私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査する株式会社イオン銀行は、総合66点、シビックランクCです。
株式会社イオン銀行の特に強い点は、有給休暇取得率79.1%、月間平均残業16.54時間、男性育児休業取得率100%など働き方の実績を数値公開しながら、全国約170カ所の店舗、約6,800台のATM、インターネットバンキング、オンライン相談を組み合わせて金融サービスを提供していることです。そのため、この企業のサービスを利用すれば、仕事と家庭を両立できる雇用と、店舗・ATM・デジタルの複数経路からお金を利用できる金融インフラを支えることにつながります。
一方で、改善点として、マネー・ローンダリング・テロ資金供与対策で重大な管理不備が確認されています。金融庁は2024年12月、取引モニタリングシステムで検知した取引のうち少なくとも14,639件について、疑わしい取引かどうか判定しないまま放置していたとして業務改善命令を出しました。銀行は預金者の資産を守ると同時に、犯罪資金が金融システムを通じて移転することを防ぐ役割を持つため、この問題は重く評価します。
この記事では、株式会社イオン銀行の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
株式会社イオン銀行の企業審査結果
イオン銀行は、預金、住宅ローン、カードローン、資産運用、保険、ATM、インターネットバンキングなどを提供するイオングループの銀行です。
2026年3月31日時点の従業員数は2,737人です。全国約170カ所の店舗に加え、約6,800台のATM、オンライン相談、インターネットバンキング、アプリなどを組み合わせています。
| 評価軸 | 得点 | 主な評価 |
|---|---|---|
| Safety | 28/50点 | 有休79.1%、残業16.54時間、男性育休100%、健康経営を評価。男女賃金差とマネロン管理不備を大きく減点 |
| Innovation | 18/25点 | RPA、AI-OCR、オンライン相談、クラウド化、FIDO認証、トークン化預金実証などを評価 |
| Protection | 20/25点 | 約6,800台のATM、約170店舗、デジタルチャネル、災害時の手数料返金・金融支援を評価 |
| 総合 | 66/100点 | シビックランクC |
評価時点:2026年10月8日
主な強み
・2024年度の月間平均残業時間16.54時間
・年次有給休暇取得率79.1%
・男性育児休業取得率100%
・女性育児休業等取得率107%
・女性管理職比率27%という会社独自集計
・健康経営優良法人2026「ホワイト500」に2年連続認定
・健康診断受診率100%
・ストレスチェック受検率96.5%
・約170カ所の店舗と約6,800台のATM
・RPA、AI-OCRによる事務自動化
・オンライン相談、インターネットバンキング、アプリを展開
・2026年9月からFIDO認証を導入
・熊本地震時にATM休止で発生した他行ATM手数料を返金
・災害時に本人確認書類を紛失した場合でも本人確認のうえ預金払い戻しを受け付ける仕組み
・金融犯罪対策の改善計画で人員補充、新システム導入、当日判定体制を構築
主な課題
・金融庁がマネロン・テロ資金供与管理態勢について業務改善命令
・少なくとも14,639件の検知取引を未判定のまま放置
・金融庁から経営陣のリスク認識、業務実態把握、資源配分、牽制機能などの問題を指摘
・法定開示ベースの女性管理職比率は12.8%
・全労働者の男女賃金比率60.7%
・正規雇用の男女賃金比率68.5%
・労災件数が2022年度9件、2023年度17件、2024年度22件と増加
・RPAやAI-OCRによって年間何時間の仕事が減ったか非公表
・自動化によって生まれた利益・時間が賃金や休日へどの程度還元されたか非公表
・災害時のシステム目標復旧時間、RTO・RPO等の単体開示が不足
事業内容と人間への貢献
イオン銀行は、預金を預かり、お金の移動、住宅購入、資産形成、保険、融資などを支える金融インフラです。
