私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査するイオン商品調達株式会社は、総合66点、シビックランクCです。
イオン商品調達株式会社の特に強い点は、2025年の業務上災害発生率0.0%を維持しながら、イオングループの共同調達を集約し、2025年の米不足では約2万トンの政府備蓄米調達、同年10月には全国約2,000店舗で69品目の値下げにつなげたことです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、調達の効率化によって食品や日用品を手頃な価格で安定供給し、供給不足時にも必要な商品を市民へ届けやすい社会につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として、対象法人単体の全社員を対象としたベースアップ実績と、災害時のBCP訓練・代替調達時間・サイバー復旧時間が十分に公開されていないことが残ります。
この記事では、イオン商品調達株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
イオン商品調達株式会社の企業審査結果
イオン商品調達株式会社は、イオングループ各社の商品調達を集約する機能会社です。食品、家庭用品、酒類などの商品企画、卸売、輸出入、マーチャンダイジング支援を行い、メーカー・生産者とグループ各社の間に立って共同調達とサプライチェーンの効率化を進めています。[出典1・2]
公式会社概要では従業員136名です。一方、経済産業省のgBizINFOが職場情報総合サイトから連携しているデータでは157名とされており、時点または集計範囲が異なります。採点では数値の対象範囲を混同しません。[出典1・6]
| 評価軸 | 点数 |
|---|---|
| Safety | 34/50 |
| Innovation | 19/25 |
| Protection | 13/25 |
| 総合点 | 66/100 |
| シビックランク | C |
評価時点:2026年10月8日
主な強み
・2025年の業務上災害発生率0.0%
・2025年の定期健康診断受診率100%、精密検査受診率100%
・2025年のストレスチェック受検率99.2%、1カ月以上のメンタルヘルス休職・欠勤者0名
・正社員の法定外労働月45時間超発生割合が2022年7.75%から2025年2.92%へ低下
・平均年次有給取得率が2021年43.2%から2025年58.0%へ改善
・正規雇用労働者の男女賃金比率106.0%
・商談集約、商品マスター、棚割、カテゴリーマネジメントの統合
・2025年10月に全国約2,000店舗で69品目を期間限定値下げ
・2025年の米不足時に政府備蓄米約2万トンの一括調達へ対応
・2026年も共同調達本部、SCM部、輸出入事業推進部などを再編し調達改革を継続
・健康経営優良法人2026の認定
主な課題
・対象法人単体の全社員ベースアップ額・率が非公表
・会社全体の賃金中央値、職種・等級別賃金が非公表
・女性管理職比率15.3%
・全労働者の男女賃金比率55.1%で、雇用区分構成による差が大きい
・男性育児休業取得率が対象法人欄では非公表
・ハラスメント相談件数、内部通報件数、是正結果が非公表
・業務上災害発生率は公開しているが、事故件数、重篤度、休業日数、委託先を含む安全KPIは非公表
・2024年に直輸入した粒マスタードでガラス片混入が確認され、34,756個を回収
・2025年にベトナム産生鮮ライチで残留農薬基準違反が確認され、輸入段階で廃棄
・調達集約によって従業員の作業時間が何時間減ったかの定量開示が不足
・対象法人単体のBCP訓練、代替調達先への切替時間、安全在庫日数が非公表
・対象法人単体のMFA、EDR、SOC、バックアップ復元訓練、RTO・RPOが非公表
事業内容と人間への貢献
イオン商品調達株式会社は2020年5月1日に設立され、千葉県千葉市美浜区に本社を置いています。イオン株式会社の100%子会社で、資本金は5,000万円です。[出典1]
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | イオン商品調達株式会社 |
| 英文名 | AEON GLOBAL MERCHANDISING Co., LTD. |
| 設立 | 2020年5月1日 |
