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CAP INGELECの企業審査|総合53点・シビックランクD|ISO 45001と事故頻度率改善、従業員持株を評価 実労働時間・自社BCP・サイバー実績の開示が課題

大規模なデータセンターが停電し、工場の高圧電源が止まり、医薬品をつくるクリーンルームの温度や空気清浄度を保てなくなれば、普段は直接目にしない設備の故障が、通信、物流、医薬品、製造業の停止につながります。

CAP INGELECは、こうした高い信頼性が求められる建物や電気・空調・制御設備を、設計だけでなく施工・試運転まで含めて一括でつくるフランスのエンジニアリング会社です。Datacenter、Energies、Industriesを主要分野とし、データセンター、工場、クリーンルーム、高圧電力設備などを手掛けています。

2025年について会社は売上高約6億8,000万ユーロ、従業員約800人、国外売上高1億4,600万ユーロと発表しています。2026年にはさらに300人超の採用を計画しています。一方、フランス政府の企業ディレクトリで確認できるCAP INGELEC SAS単体は、SIREN 384 326 468、Mérignac本社のSASで、2023年の従業員規模は250~499人です。グループ規模とフランス法人単体の人数は分けて評価します。

働く人に関する情報は比較的具体的です。2024年対象のCSR資料では、従業員588人、欠勤率2%、平均勤続5年4か月、年間研修7,834時間、離職率17%、女性比率25%、従業員持株参加率63%、事故頻度率1.15などが示されています。2023年の資料では71万7,876労働時間に対して労災15件、休業を伴う労災2件、休業労災頻度率2.79、強度率0.13でした。公開指標では安全成績に改善が見られます。

さらに2025年にはDEKRAの監査を経てISO 45001を取得し、ISO 9001も更新しました。PPEの確認、PPSPS、安全監査、現場ごとの安全教育動画、40人の救急資格者、Health & Safety Dayなど、制度だけでなく実際の運用も確認できます。

一方、現在の平均残業時間、週平均労働時間、長時間労働者割合、有給取得率などは確認できません。2025~2026年のGlassdoorにも、技術案件や報酬を評価する声とともに、仕事量、案件配分、急成長に伴う組織整備を課題とする投稿があります。口コミだけで会社全体を断定することはできませんが、会社自身の実労働時間KPIも不足しています。

固定配点で評価した結果は、Safety 28点、Innovation 14点、Protection 11点、総合53点。

シビックランクDとします。

目次

総合評価

項目得点満点
Safety2850
Innovation1425
Protection1125
合計53100
シビックランクD50点以上60点未満

Dとなった最大の理由は、重大事故や行政処分が相次いで確認されたためではありません。むしろ労働安全、研修、利益還元については具体的な数字を公開しています。

低得点の中心は、実労働時間、自社BCP、サイバー防御・復旧実績などの重要情報が十分に確認できない点です。

一方、従業員持株、利益分配、研修、ISO 45001、安全指標の改善、データセンターの省エネルギー・冗長化、複数国・複数拠点によるプロジェクト遂行能力は具体的な実績として評価しています。

基本情報

企業を正しく評価するには、グループ全体の急成長を、そのままフランス法人単体の雇用実績として扱わないことが重要です。CAP INGELECについても、公式サイトのグループ数値と公的法人情報を分けて確認します。

項目内容
企業名CAP INGELEC SAS
SIREN384 326 468
法人形態SAS
設立1992年1月6日
本社7 Allée des Acacias, 33700 Mérignac, France
代表Matthieu Calès
主な事業複雑建築・技術設備の設計、エンジニアリング、調達、施工、試運転
主要分野Datacenter、Energies、Industries
フランス国内稼働拠点15拠点
法人単体従業員規模250~499人、2023年
グループ従業員約800人、2025年公式発表
2025年売上高約6億8,000万ユーロ
累計実績2万件超のミッション、会社公表
評価制度100点制・第1版
審査基準日2026年9月29日

