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富士急バス株式会社を企業審査|シビックランクC・63点|重大責任事故0件と自動運転実証を評価、月平均残業30時間・有責事故17件が課題

私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、その企業の働き方や安全対策、事業のあり方を間接的に支えています。

富士急バス株式会社の路線バス、高速バス、周遊バス、貸切バスなどを利用すれば、その運賃収入は同社の事業を支えます。そこで得られた収入が、運転士の賃金や休日、安全教育、車両の安全設備、自動運転やキャッシュレス化、災害時の輸送体制などにどう使われるのかは、利用する側にとっても無関係ではありません。

働く人を大切にし、安全性やサービスを改善する企業に売上が集まれば、そうした経営を続ける力になります。反対に、長時間労働やハラスメント、安全上の問題を放置している企業のサービスを利用すれば、その環境を間接的に支えることにもつながります。

富士急バスについて調べると、2025年度は重大責任事故0件、車内人身事故0件を達成し、2025年4月から2026年3月まで自動車事故報告規則第2条に該当する事故もありませんでした。衝突被害軽減ブレーキ46台、ドライバーモニター44台、バックソナー83台など、安全設備への投資も具体的です。

Innovationでは、2026年1月から富士吉田市内で有償の自動運転EVバス実証を実施し、完全キャッシュレスバスやデジタル乗車券なども導入しています。ただし、自動運転バスは現時点で乗務員1人と遠隔監視員1人を配置するレベル2であり、人員削減や労働時間短縮まで実現したとは評価していません。

一方、2026年のバス運転士求人では月平均時間外労働30時間、年間休日100日です。特別条項では繁忙や道路事情への対応として月78時間、年720時間までの時間外労働が設定されています。2025年度の有責事故も、前年19件から半減させ10件以内とする目標に対し17件で、目標を達成していません。

以上を踏まえ、富士急バス株式会社の総合得点は63点/100点、シビックランクCとしました。

目次

富士急バス株式会社の企業審査結果

Safetyでは事故防止設備や安全教育を評価する一方、運転士の残業と休日数、人権・ハラスメント対応の結果公開が課題です。Innovationは自動運転やキャッシュレス化が強く、Protectionでは災害訓練と地域輸送の役割を評価しました。

評価軸得点満点
Safety2850
Innovation1825
Protection1725
総合63100
シビックランクC—

主な強みは、重大責任事故・車内人身事故0件、安全設備への継続投資、自動運転EVバスの実証、災害訓練、地域公共交通を維持する社会的役割です。

主な課題は、運転士求人で月平均残業30時間・年間休日100日となっていること、有責事故17件で自社目標を達成していないこと、ハラスメント相談・是正実績、自動化後の労働時間短縮、サイバー復旧実績などが十分に公開されていないことです。

事業内容と人間への貢献

富士急バス株式会社は1991年設立、資本金1億円で、富士急行株式会社が株主です。

本社営業所、大月営業所、上野原営業所、甲府営業所、八王子営業所を持ち、会社公式の従業員数は283人です。一般乗合旅客自動車運送事業と一般貸切旅客自動車運送事業を行っています。

地域住民の通勤・通学を支える

富士急バスは富士五湖、富士吉田、大月、都留、上野原、甲府などで路線バスを運行しています。

2026年の上野原営業所の求人でも、上野原駅と市街地が離れており、路線バスが「通勤・通学には必要不可欠」と説明されています。

自家用車を運転できない高齢者、学生、障がいのある人などにとって、地域バスが維持されることは、通学、通院、買い物、仕事へ行く手段を維持することにつながります。

富士山観光の移動を支える

富士急バスは路線バスに加えて、高速バス、河口湖・西湖・本栖湖周遊バス、富士山五合目へのバスなどを運行しています。

富士山周辺では地域住民と国内外の観光客が同じ道路を利用します。公共交通の利用者が増えれば、自家用車やレンタカーだけに移動を依存する状態を減らし、道路混雑を抑える方向にもつながります。

Safety:28/50点

Safetyでは、運転士が十分な休息を取りながら働けるか、事故を防ぐ仕組みが機能しているか、人権や福利厚生が守られているか、乗客を安全に目的地へ運べているかを確認します。

