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三菱重工業株式会社の企業審査|総合61点・シビックランクC|1万6,000円の賃金改善と検査70~80%短縮を評価、単体労災KPI非公表とH3 8号機失敗が課題

夏の電力需要が高い日に発電設備が止まる。大きな災害で道路が寸断され、孤立地域へ水や物資を運べない。人工衛星を予定した軌道へ運べず、測位や観測の計画が遅れる。こうした出来事は、普段は意識しにくい大型機械や社会インフラの信頼性が、生活の便利さや安全に直接つながっていることを示します。

三菱重工業株式会社は、ガスタービン、原子力・火力関連設備、物流機器、航空機、ロケット、防衛装備などを扱う総合重工メーカーです。2026年3月末の単体社員数は23,373人。単体売上高は2兆3,962億円、連結売上収益は4兆9,741億円です。エナジー、プラント・インフラ、インダストリアル・ソリューション、航空・防衛・宇宙という複数の領域で、発電所から宇宙輸送まで社会の大きな設備を設計・製造・保守しています。

この会社を審査する意味は、「大企業で技術力が高いか」を見ることではありません。大型機械を作る現場で働く人へ利益がどこまで返っているか。危険な検査や反復作業を機械へ移せているか。ロケットや発電設備に不具合が起きたとき原因を究明し、再発を防げているか。地震やサイバー攻撃が起きても社会インフラを止めない準備があるかを見る必要があります。

2026年春闘では、三菱重工が月額1万6,000円の賃金改善へ満額回答しました。2025年度の会社単体平均年収は1,072万4,514円、月平均所定外労働時間は26.3時間、平均有給休暇取得日数は18.2日です。

技術面では、総合研究所が開発した超音波探傷技術により、ボイラー定期検査のリードタイムを70%、蒸気タービンのねじ部検査を従来比80%短縮した実績があります。また、危険作業や単純反復作業を代替する自律移動式多能工協働ロボットをグループ内製造現場ですでに運用しています。

一方、安全評価には大きな情報不足があります。三菱重工グループは2024年度に従業員・請負を含む労働災害指標を公開し、請負作業者の死亡災害3件も開示しています。しかし対象範囲は三菱重工業本体と49のグループ会社であり、本体単独の死亡・休業労災件数を切り出せません。100点制・第1版ではグループ数字を本体へ移して中間点を作らないため、労働安全・健康は0点とします。

製品・サービス面では、2025年12月22日のH3ロケット8号機による「みちびき5号機」の打上げが失敗しました。その後の原因究明と対策を経て、2026年6月12日の6号機、8月11日の9号機は成功しています。失敗をほかの長所で相殺せず、原因究明と復帰実績の両方を評価します。

評価時点:2026年9月23日

適用基準:100点制・第1版

目次

結論:総合61点・シビックランクC

三菱重工業株式会社の企業審査結果は、61点/100点、総合シビックランクCです。

内訳はSafety 29点/50点、Innovation 17点/25点、Protection 15点/25点です。

評価軸得点主な評価
Safety29/501万6,000円の賃金改善、平均年収1,072万円、残業26.3時間、有休18.2日、育休実績を評価。会社単体の労災結果が確認できないため労働安全は0点。H3 8号機失敗も反映
Innovation17/25ボイラー検査70%、蒸気タービン検査80%短縮、自律ロボットの実運用を評価。浮いた時間や生産性が賃金・労働時間へ直接還元された因果関係は未確認
Protection15/25大規模地震を想定したBCM訓練、関西の代替災害対策本部、サイバー多層防御、災害用無人機実証を評価。単体の代替生産能力・RTO・実復旧時間は不足
総合61/100シビックランクC

Cとなった理由は、技術力の高さと労働条件の良さだけでは総合点が決まらないためです。

賃金・休日・育休は会社単体の具体的な数字が多く、Innovationでは検査時間の70~80%短縮という測定済み成果があります。一方、重工業メーカーで特に重要な労働安全について、三菱重工業単体の死亡・休業労災件数を確認できません。

H3 8号機の失敗も製品・サービスの信頼性上の重要事例です。BCPについても訓練は具体的ですが、「主要工場が止まったとき別工場で何をどれだけ代替できるか」「何時間で主要業務を復旧するか」という能力値は十分に見えません。

そのため、強い技術と待遇を評価しつつ、単体Safetyと実復旧力の公開不足を重く見て61点としました。

基本情報

巨大企業では連結と単体を混同すると、働く人の待遇や事故の評価を誤ります。ここでは審査対象を三菱重工業株式会社本体とし、グループ会社の数字は必要な場合だけ対象範囲を明記して使います。