法人情報と拠点数はフランス政府の企業ディレクトリ、グループ売上・従業員数はCAP INGELECの公式発表を基にしています。

CAP INGELEC単体とグループの違い

公式サイトの約800人という従業員数には、フランス国外を含むグループの人員が含まれます。一方、政府企業ディレクトリのCAP INGELEC SAS単体は2023年時点で250~499人です。グループの成長を、そのまま対象法人単体の待遇や雇用成果として加点しません。

2025年にはINGENOVAをCAP INGELECへ吸収統合しました。INGENOVAはデータセンターのITルーム設計、配置、配線、移設などを担っていた会社で、統合によって建物外部の電力・空調設備からITルーム内部まで一体で扱える体制を拡大しています。CAP INGELECは統合時に雇用を維持したと説明しています。

主な業務内容と拠点

CAP INGELECは、単に設計図を作って発注者へ渡す会社ではありません。

案件によって、候補地の調査、電力接続、基本設計、詳細設計、設備調達、建築・電気設備工事、協力会社管理、試運転、性能確認まで担当します。

業務担当する人具体的な作業利用者に届く成果
設計・エンジニアリング電気、空調、機械、BIMエンジニア電力容量、冗長化、空調、配管、制御、建築条件を設計停止しにくく効率的な施設
プロジェクト管理プロジェクトマネージャー予算、工程、発注、協力会社、品質を統括発注者の管理負担を減らす
施工管理工事責任者、現場エンジニア現場工程、安全、設備据付、品質を管理設計を実際の施設へ変える
HSEHSE担当者PPE、PPSPS、安全教育、監査、是正現場事故の予防
試運転コミッショニング技術者電源、空調、BMS等の実動作を確認稼働後の停止・故障を減らす
データセンター更新技術チームITルーム配置、配線、移設、撤去、設備更新サービスを止めにくい状態で更新

フランス政府の企業ディレクトリでは15の稼働拠点を確認できます。Mérignac本社のほか、Colomiers、Aix-en-Provence、Reimsなどに拠点があります。海外にもスペイン、イタリア、ギリシャ等の体制を持ち、国際案件ではフランス側の設計チームと現地の施工体制を組み合わせています。

主な利用企業・取引先の例

同社公式のリファレンスにはDATA4、Equinix、KDDI France、Bouygues Telecom、Sanofi、STMicroelectronicsなどが掲載されています。ただし、掲載された企業すべてとの取引が現在も継続しているとは断定しません。具体的なプロジェクトを確認できるものを中心に見ます。

DATA4

MadridのDC02ではCAP INGELECとCAP DC Españaが設計・施工を一括して担当しました。

建物は約9,000平方メートル、IT電力6.6MW、TIER III、100%IT負荷時PUE 1.28とされています。別のMadrid案件では既存倉庫をデータセンターへ転換し、20kV高圧電源、BIM、BMSなどにも対応しました。

KDDI France

Paris地域のデータセンター転換案件では、CAP INGELECが5MW規模のIT設備を持つ施設整備へ関与し、PUE 1.37、TIER III相当以上を目指す案件として紹介されています。

GravitHy

2026年9月14日、CAP INGELECはGravitHyとFos-sur-Merの低炭素鉄工場向け変電所についてEPC契約を発表しました。

設備は400kV/33kV、1.15GW規模のGIS変電所で、将来の水素還元鉄生産設備へ電力を供給する基幹インフラです。

事業による人間への貢献

CAP INGELECは消費者へ直接商品を販売する企業ではありません。

人間への貢献は、通信、医薬品、製造、電力などを「止めにくくすること」「必要な性能で稼働させること」「同じ仕事をより少ないエネルギーで行えるようにすること」にあります。

