MENU

岩谷産業株式会社を企業審査|シビックランクB・76点/100点|平均年収1,020万円・男性育休100%と全国災害救援網を評価、男女賃金差55%・不正アクセスが課題

私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。

働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。

反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。

だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。

なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット

今回審査する岩谷産業株式会社は、総合76点、シビックランクBです。

岩谷産業株式会社の特に強い点は、高い給与水準と育児支援を維持しながら、全国規模のLPガス供給網と災害救援隊によって、平時だけでなく災害時にも人の生活を支える体制を構築していることです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、働く人へ利益を還元しながら、停電や大規模災害が起きてもエネルギーを確保しやすい社会につながる可能性が高まります。

一方で、改善点として、2025年度の男女の平均年間給与比が55.0%、女性管理職比率が7.7%にとどまることと、2026年3月にグループシステムへの不正アクセスが発生したことが残ります。

この記事では、岩谷産業株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。

岩谷産業株式会社の企業審査結果

岩谷産業は、LPガス、カセットこんろ、水素などの産業ガス、機械、樹脂・金属・鉱物などのマテリアルを扱う総合商社・エネルギー企業です。

2026年3月末時点の単体従業員数は1,384人、連結従業員数は12,113人。単体売上高は5,380億300万円、連結売上高は9,085億2,200万円です。

評価軸得点
Safety38/50点
Innovation17/25点
Protection21/25点
総合点76/100点
シビックランクB

主な強み

・2025年度の平均年間給与1,020万7,000円
・平均勤続年数15.3年
・月平均残業17.1時間
・月平均60時間以上残業した従業員0人
・男性育児休業取得率100%
・出産した女性従業員の1年後継続就業率100%
・2023~2025年度の死亡労災0件
・ハラスメント相談窓口と労働組合・労使協議会を整備
・LPガス輸入基地5カ所、充填基地111カ所、配送拠点約134カ所の供給網
・約3,600人の有資格者が参加するMaruiGas災害救援隊
・災害救援隊は2026年3月までに33件、延べ2,215人が出動
・毎年全国一斉の災害対応訓練を実施
・24時間365日の有人遠隔監視で設備管理を省人化
・パレタイズ、溶接、搬送、塗装などのロボットシステムを展開
・水素供給、燃料電池、液化水素冷熱などの研究・事業化を継続
・2024年のサントリーのバイオPETでは、PET樹脂の製造から納品までの運用マネジメントを担当
・2026年にはタイでFtoPダイレクトリサイクルによる再生PET事業へ参画

主な課題

・男女の平均年間給与比55.0%
・女性管理職比率7.7%
・女性の平均勤続年数11.3年に対し男性17.1年
・年次有給休暇取得率55.0%
・女性の自己都合退職率6.1%、男性3.6%
・休業災害件数、度数率、強度率の単体開示が不足
・24時間監視やロボットによる省人化が、自社社員の残業・休日・賃金へどれだけ還元されたかは未公表
・自動化後の部署別人員推移、配置転換、再訓練結果が非公表
・2026年3月にグループシステムへの不正アクセスが発生
・重要システムのRTO・RPO、復元試験時間が非公表
・岩谷産業が過去に販売したリコール対象電子レンジについて、2024~2025年にも重大製品事故が公表されている

事業内容と人間への貢献

岩谷産業は、家庭で使うLPガスやカセットこんろから、病院・工場で使われる産業ガス、水素、産業機械、樹脂、金属、食品まで幅広く扱っています。

その中でも、人間への貢献を考えるうえで特に重要なのが「エネルギーを必要な場所へ届けること」と「危険・反復作業を機械へ移すこと」です。

基本情報

項目内容
会社名岩谷産業株式会社
英文名Iwatani Corporation
創業1930年5月5日
設立1945年2月2日
大阪本社大阪市中央区本町3-6-4
東京本社東京都港区浜松町2-3-1
代表者代表取締役社長執行役員兼CEO 間島寬
資本金350億96百万円
従業員数1,384人
連結従業員数12,113人
単体売上高5,380億3百万円
連結売上高9,085億22百万円
主な事業LPガス、水素・産業ガス、機械、マテリアル等

