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PT Aneka Bumi Pratamaを企業審査|シビックランクE・45点/100点|ISO45001・PROJECT TREEの農家支援を評価、労働KPI・労災・BCP開示が課題

私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。

働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。

反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。

だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。

なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット

今回審査するPT Aneka Bumi Pratamaは、総合45点、シビックランクEです。

PT Aneka Bumi Pratamaの特に強い点は、パレンバンとジャンビの両工場でISO9001、ISO14001、ISO45001などの認証を取得し、天然ゴムの品質・環境・労働安全を管理しながら、PROJECT TREEを通じて天然ゴムの原産地追跡と小規模農家への支援を拡大していることです。2025年にはPROJECT TREEによるサステナビリティ教育・研修を8,223戸の小規模農家へ実施し、2021~2025年の累計は2万8,135戸に達しました。

そのため、この企業が加工する天然ゴムを使った製品が選ばれれば、原料の産地を追跡し、森林破壊や人権リスクを確認しながら、小規模農家へ教育や現金インセンティブを還元する天然ゴム供給網が広がる可能性があります。

一方で、改善点として、PT Aneka Bumi Pratama単体の平均給与、給与中央値、平均残業時間、有給取得率、男女賃金差、死亡・休業労災件数、労災度数率などの公開情報が不足しています。2025年9月の現役従業員口コミでは「Jam kerja jelas, lembur dibayar」と評価される一方、土曜日勤務も挙げられています。

さらに2026年9月7日には、2人の原告がPT Aneka Bumi Pratamaを相手に「一方的な雇用終了をめぐる紛争」としてパレンバン地方裁判所へ労働事件を提起しており、2026年10月9日時点では審理中です。現時点では判決が出ていないため、会社側の違法行為が認定された事実としては扱いません。

この記事では、PT Aneka Bumi Pratamaの強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。

目次

PT Aneka Bumi Pratamaの企業審査結果

PT Aneka Bumi Pratamaは、インドネシア・スマトラ島で天然ゴムを加工し、タイヤメーカーなどへ輸出する企業です。

1987年に設立され、1996年に伊藤忠商事が49%出資、2003年に100%子会社となりました。パレンバン工場とジャンビ工場の2工場を持ち、SIR 10、SIR 20などのTechnically Specified Rubberを世界の主要タイヤメーカーへ供給しています。

評価軸得点主な評価
Safety20/50点ISO45001、福利厚生口コミ、品質認証、人権・調達方針を評価。賃金・労働時間・労災結果の単体開示が不足
Innovation18/25点PROJECT TREEのブロックチェーン追跡、農家への現金還元・教育、継続的なトレーサビリティ拡大を高評価
Protection7/25点2工場・複数集荷拠点による分散を評価。BCP、災害訓練、サイバー、復旧時間の開示が不足
総合45/100点シビックランクE

評価時点:2026年10月9日
適用基準:Google Drive「企業審査マスター仕様書」最新版

主な強み

  • 伊藤忠商事100%子会社
  • パレンバン・ジャンビの2工場
  • ISO9001認証
  • ISO14001認証
  • ISO45001認証
  • SNI認証
  • ジャンビ工場でFSC Chain of Custody関連認証
  • 環境・社会影響評価を実施
  • PROJECT TREEによる天然ゴムの原産地追跡
  • ブロックチェーンによる取引・位置情報記録
  • 2025年の小規模農家研修8,223戸
  • 2021~2025年累計で2万8,135戸を研修
  • PROJECT TREE参加農家へ現金インセンティブを還元
  • 2025年時点で自社システムによる小規模農家までの追跡が月間調達量の24%
  • 原料供給業者にCSR確認宣言への署名を要求
  • 2024年末時点で水使用原単位とCOD・BODについてGreen Industry基準達成
  • 2025年9月の現役社員口コミでは残業代支給、食事、医療費、送迎を評価

