構築期間は従来比約80%短縮しています。
「AIを活用しています」という説明だけではなく、50%以上、80%という作業削減結果が確認できるため10/10点です。
商品・サービスの改善|5/5点
2026年4月にはdocomo Starlink Directを開始し、地上基地局がない地域でも対応スマートフォンと衛星を直接接続できるようにしました。
また、クラウド上の5Gコアによって、イベントなどで通信需要が急増した際にも容量を柔軟に追加しやすくしています。
さらにネットワークのAI自動最適化、6G研究、AIを用いたネットワーク制御などを継続しています。
既存サービスの改善と新しい通信手段の実用化を継続しているため5/5点です。
改善成果の人間への還元|3/5点
ネットワーク保守では対応時間50%以上、5G構築では期間80%削減という大きな改善が確認できます。
さらにAI・自動化を進める中でも、2024年度末の正社員9,433人から、2026年3月末の会社概要では従業員9,876人となっており、大規模な人員削減を示す状況は確認していません。
平均給与も2022年度882万8,000円から2024年度934万5,000円へ上昇しています。
一方、
AIによって年間何時間の社員作業を削減したか
その何%を残業削減へ返したか
何%を休暇へ返したか
配置転換した人数
再教育した人数
を一体で示す情報はありません。
平均年間所定外労働も2024年度で308.2時間残っています。
技術の成果と人への還元に一定の整合性はあるものの、因果関係を十分確認できないため3/5点です。
AIによる総削減時間と、その後の労働時間・賃金・休暇・再配置をつないで公開できれば5/5点を検討できます。
研究開発・現場改善の継続|5/5点
NTTドコモは5Gから6G、AI、衛星通信、ネットワーク自動運用、サイバーセキュリティなど複数分野の研究開発を継続しています。
2026年だけでも、
2月:ネットワーク保守AIの商用化
3月:AIによる5Gコア構築自動化
4月:Starlink Direct開始
6月:AIによるネットワーク自動最適化の高度化
など、研究成果を商用運用へ移しています。
研究、実証、商用化、改善という流れを複数分野で確認できるため5/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
NTTドコモはAIをネットワーク、セキュリティ、人事など広い範囲で導入しています。
それでも2024年度末の正社員数は9,433人で、2022年度7,903人から増加しています。採用者数も2024年度1,043人で、中途採用者401人を含みます。
2026年3月末の従業員数は9,876人です。
2026年7月には金融・決済事業を新会社へ承継していますが、これは事業再編であり、AIによる解雇と扱う根拠はありません。
今回の調査では、AI導入を理由とした大規模希望退職、整理解雇、大量の契約終了を確認していません。
Innovation小計:23/25点
Protection|23/25点
携帯電話は災害時に特に重要になるサービスです。
NTTドコモは基地局のバックアップだけでなく、移動基地局車、電源車、非常用無線伝送、衛星通信、東西監視拠点、行政・避難所支援まで複数層でProtectionを構築しています。
災害への備え・訓練|5/5点
NTTドコモは「システムとしての信頼性向上」「通信サービスの早期復旧」「重要通信の確保」を災害対策3原則としています。
2026年5月22日には首都直下地震を想定した総合防災訓練を実施し、500人を超える関係者が参加しました。
能登半島地震などで大型車両が被災地へ入りにくかった経験を踏まえ、狭い道路にも入れる軽型移動基地局車も訓練で公開しています。
設備を保有するだけでなく、実際の災害経験を次の機材へ反映し、訓練しているため5/5点です。
生産・物流・調達の代替|5/5点
通信会社では「生産・物流」の代わりに、基地局、電源、伝送路、監視拠点の代替性を評価します。
基地局が壊れれば移動基地局車や可搬型基地局を使用します。
停電すれば予備バッテリー、エンジン、移動電源車を使います。
光ファイバーが切れれば非常用マイクロ波回線を使用できます。
さらに東京と大阪のネットワークオペレーションセンターが連携して全国を監視しています。
2026年には衛星とスマートフォンを直接接続するdocomo Starlink Directも開始しました。
地上基地局、電源、伝送路という別々の故障原因に対して代替手段を持つため5/5点です。
サイバー防衛・情報保護|4/5点