2026年9月28日時点の会社公式情報です。

主な事業内容

総合エネルギー事業では、LPガスを輸入・貯蔵し、全国の充填・配送拠点から家庭、店舗、工場などへ届けています。

産業ガス・機械事業では、水素、ヘリウム、窒素などのガス供給に加え、溶接、搬送、パレタイズ、塗装などを自動化するロボットシステムも扱っています。

マテリアル分野では、PET樹脂を含む環境配慮型材料も扱っています。

2024年にサントリーが使用済み食用油由来のバイオパラキシレンを使ったPETボトルを導入した際には、岩谷産業がPET樹脂の製造から納品までの運用マネジメントを担当しました。

事業による人間への貢献

LPガスは都市ガスのような導管を必要とせず、容器やバルクタンクで保管できます。

そのため、大規模災害で電気や都市ガスが止まった場合にも、非常用発電、調理、給湯、冷暖房などへ利用できます。

岩谷産業は全国の自治体、病院、介護施設、学校、企業へ、LPガス非常用発電機、GHP、炊き出し設備などを組み合わせた災害用エネルギーシステムを提供しています。

さらに、水素では輸送、産業、鉄道、建設機械などへの利用を広げています。

2026年10月6日にはコスモエネルギーグループと千葉製油所で水素事業を共同推進すると発表し、10月8日にはグループ会社が液化水素ガス用貯槽を製造する新工場を操業しました。

Safety|38/50点

Safetyでは、岩谷産業で働く人の賃金、休息、雇用、育児、人権、労働災害と、LPガスやカセットこんろなどを使う利用者の安全を評価します。

給与、育児支援、死亡事故ゼロ、人権制度は強い一方、男女の賃金・管理職格差と有給取得率には改善余地があります。

賃金・利益の還元|10/10点

2025年度の平均年間給与は1,020万7,000円です。

男性平均は1,179万2,000円、女性平均は648万4,000円でした。

平均年齢39.8歳で1,000万円を超える給与水準を確認でき、平均勤続年数も15.3年あります。

会社が生み出した価値を給与として働く人へ還元している結果が明確なため10/10点です。

ただし、後述する男女間の差は「雇用の安定・待遇の公平性」で別に評価します。

労働時間・休息|6/10点

2025年度の月平均残業時間は17.1時間です。

2023年度14.1時間、2024年度14.7時間から増加していますが、月平均60時間以上となった従業員は3年連続0人です。

年次有給休暇取得率は55.0%でした。

深刻な長時間労働が広く続いているとは確認できない一方、有休取得率はまだ半分程度です。

そのため6/10点です。

8/10点を検討するには、平均残業15時間以下、有給休暇取得率80%以上を継続して確認したいところです。

雇用の安定・待遇の公平性|2/5点

平均勤続年数は15.3年、自己都合退職率は全体4.3%で、長期雇用は比較的安定しています。

一方、男女の平均年間給与比は55.0%です。

女性管理職比率も7.7%にとどまります。

平均勤続年数も男性17.1年に対し女性11.3年です。

男女で同一職務の賃金表が45%低いことを意味する数字ではありません。職位、勤続年数、職種構成などの差も含まれます。

しかし、女性が高賃金職・管理職まで継続して進めているかを見る結果指標として差が大きく残っています。

そのため2/5点です。

福利厚生・育児・介護|5/5点

2025年度の男性育児休業取得率は100%です。

女性は92.9%、育児休業等または育児目的休暇を利用した男性も100%でした。

出産した女性従業員の1年後継続就業率も100%です。

岩谷産業は2021年に「プラチナくるみん」、2022年に「えるぼし」2つ星、2024年には大阪市女性活躍リーディングカンパニーの最高位である三つ星認証も取得しています。