項目内容情報ランク
会社名三菱重工業株式会社A
英文名Mitsubishi Heavy Industries, Ltd.A
創立1884年7月7日A
設立1950年1月11日A
本社東京都千代田区丸の内3丁目2番3号A
取締役社長CEO伊藤栄作A
資本金2,656億円、2026年3月31日A
社員数単体23,373人、連結78,793人、2026年3月31日A
主要事業エナジー、プラント・インフラ、インダストリアル・ソリューション、航空・防衛・宇宙A
国内拠点1研究所、12事業所・工場、8支社A
グループ会社246社、国内55社・海外191社A
2025年度売上単体2兆3,962億円、連結4兆9,741億円A
上場東京証券取引所プライム市場A

会社公式の2026年3月末データでは、単体23,373人、連結78,793人です。研究所1、事業所・工場12、国内支社8、連結会社246社という巨大な事業網を持ちます。

有価証券報告書では、単体社員23,373人に対し臨時従業員の年間平均は2,224人。平均年齢42.3歳、平均勤続年数18.5年、平均年間給与1,072万4,514円です。平均給与は前年から5.4%上昇しています。

この平均給与は三菱重工業本体の平均であり、派遣社員、グループ会社社員、取引先・請負作業者の待遇を表すものではありません。

主な業務内容と国内拠点

三菱重工の仕事を「機械を作る」とだけ説明すると、誰がどこで何をしている会社なのか分かりません。

扱う設備は、一般消費者が直接購入する商品より、発電所、工場、交通、宇宙輸送など、多数の人が利用するサービスの裏側に置かれる大型システムが中心です。

エナジーでは発電設備を設計・製造・保守する

エナジー部門では、ガスタービン、蒸気タービン、発電プラント、原子力関連設備などを扱います。

ガスタービンを例にすると、研究・設計担当が燃焼器、材料、冷却、制御を設計し、製造現場が大型部品を加工・組み立て、試験担当が品質・性能を確認します。納入後はサービス部門が定期検査、部品交換、改造を行います。

2026年1月には、カタールの発電造水プロジェクト「ファシリティE」向けに水素対応M701JAC形ガスタービン4台を受注しました。計画では2028年に運転を開始し、240万kWの電力と1日49.5万トンの淡水を供給します。発電能力はカタールの送電容量の約20%に相当するとされています。

ただし、これは2026年時点では受注・建設段階です。将来の供給量を現在の社会貢献実績として扱いません。

一方、米国ジョージア州のマクドノフ・アトキンソン発電所では、三菱重工グループの三菱パワーアメリカとGeorgia PowerがM501GAC形ガスタービンで水素50%混焼実証を2025年6月に完了しました。出力283MW級で、天然ガス100%運転に比べCO2排出量を約22%削減したとされています。

これは米国グループ会社との実績であり、三菱重工業本体だけの成果にはしません。

プラント・インフラでは大規模設備を作る

プラント・インフラ領域では、環境設備、交通システム、船舶・海洋関連などを扱います。

大型プラントでは、設計者が設備能力、配置、配管、制御を決め、調達担当が機器・材料を手配し、工場が主要機器を製造し、建設・試運転担当が現地で設備を動かします。

一つの製品を同じ形で大量生産する工場とは異なり、顧客の施設や運用条件に応じて仕様が変わります。設計、製造、据付、試運転、保守へ長期間人が関与する仕事です。

インダストリアル・ソリューションでは工場・物流を支える

この領域には物流機器や産業機械などが含まれます。

工場・倉庫で人が運ぶ、積む、監視する仕事を、自動化設備や機械へ移す余地が大きい事業です。

ただし、事業には多くの子会社も参加しているため、三菱重工グループの全製品を三菱重工業本体社員が直接製造しているとは扱いません。

航空・防衛・宇宙ではロケットまで扱う

航空・防衛・宇宙分野では、民間航空機関連、防衛装備、宇宙輸送システム等を扱います。

H3ロケットでは、2025年12月22日の8号機が失敗しましたが、2026年6月12日の6号機、8月11日の9号機は成功しています。

ロケットは、一度の失敗でも衛星喪失や計画延期につながります。利用者から遠く見える品質保証や製造検査が、測位、観測、科学、通信などの社会サービスへ影響します。

主な利用企業・取引先・公的機関の例

巨大重工メーカーでは顧客を単純な3社へ絞りにくいため、公開情報から具体的な関係を確認できる例を示します。

相手確認できる関係三菱重工側の具体的な仕事
JAXAH3ロケットの開発・打上げ輸送ロケット製造、打上げ輸送、失敗原因の調査・対策への協力
Samsung C&TカタールFacility EのEPCM701JAC形ガスタービン4台の供給、長期保守
Georgia Power米国発電所の水素混焼実証グループ会社とともに燃焼器改造、水素供給設備・制御を含め実証

