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株式会社富士急百貨店を企業審査|シビックランクC・64点|地域交流と交通利便性を評価、休日数と単体情報の公開には課題

私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、その企業の働き方や安全対策、事業のあり方を間接的に支えています。

富士山駅に直結する「Q-STA」で商品を購入したり、館内の直営店やフィットネスクラブ、富士急カーシェアなどのサービスを利用したりすれば、その売上は運営会社である株式会社富士急百貨店に入ります。そこで得られた利益が、社員の賃金や休暇、安全対策、施設改善、人材育成、地域サービスなどにどう使われるのかは、利用する側にとっても無関係ではありません。富士急百貨店は富士急グループの流通・サービス部門に属し、Q-STAを運営しています。

働く人を大切にし、安全性やサービスを改善する企業に売上が集まれば、そうした経営を続ける力になります。反対に、低い待遇や長い労働時間、安全上の問題、情報管理上の課題などを放置している企業の商品やサービスを利用すれば、その環境を間接的に支える側面もあります。

富士急百貨店では、2025年にQ-STA屋上を「FUJISAN ROOFTOP TERRACE」として全面リニューアルし、観光客向けの展望施設だけでなく、地域住民が利用できる交流スペースやイベントステージを整備しました。さらに富士急カーシェアを開始し、富士五湖地域の二次交通改善にも取り組んでいます。

一方、2026年に公開されたQ-STA直営店舗の契約社員求人では、月給18万4,000円、年間休日90日という条件が確認できます。時間外労働なし、社会保険加入、託児施設利用可などのプラス材料もありますが、休日数については改善の余地があります。

以上を踏まえ、株式会社富士急百貨店の評価は64点/100点、シビックランクCとしました。

評価軸得点主な評価
Safety31/50点残業の少ない求人や福利厚生は評価。休日数、賃金、単体の人的資本情報には課題
Innovation16/25点屋上再生、地域イベント、カーシェアによる地域利便性向上を評価
Protection17/25点グループ安全管理・食品安全・個人情報方針は確認。一方、単体のBCP・事故実績開示が弱い
総合64/100点シビックランクC
目次

株式会社富士急百貨店とは

株式会社富士急百貨店は、山梨県富士吉田市の富士山駅に直結する商業施設「Q-STA」を運営する富士急グループ企業です。現在の代表取締役は古谷幸二氏で、2026年のハローワーク求人では企業全体の従業員数20人、事業内容は「百貨店、商業ビル賃貸」とされています。

Q-STAは地下1階・地上6階の駅ビルで、食品、衣料品、雑貨、玩具、飲食店、クリニック、フィットネスクラブなどが入居しています。富士山駅と一体化しているため、観光客だけではなく、地域住民の日常生活を支える商業・サービス拠点としての役割も持っています。

富士急百貨店の人間への貢献を考えるうえでは、単に商品を販売しているかだけではなく、地域住民が買い物や医療、運動、飲食などを一か所で利用できる環境を維持していること、駅と商業施設を組み合わせて地域の利便性を高めていることも重要です。

Safety――31/50点

富士急百貨店のSafetyでは、残業の少ない求人、社会保険、託児施設、グループの人権・安全制度などを評価できます。

一方で、富士急百貨店単体について平均給与、有給取得率、離職率、男女賃金差、労災件数などの詳細な人的資本データはほとんど公開されていません。さらに、直営店舗の契約社員求人では年間休日90日という条件が確認されており、働く人の休息という点では課題があります。

月給18万4,000円の契約社員求人

2026年9月にQ-STAが公開した募集では、1階インフォメーションや4階ブックスQ・トイズQなどで働く契約社員について、月給18万4,000円以上としています。

社会保険完備、制服貸与、交通費支給、6階フィットネスクラブの無料利用といった福利厚生も掲載されています。

ただし、この求人だけでは賞与、昇給、年収、正社員との待遇差などは十分確認できません。

会社全体の平均給与や中央値も公開されていないため、富士急百貨店が利益をどの程度働く人へ賃金として還元しているのかを外部から判断するには情報が不足しています。

年間休日90日の求人を確認

2026年6月にハローワークへ掲載されたQ-STA直営店舗の契約社員求人では、月給18万4,000円、1か月単位の変形労働時間制で、年間休日数は90日でした。時間外労働は「なし」とされています。

