私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査する株式会社セブン銀行は、総合88点、シビックランクAです。
株式会社セブン銀行の特に強い点は、全国2万8,000台を超えるATMを99.98%の高い稼働率で運用し、東西二重化したシステムと災害時の移動ATMまで組み合わせて、平時も有事も現金・金融サービスへアクセスできる状態を維持していることです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、地震や停電、システム障害が起きても生活に必要なお金を引き出しやすく、日常の金融手続きも身近な場所で続けやすい社会につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として2026年3月期の男女賃金比率が全労働者63.3%、正規雇用79.2%で、公開されている2024年度の月平均残業時間も23.6時間であることが残ります。
この記事では、株式会社セブン銀行の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
株式会社セブン銀行の企業審査結果
セブン銀行は、銀行口座だけでなく、全国のコンビニエンスストア、商業施設、駅、空港などにATMを配置し、他の金融機関や決済サービスの利用者にも現金入出金や各種手続きの場所を提供しています。2026年3月末の国内ATM台数は28,536台、年間ATM利用件数は約11億2,200万件です。[出典1・10]
働く人については、2026年3月期の平均年間給与773万4,000円、男性育児休業取得率100%、女性管理職比率23.2%などを確認できます。一方、男女賃金比率は全労働者63.3%、正規雇用79.2%、パート・有期49.0%で、待遇差には改善余地があります。[出典2]
ATM運用では、2024年度の稼働率99.98%、東日本・西日本のシステム二重化、24時間365日の監視、サイバー対策、災害時の移動ATM派遣まで確認でき、生活インフラとしてのProtectionは非常に強い企業です。[出典8・9・16・17]
| 評価軸 | 得点 | 主な評価 |
|---|---|---|
| Safety | 40/50 | 平均年収773.4万円、育休、労災度数率0、健康施策を評価。男女賃金比63.3%、月平均残業23.6時間、ストレス指標には改善余地 |
| Innovation | 24/25 | AI現金需要予測、ATM予防保守、ペーパーレス、社内自動化で具体的な作業削減を確認。削減時間を賃金・休日へ返した全社成果には開示余地 |
| Protection | 24/25 | ATM稼働率99.98%、東西二重化、24時間監視、サイバー防衛、熊本地震での移動ATM派遣を高評価。BCP訓練結果の公開に改善余地 |
| 総合 | 88/100 | シビックランクA |
主な強み
・2026年3月末の国内ATM台数28,536台
・2026年3月期の年間ATM利用件数約11億2,200万件
・2024年度のATM稼働率99.98%
・東日本・西日本に重要システムを二重化し、両方を常時稼働
・ATMやネットワークを24時間365日リアルタイム監視
・AIによるATMごとの現金需要予測と輸送計画最適化
・レシート削減により年間約2,000万枚を削減し、用紙切れに伴う車両出動を65%以上削減
・社内業務では月6時間かかっていた作業を35分へ短縮した改善事例
・男性育児休業取得率100%
・健康診断やストレスチェックなどの健康支援を継続
・2026年熊本地震では自治体要請を受け避難所へ移動ATMを派遣
・サイバーセキュリティ委員会、7BK-CSIRT、訓練、24時間365日の監視を運用
主な課題
・全労働者の男女賃金比率63.3%
・正規雇用の男女賃金比率79.2%
・パート・有期労働者の男女賃金比率49.0%
・公開されている2024年度の月平均残業時間23.6時間
・有給休暇取得率81.9%で、さらに高い取得余地がある
・2025年度の離職率7.3%で、2024年度6.2%から上昇
・2025年度の高ストレス者率14.4%で、前年度13.3%から上昇
・労災度数率・強度率は良好だが、労災件数やメンタル休職などの詳細な結果開示には改善余地
・金融犯罪被害や重大システム障害をサービス横断で比較できる結果KPIの公開が不足
・BCP訓練の年間回数、参加率、発見課題、改善完了率の公開が不足
・AI・自動化による削減成果を自社社員の賃金・休日・年間労働時間へどこまで返したかの定量情報が不足
事業内容と人間への貢献