通信・データを止めにくくする

データセンターでは、電源や冷却が停止すればサーバーも止まります。

CAP INGELECは高圧受電、UPS、非常用電源、冷却設備、BMS、配管、火災対策などを一体で設計します。稼働中施設の改修では、サービスを維持しながら設備を変更することも主要な能力として掲げています。

DATA4 MadridのTIER IIIとPUE 1.28は、停止耐性とエネルギー効率を同時に具体化した事例です。

医薬品・製造環境を維持する

医薬品、半導体、電池、化学などでは、単に建物があれば生産できるわけではありません。

温湿度、空気清浄度、特殊ガス、電力、制御、安全設備を一定範囲に維持する必要があります。CAP INGELECは高圧・低圧電気、空調、特殊流体、BMS、EMS、試運転・適格性評価等を統合して扱います。

こうした設備が正常に機能することで、製品品質と働く人の安全を支えます。

産業の電化を支える

GravitHyの1.15GW変電所は、低炭素鉄製造を可能にする前提インフラです。

「脱炭素化」という目標だけでは鉄鋼生産は変わりません。巨大な電力を安全かつ安定して供給する変電所を実際に設計・建設することで、産業の電化を物理的に可能にします。

代表業務・代表事業の審査

CAP INGELECの代表業務は、データセンターのDesign & Buildとします。

同社のCSR資料ではDatacenterが売上構成の中心を占めており、会社公式サイトもデータセンター分野で累計1,800件超の建設・改修、900MWの高品質電力、55万平方メートルのITスペース、1.5GWの総設置電力を掲げています。これらは企業自己申告であるため情報ランクAとして扱います。

データセンターの仕事はサーバーラックを置くことではありません。

まず、候補地で必要な電力を確保できるか調べます。次に高圧受電、UPS、発電設備、冷却設備、配管、BMS、火災対策、通信設備を設計します。その後に施工し、最後に実際の負荷を想定して試運転し、設備が設計通り動くかを検証します。

発注者にとっては、別々の設計会社・施工会社・試運転会社を個別管理する負担を減らせることがDesign & Buildの価値です。

労働環境・賃金・福利厚生

高度な技術会社だから働きやすいとは限りません。

大型データセンターや工場のプロジェクトは納期があり、海外案件や現場対応もあります。給与だけでなく、仕事量、安全、休息、教育、成長の利益が社員へ返っているかを確認する必要があります。

賃金・利益還元

CAP INGELEC単体の平均年収、職種別給与中央値、2025~2026年のベースアップ率は公式資料で確認できませんでした。

そのため「高賃金企業」とは評価しません。

一方、利益還元制度は具体的です。CSR資料ではintéressementとparticipationを毎年支給し、現金で受け取るかGroup Savings Planへ積み立てる仕組みが説明されています。

従業員持株制度も特徴的です。

2024年対象資料では社員の63%、2026年1月発表では66.6%が株主とされています。会社の成長による資本価値を社員も共有できる仕組みが、実際に広く利用されています。

労働時間・休息

CSR資料では対象者に週1日のテレワーク制度があり、2023年社内調査では80%が仕事と私生活のバランスを取れていると回答したと会社が説明しています。

しかし、現在の平均残業時間、週平均労働時間、長時間労働者割合、休日出勤、有給取得率は確認できません。

口コミにも負荷への指摘があります。

Glassdoorでは2025年8月のChef de projetsが仕事量の多さを課題として挙げ、2026年9月のIngénieur d’étudesも仕事量の変動を指摘しています。2026年の投稿では、急成長に伴う案件配分、組織、コミュニケーションを課題とする声も確認できます。

会社全体の実態とは断定しませんが、会社自身による実労働時間KPIがないため、本基準では労働時間・休息を0点とします。

福利厚生・家庭支援

2024年CSR資料から、次の制度が確認できます。

  • 利益分配・業績連動制度
  • 基本プランの75%を会社が負担する健康保険
  • 会社負担60%の食事カード
  • Time Savings Account
  • 16歳未満の子どもの病気に使える年2日の休暇
  • 住宅・移動支援
  • 対象職種の週1日テレワーク
  • 従業員持株制度

