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鴻池運輸株式会社を企業審査|シビックランクB・総合点(72点/100点)|ガス切断遠隔化・災害物流を評価、長時間労働・男女賃金差と労災度数率が課題

私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。

働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。

反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。

だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。

なぜ企業を審査するのか?――このサイトの目的と、利用するメリット

今回審査する鴻池運輸株式会社は、総合72点、シビックランクBです。

鴻池運輸株式会社の特に強い点は、無人フォークリフト、ドローン、遠隔操作などを使い、物流・製鉄現場の重労働や危険作業を実際に機械へ移していることです。そのため、この企業の物流・業務請負サービスを利用すれば、人が高温・重量物・長時間運転などの負担を抱え続けるのではなく、技術で危険を減らしながら社会インフラを維持できる社会につながる可能性が高まります。

一方で、改善点として、専門職の年間平均労働時間が2,241.7時間、総合職が2,141.6時間と長く、2026年3月期の正規雇用労働者の女性賃金は男性の73.3%、全労働者では49.3%にとどまることが残ります。

この記事では、鴻池運輸株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。

鴻池運輸株式会社の企業審査結果

鴻池運輸は、物流だけでなく、食品工場の製造工程、製鉄所、空港、医療、プラント工事など幅広い現場を支える会社です。危険作業の遠隔化や無人搬送、全国物流網、医療物流のBCPは高く評価できます。一方、現場の労働時間、男女の待遇差、労災度数率には改善余地が残ります。

評価軸得点評価の要点
Safety30/50平均年収上昇、育休・健康支援、人権方針、安全教育を評価。長い年間労働時間、男女賃金差、労災度数率が課題
Innovation21/25ガス切断遠隔化、無人フォークリフト、ドローン、WMS・AI活用を高評価。最新DXの残業・賃金への還元結果は不足
Protection21/25BCP訓練、代替本社、医療物流の代替拠点、災害物資訓練を評価。サイバー復旧結果やRTO開示は不足
総合72/100シビックランクB

主な強み

・製鉄所のガス切断作業では、2021年から遠隔化を進め、2024年に特許を取得しました。作業者が炎、高温、火花、粉じんの前に立たず、空調のある操作室から切断できる仕組みに変えています。[出典11]

・赤外線カメラを搭載したドローンによって設備点検時間を約83%短縮する事例を公開しています。人が高所や広い設備を長時間点検する負担を減らせる技術です。[出典10]

・神奈川綾瀬営業所では無人フォークリフトによるトラック荷積みを2024年3月から実運用しています。重量物搬送とフォークリフト運転の一部を自動化する取り組みです。[出典12]

・BCPでは対策本部設置訓練、安否確認訓練を実施し、人材開発センターを災害時の本社代替サテライトオフィスとして使えるよう設計しています。2025年には岡山県の支援物資オペレーション訓練にも参加しました。[出典15・16・17]

主な課題

・2025年3月期の単体データでは、専門職の年間平均労働時間は2,241.7時間、総合職は2,141.6時間でした。専門職は前年2,248.7時間からわずかに減りましたが、総合職は2,131.0時間から増えています。[出典3]

・2026年3月期の有価証券報告書では、女性管理職比率4.8%、男女賃金比率は全労働者49.3%、正規雇用労働者73.3%、非正規雇用労働者54.1%です。男女の職種構成差を含む指標ですが、待遇公平性の改善余地は大きいです。[出典4]

・KONOIKEグループの2025年3月期実績は休業度数率0.24、労災度数率2.22です。会社は2028年3月期に休業度数率0.17、労災度数率1.37を目標としており、現在値をさらに下げる必要があります。[出典2]

・2025年3月から4月にかけ、元使用人らが架空請求で会社に損害を与えた疑いで逮捕された事案を理由に、国土交通省関係機関から1か月の指名停止措置を受けました。容疑段階の事案であり、有罪確定として扱いません。[出典19]

事業内容と人間への貢献

鴻池運輸は、物を運ぶだけの物流会社ではありません。顧客工場の製造工程、設備保全、倉庫、輸配送、医療物流、空港業務、国際物流まで、人と物の流れを現場で運営する会社です。

