私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット
今回審査する東京インキ株式会社は、総合75点、シビックランクBです。
東京インキ株式会社の特に強い点は、2025年度の月平均残業7.9時間、2026年3月期の平均年間給与779万7,283円という働き方に加え、工場・本社のBCP、代替調達、IT-BCP、EPP・EDRなどを組み合わせて化学・印刷材料の供給継続に備えていることです。そのため、この企業の商品を購入したりサービスを利用したりすれば、長時間労働を抑えながら、生活や産業を支えるインキ・樹脂材料・土木農業資材を安定して届ける企業へ売上が集まる社会につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として有給休暇取得率56.8%、女性管理職比率3.5%、正規雇用の男女賃金比率76.7%が残ります。また、自動化・省人化を進める一方で、単体従業員数は2022年度589人から2026年3月末523人へ減少しており、自動化後の配置転換や雇用への影響を施策別に追える情報は不足しています。
この記事では、東京インキ株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
東京インキ株式会社の企業審査結果
東京インキは、印刷用インキ、プラスチック着色材・機能性樹脂、土木・農業向けネット・シートなどを製造する素材メーカーです。低残業、高い平均給与、労災指標、BCP・サイバー対策を評価しました。一方、有休取得、男女のキャリア・賃金差、自動化成果の人への還元には改善余地があります。
| 評価軸 | 点数 | 評価の要点 |
|---|---|---|
| Safety | 37/50 | 平均給与約780万円、残業7.9時間、男性育休75%、労災度数率0.670を評価。有休56.8%、女性管理職3.5%、男女賃金差が課題 |
| Innovation | 19/25 | 自動化・省人化モデルライン、新工場計画、3Dプリンター・放射線検出材料を評価。削減時間と雇用・休日への還元の定量化が不足 |
| Protection | 19/25 | BCP訓練、代替調達、IT-BCP、EPP・EDR、災害支援を評価。工場別のRTO・代替生産率とサイバー復旧実測値が不足 |
| 総合点 | 75/100 | シビックランクB |
評価時点:2026年10月13日
主な強み
・2026年3月期の平均年間給与は779万7,283円、前年から5.4%増
・平均勤続年数21.6年
・2025年度の月平均残業7.9時間
・男性育児休業取得率75.0%
・東京インキグループの労災度数率0.670、強度率0.001
・全4工場でISO9001・ISO14001認証
・BCP訓練、安否確認、備蓄、代替調達、IT-BCP、サイバー訓練、EPP・EDR更新を実施
・自動化・省人化モデルラインを構築し、完全無人運転を目標に工程連携を進めている
・2026年に放射線検出対応3Dプリンターフィラメントや高白色PPフィラメントを発売
・2026年熊本地震で熊本県へ100万円を寄付し、飲料360本を提供
主な課題
・有給休暇取得率56.8%で、会社目標80%に届いていない
・女性管理職比率3.5%
・男女賃金比率は全労働者65.8%、正規雇用76.7%
・単体従業員数は2022年度589人から2026年3月末523人へ減少
・自動化による作業時間・必要人数・残業削減と、配置転換・採用への影響を施策別に追える情報が不足
・単体の労災度数率ではなくグループ指標が中心で、請負・派遣を含む拠点別安全結果は不足
・主要工場停止時の代替生産率、RTO・RPO、サイバー復旧時間が非公表
事業内容と人間への貢献
東京インキは、完成品メーカーの裏側で、印刷物、包装、プラスチック製品、電子・光学用途、農業・土木インフラを成立させる材料を供給します。色を付けるだけでなく、樹脂へ機能を与え、斜面保護や防草、農業資材などで現場作業を支えることが事業の人間への貢献です。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 東京インキ株式会社 |
