私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査する株式会社ライフドリンク カンパニーは、総合67点、シビックランクCです。
株式会社ライフドリンク カンパニーの特に強い点は、4年連続のベースアップと年間休日120日への引き上げを進めながら、飲料製造の自動化・省力化も拡大していることです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、生産性向上の成果が働く人の賃金と休息に返りやすい社会につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として工場によって月20~30時間、繁忙期40時間超の残業が明記されていることに加え、労災・事故件数やBCPの復旧時間を外部から比較できる定量情報が不足していることが残ります。
この記事では、株式会社ライフドリンク カンパニーの強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
株式会社ライフドリンク カンパニーの企業審査結果
ライフドリンク カンパニーは、ミネラルウォーター、茶系飲料、炭酸飲料、茶葉製品を製造・販売する飲料メーカーです。今回の審査では、2026年度まで4年連続でベースアップを行い、2026年度は月1万5,000円の引き上げを公表していること、年間休日を105日から115日、120日へ増やしたこと、充填・キャップ締めを完全自動化し、画像検査を導入していることを高く評価しました。全国に複数の自社工場と委託工場を持ち、足利市とは災害時の飲料供給協定も結んでいます。[出典1~12]
一方、知覧工場の現行求人では残業が月平均20~30時間、繁忙期は40時間を超える場合があると明記されています。12時間の交替勤務を採用する工場もあり、会社単体の労災件数、休業災害度数率、工場別残業、主要拠点停止時の復旧時間などの公開情報は不足しています。[出典6・7]
| 評価軸 | 点数 |
|---|---|
| Safety | 30/50 |
| Innovation | 20/25 |
| Protection | 17/25 |
| 総合点 | 67/100 |
| シビックランク | C |
評価時点:2026年10月8日
主な強み
・4年連続のベースアップを実施し、2026年度は月1万5,000円のベースアップ
・年間休日を105日から115日、120日へ段階的に増加
・男性育児休業取得率90.0%、女性管理職比率19.7%
・提出会社の従業員数が2022年3月期398人から2026年3月期593人へ増加
・充填・キャップ締めを無菌環境で完全自動化
・完成品を画像検査機で検査
・フォークリフトや自動設備を使い、重量物の手作業を減らす求人設計
・全国各地に複数の自社工場と委託工場を確保
・足利市と災害時のミネラルウォーター等の供給協定を締結
・東日本大震災時に被災地向けの水を生産・供給した経験を公式採用サイトで紹介
・全社情報セキュリティ方針、従業者教育、監査、インシデント対応手順を公表
主な課題
・知覧工場では月平均20~30時間、繁忙期40時間超の残業が明記
・12時間の交替勤務を採用する工場があり、夜勤を含む長時間勤務の負担が大きい
・会社単体の平均残業時間、工場別残業、有給取得率の継続的な全社開示が不足
・死亡労災、休業労災、度数率、設備事故、熱中症などの安全KPIが公開されていない
・自動化によって作業時間、必要人数、腰痛・労災、残業が何%減ったかという定量成果が不足
・男女賃金差は全労働者83.7%、正規88.2%、パート・有期68.5%で、特に非正規の差が大きい
・ハラスメント相談、内部通報、是正件数の公開情報が不足
・天然水について、工場別のPFOS・PFOA検査値などを比較できる公開情報が不足
・主要工場停止時の代替切替時間、RTO・RPO、BCP訓練結果が公開されていない
・ISO/IEC 27001認証はECチームで確認できるが、製造・全社システム全体を対象にした第三者認証範囲は限定的
事業内容と人間への貢献
株式会社ライフドリンク カンパニーは1972年3月28日設立で、大阪市に本社を置く飲料メーカーです。ミネラルウォーター、茶系飲料、炭酸飲料、茶葉製品などを製造・販売しています。2026年3月期の連結売上高は526億5,100万円、営業利益は53億2,600万円でした。[出典1・3]