店舗をショッピングセンター内に設置し、一般的な銀行営業時間とは異なる形で相談できることに加え、ATMやオンラインサービスを組み合わせています。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社イオン銀行 |
| 英文名称 | AEON Bank, Ltd. |
| 設立 | 2006年5月15日 |
| 本社 | 東京都千代田区神田錦町3-22 |
| 代表取締役 | 木坂 有朗 |
| 資本金 | 512億5,000万円 |
| 従業員数 | 2,737人、2026年3月31日時点 |
| 店舗 | 全国約170カ所、2026年5月時点 |
| ATM | 全国約6,800台、2026年5月時点 |
| 主な事業 | 預金、ローン、資産運用、保険、ATM、決済等 |
会社概要と採用情報で確認できます。
主な事業内容
リテール営業では、店舗、テレビ相談・手続窓口、オンライン相談、インターネットバンキングを使い、預金、住宅ローン、資産形成などを提供します。
社内には営業企画、審査・リスク管理、事務・システム、人事・総務、経営企画などの仕事があります。
事業による人間への貢献
銀行口座は給与受取、公共料金、買い物、住宅購入、貯蓄など生活の基本的な資金移動を支えています。
イオン銀行の場合、ショッピングセンター内の店舗や全国約6,800台のATMを使えるため、買い物と同時に現金を入出金したり金融相談をしたりできます。
さらにオンライン相談やインターネットバンキングを組み合わせることで、店舗から遠い人でも一部の金融サービスを利用できます。
ただし金融機関は利便性だけで評価できません。
預金者のお金を守り、不正送金、詐欺、マネーロンダリングなどによって金融インフラが犯罪に利用されることを防ぐことも事業の中心的責任です。
Safety|28/50点
イオン銀行のSafetyでは、残業、有休、健康診断、育休、離職などを法人単体で細かく公開している点を高く評価できます。
一方、マネロン対策で金融庁から業務改善命令を受けた問題は、銀行サービスそのものの安全性と信頼性に関わります。労働環境が良好でも、この重大項目を他の高得点で相殺しません。
賃金・利益の還元|4/10点
イオン銀行はマルチステークホルダー方針で、生産性向上によって生まれた収益・成果を賃金引き上げや教育訓練へ還元するとしています。
2026年3月期決算では賃上げ促進税制の適用も確認できるため、実際に賃金引き上げに取り組んでいることは評価できます。
一方、対象会社単体で、
・平均年間給与
・給与中央値
・2025年・2026年のベースアップ額
・平均昇給率
・利益の何%を従業員へ還元したか
について比較可能な公開情報が不足しています。
賃上げ方針と実施は確認できますが、金額と継続実績を十分比較できないため4/10点です。
労働時間・休息|8/10点
2024年度の月間平均残業時間は16.54時間です。
2022年度20.33時間、2023年度18.73時間から連続して減っています。
有給休暇取得率は2022年度80.2%、2023年度82.0%、2024年度79.1%で、会社は年間12日の計画取得も進めています。
残業が20時間台から16時間台へ減っていることは、仕事後に睡眠、家事、育児、学習へ使える時間を増やす改善です。
一方、部署別残業、管理職残業、月45時間超の人数は公開されていません。
そのため8/10点です。
雇用の安定・待遇の公平性|3/5点
日給月給制社員の平均勤続年数は2024年度6.6年、離職率は5.5%です。
女性従業員比率は43%で、会社独自の集計では2025年8月時点の女性管理職比率を27%とし、2027年までに30%以上を目標としています。
一方、有価証券報告書の法定基準では女性管理職比率12.8%です。
会社サイトの27%は店舗運営のマネジメント層を含めて算出しているため、法定開示と対象範囲が異なります。
また2026年開示の男女賃金比率は、
全労働者:60.7%
正規雇用:68.5%
パート・有期:105.3%
です。
柔軟な勤務区分などによる構成差はありますが、正規雇用で約31.5ポイントの男女差が残っています。
そのため3/5点です。
福利厚生・育児・介護|4/5点
育児休業制度に加え、独自の「パパ・ママ休暇」、在宅勤務、勤務エリアや勤務形態を選べる制度、時間単位の病気休暇、介護・治療との両立相談窓口などがあります。