| 英文名 | TOKYO PRINTING INK MFG. CO., LTD. |
| 本社 | 東京都北区王子1丁目12番4号 TIC王子ビル |
| 創業 | 1923年12月 |
| 代表取締役社長 | 堀川 聡 |
| 資本金 | 32億4,612万円 |
| 上場 | 東京証券取引所スタンダード市場・証券コード4635 |
| 単体従業員数 | 523人(2026年3月末) |
| 連結従業員数 | 652人(2026年3月末) |
| 平均年齢 | 44.7歳 |
| 平均勤続年数 | 21.6年 |
| 平均年間給与 | 779万7,283円 |
| 単体売上高 | 485億3,600万円(2026年3月期) |
| 主な工場 | 吉野原工場、羽生工場、土岐工場、大阪工場 |
主な事業内容
インキ事業ではオフセット、グラビア、インクジェットなどの印刷用インキと関連資材を扱います。化成品事業ではプラスチック用マスターバッチ、樹脂コンパウンド、機能性材料などを製造します。加工品事業ではネット、フィルム、土木・農業用資材などを展開します。
2026年には、放射線を検出するプラスチックシンチレータ機能を持つ「ルミネード C 3DPフィラメント」や、高白色・高反射・高遮光性を持つ「PP Super White」を販売開始しました。研究・教育、光学、3D造形など新しい用途へ材料技術を広げています。
主な利用企業・取引先
個別の主要顧客名は網羅的に公表されていませんが、印刷、包装、食品・飲料、樹脂成形、家電・電子、建設、土木、農業など幅広い業界へ材料を供給します。製品が最終商品のブランド名として見えにくいBtoB素材企業ですが、多くの製造・物流工程に組み込まれます。
事業による人間への貢献
印刷インキは、食品包装や日用品の表示、取扱説明、広告、出版物などを通じて情報を伝えます。樹脂着色・機能材料は、プラスチック製品へ色、遮光、反射、検出などの性能を与えます。土木・農業資材は斜面保護、防草、作物管理などで現場作業の負担を減らす用途があります。
企業を選ぶ側から見ると、東京インキの価値は「色を付ける」ことだけではありません。材料設計を通じて、製品を長く安全に使う、研究や検査をしやすくする、工場や農業・土木現場の作業を減らすことにつながる点を評価します。
Safety|37/50
Safetyでは、東京インキ単体の給与、労働時間、雇用、育児・介護、人権と、化学メーカーとしての労働安全・製品安全を確認しました。低残業、高い平均給与、労災指標は強みですが、有休取得率と男女格差が大きな弱点です。
賃金・利益の還元|8/10
2026年3月期の平均年間給与は779万7,283円で、前年から5.4%増加しました。平均勤続年数は21.6年です。採用情報では時間外手当を1分単位で支給し、割増率30%と法定水準を上回る運用、住宅・家族関連制度、確定給付・確定拠出年金なども確認できます。[出典2・7]
平均給与の上昇と長い勤続を評価して8/10点です。一方、平均給与上昇のうちベースアップ、定期昇給、賞与がそれぞれ何%を占めるか、職種・雇用区分別の中央値は十分に公開されていません。これらを開示し、実質賃金の継続上昇を確認できれば10/10点を検討できます。
労働時間・休息|6/10
2025年度の月平均残業は7.9時間です。20勤務日で単純換算すると1日約24分で、全社平均としては低い水準です。[出典2]
一方、有給休暇取得率は56.8%で、会社が掲げる80%の目標に届いていません。残業が少なくても、付与された有休を十分利用できなければ、病気、家族対応、旅行、学習などへ使える自由時間は増えにくくなります。
低残業を高く評価しつつ、有休の弱さを考慮して6/10点です。有休取得率80%以上を継続し、主要工場・職種別でも残業10時間以下、長時間労働者が低水準であることを示せれば8/10点を検討できます。
雇用の安定・待遇の公平性|3/5
平均勤続年数21.6年、労働組合員351人、継続した新卒採用が確認でき、長期雇用の基盤はあります。一方、単体従業員数は2022年度589人から2026年3月末523人へ66人、約11%減少しています。[出典2]