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社ライフドリンク カンパニー |
| 英文名 | LIFEDRINK COMPANY, INC. |
| 設立 | 1972年3月28日 |
| 本社 | 大阪府大阪市北区梅田1丁目13番1号 |
| 代表者 | 代表取締役社長 岡野邦昭 |
| 資本金 | 1,138,671,711円 |
| 事業内容 | ミネラルウォーター、茶系飲料、炭酸飲料、茶葉製品等の製造・販売 |
| 提出会社従業員数 | 593人、臨時雇用者年間平均114人、2026年3月31日 |
| 連結売上高 | 526億5,100万円、2026年3月期 |
| 主な自社製造拠点 | 岩手、蔵王、栃木、富士、御殿場、尾鷲、湯浅、美山、耳納、知覧 |
公式会社概要では2026年3月31日現在の従業員数を698名と掲載しています。一方、有価証券報告書では提出会社の就業人員を593名、臨時雇用者の年間平均を114名としています。定義が異なるため、本審査では労務指標との整合性を取りやすい有価証券報告書の593名を単体従業員数として扱います。[出典1・2]
主な事業内容
同社は地下水をくみ上げてろ過したミネラルウォーター、緑茶・烏龍茶などの茶系飲料、炭酸飲料、茶葉製品を製造し、小売店やECなどを通じて消費者へ届けています。
製造工程では、樹脂からペットボトルを成型し、茶系飲料では専用設備で抽出した後、無菌環境の完全自動設備で充填・キャップ締めを行います。完成品は画像検査機で確認します。[出典5]
主な利用企業・取引先
同社は自社ブランドの飲料販売に加え、プライベートブランドや受託製造を含む大量生産を行っています。スーパー、ドラッグストアなど日常的な小売チャネルで商品が販売され、自社ECでも一般消費者へ直接販売しています。
主要取引先ごとの売上構成は、対象法人単体で継続比較できる十分な公開情報がないため、特定顧客への依存度では加点せず、飲料を必要な量・品質で届ける事業そのものを評価します。
事業による人間への貢献
水やお茶は、日常生活で繰り返し必要になる商品です。特に飲料水は、災害で水道が止まった場合には生命維持に直結します。
ライフドリンク カンパニーは全国に製造拠点を持ち、ペットボトル成型から充填、検査までを大量生産できる体制を構築しています。これにより、消費者が自宅で水を処理・運搬する負担を減らし、小売店で安全に保管できる飲料を入手しやすくしています。天然水は、同社説明ではウイルス除去も可能な特殊フィルターでろ過しています。[出典4・8]
2011年の東日本大震災について、同社採用サイトでは富士工場の従業員が、被災地へ届ける水を生産・供給した経験を語っています。平時の飲料供給能力が、災害時には生活用水を失った地域を支える能力へ変わることが分かる事例です。[出典13]
Safety|30/50
Safetyでは、工場で働く人の賃金・休息・雇用・労働安全と、消費者が飲料を安全に飲めるかを評価します。4年連続のベースアップ、年間休日120日への増加、男性育休90.0%、自動設備による重量作業削減は強みです。一方、工場によっては残業が月20~30時間、繁忙期40時間超とされ、事故・労災KPIやハラスメント相談実績の外部開示が不足しています。
賃金・利益の還元|8/10
御殿場工場の2026年採用ページでは「4年連続ベースアップ」を掲げ、2026年度は月1万5,000円のベースアップを実施したと公表しています。月1万5,000円は12か月で18万円の固定給増に相当し、賞与計算が基本給連動であれば、その効果はさらに広がる可能性があります。会社自身もこれを「従業員への利益還元」と説明しています。[出典6]
有価証券報告書では、提出会社の平均年間給与は509万3,803円で、前年度から3.0%上昇しています。賞与、確定拠出年金の掛金、基準外賃金を含む平均です。[出典2]
ベースアップを4年継続し、平均年間給与も上昇しているため8/10点です。一方、職種・工場・雇用形態別の賃金中央値、ベースアップ対象率、利益のうち人件費へ何%返したかは公開情報が不足しています。こうした情報を公開し、正社員だけでなく非正規を含む広い層で高い賃金上昇が複数年確認できれば10/10点を検討できます。