株式会社セブン銀行は、2001年に設立された銀行です。セブン‐イレブンなど身近な場所にATMを設置し、自行利用者だけでなく、提携する銀行、信用金庫、証券、電子マネー、決済サービスなどの利用者にも金融アクセスを提供しています。[出典1]
ATMは単に現金を引き出す機械ではなく、預入、振込、各種チャージ、本人確認、口座開設支援などへ機能を広げています。セブン銀行自身の口座事業に加え、他社の金融サービスを支える共通インフラとしての役割が大きい企業です。[出典9・15]
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社セブン銀行 |
| 英文名 | Seven Bank, Ltd. |
| 設立 | 2001年4月10日 |
| 営業開始 | 2001年5月7日 |
| 本社 | 東京都千代田区丸の内一丁目6番1号 |
| 代表取締役会長 | 舟竹 泰昭 |
| 代表取締役社長 | 松橋 正明 |
| 資本金 | 307億24百万円 |
| 単体従業員数 | 715人 |
| 連結従業員数 | 1,393人 |
| 単体平均年間給与 | 773万4,000円 |
| 平均年齢 | 41.1歳 |
| 平均勤続年数 | 7.4年 |
| 国内ATM台数 | 28,536台 |
| 主な事業 | ATMプラットフォーム、銀行口座、決済・本人確認等の金融サービス |
情報ランク:S・A。[出典1・2・10]
主な事業内容
ATMプラットフォーム事業では、セブン‐イレブン、イトーヨーカドー、商業施設、駅、空港などへATMを設置し、他の金融機関や決済サービスと接続しています。2026年3月期には約11億2,200万件のATM利用がありました。[出典10]
銀行口座事業では普通預金、デビット、ローン、海外送金などを提供しています。また第4世代ATMや「ATM+」では、現金入出金に加えて、本人確認や金融機関・事業会社の各種手続きをATM上で行う方向へ機能を広げています。[出典15]
主な利用企業・取引先
ATMは国内の銀行、信用金庫、証券会社、電子マネー、コード決済など多数の事業者と接続しています。ATMを自社銀行だけの店舗設備ではなく、金融・決済事業者が共同利用できる社会インフラとして提供していることが事業の特徴です。[出典1・10]
事業による人間への貢献
銀行店舗が近くにない地域や、銀行窓口が閉まっている夜間・休日でも、コンビニや駅のATMが使えれば現金を引き出せます。
ATMが24時間に近い形で利用できることは、単なる利便性だけではありません。例えば災害で自宅を離れ、普段利用する銀行支店へ行けなくなった人でも、避難先の近くに利用可能なATMがあれば、食料、移動、宿泊などに必要な現金を確保できます。
セブン銀行はこの金融アクセスを全国2万8,000台超のATMで支え、2024年度には99.98%の高い稼働率を維持しています。[出典9・10]
Safety 40/50
Safetyでは、セブン銀行自身で働く人の賃金、休息、雇用の公平性、育児支援、人権、健康に加え、ATMや銀行サービスを利用する人の安全を確認しました。
平均給与、育児支援、労災指標、健康支援は高い水準です。一方、男女賃金差、月平均残業、高ストレス者率の上昇には改善余地があります。金融サービスの安全対策も具体的ですが、金融犯罪被害や重大障害の結果をサービス横断で比較できる公開情報はさらに充実させる余地があります。
賃金・利益の還元:8/10
2026年3月期の単体平均年間給与は773万4,000円で、前年から11.3%増加しています。平均年齢41.1歳、平均勤続年数7.4年です。[出典2]
国税庁の2024年分民間給与実態統計では、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は478万円です。対象範囲が異なるため単純比較はできませんが、セブン銀行の単体平均給与は金額として約295万円高い水準です。[出典5]
高い平均給与と前年からの増加は、利益を働く人へ還元している材料として評価できます。
一方、賃金中央値、全社員に共通するベースアップ率、職位別の給与分布などは十分に公表されていません。また男女賃金差が大きいため、平均給与の高さがすべての層へ同じように行き渡っているとは評価しません。
そのため8/10点です。
10/10点を検討するには、高い給与水準を維持しながら、賃金中央値やベースアップ率を継続公開し、男女・雇用形態を含め幅広い層で高い還元が確認できる必要があります。
情報ランク:S・A。[出典2・5]
労働時間・休息:8/10
公開されている2024年度の月平均残業時間は23.6時間、有給休暇取得率は81.9%です。[出典3]
有休取得率8割超は、制度が実際に利用されていることを示します。一方、月23.6時間の残業は、月13時間台まで抑えている企業と比べると改善余地があります。