富士急バスは安全情報を毎年公開し、重大事故0件、安全設備、研修など具体的な情報を出している点が強みです。一方、現在の運転士求人では月平均残業30時間、年間休日100日となっています。安全運行を支える運転士自身の休息という点では改善余地があります。

賃金・利益の還元:6/10点

2026年6月受付の上野原営業所の正社員運転士求人では、基本給は月22万8,000~26万2,000円、地域調整手当を含む固定部分は23万3,000~26万7,000円です。

乗務手当、時間外手当、休日出勤手当、家族手当を含めた総支給額は月31万~40万円程度とされています。前年度の昇給実績は月1万円、賞与は年2回、45万~70万円でした。

会社の採用サイトでは、年収例として勤続1年420万円、5年460万円、10年520万円を示しています。大型二種免許を持たない人には、給与を受けながら教習所へ通える養成制度もあります。

月1万円の昇給実績や賞与、免許取得支援は働く人への還元として評価できます。

一方、月31万~40万円という総支給額には時間外手当5万6,000~10万6,000円程度や休日出勤手当が含まれています。長く働くことで増える残業代を、基本給の高さと同じようには評価しません。

また、会社全体の平均基本給、賃金中央値、ベースアップ率、利益のうちどれだけを従業員へ還元したかについては公開情報がありません。

そのため6/10点としました。

8点へ上げるには、既存社員全体の基本給引き上げ率、職種別賃金、賃金中央値などを継続的に公開し、残業時間に依存せず賃金水準が改善していることを確認できる必要があります。

労働時間・休息:4/10点

2026年の運転士求人では実働7時間42分、月平均時間外労働30時間、年間休日100日です。

36協定には特別条項があり、需要の季節的な増大や道路事情による遅延などの場合、年6回を上限として月78時間、年720時間まで時間外労働が可能とされています。

一方、求人では翌月の休日希望を聞いたうえで勤務表を作成することや、急な休みについて他の運転士が対応できる体制も説明されています。

勤務調整の仕組みがあることは加点します。

しかし、安全運転では疲労を蓄積させないことが非常に重要です。月平均残業30時間、年間休日100日という現在の条件は、働く人の自由時間や回復時間を十分に確保するという観点では高得点にできません。

会社全体の有給休暇取得率、運転士の実残業分布、連続休息時間についても公開情報がありません。こうした情報が公開されていない点も課題であり、採点上の減点対象です。

以上から4/10点としました。

6点へ上げるには、会社全体または運転士の平均残業を20時間程度以下まで削減し、年間休日を増やしたうえで、有給取得率や連続休息時間など実際の休息状況を公開する必要があります。

雇用の安定・待遇の公平性:3/5点

2026年の運転士求人は正社員、期間の定めなしで募集されています。定年は65歳、再雇用制度は70歳までです。労働組合もあります。

大型二種免許の養成制度があり、未経験者が給与を受けながら資格を取得できることも、職業への入口を広げる仕組みとして評価できます。

一方、離職率、平均勤続年数、男女賃金差、正社員と非正規社員の待遇差、運転士養成後の定着率は公開情報がありません。

現在も複数営業所で採用を行っていますが、求人が人員拡大によるものなのか、退職者の補充なのかを全社的に判断できる情報も不足しています。

雇用制度と再雇用、労働組合、資格支援を加点し、定着と待遇公平性の結果が十分に見えないため3/5点としました。

4点へ上げるには、離職率、平均勤続年数、雇用形態別・男女別の賃金差、正社員登用や養成制度利用者の定着状況を継続公開する必要があります。

福利厚生・育児・介護:3/5点

社会保険、退職金共済、勤続1年以上の退職金制度、単身・世帯向け借上げアパート制度などが確認できます。

育児休業の取得実績もあります。

社員寮や借上げアパートは、富士五湖地域へ移住して運転士として働く人の住居負担を軽くできます。大型二種免許の取得支援と組み合わせれば、異業種からバス運転士へ転職する際の費用面の障壁を下げることにもつながります。

一方、2026年求人では介護休業取得実績と看護休暇取得実績は「なし」で、利用可能な託児施設もありません。育休取得率、男女別取得人数、復職率なども公開されていません。