労働時間・休息|4/10
同社は年間休日を105日から115日、さらに120日へ段階的に増やしています。現行の多くの工場求人でも年間休日120日が確認できます。休みを15日増やしたことは、年間で約2週間分の自由時間を追加したことになり、通院、育児、家族との時間、身体の回復に直接つながります。[出典6・7]
一方、御殿場工場などでは8時~20時、20時~翌8時の12時間交替勤務があり、12時間勤務時は休憩120分です。知覧工場では日勤中心ですが、残業は月平均20~30時間、繁忙期には40時間を超えることがあると公式求人に明記されています。残業代は1分単位で別途全額支給されます。[出典6・7]
年間休日の改善は大きいものの、工場別の実残業時間、月45時間超の人数、深夜勤務の連続回数、全社有給取得率を毎年比較できる公開情報が不足しているため4/10点です。全社・工場別で月平均残業20時間以下、年間休日120日以上、有給取得率80%以上を継続し、夜勤者の十分な休息時間まで公開できれば6/10点以上を検討できます。
雇用の安定・待遇の公平性|4/5
有価証券報告書の提出会社従業員数は、2022年3月期398人、2023年414人、2024年489人、2025年547人、2026年593人と増加しています。4年間で195人、約49%増えています。自動化・省力化を進める一方で、企業全体の雇用人数は増加しています。2026年秋の御殿場工場第2ライン稼働に向けても20名以上の正社員採用を進めています。[出典2・6]
公平性では、女性管理職比率19.7%、男女賃金比率は全労働者83.7%、正規雇用88.2%、パート・有期68.5%です。会社は男性管理職比率の高さが賃金差の一因と説明し、女性社員育成や中途採用強化を進めています。[出典2]
雇用拡大と女性管理職比率の上昇を評価して4/5点です。一方、非正規の男女賃金比率68.5%は差が大きく、雇用形態別の離職率、登用率、職種・等級をそろえた賃金差も公開されていません。職務・等級をそろえた賃金差が小さく、非正規を含む格差縮小が継続して確認できれば5/5点を検討できます。
福利厚生・育児・介護|4/5
2026年3月期の男性育児休業取得率は90.0%です。採用情報では企業型確定拠出年金、健康診断、インフルエンザ予防接種、育児・介護休業、寮・社宅、資格取得支援などを確認できます。2026年度には次世代育成手当も新設しています。[出典2・6]
男性育休が90%まで上がっていることは、育児を女性だけへ集中させず、男性も家庭に時間を使える職場へ近づいている具体的な成果です。
そのため4/5点です。女性の育休取得率、男女の復職率、育休取得日数、介護休業利用率まで継続公開し、男女とも長期取得・高い復職実績を確認できれば5/5点を検討できます。
人権・ハラスメント・労使関係|2/5
有価証券報告書では、グループに労働組合は結成されていない一方、労使関係は円満に推移していると会社が説明しています。[出典2]
一方、対象法人単体のハラスメント相談件数、内部通報件数、是正件数、相談者への救済結果、工場別の従業員代表との協議内容について公開情報が不足しています。働く人が問題を訴えた際に、実際に救済が機能しているかを外部から確認しにくい状態です。
そのため2/5点です。匿名相談・外部窓口を含む制度の対象範囲と、相談・調査・是正件数を毎年公開し、重大な人権問題がなく救済が継続的に機能していることを確認できれば3/5点以上を検討できます。
労働安全・健康|4/10
製造工程では充填・キャップ締めが完全自動化され、画像検査機も使われています。現行求人ではフォークリフトを中心に搬送し、手積み・手降ろしを基本的に行わない職種もあります。重量物を人が繰り返し持つ工程を機械へ移すことは、腰・肩の障害や接触事故につながる作業を減らす方向です。[出典5・6]
一方、対象法人単体の死亡労災、休業労災、度数率、設備巻き込まれ事故、フォークリフト事故、熱中症件数を年度別に比較できる公開情報がありません。公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。