採用情報では新卒社員の所定労働時間は1日7時間45分で、入社初年度から年次有給休暇20日、半日単位の取得制度などもあります。[出典4・20]
制度と有休利用は良好ですが、実際の残業時間がさらに短い水準まで下がる余地があるため8/10点です。
10/10点を検討するには、全社の月平均残業を13~15時間以下まで下げ、有休取得率90~95%以上、月60時間超の長時間労働者0%などを継続確認できる必要があります。
情報ランク:A。[出典3・4・20]
雇用の安定・待遇の公平性:3/5
単体従業員数は2024年3月期614人、2025年3月期703人、2026年3月期715人へ増加しています。現在も中途採用を行い、2028年卒の新卒採用では15人程度を予定しています。[出典2・20]
女性管理職比率は2024年3月期17.7%、2025年3月期18.7%、2026年3月期23.2%へ上昇しています。[出典2]
一方、2026年3月期の男女賃金比率は全労働者63.3%、正規雇用79.2%、パート・有期49.0%です。前年の全労働者74.0%から63.3%へ低下しました。[出典2]
女性管理職比率の改善と雇用増加は評価できますが、実際の賃金差が大きく、特に非正規雇用で差が広いため3/5点です。
4/5点を検討するには、職位・職種・勤続年数・労働時間を調整した賃金差も公開したうえで、正規雇用の男女賃金比率を90%以上へ近づけ、非正規でも差を大きく縮める必要があります。
情報ランク:S。[出典2]
福利厚生・育児・介護:5/5
2026年3月期の男性育児休業取得率は100%です。直前の2025年3月期は61.5%だったため、大きく改善しています。[出典2・3]
2024年度の育児休業取得者は30人で、復職率は100%です。育児や介護に関する休暇・短時間勤務制度も用意されています。[出典3・4]
制度が存在するだけでなく、男性を含めて実際に利用され、復職結果まで確認できるため5/5点です。
働く人にとっては、子どもが生まれたときに退職や長期の仕事中断を選ばず、休業後に職場へ戻りやすい状態につながります。
情報ランク:S・A。[出典2・3・4]
人権・ハラスメント・労使関係:4/5
セブン&アイグループの人権方針はセブン銀行グループの役員・従業員にも適用され、差別、ハラスメント、強制労働、児童労働などを対象としています。セブン銀行には社内相談窓口、コンプライアンス相談窓口、外部のグループ共通ヘルプラインなど複数の通報経路があり、匿名相談にも対応しています。[出典6]
2024年度のコンプライアンス研修受講率は100%、人権研修受講率は83.4%です。[出典3・6]
制度と通報経路、100%のコンプライアンス研修は評価できます。一方、人権研修は全員受講には届いておらず、相談内容の分類、認定件数、是正件数、再発防止の結果を年次比較できる情報にも改善余地があります。
そのため4/5点です。
5/5点を検討するには、人権研修100%を達成し、相談・認定・是正・再発防止の結果を継続公開して制度が実際に問題解決へつながったことまで確認できる必要があります。
情報ランク:A。[出典3・6]
労働安全・健康:8/10
2024年度の労働災害度数率は0%、強度率も0%です。[出典3]
2025年度のストレスチェック受検率は96.5%です。産業医や健康相談などの健康管理体制も整備されています。[出典7]
事故による休業が発生しにくい結果と、高いストレスチェック受検率は評価できます。
一方、2025年度の高ストレス者率は14.4%で、前年度13.3%から上昇しました。離職率も2023年度4.3%、2024年度6.2%、2025年度7.3%と上昇しています。[出典7]
労災指標は非常に良好ですが、メンタル面の指標には改善余地があるため8/10点です。
10/10点を検討するには、労災度数率・強度率0を継続しながら、高ストレス者率を低下させ、離職率も改善し、メンタル休職などの結果を含めて継続的に確認できる必要があります。
情報ランク:A。[出典3・7]
商品・サービスの安全:4/5
ATMでは暗証番号入力時ののぞき見対策、スキミング対策、不審物や不審取引の検知、画面上の詐欺注意喚起などを行っています。インターネットサービスでもTLSによる通信保護や24時間365日のアクセス監視を実施しています。[出典8・18]
金融サービスでは、利用者が詐欺や不正アクセスで預金を失わないことが重要です。ATMそのものが動いていても、不正取引を防げなければ安全な金融インフラとは言えません。
セキュリティ対策と監視体制は具体的ですが、金融犯罪被害件数、不正取引の阻止率、重大障害件数などをサービス横断で年次比較できる公開情報は不足しています。