基本情報

項目内容
会社名鴻池運輸株式会社
創業1880年5月
設立1945年5月30日
大阪本社大阪市中央区伏見町4-3-9
東京本社東京都中央区銀座6-10-1
代表者代表取締役会長兼社長執行役員 鴻池 忠彦
資本金17億2,300万円
従業員数単体約14,000人、連結約25,000人(臨時雇用者含む、2026年3月末)
上場東京証券取引所プライム市場、証券コード9025

[出典1]

主な事業内容

食品関連では、大手食品メーカーの工場内で原料受入、調合、包装、設備点検などの製造工程を担い、倉庫・輸配送まで一体で運営します。製鉄関連では重機、原料処理、設備保全などを請け負い、空港では旅客・貨物関連業務、医療では医薬品・医療機器物流や院内業務を支えています。[出典1・18]

物流では全国80以上の倉庫拠点を持ち、冷蔵・定温物流、鉄道・トラック・航空などを組み合わせて商品を届けています。2026年3月期の連結売上高は3,555億55百万円です。[出典1・5]

主な利用企業・取引先

個別の主要取引先一覧は限定的ですが、食品、飲料、鉄鋼、化学、医療、空港、製造業など多数の企業・医療機関の工程を受託しています。

特に鴻池運輸の特徴は、顧客の施設内へ入り、製造・保全・荷役・物流まで日常業務そのものを担う点です。利用企業にとっては、自社だけで多数の作業員、物流設備、資格者、物流網を用意する負担を減らせます。

事業による人間への貢献

例えば食品工場では、原料が工場へ入り、製品になり、倉庫から店舗へ届くまでの工程を支えます。物流が止まれば食品や生活用品が届かなくなるため、同社の仕事は生活の継続に直結します。

医療分野では、医薬品・医療機器の温度管理、保管、輸送、病院納品、医療器材の洗浄・滅菌まで扱います。病院が自前ですべての物流・滅菌工程を持つ負担を減らし、医療従事者が診療へ時間を使いやすくする役割があります。[出典15・18]

Safety

Safetyでは、働く人へ利益が返っているか、十分な休息を確保できているか、雇用や待遇に不公平がないか、危険な物流・製造現場で事故を抑えられているかを確認します。鴻池運輸は健康・育児・安全教育・人権制度を具体的に整えています。一方、長時間労働、男女賃金差、労災結果には明確な改善余地があります。

賃金・利益の還元|6/10

2026年3月期の提出会社単体の平均年間給与は586万7,068円で、前年度比2.7%増です。2025年3月期の約571万円から上昇し、直近では4期連続の増加となっています。[出典4]

また中期経営計画では、3年間で200億円以上を従業員の処遇改善へ投じる方針を掲げています。[出典2]

平均給与が上昇し、処遇改善を経営計画へ明示しているため6点です。一方、平均給与には賞与・時間外賃金が含まれ、基本給のベースアップ率、専門職・総合職・非正規それぞれの賃金改善額は十分公開されていません。長時間労働による時間外賃金で平均給与が上がっている部分を分離できないことも課題です。

次の8点には、既存社員のベースアップ率、専門職を含む職種別の基本給上昇、非正規への還元を公開し、残業を減らしても年収が下がらない処遇改善を複数年確認できる必要があります。

労働時間・休息|4/10

2025年3月期の年間平均労働時間は専門職2,241.7時間、総合職2,141.6時間です。平均有給休暇取得日数は専門職13.1日、総合職8.7日でした。総合職の2026年度採用情報では年間休日125日を掲げています。[出典3・6]

OpenWorkの投稿者集計では月間残業34.6時間、有給休暇消化率56.9%、転職会議では残業34.4時間、有給消化率52.1%とされています。いずれも投稿者ベースのBランク情報で、会社全体の公式平均とは区別します。[出典20・21]

公式に労働時間を公開し、有給も取得されているため4点です。しかし、年間2,200時間を超える専門職の働き方は負担が大きく、総合職の有給平均8.7日も改善余地があります。

次の6点には、専門職を含めて年間総実労働時間を2,000時間程度まで下げ、月平均残業20時間前後以下、有給取得率70%以上または平均14日以上を継続して確認できることが必要です。

雇用の安定・待遇の公平性|2/5

2026年3月末の提出会社従業員数は9,290人で、前年9,264人から増えています。別途、臨時雇用者の年間平均は4,660人です。大規模な人員整理ではなく、採用も継続しています。[出典4]