| 本社 | 千葉県千葉市美浜区中瀬一丁目5番地1 |
| 代表者 | 代表取締役社長 白塚康浩 |
| 資本金 | 5,000万円 |
| 株主 | イオン株式会社 |
| 公式従業員数 | 136名 |
| 事業 | 食品・家庭用品・酒などの商品企画、卸売、輸出入、調達・販売のマーチャンダイジング支援 |
| 2026年2月期売上高 | 4,473億5,000万円 |
| 2026年2月期純利益 | 6億700万円 |
主な事業内容
同社は、イオングループ各社が個別に行っていた商談や調達を集約し、メーカー・生産者との取引量をまとめることで調達条件を改善します。
公式サイトでは、商流の変革として単品集中販売、物流の変革として中間流通機能の再定義、情報の変革として商品マスター・棚割・カテゴリーマネジメントの統合を掲げています。[出典2]
例えば同じ飲料を複数のイオングループ企業が別々に商談するより、必要数量をまとめてメーカーへ提示すれば、工場の生産計画や物流をまとめやすくなります。その効率化分を販売価格へ反映できれば、利用者は同じ商品をより低い価格で購入できます。
主な利用企業・取引先
直接の利用企業はイオングループの小売事業会社です。
メーカー、生産者、輸入先と商談し、イオンリテール、イオン北海道、イオン東北、イオン九州、マックスバリュ各社などの販売会社へ商品を供給します。
イオントップバリュ株式会社、イオングローバルSCM株式会社とも協業し、商品開発・調達・物流をつなぎます。[出典1]
事業による人間への貢献
イオン商品調達が調達量をまとめることで、メーカー側は生産量を読みやすくなり、物流側も輸送をまとめやすくなります。
2025年10月の値下げでは、取引先との協業によって工場稼働率の向上や配送方法の工夫を行い、加工食品や日用品69品目を全国約2,000店舗で値下げしました。例えばカントリーマアム18枚は税別278円から178円へ100円下がっています。[出典7]
物価上昇時に食品や日用品の価格を下げられれば、毎月同じ商品を買う家庭ほど支出を減らせます。
また、米不足が問題になった2025年には、政府備蓄米約2万トンの一括調達を進めました。食品の供給が不足した場合に調達力を使って商品を確保することも、同社が市民生活へ与える重要な貢献です。[出典8・9]
Safety|34/50
Safetyでは、商品を調達する社員の賃金・労働時間・健康に加え、輸入・仕入れを担う企業として商品安全も重視しました。
業務上災害発生率0.0%、長時間労働割合の低下、健康診断・ストレスチェックの高い受検率は強みです。一方、全社員の賃上げ実績、男性育休、ハラスメント救済実績、輸入商品の品質問題には改善余地があります。
賃金・利益の還元|4/10
2026年7月掲載の人事職求人では、予定年収400万~500万円、基本給月25万~33万円、賞与年3回、昇給ありとされています。[出典5]
2026年2月期は売上高4,473億5,000万円、純利益6億700万円を計上しました。[出典17]
一方、対象法人単体について、既存社員全体の2025年・2026年ベースアップ額・率、賃金中央値、利益のうちどれだけを固定給へ還元したかは公表されていません。
採用時の給与条件は確認できますが、現在働いている136名前後の社員へ利益がどの程度返っているかを判断できないため4/10点です。
全社員を対象としたベースアップ額・率、雇用区分別の賃金中央値を毎年公開し、複数年の固定給上昇が確認できれば6/10点以上を検討できます。
労働時間・休息|8/10
健康経営資料では、正社員の法定外労働月45時間超発生割合が2021年7.79%、2022年7.75%、2023年5.71%、2024年2.96%、2025年2.92%へ低下しています。月80時間超は2025年0.17%です。[出典3]
平均年次有給取得率も2021年43.2%から2025年58.0%まで改善しています。会社目標60%まであと2ポイントです。[出典3]
現在の人事求人でも残業月平均5~10時間、年間休日120~125日、フレックスタイム制とされています。[出典5]
長時間労働者の割合が4年間で半分以下まで低下し、求人上の平均残業も5~10時間なので8/10点です。
一方、月45時間超2.92%と月80時間超0.17%はゼロではなく、有休取得率も目標60%へ届いていません。月45時間超を1%未満、有休取得率80%以上まで改善し、その状態を継続できれば10/10点を検討できます。