制度だけでなく利用結果まで確認できるため5/5点です。

人権・ハラスメント・労使関係|5/5点

岩谷産業はグループ人権方針を定め、職場のハラスメント相談窓口を設置しています。

相談時には事実確認を行い、再発防止措置を取ること、相談者等のプライバシーを守ることを明示しています。

また労働協約を締結し、団結権、団体交渉権、団体行動権を認め、労使協議会や地域単位の協議も行っています。

制度、救済経路、労使協議の仕組みまで確認できるため5/5点です。

労働安全・健康|6/10点

2023年度、2024年度、2025年度の死亡労働災害件数はすべて0件、死亡者数も0人です。

50人以上の事業所では毎月衛生委員会を開催し、健康診断、ストレスチェック、長時間労働者フォローなども行っています。

死亡災害ゼロを複数年確認できることは強い材料です。

一方、休業災害件数、度数率、強度率などは、人事データ上で死亡災害ほど明確には公開されていません。

死亡事故がないことと、けが全体が非常に少ないことは別です。

そのため6/10点とします。

8点以上には、休業災害・度数率・強度率を対象会社単体で毎年公開し、低い事故率を継続して確認する必要があります。

商品・サービスの安全|4/5点

LPガスでは24時間365日の遠隔有人監視、残量監視、設備点検、保安検査などを組み合わせています。

グループには液化石油ガス設備士が約2,000人おり、異常検知後の対応まで含めた体制を持っています。

一方、岩谷産業が過去に販売したリコール対象電子レンジについて、2024年・2025年にも火災を含む重大製品事故が消費者庁から公表されています。

製品自体は古い機種ですが、リコール対象品が社会に残り続けている問題は無視できません。

現在の安全管理体制を評価しつつ、過去製品の回収完了まで課題が残るため4/5点です。

従業員・元従業員の口コミ

転職会議では、投稿者集計の月平均残業時間は約19.5時間、有給消化率は約49.7%です。

会社公表の2025年度残業17.1時間、有休取得率55.0%と大きく離れていない範囲です。

2025年頃に勤務していた20代男性正社員の投稿には、

「部署によるが、有給休暇は基本的にいつでも取れる。」

との記載があります。

情報ランクBの一人の投稿であり、全社へ一般化はしません。

一方、2018年の法人営業職の投稿には、

「本社と支店でかなりのギャップがある。」

との記載もあります。

古い投稿なので現在の全社実態とは扱いませんが、拠点別の働き方を会社平均だけで判断しないための補助情報とします。

SNS・匿名掲示板の確認結果

X、5ちゃんねる、爆サイについて、岩谷産業と「残業」「給料」「休日」「パワハラ」「労災」「人員削減」「自動化」などを組み合わせて確認しました。

対象法人の現社員・元社員であること、時期、職種、拠点、投稿本文まで確認でき、今回の採点を変更できるほど具体的な現行投稿は確認できませんでした。

Innovation|17/25点

Innovationでは、水素など新しい商品だけでなく、人が行っていた監視、搬送、溶接、積み付けなどの作業を技術でどれだけ減らしているかを評価します。

岩谷産業には省人化に直結するサービスが複数ありますが、自社従業員へ成果がどう返ったかという数字は不足しています。

作業負担・危険の削減|6/10点

工場向けエネルギーサービスでは、24時間365日稼働する有人遠隔監視センターを保有しています。

ガス残量や設備異常を遠隔で検知できるため、利用企業側が現地で常時監視する必要を減らし、省人化につながります。

ロボット事業では、溶接、工程間搬送、組立、検査、パレタイズ、ピッキング、塗装などを自動化できます。

協働ロボットでは、安全柵を減らしながら人の近くで作業する設備も扱っています。

ただし、「年間何人時削減」「重量物作業を何%削減」「事故を何件削減」といった定量結果は十分公開されていません。

そのため6/10点です。

商品・サービスの改善|5/5点

岩谷産業はLPガス中心の企業から、水素、燃料電池、低環境負荷PET、再生PET、ロボット、医療・バイオ分野へ事業を広げています。

2024年のサントリーのバイオPETでは、PET樹脂の製造から納品までの運用マネジメントを担当しました。