女性管理職比率は3.5%、男女賃金比率は全労働者65.8%、正規雇用76.7%、パート・有期88.4%です。会社は賃金制度に性別差はないと説明していますが、管理職構成や勤務形態の差を含め、結果として大きな差が残ります。
長期勤続と採用継続を評価して3/5点です。女性管理職15%以上、正規雇用男女賃金比率90%以上、職位・職種・勤続を調整した賃金差の縮小を確認できれば5/5点を検討できます。
福利厚生・育児・介護|4/5
2025年度の男性育児休業取得率は75.0%です。フレックス、時差勤務、在宅勤務、育児短時間勤務、育児・介護用途にも使える特別支援休暇、リフレッシュ休暇などが整備されています。2022年にはくるみん認定も受けています。[出典2・7]
制度と男性の実利用を確認できるため4/5点です。男性育休90%以上、育休後復職率、平均取得日数、介護休業・短時間勤務利用率を単体で毎年公開できれば5/5点を検討できます。
人権・ハラスメント・労使関係|4/5
東京インキグループ人権方針は全役員・従業員を対象とし、差別、ハラスメント、児童労働、強制労働、安全健康を対象に人権デュー・ディリジェンスと是正・救済を行うとしています。[出典4]
公益通報は社内窓口と外部法律事務所の両方を設け、秘密保持と不利益取扱い禁止を規程化しています。単体では東京インキ労働組合があり、会社は労使関係を安定と説明しています。[出典2・5]
制度、外部窓口、労組を評価して4/5点です。一方、相談件数、ハラスメント認定、是正件数、解決期間の単体実績は公表されていません。匿名化した結果まで年次開示できれば5/5点を検討できます。
労働安全・健康|8/10
2025年度の東京インキグループの労災度数率は0.670、強度率は0.001です。工場を持つ化学メーカーとして、安全教育、設備・作業リスク対策、環境・安全委員会による管理を行っています。[出典2・3]
一方、指標はグループ範囲で、東京インキ単体、各工場、派遣・請負を同じ分母で比較できる安全統計までは十分ではありません。過去には連結子会社・荒川塗料工業の工場で2023年12月に火災があり、軽傷者1名、建物・設備等の被害99百万円が発生しました。生産は安全確認後に再開し、事故調査委員会で原因究明・再発防止が進められました。[出典15]
低い度数率・強度率と安全管理を評価して8/10点です。東京インキ単体と請負を含む死亡・重篤・休業災害を工場別に公開し、死亡・重篤災害0、度数率0.5以下を複数年継続できれば10/10点を検討できます。
商品・サービスの安全|4/5
吉野原、羽生、土岐、大阪の全4工場でISO9001を取得し、印刷用インキ、樹脂形成材料、シート・ネット等の設計・開発・製造・受託加工まで品質マネジメントの対象にしています。ISO14001も全工場で取得しています。[出典6]
3DプリンターフィラメントなどではSDSを公開し、用途制限、やけど、高温多湿保管など具体的な注意事項も示しています。[出典10]
第三者認証と製品安全情報を評価して4/5点です。一方、会社単体の重大品質不具合、回収、顧客事故の年次件数を継続比較できる公開KPIは不足しています。重大不具合0を複数年確認し、回収・苦情・再発率も開示できれば5/5点を検討できます。
従業員・元従業員の口コミ
Indeedは2026年2月時点で5件、総合2.6、勤務時間・残業3.0、給与・福利厚生2.3、定着率と昇進2.7、上司との関係2.0、企業文化2.0です。投稿数が少ないため全社員の代表値にはしません。[出典13、情報ランクB]
転職会議の投稿者集計では34件、残業16.9時間、有給消化率73%です。公式の2025年度残業7.9時間、有休56.8%とは母集団・時期が異なるため単純比較しませんが、働き方を複数の角度から確認する補助情報として扱います。[出典14、情報ランクB]
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイ等を会社名と残業、労災、退職、ハラスメント、自動化などの語で確認しましたが、勤務時期・職種・対象法人との関係を特定でき、公式資料や口コミサイトを上回って採点を変更できる投稿本文は確保できませんでした。見つからないこと自体は加点材料にしていません。
Innovation|19/25
