私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、その企業の働き方や安全対策、事業のあり方を間接的に支えています。
みずほ銀行に預金を預けたり、振込、住宅ローン、法人融資、資産運用などのサービスを利用したりすれば、そこから得られる手数料や貸出収益などは株式会社みずほ銀行の収益になります。そこで得られた利益が、社員の賃金や休暇、システムの安全対策、サイバー防御、サービス改善、人材育成などにどう使われるのかは、利用する側にとっても無関係ではありません。
働く人を大切にし、安全性やサービスを改善する企業に売上が集まれば、そうした経営を続ける力になります。反対に、長時間労働やハラスメント、安全上の問題を放置している企業の商品やサービスを利用すれば、その環境を間接的に支えることにもつながります。
みずほ銀行は、預金、振込、決済、住宅ローン、企業融資、海外金融、投資銀行業務などを担う大手銀行です。2026年3月末時点の従業員数は23,356人、国内ネットワークは2026年6月末時点で468、海外ネットワークは78です。2026年4月にはみずほリサーチ&テクノロジーズを統合し、銀行の中にリサーチ、コンサルティング、IT、研究開発機能まで取り込みました。
今回の総合得点は76点/100点、シビックランクはBです。
強く評価したのは、平均年間給与870万1,000円、男性育児休業取得率94%、柔軟な勤務制度に加え、AIによって実際の提案準備時間を約1時間削減するなど、人が行っていた作業を技術で減らす具体的な成果が出ていることです。サイバー対策では24時間365日の監視、TLPT、フィッシングメール訓練、事業継続では経営陣を含む実戦型訓練まで確認できました。
一方、正規雇用労働者の女性の平均賃金は男性の55.8%で、部長相当職に占める女性は17.0%です。また、2025年にはiDeCo申込者5,572人分のメールアドレス等を提携先金融機関へ誤送信する情報漏えいが発生しました。2021年には顧客へ影響するシステム障害を8回発生させ、金融庁から業務改善命令を受けた重大な過去もあります。これらは現在の対策が強化されているからといって相殺しません。
株式会社みずほ銀行の企業審査結果
みずほ銀行は、給与・育児支援・AI活用・サイバー防御・BCPで高い評価ができます。一方、銀行単体の最新残業・有休・労災情報の開示、男女間の待遇構造、顧客情報管理には改善余地があります。
| 評価軸 | 得点 | 主な評価 |
|---|---|---|
| Safety | 35/50 | 高い平均給与、育児支援、柔軟な勤務制度、人権相談制度を評価。銀行単体の労働時間・労災開示、男女賃金差、情報漏えいが課題 |
| Innovation | 20/25 | AIで提案準備・検索・議事録作成を具体的に短縮。顧客サービスにもAIを実装。削減成果の賃金・休日への還元は限定的 |
| Protection | 21/25 | 24時間365日のSOC、TLPT、BCP実戦訓練、災害時の預金・融資対応を高評価。公開された復旧時間などには改善余地 |
| 総合 | 76/100 | シビックランクB |
次のAランクは80点からです。
現在76点なので、あと4点です。
株式会社みずほ銀行とは
みずほ銀行は2013年7月1日に現在の法人として発足した銀行です。本店は東京都千代田区大手町1丁目5番5号、資本金は1兆4,040億円、取締役頭取は加藤勝彦氏です。
2026年4月1日には、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社を吸収合併し、銀行事業に加えてリサーチ、コンサルティング、IT、研究開発を一つの法人へ統合しました。「みずほ総合研究所」や「情報数理工学研究所」も現在はみずほ銀行内の組織です。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社みずほ銀行 |
| 英文名 | Mizuho Bank, Ltd. |
| 発足 | 2013年7月1日 |
| 本店 | 東京都千代田区大手町1丁目5番5号 |
| 代表者 | 取締役頭取 加藤勝彦 |
| 資本金 | 1兆4,040億円 |
| 従業員数 | 23,356人、2026年3月31日時点 |
| 国内ネットワーク | 468、2026年6月30日時点 |
| 海外ネットワーク | 78、2026年6月30日時点 |
| 主な事業 | 預金、決済、融資、資産運用、法人金融、投資銀行、海外金融、リサーチ、コンサルティング、IT・技術開発等 |