また12時間交替勤務や繁忙期40時間超の残業がある工場では、睡眠不足や疲労の管理も重要です。制度・設備は確認できますが、安全の結果を数値で検証できないため4/10点です。死亡・重大災害0、休業災害度数率、設備事故、熱中症を工場別に公開し、低い事故率を複数年継続できれば6/10点、業界水準より明確に低いことまで確認できれば8/10点を検討できます。
商品・サービスの安全|4/5
会社公式の製造工程では、無菌環境の完全自動設備で充填・キャップ締めを行い、完成品を画像検査機で検査しています。天然水は、ウイルス除去も可能な特殊フィルターでろ過すると説明しています。有価証券報告書では、グループが品質本部を中心にFSSC22000の維持へ取り組んでいます。[出典5・8・9]
無菌充填と画像検査は、異物や容器不良などを人の目だけに頼らず検知する仕組みです。水を乳幼児を含む幅広い人が日常的に飲むため、製造時の衛生管理は直接的な人間への利益になります。
そのため4/5点です。一方、対象会社の各工場について、PFOS・PFOAの検査値、異物・漏れ・表示不良の発生率、回収件数などを年度別に比較できる公開情報は不足しています。工場別検査結果と品質事故KPIを公開し、重大品質事故0を複数年確認できれば5/5点を検討できます。
従業員・元従業員の口コミ
Indeedでは26件の口コミを基に総合2.9/5、勤務時間と残業2.2、給与と福利厚生2.7、定着率と昇進2.5と表示されています。口コミは情報ランクBであり、工場や職種によって実態が異なることを前提に扱います。[出典14]
2026年3月、山梨県南都留郡の倉庫・出荷・機械メンテナンス等の投稿には「仕事の出来る人は多忙」とあります。仕事が一部の人へ集中しているという個別経験です。[出典14]
一方、2025年10月の岩手県の投稿には「基本的に工場長やマネージャーも話しやすい」とあり、教育や相談のしやすさを肯定する経験も確認できます。[出典14]
公式求人で労働条件が改善されている一方、口コミには工場・担当者による差も見えるため、全社平均だけでなく拠点別の残業、離職、安全KPIを公開することが重要です。
SNS・匿名掲示板の確認結果
Xなどの一般SNS、5ちゃんねる、爆サイについて、現社名と旧社名「あさみや」、工場名、残業、給料、退職、事故、パワハラなどを分けて確認しました。
対象法人の現従業員・元従業員であること、投稿時期、工場・職種まで本文から確認でき、今回の採点根拠として利用できる投稿は得られませんでした。SNS・匿名掲示板で有用情報が見つからないことを、問題がないことの証明には使いません。
Innovation|20/25
Innovationでは、ボトル成型、無菌充填、キャップ締め、画像検査、フォークリフト搬送など、人が反復して担う製造・検品・重量物作業を設備へ移している点を高く評価します。さらに、自動化を進める中でも4年連続ベースアップ、年間休日増加、従業員数増加が確認できます。一方、自動化前後で作業時間・必要人数・事故・残業が何%減ったかという定量効果は十分公開されていません。
作業負担・危険の削減|8/10
充填とキャップ締めは無菌環境で完全自動化され、完成品は画像検査機で確認されます。フォークリフト求人では搬送の大部分をフォークリフトで行い、手積み・手降ろしを基本的に行わない職場もあります。御殿場工場の現在の求人でも、重量物を持つ重労働がないことを訴求しています。[出典5・6]
人が何千本もの容器へ繰り返し充填したり、完成品ケースを手で運んだりする作業を設備へ移せば、反復動作、重量物、衛生環境への立入りを減らせます。
一方、自動化導入前後で必要作業人数が何人減ったのか、腰痛・労災が何件減ったのか、残業が何時間減ったのかという定量結果は公開情報が不足しています。そのため8/10点です。複数工場で作業時間・重筋作業・労災・残業が20%以上減るなど、導入前後の成果を定量公開できれば10/10点を検討できます。
商品・サービスの改善|4/5
同社はペットボトル成型から充填・検査まで一体で行い、水、茶、炭酸飲料を全国の複数工場で製造しています。2024年に御殿場工場を稼働させ、2026年秋には第2ラインの本格稼働を予定し、供給能力を増強しています。[出典4・6]
製造拠点を増やし、同一企業内で複数の飲料カテゴリーを扱えるほど、小売側は需要増や地域差に合わせた調達先を確保しやすくなります。