制度と一部利用実績は確認できる一方、育児・介護を含む利用成果が十分に分からないため3/5点としました。

4点へ上げるには、男性を含む育休取得率、介護休業・看護休暇の利用実績、復職率などを公開し、制度が実際に利用されていることを確認できる必要があります。

人権・ハラスメント・労使関係:2/5点

富士急グループは2025年3月に人権方針を制定し、すべての役員・従業員を適用対象としています。

連結子会社の従業員も利用できる内部通報窓口「ヘルプQライン」があり、匿名通報と外部弁護士窓口も設けています。管理者・職場長向けのハラスメント研修も実施しています。富士急バスは富士急グループの会社なので、このグループ制度の対象となります。

また、富士急グループはカスタマーハラスメントに対し、対応手順、社内相談体制、警察・弁護士との連携などを定めています。乗客と直接接する運転士を悪質な暴言や過剰要求から守る仕組みとして評価できます。

ここまでは加点材料です。

一方、富士急バス単体のハラスメント相談件数、認定件数、是正件数、再発防止結果などは公開されていません。

さらにIndeedには富士急バスの口コミが2件あり、2026年8月の富士河口湖町の運転手から、

「休みが少ない」

「上司のイジメだけでなく、同僚からもひどいいじめを受けます」

という投稿があります。情報ランクBの個人口コミであり、この投稿だけで会社全体にハラスメントが蔓延しているとは判断しません。しかし、会社側から相談・是正実績が公開されていないため、外部から制度の実効性を検証できません。

グループとして制度と研修を整備していることを評価する一方、富士急バス単体の結果情報が不足し、直近口コミにも重大な訴えがあるため2/5点としました。

3点へ上げるには、富士急バス単体の相談件数、調査件数、是正件数、研修実績、再発防止措置などを公開し、制度が実際に機能していることを確認できる必要があります。

労働安全・健康:6/10点

富士急バスは毎月、安全統括管理者が主催する安全会議を開催し、事故分析、安全管理体制、運輸安全マネジメントの進捗を確認しています。

産業医が出席する衛生委員会も毎月開催し、運転士の健康管理と職場の安全について協議しています。

新人運転士には専属指導員を付け、乗務時間、走行距離、熟練度に応じて教育しています。事故を起こした乗務員には事故原因分析と技術指導を行い、運転適性診断、ドライブレコーダー、デジタルタコグラフ、冬山教育なども利用しています。

2025年度には14両の新車を導入し、衝突被害軽減ブレーキ46台、ドライバーモニター44台、バックソナー83台、EDSS27台などを導入しています。

運転士の判断だけへ事故防止を委ねず、設備、教育、健康管理を組み合わせていることを評価します。

一方、富士急バス単体の労働災害件数、休業災害度数率、転倒・腰痛など運転以外の労災実績は公開情報がありません。

2026年度は「労働災害事故0件」を目標としていますが、2025年度の労災実績を比較できないため、労働安全対策の成果を十分に検証できません。

そのため6/10点としました。

8点へ上げるには、労災件数、休業災害度数率、原因別件数を年度推移で公開し、安全設備や教育によって事故・負傷が実際に減っていることを確認できる必要があります。

商品・サービスの安全:4/5点

2025年度は重大責任事故0件、車内人身事故0件でした。

2025年4月1日から2026年3月31日まで、自動車事故報告規則第2条に該当する事故もありませんでした。

乗客がバスを利用するとき、重大事故や車内人身事故が0件であることは直接的な安全上の利益です。

一方、有責事故は前年19件から半減させる目標に対し17件で、10件以内という水準に届きませんでした。

重大事故を抑えられていても、接触などを含む有責事故をさらに減らす余地があります。

また、2020年には本社営業所について、事業計画変更認可違反、点呼実施義務違反、運転者への指導監督義務違反の3件が認められ、輸送施設の使用停止20日車、違反点数2点の行政処分を受けています。これは過去の事案ですが、安全管理の履歴として無視しません。

