私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査する横浜ゴム株式会社は、総合75点、シビックランクBです。
横浜ゴム株式会社の特に強い点は、国内の休業度数率を2024年度0.85から2025年度0.57へ改善し、国内外20拠点のうち16拠点でISO45001を取得しながら、男性育児休業取得率100%、重大情報セキュリティインシデント0件、南海トラフ地震を想定した大規模BCP訓練まで実施していることです。
そのため、横浜ゴムのタイヤや製品を購入すれば、製造現場の安全、育児参加、災害・サイバー対策まで具体的な結果を測定しながら改善する企業へ売上を集めることにつながる可能性があります。
一方で、改善点として女性管理職比率は3.5%、正規雇用の男女賃金比率は78.0%です。また2025年10月にはトラック用タイヤ16本、2026年8月には小型トラック・バン用タイヤ6本のリコールが発生しています。
この記事では、横浜ゴム株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
横浜ゴム株式会社の企業審査結果
横浜ゴム株式会社は1917年創立のタイヤ・ゴム製品メーカーです。
2025年12月末時点の単体従業員数は5,559人、連結では34,471人。2025年度売上収益は1兆2,349億5,900万円で、タイヤ事業が売上の約9割を占めています。乗用車用からトラック・バス、農業・建設・林業機械向けまで幅広いタイヤを製造し、ホース、コンベヤベルト、航空部品、海洋商品なども扱います。
| 評価軸 | 得点 | 主な評価 |
|---|---|---|
| Safety | 37/50 | 平均年収約693万円、男性育休100%、休業度数率0.57、ISO45001を評価。男女賃金差、工場負荷、タイヤリコールが課題 |
| Innovation | 18/25 | HAICoLab、生成AI、自動化、新開発モデルを評価。効率化成果が従業員の残業・休日へどう返ったかは不足 |
| Protection | 20/25 | 南海トラフBCP訓練、TISAX、重大セキュリティ事故0件、世界的生産網を評価。具体的な復旧時間は不足 |
| 総合 | 75/100 | シビックランクB |
主な強み
・2025年12月期の単体平均年間給与約692万8,000円
・2026年新卒大卒初任給26万600円、修士27万3,600円
・新卒総合職の年間休日125日
・男性育児休業取得率100.7%
・時間単位有休制度を交替勤務者にも拡大し、2025年は2,163人が利用
・正社員の平均勤続年数17年以上
・労働組合員5,136人、労働時間委員会を年12回開催
・2025年度国内休業度数率0.57、前年0.85から改善
・国内外20拠点中16拠点でISO45001取得
・国内工場で年2回の安全診断
・HAICoLabを使ったAIによるタイヤ・ゴム開発
・新開発モデルで従来比2年以上の開発期間短縮を実現
・2026年に生成AIによる技術文書検索システムを本格運用
・2025年度重大情報セキュリティインシデント0件
・TISAX認証を維持
・標的型攻撃メール訓練、eラーニングを年1回以上実施
・2025年に南海トラフ地震で愛知・三重4生産拠点が被災する想定のBCP大規模訓練を実施
主な課題
・女性管理職比率3.5%
・正規雇用の男女賃金比率78.0%
・全労働者の男女賃金比率75.4%
・パート・有期労働者の男女賃金比率66.8%
・新卒採用データでは月平均所定外労働28時間という数値も確認される
・平塚製造所、新城工場の製造求人では月平均残業30時間の職種がある
・工場従業員口コミでは暑熱環境への不満がある
・女性管理職が管理職全体の4%未満
・2025年に国内販売16本のトラック用タイヤをリコール
・2026年に国内販売6本の小型トラック・バン用タイヤをリコール
・AI・自動化によって社員の残業が何時間減ったかの全社的な結果が不足
・重要システムや生産拠点が停止した場合のRTO・実復旧時間の開示が不足
事業内容と人間への貢献
横浜ゴムの主力事業はタイヤです。
乗用車、トラック、バスだけでなく、農業機械、鉱山・建設車両、産業車両、林業機械まで、移動や物流を支えるさまざまな車両のタイヤを開発・製造しています。2025年のタイヤ事業売上収益は1兆1,213億円でした。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 横浜ゴム株式会社 |