Innovationでは、化学・印刷材料の製造で人が行う反復作業をどこまで設備へ移し、その成果を働く人へ返しているかを評価します。東京インキは自動化・省人化と新材料開発を明確に進めていますが、設備別の削減時間と雇用・休日への還元の因果はまだ不足しています。
作業負担・危険の削減|6/10
同社の技術紹介では、自動化・省人化モデルラインを構築し、複数の自動化工程を連携して完全無人運転を目指す取り組みが示されています。2026年3月に取得した茨城県坂東市の新工場用地でも、自動化・省力化による高効率生産を計画しています。[出典8・9]
化学工場で原料投入、搬送、計量、包装などを機械へ移せれば、重量物、薬品接触、反復作業への人の曝露を減らせます。ただし、新工場は2028年度中の操業を目指す計画段階であり、現在のモデルラインでも削減時間、必要人数、事故減少率などの実測値は十分公表されていません。
具体的な自動化を確認できるため6/10点です。設備別に年間削減時間、重量物取扱回数、危険作業件数を公開し、実際の負担低下まで確認できれば8~10点を検討できます。
商品・サービスの改善|5/5
2026年8月に発売したPP Super Whiteは、高濃度の白色顔料を均一分散し、高白色度、反射率、遮光性、寸法安定性を両立しています。ルミネード C 3DPフィラメントは放射線検出機能を持ち、透明性を改善して厚みのある造形でも性能を発揮しやすくしました。[出典10・11]
従来のインキ・着色材から、3D造形、放射線研究、光学用途へ材料技術を広げ、既存製品の制約を具体的に改善しているため5/5点です。
改善成果の人間への還元|3/5
2025年度の平均残業7.9時間、2026年3月期の平均給与5.4%増は、人への還元として良い結果です。一方、有給取得率は56.8%で、自動化設備による削減時間が何時間の残業削減や何円の賃上げ、何日の休日増加につながったかは公表されていません。
さらに従業員数が2022年度589人から2026年3月末523人へ減少しているため、省人化を評価する際には、浮いた人員が配置転換・再教育されたのか、自然減・採用抑制・退職とどう関係したのかを確認する必要があります。
生産性向上と低残業・給与上昇が同時に確認できるため3/5点です。設備別の削減時間と、配置転換・教育・賃金・休日への還元をつなげて公開できれば4~5点を検討できます。
研究開発・現場改善の継続|5/5
東京インキはインキ、化成品、加工品の複数領域で製品開発を継続し、2025~2026年には放射線検出材料、3Dプリンター材料、ストレッチャブルプラスチックシンチレータなど新製品・新技術を相次いで展開しています。[出典11・16]
新工場も将来の生産能力増や新事業に対応できる拡張性を持たせる計画で、単発の製品改良ではなく、生産技術と材料開発の両方を継続しているため5/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
単体従業員数は2022年度589人、2023年度572人、2024年度555人、2025年度541人、2026年3月末523人と減少しています。一方で、現在も新卒採用を継続しています。[出典2・7]
自動化・省人化が従業員減少の原因だと示す公表資料はありません。大規模な希望退職・解雇と自動化を結びつける発表も今回確認できませんでした。そのため因果関係は断定しません。
今後は、新工場と自動化ラインの稼働後に、対象工程の必要人数、配置転換、採用数、契約更新、退職、残業、教育時間を数年追跡し、省人化が雇用削減ではなく危険・単純作業の削減へつながったか確認する必要があります。
Protection|19/25
Protectionでは、地震、火災、原料不足、国際情勢、サイバー攻撃などが起きても、インキ・樹脂材料・土木農業資材を供給し続けられるかを評価します。BCPと代替調達、IT対策は具体的ですが、工場別の復旧時間・代替率の実測公開が不足しています。
災害への備え・訓練|4/5
東京インキグループは緊急対応計画、危機管理計画、安否確認訓練、備蓄、電力・通信インフラ対策を進め、主要工場との連携訓練で緊急対策本部の機能を確認しています。事業・拠点ごとのBCP訓練も実施しています。[出典3]