なお、23,356人は2026年3月31日時点の数字です。
みずほリサーチ&テクノロジーズとの統合は2026年4月1日なので、この従業員数を統合後の現在人数として扱うことはできません。最新の会社概要も3月末の人数を掲載しているため、本記事では時点を明記して使用します。
事業内容と人間への貢献
銀行の役割は、口座を作って預金を預かることだけではありません。
個人や企業が必要なときにお金を移動し、住宅や事業へ資金を借り、給与を受け取り、商品代金を支払い、海外と取引できる金融インフラを維持することが中心的な役割です。
預金と決済を維持する
給与の受取、公共料金の引き落とし、振込、ATM、デビット決済などは、多くの人の日常生活に直接関係します。
銀行のシステムが停止すれば、単にアプリが使えなくなるだけではありません。
現金を引き出せない。
家賃や取引代金を送れない。
企業が仕入先へ支払えない。
といった問題につながります。
そのため、みずほ銀行では利益や店舗数だけでなく、「決済を止めないこと」「止まった場合に早く戻すこと」そのものが人間への重要な貢献になります。
個人や企業へ資金を供給する
住宅ローンは住宅取得を、企業融資は設備投資、運転資金、雇用維持や新規事業を支えます。
2026年には、AI・データサイエンスを使うフィンテック企業への20億円のコミットメントラインや、系統用蓄電池事業へのプロジェクトファイナンスなども実施しています。
融資そのものを無条件に高得点にはしませんが、資金を必要とする個人・企業と、資金を預ける側をつなぐ金融仲介機能は社会の基盤です。
リサーチ・IT・技術開発まで銀行内へ統合
2026年4月の統合によって、旧みずほリサーチ&テクノロジーズのリサーチ、コンサルティング、IT、技術開発人材がみずほ銀行へ入りました。
銀行が単に融資するだけでなく、企業の経営課題、社会課題、IT、研究開発まで一体で支援する方向へ事業範囲を広げています。
Safety 35/50点
Safetyでは、高い平均給与や育児支援だけでなく、実際にどれくらい働いているのか、待遇格差が残っていないか、ハラスメント相談が機能しているか、利用者の資産や個人情報を守れているかまで確認します。
みずほ銀行は制度面ではかなり強い一方、銀行単体の残業・労災データが十分に分離公開されていない点と、男女賃金差、過去のシステム障害・情報漏えいが減点要因です。
賃金・利益の還元:8/10点
2026年3月期のみずほ銀行単体の平均年間給与は870万1,000円です。
前年の定義を現在の算定方法へ合わせて再計算した数値との比較で、5.9%増加しています。
平均年齢40.7歳、平均勤続年数16.3年です。平均年間給与には給与、賞与、基準外賃金が含まれます。
給与水準だけでなく、前年から平均支給額が増えていることは働く人への還元として評価できます。
一方、平均値だけでは、
・既存社員の基本給が何%上昇したのか
・職位別の賃上げ率
・給与中央値
・非正規雇用を含めた還元
・利益増加分の何%を人件費へ戻したのか
までは分かりません。
そのため満点にはせず8点です。
労働時間・休息:6/10点
みずほではPCのログイン・ログオフ、各種システムログ、入退館データと勤務実績を照合し、長時間労働を監視しています。長時間労働者には産業医面談や人事フォローも行っています。
人的資本レポート2025では、みずほFG・みずほ銀行・みずほ信託銀行の3社合算で2024年度の平均残業時間は月21.1時間です。残業が月60時間を超える社員の割合は0%とされています。
有給休暇については主要5社合算で平均17.4日、取得率86.8%です。
ただし、これらはみずほ銀行単体の数字ではありません。
従業員口コミの転職会議では、投稿者集計で残業月26.4時間、有給消化率70%となっています。公式統計とは対象・集計方法が違います。
銀行単体の最新平均残業、有休取得率、総実労働時間を毎年公開できれば、より正確に評価できます。
6点とします。
雇用の安定・待遇の公平性:3/5点
平均勤続年数は16.3年で、従業員組合にはみずほ銀行在籍者20,342人が加入しています。長期勤続と大規模な労使関係は雇用の安定性を考えるプラス材料です。
一方、2026年3月期のみずほ銀行単体では、
・部長相当職に占める女性:17.0%
・課長相当職以上に占める女性:21.3%
・女性の平均賃金/男性の平均賃金:全労働者48.1%
・正規雇用:55.8%
・非正規雇用:44.2%
です。