法定開示の男性育児休業取得率は100%です。
女性の育児休業等取得率は107%、出産後の在籍継続率は100%です。
2025年にはプラチナくるみんプラスも取得しています。
実績まで確認できるため4/5点です。
介護休業の利用率や復職後の賃金・昇進実績まで継続公開できれば5/5点を検討できます。
人権・ハラスメント・労使関係|3/5点
イオン銀行はアンコンシャス・バイアス、LGBTQ+/SOGI、障がい者理解、介護・不妊治療などの研修を実施しています。
事実婚や同性パートナーにも配偶者関連制度を適用し、管理職の360度評価にもDE&Iの観点を導入しています。
一方、イオン銀行単体のハラスメント相談件数、内部通報件数、認定件数、是正件数を年次比較できる情報は不足しています。
制度と教育は評価できますが、問題発生後の実績が見えないため3/5点です。
労働安全・健康|6/10点
2024年度は健康診断受診率100%、ストレスチェック受検率96.5%、高ストレス者比率12.4%です。
健康経営優良法人には2020年から7年連続で認定され、2026年度はホワイト500に2年連続で認定されています。
労災発生件数も公開しており、
2022年度:9件
2023年度:17件
2024年度:22件
です。
安全情報を公開している点は評価できます。
一方、件数は増加しています。
従業員数の変化を考慮した度数率、死亡・休業・通勤災害の内訳、事故原因、再発防止後の推移まで公開されていません。
そのため6/10点です。
商品・サービスの安全|0/5点
今回最大の課題です。
金融庁は2024年12月26日、イオン銀行へ銀行法に基づく業務改善命令を出しました。
2023年6月から11月、2024年7月から9月にかけて、取引モニタリングシステムが検知した取引のうち少なくとも14,639件について、疑わしい取引かどうかを判定しないまま放置していました。
金融庁は背景として、
・経営陣のマネロン・テロ資金供与リスクへの認識不足
・業務実態の把握不足
・人員などの資源配分不足
・内部管理・牽制機能の不足
などを指摘しました。
銀行口座が犯罪収益の移転に使われる場合、特殊詐欺や組織犯罪などによって被害を受けた市民のお金が金融システムを通じて移動する可能性があります。
このため0/5点です。
ただし改善は進んでいます。
イオン銀行は2025年から人員補充、改善委員会設置、リスク評価の見直し、全従業員研修、新しいモニタリングシステムの導入などを実施しました。
2024年12月には、新たに検知した取引を全量当日中に判定する体制を構築し、2025年7月には新システムを稼働させています。
改善後に十分な期間が経過し、滞留件数0件、届出遅延0件、外部検証でも実効性が確認できれば点数回復を検討できます。
従業員・元従業員の口コミ
Indeedでは2026年4月時点で8件の口コミがあり、総合評価3.0/5、勤務時間と残業2.8、給与と福利厚生2.8です。
2026年4月16日の千葉県・総合職の投稿には、
「残業あまりせず退勤できる。」
という記述があります。
同じ投稿では資格支援についても肯定的な評価があります。情報ランクBです。
一方、転職会議では投稿データ平均の残業時間が約20.3時間、有休消化率69.2%です。
会社公式の2024年度残業16.54時間、有休79.1%より悪い数値ですが、口コミは投稿時期や部署が混在しているため、公式の最新全社実績を置き換えるものではありません。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、一般検索について、イオン銀行と「残業」「退職」「パワハラ」「RPA」「人員削減」「希望退職」などを組み合わせて確認しました。
5ちゃんねるにはイオン銀行の利用者向けスレッドがありますが、現在の従業員の労働条件を採点変更できる形で確認できる投稿はありませんでした。
RPA・AI-OCR導入後についても、大規模な希望退職や整理解雇との因果関係を示す公開情報は確認できませんでした。
Safety小計:28/50点
Innovation|18/25点
イオン銀行は、RPA、AI-OCR、オンライン相談、クラウド移行、データ分析基盤など、銀行業務のデジタル化を広く進めています。
利用者の利便性だけでなく、人が行ってきた入力・確認業務を機械へ移す方針も確認できます。