一方、新ライン導入によって欠品率、配送距離、製造リードタイム、品質不良率がどれだけ改善したかを横断比較できる公開KPIは不足しています。そのため4/5点です。複数工場で品質・納期・欠品・物流距離の改善実績を継続公開できれば5/5点を検討できます。
改善成果の人間への還元|4/5
2026年度まで4年連続でベースアップを行い、2026年度は月1万5,000円を引き上げています。年間休日も105日から115日、120日へ増え、次世代育成手当、交替番手当の拡充、企業型確定拠出年金の導入も公表しています。会社はこれらを「従業員への利益還元」と位置付けています。[出典6]
自動化企業では、人手が少なくて済むようになった結果だけが企業利益へ残る場合があります。同社では、少なくとも会社全体の成長と並行して賃金・休日を改善していることが確認できます。
そのため4/5点です。ただし、自動化によって削減した工数・コストとベースアップや休日増加を直接結びつける定量資料は公表されていません。工場ごとに「自動化で何時間・何円削減し、そのうち何%を賃金・休日・安全設備へ返したか」を公開できれば5/5点を検討できます。
研究開発・現場改善の継続|4/5
御殿場工場は2026年秋の第2ライン稼働へ向け20名以上を採用しており、岩手工場の口コミでも増産計画に合わせ新設備へ更新する動きが確認できます。ペットボトル成型から無菌充填、画像検査まで設備化し、複数拠点で増産投資を続けています。[出典6・14]
継続的な設備投資と現場改善が確認できるため4/5点です。一方、対象会社の研究開発費、改善提案件数、設備導入前後の人間側の成果を毎年比較できる情報は不足しています。これらを定量開示できれば5/5点を検討できます。
自動化・AI導入後の雇用状況
同社では、充填・キャップ締め、検査、搬送などで自動化・省力化が進んでいます。このため、自動化後に雇用が縮小していないかも確認しました。
提出会社の従業員数は2022年3月期398人から2026年3月期593人へ増えています。2026年秋の御殿場工場第2ライン稼働に向けても20名以上を正社員で募集しています。少なくとも会社全体の拡張局面では、自動設備の増加と人の採用が同時に進んでいます。[出典2・6]
ただし、この人数増加には新工場・増産・事業拡大の影響も含まれるため、「自動化によって雇用が増えた」とは判断しません。また、自動化前後の工程別人数、配置転換人数、契約更新、採用抑制、退職者数を同じ基準で追った時系列データは公開情報が不足しています。
今後は、機械が代替した作業と、そこで働いていた人が保全・品質・改善業務へ移ったのか、採用人数・退職人数がどう変化したかまで公開すると、自動化が人を切るためではなく、人の役割を変えるために使われているかを評価しやすくなります。
Protection|17/25
Protectionでは、地震や豪雨で工場・道路・通信が止まった際にも飲料を供給できるかを確認します。全国に自社工場と委託工場を持ち、足利市とは災害時の飲料供給量・方法・連絡体制まで決めた協定があり、東日本大震災時の供給経験もあります。一方、拠点停止からの切替時間、システム復旧時間、訓練結果は十分公開されていません。
災害への備え・訓練|3/5
2024年7月31日、同社は栃木県足利市と災害時の飲料供給協定を締結しました。足利市からの要請に基づき、ミネラルウォーター等を供給し、必要な水の供給量、供給方法、連絡体制を事前に取り決めています。[出典12]
例えば地震で水道が止まり、避難所の飲料水が不足した場合、市は災害発生後に一から販売先を探すのではなく、決められた連絡経路で同社へ供給を要請できます。これは住民が水を受け取るまでの調整時間を短くする仕組みです。
そのため3/5点です。一方、協定に基づく実地訓練の頻度、何時間で何本を準備できたか、複数拠点停止を想定した訓練結果は公開情報が不足しています。定期訓練と達成時間を公表できれば4/5点、実災害でも計画どおり供給できた実績が複数確認できれば5/5点を検討できます。
生産・物流・調達の代替|4/5
対象会社は岩手、山形、栃木、山梨、静岡、三重、和歌山、京都、福岡、鹿児島に自社工場を持ちます。また有価証券報告書では、グループ内工場の長期停止を防ぐ定期点検を実施し、不測の事態に備えて全国各地に複数のグループ外委託工場を確保していると説明しています。[出典4・9]