主な課題

  • 対象会社単体の平均給与・給与中央値が非公表
  • ベースアップ率が非公表
  • 平均残業時間が非公表
  • 有給休暇取得率が非公表
  • 年間総労働時間が非公表
  • 男女賃金差・女性管理職比率が非公表
  • 死亡・休業労災件数が非公表
  • 労災度数率・強度率が非公表
  • ISO45001は確認できるが事故削減結果を外部から比較できない
  • 2026年9月から雇用終了をめぐる労働訴訟1件が係争中
  • 供給網の追跡は自社システムでは24%で、全原料を農家単位まで追跡できているわけではない
  • SPOTTの2025年評価では実践面の開示が37.8%にとどまる
  • BCP・災害訓練・目標復旧時間が非公表
  • サイバー防御のMFA、EDR、SOC、バックアップなどが非公表

事業内容と人間への貢献

PT Aneka Bumi Pratamaは、ゴム農家や集荷業者から天然ゴム原料を買い取り、洗浄・裁断・乾燥・プレスなどを行って、タイヤ製造に使える規格ゴムへ加工する会社です。

天然ゴムはタイヤをはじめ、自動車・物流など社会インフラを支える材料です。

一方、天然ゴムの供給網では小規模農家が多く、原料が複数の集荷業者・仲介業者を経由するため、どの農園から来たゴムなのか分かりにくいことが長年の課題でした。

基本情報

項目内容
会社名PT Aneka Bumi Pratama
略称ABP
設立1987年
親会社伊藤忠商事株式会社100%
本社・工場パレンバン、南スマトラ州
第2工場ジャンビ州Batang Hari
集荷拠点Gunung Megang、Muara Bungo
主な製品SIR 10、SIR 20等の天然ゴム
主な顧客国内外の主要タイヤメーカー
主な事業天然ゴムの加工・販売・輸出

会社公式では、パレンバンとジャンビの2工場で天然ゴムを加工し、世界の主要タイヤメーカーへ販売すると説明しています。

天然ゴムを工業製品へ変える

原料の天然ゴムは、小規模農家などがゴムの木から採取したものです。

工場では原料を裁断し、洗浄・粉砕し、シート状にして乾燥させ、再度細かくして機械乾燥し、約35kgのブロックへプレスします。

2019年の工場調査では、原料の初期裁断は機械で自動処理されており、人が手作業でゴムを細かく切る工程を減らしていることが確認されています。

事業による人間への貢献

天然ゴムの生産を支えるのは大規模農園だけではありません。

ABPの原料は多数の小規模農家から集められています。

小規模農家の収入が不安定で、生産効率が低く、環境や人権上の問題を確認できない状態では、タイヤを購入する企業や消費者も「どのように生産されたゴムか」を判断できません。

PROJECT TREEでは農家・集荷業者・加工会社の取引情報を記録し、参加農家への教育やインセンティブにつなげています。

2025年には8,223戸、累計2万8,135戸へサステナビリティ研修を実施しました。自社システムで小規模農家まで追跡できた天然ゴムは月間調達量の24%まで拡大しています。

Safety|20/50点

Safetyでは、ゴム工場で働く人が十分な賃金・休息・安全を得られているかと、顧客へ規格どおりの天然ゴムを届けられるかを確認します。

ABPはISO45001、ISO9001、福利厚生、安全衛生管理など一定の仕組みを持っています。一方、会社単体の賃金・労働時間・労災結果の定量開示が少なく、制度が実際にどの程度良い結果へつながっているか外部から確認しにくいことが大きな弱点です。

賃金・利益の還元|2/10点

会社単体の平均給与、給与中央値、毎年の賃上げ率を確認できる公式資料はありません。

Jobstreetの7件の口コミでは72%が給与を「高いまたは平均的」と評価しています。2025年9月の現役Production Officerは、

「Jam kerja jelas, lembur dibayar」

と投稿しています。

残業代が支払われているという現在の従業員証言は評価できます。

一方、一人の口コミから会社全体の賃金水準を判断することはできません。

企業全体の平均給与、中央値、最低賃金との差、ベースアップ率が公開されていないため2/10点です。

会社単体の賃金中央値と雇用区分別給与を公開し、地域最低賃金を十分上回る賃金と継続的な実質賃金上昇を確認できれば4~6/10点を検討できます。

労働時間・休息|2/10点

2025年9月の現役Production Officerは、勤務時間が明確で残業代が支払われ、休暇申請もしやすいと評価しています。

一方、同じ投稿では「sabtu kerja」、つまり土曜日勤務が課題として挙げられています。

過去の工場調査では、ジャンビ工場の製造工程に2交替・3交替勤務があり、繁忙期には月曜から土曜まで稼働する体制が確認されています。これは2019年資料なので現在も同じとは断定しません。