2026年8月にはタイでFtoPダイレクトリサイクルを使ったプリフォーム製造事業への参画を発表しています。

エネルギー供給だけでなく、容器循環や製造技術まで改善領域を広げているため5/5点です。

改善成果の人間への還元|1/5点

遠隔監視による省人化やロボットによる自動化は具体的です。

しかし、その技術を岩谷産業自身の業務へ導入した結果、

・残業が何時間減ったか
・危険作業が何件減ったか
・何人を別の仕事へ配置転換したか
・研修時間や休日がどれだけ増えたか

という因果は十分公開されていません。

高い給与や男性育休100%は評価できますが、それを「自動化によって生まれた成果」と直接結びつける根拠はありません。

そのため1/5点です。

研究開発・現場改善の継続|5/5点

岩谷産業は長期間、水素関連の研究・供給網整備を続けています。

2026年だけでも、水素燃料電池建設機械、水素混焼熱風発生装置、液化水素冷熱、燃料電池鉄道、川崎市の圧縮水素工場、千葉製油所での共同水素事業などを進めています。

単一製品の研究で終わらず、製造、輸送、貯蔵、利用まで複数の用途へ継続しているため5/5点です。

自動化・AI導入後の雇用状況

岩谷産業は遠隔監視、ロボットシステム、デジタル設備管理など、省人化につながるサービスを展開しています。

一方、2023年度1,321人、2024年度1,368人、2025年度1,384人と、対象会社単体の従業員数は直近3年間では増加しています。

これだけで「自動化によって雇用が増えた」とは判断しません。

事業拡大、採用、出向等の影響もあるからです。

公開情報と口コミ・SNSの追加検索では、自動化を理由とする大規模希望退職、整理解雇、採用停止を裏付ける具体的な情報は確認できませんでした。

今後は、設備導入部署ごとの必要人数、配置転換人数、再教育後の定着率まで公開すると、自動化と雇用の関係をより正確に評価できます。

Protection|21/25点

Protectionは岩谷産業のもう一つの大きな強みです。

LPガスは現地で貯蔵でき、導管停止の影響を受けにくい特徴があります。岩谷産業は全国供給網と災害救援隊を組み合わせ、実際の大規模災害で復旧活動を行っています。

一方、2026年のサイバー不正アクセスによって、デジタル面の防御には改善課題が確認されました。

災害への備え・訓練|5/5点

岩谷産業は防災業務計画を策定し、国内事業所、LPガス基幹センター、充填所などへ衛星電話、非常用発電設備等を配備しています。

MaruiGas災害救援隊では毎年10月に全国一斉訓練を行っています。

計画だけでなく定期訓練と実災害への出動を確認できるため5/5点です。

生産・物流・調達の代替|5/5点

岩谷産業のLPガス供給網には、輸入基地5カ所、充填基地111カ所、配送拠点約134カ所があります。

北海道から沖縄まで営業・配送拠点を展開し、一地域だけに供給機能を集中させていません。

一拠点が停止した際に他拠点から復旧支援・供給を行える全国ネットワークが、実際の災害救援隊活動でも使われています。

そのため5/5点です。

サイバー防衛・情報保護|2/5点

2026年3月16日、岩谷産業はグループシステムへの第三者による不正アクセスを公表しました。

4月17日には第2報を出し、調査と再発防止対応を継続しています。

自ら公表し、外部専門家等を含む対応を進めたことは評価します。

しかし、実際に外部侵入を許した事実があるため、高得点にはできません。

またMFA、EDR、ネットワーク分離、オフラインバックアップ、重要システムの復旧試験結果について、全社的な適用率を十分確認できません。

そのため2/5点です。

供給継続・復旧能力|4/5点

主要拠点では停電時にも稼働できるLPガス非常用発電機やオートガス設備を整備しています。

また全国のガス資格者が被災地域へ入り、点検・復旧を支援する仕組みがあります。

供給拠点そのものが被災した場合でも、他地域から人・設備を送れる体制は明確です。

一方、主要基地ごとのRTO、何時間以内に何%の供給を復旧するかという定量目標は十分公開されていません。

そのため4/5点です。

危機時の市民への対応|5/5点