男女平等指数では、産休復帰後の昇給は15点/15点です。制度だけでなく一部成果まで確認できるため高く評価します。ただし育児・介護休業の利用率などは不足しています。

雇用安定と離職

会社は急速に人員を増やしています。

公式発表では約590人から約800人へ1年間で増加し、2026年には300人超を採用する方針です。また、INGENOVA統合時には全雇用を維持したと説明しています。

一方、2024年対象の社会指標では離職率17%です。平均勤続年数は5年4か月、欠勤率は2%でした。

成長企業では大量採用と一定の退職が同時に起こる可能性がありますが、17%という数字を無視して「非常に安定」とも評価しません。

男女平等・多様性

2025年に公表された男女平等指数は84/100です。

項目得点
男女賃金差34/40
個別昇給20/20
昇進15/15
産休復帰後の昇給15/15
上位10人の高額所得者における少数性別0/10
合計84/100

昇給・昇進・産休復帰後処遇には良い結果がある一方、経営上位に近い高所得層の男女構成には明確な課題があります。

2024年対象資料では女性比率は25%です。技術・建設分野に男性が多いという業界構造はありますが、それを理由に0/10の項目を相殺しません。

教育・能力開発

2024年対象資料では年間研修7,834時間、研修予算42万1,000ユーロが示されています。

さらに注目すべきなのは改善の流れです。

2023年の社内調査では32%が「能力開発研修が必ずしも自分のニーズに合っていない」と回答しました。会社はこの結果を受けて翌年の研修予算を倍増しています。単に「社員の声を聞いている」と説明するのではなく、不満の割合と予算変更まで確認できる具体的な改善です。

従業員・元従業員の口コミ

Indeedでは7件、総合4.0/5、ワークライフバランス3.7、給与・福利厚生3.7、雇用安定・昇進3.8、企業文化4.2と表示されています。

2022年のLyon勤務のIngénieur de projetは、職場の雰囲気、案件の多様性、チームワーク、週1日のテレワーク、給与と業績連動報酬を肯定しています。

Glassdoorでは2026年時点で21件、総合4.0、87%が友人へ推奨すると表示されています。

直近の投稿では技術案件、報酬、自律性、成長機会への肯定的な声がある一方、組織、案件配分、コミュニケーション、急成長、仕事量を課題とする投稿もあります。

転職会議、OpenWork、エンゲージ会社の評判についても検索しましたが、フランス法人CAP INGELECの勤務経験と明確に確認できる有効な日本語口コミは今回の検索範囲では確認できませんでした。

Safety|28点/50点

働く人のSafetyでは、CAP INGELECは「事故ゼロを強調する会社」ではなく、事故件数そのものを開示して改善状況を追えることが大きな特徴です。

1.賃金・利益還元 6点/10点

平均賃金やベースアップ率は確認できません。

一方、利益分配、participation、従業員持株という具体的な還元制度があり、2026年には66.6%の社員が株主です。制度が存在するだけではなく利用が広がっているため6点です。