NTTドコモではSOCが2014年から稼働し、現在は24時間365日体制でセキュリティ監視を行っています。
2026年にはAIをセキュリティ監視へ導入し、ログの収集から分析までの時間を最大80%短縮したとしています。
サイバー攻撃による重大インシデント0件、重大情報漏えい0件を毎年の目標として設定しています。
一方、最新の重大インシデントKPIではドコモグループ等を対象にする開示があり、株式会社NTTドコモ単体だけの詳細な攻撃件数、検知件数、平均封じ込め時間を比較できる開示は限定的です。
高度な監視体制とAI改善を評価して4/5点です。
対象法人単体の重大インシデント0件、平均検知・封じ込め時間、訓練結果を毎年公開できれば5/5点を検討できます。
供給継続・復旧能力|4/5点
ネットワークオペレーションセンターは東京・大阪の2拠点で24時間365日監視しています。
災害時には移動基地局車、移動電源車、非常用マイクロ、衛星回線などを組み合わせて復旧します。
2026年からはAIエージェントが障害原因を分析し、複雑なネットワーク障害の対応時間を50%以上削減しています。
一方、2026年9月と10月にドコモメールで障害が連続して発生しました。
ネットワーク復旧能力自体は非常に強いものの、主要サービスごとのRTO、年間停止時間、平均復旧時間を一つの比較表で確認できる状態にはなっていません。
そのため4/5点です。
危機時の市民への対応|5/5点
NTTドコモは災害時に行政機関などへ衛星携帯電話、スマートフォン、タブレット、データ端末を貸し出しています。
被災地域では「災害時データ無制限モード」を実施する場合があります。
また、大規模災害で帰宅困難者が発生した場合には、全国の一部自社ビルを支援場所として開放します。
2026年開始のStarlink Directでは、地上通信設備が被災しても対応スマートフォンから衛星へ直接接続できます。
通信そのものだけでなく端末貸出、避難支援、災害情報提供まで市民へ直接提供するため5/5点です。
Protection小計:23/25点
良いニュース・最近の前向きな動き
NTTドコモの2026年の前向きな動きでは、AIを「将来使う技術」として研究する段階から、実際の商用ネットワークへ投入して人の作業と障害時間を減らしていることを特に評価します。
通信サービスの利用によって売上が集まれば、こうしたAI、自動化、災害設備、衛星通信へ継続投資できるため、働く人の負担削減と利用者の通信安定性の双方を支えることにつながります。
2026年2月 ネットワーク保守AIを商用化
2026年2月4日からネットワーク保守AIを商用利用しています。
100万台以上のネットワーク装置から情報を集め、これまで複数の技術者が手作業で行っていた複雑障害の分析をAIが支援します。
障害対応時間は50%以上削減するとしています。
技術者の分析作業を減らすだけでなく、利用者が通信できない時間そのものを短くできるInnovationです。
2026年3月 5Gコア構築期間を約80%短縮
AWS上で商用5Gコアを開始するとともに、AIとGitOpsによる設計・構築自動化を導入しました。
複雑な設定ファイル作成や設定値設計を自動化し、構築期間を約80%短縮しています。
人為ミス防止にもつながるため、労働負担とサービス安全の双方に効果があります。
2026年4月 docomo Starlink Direct開始
4月27日から衛星とスマートフォンの直接通信を開始しました。
山、海、離島だけでなく、災害で基地局が失われた地域にも通信経路を増やします。
地上ネットワークとは異なる経路を持つことは、大規模災害へのProtectionとして大きな意味があります。
2026年5月 総合防災訓練に500人超が参加
首都直下地震を想定した総合防災訓練で、軽型移動基地局車などを使った実践的な訓練を行いました。
2024年能登半島地震などで得た「大型車では道路状況によって現場へ入りにくい」という経験を次世代の復旧車両へ反映している点を評価できます。
悪いニュース・問題となった動き
NTTドコモで現在最も注意すべき問題は、通信インフラとして非常に高いProtectionを持ちながら、2026年秋にドコモメールの障害が短期間で繰り返されたことです。
また、AIによって作業時間を50%、80%と大きく削減できる技術を持つ一方、社員全体の年間所定外労働時間はまだ300時間を超えています。
2026年10月6日 ドコモメールで約42分の障害
2026年10月6日午後5時44分頃から午後6時26分頃まで、全国の一部利用者でドコモメールが利用できませんでした。