雇用の安定・待遇の公平性|4/5
イオン株式会社の2026年2月期有価証券報告書では、イオン商品調達の女性管理職比率は15.3%です。男女賃金比率は全労働者55.1%、正規雇用106.0%、パート・有期55.6%でした。[出典4]
正規雇用では女性の平均年間賃金が男性を上回る106.0%であり、正社員について大きな男女賃金格差が確認されない点は評価できます。
一方、全労働者では55.1%まで下がっています。雇用区分、勤務時間、職種構成の違いが結果へ影響するため、この数字だけで同一労働の賃金差とは判断しません。ただし、女性管理職比率15.3%はまだ低く、全労働者の差が生じる構造をより詳しく公開する余地があります。
gBizINFOでは職場情報として男性80名、女性76名とされており、人数構成は比較的近い水準です。[出典6]
正規雇用の賃金比率を高く維持しつつ、女性管理職比率を30%程度まで高め、職種・等級・雇用区分ごとの賃金差を開示できれば5/5点を検討できます。
福利厚生・育児・介護|4/5
現在の求人では、住宅助成、社宅、子女教育手当、イオングッドライフクラブ、買物割引、確定給付年金・確定拠出年金、従業員持株会、育児勤務・休職、介護勤務・休職などが確認できます。[出典5]
健康経営資料でも育児・介護両立支援、費用補助、フレックスタイム、治療との両立支援を実施しています。[出典3]
育児や介護によって通常勤務が難しくなった場合でも、勤務制度や経済支援を利用して退職を避けやすい仕組みがあるため4/5点です。
一方、イオン株式会社の有価証券報告書では、イオン商品調達の男性育児休業取得率は「―」とされており、対象法人単体の取得実績を比較できません。介護休業利用率や育休後復職率も公表されていません。[出典4]
男女別育休取得率、平均取得日数、復職率、介護制度利用実績まで対象法人単体で継続公開できれば5/5点を検討できます。
人権・ハラスメント・労使関係|3/5
健康経営の推進体制には労働組合が含まれ、メンタルヘルス相談窓口を全従業員へ提供しています。ラインケア研修とセルフケア研修の2025年参加率はいずれも100%です。[出典3]
例えば上司が部下の不調に早く気付き、本人もストレスへの対処方法を学べれば、体調悪化による長期離脱を減らしやすくなります。実際、2025年の1カ月以上のメンタルヘルス休職・欠勤者は0名でした。[出典3]
一方、対象法人単体のハラスメント相談件数、内部通報件数、是正件数、再発率は公表されていません。相談制度の存在だけでは、実際の救済がどの程度機能したかを判断できません。
そのため3/5点です。相談・通報件数と是正結果を匿名化して公開し、重大な問題を放置していないことを継続確認できれば4~5/5点を検討できます。
労働安全・健康|8/10
健康経営資料では、業務上災害発生率が2021年から2025年まで毎年0.0%です。2025年は定期健康診断100%、精密検査100%、ストレスチェック99.2%、1カ月以上のメンタルヘルス休職・欠勤者0名でした。[出典3]
安全衛生委員会、産業医、健康保険組合、労働組合を含む推進体制も構築しています。
業務上災害発生率0.0%を複数年継続し、健康診断後の精密検査まで100%へ改善したことは、事故が起きにくいことと、病気を早期に発見して治療へつなげることの両面で働く人に利益があります。
そのため8/10点です。
一方、業務上災害の実件数、事故の重篤度、休業日数、委託先・出向者を含む対象範囲は公表されていません。死亡・重篤・休業災害の件数、度数率、強度率まで同じ対象範囲で公開し、低い水準を継続できれば10/10点を検討できます。
商品・サービスの安全|3/5
同社は海外から食品を直輸入し、イオングループの多数店舗へ供給するため、仕入先での品質問題を販売前に止める役割があります。
2024年9月には、同社が直輸入した「CloviS/粒マスタード」について、購入者から瓶内のガラス片の申し出が1件あり、検査で瓶に由来するガラス片の混入を確認しました。対象ロットの出荷数量は34,756個で、回収と返金を実施しました。[出典10]
2025年7月には、同社が輸入したベトナム産生鮮ライチで、残留農薬トリシクラゾールが食品衛生法上の基準を超えた事例が公表データのアーカイブに記録されています。対象品は輸入段階で廃棄され、市場へ販売された事例としては確認されていません。[出典11]