この数字は「同じ仕事をしている女性へ男性の55.8%しか払っていない」と直接示すものではありません。
会社側も、管理職に女性が少ないこと、男性の勤務時間が長い傾向と女性の育児等による短時間勤務の影響を主な要因として説明しています。
しかし、それでも正規雇用で55.8%という差は大きく、意思決定層の女性比率もまだ低いため3点です。
福利厚生・育児・介護:5/5点
2026年3月期のみずほ銀行単体の男性育児休業取得率は94%です。
制度面では、リモートワーク、フレックスタイム、時差勤務、短時間勤務、短日勤務があり、短日勤務では週2日まで就業しない日を設定できます。
育児では短時間勤務、時間外勤務免除、看護等休暇、保育料補助、ベビーシッター費用補助、企業主導型保育園の社員枠などがあります。
介護でも法定を上回る休業、短時間勤務、時差勤務、介護支援金等を整備しています。週休3日・4日制も用意されています。
制度の種類だけでなく、銀行単体で男性育休94%という利用実績まで確認できるため5点です。
人権・ハラスメント・労使関係:4/5点
「みずほ人権ヘルプライン」はみずほ銀行の社員、契約社員、派遣スタッフ等も対象としており、電話、メール、文書で相談できます。
2024年度には対象グループで174件の相談があり、事実確認後に所属長への改善指示や、規律違反が確認された場合の人事処分まで行う仕組みです。
コンプライアンス・ホットラインでも2024年度194件の通報があり、24時間365日の社外窓口や匿名通報を用意しています。
2026年10月時点では採用活動でのハラスメント防止策も公開し、求職者向けに外部法律事務所の相談窓口を設けています。
制度と実際の相談件数、対応方法まで公開しているため高く評価します。
ただし、174件のうち何件でハラスメントが認定され、是正後の再発率がどうなったかなどは銀行単体で公開されていません。
4点です。
労働安全・健康:6/10点
銀行業は製造業や物流業と比べれば重量物・機械災害の比重は低いものの、長時間労働、メンタル不調、通勤災害などは重要です。
2024年度の主要5社合算では、業務上災害108件、このうち休業14件、通勤災害123件、このうち休業10件でした。
同じ対象範囲ではストレスチェック受検率91.4%、高ストレス者率7.9%、定期健康診断受診率99.9%です。
健康管理の仕組みと高い健診受診率は評価できます。
一方、この労災件数はみずほ銀行単体ではなく主要5社合算です。
銀行単体の休業災害、死亡災害、度数率、メンタル不調による休職率などを継続的に比較できる形では確認できません。
そのため6点です。
商品・サービスの安全:3/5点
銀行の商品安全で最も重要なのは、預金や決済を利用できること、顧客情報を守ること、不正送金を防ぐことです。
現在はシステム・サイバー対策を大幅に強化していますが、過去には重大な問題があります。
2021年2月から9月まで、みずほ銀行は顧客に影響するシステム障害を計8回発生させました。
2月28日には多数のATMが停止し、通帳・カードが取り込まれ、8月20日には全営業部店で一定時間店頭取引ができなくなりました。金融庁は11月に業務改善命令を出しています。
さらに2025年6月12日には、社員がiDeCo申込者5,572人のメールアドレス、申込受付番号、受付状況を一つの提携金融機関へ誤送信しました。
送信先でファイルとメールが削除され、不正利用や送信先からの追加漏えいの懸念はないと会社は説明していますが、金融機関として重い情報管理上の事故です。
再発防止や現在の監視体制は評価しますが、重大事例を他の高得点で相殺しないため3点です。
Safety小計:35/50点
従業員・元従業員の口コミ
公式資料だけでは、部署ごとの働き方や職場の雰囲気までは分かりません。
そのため口コミは会社全体の事実とはせず、公式データを補う情報ランクBとして確認します。
転職会議
転職会議では2026年10月時点で6,600件を超える口コミがあり、投稿者集計は、
・残業:月26.4時間
・有給消化率:70%
・総合評点:4.22
です。
2026年9月投稿の投資銀行業務の口コミでは、繁忙期には残業が増える一方、休日出勤は原則行わず家族との時間を確保できるという内容もあります。
部署や職位による差が大きい銀行なので、個々の口コミを全社へ一般化しません。
情報ランク:B
Indeedなどの口コミ
Indeedでも、給与水準を肯定的に見る投稿がある一方、支店によって人間関係や業務負担に差があるという投稿が確認できます。
こうした口コミは職場ごとの差を示す補助情報として扱い、採点の中心にはしていません。