現在は重大責任事故0件まで改善していることを重視し4/5点としました。

5点へ上げるには、重大事故0件を維持しながら、有責事故を自社目標の10件以内まで減らし、その状態を継続して確認できる必要があります。

従業員・元従業員の口コミ

口コミは公式統計ではなく、個々の人が経験した職場の情報です。そのため会社全体の事実として扱わず、公式資料で見えない問題を探す補助情報として確認します。

Indeedでは2026年8月時点で口コミは2件、総合評価1.0/5です。勤務時間と残業1.0、給与と福利厚生1.5、定着率と昇進1.0、上司との関係1.0、企業文化1.0となっています。件数が2件しかないため、統計として会社全体を代表するものではありません。

2026年8月の富士河口湖町の運転手による投稿では、休みと人間関係について厳しい経験が記されています。

2022年の八王子市の運転士からも将来性について否定的な投稿があります。

一方、富士急バスの公式求人では月平均残業30時間、年間休日100日という具体的な労働条件が確認できます。少なくとも「休みが少ない」という2026年口コミについては、年間休日100日という公式求人情報と合わせて確認する必要があります。

SNS・匿名掲示板の確認結果

X、5ちゃんねる、爆サイなどについて、「富士急バス」「残業」「給料」「休日」「退職」「事故」「パワハラ」などを組み合わせて確認しました。

今回の検索範囲では、富士急バス株式会社との雇用関係が判断でき、本文まで確認できる現在の従業員・元従業員投稿で、追加の採点根拠として利用できるものは確認できませんでした。

有用な投稿が見つからなかったことを、問題が存在しない証拠とは扱いません。

Safety小計:28/50点

Innovation:18/25点

Innovationでは、バスを新しくしたことやITを導入したこと自体ではなく、人が担っていた運転、案内、決済、事故防止などの作業がどう変化し、利用者の時間や運転士の負担が実際に減ったかを評価します。

富士急バスは自動運転EVバス、完全キャッシュレスバス、デジタル乗車券、空席情報APIなどを実際の交通サービスで導入しています。技術導入の継続性は高く評価できます。一方、自動化によって残業や休日、必要人数が改善した結果は公開されていません。

作業負担・危険の削減:8/10点

富士吉田市、富士急行、富士急バスなどは、自動運転EVバスの社会実装を進めています。

2026年1月5日から2月28日には、富士吉田市内約5.2kmを1日6便走る有償実証を行いました。

運行会社は富士急バスで、2026年度中のレベル4実現を目標としています。

運転士不足が続く地域で自動運転が実用化されれば、一人の運転士へ長時間勤務を集中させずに路線を維持できる可能性があります。

安全面でも、衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱防止、ドライバーモニター、EDSSなど、運転士の判断を機械で補助する設備を多数導入しています。

これらを評価して8点としました。

一方、2026年の自動運転実証は乗務員1人に加えて遠隔監視員1人を配置しています。現時点では運転士が不要になったわけではありません。

また、自動運転や安全支援設備によって運転士の残業が何時間減ったのか、事故が何%減ったのかという因果関係も十分に公開されていません。

10点へ上げるには、レベル4運行を実装し、運転士不足の緩和、残業削減、拘束時間削減、安全性向上など、人間側の結果を数値で確認できる必要があります。

商品・サービスの改善:5/5点

富士急バスは2024年12月から西湖周遊バス・グリーンラインで完全キャッシュレスバスの実証を開始し、Suica・PASMOなどの交通系ICカード、クレジットカードのタッチ決済、紙・デジタルのフリークーポンに対応しました。

スマートフォンから購入できるデジタル乗車券や、バスターミナルで高速バスの空席を確認できるAPIサービスなども導入されています。

外国人観光客を含む利用者にとって、現金を用意する、窓口に並ぶ、空席を問い合わせるといった手間を減らす改善です。

実際のバスサービスへ複数のデジタル施策を展開し、利用者が受けるサービスが改善しているため5/5点としました。

改善成果の人間への還元:0/5点

自動運転、キャッシュレス化、デジタル乗車券、安全支援装置などの導入は確認できます。

しかし、それらによって、

・運転士の平均残業が何時間減ったのか
・年間休日が何日増えたのか
・窓口や乗務員の現金取扱時間が何時間減ったのか
・人手不足が何人分改善したのか
・生産性向上分を基本給へどれだけ還元したのか