| 創立 | 1917年10月13日 |
| 本社 | 神奈川県平塚市追分2番1号 |
| 代表取締役会長兼CEO | 山石 昌孝 |
| 代表取締役社長兼COO | 清宮 眞二 |
| 資本金 | 389億900万円 |
| 売上収益 | 1兆2,349億5,900万円 |
| 単体従業員数 | 5,559人 |
| 連結従業員数 | 34,471人 |
| 主な事業 | タイヤ、ホース、コンベヤベルト、海洋商品、航空部品等 |
情報ランク:A。
タイヤが人の移動と物流を支える
タイヤは車両と道路が直接接する部品です。
加速、減速、旋回、雨天時のグリップ、燃費、騒音などに影響します。
トラック用タイヤであれば、食品や生活用品を積んだ車両が安全に物流センターや店舗まで移動するために必要です。
農業・建設車両向けタイヤは、農作物の生産、道路・建物の建設、鉱山など産業活動を支えます。
横浜ゴムの商品が安全性・耐久性を高めれば、車両事故の危険やタイヤ交換回数を減らし、人が移動・輸送へ使う時間と資源を減らせる可能性があります。
Safety 37/50
Safetyでは、工場や開発・営業部門で働く人の賃金、労働時間、育児、安全と、タイヤを使用する利用者の安全を評価しました。
横浜ゴムは育休、労使協議、労災の結果開示、安全マネジメントで強い一方、男女間の登用・賃金差と製造現場の負荷、直近のリコールが課題です。
賃金・利益の還元:7/10
2025年12月末の単体平均年間給与は約692万8,000円です。平均年齢41.1歳、平均勤続年数17.4年です。
2026年実績の新卒初任給は、大卒・高専専攻科卒26万600円、修士了27万3,600円です。時間外勤務手当、家族・住宅手当等も別途支給されます。
2025年度には単体で574億6,500万円を人件費として従業員へ分配しています。前年556億6,200万円から増加しています。
会社は最低賃金を上回る生活賃金の支払いを基本方針とし、時間外・深夜労働について法定水準以上の手当を支給するとしています。
一方、職種別給与中央値や2025~2026年のベースアップ率を全社で比較できる開示は不足しています。
そのため7/10点です。
8~10点を検討するには、技能職・技術職・事務職など職種別の平均または中央値、毎年の賃上げ率を公開し、高収益が幅広い従業員へ還元されていることを確認する必要があります。
情報ランク:S・A。
労働時間・休息:6/10
2027年新卒総合職の休日は年間125日です。完全週休2日制に加え、夏季、年末年始、指定年休4日があります。
一方、新卒採用関連の職場情報では月平均所定外労働時間28時間、平均有給取得13日というデータが確認できます。
さらに2026年の平塚製造所求人では交替勤務職で月平均残業30時間、新城工場の交替勤務求人でも月平均30時間です。新城工場は4勤2休で年間休日133日ですが、23時05分~翌8時という夜勤があります。
休日数は多いものの、工場・技術職では20~30時間程度の残業が見られるため6/10点です。
8/10点を検討するには、会社全体と主要工場別で月平均残業15時間以下、有休取得率80%以上を実現し、45時間・60時間超の社員比率まで公開する必要があります。
情報ランク:S・A。
雇用の安定・待遇の公平性:3/5
2025年12月期の女性管理職比率は3.5%です。
男女賃金比率は、
・全労働者75.4%
・正規雇用78.0%
・パート・有期66.8%
です。
平均勤続年数は男性17.6年、女性15.7年で、長期雇用は男女とも確認できます。
また、製造職正社員の約30%が期間社員から登用された社員とされています。非正規から正社員へ移れる経路が実際に機能していることは評価できます。
一方、管理職に占める女性はまだ3.5%です。
会社自身も2026年度5%、2030年度10%を目標に掲げています。
雇用の安定と正社員登用を評価する一方、男女間の登用・賃金差が大きいため3/5点です。
4/5点を検討するには、女性管理職比率を20%以上、正規雇用の男女賃金比率を90%以上へ近づける必要があります。
情報ランク:S・A。
福利厚生・育児・介護:5/5
2025年度の男性育児休業取得率は100%です。法定算定では100.7%となっています。
在宅勤務、コアタイムなしフレックス、育児・介護休業、配偶者同行休業、キャリアリターン制度なども整備しています。
2025年からは交替勤務者にも時間単位有給を拡大し、2,163人が利用しました。