そのため4/5点です。
5/5点を検討するには、不正利用・重大障害・利用者被害などの結果KPIを継続公開し、低い発生率と改善を確認できる必要があります。
情報ランク:A。[出典8・18]
従業員・元従業員の口コミ
Indeedでは、2026年4月26日時点でセブン銀行に関する3件の口コミが掲載されています。
2026年4月の金融事務職、東京都千代田区丸の内の投稿では、
「職場の雰囲気は比較的落ち着いており、業務に集中しやすい環境です。」
と書かれています。[出典19]
会社公式資料の残業、有休、健康指標とは異なり、これは特定の投稿者の職場経験です。現在の現場感を補う情報として扱いますが、1件の口コミを会社全体へ一般化して採点しません。
情報ランク:B。[出典19]
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイについて、社名と「残業」「給料」「休日」「退職」「パワハラ」「ATM」「AI」「人員削減」などを組み合わせて確認しました。
今回の公開検索では、対象法人の従業員・元従業員であることと投稿本文を確認でき、採点根拠として利用できる具体的な投稿は確認できませんでした。
そのため、SNS・匿名掲示板による加点・減点は行いません。
Safety小計:40/50点
Innovation 24/25
Innovationでは、ATMの保守、現金輸送、紙の補充、社内事務など、人が繰り返していた仕事を技術でどこまで減らしたか、その時間を人へどう返したかを評価しました。
セブン銀行は、AI現金需要予測、故障予兆検知、レシート削減、社内自動化など、実際の車両出動回数や作業時間が減った例を複数公開しています。さらに削減した時間を新規企画へ使う制度もあります。一方、全社の賃金・休日・年間労働時間へどれだけ還元したかは、まだ十分に数値化されていません。
作業負担・危険の削減:10/10
第4世代ATMでは、センサーとデータ分析を使って故障の兆候を捉え、故障後に人が現場へ急行するのではなく、故障前に部品交換や保守を行う予防保守を進めています。[出典15]
ATMごとの現金需要もAIで予測し、現金切れを防ぎながら、現金輸送のルートや回数を調整しています。[出典11・15]
紙のレシートについては、2020年度と比べ2024年度に年間約2,000万枚を削減し、レシート切れを理由とする車両出動を65%以上減らしました。[出典11]
社内業務でも、従来は月6時間かかっていた定型作業をマクロ化し、35分まで短縮した事例が公表されています。月5時間25分の削減で、年間では約65時間を別の仕事へ使える計算です。[出典13]
人が現場へ移動する回数、紙を補充する回数、定型事務に使う時間を実際に減らし、複数の定量成果を確認できるため10/10点です。
情報ランク:A。[出典11・13・15]
商品・サービスの改善:5/5
第4世代ATMは、従来の現金入出金に加えて、本人確認や各種手続きへ用途を広げています。「ATM+」や関連サービスでは、金融機関や事業会社が窓口で行っていた手続きをATMへ移す方向を進めています。[出典15]
AI現金需要予測によって現金切れを減らし、故障予兆検知で停止前に保守できれば、利用者がATMへ行ったのに使えない場面を減らせます。
また、2026年にはDX銘柄2026に選定され、ATMを社会インフラとして高度化しながら、AI・データ活用、社内の市民開発を広げる取り組みが評価されています。[出典14]
機能拡張、安定稼働、AI活用を継続して製品・サービスへ反映しているため5/5点です。
情報ランク:A・S。[出典14・15]
改善成果の人間への還元:4/5
社内では生成AI基盤「7Bank-Brain」を使い、営業前の情報収集などにかかる時間を減らしています。会社は、そこで浮いた時間を「EX10」と呼ぶ仕組みで、新しい価値創出や学習・企画へ使うことを進めています。EX10では業務時間の10%を新しい挑戦へ使えるようにしています。[出典12]
月6時間の定型作業を35分へ短縮した事例でも、担当者が同じ反復作業へ毎月6時間を使い続ける必要がなくなります。[出典13]
削減した時間を単純な人員削減だけに使わず、新しい企画や別の仕事へ振り向ける仕組みを確認できるため4/5点です。
一方、自動化・AI導入前後で全社員の年間総労働時間、休日数、賃金、配置転換人数がどのように変わったのかを一括して示す公開情報は不足しています。
5/5点を検討するには、AIや市民開発によって削減した時間が、全社の残業減少、有休増加、賃金上昇、雇用を維持した配置転換など複数の成果として継続確認できる必要があります。
情報ランク:A。[出典12・13]
研究開発・現場改善の継続:5/5