JAXAとの関係では、日本の基幹ロケットの製造・打上げ輸送に深く関与しています。

カタール案件では、プロジェクトのEPCを担うSamsung C&Tと協力し、三菱重工がガスタービンを受注しています。

Georgia Powerの事例は米国現地法人が中心のグループ事業であるため、対象法人単独の実績としては扱いません。

事業による人間への貢献

三菱重工の製品は、消費者が店で直接買うものが少ないため、「自分には関係のない会社」に見えやすい企業です。

しかし、設備が止まったときに生活との関係が見えます。

発電設備は電気を使える状態を裏側で支える

ガスタービンや蒸気タービンは発電所で電気を作る中核設備です。

利用者が三菱重工へ直接電気料金を払うわけではありません。しかし発電設備が安定して動けば、住宅、工場、病院、交通、データセンターなどが電気を使える状態を支えます。

水素混焼技術が実用化されれば、既存の発電設備を使いながらCO2排出を減らす選択肢にもなります。

ただし発電効率向上を、そのまま家庭の電気料金低下とはみなしません。料金への還元は電力会社の料金制度や燃料費など別要因も大きいためです。

ボイラー検査を70%短縮

三菱重工総合研究所は、複雑な表面形状のまま内部欠陥を検査できるアダプティブ超音波探傷技術を開発しました。

表面形状を推定し、音波の反射・屈折を補正することで、従来そのままでは検査しにくかった部位の内部を直接確認できます。

ボイラーの定期検査では、検査リードタイムを70%短縮しました。

これは「DXを推進」という抽象的な改善ではありません。

従来、人が設備を止め、検査可能な状態へ加工・準備し、確認し、復旧していた工程の一部を非破壊検査へ置き換えることで、設備停止と作業時間を減らしています。

ただし、作業者の残業が何時間減ったか、何人が別業務へ移ったか、短縮時間が休日や賃金へ返ったかは確認できません。

蒸気タービン検査を80%短縮

めねじUTでは、従来ボルトを抜き取って調べていたねじ部を、ボルトを外さず超音波で検査できるようにしました。

蒸気タービンの検査では、従来方法と比較してリードタイムを80%短縮しています。

大型設備には多数の締結部があります。

ボルトの取り外し、検査、再組立を減らすことは、単なる計測時間だけではなく、分解・復旧に伴う人の作業を減らします。

一方、短縮した時間を「労働時間短縮へ使った」のか、「同じ時間でより多くの仕事を行うために使った」のかは公開されていません。

危険・反復作業をロボットへ移す

三菱重工は、自律移動し、作業内容に応じて工具を交換できる多能工協働ロボットを開発しています。

すでにグループ内の製造現場で運用を開始し、危険作業や単純反復作業から作業者を解放し、高付加価値業務へ移すことを説明しています。

ここでは「将来使う予定」ではなく、実際に運用を始めている点を評価できます。

しかし、

  • どの工場で使っているか
  • 何kgの作業を置き換えたか
  • 何人・何時間分を代替したか
  • 事故が何件減ったか
  • 人の配置先
  • 残業・賃金への影響

までは確認できません。

Innovationでは高く評価しますが、人間への還元は別項目として0点にします。

災害時に150kgの水を無人機で運ぶ

南海トラフ巨大地震を想定した「南海レスキュー2024」では、三菱重工が開発中の中型無人機を使い、2リットルの飲料水72本、合計150kgを運搬しました。

最大風速10m/s弱の中で飛行し、孤立地域を想定した場所へホバリング状態からウインチで荷物を下ろし、自動的に切り離すところまで実証しています。

小型無人機では搭載カメラで被災者や被害箇所を確認できることも実証しました。

災害へ「役立つ可能性」を語るだけではなく、訓練で150kgを実際に輸送した点を評価します。

ただし、実際の大規模災害で住民へ物資を届けた実績ではありません。

代表業務・代表事業の審査

代表業務は「社会インフラ向け大型機械・システムの設計・製造・保守」とします。

三菱重工の事業は幅広いため、一つの製品だけで企業全体を代表させると実態を捉えにくくなります。

共通するのは、大型設備を設計し、工場で製造し、現場へ納入し、長期間保守する仕事です。

ガスタービンを例に仕事の流れを見る

発電用ガスタービンでは、おおむね次の仕事が発生します。

  • 研究・設計担当が燃焼、材料、冷却、制御を設計
  • 製造担当が高温に耐える大型部品を加工・組み立て
  • 品質・検査担当が寸法、材料、内部欠陥を確認
  • 現地担当が発電所へ据え付け、試運転
  • サービス担当が定期検査、部品交換、改造