について公開情報がありません。

現在の求人では、技術導入が進んだ後も月平均残業30時間、年間休日100日です。

技術を導入したことと、その成果を働く人へ返したことは分けて評価する必要があります。

そのため0/5点としました。

3点へ上げるには、自動運転、キャッシュレス、運行DXなどの導入前後で、残業、休日、現金取扱時間、必要人員、配置転換、事故、賃金を比較し、複数の指標で働く人への改善が確認できる必要があります。

研究開発・現場改善の継続:5/5点

自動運転EVバスは2023年から実証を続け、2026年には有償実証まで進みました。

2026年度のレベル4実現を目指して、富士吉田市、富士急行、富士急バス、BOLDLY、行政機関、警察、大学などが参加する体制を構築しています。

キャッシュレス、デジタル乗車券、安全支援設備なども並行して進めており、一度の実験で終了した取り組みではありません。

継続的な改善活動が確認できるため5/5点としました。

自動化・AI導入後の雇用状況

自動運転を進めているため、導入後の雇用状況も確認します。

2026年の自動運転実証では乗務員1人と遠隔監視員1人を配置しており、現在は運転士を置き換える段階には達していません。

会社公式の従業員数は283人、2026年のハローワーク求人では企業全体278人とされており、集計時点や定義の違いがあります。複数営業所で運転士募集も続いています。

今回の調査では、自動運転やキャッシュレス化を理由とする大規模な人員削減、希望退職、契約打ち切りなどの公開情報は確認できませんでした。

一方、自動化後も現在の残業や休日数に大きな改善が確認できていないため、「雇用を守りながら人の負担を減らした」と判断できる段階にも達していません。

Innovation小計:18/25点

Protection:17/25点

Protectionでは、地震、豪雨、大雪、富士山噴火、道路寸断、システム障害などが起きたときにも地域住民を運べるか、平時に近い移動手段を維持できるかを評価します。

富士急バスは自然災害訓練を実際に行い、山梨県地域防災計画でも災害時の輸送機関として役割を持っています。一方、サイバー攻撃や営業所停止後の具体的な復旧時間は十分に公開されていません。

災害への備え・訓練:5/5点

2025年5月には富士山五合目避難訓練、同年9月には緊急時情報伝達訓練を実施しています。

2026年度の安全重点施策にも「自然災害時の対応訓練」を明記しています。

富士山周辺では噴火、豪雨、大雪、土砂災害などへの備えが重要です。

計画書を作るところで止まらず、実際の避難訓練と情報伝達訓練を行っているため5/5点としました。

生産・物流・調達の代替:3/5点

富士急バスは本社、大月、上野原、甲府、八王子の複数営業所を持っています。

一つの地域にすべての車両・要員を集中させていないため、拠点分散そのものには一定の代替性があります。

一方、一つの営業所が地震や浸水などで使用不能になった場合、

・他営業所から何台応援できるのか
・何時間で車両を移動できるのか
・代替運行できる路線はどこか
・燃料や整備拠点をどう確保するのか

という具体的な代替計画は公開情報がありません。

そのため3/5点としました。

4点へ上げるには、営業所停止を想定した車両・運転士の代替配置を訓練し、切り替え時間や運行維持率まで公開する必要があります。

サイバー防衛・情報保護:2/5点

富士急グループの個人情報保護方針では、「情報セキュリティ管理基準」と「個人情報保護基準」を制定し、不正アクセスやコンピューターウイルスへの対策を行うとしています。

この方針は富士急行と富士急グループ各社に適用されます。

基本的な情報管理制度が存在するため加点します。

一方、富士急バス単体について、

・MFAの適用範囲
・EDRやSOCの運用状況
・サイバー訓練回数
・情報漏えい件数
・オフラインバックアップ
・RTO・RPO
・実際の復旧訓練時間

などは公開情報がありません。

現在は予約、デジタル乗車券、キャッシュレス、運行情報などデジタルサービスが増えているため、システム停止時の備えは以前より重要になっています。

基本方針は確認できるものの、実効性を判断する結果が不足しているため2/5点としました。

3点へ上げるには、具体的な防御措置、訓練、インシデント件数、バックアップ復元実績などを対象会社単体で公開する必要があります。

供給継続・復旧能力:3/5点

2026年度の安全方針では災害時の対応・判断、防災基本方針、自然災害時の訓練を重点施策にしています。

複数営業所も持っており、地域ごとに車両と運転士を配置しています。

一方、道路寸断、営業所被災、燃料不足、予約システム停止などが発生した場合の目標復旧時間や、過去の災害で何時間・何日で通常運行へ戻したかという統一的な結果は公開されていません。