残業がない点は評価できます。

一方で、年間休日90日は働く人が休息や私生活に使える時間という観点から大きなプラスとは評価しにくく、Safetyの減点材料としました。

別のフィットネスジムスタッフ求人では年間休日105日、月平均残業5時間となっているため、勤務する職種によって休日数や勤務条件に違いがあります。

社会保険と託児施設

2026年のハローワーク求人では、雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金への加入が確認できます。

また、空き状況によるものの利用可能な託児施設も設定されています。

富士急グループでは企業内保育所「フジQキッズガーデン」を運営し、年中無休、延長保育にも対応しています。大型連休や年末年始に勤務する従業員の子育て支援を意識した制度です。

ただし、富士急百貨店の求人では育児休業、介護休業、看護休暇の取得実績はいずれも「なし」とされています。従業員数が20人規模のため取得対象者自体が少ない可能性もあり、この数字だけで制度が利用しにくいとは判断できません。

グループの人権・ハラスメント対策

富士急グループは、人権侵害やコンプライアンス問題を相談できる「ヘルプQライン」を設置しています。

この制度は富士急行本体だけでなく連結子会社の従業員も利用でき、社内窓口のほか外部弁護士への相談も可能です。匿名相談にも対応しています。

管理者・職場長向けのハラスメント研修なども行われています。

制度としては評価できますが、富士急百貨店単体で相談件数が何件あり、何件が是正されたのかといった成果までは公開されていません。

口コミでは待遇への不満も確認

転職会議には富士急百貨店の口コミが掲載されていますが、件数は非常に少なく、会社全体の実態を代表するものとは言えません。

2026年8月の投稿では、昇給や交通費、年間休日105日、大型連休の勤務などについて不満が書かれています。一方で、職場のスタッフ同士の関係や仕事のやりがいを評価する内容も確認できます。

なお、現在Q-STAが公式に掲載している契約社員募集には「交通費支給」と明記されています。そのため、口コミにある「交通費が出ない」という内容を現在の全従業員に共通する制度とは扱いません。

Innovation――16/25点

富士急百貨店は大規模な技術開発企業ではありません。

そのためInnovationでは、商業施設を地域住民や観光客にとってより便利な場所へ変えているか、新しいサービスによって地域の課題を減らしているかを中心に評価しました。

屋上を地域交流の場へ再生

2025年4月、Q-STA開業50周年に合わせ、屋上展望台を「FUJISAN ROOFTOP TERRACE」として全面リニューアルしました。

人工芝を敷いた展望スペース、フォトスポット、イベントステージ、飲食ブースなどを整備し、外国人観光客向けの観光スポットとしてだけでなく、地域住民が気軽に利用できる交流の場を目指しています。

現在も無料で利用でき、富士山駅で電車を待つ人や買い物客が休憩できる場所として運営されています。

使われ方が限定されていた駅ビル屋上を、人が滞在し交流できる空間に変えた取り組みとして評価しました。

地域イベントを継続

2026年にもQ-STAでは子ども向け縁日や富士山駅15周年イベントなどを開催しています。

富士山駅15周年イベントでは、太鼓演奏、鉄道クイズ、展示、ワークショップなどを行い、駅と商業施設を一体化した地域イベントを実施しました。

富士急行の2025年の報告でも、Q-STAで飲食、物販、音楽など地域と連携したイベントを積極的に開催し、来館者数が大幅に増加したとされています。

単にテナントへ場所を貸すだけではなく、地域の人が集まる場所として駅ビルを活用している点はプラス評価です。

富士急カーシェアを開始

2025年7月には富士急行、タイムズモビリティと共同で「富士急カーシェア」を開始しました。

富士急行線の駅や高速バス停留所から目的地までの移動手段を増やし、富士五湖地域の交通利便性を改善することが目的です。

観光客向けのサービスという側面が強いものの、自家用車を持たない人が駅から目的地へ移動する選択肢を増やす点は、人間の移動負担を減らす取り組みと評価できます。

一方、従業員自身の単純作業を自動化した、労働時間を技術で大幅に削減した、といった具体的なInnovationの成果は公開情報から確認できませんでした。

そのため16/25点としています。

Protection――17/25点

富士急百貨店は食品、飲食、商業施設、フィットネスなど、人の安全に直接関係するサービスを扱っています。

富士急グループ全体では安全管理や災害対策の仕組みが整備されており、富士急百貨店も食品安全への取り組み対象企業として明記されています。一方、富士急百貨店単体の事故件数、訓練実績、BCP、サイバーセキュリティ実績などの詳細公開は少ないため17/25点としました。