作業負担・危険の削減|6/10点
採用サイトでは、RPAによる業務自動化に加え、AI-OCRで紙書類をデータ化していることが説明されています。
従来、人が書類を見ながらデータ入力していた作業をAI-OCRとRPAへ移せば、反復入力や転記作業を減らせます。
一方、
・年間何時間を削減したか
・何件の入力を自動化したか
・残業が何時間減ったか
・必要人員がどう変化したか
は対象法人単体で十分公開されていません。
そのため6/10点です。
商品・サービスの改善|5/5点
約170カ所の店舗に加え、オンライン相談、インターネットバンキング、通帳アプリ、テレビ相談など複数の手段を提供しています。
2026年9月にはFIDO認証を導入しました。
スマートフォンに登録された生体認証や端末パスコードを利用して認証するため、従来のパスワードだけに依存するより不正アクセスへの耐性を高められます。
利用者の利便性とセキュリティの両方を改善しているため5/5点です。
改善成果の人間への還元|2/5点
DX方針では、自動化による生産性向上だけでなく、多様な働き方を選択できる環境を構築するとしています。
実際に平均残業も20.33時間から16.54時間へ減っています。
ただし、
「RPAやAI-OCRによって○時間削減した結果、残業が○時間減った」
という因果関係は公開されていません。
自動化による利益や時間を賃金・休日へどの程度還元したかも数値化されていないため2/5点です。
研究開発・現場改善の継続|5/5点
イオン銀行は、レガシーシステムのオープン化、オンプレミスからクラウドへの移行、マイクロサービス化、データ分析基盤整備を進めています。
2026年には金融庁「FinTech実証実験ハブ」の支援案件となるトークン化預金の銀行間決済実証にも参加しています。
一時的なシステム導入ではなく、金融サービスと社内業務の双方で継続的に技術更新しているため5/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
RPAやAI-OCRなどの自動化を進める一方、2026年3月31日時点でも2,737人を雇用しています。
今回確認した範囲では、RPA・AI導入を直接理由とした大規模希望退職、整理解雇は確認できませんでした。
一方、どの部署で何人分の作業が減り、その従業員が営業、審査、金融犯罪対策などへ何人配置転換されたかは公開されていません。
特にマネロン対策では2025年に追加人員を補充しており、効率化で単純に人員を削るだけではなく、リスク管理業務へ人を投入したことは評価できます。
Innovation小計:18/25点
Protection|20/25点
銀行は災害やサイバー攻撃が起きても、市民が預金を引き出し、振り込み、ローンや生活費にアクセスできることが重要です。
イオン銀行は店舗・ATM・オンラインという複数経路と、災害時の特別対応を持っています。
災害への備え・訓練|3/5点
災害発生時には店舗・ATMの稼働情報を随時公開し、被災者向けの特例対応を実施しています。
一方、イオン銀行単体の防災訓練回数、参加人数、訓練結果、改善事項の年次開示は不足しています。
制度と実対応を確認できるため3/5点です。
生産・物流・調達の代替|5/5点
銀行では製造や物流の代わりに、顧客が金融サービスへアクセスする経路の代替性を評価します。
2026年5月時点で全国約170カ所の店舗、約6,800台のATMがあります。
さらにインターネットバンキング、通帳アプリ、オンライン相談もあります。
一つの店舗が休業しても、別店舗、ATM、オンラインという複数経路を利用できます。
2026年の熊本地震ではイオンモール熊本店が休業しましたが、近隣ATMやオンライン相談を案内しています。
実際に複数の代替手段を持つため5/5点です。
サイバー防衛・情報保護|4/5点
フィッシング、不正送金への注意喚起と補償制度を設けています。
2026年9月からはFIDO認証を導入し、生体認証・端末認証を利用した本人確認を強化しました。
2025年にはGoogle Cloud Japanとフィッシング詐欺対策のパートナーシップも締結しています。
一方、対象法人単体の重大サイバーインシデント件数、SOCでの検知件数、侵入テスト結果、RTO・RPOなどは十分公開されていません。