第4世代ATM、AI現金需要予測、故障予兆検知、生成AI、市民開発など、ATM現場と社内業務の両方で継続的な改善を行っています。[出典12・14・15]
社内で従業員自身が作成した業務アプリは2024年度79件から、2026年3月までに101件へ増えました。生成AI「7Bank-Brain」の月間利用率も30.1%から75%へ拡大しています。[出典12]
一部の専門部署だけでDXを進めるのではなく、現場の従業員自身が業務改善ツールを作る裾野を広げている点を評価できます。
複数年にわたり新しいATM、AI、社内開発を継続し、利用率や開発件数も伸びているため5/5点です。
情報ランク:A・S。[出典12・14・15]
自動化・AI導入後の雇用状況
ATMの予防保守、AI現金需要予測、生成AI、市民開発は、人が行っていた監視、現金計画、情報収集、定型事務を減らす取り組みです。
一方、単体従業員数は2024年3月期614人、2025年3月期703人、2026年3月期715人へ増加しています。現在も中途採用を行い、2028年卒の新卒採用では15人程度を予定しています。[出典2・20]
今回確認した公式資料、報道、求人、Indeed、X、5ちゃんねる、爆サイでは、これらの自動化・AI導入を理由とした大規模人員削減、希望退職、採用停止、契約打ち切りを示す具体的な公開情報は確認できませんでした。
ただし、AI導入部署ごとの必要人数、配置転換人数、非正規契約更新などを導入前後で比較できる情報は公表されていません。
現時点では、自動化を進めながら法人全体の従業員数と採用は増えており、雇用縮小の結果は確認されていません。一方、職種単位の変化は今後も継続確認が必要です。
Innovation小計:24/25点
Protection 24/25
Protectionでは、地震、停電、ATM故障、システム障害、サイバー攻撃などが起きても、市民が現金や金融サービスへアクセスできるかを評価しました。
セブン銀行は、東西二重化、99.98%のATM稼働率、24時間365日の監視、CSIRT、移動ATMなど、計画だけでなく実際の運用成果まで確認できます。唯一の大きな改善余地は、BCP訓練の回数や改善結果を毎年比較できる形で公開することです。
災害への備え・訓練:4/5
セブン銀行はBCPと災害対策本部の運用を整えています。大きな地震では震度6弱程度を一つの目安として災害対策本部を設置し、それより小さい地震でもATMや拠点の被害情報を収集します。システム異常が疑われる場合は、まずシステム部門が原因を切り分け、最大1時間以内を目安に関係部門が集まる運用も公表しています。[出典16]
例えば首都圏で大地震が起きた場合、ATM、通信、現金輸送、店舗設備のどこに問題があるかを早く把握し、利用可能なATMと停止しているATMを分けて対応できれば、利用者が現金を引き出せない時間を短くできます。
具体的な初動体制とBCPは確認できますが、全社的な災害訓練の年間回数、参加率、訓練で発見した課題、改善完了率を毎年比較できる公開情報は不足しています。
そのため4/5点です。
5/5点を検討するには、地震・停電・通信断・システム障害を想定した訓練回数と結果を毎年公開し、東西切替や遠隔運用を計画どおり実施できた実績まで確認できる必要があります。
情報ランク:A。[出典16]
生産・物流・調達の代替:5/5
銀行では製造原料より、システム、データセンター、現金輸送、通信などの代替経路が重要になります。
セブン銀行は重要なシステム・機能を東日本と西日本へ二重化し、両方を常時稼働させています。一方が災害などで停止しても、もう一方で事業を継続できる構成です。[出典9]
また、ATMごとの現金需要をAIで予測し、現金輸送を調整することで、特定ATMの現金切れを減らす取り組みも行っています。[出典15]
例えば東日本側の設備が大規模停電や地震で利用できなくなった場合でも、西日本側のシステムが常時動いていれば、停止した設備を一から起動するより早く金融サービスを継続できます。
東西二重化が「予備設備を持っている」だけでなく、両方を常時稼働させる運用まで具体化されているため5/5点です。
情報ランク:A。[出典9・15]
サイバー防衛・情報保護:5/5
セブン銀行は情報セキュリティ委員会と7BK-CSIRTを設け、サイバー攻撃への対応、教育・訓練、外部機関との連携を行っています。システム開発ではセキュリティ・バイ・デザイン、ゼロトラストなどを取り入れ、定期的なリスク評価も実施しています。[出典8]
インターネットサービスでは24時間365日の不正アクセス監視を行い、ATMでもスキミング、不審物、不審取引などへの対策を組み合わせています。[出典8・18]
