MENU

株式会社ホテル富士急を企業審査|シビックランクB・79点|富士山観光を支える宿泊事業を評価、一方で労働情報と会社単体の安全情報には課題

総合得点:79点/100点
シビックランク:B

私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、その企業の働き方や安全対策、事業のあり方を間接的に支えています。

富士宮富士急ホテル、富士山ステーションホテル、キャビン&ラウンジ ハイランドステーションインなどに宿泊すれば、その宿泊料金は運営会社である株式会社ホテル富士急の売上につながります。そこで得られた利益が、社員の賃金や休暇、客室の安全対策、衛生管理、設備更新、人材育成、サービス改善などにどう使われるのかは、利用する側にとっても無関係ではありません。

働く人を大切にし、宿泊者の安全や衛生を守り、地域の観光をより良くする企業に売上が集まれば、そうした経営を続ける力になります。反対に、長時間労働や低賃金、安全上の問題、衛生上の問題などを放置しているホテルを利用すれば、その環境を間接的に支えることにもつながります。

株式会社ホテル富士急の場合、富士山周辺で観光客やビジネス利用者の宿泊場所を提供している点は明確な社会的価値があります。2025年には富士宮富士急ホテルと富士山ステーションホテルで客室リニューアルも行われ、富士吉田の伝統織物「ふじやま織り」を取り入れるなど、地域文化と宿泊サービスを結びつける取り組みも確認できました。

一方、会社単体の労働環境や労災、安全実績を示す情報は十分とはいえません。社員口コミでは、給与の低さ、仕事量、役割分担、管理職のマネジメントなどへの不満も投稿されています。口コミ件数が少ないため会社全体の実態とは断定できませんが、無視できない補助情報です。

以上から、宿泊・観光への貢献や基本的な安全対策は評価しつつ、労働環境と会社単体の情報公開に改善余地があるとして、79点・シビックランクBとしました。

目次

株式会社ホテル富士急とは

株式会社ホテル富士急は、富士急グループでホテル事業を担う会社です。

観光地として国内外から多くの旅行者が訪れる富士山周辺で、価格帯や利用目的の異なる複数の宿泊施設を運営しています。

主な運営施設は次の3施設です。

  • 富士宮富士急ホテル
  • 富士山ステーションホテル
  • キャビン&ラウンジ ハイランドステーションイン

会社全体の従業員数は公開求人情報では57人、資本金は5,000万円です。

富士山・富士急ハイランド周辺という国内有数の観光地域で宿泊インフラを担っています。

Safety:42/50点

ホテルのSafetyでは、宿泊客の生命や身体を守る防火・防災対策、食品衛生、客室設備、個人情報保護に加え、従業員の労働安全も確認する必要があります。

株式会社ホテル富士急では、具体的な安全対策を確認できる部分があります。

富士山ステーションホテルでは、富士五湖消防本部による「防火基準適合証 適マーク」の取得履歴と、「HACCP 食の安心・安全五つ星店」の取得が公開されています。

ただし、防火適合マークについて公開ページに記載されている表示有効期限は2024年3月14日までです。

現在も同等の認定を更新しているのかは、今回確認できた公開情報から判断できません。

過去に取得していたことは評価できますが、「現在も認定済み」として加点することは避けます。

2025年に新設された富士山ステーションホテルの「Family Bunk Room」では、2段ベッドに落下防止柵と夜間照明を設置し、安全面にも配慮しています。

子どもの利用が想定される設備について具体的な事故防止策を設けている点は評価できます。

また2026年2月には、国内外でモバイルバッテリーの発煙・発火事故が発生していることを受け、運営ホテルで客室内の充電場所や不在時の充電を避けるよう注意喚起しています。