原因は通信設備の故障です。
前月の9月4日にも約2時間10分のドコモメール障害が発生しており、こちらも通信設備の故障でした。
同じサービスで近い時期に障害が発生したため、機器冗長化、故障予兆検知、切替手順の改善結果を確認したいところです。
2025年10月には複数サービスが約3時間52分影響
2025年10月21日午後0時15分頃から午後4時7分頃まで、東日本地域の一部でドコモメールなど複数サービスが利用できない、または利用しづらい状態になりました。
現在はAIで障害解析時間を50%以上短縮する仕組みが商用化されているため、今後はこのAI導入後に平均復旧時間が実際にどれだけ低下したかが重要になります。
年間所定外労働時間は308.2時間
2024年度のNTTドコモ単体では年間所定外労働時間308.2時間です。
2022年度316.5時間、2023年度317.7時間からは減少していますが、改善幅はまだ小さい状態です。
AIによってネットワーク構築・保守作業を大幅削減できているため、今後はこの成果を全社員の自由時間へどれだけ返せるかが重要です。
総合評価と、これから改善してほしいこと
株式会社NTTドコモは現在82点、シビックランクAです。
最高ランクSは90点からなので、あと8点必要です。
NTTドコモは、通信ネットワークのInnovationとProtectionでは非常に強い企業です。
次に必要なのは、AIによって削減した仕事を社員の自由時間へさらに返すこと、労災を対象会社単体で開示すること、通信障害を減らして実際の復旧時間を継続的に公開することです。
平均所定外労働を月20時間未満へ下げる|Safety
現在の「労働時間・休息」は6/10点です。
2024年度の年間所定外労働時間は308.2時間で、月換算約25.7時間です。平均年間労働時間は1,950.6時間、有休取得率79.7%でした。
AIや業務改革で生まれた時間を社員へ返し、
平均所定外労働:月20時間未満
年間総労働時間:1,900時間未満
有休取得率:80%以上
を継続できれば8/10点を検討できます。
改善後想定:6→8点
加点幅:+2点
総合点:82→84点
ランク:Aのまま
Google Drive上の株式会社ロジスネクストの現行企業審査では、平均残業9.18時間、年間休日128日、有休取得率80%・平均17.6日を公開し、「労働時間・休息」を高く評価しています。総合63点・シビックランクCです。
NTTドコモは技術による時間削減能力が非常に高いため、その成果を社員の自由時間へ戻せればSafetyをさらに高められます。
労災結果をNTTドコモ単体で分離公開する|Safety
現在の「労働安全・健康」は6/10点です。
公開されている2024年度の業務災害0件、休業災害度数率0.00は良好ですが、複数のグループ会社・子会社等を含む集計です。
NTTドコモ単体について、
死亡労災
休業労災
度数率
設備工事事故
メンタルヘルス休職
事故原因と再発防止
を毎年分離して公開し、死亡・重大災害0件を確認できれば8/10点を検討できます。
改善後想定:6→8点
加点幅:+2点
総合点:84→86点
ランク:Aのまま
Google Drive上のキリンビバレッジ株式会社の現行企業審査では、死亡労災0人、休業災害度数率などを具体的に公開している点を評価し、Safety38/50点、総合74点・シビックランクBとしています。
NTTドコモにも同じように、制度だけではなく対象法人の事故結果まで確認できる状態が望まれます。
ドコモメールなどの障害を減らし復旧KPIを公開する|Safety
現在の「商品・サービスの安全」は3/5点です。
2026年9月4日に約2時間10分、10月6日に約42分、ドコモメールが一部利用者で利用できない障害が発生しました。
今後、
主要サービス別の年間障害件数
利用者影響時間
MTTR・平均復旧時間
同一原因の再発件数
重大障害0件
を毎年一覧化し、障害件数と復旧時間が減少していることを確認できれば4/5点を検討できます。
改善後想定:3→4点
加点幅:+1点
総合点:86→87点
ランク:Aのまま
Google Drive上のSBペイメントサービス株式会社の現行企業審査では、ISO/IEC 27001、PCI DSSなどの安全管理を確認し、「商品・サービスの安全性」を4/5点、総合68点・シビックランクCとしています。
NTTドコモは通信インフラそのものを提供する企業なので、安全管理体制に加えて年間停止時間の結果まで公開することが重要です。