したがって3/5点としました。

4点へ上げるには、主要災害シナリオごとに目標復旧時間を設定し、訓練や実災害で目標時間内に代替運行・復旧できた実績を示す必要があります。

危機時の市民への対応:4/5点

山梨県地域防災計画では、富士急バス株式会社は山梨交通、富士山麓電気鉄道、山梨県トラック協会とともに指定地方公共機関の輸送機関として位置付けられています。

役割として、

・安全輸送の確保
・災害対策用物資等の輸送体制の確立・手配
・知事や関係機関からの車両借上げ要請へ速やかに対応できる体制整備

が定められています。

例えば大規模地震で避難所への移動手段が足りなくなった場合、バス会社の車両と運転士を地域の輸送へ活用できれば、自家用車を持たない住民も避難や移動をしやすくなります。

災害時に企業の車両を社会のために利用する役割が公的計画に組み込まれていることを高く評価します。

一方、直近の大規模災害で富士急バスが何人を避難輸送したか、何台を提供したかという対象会社単体の実績までは確認できませんでした。

そのため4/5点としました。

5点へ上げるには、公的な役割に加えて、実災害または大規模訓練での車両提供台数、輸送人数、対応時間などの成果を確認できる必要があります。

Protection小計:17/25点

良いニュース・最近の前向きな動き

富士急バスの良い動きでは、事故を重大化させない安全対策と、運転士不足に技術で対応しようとするInnovationが目立ちます。バスを利用する人がこうした企業行動を支えることは、安全設備や新しい公共交通へ資金が回ることにつながります。

2025年度|重大責任事故0件・車内人身事故0件【Safety】

2025年度は重大責任事故0件、車内人身事故0件でした。

自動車事故報告規則第2条に該当する事故もありませんでした。

バス事故は一度の重大事故で多数の乗客や歩行者が被害を受ける可能性があります。重大責任事故と車内人身事故を0件に抑えたことは、乗客の身体を守った具体的な結果として評価できます。

同時に、有責事故全体は17件残っているため、重大化しなかったことと事故そのものを減らすことは分けて考える必要があります。

2026年1月|自動運転EVバスの有償実証を開始【Innovation】

2026年1月から富士吉田市内約5.2kmで自動運転EVバスの有償実証を開始しました。

1日6便、13カ所の乗降場所を設定し、2026年度中のレベル4実現を目指しています。

運転士不足によって路線を減らせば、車を運転できない住民ほど移動しにくくなります。自動運転が実用化されれば、限られた人員でも公共交通を維持できる可能性があります。

現在は乗務員と遠隔監視員を配置しているため、今後は実際に必要人員や運転士の拘束時間がどう変わるかを確認したいところです。

2025年|富士山五合目避難訓練を実施【Protection】

2025年5月に富士山五合目避難訓練、9月に緊急時情報伝達訓練を実施しました。

富士山周辺は国内外から多数の観光客が訪れます。災害時には土地勘のない観光客も含めて、安全な場所へ移動させる必要があります。

平時から避難と情報伝達を訓練していることは、実際の災害時に判断や輸送開始を早めることにつながります。

悪いニュース・問題となった動き

富士急バスで最も改善を求めたいのは、事故そのものをさらに減らすことと、運転士の休息時間を増やすことです。安全設備が多くても、事故件数や労働時間の結果が改善しなければ、Safetyの評価は上がりません。