Innovationが人の仕事を最も具体的に変えている一つが検査です。

ボイラー70%、蒸気タービン80%という検査時間短縮は、分解して確認する工程の一部を非破壊検査へ移した成果です。

一方、設計、製造、据付、保守には依然として高度な人の判断と現場作業が必要です。

自動化を「人が不要になった」とは評価しません。

労働環境

高い売上や先端技術があっても、その会社で働く人が長時間労働や危険へ集中していれば、人間への貢献は弱くなります。

三菱重工では、会社単体の賃金、労働時間、育休について比較的多くの具体的データを確認できます。

2026年春闘は1万6,000円の賃金改善を満額回答

情報ランクB|2026年春闘では、三菱重工が月額1万6,000円の賃金改善へ満額回答しました。

一時金も満額回答で、約283万円、6.7カ月相当と報じられています。

1万6,000円を「全社員一律の手取り増」とは表現しません。

労組の要求・回答であり、非組合員、非正規、派遣、請負などの適用範囲は別です。

会社単体の2025年度平均年間給与は1,072万4,514円で、前年比5.4%増でした。

平均年収だけでは若手、工場勤務者、職種別の生活水準は判断できませんが、賃金改善と平均給与上昇の両方が確認できるため、賃金・利益の還元は8/10点とします。

月平均所定外26.3時間、有休18.2日

2025年度の月平均所定外労働時間は26.3時間、平均有給休暇取得日数は18.2日、平均勤続勤務年数は18.8年です。

26.3時間は「ほとんど残業がない」と評価できる数字ではありません。

一方、有休18.2日は制度上の付与日数ではなく、実際の取得実績です。

転職会議の投稿者集計でも残業は約28時間となっており、公式採用情報の26.3時間と大幅には離れていません。ただし口コミ集計は勤怠記録ではありません。

労働時間・休息は8/10点とします。

新卒定着率は高い

マイナビ掲載データでは、

  • 2024年度採用529人、離職4人
  • 2023年度採用346人、離職6人
  • 2022年度採用298人、離職13人

となっています。

平均勤続も18年台です。

長期雇用という意味ではプラスですが、研究所、設計、工場、現地工事、営業では仕事が大きく異なります。

平均値だけで全事業所が働きやすいとは判断しません。

男女賃金差は正規雇用80.0%

2025年度の会社単体開示では、男女賃金差は全労働者74.9%、正規雇用80.0%、パート・有期60.6%です。

女性管理職比率は2.9%です。

男女賃金差80.0%は「同じ仕事をしている女性へ男性の80%しか払っていない」という意味ではありません。

職種、役職、年齢、勤続、雇用形態など人員構成の差が影響します。

しかし会社単体の結果として差があるため、採用、配置、昇進、管理職登用がどう影響しているのかは今後確認する必要があります。

雇用安定・待遇公平性は3/5点とします。

男性育休90.2%、女性98.6%

2024年度の採用情報では、男性の育休対象者377人のうち340人が取得し、90.2%。女性は70人中69人で98.6%です。

有価証券報告書でも、正規雇用男性90.2%、パート・有期男性60.0%という会社単体結果が確認できます。

数百人規模の対象者で男性9割超という実績は評価できます。

研修制度、e-learning、育成担当者制度、キャリア面談等も確認できるため、福利厚生・育児介護は4/5点とします。

労働組合と人権・通報制度

三菱重工労働組合は現在も春闘で会社と交渉しており、2026年には1万6,000円の賃金改善という具体的な交渉結果があります。

グループには内部・外部通報窓口があり、ハラスメントやコンプライアンス問題を含む相談・通報制度、秘密保持、不利益取扱い禁止などが設けられています。

一方、本体単体のハラスメント相談件数、認定件数、是正件数、再発率は確認できません。

人権・ハラスメント・労使関係は3/5点とします。

従業員・元従業員の口コミ

口コミは制度と現場経験の差を見る補助資料として使います。

媒体確認結果情報ランク
転職会議約2,400件規模。投稿者集計は残業約28時間。有休・フレックスを評価する設計職、納期・業務量への不満を述べる生産技術職などを確認C
Indeed65件、総合3.8。給与・福利厚生4.3、勤務時間・残業3.8。直近投稿には信頼性判断が難しい内容もあり個別採点には不使用C
OpenWork公開検索で残業30時間、有休消化率57%台の集計等を確認。会員制のため全文確認範囲に制約C
エンゲージ会社の評判約2,690件。現職主任で月60時間、若手研究職で月40時間という個人例を確認C

転職会議では、2024年1月投稿の20代後半男性・正社員・機械設計職が、フレックス、ノー残業デー、有休の取りやすさを肯定的に述べています。

一方、2025年7月投稿の20代後半男性・正社員・生産技術職では、納期と業務量から残業を前提と感じるという趣旨の不満があります。

2024年2月の技能職口コミでは特殊な仕事への面白さを評価する一方、測定器の保管状態や工場の温度管理に懸念を述べる例もあります。

巨大企業では職種・事業所差が大きいため、一人の経験を全社へ広げません。

Indeedは総合3.8、給与・福利厚生4.3と比較的高い一方、2026年の直近公開投稿には職種名や内容が会社実態との関係を判断しにくい例も確認されました。このため集計傾向のみ補助的に参照します。