粒マスタードでは問題判明後に回収し、ライチでは輸入段階で廃棄されたため、問題を認識した後の流通停止は行われています。
一方、異物混入と残留農薬という異なる種類の品質問題が発生しているため3/5点です。輸入前検査、仕入先監査、不適合件数、回収件数を継続公開し、重大な不適合を複数年減らせれば4~5/5点を検討できます。
従業員・元従業員の口コミ
Indeedにはイオン商品調達株式会社の企業ページがあり、17件の給与情報と現在の求人が掲載されていますが、今回確認できる範囲では対象法人の従業員・元従業員による本文付きのクチコミを確認できませんでした。[出典12]
Yahoo!しごとカタログの対象法人ページでも「表示するデータがありません」とされています。[出典13]
OpenWork、転職会議、エンゲージ会社の評判も対象法人名で個別に調べましたが、勤務時期・職種・雇用形態まで確認でき、記事へ原文引用できる対象法人の投稿は確認できませんでした。
口コミが見つからないことを、労働環境が良い根拠には使いません。働き方の採点は、会社が公開する健康経営KPI、公的な人的資本情報、現在の求人を中心に行っています。
SNS・匿名掲示板の確認結果
Xなどの一般SNS、5ちゃんねる、爆サイについて、会社名と「残業」「給料」「退職」「パワハラ」「省人化」「人員削減」「調達」「出向」などを分けて確認しました。
対象法人の従業員・元従業員であること、投稿時期、職種・雇用形態を確認でき、採点根拠として利用できる投稿は確認できませんでした。
SNS・匿名掲示板で有用な投稿が見つからないことを、問題が存在しない根拠にはしていません。
Innovation|19/25
Innovationでは、メーカーとの商談を集約し、商品・棚割・カテゴリーマネジメントの情報を統合することで、グループ各社に重複していた調達業務を減らし、工場や物流の効率を上げている点を評価します。
値下げという利用者側の成果は具体的です。一方、対象法人の社員や取引先担当者について、商談集約によって何時間の作業が減ったか、その成果が賃金や休日へどこまで返ったかの定量情報は不足しています。
作業負担・危険の削減|6/10
公式サイトでは、イオングループ各社の商談を集約し、「商品マスター」「棚割」「カテゴリーマネジメント」を統合するとしています。[出典2]
従来、複数のグループ会社が同じメーカーと個別商談し、それぞれ商品情報を登録していた場合、商談集約とマスター統合によって重複入力、資料作成、条件調整を減らせます。
2025年10月の値下げでは、メーカーと協力し、工場稼働率向上や配送の工夫まで実施しています。[出典7]
調達・物流の重複作業を減らす仕組みが実運用され、価格へ成果が出ているため6/10点です。
一方、社員1人当たりの商談時間、商品登録時間、残業時間が導入前後で何時間減ったかは公表されていません。また、メーカー側の事務負担がどの程度減ったかも数字で確認できません。
対象業務の人時を導入前後で比較し、30%以上の作業時間削減など具体的な成果を公開できれば8/10点以上を検討できます。
商品・サービスの改善|5/5
2025年10月、イオンとイオン商品調達はナショナルブランド69品目を全国約2,000店舗で7日間値下げしました。工場稼働率の向上、配送の工夫、メーカーからの一括仕入れなどによるコスト削減を価格へ反映しています。[出典7]
カントリーマアム18枚は税別278円から178円へ約36%、カルビーのフルグラなども値下げ対象になりました。
2024年にも67品目の値下げを実施しており、単発ではなく調達改革を価格へ反映する取り組みを継続しています。[出典16]
調達規模を大きくすること自体ではなく、その成果を利用者が支払う価格の低下として確認できるため5/5点です。
改善成果の人間への還元|3/5
利用者側では、調達効率化による69品目の値下げという明確な還元があります。社員側でも、2025年の長時間労働割合は過去より下がり、有休取得率は58.0%まで上昇しています。[出典3・7]
一方、商談集約や情報統合によって生まれた利益・時間のうち、どれだけを社員のベースアップ、休日、労働時間短縮へ返したかは公表されていません。
利用者への価格還元は確認できますが、技術・業務改革の成果を働く人へ直接返した因果関係が弱いため3/5点です。