一つの工場が地震や設備故障で止まっても、製品仕様と生産能力が合えば別工場・委託工場へ振り替えられる余地があります。単一拠点しかない会社より、飲料供給を維持しやすい構造です。
そのため4/5点です。一方、主要商品ごとにどの工場へ代替できるか、切替に何日かかるか、代替時の最大生産数量について公開情報が不足しています。実際の切替訓練・障害時実績を定量公開できれば5/5点を検討できます。
サイバー防衛・情報保護|3/5
全社の情報セキュリティ方針では、定期的なリスク評価、担当役員を中心とした管理体制、全従業者への教育・訓練、定期監査、インシデント対応手順、業務中断時の事業継続管理を公表しています。[出典10]
またECチームは2023年にISO/IEC 27001:2013の認証を取得し、ECサイト運営とカスタマーサポートが認証範囲となっています。[出典11]
そのため3/5点です。第三者認証まで確認できる一方、認証範囲はECチームであり、工場の制御システムや全社ITまで同じ認証範囲とは確認できません。MFA、EDR、SOC、OTネットワーク分離、オフラインバックアップ、ランサムウェア訓練などの具体的実装と結果を公開し、全社範囲の第三者確認まであれば4~5/5点を検討できます。
供給継続・復旧能力|4/5
全国の自社工場と複数委託工場、定期的な設備点検は、設備故障や一地域の災害が全供給を止めるリスクを下げます。2011年の東日本大震災時には、公式採用サイトの従業員証言として、被災地へ届ける水を生産・供給した経験が示されています。[出典9・13]
実際の危機下で水の生産を続けた経験があるため4/5点です。一方、現在の各工場・ITシステムのRTO、RPO、代替工場への切替時間、復旧訓練の達成率は公開情報がありません。公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。現在の仕組みで目標時間内に復旧・切替できることを訓練や実障害で継続確認できれば5/5点を検討できます。
危機時の市民への対応|3/5
足利市との協定では、災害時に市の要請に応じてミネラルウォーター等を供給する仕組みが具体化されています。さらに、公式採用サイトには東日本大震災時に被災地へ届ける水を生産した従業員の経験が掲載されています。[出典12・13]
例えば豪雨で断水し、住民がスーパーで水を買えなくなった場合、自治体を通じた供給経路があれば、避難所等へ必要な飲料をまとめて送ることができます。
そのため3/5点です。現在の協定に基づく実供給件数、供給本数、到着時間を公開し、複数自治体で継続的な災害支援実績を確認できれば4~5/5点を検討できます。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の前向きな動きでは、事業成長を工場増設だけで終わらせず、賃上げ・休日増加・採用へつなげている点と、災害時の水供給を制度化している点を評価します。こうした企業の商品が選ばれれば、製造現場の利益還元と、災害時にも飲料が届く仕組みを同時に支える方向につながります。
2026年度 4年連続ベースアップ、月1万5,000円増と年間休日120日へ(Safety)
同社は2026年度まで4年連続でベースアップを行い、2026年度は月1万5,000円の引き上げを公表しています。さらに年間休日を105日から115日、120日へ増やし、次世代育成手当も新設しました。[出典6]
月1万5,000円のベースアップは単純計算で年間18万円の固定給増です。年間休日は105日から120日へ15日増えており、給与と自由時間の両方を改善しています。
同社の商品が売れ、増益が続く中でこの方針が継続すれば、「企業が成長すると働く人の給料と休息も増える」という関係を強められます。今後は全工場・全雇用形態でどこまで同じ改善が届いているかの公開が重要です。
2026年秋 御殿場工場第2ライン稼働へ20名以上を正社員採用(Innovation・Safety)
御殿場工場では2026年秋の第2ライン本格稼働へ向け、20名以上の正社員を募集しています。求人では重量物を持つ重労働を抑えた設備環境も訴求しています。[出典6]
製造自動化を進めても、新ラインの稼働に合わせて人を採用していることは、自動化が直ちに雇用縮小へつながっているわけではないことを示す材料です。設備が反復・重量作業を担い、人が保全、品質管理、改善へ移る形が広がれば、身体負担を減らしながら雇用を増やす方向へつながります。