富士急百貨店もグループの食品安全対象

富士急グループは「安全は全てに優先」を基本方針とし、グループ横断の安全管理を行っています。

食品については、健康への影響やアレルギー表示などを適切に伝える方針を示しており、「食の安全等に取り組む主なグループ会社」として株式会社富士急百貨店が明記されています。

Q-STAには食品販売や飲食店も入居しているため、食品事故を防ぐ体制は重要です。

富士山周辺の災害を前提としたグループ対策

富士急グループは富士山の噴火や地震、豪雨などの自然災害を重要なリスクと位置づけています。

グループ会社を含めた安全管理の中に自然災害対策を組み込み、グループ全体を包括するマニュアルを整備しています。

富士急百貨店は富士山駅に直結する施設を運営しているため、このグループ体制の対象となります。

一方で、Q-STA単独でどのような避難訓練を何回実施したのか、非常用電源や備蓄がどの程度あるのか、といった具体的な情報は公開情報から確認できませんでした。

個人情報保護方針を公開

富士急百貨店は独自の個人情報保護方針を公開し、利用目的、開示・訂正・削除・利用停止の手続き、相談窓口などを明記しています。

富士急グループ全体でもセキュリティポリシーを設け、不正アクセスやコンピュータウイルスへの対策を行う方針を示しています。

ただし、富士急百貨店単体でのサイバーセキュリティ訓練、第三者認証、侵入テスト、セキュリティ事故件数などは確認できませんでした。

2026年に催事商品の価格表示ミス

2026年4月、Q-STAで開催したスイーツ催事で、「森のマシュマロ」に別商品のバーコードシールを貼り、本来648円の商品を1,080円で販売してしまったことが公表されました。

富士急百貨店は購入者への返金対応を案内し、製造販売時の確認とルール徹底を行うとしています。

重大な安全事故ではありませんが、商品管理と確認作業上のミスとして評価に反映しました。

良いニュース

富士急百貨店では近年、Q-STAを「商品を買うだけの駅ビル」から、地域住民と観光客が利用する交流拠点へ変えようとする動きが見られます。

特に2025年のFUJISAN ROOFTOP TERRACE開業は、既存施設を活用しながら地域交流や観光価値を高める取り組みです。無料で利用できる空間として開放し、イベントステージも設置した点は評価できます。

2026年にも子ども向けイベントや駅の周年イベントを行っており、一度施設を整備して終わりではなく、継続的に地域交流へ使っています。

また、富士急カーシェアへの参画によって、駅から観光地などへの移動手段を増やしていることも地域の利便性向上につながっています。

悪いニュース

今回の調査では、富士急百貨店において死亡事故、大規模火災、大規模な個人情報漏えい、行政による重大処分などは確認できませんでした。

一方、働く人への還元では改善すべき点があります。

2026年の直営店舗契約社員求人では年間休日90日となっています。残業なしという条件は評価できますが、年間を通して働く人の休息という観点では休日数を増やす余地があります。

また、2026年4月には催事商品へのバーコード貼り間違いによって本来より高い価格で販売するミスが発生しています。返金対応は行われましたが、店舗運営における基本的な確認作業の改善が必要です。

口コミ

富士急百貨店は従業員規模が小さいこともあり、公開されている勤務経験者口コミは非常に少数です。

転職会議では総合評点3.29となっていますが、掲載口コミ数が少ないため、この点数を企業全体の評価として使用することは適切ではありません。

比較的新しい口コミでは、フィットネス業務について利用者から感謝されることへのやりがいを評価する一方、休日や待遇への不満が書かれています。

2014年頃の古い口コミには「学ぶことが多い」「資格取得の機会がある」という意見と、接客意識について改善が必要という意見もあります。ただし10年以上前の情報であり、現在の職場環境を示す情報としては重く扱っていません。