一方、女性管理職比率は4.8%、男女賃金比率は全労働者49.3%、正規雇用73.3%、非正規54.1%です。女性比率が低い現場職種が多いという構造要因はありますが、管理職登用と賃金の両面で差が大きい状態です。[出典4]

障がい者雇用率は2025年3月期2.6%で、キャリア採用も専門職427人、総合職44人と継続しています。[出典3]

採用と雇用継続は評価できますが、男女差が大きいため2点です。次の3~4点には、正規雇用の男女賃金比率を80~90%以上へ近づけ、女性管理職比率を継続的に引き上げ、職種・等級ごとの差を公開する必要があります。

福利厚生・育児・介護|4/5

2026年3月期の男性育児休業取得率は96.4%です。採用情報では退職金、住宅融資、財形貯蓄、カフェテリアプラン、独身寮・社宅、保養施設などを明示しています。[出典4・6]

定期健康診断受診率は2023~2025年3月期に100%を継続しています。2025年3月期のストレスチェック受検率は72.6%で、2024年3月期83.0%から低下しました。[出典7]

育児支援と福利厚生の幅が広く、利用結果も確認できるため4点です。次の5点には、男性育休100%近辺を継続するだけでなく、育休取得日数、復職率、介護休業利用、ストレスチェック受検率100%に近い結果まで継続して示す必要があります。

人権・ハラスメント・労使関係|4/5

KONOIKEグループ人権方針は、差別・ハラスメント禁止、強制労働・児童労働禁止、適正賃金、適切な労働時間、結社の自由・団体交渉権を明記しています。人権デュー・ディリジェンスの継続実施も定めています。[出典8]

内部通報では社内窓口に加えて弁護士事務所の社外窓口を設け、重要案件は内部統制委員会から取締役へ報告する仕組みがあります。ハラスメントについても相談者への不利益取扱い禁止を明示しています。[出典9]

2026年3月末の労働組合員は9,610人で、会社は労使関係が円満に推移していると有価証券報告書で説明しています。[出典4]

制度と労使組織が具体的なため4点です。一方、通報件数、ハラスメント認定件数、是正・救済結果、人権DDで特定した具体的リスクの結果開示は限定的です。これらを継続公開できれば5点を検討できます。

労働安全・健康|6/10

KONOIKEグループの2025年3月期実績は休業度数率0.24、労災度数率2.22、自動車事故率0.37です。会社は2028年3月期にそれぞれ0.17、1.37、0.11を目標としています。[出典2]

全営業車両へ運行記録計とドライブレコーダーを導入し、2023年3月までにAI搭載型へ切り替えています。運転者の睡眠時無呼吸症候群診断、VR安全教育、実際のドライブレコーダー映像を使った危険予知、労使43人による中央安全衛生委員会なども実施しています。[出典13]

安全対策と結果指標の公開を評価し6点です。ただし、労災度数率2.22は会社自身の目標1.37を大きく上回り、事故を十分低い水準まで抑えたとは言えません。また公開値はグループ範囲であり、鴻池運輸単体の死亡・休業災害件数、度数率・強度率をより明確に示す余地があります。

次の8点には、死亡・重大労災0を継続し、労災度数率を1.37以下へ下げ、単体の事故件数・度数率・強度率と再発防止後の推移を公開する必要があります。

商品・サービスの安全|4/5

食品、医薬品、医療機器、輸送、工場請負では品質事故が生活へ直接影響します。鴻池運輸はK-QMSを展開し、事故発生後の是正措置・予防措置を全社共有する仕組みを持っています。[出典13]

医薬品物流ではGDPを踏まえた温度・品質管理、トレーサビリティー、異常時の連絡・判断フローを設計しています。[出典15]

複数分野で品質管理の仕組みが具体的なため4点です。一方、重大品質事故件数の最新実績や、医療・食品の重大事故0を法人単体で複数年確認できる情報は不足しています。結果指標まで継続公開できれば5点を検討できます。

従業員・元従業員の口コミ

Indeedでは2026年9月時点で130件の口コミがあり、総合評価2.6、勤務時間と残業2.5、給与と福利厚生2.9です。2026年8月の投稿には「休みは取りやすかったです。」という記述があります。【情報ランクB】[出典22]