エンゲージ会社の評判では、現職男性主任・在籍11~15年で月60時間という個人例、在籍3年未満の研究職で月40時間という例があります。公式平均26.3時間より長いケースですが、部署・時期の違う個人経験です。

口コミを横断すると、給与・福利厚生への評価は比較的強い一方、納期や部署によって残業・作業環境への不満が存在します。

採点は会社単体の公表実績を中心にし、口コミは補助に留めます。

Safety

三菱重工のSafetyでは、工場で働く人の事故と、顧客・社会へ渡す大型製品の信頼性を分けて見ます。

労働安全・健康は単体KPIが不足

SUSTAINABILITY DATABOOK 2025では、2024年度の労働安全データが公開されています。

対象は三菱重工業本体と49グループ会社で、従業員カバー率は72.4%です。

同範囲では、

  • 従業員・請負を合わせた総労働時間約1億6,308万時間
  • 従業員死亡0件
  • 請負作業者死亡3件
  • 労働災害は従業員33件、請負31件
  • LTIFRは全体0.39、従業員0.28、請負0.69

とされています。

請負作業者の死亡3件は重大です。

賃金改善、先端技術、売上などの長所で相殺しません。

同時に、この数字は三菱重工業本体だけではないため、「三菱重工業株式会社で3人死亡した」とは書けません。

対象法人単体の死亡、休業災害、度数率、請負事故件数を十分な調査後も確認できないため、100点制・第1版の情報公開ルールに従って労働安全・健康は0/10点とします。

これは「本体の安全状態が悪い」と証明された0点ではなく、単体結果を評価できないことによる0点です。

H3 8号機は製品・サービスSafetyの重大事例

2025年12月22日、H3ロケット8号機による「みちびき5号機」の打上げは失敗しました。

JAXAと文部科学省の調査では、フェアリング分離時の衝撃を受け、衛星搭載部の接着継手の剥離が進み、不安定破壊へ至ったことが主要な直接原因として整理されました。

対策では、実用衛星を載せる機体の締結方法をファスナー結合へ変更するなどの構造見直しが行われています。

失敗後に予定されていた9号機は延期され、原因究明と後続機への影響評価が続けられました。

その後、2026年6月12日の6号機、8月11日の9号機は成功しました。

失敗、第三者を含む原因究明、構造対策、その後の成功という一連を評価し、商品・サービスSafetyは3/5点とします。

Innovation

Innovationで高く評価できるのは、単にAIやロボットへ投資していることではなく、「人が行っていた工程が何%減ったか」を示せる技術があることです。

ボイラー検査70%短縮

アダプティブUTは複雑な表面形状を推定し、超音波の反射・屈折を補正しながら内部欠陥を調べる技術です。

これにより複雑形状のまま内部を検査できるようになり、ボイラー定期検査のリードタイムを70%短縮しました。

人が設備を検査可能な状態へ準備し、分解・復旧する工程の一部を削減できます。

ただし、対象人数や残業削減量は非公表です。

蒸気タービン検査80%短縮

めねじUTでは、ボルトを取り外して行っていた検査を、ボルトを外さず超音波で実施します。

蒸気タービンの検査では、従来比80%のリードタイム短縮です。

分解・再組立の作業を減らせる具体的Innovationです。

一方、浮いた時間の使い道は確認できません。

自律移動式多能工協働ロボット

三菱重工は、自律移動し、作業に応じて工具を交換するロボットを開発し、グループの製造現場で実運用を開始しています。

会社は危険作業・単純反復作業から人を解放し、高付加価値作業へ移すことを目的として説明しています。

ただし対象工場、対象人数、代替作業時間、重量、事故削減件数、配置転換先は確認できません。

作業負担・危険削減は8/10点とします。

PFNへ100億円、AI共同開発を本格化

2026年9月16日、三菱重工とPreferred Networksは資本業務提携を発表しました。

三菱重工は第三者割当増資を通じてPFNへ総額100億円を投資し、社会インフラなどの機械・システムの知能化・自律化を共同開発する計画です。

これは2026年9月時点では将来投資です。

すでに労働時間が減った、事故が減ったという成果には置き換えません。

研究開発・現場改善の継続性として評価します。

Protection

三菱重工は発電、宇宙、産業設備など社会インフラに関わるため、Protectionでは「会社自身が災害で止まらないか」も重要です。

本社停止まで想定した災害訓練

2024年度には東京都心の大規模地震を想定し、

  • 安否確認システム訓練
  • 夜間・休日のリモート災害対策本部設置
  • 日中の災害対策本部設置
  • 東京本社機能停止時に関西へ代替災害対策本部を置く訓練