情報ランク:B
X・5ちゃんねる・爆サイの確認
X、5ちゃんねる、爆サイについて、「みずほ銀行」「残業」「給料」「退職」「人員削減」「AI」「配置転換」等を組み合わせて確認しました。
5ちゃんねるには銀行員を名乗る古いスレッドや待遇に関する投稿がありますが、現在の投稿者の雇用関係、勤務拠点、投稿内容の事実性を確認できないため、採点根拠には使用していません。
今回の検索範囲では、2026年時点の対象法人の従業員・元従業員だと十分確認でき、現在の労働実態を直接採点できるX・爆サイ投稿も確認できませんでした。
「投稿が見つからない=問題がない」という評価にはしていません。
Innovation 20/25点
みずほ銀行のInnovationで特徴的なのは、「AIを導入した」と公表するだけでなく、一部業務では何時間減ったかまで示していることです。
銀行員が資料検索や議事録、提案書の下準備に使っていた時間をAIへ移す取り組みが進んでいます。
作業負担・危険の削減:8/10点
法人営業向けの「RM Studio」では、顧客提案に必要な社内外情報を集め、提案シナリオや資料のドラフトをAIが作成します。
2025年10~11月のPoCでは、導入前に1~3時間未満が最多だった提案準備時間が、導入後は30分未満が最多となり、全体で約1時間短縮しました。
顧客との対話機会は約3倍に増えています。
「Wiz Search」では複雑な社内情報の検索時間を月700時間削減したとされています。
議事録作成AI「めんきくん」も2025年11月から本格運用され、月間利用者は8,000人規模まで拡大しています。
人が行っていた検索、資料整理、議事録作成を実際にAIへ移し、時間短縮を数値化している点は高く評価できます。
一方、銀行全体で年間何時間削減したのか、平均残業が導入前後で何時間変化したのかまでは確認できないため8点です。
商品・サービスの改善:5/5点
AIは社内だけでなく、利用者向けにも展開されています。
2026年7月にはChatGPT内で利用できる「みずほ銀行」アプリを開始し、FAQ、ATM・店舗検索、来店予約案内を自然な会話から利用できるようにしました。
2026年9月にはコンタクトセンターのAI-IVRへ自動回答機能を追加しました。
アカウントロックやログイン情報を忘れたといった問い合わせはAIが案内し、解決できない場合や利用者が希望した場合は有人オペレーターへ接続します。
デジタル化によって人との窓口を完全に消すのではなく、AIで解決できない相談を人へつなぐ設計も評価できます。
5点です。
改善成果の人間への還元:2/5点
RM Studioでは約1時間削減した時間を、顧客との対話や提案内容の質向上へ再配分していることが確認できます。
これは「AIで時間が浮いた」だけで終わらず、人がより人間的な対話へ時間を使う例です。
一方、
・AI導入によって銀行全体の残業が何時間減ったのか
・休日が増えたのか
・給与へ還元されたのか
・削減された作業の担当者をどう再配置したのか
・契約終了や採用抑制につながっていないか
については十分な公開情報がありません。
顧客との対話へ時間を戻した実例を評価して2点とします。
研究開発・現場改善の継続:5/5点
2026年4月、みずほリサーチ&テクノロジーズをみずほ銀行へ統合しました。
これによりリサーチ、コンサルティング、IT、技術開発が銀行法人の内部機能となり、「情報数理工学研究所」も発足しています。
RM Studio、Wiz Search、めんきくん、AI-IVR、ChatGPTアプリと、業務支援から顧客サービスまで複数のAI施策を継続して実装しています。
単発の実証ではなく、研究開発組織と実サービスの両方が継続しているため5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
AI導入後の雇用についても確認しました。
みずほ銀行の従業員数は2025年3月末の23,827人から、2026年3月末には23,356人となり、統合前の1年間では471人減っています。
ただし、この数字だけではAIによる人員削減とは判断できません。
退職、採用、出向、事業構成の変化なども含まれるためです。
さらに2026年4月には旧みずほリサーチ&テクノロジーズを吸収合併しており、法人の範囲自体が大きく変わっています。
今回の調査では、RM Studio、めんきくん、Wiz SearchなどのAI導入を直接の理由とした大規模な解雇、希望退職、契約打ち切りを確認できませんでした。
一方で、AIを前提とした人材配置や再スキル化を進めているため、今後も、