2.労働時間・休息 0点/10点

テレワーク制度や過去のワークライフ調査はありますが、現在の実労働時間、平均残業、有給取得率を確認できません。

口コミにも仕事量を問題とする投稿があります。

重要な実績情報の非公表として0点です。

3.雇用安定・公平性 3点/5点

急成長による採用増、INGENOVA統合時の雇用維持はプラスです。

一方、離職率17%、男女平等指数84/100の中で高額所得上位層が0/10という課題があります。

3点です。

4.福利厚生・育児介護 4点/5点

健康保険75%会社負担、食事カード、Time Savings Account、病児休暇、テレワーク、産休復帰後昇給など制度が具体的です。

利用実績が不足する項目を残して4点とします。

5.人権・ハラスメント・労使関係 3点/5点

CSE、CSSCT、男女平等指数、障害者担当、従業員調査など、従業員が意見を伝える仕組みがあります。

一方、2023年資料ではハラスメント・差別研修の受講人数が3人にとどまり、現在の通報件数・是正件数も十分確認できません。

3点です。

6.労働安全・健康 8点/10点

2023年には71万7,876労働時間、労災15件、休業労災2件、休業労災頻度率2.79、強度率0.13でした。

2024年対象資料では事故頻度率が1.15まで低下しています。

加えて、ISO 45001取得、40人の救急資格者、安全動画、QR安全冊子、PPE確認、PPSPS、内部監査、Safety Dayなどの具体的な運用があります。

事故ゼロではないこと、2025年以降の継続比較値がまだ限定的であることから8点です。

7.商品・サービス安全 4点/5点

ISO 9001、コミッショニング、TIER IIIデータセンター、高圧変電所、クリーンルームなど、サービス品質・安全を支える仕組みがあります。

建設・設計をめぐる民事紛争は確認できますが、今回の調査で近年の大規模なサービス事故や重大行政処分は確認していません。

4点です。

Innovation|14点/25点

CAP INGELECは技術企業ですが、「BIMを使う」「高性能設備をつくる」というだけではInnovationの高得点にはしません。人間の仕事・安全・時間が実際にどう変わったかまで確認します。

1.作業負担・危険低減 4点/10点

BIM、BMS、Dalux、安全教育動画、標準化された安全手順など、人の確認作業や情報共有を支える仕組みがあります。

しかし、これらによって作業時間が何時間減ったか、残業がどれだけ減ったか、事故が何%減ったかという因果関係まで示すKPIは限定的です。

4点とします。

2.商品・サービス改善 4点/5点

DATA4 MadridのPUE 1.28、TIER III、既存建物のデータセンター転換、サービス継続を前提とした改修、GravitHyの1.15GW変電所など、利用者にとって具体的な性能改善があります。

4点です。

3.改善成果の人間還元 2点/5点

利益分配と従業員持株によって、企業成長の成果を社員へ返す仕組みがあります。

しかしBIMや標準化、設計効率化によって生まれた時間・利益が、労働時間短縮や賃上げへどこまで結びついたのかは確認できません。

2点です。

4.研究開発・現場改善の継続 4点/5点

年間研修7,834時間、研修予算42万1,000ユーロ、社内調査を受けた研修予算倍増など、学習と改善の循環が具体的です。

4点とします。

Protection|11点/25点

CAP INGELECは「顧客の設備を止めない」ことを仕事にしています。しかし、顧客のBCPを設計できる会社だから自社のBCPも強い、と推定することはできません。

1.災害への備え・訓練 0点/5点

顧客向けには冗長化、非常電源、継続運転技術を提供しています。

一方、CAP INGELEC自身のBCP、非常電源、災害訓練、RTOなどの成果を十分な調査後も確認できませんでした。

顧客向け技術と自社BCPを分け、0点です。

2.生産・物流・調達の代替 3点/5点

フランス国内15拠点に加えて海外拠点を持ち、国際プロジェクトではフランス側のエンジニアリングと現地施工体制を組み合わせています。

単一拠点のみで事業を行う会社より代替余地があります。

一方、ある拠点が停止した場合に何時間・何日で他拠点へ業務を移したかという具体的な復旧実績は確認できません。

3点です。

3.サイバー防衛・情報保護 0点/5点

今回の公開情報調査では、CAP INGELEC自身の近年の大規模情報漏えいは確認できませんでした。

しかし、MFA、EDR、SOC、バックアップ、ネットワーク分離、復旧訓練、事故件数などの具体的な自社Protection成果も十分確認できません。

「事故が見つからない」を加点せず0点です。

4.供給継続・復旧能力 4点/5点

データセンター分野では、ITサービスを継続しながら設備を改修する能力を提供しています。

DATA4 MadridのDC02について会社は、国際的な制約がある中でも納期・予算内で引き渡したと説明しています。複数拠点・複数国のチームを組み合わせてプロジェクトを遂行する能力も確認できます。