などを実施しています。

国内事業所では南海トラフ地震による津波を想定した訓練、前年には豪雨災害想定の訓練も行われています。

「BCPがあります」という文書だけではなく、本社停止や時間帯まで変えた訓練を行っている点を評価し、災害への備え・訓練は4/5点とします。

工場停止時の代替能力は不透明

本社機能を関西へ移す訓練は確認できます。

一方、高砂、長崎、神戸などの大型製造拠点が止まった際、別工場でどの製品・部品を何%代替できるのかは確認できません。

主要サプライヤーが止まった場合の切替所要日数なども公表情報では十分に把握できません。

生産・物流・調達の代替は2/5点とします。

サイバーは多層防御・SIRT・経営訓練まで実施

グループではNIST Cybersecurity Framework 2.0を参考に、多層防御、脆弱性診断、外部の脅威情報収集、教育、内部監査などを行っています。

インシデント対応ではSIRTを設け、重大案件を経営層へ報告する体制、ランサムウェアを想定した経営層訓練、BCPも整備しています。

一方、三菱重工業単体の重大インシデント件数、封じ込め時間、バックアップ復元時間などは確認できません。

サイバー防衛・情報保護は4/5点とします。

災害用無人機で150kgを輸送

南海レスキュー2024では、150kgの飲料水を最大10m/s弱の風の中で輸送し、ウインチによる自動荷下ろしを実証しました。

災害時に道路を使わず孤立地域へ物資を届ける技術として具体性があります。

ただし、実災害で住民支援に投入した実績ではないため、危機時の市民対応は3/5点とします。

実際の復旧時間は不足

BCM訓練は充実していますが、

  • 重要工場の目標復旧時間
  • 実災害後の復旧時間
  • 代替生産へ切り替えた時間
  • サイバー障害からの復元時間

は会社単体で横断的に確認できません。

供給継続・復旧能力は2/5点です。

重大事故・行政処分・不祥事の確認

通常調査とは別に、三菱重工業株式会社と主要拠点について、死亡事故、労災、書類送検、行政処分、火災、爆発、リコール、情報漏えい、サイバー攻撃、人員削減等を組み合わせて検索しました。

2025~2026年の公開検索範囲では、対象法人単体について総合評価をさらに変更する新たな重大死亡労災・大規模行政処分を公的資料から特定できませんでした。

ただし、これを「事故ゼロ」とは扱いません。

グループ安全データでは請負作業者の死亡3件が公開されていますが、本体単体の内訳を確認できないためです。

また2026年には大規模な空調機リコール情報がありますが、対象事業者は三菱重工サーマルシステムズであり、三菱重工業株式会社本体とは法人が異なります。本体の事故として採点しません。

SNS・匿名掲示板の確認結果

口コミサイトとは別工程で、検索エンジン経由でX、YouTube、TikTok、5ちゃんねる、爆サイを確認しました。

媒体実施状況結果
X・旧Twitter検索実施会社名、残業、事故、パワハラ、工場名等を検索。社員関係と具体的事実を同時に確認できる有用投稿を今回確保できず
YouTube検索実施就職・社員経験を扱う動画を確認したが、在籍状態の説明が曖昧な例があり採点に使用せず
TikTok閲覧制限投稿本文を十分確認できず
5ちゃんねる本文確認済み2021年の匿名投稿で三菱重工関連現場のハラスメント等を主張する内容を確認。ただし投稿者の雇用関係・拠点・裏づけ不明
爆サイ検索実施・有用情報なし対象法人との勤務関係を確認できる投稿を今回確保できず