調達改革による削減人時、利益改善額、残業削減時間を示し、その一部をベースアップや有休・休日増加へ実際に反映できれば4~5/5点を検討できます。
研究開発・現場改善の継続|5/5
同社は2025年にSCM部や輸出入事業推進部などを整備し、2026年3月の機構改革では共同調達本部、グループMD推進、ドラッグ事業・DS事業の営業推進など、調達機能の再編を続けています。[出典14]
2030年度には共同調達商品の供給比率45%、共同調達高1.5兆円を目標にしています。[出典1]
商談集約、輸入、SCM、業態別調達を継続的に組み替え、2024年・2025年と値下げ施策も繰り返しているため5/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
イオン商品調達では、AIそのものの大規模導入より、商談集約、商品マスター統合、棚割・カテゴリーマネジメントの統合による業務集約が確認できます。
公式会社概要は従業員136名、gBizINFOの職場情報では157名で、時点・集計範囲が異なるため、この差を人員削減とは扱いません。[出典1・6]
2026年7月には人事職の正社員求人、2026年10月時点ではIndeed上で一般事務の求人も確認でき、採用活動は続いています。[出典5・12]
労働組合資料、報道、求人、口コミ、X、5ちゃんねる、爆サイを分けて調べましたが、商談集約や情報統合を理由にした希望退職、大規模な契約終了、採用停止が行われたと判断できる対象法人単体の公開情報は確認できませんでした。
一方、業務集約後の部署別人数、配置転換人数、離職率、採用数の推移は公表されていません。業務効率化後に「人を減らした」のか「同じ人数で残業を減らした」のかを判断するには、導入前後の人員・残業・配置転換を継続公開する必要があります。
Protection|13/25
Protectionでは、食料・日用品の供給不足、災害、物流停止、サイバー障害が起きた場合に、イオン商品調達が調達機能をどこまで維持・代替できるかを評価しました。
2025年の米不足時に政府備蓄米約2万トンの調達へ動き、全国販売につなげた実績は大きな強みです。一方、対象法人単体のBCP訓練、主要取引先・輸入港が停止した場合の切替時間、サイバー復旧実績は十分公開されていません。
災害への備え・訓練|0/5
イオングループ全体では大規模災害へのBCPや防災訓練を実施しています。
しかし、イオン商品調達株式会社単体について、地震・水害・感染症・港湾停止・主要取引先停止を想定した訓練の回数、参加部署、訓練で確認した復旧時間については公開情報がありません。
商品調達会社は、例えば大地震でメーカー工場や港が止まった場合に、代替メーカー、別港、別の輸送手段へ切り替える役割があります。その訓練実績が公表されていないと、実際に何時間で切り替えられるかを外部から判断できません。
十分な調査後も対象法人単体の具体的な訓練成果が公表されていないため0/5点です。年1回以上の全社BCP訓練を行い、主要商品について代替調達までの時間を実測・公開できれば2~3/5点以上を検討できます。
生産・物流・調達の代替|4/5
イオン商品調達は国内メーカーだけでなく、海外からの直接輸入、原料集約、産地開発を行い、イオングローバルSCMとも協業しています。[出典1・2]
2025年の米不足では、政府備蓄米約2万トンの調達に対応し、イオンの全国物流網を使って6月から全国販売を進めました。[出典8・9]
例えば通常の米卸から十分な数量を確保できない場合でも、政府備蓄米という別の供給源を確保できれば、店頭から米が長期間なくなるリスクを小さくできます。
実際に平時とは異なる調達先を使って大量供給へ切り替えたため4/5点です。
一方、主要メーカー、輸入国、港湾、物流拠点ごとの代替候補、切替時間、安全在庫日数は公表されていません。主要商品群について二重調達・代替輸送を設定し、停止訓練で切替時間まで実証できれば5/5点を検討できます。
サイバー防衛・情報保護|2/5
対象法人のプライバシーポリシーでは、個人情報保護管理責任者と監査責任者を置き、従業員教育、監査、不適合時の規程改善、取引先への協力要請を行うとしています。不正アクセス、紛失、改ざん、漏えいへの安全対策も明記しています。[出典15]
イオングループ全体では情報セキュリティ事務局を設け、情報システムの運用基準、定期チェック、サイバー攻撃によるシステム停止への対応を進めています。[出典18]