MaruiGas災害救援隊には約3,600人のLPガス有資格者が参加しています。

2026年3月までに33件、延べ2,215人が出動しました。

東日本大震災では353人、熊本地震では613人、西日本豪雨では67人、能登半島地震では205人が復旧活動へ入っています。

災害用の商品を販売しているだけでなく、実際の被災地へ専門資格を持つ人員を送り、エネルギー供給の復旧を行っているため5/5点です。

良いニュース・最近の前向きな動き

2026年の岩谷産業では、水素供給網とPETリサイクルの双方で新しい事業が進んでいます。

災害に強いLPガスという既存事業を維持しながら、次世代エネルギーと資源循環へ事業を移している点が特徴です。

2026年10月 千葉製油所で水素事業を共同推進

2026年10月6日、岩谷産業とコスモエネルギーグループは、千葉製油所で水素事業を共同推進すると発表しました。

既存の製油所インフラと岩谷産業が持つ水素供給技術を組み合わせられれば、産業分野で使う燃料を水素へ転換するための供給拠点を増やせます。

2026年10月 液化水素貯槽の新工場が操業

10月8日にはグループ会社のイワタニ・エーテックが液化水素ガス用貯槽などを製造する新工場を操業しました。

水素を大量に使うには、製造する設備だけでなく、低温で安全に貯蔵するタンクも必要です。

水素サプライチェーンの不足部分を自社グループで補えることは、将来の供給力につながります。

2026年8月 タイでFtoPダイレクトリサイクルへ参画

2026年8月、岩谷産業はタイで、使用済みPETボトルからプリフォームを直接製造するFtoPダイレクトリサイクル技術による事業への参画を発表しました。

岩谷産業は以前からPET樹脂の流通・サプライチェーン管理に関わっており、サントリーのバイオPETでもPET樹脂の製造から納品までを管理しています。

材料を販売するだけでなく、資源循環そのものを事業へ広げている点を評価します。

悪いニュース・問題となった動き

現在の岩谷産業で大きな課題は、男女のキャリア・給与差と、2026年に実際に発生したサイバー不正アクセスです。

また、過去に販売したリコール対象製品が現在も事故につながっている問題も残っています。

2026年3月 グループシステムへ不正アクセス

2026年3月16日、岩谷産業は一部グループシステムへの第三者による不正アクセスを公表しました。

4月17日に第2報を出し、対応を継続しています。

LPガス、水素、物流、顧客情報などを扱う企業では、情報システム停止がエネルギー供給へ波及する可能性があります。

物理的な防災網が強い企業だからこそ、デジタル側も同じ水準まで強化する必要があります。

2025年度 男女平均年間給与比55.0%

2025年度の男性平均年間給与は1,179万2,000円、女性は648万4,000円で、賃金格差として55.0%が公表されています。

女性管理職比率も7.7%です。

平均給与全体が高くても、女性が高い職位・高賃金職へ進む機会に差が残れば、企業全体としての還元は十分とは言えません。

2024~2025年 リコール対象電子レンジで重大製品事故が継続

岩谷産業が過去に販売した電子レンジについては、リコール実施後も市場に残った製品で火災などの重大製品事故が公表されています。

消費者庁は2024年7月、2025年3月、7月、12月などにもリコール対象製品が関係する重大事故を公表しています。

古い製品の問題ですが、回収対象品をできる限り市場から減らす継続的な周知が必要です。

総合評価と、これから改善してほしいこと

現在76点・シビックランクBです。

次のAランクは80点からなので、あと4点必要です。

岩谷産業は、高い給与、男性育休100%、死亡災害ゼロ、災害時の実働体制という強みを持っています。

Aランクへ進むために重要なのは、事業をさらに広げることより、男女間のキャリア格差とサイバー防衛という現在確認できる弱点を改善することです。

男女の給与・管理職格差を縮小する|雇用の安定・待遇の公平性 2→4点

現在は2/5点です。

女性管理職比率7.7%、男女平均年間給与比55.0%が最大の課題です。

女性が総合職・技術職・管理職へ長く残れる育成と配置を進め、女性管理職比率15%以上、男女平均年間給与比80%以上を実現することを改善目標とします。