自社RTOは不明ですが、顧客設備の継続運転を実現するサービス能力は具体的なため4点です。

5.危機時の顧客・市民対応 4点/5点

データセンター、高圧電力、医薬品製造環境などは、停止すると企業や社会活動へ影響が及ぶ設備です。

CAP INGELECのデータセンター冗長化、高圧電源、クリーンルーム、稼働中改修は、顧客側の危機対応力を直接高めます。

公共的な無償支援とは異なりますが、事業そのものがProtection機能を持つため4点です。

重大事故・行政処分・訴訟の確認

会社名、SIREN、拠点名と死亡事故、労働災害、制裁、行政命令、火災、サイバー攻撃等を組み合わせて追加検索しました。

今回の調査では、CAP INGELEC自身について近年の死亡労災、大規模行政処分、大規模サイバー漏えいを明確に確認できませんでした。

ただし会社自身が労災件数を公表しており、2023年には労災15件、うち休業2件があります。「重大事故報道が見つからない」と「事故がない」は別です。

建築・設備設計会社であるため、設計・施工をめぐる民事訴訟は確認できます。

例えばRTEの空調設備更新に関する事件ではCAP INGELECが当事者となり、2023年のCour de cassation判決では一部について破棄差戻しとなっています。2018年の別事件ではCour de cassationがCAP INGELECを事件から外しています。

これらは民事上の建設・設計紛争であり、訴訟の存在だけから行政違反や重大過失が確定したとは扱いません。

主なニュース・最近の動き

現在のCAP INGELECは急成長・統合・大型インフラ案件が同時に進んでいます。直近のニュースは、単なる会社規模ではなく、人員、技術、働く環境がどう変化しているかを見る材料になります。

2026年9月 GravitHy向け1.15GW変電所EPC契約

9月14日、GravitHyとCAP INGELECはFos-sur-Merの低炭素鉄工場へ電力を供給する400kV/33kV、1.15GWのGIS変電所についてEPC契約を発表しました。

水素還元・電化型の鉄鋼生産には非常に大きな電力が必要です。同社のEnergies事業が、単なる建築設備から大型産業電化インフラへ拡大している事例です。

2026年5月 Mérignac新本社を開設

5月21日、Mérignacで新本社を開設しました。

会社によると5,296平方メートル、4階建て、最大350人収容で、24会議室、15の音響ブース、150席のカフェテリア、約800平方メートルの屋外空間を備えます。50台分の自転車置場、14基のEV充電設備、太陽光発電、BREEAM Very Good認証も掲げています。

Mérignac市は建設費を約1,000万ユーロ、全体投資を約1,500万ユーロとしています。

2026年1月 2025年売上高約6.8億ユーロ、社員約800人

CAP INGELECは2025年の売上高を約6億8,000万ユーロ、国外売上高1億4,600万ユーロ、従業員約800人と発表しました。

前年の約590人から急増し、2026年には300人超の採用を計画しています。従業員持株参加率は66.6%です。

雇用機会の増加はプラスですが、口コミに見られる組織整備や案件配分の課題と合わせて評価する必要があります。

2025年 INGENOVAを完全統合

2022年に買収したINGENOVAを2025年6月1日付で完全統合しました。

会社は雇用を維持し、データセンターの外部電力・空調インフラからITルーム内部まで一体的に対応できるようになったと説明しています。

2025年 ISO 45001取得

DEKRAの監査後、労働安全衛生マネジメントのISO 45001を取得しました。ISO 9001も更新しています。

認証そのものだけでなく、事故頻度率の改善、安全教育、監査などの運用実績と合わせて評価しています。

SNS・匿名掲示板の確認結果

従業員口コミとは別工程で、CAP INGELECと仕事、残業、事故、給与、退職等を組み合わせ、X、5ちゃんねる、爆サイ、Facebook、YouTube、TikTokを検索しました。