ただし、グループ制度があるだけでは対象法人単体の実装成果とは扱いません。
イオン商品調達単体のMFA適用率、EDR、SOC監視、バックアップ分離、脆弱性診断、復元訓練、重大インシデント件数、RTO・RPOは公表されていません。
基本方針と監査は確認できますが、商品マスターや調達システムが停止した際に何時間で戻せるかを判断できないため2/5点です。対象法人単体の防御範囲と復元訓練結果を公開できれば3~4/5点を検討できます。
供給継続・復旧能力|4/5
2025年の米不足に対し、イオンは政府備蓄米の随意契約へ申し込み、約2万トンの販売を進めました。グループ一括調達でコストを抑え、全国物流網を使って販売する計画が公表されています。[出典8]
農林水産省の随意契約申込状況でも、イオン商品調達株式会社による大規模な申込が確認できます。[出典9]
米は多くの家庭が継続的に購入する主食です。通常ルートだけで不足が解消しないときに、別の公的在庫へ切り替えて大量調達できたことは、市民生活を平時に近づける供給継続の実績です。
そのため4/5点です。
一方、地震、サイバー障害、主要メーカー停止など別の危機で、調達機能を何時間以内に復旧するかというRTOや、優先商品ごとの在庫日数は公表されていません。複数シナリオで復旧時間を実測し、目標内復旧を継続確認できれば5/5点を検討できます。
危機時の市民への対応|3/5
2025年の米不足時に約2万トンの政府備蓄米調達へ動いたことは、市民の生活必需品不足に対する具体的な対応です。[出典8・9]
例えば近隣のスーパーで米の入荷が少なく、購入制限が続く状況では、追加供給源から大量に調達して全国店舗へ流すことで、家庭が主食を購入できる機会を増やせます。
一方、地震・豪雨などの災害時に自治体から要請を受け、イオン商品調達株式会社自身が飲料水、食品、日用品を何人分・何日分調達したかという対象法人単体の実績は公表されていません。
需給危機への実対応は確認できるため3/5点です。災害時の緊急調達協定、優先商品、供給可能数量、実災害での供給実績まで対象法人単体で公開できれば4~5/5点を検討できます。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の前向きな動きでは、米不足時の約2万トン調達と、メーカー・物流と連携した69品目の値下げが重要です。
前者はProtectionで生活必需品の不足を補う実績、後者はInnovationで調達効率化の成果を利用者へ価格として返した実績です。イオングループ店舗で同社が調達した商品を購入することで、こうした共同調達と供給安定化を続ける需要につながります。
2025年5月|政府備蓄米約2万トンを調達し、米不足へ対応(Protection)
2025年5月27日、イオンは政府備蓄米の随意契約へ申し込み、約2万トンを調達して6月初旬から全国で順次販売すると公表しました。[出典8]
農林水産省の公表資料でも、イオン商品調達株式会社が随意契約の申込主体として確認できます。[出典9]
通常の米流通だけでは不足が続いていた時期に、調達窓口を集約して公的在庫から2万トン規模を確保したことは、商品調達会社としてProtectionを実際に機能させた事例です。
2025年10月|69品目を全国約2,000店舗で値下げ(Innovation)
2025年10月20日から26日まで、加工食品、飲料、日用品など69品目を全国約2,000店舗で値下げしました。[出典7]
イオン商品調達と取引先が協業し、工場稼働率の向上、配送の工夫、一括仕入れなどでコストを下げています。
カントリーマアム18枚は税別278円から178円へ100円、約36%下がりました。毎月複数回購入する家庭なら、その商品だけでも購入1回につき100円支出を減らせます。
共同調達の規模を企業利益だけに使わず、消費者価格へ反映した点を評価します。
悪いニュース・問題となった動き
最近の問題では、直輸入商品のガラス片混入と、輸入ライチの残留農薬基準違反が重要です。
どちらもSafetyの商品安全に関係します。前者は店頭販売後の回収、後者は輸入段階での廃棄でした。輸入・調達を集約する企業は、一つの仕入先の問題が多数店舗へ広がる可能性があるため、仕入先監査とロット検査の精度が重要です。
2025年7月|ベトナム産生鮮ライチで残留農薬基準違反(Safety)