5ちゃんねるの匿名投稿は情報ランクEです。

投稿者が三菱重工社員なのか、請負会社なのか、どの拠点なのかを確認できず、公的資料等で裏づけられないため、ハラスメントが確認された事実として採点には使用しません。

SNSで有力な悪評を見つけられなかったことも加点しません。

主なニュース・最近の動き

最近のニュースでは、賃金、製品信頼性、AI、現場改善、業績に関係するものを優先します。

2026年9月16日:PFNへ100億円投資

三菱重工とPreferred Networksは資本業務提携契約を締結しました。

三菱重工はPFNへ総額100億円を投資し、ミッションクリティカルな機械・システムのAI化・自律化を共同開発します。

現時点では投資・開発計画であり、人への成果は今後確認します。

2026年8月11日:H3 9号機成功

H3 9号機は「みちびき7号機」を搭載し、2026年8月11日に成功しました。

2025年12月22日の8号機失敗後、原因究明と対策を進め、6月の6号機に続く成功です。

成功2回によって8号機失敗を相殺せず、一連の改善過程として評価します。

2026年3月:1万6,000円の賃金改善

2026年春闘では、1万6,000円の賃金改善へ満額回答しました。

一時金も約283万円、6.7カ月相当の満額回答とされています。

平均給与の高さだけではなく、基本賃金を継続的に引き上げる動きとして評価します。

2026年3月18日:検査70~80%短縮などを公表

新経営方針「ITO」の実践事例として、自律移動式多能工協働ロボット、ボイラー検査70%短縮、蒸気タービン検査80%短縮などが公表されました。

単なる表彰ニュースではなく、実際の作業工程がどの程度変わったかを確認できる点に意味があります。

2026年9月時点:AI・自律化投資を拡大

6月にPFNとの業務提携を始め、9月には100億円の資本投資へ発展しました。

研究段階から中長期の共同開発体制へ踏み込んでいます。

100点制・第1版による採点

Safety:29/50

採点項目得点評価理由対象範囲・情報ランク
賃金・利益の還元8/102026年1万6,000円の賃金改善へ満額回答。単体平均年収1,072万4,514円、前年比5.4%増。非正規・請負への適用は不明単体S・B
労働時間・休息8/10月平均所定外26.3時間、有休18.2日。残業は一定あるが実績を公開単体B
雇用安定・待遇公平性3/5長期勤続、新卒定着を評価。男女賃金差は全体74.9%、正規80.0%、有期等60.6%単体S・B
福利厚生・育児介護4/5男性育休90.2%、女性98.6%、研修・キャリア支援を確認単体S・B
人権・ハラスメント・労使関係3/5現在も労組交渉が機能。通報制度あり。単体相談・認定・是正件数は未確認B・A
労働安全・健康0/10グループ範囲では請負死亡3件等を開示するが、本体単独の死亡・休業労災・度数率を確認できずグループA、単体重要結果非公表
商品・サービスSafety3/5H3 8号機失敗が発生。独立調査、構造対策、後続6号機・9号機成功を確認S・A

Safetyは29点/50点です。

賃金・時間・育休は単体実績がかなり見える一方、安全事故だけは対象範囲がグループ中心です。

大企業だから安全だろうという推定はせず、単体結果非公表を0点としました。

Innovation:17/25

採点項目得点評価理由対象範囲・情報ランク
作業負担・危険の削減8/10ボイラー70%、蒸気タービン80%の検査時間短縮。危険・反復作業用ロボットを実運用。事故・対象人数は不明A
商品・サービス改善4/5非破壊検査、H3対策、水素対応技術等を継続。全製品へ一般化しないA・S
改善成果の人間への還元0/5削減時間は確認できるが、残業、賃金、配置、安全へ直接還元された因果関係を確認できず重要結果非公表
研究開発・現場改善の継続5/5総合研究所の実用技術、ロボット実運用、PFNとのAI共同開発を継続A

Innovationは17点です。

「何%削減したか」が分かるInnovationは評価できます。

一方、「削減した時間を人へどう返したか」は見えないため、還元項目で二重加点しません。

Protection:15/25

採点項目得点評価理由対象範囲・情報ランク
災害への備え・訓練4/5首都圏地震、夜間・休日、本社停止、関西代替本部、津波等を想定した訓練グループA
生産・物流・調達の代替2/5複数拠点はあるが主要工場停止時の代替生産容量・切替時間は不明A
サイバー防衛・情報保護4/5NIST CSF 2.0、多層防御、SIRT、ランサムウェア訓練等を確認。単体KPIは不明A
供給継続・復旧能力2/5BCMは具体的だが、単体RTO、実災害・障害からの復旧時間を十分確認できずA
危機時の市民対応3/5南海レスキューで150kgの飲料水輸送・自動荷下ろしを実証。実災害対応ではないA

Protectionは15点です。

訓練と実証は具体的です。

一方、実際に工場・システムが停止した場合の「何時間・何日で戻るか」が不足しています。

総合評価

三菱重工業株式会社の総合評価は61点/100点、シビックランクCです。

この会社の強みは、巨大企業で売上が大きいことではなく、技術改善について具体的な作業時間まで示せる部分があることです。

ボイラー検査70%短縮、蒸気タービン検査80%短縮は、「DXを進めています」という言葉よりも重要です。

従来、人が設備を分解・復旧しながら調べていた作業の一部を超音波検査へ移す。

危険・反復作業を自律ロボットへ移す。

人が何をしていたか、技術が何を代替したかを具体的に説明できます。

働く人への還元も一定程度確認できます。

2026年春闘では1万6,000円の賃金改善へ満額回答。単体平均年収は1,072万円。月平均所定外労働は26.3時間、有休取得は18.2日。男性育休も90.2%です。