・自動化対象部署の人数
・配置転換人数
・採用抑制
・退職者数
・再教育実績
・導入後の残業・賃金
を追う必要があります。
Innovation小計:20/25点
Protection 21/25点
銀行では、自然災害やサイバー攻撃が起きても「お金を引き出せる」「振込できる」「決済を続けられる」ことが重要です。
みずほ銀行は2021年のシステム障害という重大な失敗を経験していますが、その後のBCP、システム障害対応、サイバー防御ではかなり具体的な体制を構築しています。
災害への備え・訓練:5/5点
みずほ銀行には事業継続を専門に担当する「危機管理室」が設置されています。
地震・津波、風水害、テロ・暴動、サイバー攻撃などを想定し、システムコンティンジェンシープラン、BCPの手順確認、経営陣を含めたグループ横断の実戦型訓練・研修を継続しています。
銀行自身が事業継続組織を持ち、計画だけでなく経営層を巻き込んだ訓練まで行っているため5点です。
生産・物流・調達の代替:3/5点
銀行には製造工場はありませんが、店舗、ATM、インターネットバンキング、決済システム、データセンターなど複数の提供経路があります。
重要システムでは原則バックアップを確保し、コンティンジェンシープランを策定しています。
一部システムが利用できない場合に別チャネルへ切り替えられる仕組みもあります。
一方、主要システムごとに、
・代替拠点の処理能力
・切替時間
・データセンター停止時の実測復旧時間
・どの機能を何%維持できるか
まで公開されているわけではありません。
そのため3点です。
サイバー防衛・情報保護:5/5点
みずほのサイバー対策は今回のProtectionで最も強い部分です。
統合SOCによる24時間365日の監視、Mizuho-CIRTによるインシデント対応、多層防御、脆弱性管理、外部委託・クラウドのセキュリティ確認、第三者評価を行っています。
さらに、実際の攻撃を模したTLPTを定期的に実施しています。
経営層を含むインシデント訓練、役職別研修に加え、全役員・社員へ半年に1回以上のフィッシングメール訓練を実施しています。
2025年のiDeCo情報誤送信は商品・サービス安全側で減点していますが、現在の技術的・組織的なサイバー防御そのものは具体性が高いため5点です。
供給継続・復旧能力:4/5点
2021年のシステム障害後、みずほはシステムコンティンジェンシープランやBCPを見直し、実機を使った訓練や検知・復旧プロセスの改善を進めてきました。
現在もシステム障害発生時の顧客影響を最小化するため、経営陣を含む実戦型訓練を継続しています。
2026年には勘定系システムの保守期限に伴う大規模メンテナンスについて、事前にサービス休止時間や影響範囲を公開しています。
10月17日22時から18日11時までの予定では、ATMや一部決済サービス等の停止範囲も具体的に案内しています。これは障害ではなく計画メンテナンスです。
過去の重大障害から改善した点は評価できますが、主要サービスの現在のRTO・RPOや、訓練で何分・何時間で復旧できたかまでは十分公開されていないため4点です。
危機時の市民への対応:4/5点
みずほ銀行は災害発生時、被災地域向けに預金・融資の特別対応を繰り返し実施しています。
2026年にも大雨、地震、台風などの被災者を対象とした対応を公表しています。
例えば、通帳、証書、届出印を紛失した場合でも本人確認後に預金を払い戻す対応、定期預金の満期前払い出しの相談、損傷した紙幣の交換などを行います。
災害によって通帳や印鑑を失った人が、自分の預金にアクセスできなくなることを防ぐ直接的な市民支援です。
一方、避難所へ物資を直接供給する企業とは役割が異なるため4点とします。
Protection小計:21/25点
良いニュース・最近の前向きな動き
2026年のみずほ銀行では、AIを顧客対応と行員の業務改善の両方へ使う動き、リサーチ・IT・研究開発機能の統合、災害時の金融支援が目立ちます。
銀行を利用することで、こうしたシステム・人材・サービスへの投資を収益面から支えることになります。
2026年4月:みずほリサーチ&テクノロジーズを統合
2026年4月1日、みずほ銀行を存続会社として、みずほリサーチ&テクノロジーズを統合しました。
リサーチ、コンサルティング、IT、R&Dを銀行内部へ取り込み、情報数理工学研究所も設置しています。
金融と技術を別会社間で連携するだけでなく、一つの法人の中で組み合わせる体制になった点はInnovation上の前向きな変化です。
2026年:AIで提案準備を約1時間短縮