製造現場の交替勤務者まで時間単位休暇の対象にした点は重要です。
育児参加と柔軟な働き方を実績まで確認できるため5/5点です。
情報ランク:S・A。
人権・ハラスメント・労使関係:5/5
横浜ゴムではユニオンショップ制を採用しており、2025年12月末の労働組合員は5,136人です。
労使間では、
・中央労使協議会 年5回
・地方労使協議会 年6回
・労働時間委員会 年12回
・厚生委員会 年12回
・同一労働同一賃金委員会 年2回
を実施しています。
社内ホットラインと社外弁護士事務所の相談窓口も設置しています。2023~2025年のストライキ・ロックアウトは0件です。
従業員側が組織的に賃金・労働時間・安全について会社と交渉できる構造と、外部相談経路まであるため5/5点です。
情報ランク:A。
労働安全・健康:8/10
2025年度の休業度数率は、
・連結0.23
・国内0.57
・海外0.11
でした。
2024年度は連結0.37、国内0.85、海外0.25だったため、いずれも改善しています。
国内外20拠点のうち16拠点でISO45001を取得しています。
国内工場では安全衛生推進室による年2回の安全診断を実施し、設備へ身体が入らない・手が届かない構造への改善、リスクアセスメント、KYT、ヒヤリハット、交通事故防止などを進めています。
安全制度だけでなく度数率を毎年公開し、改善まで確認できることを高く評価します。
一方、国内度数率は0ではありません。
またIndeedでは2026年9月、工場経験者から真夏の暑熱環境について厳しい口コミも投稿されています。口コミは21件と少なく個人体験ですが、製造現場の暑熱対策は継続確認が必要です。
そのため8/10点です。
10/10点を検討するには、重大・死亡災害0を維持しながら国内休業度数率をさらに低下させ、暑熱環境や交替勤務の健康リスクも定量的に改善する必要があります。
情報ランク:A・B。
商品・サービスの安全:3/5
横浜ゴムはIATF16949やISO9001に基づく品質管理・教育を行っています。
2025年度のタイヤサービスエンジニア認定者は国内外で増え、クレーム判定を行える担当者も育成しています。
一方、直近にタイヤリコールが発生しています。
2025年10月にはトラック用タイヤ「126S」16本について、サイドウォール部材の配置不良により最悪の場合走行不能となる可能性があるとしてリコールしました。
2026年8月には小型トラック・バン用タイヤ「LT151R」6本について、異物付着による部材の接着力不足から、最悪の場合エア漏れで走行不能となる可能性があるとしてリコールしました。販売先はすべて特定され、無償交換が行われています。
対象本数が少なく、顧客を特定して即時交換している点は評価できますが、タイヤは安全に直結する製品です。
そのため3/5点です。
4~5点を検討するには、国内リコール0を複数年継続し、不具合発生率や市場品質指標も改善する必要があります。
情報ランク:S・A。
従業員・元従業員の口コミ
Indeedでは2026年9月時点で21件の口コミがあり、総合評価は2.2/5、勤務時間・残業は1.8/5です。
2026年9月の匿名投稿では、
「有給は取れるが基本嫌な顔はされる」
という声や、真夏の工場環境について厳しい指摘があります。
一方、工場別に集計された別ページでは総合3.0/5、給与・福利厚生3.1/5、上司との関係3.2/5という結果もあり、勤務地・職場ごとの差が見られます。
転職会議では2026年の投稿で、在宅勤務について柔軟に使えるという肯定的な体験もあります。
匿名口コミだけで会社全体を判断せず、公式の労災・労働時間データを優先しています。
ただし製造現場の暑熱・残業・職場差については、口コミと求人データの双方から継続確認が必要です。
情報ランク:B。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイを中心に「横浜ゴム」「工場」「残業」「給与」「夜勤」などで確認しました。
5ちゃんねるでは工場環境に対する古い否定的投稿が存在しますが、2022年以前の投稿が中心で、現在の従業員であることも確認できません。
2025~2026年の現在の労務採点を変更できる具体的な匿名投稿は確認できなかったため、SNS・匿名掲示板による追加の加点・減点は行いません。
Safety小計:37/50点
Innovation 18/25