2025年度|有責事故17件で自社目標を未達【Safety】

富士急バスは2025年度、有責事故について前年19件から5割減を目標にしました。

10件以内が目安となるところ、実績は17件でした。

重大責任事故と車内人身事故が0件だったことは評価できますが、事故そのものの削減は計画どおり進みませんでした。

2026年度も有責事故10件以内を目標にしているため、安全設備や教育が実際の事故削減につながるかを継続して確認する必要があります。

2026年|運転士求人は月平均残業30時間・年間休日100日【Safety】

2026年6月の正社員バス運転士求人では、月平均時間外労働30時間、年間休日100日です。

特別条項では年6回まで月78時間、年720時間の時間外労働が可能となっています。

バス運転士は乗客の命を預かる仕事です。

休息が少なく疲労が蓄積すれば、働く本人の健康だけでなく、乗客や歩行者の安全にも影響する可能性があります。

自動運転や運行DXへ投資している企業だからこそ、その技術成果を運転士の残業削減や休日増加へつなげることを求めたいところです。

2020年|点呼・指導監督などの違反で行政処分【Safety】

2020年10月6日、関東運輸局は富士急バス株式会社本社営業所に対し、輸送施設の使用停止20日車の行政処分を行いました。

認められた違反は、

・事業計画の変更認可違反
・点呼の実施義務違反
・運転者に対する指導監督義務違反

の3件で、違反点数は2点でした。

現在の安全報告では毎月の安全会議、点呼立会い、運転士教育、内部監査などが具体的に行われており、2025年度には重大責任事故0件を達成しています。過去の行政処分を現在の状態と同一視はしません。

一方、点呼や指導監督はバス安全管理の基本なので、現在の改善策を今後も継続し、事故件数の減少という結果につなげる必要があります。

総合評価と、これから改善してほしいこと

富士急バス株式会社は現在63点、シビックランクCです。

次のBランクは70点からなので、あと7点必要です。

強みは、重大責任事故・車内人身事故0件、具体的な安全設備、自動運転EVバス、キャッシュレス化、災害訓練などです。

一方、運転士の月平均残業30時間・年間休日100日、有責事故17件、人権・ハラスメント対応の結果不足、自動化成果の人への還元、サイバー復旧情報が主な弱点です。

運転士の残業と休日を改善する【Safety・労働時間・休息:4→6/10点】

現在の労働時間・休息は4/10点です。

月平均残業30時間、年間休日100日という現在の求人条件では、運転士が十分な自由時間と回復時間を確保している企業として高く評価できません。

改善条件は、会社全体または運転士の平均残業を20時間程度以下へ削減し、年間休日を110日以上へ増やし、有給取得率や連続休息時間も公開することです。

これらが実際に確認できれば4→6点、プラス2点を想定できます。

総合点は63→65点となり、CのままですがBまであと5点になります。

参考企業は株式会社JR東海リテイリング・プラスです。Google Drive上の最新版企業審査では56点・Dですが、2025年度の平均残業7.8時間、有給休暇取得率76.1%を対象会社単体で公開しており、「労働時間・休息」は8/10点です。

運転士の休息を増やすことは本人の生活時間を増やすと同時に、疲労による事故リスクを抑えることにもつながります。

ハラスメント対応を結果まで公開する【Safety・人権・ハラスメント・労使関係:2→3/5点】

現在は2/5点です。

グループ人権方針、内部通報窓口、外部弁護士窓口、研修などは確認できます。一方、富士急バス単体の相談件数、調査件数、認定件数、是正件数が公開されていません。

直近のIndeed口コミには職場内のいじめを訴える投稿もあります。

改善条件は、富士急バス単体で相談・通報件数、調査結果、是正措置、再発防止研修などを継続公開し、問題が発生した場合に実際に救済されていることを確認できることです。

これが確認できれば2→3点、プラス1点を想定できます。

総合点は63→64点となります。

参考企業は伊藤忠商事株式会社です。Drive上の最新版審査は83点・Aで、人権・ハラスメント・労使関係は4/5点です。匿名・外部窓口、内部通報件数、研修、労働組合との協議、サプライヤー人権調査まで具体的に公開しています。

制度が存在することに加えて、利用・是正結果を公開すれば、働く人が問題を訴えたときに制度が機能しているかを外部から確認できます。

自動運転・DXの成果を運転士へ返す【Innovation・改善成果の人間への還元:0→3/5点】

現在の「改善成果の人間への還元」は0/5点です。

自動運転EVバス、キャッシュレス、デジタル乗車券などInnovationは進んでいますが、その結果として残業、休日、賃金、必要人員などがどう改善したのかは公開されていません。