2024年7月 足利市と災害時の飲料供給量・方法・連絡体制を事前合意(Protection)
同社は足利市と、災害時に市の要請を受けてミネラルウォーター等を供給する協定を締結しました。供給量、供給方法、連絡体制まで具体的に取り決めています。[出典12]
例えば大地震で水道が止まり、避難所に水が必要になった場合、自治体が供給先を一から探す時間を減らせます。飲料メーカーの生産能力を住民の生命維持へ直接接続する仕組みとしてProtectionで評価できます。
悪いニュース・問題となった動き
現在の問題は、重大な行政処分よりも、工場による労働負担の差と、安全成果の見えにくさです。賃上げや休日増加が進んでも、残業が長い拠点や仕事が集中する現場が残れば、Safetyの改善が全員へ届きません。
2026年 知覧工場で月20~30時間、繁忙期40時間超の残業を明記(Safety)
知覧工場の現行求人では、残業は月平均20~30時間、繁忙期には40時間を超えることがあると明記されています。残業代は1分単位で別途全額支給されます。[出典7]
40時間は週平均に直すと約9時間の時間外勤務に相当します。年間休日120日へ改善しても、繁忙期に長時間労働が集中すれば、睡眠、家族時間、疲労回復が削られます。
会社の商品を選ぶことが「休める製造業」を支える関係になるためには、全工場で残業を20時間以下へ下げるなど、休日増加と実労働時間削減を同時に進める必要があります。
2026年3月 現場口コミで仕事の集中を指摘(Safety)
Indeedの山梨県南都留郡の倉庫・出荷・機械メンテナンス等の口コミには「仕事の出来る人は多忙」とあります。情報ランクBであり、単一投稿を会社全体の事実とは扱いません。[出典14]
一方、Indeed全体でも勤務時間と残業の評価は2.2/5です。公式には休日増加やベースアップが進んでいるため、今後は人による仕事量の偏り、工場別残業、離職率を数字で公開し、制度改善が現場へ届いているかを確認できる状態にすることが重要です。
総合評価と、これから改善してほしいこと
株式会社ライフドリンク カンパニーは現在67点・シビックランクCです。次のBランクは70点からなので、あと3点必要です。4年連続ベースアップ、年間休日120日への改善、製造自動化、全国生産網、災害時の飲料供給協定は明確な強みです。一方、残業の拠点差と労災結果、BCPの復旧時間を定量化すれば、働く人と利用者の双方がより安心して同社を選べるようになります。
全工場で残業を月20時間以下へ下げ、休息の実績を公開する(Safety)
現在の弱点は、年間休日120日へ改善した一方、知覧工場で月20~30時間、繁忙期40時間超の残業が明記され、12時間交替勤務の工場もあることです。「労働時間・休息」は現在4/10点です。
改善してほしいのは、工場別・職種別の平均残業、月45時間超人数、有給取得率、深夜勤務回数を毎年公開し、全工場で月平均残業20時間以下、年間休日120日以上、有給取得率80%以上を継続することです。
この条件を満たせば4/10点から6/10点へ、+2点を検討できます。単独では総合67点から69点となりCのままです。
参考企業は株式会社セルートです。Google Drive上の最新版審査では、社員平均残業18.5時間、年間休日120日を確認し、「労働時間・休息」8/10点、総合61点・Cと評価しています。業種は異なりますが、年間休日だけでなく実残業を会社公式で公開している点が参考になります。
労災・設備事故を工場別に公開し、重大事故0を継続する(Safety)
現在の「労働安全・健康」は4/10点です。自動化、画像検査、フォークリフト搬送で危険作業を減らしている一方、死亡労災、休業災害、度数率、設備事故、熱中症を外部から継続比較できません。
改善してほしいのは、各工場について死亡・重大・休業労災、度数率、設備巻き込まれ、フォークリフト事故、熱中症、ヒヤリハットを年次公開し、重大事故0と事故率低下を複数年継続することです。自動化前後の事故率も示せば、設備投資が人を本当に守ったかを判断できます。
この条件を満たせば4/10点から6/10点へ、+2点を検討できます。単独では総合69点です。