一方、「技術力が高い会社だからSafetyも高い」とは評価できません。

グループの2024年度安全データでは請負作業者の死亡3件まで公開されています。重大な情報を開示していること自体は説明責任上重要です。

しかし審査対象である三菱重工業株式会社単体の死亡・休業労災件数を切り出せません。

工場、現地工事、保守、試験など危険を伴う仕事が多い会社だからこそ、本体の事故件数と請負作業者の事故を法人別・事業所別に継続公開すれば、Safetyをさらに正確に評価できます。

製品SafetyではH3 8号機の失敗が重大です。

「みちびき5号機」を予定軌道へ届けられず、後続号機の打上げも延期されました。

一方で原因調査を続け、構造対策を行い、2026年6月の6号機、8月の9号機は成功しています。

失敗、原因究明、対策、その後の結果を全て残して評価する必要があります。

Protectionでは、東京本社が使えないことを前提に関西へ代替災害対策本部を設ける訓練や、津波・豪雨を想定した事業所訓練があります。

南海レスキュー2024では150kgの飲料水を無人機で運び、自動荷下ろしまで実証しました。

しかし、本当に高砂、長崎、神戸などの主要設備が止まった際に、別工場が何を何%代替できるか、何日で通常供給へ戻れるかは十分に見えません。

Innovationにも同じ課題があります。

検査時間が70~80%減った結果、作業員が早く帰れるようになったのか、同じ人数でさらに多くの仕事を行うようになったのか、別職種へ配置されたのか、賃金へ返ったのかは公開されていません。

今後、特に確認したい情報は次の部分です。

  • 三菱重工業単体の死亡・休業労災、請負事故、度数率
  • 自動化・検査短縮後の残業、安全、配置転換
  • 男女賃金差が生じる職種・役職構成
  • 主要工場停止時の代替生産能力と切替時間
  • サイバー・自然災害からの実復旧時間

賃金・休暇・技術改善の具体性は高く、災害・サイバーへの備えも広い。

その一方、最重要の単体労災KPIと、効率化・BCPが最終的に人へどれだけ返ったかという結果が不足しています。

以上から、三菱重工業株式会社の総合評価は61点、シビックランクCとします。

出典一覧

1.三菱重工業株式会社「会社案内」

2.三菱重工業株式会社「2025年度 有価証券報告書」

3.マイナビ2028「三菱重工業株式会社 会社概要・働き方データ」

4.2026年春闘における三菱重工業の賃金改善・一時金回答

5.三菱重工業「新しい経営方針『ITO』の実践による優秀事例を顕彰」2026年3月18日

6.三菱重工業「H3ロケット打上げ実績」

7.JAXA「H3ロケット8号機打上げ失敗の原因究明に係る調査・安全小委員会報告書」2026年7月23日

8.文部科学省「H3ロケット8号機打上げ失敗の原因究明に係る調査・安全小委員会報告書」

9.三菱重工グループ「SUSTAINABILITY DATABOOK 2025」

10.三菱重工業「南海レスキュー2024」での無人機実証

11.三菱重工業・Preferred Networks「資本業務提携契約を締結」2026年9月16日

12.三菱重工業「カタール向け最新鋭JAC形ガスタービン4台を初受注」2026年1月14日

13.三菱重工グループ・Georgia Power「水素50%混焼実証」

14.転職会議「三菱重工業株式会社の口コミ」

15.Indeed「三菱重工業株式会社のクチコミ」

16.OpenWork「三菱重工業株式会社の社員クチコミ」 公開検索範囲を確認

17.エンゲージ会社の評判「三菱重工業株式会社の評判・口コミ」

18.三菱重工業・PFN AI提携関連資料

情報ランクの基準

情報ランク基準
S公的機関の調査・統計・行政文書・裁判資料などで直接確認できる情報、または独立した第三者による検証・監査・認証等の裏づけがある情報。確認された範囲に限る
A企業自身が公式サイト、報告書、採用情報、公式声明などで公表している情報。企業側の説明・自己申告を含む
B役職・立場が確認できる関係者への取材・発言、労働組合等の当事者組織による具体的な交渉・活動情報、第三者媒体で確認した具体的な労働条件
C一般社員、元社員、契約社員、パート・アルバイトなどの勤務経験に基づく口コミ
DXなど一般SNS上の投稿で、発信者の立場や内容の裏づけが十分でない情報
E匿名掲示板など、発信者の身元・関与・経緯をさらに確認しにくい情報

情報ランクは情報の出どころと裏づけを示すもので、企業の良し悪しを評価する総合シビックランクとは異なります。

媒体名だけで機械的に決めず、原発信者と根拠で判定します。企業公式SNSによる発表はA、公的原資料で直接確認できる内容はSなどとして扱います。

低い情報ランクは虚偽を意味せず、高い情報ランクも記事全体の正しさを自動的に保証するものではありません。

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