例えばフィッシングや不正アクセスが発生した場合、利用者が被害を申告してから初めて動くのではなく、監視側で異常を検知し、CSIRTへつなげられれば被害拡大を抑えやすくなります。
専門組織、24時間監視、訓練、設計段階の安全対策まで確認できるため5/5点です。
情報ランク:A。[出典8・18]
供給継続・復旧能力:5/5
2024年度のATM稼働率は99.98%です。99.98%は、単純計算では年間の停止時間が約105分に相当する水準です。実際の停止時間はATMごと・保守時間などの定義で異なりますが、年間を通じてほぼ常時利用できる状態を維持していることを示します。[出典9]
ATMとネットワークは24時間365日リアルタイムで監視され、異常時には提携先と保守担当者を通じて現地対応します。ATMサービスには原則として毎月の定期休止時間も設けていません。[出典9・16]
東西二重化したシステムも常時稼働しているため、単一拠点の停止が全ATM停止へつながりにくい構成です。[出典9]
稼働率という結果、監視、現地復旧、東西二重化を同時に確認できるため5/5点です。
情報ランク:A。[出典9・16]
危機時の市民への対応:5/5
2026年の熊本地震では、自治体からの要請を受け、セブン銀行が避難所へ移動ATMを派遣しました。[出典17]
通常のATMが停電、通信障害、建物被害などで使えなくなった地域でも、移動ATMを避難所へ持ち込めれば、被災者が遠方の金融機関まで移動せず現金を確保できます。
同社は熊本地震への募金も実施し、第1次支援では総額4,028万5,644円、そのうちセブン銀行ATMを通じた募金が3,984万2,000円となりました。[出典17]
寄付だけではなく、自社の本業であるATMを被災地へ実際に持ち込み、市民の金融アクセスを支えた実績があるため5/5点です。
情報ランク:A。[出典17]
Protection小計:24/25点
良いニュース・最近の前向きな動き
最近のセブン銀行では、災害時にATMを実際に避難所へ届けるProtectionと、AI・現場開発によって人の作業を減らすInnovationの両方で具体的な成果が確認できます。
セブン銀行の商品・サービスが選ばれ、こうした仕組みが広がれば、平時にはATMや銀行業務を少ない反復作業で運営し、災害時には被災者が現金へアクセスできる金融インフラを維持する方向を支えられます。
2026年9月 熊本地震で避難所へ移動ATMを派遣(Protection)
セブン銀行は2026年の熊本地震で、自治体からの要請を受けて8月に避難所へ移動ATMを派遣しました。さらに9月28日には第1次の募金結果を公表し、総額4,028万5,644円を熊本県へ寄付しています。[出典17]
現金が必要でも、被災した銀行支店やATMへ行けない人にとって、ATM自体が避難所へ来れば移動距離と待ち時間を減らせます。
本業の金融インフラを災害対応へ転用した実績であり、Protectionの「危機時の市民への対応」5/5点の重要な根拠です。
2026年6月 DX銘柄2026に初選定(Innovation)
セブン銀行は2026年に「DX銘柄2026」へ初めて選定されました。ATMでのAI現金需要予測、故障予兆検知、社内の市民開発、生成AI活用などが評価されています。[出典14]
同社では社内業務アプリが79件から101件へ増え、生成AI「7Bank-Brain」の月間利用率も30.1%から75%へ伸びています。[出典12・14]
一部の専門部署だけではなく、現場の社員が自分たちの反復業務を減らすツールを作れる状態が広がれば、改善速度を上げながら、単純な転記・集計作業を減らせます。
悪いニュース・問題となった動き
最近の数値で最も大きな課題は、男女の賃金差と、メンタルヘルス・離職に関する指標の悪化です。ATM稼働や災害対応が高水準でも、そこで働く人の待遇差やストレスが改善されなければ、企業の利益と技術進歩が十分に人へ返っているとは評価できません。
このためSafetyでは、平均給与や育児支援の強みを認めつつ、男女賃金差と高ストレス者率を別に減点しています。
2026年3月期 全労働者の男女賃金比率が63.3%へ低下(Safety)
2026年3月期の男女賃金比率は、全労働者63.3%、正規雇用79.2%、パート・有期49.0%です。前年は全労働者74.0%だったため、全体の差は拡大しました。[出典2]
女性管理職比率は18.7%から23.2%へ改善しているため、女性登用が止まっているわけではありません。
しかし、最終的な賃金結果では大きな差が残っています。特にパート・有期で49.0%という差があるため、雇用形態、職種、職位、勤務時間など何が差を生んでいるのかを分解し、是正結果を示す必要があります。
2025年度 離職率7.3%、高ストレス者率14.4%へ上昇(Safety)