改善条件は、自動運転や運行DXの導入前後について、

・運転士の必要人数
・平均残業時間
・休日数
・現金取扱時間
・配置転換人数
・採用人数
・離職率
・賃金
・事故件数

を時系列で公開し、複数の項目で働く人への改善が確認できることです。

これが確認できれば0→3点、プラス3点を想定できます。

総合点は63→66点となります。

参考企業はキリングループロジスティクス株式会社です。Drive上の最新版企業審査は65点・C、Innovationは20/25点、「改善成果の人間への還元」は3/5点です。同社は業務改善・多能工化を背景に年間所定労働時間を1,920時間から1,896時間へ24時間短縮した実績を公開しています。

富士急バスでも、自動運転が「運転士を減らす技術」ではなく、「残業や休日出勤を減らして地域交通を維持する技術」になれば、人への還元として高く評価できます。

サイバー復旧力を具体化する【Protection・サイバー防衛・情報保護:2→3/5点】

現在は2/5点です。

グループ共通の情報セキュリティ基準や不正アクセス対策は確認できますが、富士急バス単体の復元訓練、バックアップ、復旧目標時間などは公開されていません。

改善条件は、予約、デジタル乗車券、キャッシュレス、運行管理など重要システムについて、MFA・EDR等の防御範囲、分離バックアップ、復元訓練、RTO・RPO、実際の復旧時間を公開し、訓練で目標時間内に復旧できることを確認することです。

これが確認できれば2→3点、プラス1点を想定できます。

総合点は63→64点となります。

参考企業はSNCF Réseauです。Drive上の最新版企業審査は55点・Dですが、サイバー防衛・情報保護は4/5点です。2024年パリ五輪時には通常の20~30倍の攻撃圧力に対し担当チームを倍増し、重要システムの権限管理や認証済みデータセンターを運用した実績があります。

バスの予約・決済・運行情報がデジタル化するほど、システム停止時にも運行を継続できる仕組みが重要になります。

次のBランクへ上がるための具体例

現在は63点・Cです。

Bは70点からなので、あと7点必要です。

例えば、

・労働時間・休息:4→6点 +2点
・人権・ハラスメント・労使関係:2→3点 +1点
・改善成果の人間への還元:0→3点 +3点
・サイバー防衛・情報保護:2→3点 +1点

となれば、

63+2+1+3+1=70点

となり、シビックランクBへ上がります。

情報を公開しただけで自動的に点数を上げるわけではありません。

公開された内容から、実際に残業が減った、休日が増えた、ハラスメントへの救済が機能した、自動化の成果が働く人へ返った、サイバー攻撃後に目標時間内で復旧できた、といった結果が確認できた場合に再評価します。

出典一覧

情報源主な確認内容情報ランク
富士急バス株式会社 会社概要会社概要、事業所、従業員数、事業内容A
富士急バス「輸送の安全に関する情報」2026年度版事故件数、安全目標、安全設備、教育、災害訓練A
ハローワーク給与、残業30時間、休日100日、福利厚生等S
関東運輸局2020年行政処分S
富士急バス採用情報年収例、免許養成、住居支援A
富士急グループ人権方針人権方針、内部通報、研修A
Indeed従業員口コミB
富士吉田市・富士急グループ資料自動運転EVバス実証A
富士急バス完全キャッシュレスバス実証A
山梨県地域防災計画災害時の富士急バスの輸送上の役割S
富士急グループ個人情報保護方針情報セキュリティ管理A

シビックランクの基準

シビックランク総合得点
S90~100点
A80~89点
B70~79点
C60~69点
D50~59点
E40~49点
F20~39点
G0~19点

情報ランクの基準

情報ランク基準
S行政、裁判所、規制当局などの公的資料、または独立した第三者による検証・認証など
A企業公式サイト、公式報告書、採用情報、公式声明など、発信主体を確認できる情報
B従業員・元従業員口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者と企業との関係を独立して確認しにくい情報

今回の主要な採点根拠には、富士急バス自身の安全報告、ハローワーク、関東運輸局、山梨県地域防災計画などを利用しています。労働時間や事故、安全設備については具体的な数字まで確認できました。

一方、離職率、対象会社単体のハラスメント相談・是正件数、労災度数率、自動化後の残業削減、サイバー復旧時間などには公開情報がありません。これらの情報不足は各採点項目で減点に反映しています。

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