これを確認できれば2→4点、+2点を検討できます。

総合点は76→78点です。

参考になるのは、福寿園のように女性管理職比率30%台を実現している企業です。業種・職種構成は異なりますが、管理職登用の結果指標を上げるという点は参考にできます。

サイバー防衛を実装結果まで公開する|サイバー防衛・情報保護 2→4点

現在は2/5点です。

2026年に不正アクセスが実際に発生したため、方針を作るだけでは十分ではありません。

全社MFA、EDR、ネットワーク分離、改ざん耐性のあるバックアップ、復元試験を実装し、その適用率と重要システムのRTO・RPOを公開する必要があります。

重大な侵入を複数年防ぎながら、復旧訓練で目標時間を達成できれば2→4点、+2点を検討できます。

総合点は76→78点です。

この2項目を両方改善すれば、76→80点となりシビックランクAへ到達します。

参考企業としては、CSIRTやSOC、復旧訓練まで体系的に公開するTOPPANなどの取り組みが参考になります。

次のAランクへ上がるための具体例

改善項目企業が実行する内容達成条件現在点→改善後加点
雇用の安定・待遇の公平性女性の管理職・高賃金職への登用を拡大女性管理職15%以上、男女平均給与比80%以上2→4+2
サイバー防衛・情報保護MFA・EDR・ネットワーク分離・バックアップ復元を全社実装重大侵入0を継続、RTO・RPOと復旧試験を公開2→4+2
合計76→80+4

この2項目を改善できれば、76点から80点となりシビックランクAへ上がります。

岩谷産業は、災害時に実際に人を派遣してLPガスを復旧させるProtectionと、平均年収1,000万円を超える人への還元という点では非常に強い企業です。

だからこそ、次に求められるのは、男性だけでなく女性も同じように長く高い職位で働ける状態を作ることと、物理的な災害対応力と同じ水準までデジタル上の防御力を高めることです。

出典一覧

1.岩谷産業株式会社「会社概要」

2.岩谷産業株式会社「人事データ」

3.岩谷産業株式会社「ダイバーシティ&インクルージョン」

4.岩谷産業株式会社「人権対応」

5.岩谷産業株式会社「災害への対応」

6.岩谷産業株式会社「LPガス事業者の方へ/MaruiGas災害救援隊」

7.岩谷産業株式会社「気候変動」

8.岩谷産業株式会社「LPG供給設備」

9.岩谷産業株式会社「ロボット用途別一覧」

10.岩谷産業株式会社「生産ラインの省エネ・省コスト」

11.岩谷産業株式会社「2026年ニュース」

12.岩谷産業株式会社「グループシステムへの不正アクセス 第2報」

13.サントリーホールディングス「使用済み食用油由来バイオパラキシレンPETボトル」

14.消費者庁「消費生活用製品の重大製品事故」2024年7月26日

15.消費者庁「消費生活用製品の重大製品事故」2025年7月1日

16.消費者庁「消費生活用製品の重大製品事故」2025年12月12日

シビックランクの基準

シビックランク点数
S90~100点
A80~89点
B70~79点
C60~69点
D50~59点
E40~49点
F20~39点
G0~19点

岩谷産業株式会社は76点のため、今回のシビックランクはBです。

情報ランクの基準

情報ランク基準
S公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関による調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報
A企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、氏名・役職・立場を確認できる公表情報
B従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者との関係を独立に確認しにくい情報

今回の評価では、消費者庁等の公的資料をS、岩谷産業・サントリー等の企業公式資料をA、従業員口コミをBとして扱い、岩谷産業株式会社単体とイワタニグループの情報を区別しています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次