法人営業向けRM Studioでは、提案準備時間が全体として約1時間短縮され、顧客との対話機会が約3倍となりました。
AIが人を完全に置き換えるというより、資料収集や下書きを担当し、行員が顧客との相談や提案へ時間を戻している点を評価できます。
2026年7月:ChatGPT内でみずほ銀行アプリを開始
2026年7月28日、ChatGPT内で利用できる「みずほ銀行」アプリを開始しました。
FAQ回答、ATM・店舗検索、来店予約サイトへの案内を自然な会話から利用できます。
2026年9月:AI-IVRに自動回答を追加
2026年9月17日には、電話のAI-IVRへ自動回答機能を追加しました。
アカウントロックやログイン情報忘れなどをAIが案内し、解決できない相談は有人オペレーターへつなぐ設計です。
悪いニュース・問題となった動き
みずほ銀行では現在の対策が強化されている一方、システムと個人情報管理について重大な失敗の履歴があります。
過去の問題を「改善済みだからゼロ」とはせず、現在の再発防止策と分けて評価します。
2025年6月:iDeCo申込者5,572人の情報を誤送信
2025年6月12日、みずほ銀行社員が提携先金融機関1社へメールを送る際、iDeCo申込者5,572人分の情報ファイルを誤って送信しました。
含まれていたのは、
・メールアドレス
・申込受付番号
・申込受付状況
です。
送信先ではメール・ファイルの削除が確認され、会社は不正利用や送信先からの追加流出の懸念はないと説明しています。
被害の拡大が確認されていない点と、情報を5,572人分誤送信した事実は分けて評価する必要があります。
2021年:顧客へ影響するシステム障害を8回発生
2021年2月から9月にかけて、みずほ銀行は顧客に影響するシステム障害を8回発生させました。
多数のATM停止、カード・通帳の取り込み、全営業部店で一定時間取引できなくなる事態などが発生しました。
金融庁は、システムリスク・専門性の軽視、顧客影響への感度の不足などを根本原因として指摘し、2021年11月26日に業務改善命令を発出しました。
古い出来事ではありますが、銀行のProtectionとサービス安全を考えるうえで無視できない重大事例です。
現在は実戦型訓練、バックアップ、SOC、CIRTなど改善された仕組みを別途評価しています。
男女賃金差は依然大きい
2026年3月期のみずほ銀行単体では、正規雇用労働者の女性の平均賃金は男性の55.8%です。
部長相当職の女性比率も17.0%です。
会社自身も管理職の女性比率と勤務時間差を主因として挙げ、2030年代早期に各管理職階層の女性比率30%以上を目標としています。
原因を開示していることは評価できますが、差が実際に縮小するかを今後確認する必要があります。
総合評価と、これから改善してほしいこと
株式会社みずほ銀行は現在76点、シビックランクBです。
次のAランクは80点からなので、あと4点です。
サイバー防御やAI活用はすでにかなり具体的です。
Aランクへ進むうえで重要なのは、技術の強さをさらに増やすことだけではありません。
働く人へ時間を返した結果を会社単体で示すこと、男女の待遇構造を改善すること、過去の情報・システム事故を再発させず、結果として安全性を証明することが重要です。
1.みずほ銀行単体の残業・有休を公開し、さらに短縮する
関係項目:Safety「労働時間・休息」
現在点:6/10点
現在、月21.1時間という残業実績は「みずほFG・みずほ銀行・みずほ信託銀行」の3社合算です。
みずほ銀行単体で、
・平均残業時間
・年間総実労働時間
・有休取得率
・職種別の時間外労働
・長時間労働者比率
を公開し、平均残業月20時間未満、有休取得率85%以上などを継続的に確認できれば、6→8点を検討できます。
増加:+2点
総合:76→78点
ランク:Bのまま
参考企業は伊藤忠商事株式会社です。
Drive上の最新版審査では83点・Aで、平均残業約10時間、有給休暇取得率71%、実労働時間の改善など会社単体の結果を具体的に公開していることを評価しています。
2.AIで削減した時間を社員の残業・休日・賃金へ戻す
関係項目:Innovation「改善成果の人間への還元」
現在点:2/5点
RM Studioでは約1時間の削減と、顧客との対話機会約3倍という成果がすでにあります。
次に必要なのは、
・AIで年間何万時間削減したか
・平均残業が導入前後で何時間減ったか
・配置転換した人数
・削減対象社員の雇用がどう変化したか
・休日・賃金へどの程度戻したか