現在の会社単体の平均残業時間、有休取得率、年間総労働時間、長時間労働者比率は公開されていません。

そのため2/10点です。

月平均残業20時間未満、有休取得率80%以上、長時間労働者の少なさを最新データで公開できれば4~6/10点を検討できます。

雇用の安定・待遇の公平性|2/5点

PT Aneka Bumi Pratamaは1987年から操業し、2026年にもProduction Staffなどの求人が確認されています。

一方、会社単体の離職率、正規・非正規人数、男女賃金差、女性管理職比率、男女別勤続年数は公開情報を確認できませんでした。

また2026年9月7日、Rendi Prandika氏とMiato氏がPT Aneka Bumi Pratamaを相手に、一方的な雇用終了をめぐる労働紛争をパレンバン地方裁判所へ提起しています。2026年10月9日時点で審理中で、まだ会社側の違法行為が認定されたわけではありません。

雇用を継続し採用も行っている点は評価できますが、公平性と雇用安定を検証できる数値が不足するため2/5点です。

福利厚生・育児・介護|3/5点

2025年9月の現役社員口コミでは、昼食、食事手当、医療費払い戻し、通勤用車両などが利用できるとされています。

2024年に行われたK3研修の工場調査では、社内診療所、健康診断、BPJS Ketenagakerjaan・BPJS Kesehatanへの加入、P3K設備なども報告されています。これは会社の公式統計ではなく研修報告なので、補助情報として扱います。

一方、育児休業、男性育休、介護休業、復職率などを会社単体で確認できません。

健康・食事・通勤面の福利厚生を評価して3/5点です。

人権・ハラスメント・労使関係|3/5点

ABPは伊藤忠商事の天然ゴム調達方針を適用し、法令順守、人権尊重、地域住民の生計、供給網管理などをサステナビリティ方針に掲げています。

全供給者へCSR Confirmation Declarationへの署名を求める方針もあります。

SPOTTの2025年評価では、内部通報手続きと、外部ステークホルダーも利用できる苦情処理制度が確認されています。

一方、ABP単体で、

  • ハラスメント相談件数
  • 内部通報件数
  • 苦情認定件数
  • 是正件数
  • 労働組合加入率

などは公開されていません。

制度は確認できるものの結果が不足するため3/5点です。

労働安全・健康|4/10点

パレンバン工場とジャンビ工場の双方でISO45001:2018認証を取得しており、現在の公式証明書では2027年までの有効期限が確認できます。

ISO45001は、危険源の特定、リスク評価、教育、事故防止などを継続的に管理する労働安全衛生マネジメント規格です。

2024年の現場研修報告では、P2K3、安全衛生専門職、年1回の健康診断、危険物管理、フォークリフトなどの資格管理が確認される一方、一部の労働者が完全な保護具を装着していなかったとの指摘もあります。

最も重要な問題は、会社単体の、

  • 死亡労災件数
  • 休業災害件数
  • 労災度数率
  • 強度率
  • 挟まれ・巻き込まれ
  • 熱・騒音・化学物質による健康障害

を年次比較できないことです。

ISO45001という第三者認証は評価しますが、事故の結果を確認できないため4/10点です。

死亡0件、休業災害件数、度数率、原因別事故件数を毎年公開し、低水準を複数年確認できれば6~8/10点を検討できます。

商品・サービスの安全|4/5点

両工場はISO9001の品質管理認証を取得しています。

パレンバン・ジャンビともSNI認証があり、ジャンビ工場にはFSC Chain of Custody関連認証もあります。

天然ゴムはタイヤなど安全性に関わる製品の原料になるため、ゴムの物性や異物などを規格どおり管理することが重要です。

ABPはTechnically Specified Rubberを主要タイヤメーカーへ供給しています。

一方、顧客クレーム、不適合件数、製品回収、品質事故の年次KPIまでは公開されていません。

第三者認証と長期供給実績を評価して4/5点です。

従業員・元従業員の口コミ

Jobstreetでは7件の口コミがあり、総合4.4/5です。

Work/Life balanceは3.7、Benefits & perksは4.0、Managementは4.1です。

最新の2025年9月・ジャンビのProduction Officerは、勤務時間が明確、残業代支給、食事、医療費、通勤車両、休暇申請について肯定的に投稿しています。