OpenWorkでは951件の投稿集計で月間残業34.6時間、有給消化率56.9%、転職会議では943件の口コミ集計で月間残業34.4時間、有給消化率52.1%です。【情報ランクB】[出典20・21]

公式データでも専門職の年間労働時間が2,241.7時間であるため、口コミサイトの「残業が一定程度ある」という傾向は、公式開示と完全に矛盾するものではありません。ただし、拠点・職種差が大きい会社のため、個別投稿を全社実態として扱いません。

SNS・匿名掲示板の確認結果

Xでは、対象法人の現役・元従業員であることを本文から確認でき、現在の勤務実態を具体的に示す公開投稿は十分確認できませんでした。

5ちゃんねるでは鴻池運輸を扱う古い専用スレッドがあり、2012年の投稿に「あいかわらず給料やすいな」との記述があります。【情報ランクB】[出典23]

投稿時期が10年以上前で、匿名・拠点不明の情報であるため現在の採点根拠には使いません。現在の労働環境は公式データと2025~2026年の口コミを優先して評価しました。

Safety合計|30/50

Innovation

Innovationでは、物流や製造現場の省人化そのものではなく、人が担っていた重労働・危険作業・反復作業が具体的にどれだけ機械へ移り、その成果が働く人の安全や自由時間へ返ったかを評価します。鴻池運輸は「何を機械へ移したか」が具体的な事例を多数持ち、Innovationは今回の最大の強みです。

作業負担・危険の削減|8/10

製鉄所のガス切断では、従来は作業者が炎の前で重い機器を扱い、高温・火花・粉じんにさらされていました。鴻池運輸は機械化、遠隔操作、遠隔着火、無線化まで6段階で改善し、操作室から切断できるようにしました。2024年には特許を取得しています。[出典11]

ドローンによる設備点検では点検時間を約83%短縮し、無人フォークリフトではトラック荷積みを実運用化しています。重機の遠隔操作も進めています。[出典10・12・14]

危険な場所から人を離す成果が具体的なため8点です。次の10点には、これらの導入後に腰痛、熱中症、挟まれ・接触事故、ヒヤリハット、作業時間がどれだけ減ったかを複数拠点で数値化し、高水準を継続する必要があります。

商品・サービスの改善|5/5

新統合WMS、AI-OCR、デジパス、KBX、コノマップ、生成AI、KONNECTなど、現場業務を改善する技術を継続して導入しています。2025年3月期には単体で現場への技術導入24件、導入に向けたPoC38件、技術研究所での検証9件を実施しています。[出典2・10]

2026年10月には国立流通センター営業所と北関東流通センター営業所で配車管理システムKONNECTの本格運用を開始し、配車から支払いまでを一元管理して属人化を減らしています。[出典24]

単発の実証ではなく複数技術を現場実装し続けているため5点です。

改善成果の人間への還元|3/5

ガス切断遠隔化では、高温・火花・粉じんへの曝露を減らし、若手も担いやすい工程へ変えています。ドローン点検では作業時間を約83%短縮しています。これらは効率化の利益を安全や時間へ返している具体例です。[出典10・11]

一方、全社では専門職の年間平均労働時間が2,241.7時間、総合職が2,141.6時間残っています。最新のAGF、WMS、AI、KONNECTによって、全社の残業時間、年間労働時間、休日、賃金がどれだけ改善したかは定量的に結びつけて公表されていません。[出典3]

そのため3点です。次の4~5点には、DX導入前後の残業、必要人数、事故、配置転換、賃金、休日を同条件で追い、複数拠点で人への還元が継続していることを示す必要があります。

研究開発・現場改善の継続|5/5

技術研究所イノベーションセンターを持ち、技術導入、PoC、技術資本ライブラリ779件などを継続しています。2030年ビジョンでも自動化・省力化と労働環境改善を主要目標としています。[出典2]

2021年に始めたガス切断遠隔化を特許取得まで進めたように、現場発の課題を数年かけて技術へ変える実績があります。研究開発と現場改善の継続性を高く評価し5点です。[出典11]

自動化・AI導入後の雇用状況

鴻池運輸はAGF、AI-OCR、遠隔重機、生成AI、配車DXなど省人化を進めています。一方、2026年3月末の提出会社従業員数は9,290人で、前年9,264人から26人増えています。臨時雇用者も年間平均4,660人です。[出典4]