口コミについては、会社公式資料やハローワークなどで確認できる事実の補助材料としてのみ使用しました。

確認された問題

今回、具体的な公開情報によって確認できた主な課題は、2026年の直営店舗契約社員求人で年間休日90日となっていること、会社単体の給与・有給取得・離職率・労災などの人的資本情報が十分に公開されていないこと、2026年4月に催事商品へのバーコード貼り間違いが発生したことです。

一方で、重大な労災、死亡事故、大規模な情報漏えいなどが富士急百貨店で発生したという事実は、今回の公開調査では確認できませんでした。

「確認できない」ことと「発生していない」ことは同じではないため、事故件数がゼロだとは断定しません。

重要情報の非公表

富士急百貨店については、企業規模が小さいこともあり、単体の情報公開がかなり限られています。

平均年収、給与中央値、賞与、昇給実績、有給休暇取得率、離職率、男女賃金比率、女性管理職比率、労働災害件数、ハラスメント相談件数などは、今回確認した公開情報では十分な数値を確認できませんでした。

また、富士急グループとして人権、健康、安全、災害、コンプライアンスなどの制度を整備していることは確認できますが、富士急百貨店でそれらが具体的に何回利用され、どのような成果を出したのかまでは公開されていません。

親会社に制度があることだけで、富士急百貨店自身が十分な成果を上げているとは評価しません。

今後、富士急百貨店単体の労働環境や安全実績が公開されれば、評価の精度を大きく高めることができます。

総合評価――64点・シビックランクC

株式会社富士急百貨店の最終評価は、64点/100点、シビックランクCです。

Safetyは31/50点としました。

社会保険、交通費、フィットネスクラブ無料利用、託児施設などの制度が確認でき、直営店舗求人では時間外労働なしとなっている点は評価できます。

一方で、年間休日90日の求人があることは大きな課題です。

さらに、平均年収、有給取得率、離職率、労災などの重要な数値が単体ではほとんど公開されておらず、働く人への還元を十分に確認できません。

Innovationは16/25点です。

Q-STA屋上の再生、地域イベント、富士急カーシェアなど、駅ビルを地域の交流と移動の拠点へ広げている点を評価しました。

一方で、自社従業員の作業負担を技術によって大幅に削減した成果や、生産性向上を労働時間短縮へ還元した具体的な数字までは確認できません。

Protectionは17/25点です。

富士急グループの安全管理、災害対策、人権・コンプライアンス制度の対象となっており、富士急百貨店自身も食品安全への取り組み企業として明記されています。個人情報保護方針も公開しています。

一方、富士急百貨店単体の防災訓練、BCP、事故件数、サイバーセキュリティ対策などの具体的な成果情報は不足しています。

富士急百貨店の強みは、富士山駅直結という立地を活かして、買い物だけでなく地域交流、観光、医療、運動、交通まで含む生活拠点をつくっていることです。

今後評価を高めるためには、働く人の休日や待遇を改善することに加え、給与、有給休暇、労災、安全対策などの成果を富士急百貨店単体でも公開することが重要です。

総合得点:64点/100点

シビックランク:C

情報ランク

今回の審査では、富士急百貨店自身の公式情報、富士急グループの公式資料、ハローワーク、勤務経験者口コミなどを情報源の性質に応じて区別しました。

情報ランク情報源今回の主な使用例
S公的機関・法定開示ハローワーク求人、親会社の法定開示
A企業公式資料Q-STA公式サイト、富士急グループ公式サステナビリティ資料
B信頼できる第三者資料業界・企業データ等の補助資料
C勤務経験者口コミ転職会議など
DSNSX、Facebook、YouTube、TikTokなど
E匿名掲示板5chなど

点数算定ではS~Aランクの情報を中心に使用しました。

口コミは職場環境を探る補助資料として扱い、口コミだけを理由として重大な問題が存在すると判断していません。

また、親会社・富士急行の制度と富士急百貨店自身の成果を分け、グループ制度が存在するだけで富士急百貨店へ満点を与えないように評価しています。

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