そのため4/5点です。
供給継続・復旧能力|4/5点
熊本地震では一部店舗・ATMが休止しましたが、それ以外の熊本県内ATMについて通常稼働していることを公表しました。
2025年12月には一部サービスが利用できない障害も発生し、復旧情報を公開しています。
一方、ATM、インターネットバンキング、勘定系システムについて、
・目標復旧時間
・目標復旧時点
・年間稼働率
・重大障害時の平均復旧時間
を法人単体で横断的に比較できる公開情報は不足しています。
実際の代替経路と復旧対応を評価して4/5点です。
危機時の市民への対応|4/5点
2026年の熊本地震では、地震によってイオン銀行ATMを利用できず他行ATMの手数料を負担した利用者へ返金対応を行いました。
台風・大雨などの災害では、
・キャッシュカードや本人確認書類を紛失しても別途本人確認のうえ預金払戻しを受け付ける
・定期預金の満期前払戻しについて相談を受ける
・ローン返済について相談を受ける
などの対応を行っています。
例えば避難中に財布や身分証を紛失し、現金が必要になった場合でも、通常とは異なる本人確認手段によって預金を受け取れる可能性があります。
災害でATMを使えなかったために追加負担した手数料を返す対応も、市民が災害によって余計な金融負担を負わないための仕組みです。
そのため4/5点です。
Protection小計:20/25点
良いニュース・最近の前向きな動き
最近のイオン銀行では、金融犯罪対策の立て直し、FIDO認証、災害対応が重要です。
特に2024年の行政処分後、単に謝罪するだけではなく、人員・組織・システムを変更していることは改善として評価できます。
2026年もマネロン管理態勢の改善を継続
イオン銀行は業務改善計画に基づき、外部専門家を使ったリスク評価、経営陣・全従業員への研修、人員補充、職務分掌の変更、内部監査強化を進めています。
新規検知案件については全量を当日中に判定する体制を構築し、2025年7月には新システムの運用を開始しました。
行政処分を受けた事実は消えませんが、原因となった人員不足や進捗管理そのものへ手を入れている点は前向きな動きです。
2026年9月 FIDO認証を導入
インターネット取引へFIDO認証を導入しました。
スマートフォンに登録された生体認証や端末パスコードを使うため、パスワード情報がフィッシングサイトへ流出した場合でも、不正ログインを難しくできます。
2026年 熊本地震でATM手数料を返金
地震で自社ATMを利用できず、他行ATMを使って手数料が発生した利用者へ返金対応を実施しました。
災害時に金融サービスを止めないだけでなく、停止によって利用者へ生じた追加費用を補う取り組みとして評価できます。
悪いニュース・問題となった動き
イオン銀行の評価で最も重いのは、マネロン・テロ資金供与対策です。
銀行は犯罪に直接関与していなくても、口座や送金網が犯罪収益移転に使われないよう監視する責任があります。
2024年12月 金融庁が業務改善命令
金融庁の検査では、2023年6月から11月、2024年7月から9月に、少なくとも14,639件の検知案件を未判定のまま放置していたことが確認されました。
これは単発の担当者ミスではなく、経営陣によるリスク認識、業務実態把握、資源配分、内部管理など複数階層の問題として金融庁から指摘されています。
そのため今回の企業審査では、商品・サービスの安全を0点としました。
労災件数は9件から22件へ増加
健康経営では多数の取り組みがありますが、公開されている労災発生件数は2022年度9件、2023年度17件、2024年度22件です。
労災を公開している姿勢は評価できますが、件数増加の原因、事故区分、従業員数を考慮した事故率、再発防止後の結果を示す必要があります。
総合評価と、これから改善してほしいこと
株式会社イオン銀行は現在66点・シビックランクCです。
次のBランクは70点からなので、あと4点必要です。
働き方、育児支援、健康管理、デジタル化、全国の金融アクセス、災害対応は高く評価できます。
Bランクへ上がるために最も重要なのは、新しいサービスを増やすことではなく、2024年に発覚した金融犯罪対策の管理不備について「実際に再発しなくなった」と外部から確認できる状態にすることです。