参考企業はキリンビバレッジ株式会社です。Google Drive上の最新版審査では、労働災害死亡0、休業災害度数率0.58、重量物自動化を確認し、「労働安全衛生」8/10点、総合74点・Bと評価しています。飲料メーカー同士で比較できる参考例です。
主要工場・ITの復旧時間を実測し、代替切替を訓練する(Protection)
現在は「生産・物流・調達の代替」4/5点、「供給継続・復旧能力」4/5点です。全国の工場と委託工場を持つため構造上の代替性は高い一方、主要商品を別工場へ何時間・何日で切り替えられるかという結果情報が不足しています。
改善してほしいのは、主要工場停止、停電、通信障害、基幹システム停止を想定した年1回以上の切替訓練を行い、製品別の代替工場、最大供給量、RTO、RPO、実際の復旧時間を公開することです。主要製品で目標内切替を複数回確認できれば、「供給継続・復旧能力」を4/5点から5/5点へ、+1点を検討できます。総合は68点です。
参考企業はキリングループロジスティクス株式会社です。Google Drive上の最新版審査では、トラック・鉄道・内航海運を平時から併用し、鉄道障害時のバックアップ輸送協定を持つことで「生産・物流・調達の代替性」5/5点、「事業継続・復旧」4/5点、Protection 18/25点、総合65点・Cと評価しています。代替手段を「持っている」状態から、切替条件まで具体化している点が参考になります。
次のランクへ上がるための具体例
現在は67点・Cで、Bは70点からです。
・全工場の平均残業を月20時間以下にし、年間休日120日以上、有給取得率80%以上を継続して工場別に公開する。「労働時間・休息」4→6点、+2点。参考:株式会社セルートは平均残業18.5時間、年間休日120日を公表し同項目8/10点。
・工場別の死亡・重大・休業労災、度数率、設備事故、熱中症を毎年公開し、重大事故0と事故率低下を複数年継続する。「労働安全・健康」4→6点、+2点。参考:キリンビバレッジ株式会社は死亡0、休業災害度数率0.58等を公開し同項目8/10点。
この2つを同時に達成すると、67点+2点+2点=71点となり、シビックランクBへ上がります。Bの下限70点を1点上回ります。
つまり、次のランクへ上がるために最も重要なのは、新しい工場や設備を増やすことより、現在の賃上げ・休日増加を「実残業の削減」と「事故の削減」までつなげ、その結果を工場別の数字で公開することです。
出典一覧
1.株式会社ライフドリンク カンパニー「会社概要」
2.株式会社ライフドリンク カンパニー 2026年3月期有価証券報告書「従業員の状況」
3.株式会社ライフドリンク カンパニー「2026年3月期 決算短信」
4.株式会社ライフドリンク カンパニー「グループ製造拠点」
5.株式会社ライフドリンク カンパニー「製造の流れ」
6.株式会社ライフドリンク カンパニー「御殿場工場 採用情報」
7.株式会社ライフドリンク カンパニー採用サイト「知覧工場ほか現行求人」
8.株式会社ライフドリンク カンパニー「お問い合わせ・よくある質問」
9.株式会社ライフドリンク カンパニー 2026年3月期有価証券報告書「事業等のリスク」
10.株式会社ライフドリンク カンパニー「情報セキュリティ方針」
11.株式会社ライフドリンク カンパニー「ISO/IEC 27001:2013認証を新規取得」2023年3月28日
12.株式会社ライフドリンク カンパニー「足利市との災害時における飲料供給に関する協定」2024年8月2日
13.株式会社ライフドリンク カンパニー採用サイト「働く魅力」「富士工場」
14.Indeed「株式会社ライフドリンクカンパニーの社員クチコミ・評判」
15.Google Drive最新版「株式会社セルートを企業審査|シビックランクC・61点/100点」
16.Google Drive最新版「キリンビバレッジ株式会社の企業審査|総合74点・シビックランクB」
17.Google Drive最新版「キリングループロジスティクス株式会社の企業審査|総合65点・シビックランクC」
シビックランクの基準
| ランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、または氏名・役職・立場が確認できる記名取材や公表発言 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