計画だけでなく訓練まで確認できるため4/5点です。一方、訓練頻度、安否確認完了時間、工場ごとの復旧目標と達成率は十分に公表されていません。実測結果まで公開できれば5/5点を検討できます。
生産・物流・調達の代替|4/5
東京インキは吉野原、羽生、土岐、大阪の4工場を持ち、調達では複数サプライヤー化、過去採用した代替メーカーの活用、必要数量の確保を進めています。[出典1・3]
例えば一つの原料メーカーが供給停止しても、あらかじめ評価した別メーカーへ切り替えられれば、顧客の印刷・成形ライン停止を避けやすくなります。複数拠点と代替調達を評価して4/5点です。
一方、同一製品をどの工場で何%代替できるか、切替承認に何日かかるかは公開されていません。代替生産率と切替時間を示せれば5/5点を検討できます。
サイバー防衛・情報保護|4/5
IT-BCP、システム環境更新、ネットワーク見直し、内部不正による情報漏えい対策、情報セキュリティ教育、サイバーインシデント訓練、EPP・EDR更新を進めています。[出典3]
製造指示や受注、在庫情報がサイバー攻撃で止まると顧客工場にも影響するため、侵入防御だけでなく復旧訓練まで行うことは重要です。具体的な対策を評価して4/5点です。
一方、MFA適用率、重大インシデント件数、バックアップの復元時間、RTO・RPOは公表されていません。結果まで開示できれば5/5点を検討できます。
供給継続・復旧能力|3/5
拠点別BCP、複数工場、代替調達、IT-BCPがあり、供給継続の基盤はあります。中東情勢など原材料供給リスクが高まった際にも、在庫確保や代替調達によって安定供給を図る方針を公表しています。
一方、「吉野原工場が停止した場合に何時間で他工場へ切り替え、通常供給量の何%を回復できるか」といったRTO、代替生産率、過去の実復旧時間は公開されていません。仕組みを評価して3/5点です。主要製品ごとのRTOと訓練達成を示せれば4~5点を検討できます。
危機時の市民への対応|4/5
2026年熊本地震では熊本県へ義援金100万円を寄付し、飲料360本を被災地へ提供しました。BCPガイドラインでも地域・社会の一員として復旧へ貢献することを明記しています。[出典12]
実災害で支援を行ったため4/5点です。一方、同社の本業製品を使った継続的な災害協定、避難所・インフラ復旧向け資材の供給数量、平時からの備蓄・要請経路までは確認できません。自治体との協定や本業を使った反復的な支援まで確認できれば5/5点を検討できます。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の東京インキでは、次世代工場の計画、新材料の実用化、災害支援が進んでいます。InnovationとProtectionの両方に関わり、企業を選ぶことで人の作業負担を減らす技術と、有事の支援力へ需要を渡せる動きです。
2026年3月|茨城県坂東市に次世代工場用地を取得(Innovation・Protection)
化成品事業の生産体制再構築を目的に、坂東市で4万1,061㎡の用地を取得しました。新工場は自動化・省力化、高効率化、将来の生産能力増に対応する拡張性を持たせ、2027年4月頃着工、2028年度中の操業開始を目指します。[出典9]
これは現時点では計画であり、削減成果はまだ実績として加点しません。ただし、危険・反復工程を設備へ移しながら供給能力も強化する方向性として評価できます。
2026年8月|放射線検出・3D造形材料を相次いで発売(Innovation)
PP Super Whiteとルミネード C 3DPフィラメントを8月3日に販売開始しました。前者は高白色・高反射・遮光性、後者は放射線検出機能と透明性を組み合わせています。[出典10・11]
研究者が特殊形状の検出部材や光学部材を3Dプリンターで試作しやすくなれば、金型や専用加工を用意する前の実験を短縮できます。材料メーカーとして新しい研究・試作方法を増やす点を評価します。
2026年8月|熊本地震へ100万円と飲料360本を提供(Protection)
熊本県へ100万円を寄付し、被災地へ飲料360本を提供しました。[出典12]