媒体確認結果採点
X対象法人の労働実態を裏づける一般投稿を今回の検索範囲で確認できず不使用
5ちゃんねる対象法人に明確に紐づく有効投稿を確認できず不使用
爆サイ対象法人に明確に紐づく有効投稿を確認できず不使用
Facebook公式・採用情報以外で評価を左右する勤務情報を確認できず不使用
YouTube会社・案件紹介は確認したが、第三者による労働・事故検証として使える内容を確認できず不使用
TikTok対象法人へ明確に紐づく有効な審査情報を確認できず不使用

SNSに問題投稿が見つからなかったことは、「問題がない」「評判が良い」という加点には使っていません。

項目別得点

大項目小項目得点満点主な理由
Safety賃金・利益還元610利益分配と従業員持株66.6%。平均賃金・ベアは不足
Safety労働時間・休息010実労働時間、残業、有休の現在KPI非公表
Safety雇用安定・公平性35急成長・雇用維持はプラス。離職率17%、上位報酬層に男女課題
Safety福利厚生・育児介護45保険、食事、病児休暇、テレワーク、産休復帰昇給
Safety人権・労使35CSE、CSSCT、平等指数、障害者施策。通報・是正KPI不足
Safety労働安全・健康810頻度率2.79から1.15へ改善、ISO 45001、安全教育
Safety商品・サービス安全45ISO 9001、コミッショニング、TIER III等
Innovation労働負担・危険低減410BIM、安全標準化等。作業時間削減成果は不足
Innovation商品・サービス改善45PUE 1.28、冗長化、既存建物再利用、大型高圧設備
Innovation改善成果の人間還元25利益分配・持株はあるが効率化との因果は未確認
Innovation研究開発・現場改善45研修7,834時間、予算42.1万ユーロ、改善サイクル
Protection災害対策・訓練05自社BCP、RTO、災害訓練成果を確認できず
Protection代替供給・調達3515国内拠点、海外体制。具体的な切替実績不足
Protectionサイバー・情報保護05自社サイバー防御・復旧成果を確認できず
Protection供給継続・復旧45顧客インフラの継続運用と複数国チームの実績
Protection危機時の顧客・市民対応45データセンター、高圧電力等の継続性を支援
合計53100シビックランクD

総合評価

CAP INGELECは、情報開示が比較的進んだエンジニアリング企業です。

特に労働安全では、事故をなかったように扱わず、2023年の労災15件、休業2件、頻度率2.79、強度率0.13を公開し、その後の頻度率1.15への改善を示しています。2025年のISO 45001取得も、制度と成果を両方確認できる材料です。

従業員への利益還元にも具体性があります。

2026年発表では66.6%の社員が株主で、利益分配とparticipationもあります。「社員を大切にする」という理念だけではなく、社員自身が会社の資本を保有し、会社の成長から利益を受け取れる仕組みが実際に利用されています。

Innovationでも、DATA4のPUE 1.28、TIER III、GravitHyの1.15GW変電所など、技術が具体的な設備性能へつながっています。研修への投資も、社員調査の不満を受けて予算を増やすという改善サイクルまで確認できます。

それでも53点・シビックランクDにとどまる理由は、公開情報の偏りです。

最優先の課題は実労働時間です。

急成長し、口コミでも仕事量や案件配分への負荷が指摘されている会社である以上、平均残業、長時間労働者割合、有休取得率を会社自身が公表すれば、現在0点の「労働時間・休息」を実績で評価できます。

第二は自社BCPです。

CAP INGELECは顧客のデータセンターや電力設備を止めにくくする専門企業ですが、自社の災害時継続計画、非常電源、復旧目標、訓練結果は確認できません。「顧客のBCPを設計できる」と「自社のBCPが機能している」は別です。