2025年度の離職率は7.3%で、2024年度6.2%、2023年度4.3%から上昇しています。高ストレス者率も13.3%から14.4%へ上昇しました。[出典7]
ストレスチェック受検率は96.5%と高く、健康支援制度が利用されていないわけではありません。
次に必要なのは、部署別・職種別に高ストレスや離職の原因を分析し、残業、上司との関係、業務量、キャリアなど原因に合わせて改善し、翌年度の数値を実際に下げることです。
総合評価と、これから改善してほしいこと
現在88点・シビックランクAです。次のSランクは90点からなので、あと2点必要です。
セブン銀行は、ATMの高稼働、東西二重化、サイバー防衛、災害時の移動ATMというProtectionで非常に強く、Innovationでも具体的な作業削減成果を確認できます。
Sランクへ上がる最も明確な道筋は、技術や金融インフラの強さに加えて、自社で働く人の時間と待遇をもう一段改善し、その結果を数値で示すことです。
月平均残業を減らし、有休取得率をさらに高める:労働時間・休息 8→10/10
現在の「労働時間・休息」は8/10点です。
公開されている2024年度の月平均残業は23.6時間、有給休暇取得率は81.9%です。制度として年次有給休暇20日や半日単位取得などがあっても、最終的に働く時間がどこまで減ったかが重要です。[出典3・4]
全社員について、月平均残業を13~15時間以下へ下げ、有給休暇取得率90~95%以上、月60時間超の長時間労働者0%を継続して公開する必要があります。
例えば、会議・資料作成・情報収集をAIや市民開発で削減し、削減した時間を新しい仕事へすべて置き換えるのではなく、残業そのものを減らす運用へつなげます。部署別に23.6時間を超える部門を特定し、業務削減目標を設定し、翌年度に全社平均13~15時間以下まで下がったことを確認できれば10/10点を検討できます。
現在:8/10点
改善後:10/10点
加点:+2点
総合:88→90点
ランク:A→S
参考企業は株式会社三井住友銀行です。Google Drive上の現行企業審査では、有給休暇取得率95.5%、平均取得日数19.1日、月平均法定外労働13.3時間、月60時間超の法定外労働者比率0%を公開しており、「労働時間・休息」10/10点です。[参考企業出典21]
セブン銀行が同程度の休息結果を出せれば、技術による生産性向上を社員の自由時間へ直接返したと評価できます。
男女賃金差を縮める:雇用の安定・待遇の公平性 3→4/5
現在の「雇用の安定・待遇の公平性」は3/5点です。
正規雇用の男女賃金比率は79.2%、全労働者63.3%、パート・有期49.0%です。女性管理職比率は23.2%まで上昇しています。[出典2]
まず、職位、職種、勤続年数、労働時間を調整した男女賃金差を公開し、どの要因が差を生んでいるのかを明確にする必要があります。
そのうえで、正規雇用の男女賃金比率を90%以上、女性管理職比率を30%以上へ近づけ、パート・有期でも男女比率を大幅に改善した結果を示せれば4/5点を検討できます。
現在:3/5点
改善後:4/5点
加点:+1点
総合:88→89点
ランク:Aのまま
参考企業は株式会社ミツウロコグループホールディングスです。Google Drive上の現行企業審査では、女性管理職比率47.4%、正規雇用の男女賃金比率91.5%を確認し、「雇用の安定・待遇の公平性」4/5点と評価しています。[参考企業出典22]
セブン銀行でも、女性の管理職登用を進めるだけでなく、実際の賃金結果を90%以上へ近づけることが重要です。
BCP訓練を回数と改善結果まで公開する:災害への備え・訓練 4→5/5
現在の「災害への備え・訓練」は4/5点です。
災害対策本部の設置基準、地震時の情報収集、システム異常時の初動、東西二重化は具体的です。一方、年間のBCP訓練回数、参加率、訓練で見つかった問題、改善完了率を比較できる公開情報は不足しています。[出典9・16]
地震、停電、通信断、東日本側システム停止などを想定し、年2回以上の全社または主要機能の実地訓練を行い、東西切替の成功、ATM監視の継続、現金輸送の代替、顧客連絡まで確認する必要があります。
その結果として、訓練回数、参加率、切替所要時間、発見課題、改善完了率を毎年公開し、重大な未解決課題が残らない状態を継続できれば5/5点を検討できます。
現在:4/5点
改善後:5/5点
加点:+1点
総合:88→89点
ランク:Aのまま
参考企業は株式会社セブン&アイ・ホールディングスです。Google Drive上の現行企業審査では、BCPの読み合わせ、災害模擬演習、防災カード、eラーニングを行い、2024年度に訓練・演習9回、防災関連会議9回を実施しており、「災害への備え・訓練」5/5点です。[参考企業出典23]