例えば避難直後に店舗や自販機が使えず飲み物が不足する場合、少量でも飲料が直接届くことは住民の水分確保に役立ちます。今後、本業の土木・農業資材も含めて自治体と平時から供給協定を結べれば、さらに大きなProtectionへつながります。
悪いニュース・問題となった動き
東京インキの直近課題は、重大不祥事よりも、働く人への休暇還元と男女格差、自動化・再編と雇用の関係が十分に改善・可視化されていないことです。加えて、過去の子会社火災は化学メーカーとして安全を継続監視する必要性を示しています。
2025年度|有給休暇取得率56.8%(Safety)
月平均残業7.9時間は強い結果ですが、有給取得率は56.8%です。低残業だけでなく、付与された休暇を実際に使える状態まで進めることが必要です。
レンゴーの現行審査では月平均残業15.4時間、有給取得率81.4%で「労働時間・休息」8/10点です。東京インキは残業ではすでに上回る水準なので、有休80%以上を実現すれば働く時間と休む日の両方で高水準へ近づけます。
2025年度|女性管理職3.5%、正規男女賃金比76.7%(Safety)
女性管理職比率3.5%、正規雇用の男女賃金比率76.7%です。賃金制度そのものに男女差がないとしても、管理職登用、配置、勤続、交替勤務などを通じた結果差は大きく残っています。
女性が管理職・技術職・製造の高賃金職へ進める採用・配置・育成の経路を数字で追い、結果差を縮めることが必要です。
2022~2026年|単体従業員数589人から523人へ減少(Innovation・Safety)
自動化・省人化を進める期間に、単体従業員数は589人から523人へ減少しました。これだけで自動化による人員削減とは判断できません。
今後、新工場・無人化ラインの導入前後で、退職、採用、配置転換、再教育、残業、給与を時系列で公開すれば、省人化が人を減らすためではなく、人の危険・単純作業を減らすために使われているか外部から確認できます。
2023~2024年|連結子会社・荒川塗料工業で火災、軽傷者1名(Safety)
2023年12月20日、連結子会社の荒川塗料工業・加須事業所で火災が発生し、軽傷者1名、建物・設備等の被害99百万円が確認されました。東京インキ本体の工場事故ではありません。[出典15]
会社は事故調査委員会を設置し、火災原因と再発防止を検討しました。化学材料を扱うグループとして、現在の低い労災度数率を維持するとともに、火災・爆発・化学物質事故の件数と再発防止結果を継続公開することが重要です。
総合評価と、これから改善してほしいこと
東京インキ株式会社は現在75点・シビックランクBです。次のAランクは80点からなので、あと5点必要です。平均給与、残業、労災、研究開発、BCPは強く、次のランクへ上がるためには有休、男女格差、実測の復旧力という結果を改善することが効果的です。
有給休暇取得率を80%以上へ高めてほしい|労働時間・休息:6→8/10
現在の弱点は、有休取得率56.8%です。月平均残業7.9時間はすでに良好なので、休暇利用が主な不足点です。
有休取得率80%以上を全社・主要工場で継続し、平均残業10時間以下、月45時間超の従業員も低水準であることを確認できれば8/10点を検討します。
現在:6/10点
改善後:8/10点
加点:+2点
総合:75→77点
ランク:Bのまま
参考企業はレンゴー株式会社です。当サイトの現行審査では、月平均残業15.4時間、有給取得率81.4%で「労働時間・休息」8/10点です。東京インキは残業ではさらに低いため、休暇取得を同程度まで高めることが直接の参考になります。
女性管理職と男女賃金差を改善してほしい|雇用の安定・待遇の公平性:3→5/5
現在は女性管理職3.5%、正規雇用男女賃金比率76.7%です。
営業・研究・製造・管理の各部門で女性の採用、配置、昇格、管理職候補育成を追い、女性管理職15%以上、正規男女賃金比率90%以上、職位・職種・勤続を調整した差も小さいことを確認できれば5/5点を検討します。
現在:3/5点
改善後:5/5点
加点:+2点
総合:75→77点
ランク:Bのまま
参考企業は株式会社ミツウロコグループホールディングスです。当サイト現行審査では女性管理職47.4%、正規雇用男女賃金比率91.5%で「雇用の安定・待遇の公平性」4/5点です。業種は異なりますが、管理職登用と正規雇用の結果差を縮める水準の参考になります。