2025年7月1日付の輸入食品違反データでは、イオン商品調達株式会社が輸入したベトナム産生鮮ライチで、トリシクラゾールが食品衛生法第13条第3項の基準を超えて残留した事例が記録されています。対象品は廃棄されました。[出典11]
店頭販売後に判明した事例ではなく、輸入段階で流通を止めた点は重要です。
一方、海外産地からの直接調達を拡大する企業では、出荷前の農薬管理、仕入先検査、輸入時検査を組み合わせて違反品そのものを減らす必要があります。
2024年9月|直輸入の粒マスタードでガラス片を確認、34,756個を回収(Safety)
2024年9月、イオン商品調達が直輸入した「CloviS/粒マスタード」で、購入者から瓶内のガラス片について申し出がありました。検査の結果、瓶に由来するガラス片の混入を確認し、賞味期限2024年12月12日の対象ロットを回収しました。出荷数量は34,756個です。[出典10]
ガラス片は口腔内や消化器を傷つける可能性があります。問題確認後に回収・返金を行った点は適切ですが、店頭販売前に異物を止められなかったため商品安全の減点要因としています。
総合評価と、これから改善してほしいこと
イオン商品調達株式会社は現在66点・シビックランクCです。次のBランクは70点からなので、あと4点必要です。
調達力、安全衛生、値下げ実績は強い一方、Protectionでは対象法人単体の訓練・復旧KPIが不足しています。また、利益・効率化の成果を既存社員のベースアップへどこまで返したかも見えません。
次のランクへ上がるには、共同調達をさらに大きくすることだけでなく、「主要供給先が止まったとき何時間で切り替えられるか」「システムが止まったとき何時間で戻せるか」「効率化で浮いた利益を社員へいくら返したか」を対象法人単体の数字で示すことが重要です。
対象法人単体のBCP訓練を実施し、調達切替時間を公開する|災害への備え・訓練 0→3/5
現在は0/5点です。
イオングループ全体の防災体制はありますが、イオン商品調達株式会社単体について、主要メーカー停止、港湾閉鎖、輸入国からの供給途絶、本社機能停止を想定した訓練成果が公表されていません。
改善するには、少なくとも年1回、食品・日用品の主要カテゴリを対象に「最大供給先が停止した」という条件で実地訓練を行い、
・代替仕入先の起動時間
・別港・別輸送への切替時間
・優先100品目程度の安全在庫日数
・本社機能停止時の代替業務拠点
・店舗への供給再開までの時間
を測定して公開してほしいです。
例えば主要商品の代替調達先を事前登録し、訓練で4時間以内に発注切替、24時間以内に代替出荷指示まで完了できる状態を継続確認できれば0→3/5点、+3点を検討できます。
総合点は66→69点となり、CのままですがBまであと1点になります。
参考企業のイオン北海道株式会社は、当サイト現行審査で「災害への備え・訓練」5/5点です。年1回以上の総合地震防災訓練を行い、自治体・企業・病院と生活物資供給や避難場所提供の協定を結んでいます。イオン商品調達では、この考え方を「調達先停止時の代替仕入れ訓練」へ置き換えて実行することが参考になります。
サイバー復旧を対象法人単体で実証する|サイバー防衛・情報保護 2→3/5
現在は2/5点です。
個人情報管理責任者、監査、従業員教育は確認できますが、商品マスター、商談、発注・調達関連システムについて、MFA、EDR、SOC、バックアップ分離、復旧時間が公表されていません。
改善するには、
・重要アカウントのMFA適用率100%
・端末のEDR適用率100%
・24時間のセキュリティ監視
・オフラインまたは分離バックアップ
・年1回以上のランサムウェア復元訓練
・重要調達システムの目標復旧時間
を対象法人単体で公開してほしいです。
主要システムの復元訓練を行い、例えば4時間以内に重要データを復元できることを実証できれば2→3/5点、+1点を検討できます。
総合点は66→67点です。
参考企業の株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、当サイト現行審査で「サイバー防衛・情報保護」4/5点です。アクセス制御、システム監視、委託先管理、脆弱性診断、インシデント対応、演習まで具体的に整備しています。
全社員のベースアップを公開し、調達効率化の利益を社員へ返す|賃金・利益の還元 4→6/10
現在は4/10点です。
求人上の給与、賞与、昇給制度は確認できますが、既存社員全体のベースアップ額・率と賃金中央値は公表されていません。