Innovationでは、タイヤの研究・製造で人が行ってきた膨大な試作、分析、判断、生産作業をAIや自動化によってどこまで減らしているかを評価しました。
横浜ゴムはAI活用の技術力が非常に高く、開発期間を実際に短縮しています。
一方、生産性向上が従業員の残業や休日へどう返ったかについては十分な結果公開がありません。
作業負担・危険の削減:6/10
中国・メキシコの新工場では大ロット生産と自動化を積極的に導入し、人的生産性を高めています。
ゴム混合工程ではAIが温度、湿度、回転数、電力、混合時間など多数の条件から品質へ影響する要素を抽出し、製造条件の改善へ利用しています。量産試作でも有効性が確認されています。
AIや自動化によって、人が大量の条件を一つずつ試行する仕事を減らせることは明確です。
一方、製造現場で重量物作業、設備への接触、歩行距離、必要人数などが導入前後で何%減ったかというデータは不足しています。
そのため6/10点です。
8~10点を検討するには、自動化前後の作業人時、危険作業、労災、必要人数を定量公開する必要があります。
商品・サービスの改善:5/5
横浜ゴム独自のAI利活用フレームワーク「HAICoLab」は、AI、シミュレーション、人の知識を組み合わせてゴム配合やタイヤ構造を最適化します。
2026年8月には、社内技術文書をRAGで検索し、必要情報と根拠を生成AIが提示する独自システムを本格運用しました。
また新しい開発モデルでは、従来の方法と比較して2年以上の開発期間短縮を実現しています。HAICoLabでは今後、開発リードタイム最大50%削減も目指しています。
タイヤ性能、開発速度、材料使用量、CO2削減など複数の改善へ技術をつなげているため5/5点です。
改善成果の人間への還元:2/5
AIによって開発期間を2年以上短縮し、技術情報を探す時間も減らしています。
これは技術者が従来の反復的な検索・試作へ費やす時間を減らす改善です。
しかし、その時間が実際に、
・月平均残業の削減
・休日増加
・人員配置の改善
・賃上げ
・危険作業削減
へどれだけ返ったのかは公開されていません。
一部工場求人では現在も月平均残業30時間の職種があります。
技術による時間削減は明確ですが、人の自由時間へ返った結果までは十分でないため2/5点です。
4/5点を検討するには、AI・自動化導入部門について残業や必要作業時間の導入前後比較を公開する必要があります。
研究開発・現場改善の継続:5/5
HAICoLabは2020年に開始し、その後、
・AIによるゴム物性予測
・AIによるゴム配合生成
・混合工程の品質安定化
・車両・タイヤのバーチャル開発
・生成AIによる技術文書検索
まで対象を拡大しています。
一度導入して終わるDXではなく、研究開発と生産工程の両方で6年以上改善を続けているため5/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
横浜ゴムでは自動化、AI、バーチャル開発を積極的に進めています。
一方、2025年12月末の単体従業員数は5,559人で、2026年も新卒採用と工場採用を継続しています。2026年新卒では事務系15人、技術系32人を採用しています。
工場の期間社員から正社員への登用も続いており、製造職正社員の約30%が期間社員からの登用者です。
今回確認した公式資料、求人、口コミ、SNSでは、AI・自動化を理由とする大規模解雇、希望退職、採用停止は具体的に確認できませんでした。
一方、AI導入部署で職種別人数が何人から何人へ変化したか、配置転換が何人発生したかという情報はありません。
したがって、自動化後も雇用・採用は続いていますが、個々の業務への影響は今後も追跡する必要があります。
Innovation小計:18/25点
Protection 20/25
Protectionでは、巨大地震、工場停止、サイバー攻撃などが発生しても、タイヤ・工業製品の供給を続けられるかを確認しました。
横浜ゴムは具体的なBCP訓練、複数の生産拠点、情報セキュリティ訓練と第三者認証まで持っており、この分野は非常に強い企業です。
一方、重要機能が停止した際の具体的な復旧時間は十分に公開されていません。
災害への備え・訓練:5/5
安否確認システムを2009年度から運用し、2021年以降は毎年3月に全国一斉安否確認訓練を実施しています。
2025年度には、南海トラフ地震によって愛知県・三重県の4生産拠点が被災した想定で大規模BCP訓練を行いました。
非常用通信手段やリモートツールを使い、中央災害対策本部の立ち上げと意思疎通を確認しています。