一方、土曜勤務を課題として挙げています。

2017年の製造部門口コミでは交替勤務や工場の空気環境が課題として挙げられていますが、約9年前の情報なので現在の職場環境へそのまま適用しません。

情報ランク:B。

SNS・匿名掲示板の確認結果

X、Reddit、5ちゃんねる等について社名と従業員、残業、事故、解雇などを組み合わせて検索しました。

今回、対象法人の現従業員・元従業員であることと勤務時期・職種を十分確認でき、採点を変更できる投稿は確認できませんでした。

2021年には元従業員が低賃金や社会保障未加入などを訴えた地方メディア記事がありますが、本人の主張を報じたもので、行政処分や裁判で認定された事実は今回確認できていません。そのため現在の採点へ直接反映していません。

Safety小計:20/50点

Innovation|18/25点

PT Aneka Bumi Pratamaの最大の強みはInnovationです。

特にPROJECT TREEは、従来は「どの農家のゴムなのか分からない」状態だった複雑な供給網をデジタル追跡し、追跡されたゴムの販売価値を小規模農家へ還元する仕組みです。

単純なDXではなく、技術によって供給網を可視化し、その利益を人へ返している点を高く評価します。

作業負担・危険の削減|4/10点

ゴム加工では、裁断、洗浄、粉砕、乾燥、プレスなどに機械設備を利用しています。

2019年のジャンビ工場調査では、最初の裁断工程は自動裁断機が行い、人が手作業で裁断する必要がないと報告されています。

一方、

  • 機械化によって年間何時間削減したか
  • 重量物を何kg・何回減らしたか
  • 必要作業員数が何人減ったか
  • 労災が何件減ったか

という導入前後の定量値はありません。

そのため4/10点です。

商品・サービスの改善|5/5点

PROJECT TREEでは、天然ゴムの取引情報、日時、位置情報をスマートフォンアプリからブロックチェーンへ記録します。

これによってタイヤメーカーは「どの地域から調達された天然ゴムか」を確認できるようになります。

天然ゴムでは違法伐採、保護地域への農地拡大、児童労働、地域住民への権利侵害などがサプライチェーン上のリスクになります。

原産地情報を追跡できることは、タイヤという最終製品の調達品質そのものを改善します。

2026年9月には横浜ゴムが、ABPの供給網とPROJECT TREEを利用したタイヤをファミリーマートの配送トラックへ供給し始めました。

実際の商用製品へ展開されているため5/5点です。

改善成果の人間への還元|4/5点

PROJECT TREEの大きな特徴は、トレーサビリティを企業の管理だけに使わず、一部の売上を参加小規模農家へ現金インセンティブとして還元していることです。

農家への生産性向上、廃水管理、農園経営などの教育も行われています。

2025年には8,223戸、累計で2万8,135戸が教育・研修を受けました。

技術によって生まれた付加価値を供給網の人へ実際に返しているため4/5点です。

一方、ABP自身の工場従業員について、デジタル化・機械化で生まれた利益を賃金や休日へ返した数値は確認できないため満点にはしません。

研究開発・現場改善の継続|5/5点

PROJECT TREEは短期実証ではありません。

2019年から取り組みを進め、2025年6月には伊藤忠商事がPT PROJECT TREE INDONESIAを設立し、プロジェクトをABPの供給網からインドネシア全体へ拡大する体制を作りました。

2025年には自社システムによる小規模農家までのトレーサビリティが月間調達量の24%まで拡大しています。

伊藤忠商事は2028年までに天然ゴム原料の100%トレーサビリティを目標にしています。

長期間にわたり技術・農家支援・商用販売を拡張しているため5/5点です。

自動化・AI導入後の雇用状況

加工工程では機械化が進み、PROJECT TREEでもデジタル技術を導入しています。

一方、2026年にもProduction Staffなどの採用情報が確認され、今回の調査では自動化を理由とする大規模希望退職や整理解雇の公表は確認できませんでした。