共同調達や商談集約によってコスト削減を進める企業だからこそ、その成果の一部が働く人へ戻っているかを数字で示してほしいです。
具体的には、
・正社員の賃金中央値
・非管理職のベースアップ額・率
・雇用区分別の賃上げ率
・調達効率化による削減額
・削減額のうち賃金・教育・休日へ振り向けた額
を毎年公開し、幅広い社員について複数年の固定給上昇が確認できれば4→6/10点、+2点を検討できます。
総合点は66→68点です。
参考企業のイオン北海道株式会社は、当サイト現行審査で「賃金・利益の還元」8/10点です。2026年春闘で正社員1人平均の賃上げ総額1万6,516円・5.53%、うちベースアップ1万円・3.35%、パート等の時給も90.02円・7.09%引き上げています。
次のBランクへ上がるための具体例
現在66点・Cで、Bランクは70点からです。あと4点必要です。
一つの具体的な道筋は、まず主要メーカー・港湾・物流停止を想定した対象法人単体のBCP訓練を毎年行い、代替仕入先への切替を4時間以内、代替出荷指示を24時間以内で完了できることを実証することです。これにより「災害への備え・訓練」を0→3/5点、+3点と評価できれば総合69点になります。
次に、商品マスターや調達システムについてMFA・EDRを全面適用し、分離バックアップからの復元訓練で目標復旧時間内に戻せることを公開します。「サイバー防衛・情報保護」を2→3/5点、+1点と評価できれば、
66点+BCP3点+サイバー1点=70点
となり、シビックランクBへ上がります。
つまりイオン商品調達が次のランクへ上がるためには、すでに強い共同調達を、平時の価格低下だけでなく「供給先やシステムが止まっても何時間で代替・復旧できるか」という危機対応の数字へ広げることが重要です。さらに効率化で生まれた利益を既存社員の固定給へ返した実績まで示せれば、その先の評価も上げやすくなります。
出典一覧
1.イオン商品調達株式会社「企業情報」
2.イオン商品調達株式会社「事業概要・私たちが取組む3つの変革」
3.イオン商品調達株式会社「健康経営の取り組み」
4.イオン株式会社「2026年2月期 有価証券報告書」人的資本指標
5.doda「イオン商品調達株式会社 人事(労務・制度運用)」2026年7月27日更新
6.経済産業省 gBizINFO「イオン商品調達株式会社」
7.イオン株式会社・イオン商品調達株式会社「イオンの家計応援! お馴染みの加工食品や日用品など69品目を期間限定値下げ」2025年10月20日
8.イオン株式会社「政府備蓄米を随意契約で調達、約2万トン販売開始へ」2025年5月27日
9.農林水産省「政府備蓄米の随意契約に係る申込状況」2025年5月
10.イオン商品調達株式会社・イオンリテール株式会社「CloviS(クロビス)/粒マスタードの回収に関するお詫びとお知らせ」2024年9月11日
11.食品衛生アーカイブ「2025年度 輸入食品の食品衛生法違反事例」厚生労働省公表データ収録
12.Indeed「イオン商品調達株式会社のキャリア・企業情報」
13.Yahoo!しごとカタログ「イオン商品調達株式会社の社員クチコミ一覧」
14.イオン商品調達株式会社「機構改革と人事異動について」2025年・2026年
15.イオン商品調達株式会社「プライバシーポリシー」
16.イオン株式会社・イオン商品調達株式会社「イオンの家計応援! お馴染みの加工食品や日用品など67品目を期間限定値下げ」2024年8月21日
17.イオン商品調達株式会社「第6期決算公告」2026年6月5日
18.イオン株式会社「事業などのリスク・情報セキュリティに関するリスク」
19.Google Drive「イオン北海道株式会社の企業審査」現行版
20.Google Drive「株式会社セブン‐イレブン・ジャパンの企業審査」現行版
シビックランクの基準
| シビックランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
イオン商品調達株式会社は66点のため、今回の評価はシビックランクCです。
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、記名取材など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