抽象的なBCPだけでなく、複数工場同時被災という厳しいシナリオで訓練しているため5/5点です。
情報ランク:A。
生産・物流・調達の代替:4/5
横浜ゴムグループは世界120カ国以上で事業を展開し、海外を含む多数の生産・販売拠点を持ちます。
中国、メキシコでも新工場の立ち上げを進めており、一国・一工場だけに生産を集中していません。
複数地域に生産能力を持つことで、一拠点が災害や設備故障で停止した際に供給を組み替える余地があります。
一方、例えば三重工場停止時に何%を別工場へ移せるかという製品別代替能力は公開されていません。
そのため4/5点です。
5/5点を検討するには、重要製品の代替工場、切替可能量、原材料の複数調達率まで開示する必要があります。
サイバー防衛・情報保護:5/5
2025年度の重大な情報セキュリティインシデントは0件です。
従業員への標的型攻撃メール訓練とeラーニングを年1回以上実施しています。
ドイツ自動車工業会の情報セキュリティ評価「TISAX」を2022年に取得し、現在も維持しています。
グループ会社についても定期的にセキュリティ対策を確認しています。
情報セキュリティ委員会は2025年度に2回開催され、活動状況は取締役会へ報告されます。
方針、第三者認証、教育、訓練、重大事故0という結果まで揃っているため5/5点です。
情報ランク:A・S。
供給継続・復旧能力:3/5
BCP基本要領、災害ガイドライン、安否確認、複数生産拠点、大規模訓練など、復旧へ向けた体制は具体的です。
サイバー攻撃を想定したBCPもIT部門が中心となって強化しています。
一方、
・タイヤ生産設備を何時間で復旧するのか
・基幹システムのRTOは何時間か
・実際の設備停止時に何時間で生産再開したか
という結果は十分に公開されていません。
そのため3/5点です。
5/5点を検討するには、主要工場・システムごとのRTOと訓練・実障害時の復旧時間を公開する必要があります。
危機時の市民への対応:3/5
横浜ゴムと従業員による「YOKOHAMAまごころ基金」は、2025年にも豪雨、洪水、ミャンマー地震、大船渡市の林野火災、台風災害などへ義援金・救援金を提供しています。
2015年からは日本カーシェアリング協会へタイヤを寄贈し、自然災害で車を失った人への無料貸し出し車両にも使われています。
これは本業であるタイヤを災害後の移動手段確保へ直接利用する支援です。
一方、自治体との大規模災害時物資供給協定や、発災後何時間以内に何本のタイヤを供給したかという緊急供給実績までは確認できません。
そのため3/5点です。
Protection小計:20/25点
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の横浜ゴムでは、労災の改善、AI開発の進展、サイバー・BCP強化という、人の安全と技術を組み合わせた動きが目立ちます。
特に「技術を導入した」という説明だけでなく、労災度数率や重大セキュリティ事故件数まで公開している点は企業審査上の強みです。
2025年度 国内休業度数率を0.85→0.57へ改善(Safety)
国内の休業度数率は2024年度0.85から2025年度0.57へ低下しました。連結でも0.37から0.23へ改善しています。
工場の設備安全化、年2回の安全診断、リスクアセスメントなどが、事故結果の改善へつながっている可能性があります。
労災を「ゼロを目指す」という目標だけでなく、実際の数字を公開している点を高く評価できます。
2025年度 南海トラフ地震想定の大規模BCP訓練を実施(Protection)
愛知・三重の4生産拠点が同時被災するシナリオで、中央災害対策本部を立ち上げる大規模訓練を実施しました。
巨大地震では工場一つだけではなく、同じ地域の複数拠点が同時に被災する可能性があります。
その状況まで想定している点は、通常の避難訓練より実践的です。
2026年8月 生成AIをタイヤ開発へ本格導入(Innovation)
2026年8月、社内技術文書を検索し、回答と根拠を提示する生成AIシステムを本格運用しました。
材料開発やタイヤ設計の担当者が、過去の大量の技術文書を一つずつ探す時間を減らせます。
同時に、新開発モデルでは従来より2年以上開発期間を短縮しています。
今後は、この短縮した時間が社員の残業削減にもつながるかが次の評価点です。
2025年度 重大情報セキュリティインシデント0件(Protection)
横浜ゴムは2025年度の重大な情報セキュリティインシデントを0件と公表しています。