主要工場のRTOと代替生産率を公開してほしい|供給継続・復旧能力:3→4/5
現在は拠点別BCP、複数工場、代替調達を確認できる一方、主要製品を何時間で、平時の何%まで復旧できるかが分かりません。
各工場の重要製品についてRTO、代替可能工場、代替可能数量を設定し、年次訓練で目標時間内の切替を実証・公開できれば4/5点を検討します。
現在:3/5点
改善後:4/5点
加点:+1点
総合:75→76点
ランク:Bのまま
参考企業はレンゴー株式会社です。当サイト現行審査では、全国分散型生産網、BCP演習、重要データのバックアップ、分散調達を確認し、「供給継続・復旧能力」4/5点です。東京インキでも工場別の切替実績まで公開すれば、同様に外部から継続力を判断しやすくなります。
次のランクへ上がるための具体例
現在75点・Bで、Aランクは80点からです。あと5点必要です。
・有給取得率80%以上、平均残業10時間以下を継続し、労働時間・休息6→8点。+2点
・女性管理職15%以上、正規男女賃金比率90%以上、職位等調整後の格差縮小を実現し、雇用の安定・待遇の公平性3→5点。+2点
・主要製品のRTO・代替生産率を定め、切替訓練で目標達成を公開し、供給継続・復旧能力3→4点。+1点
75点+2点+2点+1点=80点となり、シビックランクAへ上がります。
つまり、東京インキが次のランクへ上がるためには、すでに強い低残業や技術開発をさらに増やすだけでなく、社員が実際に休暇を使える状態、女性が高賃金・管理職へ進める状態、災害時に何時間で供給を戻せるかを結果として示すことが重要です。
出典一覧
1.東京インキ株式会社「会社概要」【情報ランクA】
2.東京インキ株式会社「2026年3月期 有価証券報告書」「統合報告書2026」【情報ランクS・A】
3.東京インキ株式会社「リスクマネジメント」【情報ランクA】
4.東京インキ株式会社「人権の尊重」【情報ランクA】
5.東京インキ株式会社「コンプライアンス/東京インキ安心ホットライン」【情報ランクA】
6.東京インキ株式会社「ISO認証取得」【情報ランクA】
7.東京インキ株式会社「採用情報」「ワーク・ライフ・バランス」【情報ランクA】
8.東京インキ株式会社「i COLORS 自動化・省人化モデルライン」【情報ランクA】
9.東京インキ株式会社「生産体制再構築を目的とする工場建設に向けた用地取得について」2026年3月【情報ランクA】
10.東京インキ株式会社「PP Super White販売開始」2026年7月【情報ランクA】
11.東京インキ株式会社「ルミネード C 3DPフィラメント販売開始」2026年7月【情報ランクA】
12.東京インキ株式会社「令和8年熊本地震 被災地への義援金寄付および支援物資提供」2026年8月【情報ランクA】
13.Indeed「東京インキ株式会社の社員クチコミ」【情報ランクB】
14.転職会議「東京インキ株式会社の口コミ」【情報ランクB】
15.東京インキ株式会社「連結子会社・荒川塗料工業株式会社の火災事故に関するお知らせ」【情報ランクA】
16.東京インキ株式会社「統合報告書2026/サステナブル対応製品・労働安全衛生」【情報ランクA】
17.シビックギルド「レンゴー株式会社を企業審査」【比較資料】
18.シビックギルド「株式会社ミツウロコグループホールディングスを企業審査」【比較資料】
シビックランクの基準
| ランク | 総合点 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
東京インキ株式会社は75点のため、シビックランクBです。
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 行政、公的機関、裁判所、規制当局、独立第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、氏名・役職・立場が確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
BCP・次世代工場・熊本地震支援・全工場ISO取得なども公式情報で確認しています。