ただし2026年9月には2人の元・現労働者との雇用終了をめぐる裁判が始まっています。

この事件と自動化の因果関係を示す資料はなく、自動化による人員削減とは結びつけません。

Innovation小計:18/25点

Protection|7/25点

Protectionでは、洪水、火災、停電、設備故障、サイバー攻撃、供給停止が発生しても天然ゴム加工を継続できるかを評価します。

PT Aneka Bumi Pratamaは2工場と複数の原料集荷拠点を持つため一定の分散性があります。

しかし、BCP、実地訓練、工場ごとの復旧時間、情報システムの防御など、Protectionを高得点にするための結果開示が不足しています。

災害への備え・訓練|0/5点

会社公式サイト、伊藤忠商事資料、外部評価を確認しましたが、ABP単体の、

  • BCP
  • 地震・洪水・火災訓練
  • 安否確認訓練
  • 非常用電源
  • 災害対応マニュアルの具体的内容

を確認できる公開情報は不足しています。

スマトラ島では洪水等の自然災害リスクがあるため、天然ゴム供給を維持するには工場単位のBCPが重要です。

十分な調査後も結果を確認できないため0/5点です。

生産・物流・調達の代替|3/5点

パレンバンとジャンビの2工場を持ち、Gunung MegangとMuara Bungoにも原料集荷拠点があります。

一つの工場だけへ生産を集中していない点は供給継続上の強みです。

原料も南スマトラ、ジャンビだけでなく複数州の小規模農家・供給者から調達します。SPOTTでは、会社所有農園を持たず、すべて第三者から天然ゴムを調達すると整理されています。

一方、片方の工場が停止した場合にもう一方が何%を代替できるか、原料調達地域が途絶したときの切替量は公開されていません。

そのため3/5点です。

サイバー防衛・情報保護|0/5点

PROJECT TREEではブロックチェーンを使用し、原料の取引・位置情報の改ざん防止やトレーサビリティに利用しています。

しかし、これはABP全社のサイバーセキュリティ体制とは別です。

ABP単体について、

  • MFA
  • EDR
  • SOC
  • ネットワーク分離
  • オフラインバックアップ
  • サイバー訓練
  • インシデント件数
  • RTO・RPO

を確認できる公開情報は不足しています。

重要情報を確認できないため0/5点です。

供給継続・復旧能力|3/5点

工場が2拠点に分散され、複数の原料集荷拠点を持つため、企業全体が一つの施設だけで成立する構造ではありません。

またパレンバン・ジャンビの両工場にはISO9001、14001、45001があり、設備・品質・安全管理の仕組みが継続されています。

一方、

  • 工場停止時の目標復旧時間
  • 過去の重大設備停止
  • 別工場への製造切替時間
  • 物流代替ルート
  • 重要設備の予備機

を確認できません。

そのため3/5点です。

危機時の市民への対応|1/5点

過去に地域住民向け健康教育などのCSR活動を実施しています。

一方、大規模災害時の避難所提供、生活物資供給、災害復旧などの具体的実績をABP単体で確認できませんでした。

地域との関わりを限定的に評価して1/5点です。

Protection小計:7/25点

良いニュース・最近の前向きな動き

PT Aneka Bumi Pratamaの最近の前向きな動きでは、PROJECT TREEが実証段階から大規模な農家支援・商用タイヤへ広がっていることが重要です。

天然ゴムを購入する企業が原産地と人権・環境への影響を確認し、売上の一部が原料生産者へ返る仕組みが広がれば、低価格だけで原料を買うサプライチェーンから、農家の生活と環境を維持する供給網へ変化する可能性があります。

2026年9月 ファミリーマート配送車にPROJECT TREE協賛タイヤを導入(Innovation)

2026年9月25日、横浜ゴム、伊藤忠商事、ファミリーマートは、ファミリーマートの店舗配送トラックへPROJECT TREE協賛タイヤを導入すると発表しました。

天然ゴムはABPの供給網を通じ、原料産地のトレーサビリティ、現金インセンティブ、リスクアセスメント、農家教育などにつながります。

PROJECT TREEが「実験」ではなく、実際に日本国内を走る配送トラックのタイヤへ使われる段階まで進んだことを示しています。

2025年 小規模農家8,223戸を教育・支援(Innovation)

2025年だけで8,223戸の小規模農家へサステナビリティ教育・研修を行い、累計は2万8,135戸に達しました。

研修には生産性、品質、廃水管理、人権リスクなどが含まれます。

農家の生産量と品質が上がれば所得改善につながる可能性があり、環境・人権リスクも減らしやすくなります。

2025年6月 PROJECT TREE専業会社を設立(Innovation)