を銀行単体で示すことです。
これらが確認できれば2→4点を検討できます。
増加:+2点
総合:76→78点
ランク:Bのまま
参考企業として、キリングループロジスティクス株式会社では業務改善後に年間所定労働時間を1,920時間から1,896時間へ24時間削減し、その勤務設計を継続しています。
「技術を導入した」から一歩進み、「人が働く時間そのものを減らした」と確認できることが重要です。
3.男女賃金差を実際に縮小する
関係項目:Safety「雇用の安定・待遇の公平性」
現在点:3/5点
正規雇用の男女賃金比率は55.8%です。
会社は女性管理職の少なさと勤務時間の差を主要因と説明しています。
女性管理職比率を30%以上へ引き上げ、職種・役職・勤続年数を調整した賃金差も公開し、現在の55.8%という全体差が継続的に縮小すれば3→4点以上を検討できます。
増加:+1点
総合:76→77点
ランク:Bのまま
単純な人数目標だけでなく、昇進、配置、育児との両立、長時間労働の男女差を同時に改善する必要があります。
4.個人情報・システム事故を継続的にゼロへする
関係項目:Safety「商品・サービスの安全」
現在点:3/5点
2021年のシステム障害と2025年の情報誤送信があるため、現時点では満点にしていません。
今後、
・重大システム障害0件
・重大情報漏えい0件
・誤送信等の件数と再発防止結果を毎年公開
・障害復旧時間をKPI化
・訓練で目標復旧時間を達成
という状態を複数年継続できれば3→4点以上を検討できます。
増加:+1点
総合:76→77点
ランク:Bのまま
Aランクへ上がる具体的な組み合わせ
現在76点・Bです。
Aは80点からなので、あと4点です。
例えば、
・労働時間・休息:6→8点 +2
・改善成果の人間への還元:2→4点 +2
を同時に実現すれば、
76点→80点
シビックランクB→A
となります。
みずほ銀行は、AI、サイバー、BCPという「技術と仕組み」の部分ではかなり高い水準まで進んでいます。
次の課題は、それによって働く人が実際に何時間早く帰れるようになったのか、賃金や休日へどれだけ戻ったのか、男女間の待遇構造がどこまで改善したのかを数字で示すことです。
同時に、銀行では一度の情報漏えいや大規模システム障害が多くの人の日常生活へ直結します。
過去の問題を忘れるのではなく、再発しないことを継続的な結果で証明していくことが、76点・BからAへ進むための重要な条件です。
現時点の総合評価は76点/100点、シビックランクBです。
出典一覧
1.株式会社みずほ銀行「会社概要」
2.株式会社みずほ銀行「2026年3月期 有価証券報告書」
3.みずほフィナンシャルグループ「人的資本レポート2025」
4.みずほフィナンシャルグループ「ウェルビーイングの追求」
5.みずほフィナンシャルグループ「多様な社員の活躍推進」
6.みずほフィナンシャルグループ「問題解決への対応とコミュニケーション」
7.みずほフィナンシャルグループ「MIZUHO DX・RM Studio」
8.みずほフィナンシャルグループ「MIZUHO DX・めんきくん」
9.みずほフィナンシャルグループ「MIZUHO DX」
10.株式会社みずほ銀行「ChatGPT内で利用可能な『みずほ銀行』アプリを提供開始」
11.株式会社みずほ銀行「AI-IVRに自動回答機能を追加」
12.みずほフィナンシャルグループ「サイバーセキュリティ」
13.みずほフィナンシャルグループ「事業継続管理」
14.金融庁「みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループに対する行政処分について」
15.株式会社みずほ銀行「お客さま情報の漏えいに関するお詫びとご報告について」
16.転職会議「株式会社みずほ銀行」
17.株式会社みずほ銀行「みずほリサーチ&テクノロジーズとの統合にあたって」
18.株式会社みずほ銀行「災害による被災者への融資・預金の取り扱い」
シビックランクの基準
| ランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、氏名・役職・立場を確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
情報ランクは企業そのものの良し悪しを示すものではなく、それぞれの情報の出どころと検証状態を示します。
今回のみずほ銀行では、金融庁資料をS、みずほ銀行・みずほフィナンシャルグループの有価証券報告書・公式資料をA、転職会議などの従業員口コミをBとして扱いました。