AIの削減時間を賃金・休日へ直接つなげる|Innovation
現在の「改善成果の人間への還元」は3/5点です。
ネットワーク障害対応時間50%以上削減、5Gコア構築期間80%削減という非常に強い成果があります。
しかし、
年間で社員作業を何時間削減したのか
残業を何時間減らしたのか
休日・有休をどれだけ増やしたのか
AI導入で生まれた利益を賃上げへ何%返したのか
は公開されていません。
AIによる削減時間と労働時間短縮・給与上昇を直接結び付けて公開し、明確な還元を複数確認できれば5/5点を検討できます。
改善後想定:3→5点
加点幅:+2点
総合点:87→89点
ランク:Aのまま
Google Drive上の株式会社大塚商会の現行企業審査では、AI・DXを大規模に導入しながら正社員数と平均給与が増えている点を評価し、Innovation21/25点、総合77点・Bとしています。一方で同社も自動化と還元の因果開示には課題があり、NTTドコモがここを数値化できれば企業審査上かなり先進的な事例になります。
災害・障害からの目標復旧時間をサービス別に公開する|Protection
現在の「供給継続・復旧能力」は4/5点です。
移動基地局車、移動電源車、非常用マイクロ、衛星通信、東京・大阪の監視拠点など代替手段は非常に充実しています。
次に必要なのは、
音声通信
データ通信
ドコモメール
主要顧客サービス
などについて目標復旧時間を公開し、実際の平均復旧時間が目標以内であることを示すことです。
改善後想定:4→5点
加点幅:+1点
総合点:89→90点
ランク:A→S
日本航空株式会社の現行企業審査では、大阪の代替オペレーション拠点、BCP、災害輸送などを評価し、Protection23/25点としています。
NTTドコモはすでにProtection23/25点まで到達できる基盤を持つため、障害ごとの復旧結果まで定量化すれば満点に近づけます。
次のランクへ上がるための具体例
現在82点・Aです。
Sランクは90点からなので、あと8点必要です。
例えば、
労働時間・休息:6→8点 +2点
労働安全・健康:6→8点 +2点
商品・サービスの安全:3→4点 +1点
改善成果の人間への還元:3→5点 +2点
供給継続・復旧能力:4→5点 +1点
と改善すれば、
82点 → 90点
となり、シビックランクSへ上がります。
NTTドコモは、新しい技術を作る能力についてはすでに非常に高い企業です。
次に問われるのは、AIで減らした仕事を人間の自由時間へ返し、通信障害をさらに減らし、「技術が進歩した結果、人が実際に楽になり、社会が実際に止まりにくくなった」と数字で示すことです。
出典一覧
- NTTドコモ「会社案内」
- NTTドコモグループ サステナビリティレポート2025「多様な人材・社員の働きがい」
- NTTドコモ「ネットワーク保守業務向けAIエージェントシステムの商用化開始」
- NTTドコモ「AWS上の5Gコア商用サービス・AIによる自動構築」
- NTTドコモ「docomo Starlink Direct」
- NTTドコモ「通信サービスの早期復旧」
- NTTドコモ「災害対策」
- NTTドコモ「2026年度 総合防災訓練」
- NTTドコモ「高品質の通信サービス」
- NTTドコモ「セキュリティ監視にもAIを」
- NTTドコモ「NTTドコモグループ人権に関する基本方針」
- NTTドコモ「マテリアリティ」
- NTTドコモ「2026年9月4日 ドコモメール障害」
- NTTドコモ「2026年10月6日 ドコモメール障害」
- NTTドコモ「2025年10月21日 一部サービス障害」
- NTTドコモ「金融・決済サービスの運営会社変更」
- 国税庁「民間給与実態統計調査」
- 転職会議「NTTドコモ ワークライフバランス・残業」 情報ランクB
- OpenWork「NTTドコモ 社員クチコミ」 情報ランクB
シビックランクの基準
| シビックランク | 総合点 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
株式会社NTTドコモは82点のため、シビックランクAです。
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関による調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、または氏名・役職・立場を確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立して確認しにくい情報 |