セブン銀行にはすでに強いインフラがあります。次は、そのインフラが想定どおり切り替わることを訓練結果として公開できるかが満点条件になります。
次のランクへ上がるための具体例
現在88点・シビックランクAです。Sランクは90点からなので、あと2点必要です。
最も直接的な方法は、公開されている月平均残業23.6時間を13~15時間以下へ減らし、有給休暇取得率81.9%を90~95%以上へ引き上げ、月60時間超の長時間労働者0%を継続することです。AIや市民開発で削減した時間を新しい業務だけに使うのではなく、実際の残業削減と休暇取得へ返し、その結果を全社データとして公開します。三井住友銀行では有休95.5%、月平均法定外労働13.3時間、60時間超比率0%を確認でき、「労働時間・休息」10/10点です。同程度まで改善できれば、セブン銀行は「労働時間・休息」8→10点で+2点となり、
現在88点
+ 労働時間・休息 2点
=90点
となってシビックランクSへ上がります。
もう一つの方法は、男女賃金差とBCP訓練を同時に改善することです。正規雇用の男女賃金比率79.2%を90%以上へ近づけ、女性管理職比率を30%以上へ高め、職位・職種調整後の賃金差まで公開します。これに加えて、地震・停電・東西システム切替を含むBCP訓練を年2回以上実施し、切替所要時間、発見課題、改善完了率を公開します。ミツウロコグループホールディングスの正規雇用男女賃金比91.5%、セブン&アイ・ホールディングスの年間9回の訓練・演習が具体的な比較材料になります。
この2つを実現すれば、
現在88点
+ 雇用の安定・待遇の公平性 1点
+ 災害への備え・訓練 1点
=90点
となり、こちらの方法でもSランクへ到達します。
つまり、セブン銀行が次のランクへ上がるためには、「AI・DXで減らした時間を社員の残業削減と休暇へ返す」か、「男女賃金差を実際に縮め、BCP訓練の成果まで公開する」ことが具体的な道筋です。ATMインフラと災害対応はすでに高水準なので、次の焦点は働く人への還元と、強いBCPを数値で証明することです。
現時点の総合評価は88点/100点、シビックランクAです。
出典一覧
1.株式会社セブン銀行「会社概要」【情報ランクA】
2.株式会社セブン銀行「2026年3月期 有価証券報告書」【情報ランクS】
3.株式会社セブン銀行「サステナビリティ/社会データ」【情報ランクA】
4.株式会社セブン銀行「採用情報・働く環境/制度」【情報ランクA】
5.国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」【情報ランクS】
6.株式会社セブン銀行「コンプライアンス・人権・相談窓口」【情報ランクA】
7.株式会社セブン銀行「健康経営・健康指標」【情報ランクA】
8.株式会社セブン銀行「リスク管理・サイバーセキュリティ」【情報ランクA】
9.株式会社セブン銀行「止まらないATM・事業継続/重要課題」【情報ランクA】
10.株式会社セブン銀行「ATM・口座等 主要サービスデータ」【情報ランクA】
11.株式会社セブン銀行「環境データ・レシート削減/車両出動削減」【情報ランクA】
12.株式会社セブン銀行「7Bank-Brain・EX10・市民開発」【情報ランクA】
13.株式会社セブン銀行公式note「社内業務改善事例」【情報ランクA】
14.株式会社セブン銀行「DX銘柄2026選定」【情報ランクA・S】
15.株式会社セブン銀行「第4世代ATM・AI現金需要予測・予防保守」【情報ランクA】
16.株式会社セブン銀行「『止まらない金融インフラ』を支えるBCP・ATM運用」【情報ランクA】
17.株式会社セブン銀行「2026年熊本地震への支援・移動ATM派遣」【情報ランクA】
18.株式会社セブン銀行「ATM・インターネットバンキングのセキュリティ」【情報ランクA】
19.Indeed「株式会社セブン銀行 従業員口コミ」【情報ランクB】
20.株式会社セブン銀行「新卒・キャリア採用情報」【情報ランクA】
21.Google Drive「株式会社三井住友銀行を企業審査」現行版【参考企業】
22.Google Drive「株式会社ミツウロコグループホールディングスを企業審査」現行版【参考企業】
23.Google Drive「株式会社セブン&アイ・ホールディングスを企業審査」現行版【参考企業】
シビックランクの基準
| ランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、氏名・役職・立場を確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