2025年3月期にも専門職で新卒60人・キャリア427人、総合職で新卒47人・キャリア44人を採用しており、現在も採用活動を続けています。[出典3・6]

自動化を理由とする大規模な希望退職、人員整理、契約一斉終了を示す公表情報は確認されていません。ただし、従業員数が維持されていることだけでは、個別拠点で配置転換や採用抑制がなかったとは言えません。

自動化後の配置転換人数、再訓練人数、非正規契約の変化、退職数を技術導入拠点ごとに公開すれば、「人を減らす自動化」ではなく「危険作業を減らす自動化」であることをさらに検証しやすくなります。

Innovation合計|21/25

Protection

Protectionでは、地震、豪雨、感染症、サイバー攻撃、物流網の寸断などが起きても、食品・医療・生活用品を届け続けられるかを評価します。鴻池運輸は全国拠点と複数輸送手段に加え、対策本部訓練、医療物流の代替拠点、自治体との物資訓練まで持っており、物流会社として強いProtectionを確認できます。

災害への備え・訓練|5/5

事業継続計画を整備し、非常時を想定した訓練を行っています。巨大地震やパンデミック時には社長をトップとする危機管理委員会を招集し、必要に応じて対策本部を設置します。対策本部設置訓練、安否確認訓練も実施しています。[出典16]

さらに2025年11月、岡山県の物資オペレーション訓練で真庭配送センターを支援物資の集積拠点として提供し、2021年の災害協定を実際の訓練へつなげています。[出典17]

例えば大規模地震で避難所へ食料・飲料が届かなくなった場合、行政が集めた支援物資を物流拠点で仕分けし、配送ルートへ載せる必要があります。同社はその実地訓練まで行っているため5点です。

生産・物流・調達の代替|5/5

国内80以上の倉庫拠点を持ち、トラック、鉄道、航空、国際物流を組み合わせられます。[出典1]

医療機器では東京に加え、札幌、大阪、兵庫、福岡の拠点をバックアップ拠点として使える体制を公表しています。医薬品物流でも代替拠点・代替輸送・優先出荷品を事前に検討しています。[出典15・18]

例えば東京の医療物流拠点が地震で停止した場合、別地域の許可拠点へ機能を移し、緊急出荷を継続できる設計です。単一拠点依存を避ける具体策があるため5点です。

サイバー防衛・情報保護|3/5

情報セキュリティ基本方針では、専門部門の設置、継続教育、リスク分析、セキュリティ監査、サイバー攻撃やクラウド障害を含む事業継続管理を明記しています。[出典25]

情報セキュリティ部会も設置し、情報管理・保管・セキュリティを管理しています。[出典16]

制度と監査が確認できるため3点です。一方、標的型攻撃メール訓練の参加率、重大インシデント件数、バックアップ復元成功率、RTO、第三者認証などの結果は十分公開されていません。実際の防御・復旧結果まで公開できれば4~5点を検討できます。

供給継続・復旧能力|4/5

人材開発センターは災害時に本社機能を代替するサテライトオフィスとして使える設計です。医療物流では代替拠点・代替輸送を事前検討し、鳥栖定温流通センターには太陽光発電と非常用発電機を備えています。[出典15・18・26]

全国ネットワークと代替拠点の具体性を評価し4点です。一方、「主要拠点停止から何時間で代替拠点へ切り替えられたか」「平時の何%を維持できるか」というRTO・供給維持率の実績までは公表されていません。

実地訓練で切替時間・供給維持率を測定し、主要サービスで目標時間内の復旧を複数年確認できれば5点を検討できます。

危機時の市民への対応|4/5

岡山県との災害時協定と物資オペレーション訓練に加え、同社は過去の地震・台風などで物流、医療、空港業務を通じた緊急支援対応の経験を公表しています。[出典16・17]

医療・食品・生活用品の物流を持つ企業が災害時に動けば、避難所や病院へ必要品が届くまでの時間を短縮できます。

実際の訓練と支援経験を評価し4点です。災害ごとの輸送量、何人分を何時間以内に届けたか、復旧に要した時間などの成果を継続公開できれば5点を検討できます。

Protection合計|21/25

良いニュース・最近の前向きな動き

最近の前向きな動きでは、危険作業から人を離すInnovationと、災害時にも物流を動かすProtectionが目立ちます。鴻池運輸のサービスを利用する企業がこうした技術やBCPを選べば、物流・製造を止めずに、そこで働く人の危険や手作業を減らす方向へ投資が集まりやすくなります。