第三はサイバーProtectionです。

データセンターを扱う企業だからこそ、MFA、EDR、SOC、バックアップ等の技術詳細そのものではなく、導入率、教育・訓練回数、インシデント件数、復旧時間などの集計成果を示すことが重要です。

現在53点で、次のシビックランクCは60点からです。差は7点あります。

ただし、情報を公開するだけで7点上がるわけではありません。実際に残業が抑えられている、BCP訓練で復旧力が確認されている、サイバー防御が継続運用されている、といった中身と成果を確認して再採点します。

最終結果はSafety 28点、Innovation 14点、Protection 11点、総合53点です。

CAP INGELECの総合シビックランクはDとします。

低得点理由の区分

確認された問題

  • 2024年対象の離職率17%。
  • 2025~2026年の口コミで、仕事量や急成長に伴う組織運営を課題とする投稿がある。
  • 男女平等指数84/100で、上位10人の高額所得者における少数性別は0/10。
  • 2023年には労災15件、うち休業を伴う労災2件が発生。

十分な調査後も重要情報が非公表

  • 現在の平均残業、実労働時間、長時間労働者割合、有給取得率。
  • 現在の職種別・拠点別賃上げ率、平均賃金。
  • 自社BCP、RTO、災害復旧訓練の成果。
  • 自社サイバーProtectionの導入・運用成果。
  • サイバー事故件数・復旧時間等の集計値。

調査上の制約

  • 約800人・売上約6.8億ユーロはグループ情報を含むため、CAP INGELEC SAS単体の従業員数と分けている。
  • CSR資料の一部指標はグループ範囲を含むため、法人単体へ無条件に拡張していない。
  • Glassdoor・Indeedは投稿数が限られ、口コミを全社傾向とは扱っていない。
  • X・匿名掲示板では対象法人へ確実に紐づく有効投稿を今回の検索範囲で確認できなかった。

主な出典

情報ランクS

  • L’Annuaire des Entreprises「CAP INGELEC」
  • Cour de cassation、2023年9月14日判決
  • Cour de cassation、2018年3月29日判決

情報ランクA

  • CAP INGELEC「Qui sommes-nous ?」
  • CAP INGELEC「HSE」
  • CAP INGELEC「Qualifications et certifications」
  • CAP INGELEC「Index égalité Femmes/Hommes 2025」
  • CAP INGELEC「Bilan 2025 et ambitions 2026」
  • CAP INGELEC「GravitHy – Fos-sur-Mer EPC contract」
  • CAP INGELEC「DATA4 Madrid」
  • CAP INGELEC「Fusion-absorption INGENOVA」
  • CAP INGELEC CSR Report 2024・2025

情報ランクB

  • Ville de Mérignac「Cap Ingelec inaugure son nouveau siège social」2026年5月29日

情報ランクC

  • Glassdoor「Avis sur CAP INGELEC」
  • Indeed「Avis des employés pour CAP INGELEC」

情報ランクの基準

情報ランク基準
S公的機関の資料で直接確認できる情報、または独立した第三者による検証・監査・認証等で裏づけられた情報
A企業自身の公式発表、報告書、採用情報など
B役職・立場が確認できる関係者への取材、記者の直接取材等
C一般社員、元社員、パート・アルバイト等の勤務経験に基づく口コミ
DX等の一般SNS投稿で、発信者や内容の裏づけが十分でない情報
E匿名掲示板等、発信者の身元・関与・経緯をさらに確認しにくい情報

情報ランクは情報の出どころと裏づけを示すもので、企業そのものを評価する総合シビックランクとは異なります。

企業公式情報に良い内容が書かれていても、それだけで高いシビックランクになるわけではありません。逆に、公的資料で事故が確認された場合は情報ランクSでも企業評価にはマイナスとなります。

審査基準日:2026年9月29日
評価制度:100点制・第1版

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