TISAX認証、標的型メール訓練、定期教育を実施した上で、重大事故0という結果まで示している点はProtectionで高く評価できます。
悪いニュース・問題となった動き
直近の大きな課題は、タイヤの品質問題と製造現場の働き方です。
対象本数の少ないリコールではありますが、タイヤは走行安全へ直接影響するため、「16本だけ」「6本だけ」で完全に無視することはできません。
2026年8月 LT151Rを6本リコール(Safety)
2026年8月27日、小型トラック・バン用タイヤ「LT151R」の国内販売6本についてリコールを届け出ました。
製造管理が不十分だったことで構成部材に異物が付着し、サイドウォール部の接着力が不足する可能性があり、最悪の場合はエア漏れによる走行不能につながるおそれがありました。
販売先は全て特定され、即時無償交換を実施しています。
被害拡大を防ぐ対応は迅速ですが、製造工程の異物管理が課題として残ります。
2025年10月 トラック用タイヤ126Sを16本リコール(Safety)
2025年10月31日にはトラック用タイヤ「126S」16本をリコールしました。
製造指示が不適切だったため、サイドウォール部材が適切に配置されず、最悪の場合エア漏れによる走行不能のおそれがありました。
2025年、2026年と連続して国内リコールが発生しているため、少数ロットであっても製造指示・工程管理の改善結果を確認する必要があります。
女性管理職3.5%、正規雇用男女賃金比78.0%(Safety)
2025年度の男性育休100%とは対照的に、管理職登用と賃金には男女差があります。
女性管理職比率は3.5%です。
会社は2030年度10%を目標としていますが、現時点では管理職約30人に1人程度しか女性がいない計算です。
正規雇用の男女賃金比率も78.0%であり、登用差と合わせて改善が必要です。
総合評価と、これから改善してほしいこと
現在75点・シビックランクBです。
次のAランクは80点からなので、あと5点必要です。
横浜ゴムは企業審査で重視する「結果の公開」が比較的よくできています。
特に労災度数率、男性育休、サイバー事故件数、BCP訓練などは、制度だけではなく結果まで確認できます。
一方で、男女間の公平性、製造現場の労働時間、AI・自動化の成果を人へ返す部分、製品品質がAランクへの主な壁です。
製造現場を含め残業15時間以下へ改善する:労働時間・休息 6→8/10
現在の「労働時間・休息」は6/10点です。
年間休日125日など休日日数は強い一方、採用データでは月平均所定外労働28時間、工場求人では30時間程度の職種もあります。
AI、開発期間短縮、生産自動化によって生まれた時間を人員削減だけへ使わず、残業削減へ使うことが重要です。
全社と主要工場で月平均残業15時間以下、有休取得率80%以上を実現できれば8/10点を検討できます。
現在:6/10点
改善後:8/10点
加点:+2点
総合:75→77点
ランク:Bのまま
参考企業は株式会社三井住友銀行です。Google Drive上の現行審査では月平均法定外労働13.3時間、有休取得率95.5%を確認し、「労働時間・休息」は10/10点です。
女性管理職と男女賃金差を改善する:雇用の安定・待遇の公平性 3→4/5
現在の女性管理職比率は3.5%、正規雇用の男女賃金比率は78.0%です。
次期管理職候補となる係長クラスの女性比率は18.9%、主任クラスは43.3%まで上がっているため、登用候補そのものは増えています。
この層を実際に管理職へ登用し、女性管理職20%以上、正規雇用男女賃金比90%以上へ近づければ4/5点を検討できます。
現在:3/5点
改善後:4/5点
加点:+1点
総合:75→76点
参考企業は株式会社ミツウロコグループホールディングスです。Drive上の現行審査では女性管理職比率47.4%、正規雇用男女賃金比91.5%を確認しています。
AI・自動化の成果を残業削減へ返す:改善成果の人間への還元 2→4/5
現在の「改善成果の人間への還元」は2/5点です。
横浜ゴムは開発期間を従来より2年以上短縮し、生成AIや生産自動化を進めています。
この成果を、
・開発部門の残業20%削減
・工場の必要手作業20%以上削減
・危険作業減少
・雇用を維持した配置転換
・教育時間の増加
として公開できれば4/5点を検討できます。
現在:2/5点
改善後:4/5点
加点:+2点
総合:75→77点