伊藤忠商事はPT PROJECT TREE INDONESIAを設立し、2025年6月から営業を開始しました。

ABPで作った仕組みをインドネシアの天然ゴム業界全体へ広げる役割を担います。

2024年末 水使用・排水指標でGreen Industry基準を達成(Safety)

ABPは環境方針で、水使用量削減、COD・BOD、温室効果ガス削減などに取り組み、2024年12月31日時点で水使用原単位とCOD・BODについてGreen Industry基準を達成したと公表しています。

ゴム加工では大量の水を使うため、排水管理は周辺住民の生活環境にも関係します。

悪いニュース・問題となった動き

現在の主な問題は、重大事故の新規発覚というより、労働条件・事故・BCPについて外部から確認できる数字が少ないことと、2026年に雇用終了をめぐる裁判が始まっていることです。

また、天然ゴム供給網のトレーサビリティは進歩しているものの、全調達を農家まで追跡できる段階にはまだ達していません。

2026年9月 雇用終了をめぐる労働裁判が開始(Safety)

2026年9月7日、2人の原告がPT Aneka Bumi Pratamaを被告として、雇用終了をめぐる労働紛争をパレンバン地方裁判所へ提起しました。

2026年10月9日時点で審理中です。

裁判があるだけで会社に問題があったとは判断しません。

今後、判決または和解内容が公開され、会社側の違法な解雇や未払いが認定された場合にはSafety評価を再検討します。

自社システムによる農家までの追跡は24%(Innovation)

PROJECT TREEは大きく進歩していますが、2025年時点でABPの独自システムを使って小規模農家まで追跡できる原料は月間購入量の24%です。

SPOTTの2025年評価でも総合61.6%、実践面37.8%で、特に実際の供給網情報の外部検証には改善余地があると評価されています。

原料供給者から「産地を把握している」と申告を受けることと、農家単位の取引記録をデジタルで追跡できることは別なので、両者を混同しません。

過去には河川汚染の疑いが報じられた

2014年、ジャンビ工場周辺でゴム工場排水がBatanghari川を汚染しているとの住民・地方議会関係者の主張がANTARAで報じられました。

これは12年以上前の「疑い」の報道であり、現在の行政処分や違反を示すものではありません。

現在はISO14001を取得し、2024年末には水使用・COD・BODについてGreen Industry基準達成を公表しているため、過去の報道を現在の環境実績へそのまま適用しません。

総合評価と、これから改善してほしいこと

PT Aneka Bumi Pratamaは45点、シビックランクEです。

次のDランクは50点からなので、あと5点必要です。

PROJECT TREE、ISO45001、ISO14001、ISO9001という強みを見ると、何も取り組んでいない企業ではありません。

特に天然ゴムのトレーサビリティと小規模農家への還元は、他社でも簡単に確認できる取り組みではありません。

点数が伸びない最大の原因は、工場で直接働く人について「給与はいくらか」「どれくらい働くか」「何件事故が起きているか」、そして工場が止まったとき「何日で復旧できるか」を会社単体の数字で確認できないことです。

労働時間・休息を法人単体で公開する|Safety

現在の「労働時間・休息」は2/10点です。

2025年の口コミでは勤務時間が明確で残業代も払われている一方、土曜勤務があります。

次に、

  • 月平均残業20時間未満
  • 有休取得率80%以上
  • 年間休日120日以上または同等の年間休息
  • 月45時間超の社員比率
  • 交替勤務者の休日数

を会社単体で公開し、良好な実績を確認できれば4/10点を検討できます。

改善後想定:2→4点
加点幅:+2点
総合点:45→47点
ランク:E

参考企業は株式会社クリーン・アクア・ビバレッジです。Google Drive上の現行審査では年間休日127日、平均残業約2時間という具体的な勤務結果が確認され、総合59点・Dと評価しています。

労災件数・度数率を公開し、安全成果を証明する|Safety

現在の「労働安全・健康」は4/10点です。

ISO45001は強い制度ですが、安全の最終結果は事故がどれだけ起きているかです。

毎年、

  • 死亡労災
  • 休業労災
  • 労災度数率
  • 強度率
  • 挟まれ・巻き込まれ
  • 転倒
  • 化学物質事故
  • 熱・騒音による職業性疾病
  • 請負労働者の事故