マネロン対策の改善結果を数値で公開する|Safety
現在の「商品・サービスの安全」は0/5点です。
既に、
・新規検知案件を全量当日判定する体制
・新モニタリングシステム
・人員補充
・経営陣へのKRI報告
・外部専門家を使った検証
・全従業員研修
が実施されています。
今後、
・未判定滞留件数0件
・期限超過件数0件
・疑わしい取引届出までの平均日数
・システム検知件数
・人員充足率
・内部監査で発見された重大不備件数
・外部専門家による有効性評価
・12カ月以上の安定運用
を継続公開し、問題が再発していないことを確認できれば4/5点を検討できます。
改善後想定:0→4点
加点幅:+4点
総合点:66→70点
ランク:C→B
参考となる考え方は、事故や不祥事が「制度を作ったから改善した」と判断するのではなく、改善後の数値を継続公開することです。
イオン銀行自身も既にKRIを設定し、経営陣へ月次報告する仕組みを構築しているため、その結果を外部にも分かる範囲で公開すれば評価を大きく改善できます。
労災増加の原因と事故率を公開する|Safety
現在の「労働安全・健康」は6/10点です。
労災件数が9件から17件、22件へ増えているため、
・業務災害と通勤災害の内訳
・休業災害件数
・死亡災害件数
・労災度数率
・事故の主な原因
・再発防止策
・翌年度の事故減少率
を公開する必要があります。
死亡0件と事故率低下を継続確認できれば8/10点を検討できます。
RPA・AIで削減した時間を公開する|Innovation
現在の「作業負担・危険の削減」は6/10点です。
RPA、AI-OCRなど導入内容は具体的ですが、人の仕事がどの程度減ったかが不足しています。
例えば、
・RPA処理件数
・AI-OCR読取件数
・年間削減作業時間
・削減された手入力件数
・導入前後の残業時間
・配置転換人数
・削減時間を教育や休暇へ振り向けた時間
まで公開できれば8~10/10点を検討できます。
次のランクへ上がるための具体例
現在66点・Cで、Bランクは70点からです。
今回最も直接的な改善ルートは、
商品・サービスの安全:0→4点 +4点
です。
マネロン対策について未判定滞留0件、届出遅延0件などを継続し、外部検証でも新体制の実効性が確認できれば、
66点 → 70点
となり、シビックランクBへ上がります。
イオン銀行は働き方や育児支援、金融アクセス、DXにはかなり具体的な強みがあります。
だからこそ今後の評価を決めるのは、新サービスの数ではなく、銀行の基礎である「預かったお金と金融システムを犯罪から守る仕事」を確実に回せるかどうかです。
出典一覧
・株式会社イオン銀行「会社概要」
・株式会社イオン銀行「キーワードから知るイオン銀行」
・株式会社イオン銀行「健康経営」
・株式会社イオン銀行「女性活躍」
・株式会社イオン銀行「ワークライフバランス」
・株式会社イオン銀行「多様な価値観の理解」
・株式会社イオン銀行「DXの取組み」
・株式会社イオン銀行 採用サイト「業務改善を通して、会社の生産性向上に貢献」
・株式会社イオン銀行「マルチステークホルダー方針」
・株式会社イオン銀行「業務改善計画の進捗状況について」
・株式会社イオン銀行「FIDO認証」
・株式会社イオン銀行「令和8年熊本地震発生に伴う手数料等の取扱について」
・株式会社イオン銀行「令和8年台風第24号及び前線による大雨に伴う災害への対応について」
・金融庁「イオン銀行に対する行政処分について」
・イオンフィナンシャルサービス株式会社「有価証券報告書」
・Indeed「株式会社イオン銀行 社員クチコミ」情報ランクB
・転職会議「株式会社イオン銀行 社員口コミ」情報ランクB
・5ちゃんねる「イオン銀行」関連スレッド 情報ランクB
シビックランクの基準
| シビックランク | 総合点 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
株式会社イオン銀行は66点のため、シビックランクCです。
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、または氏名・役職・立場が確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