2026年10月 配車管理システムKONNECTを本格運用(Innovation)

国立流通センター営業所と北関東流通センター営業所で、配車から支払いまでを一元管理するKONNECTの本格運用を開始しました。[出典24]

配車は荷物、車両、運転者、時間、運賃など多数の条件を扱うため、担当者の経験へ依存すると引継ぎや繁忙時の負担が大きくなります。情報を一元化すれば、二重入力や確認作業、担当者依存を減らせます。

現時点では削減時間の実測値は公表されていません。今後、配車担当者の残業時間や処理時間が何時間減ったかまで示せれば、Innovationの人への還元をさらに高く評価できます。

2026年7月 ガス切断遠隔化の特許取得事例を公開(Innovation)

製鉄所で人が炎の前に立って行っていたガス切断を、操作室から遠隔で実施できるようにしました。2024年に特許を取得し、2026年に改善の経緯と成果を公開しています。[出典11]

高温・火花・粉じんから作業者を物理的に離すため、単なる処理速度向上ではなく、事故・熱負担・身体負担を直接減らす技術です。

こうしたサービスが評価されれば、物流・製造現場で「人が危険だから仕方なくやる仕事」を機械へ移す投資が増えやすくなります。

2025年11月 岡山県の災害支援物資訓練に物流拠点として参加(Protection)

岡山県が実施した大規模災害時の物資オペレーション訓練に、真庭配送センターが支援物資集積拠点として参加しました。[出典17]

災害協定を締結しているだけでなく、実際に物資を集め、仕分け、配送する訓練を行っている点が重要です。例えば豪雨や地震で避難所へ食料・水が届かない場合、平時から訓練した物流拠点があるほど初動を早めやすくなります。

悪いニュース・問題となった動き

問題となった動きでは、内部統制上の不正事案と、現在も残る長時間労働・男女格差が重要です。物流・製造を支える会社では、現場が安全でも、不正防止や人の待遇が弱ければ長期的な信頼と人材確保を損ないます。

2025年3月 元使用人らの特別背任容疑を理由に1か月の指名停止(Protection・Safety)

国土交通省国土技術政策総合研究所は、鴻池運輸の元使用人らが、在職中の2022年7月から2023年10月に取引先へ架空の物品購入・作業契約の請求書を提出させ、会社へ損害を与えた疑いで2025年1月に逮捕されたことを理由に、2025年3月5日から4月4日まで1か月の指名停止措置を行いました。[出典19]

別の行政資料では会社損害額を約1億7,000万円としています。[出典27]

会社は2023年の不正事案を受け、2024年以降、社長をトップとする内部統制体制へ再編し、現在は全本部長を委員とする内部統制委員会を取締役会の諮問機関として設置しています。[出典9]

元使用人の逮捕を会社全体の不正と同一視はしませんが、架空請求を長期間検知できなかった内部統制上の問題は改善対象です。再発件数、監査で検出した不備、是正完了率を継続公開することが望まれます。

2026年6月開示 男女賃金比率49.3%、女性管理職4.8%(Safety)

2026年3月期の有価証券報告書では、全労働者の女性賃金は男性の49.3%、正規雇用でも73.3%、女性管理職比率は4.8%です。[出典4]

物流・製造現場の職種構成や勤務形態の差が賃金比率に影響しますが、数字だけを見ると男女で担っている職種・役職・賃金水準に大きな隔たりがあります。

女性の現場職・管理職登用、同一等級内の賃金差、昇格率を公開し、正規雇用の賃金比率を80~90%以上へ近づけることがSafety改善につながります。

2025年実績 専門職の年間労働時間2,241.7時間(Safety)

専門職の年間平均労働時間は2,241.7時間で、総合職も2,141.6時間でした。[出典3]

自動化・DXを積極的に進めている会社だからこそ、その成果を人の自由時間へ返せるかが重要です。AGF、遠隔操作、AI、WMSを増やしても、年間労働時間が高いままなら「省人化で一人当たりの負担を増やしただけ」になりかねません。