参考企業はキリンビバレッジ株式会社です。Drive上の現行審査では、物流自動化による生産性42%向上と従業員の検品等への再配置まで確認でき、「改善成果の人間への還元」は4/5点です。
国内タイヤリコール0を継続する:商品・サービスの安全 3→5/5
現在は3/5点です。
2025年に16本、2026年に6本の国内リコールが発生しました。
対象本数は限定的ですが、タイヤは利用者の生命・移動へ直接関わる製品です。
製造指示、異物管理、工程監査を改善し、国内リコール0を複数年継続するとともに、市場不具合率を年次公開できれば5/5点を検討できます。
現在:3/5点
改善後:5/5点
加点:+2点
総合:75→77点
次のランクへ上がるための具体例
現在75点・Bです。
Aランクは80点からなので、あと5点必要です。
例えば、
・残業15時間以下、有休80%以上:+2点
・女性管理職・男女賃金差改善:+1点
・国内リコール0を複数年継続:+2点
を実現すると、
75+2+1+2=80点
となり、シビックランクAへ上がります。
別の方法では、
・労働時間改善:+2点
・AI・自動化成果の人への還元:+2点
・公平性改善:+1点
でも80点へ到達します。
横浜ゴムは、AI開発、設備安全、サイバー、BCPという「企業を強くする技術と仕組み」については高い水準にあります。
Aランクへ進むために重要なのは、その技術力をさらに人へ返すことです。
タイヤ開発を2年以上短縮できるなら、その時間の一部を従業員が早く帰れる時間へ変える。
工場を自動化できるなら、暑熱・夜勤・危険作業を減らす。
過去最高益を続けられるなら、男女による賃金・登用差を縮める。
そして高い品質技術を持つ企業として、国内リコールをゼロへ近づける。
ここまで結果で示せれば、現在のBランクからAランクへ上がると評価できます。
現時点の総合評価は75点/100点、シビックランクBです。
出典一覧
1.横浜ゴム株式会社「会社概要」【情報ランクA】
2.横浜ゴム株式会社「2025年度 有価証券報告書」【情報ランクS】
3.横浜ゴム株式会社「統合報告書2026」【情報ランクA】
4.横浜ゴム株式会社「持続的な企業価値向上を実現する人材力」【情報ランクA】
5.横浜ゴム株式会社「労働慣行に関するマネジメント」【情報ランクA】
6.横浜ゴム株式会社「多様性と機会均等」【情報ランクA】
7.横浜ゴム株式会社「健康経営」【情報ランクA】
8.横浜ゴム株式会社「労働安全衛生」【情報ランクA】
9.横浜ゴム株式会社「顧客の安全衛生」【情報ランクA】
10.横浜ゴム株式会社「リスクマネジメント」【情報ランクA】
11.横浜ゴム株式会社「横浜ゴム独自のAI利活用フレームワーク HAICoLab」【情報ランクA】
12.横浜ゴム株式会社「生成AIシステムを独自開発」2026年8月28日【情報ランクA】
13.横浜ゴム株式会社「小型トラック・バン用タイヤLT151Rのリコール」2026年8月27日【情報ランクA】
14.横浜ゴム株式会社「トラック用タイヤ126Sのリコール」2025年10月31日【情報ランクA】
15.横浜ゴム株式会社「YOKOHAMAの社会貢献活動」【情報ランクA】
16.横浜ゴム株式会社「2027年度新卒募集要項」【情報ランクA】
17.Gビズインフォ「横浜ゴム株式会社」【情報ランクS】
18.ハローワーク「横浜ゴム株式会社 平塚製造所求人」2026年【情報ランクS】
19.ハローワーク「横浜ゴム株式会社 新城工場求人」2026年【情報ランクS】
20.Indeed「横浜ゴム株式会社の社員クチコミ」【情報ランクB】
21.転職会議「横浜ゴム株式会社の社員口コミ」【情報ランクB】
22.5ちゃんねる「工場勤務関連投稿」【情報ランクB】
23.Google Drive「株式会社三井住友銀行を企業審査」現行版【参考企業】
24.Google Drive「株式会社ミツウロコグループホールディングスを企業審査」現行版【参考企業】
25.Google Drive「キリンビバレッジ株式会社の企業審査」現行版【参考企業】
シビックランクの基準
| ランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、または氏名・役職・立場が確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
情報ランクは企業そのものの良し悪しではなく、個々の情報の出どころと検証状態を示します。
75点なので、現状でもかなり上位ですが、Aランクまであと5点です。