を公開し、死亡0件と低い度数率を複数年確認できれば6/10点を検討できます。

改善後想定:4→6点
加点幅:+2点
総合点:47→49点
ランク:E

参考企業としてJ&T環境株式会社は、Google Drive上の現行審査で一部事業部の「過去3年間労災なし」を確認できる安全表彰などを公開し、総合65点・Cと評価しています。

BCPと復旧訓練を公開する|Protection

現在の「災害への備え・訓練」は0/5点です。

2工場を持っていること自体は強みなので、

  • パレンバン工場停止時のジャンビへの切替
  • ジャンビ工場停止時のパレンバンへの切替
  • 工場別RTO
  • 非常用発電機
  • 洪水・火災訓練
  • 年1回以上のBCP訓練
  • 原料集荷拠点の代替ルート

を具体化し、実地訓練まで公開できれば最低1/5点以上を検討できます。

改善後想定:0→1点
加点幅:+1点
総合点:49→50点
ランク:E→D

参考企業はJ&T環境株式会社です。Google Drive上の現行審査では自治体との災害廃棄物協定、150人超規模の訓練、過去の災害廃棄物処理実績まで確認でき、Protection17/25点です。

次のランクへ上がるための具体例

現在45点・Eで、Dランクは50点からです。

例えば、

労働時間・休息:2→4点 +2点
労働安全・健康:4→6点 +2点
災害への備え・訓練:0→1点 +1点

と改善すれば、

45点+2点+2点+1点=50点

となり、シビックランクDへ上がります。

つまりPT Aneka Bumi Pratamaが次のランクへ上がるために必要なのは、PROJECT TREEをさらに宣伝することではありません。

すでに強い天然ゴムのトレーサビリティと農家支援に加えて、「工場で働く人が実際に十分休めている」「事故が実際に少ない」「片方の工場が止まっても供給を続けられる」という3つの結果を、法人単体の数字で示すことです。

出典一覧

1.PT Aneka Bumi Pratama「Company Profile」【情報ランクA】
2.PT Aneka Bumi Pratama「Company History」【情報ランクA】
3.PT Aneka Bumi Pratama「Certification」【情報ランクA】
4.PT Aneka Bumi Pratama「Sustainability Policy」【情報ランクA】
5.PT Aneka Bumi Pratama「Environment Policy」【情報ランクA】
6.International Rubber Study Group「PT Aneka Bumi Pratama」【情報ランクS】
7.伊藤忠商事「PROJECT TREE」【情報ランクA】
8.伊藤忠商事「自然資本・生物多様性/TNFD」【情報ランクA】
9.伊藤忠商事「Sustainable Procurement」【情報ランクA】
10.SPOTT「ITOCHU Corporation(Aneka Bumi Pratama PT)」【情報ランクS】
11.横浜ゴム・伊藤忠商事「ファミリーマート向けPROJECT TREE協賛タイヤ」【情報ランクA】
12.株式会社ファミリーマート「PROJECT TREE協賛タイヤ導入」【情報ランクA】
13.Hankook Tire「PROJECT TREE参画」【情報ランクA】
14.パレンバン地方裁判所SIPP「119/Pdt.Sus-PHI/2026/PN Plg」【情報ランクS】
15.Jobstreet「PT Aneka Bumi Pratama社員口コミ」【情報ランクB】
16.2024年K3研修現場報告「PT Aneka Bumi Pratama」【情報ランクB】
17.ANTARA Jambi「2014年の河川汚染疑義報道」【情報ランクB】
18.Google Drive現行企業審査「株式会社クリーン・アクア・ビバレッジ|59点・D」【比較用】
19.Google Drive現行企業審査「J&T環境株式会社|65点・C」【比較用】

シビックランクの基準

シビックランク総合点
S90~100点
A80~89点
B70~79点
C60~69点
D50~59点
E40~49点
F20~39点
G0~19点

PT Aneka Bumi Pratamaは45点のため、シビックランクEです。

情報ランクの基準

情報ランク基準
S公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報
A企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、または氏名・役職・立場が確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる公表情報
B従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板、現場研修報告など、発信者と対象企業との関係や内容を独立に完全確認しにくい情報

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