今後は技術導入件数だけでなく、導入前後の残業・休日・有給取得を同じ拠点で公開する必要があります。

総合評価と、これから改善してほしいこと

現在の総合点は72点、シビックランクBです。次のAランクは80点からなので、あと8点必要です。

最大の強みはInnovationとProtectionです。危険なガス切断を遠隔化し、無人フォークリフトやドローンを実運用し、災害時には代替拠点や支援物資物流を動かせる仕組みがあります。一方、働く人の時間と公平性では、専門職2,241.7時間、正規雇用男女賃金比率73.3%という改善余地が残ります。

専門職を含む年間労働時間を2,000時間程度まで下げてほしい(Safety)

現在の「労働時間・休息」は4/10点です。専門職2,241.7時間、総合職2,141.6時間という実績が弱点です。[出典3]

AGF、ドローン、KONNECT、WMSなどの導入拠点で、導入前後の実労働時間と残業を測定し、専門職を含む年間平均労働時間を2,000時間程度、月平均残業20時間前後以下、有給平均14日以上まで改善してほしいです。

これを複数年度継続できれば「労働時間・休息」を4→6/10点、+2点とします。総合は72→74点です。

参考企業はキリングループロジスティクス株式会社です。当サイトのGoogle Drive上の現行審査は総合65点・Cで、「労働時間・休息」6/10点です。同社は業務改善・多能工化を背景に年間所定労働時間を1,920時間から1,896時間へ24時間削減し、その勤務設計を現在も維持しています。鴻池運輸もDXの成果を勤務時間短縮へ結びつけることが参考になります。

男女賃金差と女性管理職比率を改善してほしい(Safety)

現在の「雇用の安定・待遇の公平性」は2/5点です。女性管理職4.8%、正規雇用男女賃金比率73.3%が主な弱点です。[出典4]

女性の現場採用、管理職候補育成、同一等級での昇格・配置機会を増やし、正規雇用の男女賃金比率を85%以上、女性管理職比率を10%以上へ段階的に引き上げ、職種・等級別の差を公開してほしいです。

この改善が確認できれば「雇用の安定・待遇の公平性」を2→4/5点、+2点とします。総合は74→76点です。

参考企業は株式会社ミツウロコグループホールディングスです。当サイトのGoogle Drive上の最新版審査では、女性管理職比率47.4%、正規雇用男女賃金比率91.5%を確認し、「雇用の安定・待遇の公平性」4/5点です。業種・職種構成は異なりますが、管理職登用と賃金差を同時に改善する目安になります。

労災度数率を下げ、単体の安全結果を詳しく公開してほしい(Safety)

現在の「労働安全・健康」は6/10点です。グループの休業度数率0.24、労災度数率2.22を公開し、多数の安全施策を実施していますが、事故結果はまだ改善余地があります。[出典2・13]

死亡・重大労災0を継続し、労災度数率を会社目標の1.37以下へ下げ、鴻池運輸単体の事故件数・度数率・強度率、事故原因、再発防止後の推移を毎年公開してほしいです。

これが確認できれば「労働安全・健康」を6→8/10点、+2点とします。総合は76→78点です。

参考企業は東洋製罐株式会社です。当サイトのGoogle Drive上の最新版審査は総合79点・Bで、2024年度の死亡労災0、度数率0.16、強度率0を単体で公開し、「労働安全・健康」8/10点です。事故件数自体には課題が残りますが、頻度・重大度を具体的に公開している点が参考になります。

DXの成果を残業・休日・賃金へ返してほしい(Innovation)

現在の「改善成果の人間への還元」は3/5点です。ガス切断遠隔化とドローン点検は人の危険・時間を直接減らしていますが、AGF、WMS、生成AI、KONNECTを含む全体の改善が、残業・休日・賃金へ何時間・何円返ったかは十分見えません。

主要なDX導入拠点について、導入前後の必要人数、残業、年間労働時間、労災、配置転換、賃金を同じ条件で公開し、複数拠点で残業削減・危険作業削減・賃金維持または上昇を確認できる状態にしてほしいです。

これが継続的に確認できれば「改善成果の人間への還元」を3→5/5点、+2点とします。総合は78→80点となり、Aランクへ到達します。

参考企業はキリングループロジスティクス株式会社です。同社は海老名物流センターで無人フォークリフト4台、AGV11台、ピッキングロボット1台を組み合わせ、生産性42%向上を実証し、別途年間所定労働時間を24時間削減しています。当サイトの現行審査では「改善成果の人間への還元」3/5点です。鴻池運輸は技術の種類ではすでに強いため、次は改善効果を人の時間へ結びつけて示すことが重要です。

次のランクへ上がるための具体例

改善行動現在点改善後加点
年間平均労働時間を2,000時間程度、月残業20時間前後以下、有給平均14日以上へ改善労働時間4/106/10+2
正規雇用男女賃金比率85%以上、女性管理職10%以上を実現公平性2/54/5+2
死亡・重大労災0を維持し、労災度数率1.37以下と単体安全結果を公開労働安全6/108/10+2
DX導入前後の残業・休日・賃金を公開し、複数拠点で人への還元を実証還元3/55/5+2

現在72点+2点+2点+2点+2点=80点で、シビックランクAです。

つまり、鴻池運輸がAランクへ上がるためには、新しい技術を増やすだけではなく、すでに持つ自動化・遠隔化の成果を「年間労働時間」「男女賃金差」「労災」「残業・休日」という人間側の結果へ結びつけることが最も重要です。

出典一覧

1.鴻池運輸株式会社「会社概要」「数字で見る!鴻池運輸」【情報ランクA】

2.鴻池運輸株式会社「経営方針・重要課題(マテリアリティ)」【情報ランクA】

3.鴻池運輸株式会社「人材関連データ」【情報ランクA】

4.鴻池運輸株式会社 第86期有価証券報告書(2026年3月期)【情報ランクA】

5.鴻池運輸株式会社「社長メッセージ」2026年3月期業績【情報ランクA】

6.鴻池運輸株式会社「募集要項・よくあるご質問」【情報ランクA】

7.鴻池運輸株式会社「健康経営」【情報ランクA】

8.鴻池運輸株式会社「人権」【情報ランクA】

9.鴻池運輸株式会社「コンプライアンス」【情報ランクA】

10.鴻池運輸株式会社「DX」「専門職キャリア採用サイト」【情報ランクA】

11.鴻池運輸株式会社「ガス切断遠隔化 灼熱の重労働を安全な仕事に変えた取り組み」2026年7月22日【情報ランクA】

12.鴻池運輸株式会社「トラックへの荷積み自動化の実運用を開始」2024年3月28日【情報ランクA】

13.鴻池運輸株式会社「安全・品質」【情報ランクA】

14.鴻池運輸株式会社「デジタル技術で実現する現場改革」【情報ランクA】

15.鴻池運輸株式会社「医療機器・医薬品の物流センター設計・運営・輸配送」【情報ランクA】

16.鴻池運輸株式会社「コーポレート・ガバナンス」【情報ランクA】

17.鴻池運輸株式会社「岡山県 物資オペレーション訓練に協力」2025年11月7日【情報ランクA】

18.鴻池運輸株式会社「医療」「貸出用医療機器洗浄・メンテナンス」【情報ランクA】

19.国土交通省 国土技術政策総合研究所「指名停止措置の概要」2025年3月5日【情報ランクS】

20.OpenWork「鴻池運輸株式会社 社員クチコミ集計」【情報ランクB】

21.転職会議「鴻池運輸の評判・社員口コミ」【情報ランクB】

22.Indeed「鴻池運輸株式会社のクチコミ」【情報ランクB】

23.5ちゃんねる「鴻池運輸 2」【情報ランクB】

24.鴻池運輸株式会社「配車管理システムKONNECTの本格運用を開始」2026年10月1日【情報ランクA】

25.鴻池運輸株式会社「情報セキュリティ基本方針」【情報ランクA】

26.鴻池運輸株式会社「鳥栖定温流通センター」【情報ランクA】

27.千葉県「令和7年度 物品等入札参加資格業者の指名停止一覧表」【情報ランクS】

シビックランクの基準

ランク総合点
S90~100点
A80~89点
B70~79点
C60~69点
D50~59点
E40~49点
F20~39点
G0~19点

情報ランクの基準

情報ランク基準
S公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報
A企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、または氏名・役職・立場が確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる公表情報
B従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報

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