清掃時に危険な状態を確認した場合には、スタッフが充電を停止したり位置を変更したりする対応も明記されています。

富士山ステーションホテルは2025年7月から全館・全客室を禁煙化しています。

受動喫煙だけでなく、客室内の火災リスクを抑えるという意味でも評価できます。

個人情報についても、氏名、住所、国籍、予約情報、利用情報、ウェブ閲覧履歴などを富士急グループで共同利用する範囲と目的、管理責任者が公開されています。

一方、富士急グループ全体では、2024年度の自社起因事故について、死者1人、30日以上の治療を要する人10人と公表しています。

ただしこれは鉄道、バス、遊園地、ホテルなどを含む富士急グループ全体の数字です。

株式会社ホテル富士急で発生した事故だと確認できるものではないため、ホテル富士急へ直接の重大減点はしていません。

今回の調査では、株式会社ホテル富士急や同社運営3ホテルを直接対象とした近年の重大な死亡事故、大規模食中毒、重大火災、行政処分は確認できませんでした。

ただし、「公開情報で確認できなかった」ことは「事故が一切存在しない」こととは異なります。

ホテル富士急単体の労災件数、宿泊客の事故件数、避難訓練実績、衛生監査結果などは公開されていません。

Safety:42/50点

人間尊重・労働環境:13/20点

ホテル業では、フロント、清掃、朝食提供など、人の労働によってサービスが成立します。

そのため、宿泊者へのサービスだけでなく、そのサービスを提供する従業員が適切な条件で働けているかも重要です。

親会社の富士急グループは2025年3月に人権方針を制定し、国際人権章典、ILOの基本原則、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を支持するとしています。

この方針はグループすべての役員・従業員に適用するとされているため、株式会社ホテル富士急も対象です。

またホテル・レジャー分野について、

  • 差別やハラスメント
  • 宿泊客の権利
  • 訪日外国人への対応
  • 派遣・請負労働者の権利
  • 人身取引・強制労働
  • アクセシビリティ

などを人権上の重点リスクとして特定しています。

ただし、グループに制度があることと、株式会社ホテル富士急でその制度がどの程度利用されているかは別問題です。

富士急グループは男性育休取得率などを公開していますが、主要会社を対象にした数字であり、そのままホテル富士急の実績として扱うことはできません。

公開求人情報では、会社全体57人、就業場所によっては女性社員やパート社員も多く、外国人雇用実績も確認できます。

一方、同求人情報では育児休業、介護休業、看護休暇について「取得実績なし」とされたものがあります。

制度が存在しないという意味ではありませんが、実際の利用実績が確認できない点は、グループ全体の制度だけでは補えません。

第三者口コミも確認しました。

転職会議では株式会社ホテル富士急について少数ながら口コミがあります。

2025年頃に勤務した社員の投稿では、

  • 給与の低さ
  • 仕事量の多さ
  • 管理職のマネジメント
  • 役割分担
  • 年功序列的な風土

などへの不満が記載されています。

一方、グループホテルの割引やテーマパーク、鉄道に関する福利厚生を評価する投稿もあります。

口コミ上では残業時間や有給消化率が比較的良好に見える集計もありますが、口コミ母数が非常に小さいため、会社全体の実績として扱うことはできません。

公開求人では「時間外労働なし」とされた職種もあり、すべての職場が長時間労働という証拠もありません。

したがって、グループの人権方針と基本制度は評価しますが、対象会社自身の賃金、残業、有休取得、離職率、育児休業などの定量情報が不足しており、口コミには改善を求める声もあることから高得点にはしていません。

人間尊重・労働環境:13/20点

事業による人間への貢献:17/20点

株式会社ホテル富士急の事業は、人が旅行や仕事で地域を訪れるための宿泊場所を提供することです。

生活必需インフラとは性格が異なりますが、観光地域では宿泊施設そのものが地域経済を支える重要な基盤になります。

同社は、

  • 富士山駅近くの富士山ステーションホテル
  • 富士急ハイランドに隣接するキャビン&ラウンジ ハイランドステーションイン
  • 富士宮駅前の富士宮富士急ホテル

を運営しています。

観光だけでなく、ビジネス、一人旅、家族旅行など異なる需要を受け入れています。

富士山周辺は国内外から多数の旅行者が訪れる地域です。

ホテルが存在することで、宿泊料金だけでなく、飲食、交通、観光施設、土産物など地域内の消費にもつながります。

2025年には、富士宮富士急ホテルの6・7階をリニューアルし、富士山を眺められる和モダン客室を新設しました。

同年には富士山ステーションホテルにも新しいファミリー客室を設け、地元・富士吉田の「ふじやま織り」を客室のクッションやフットスローに採用しています。

宿泊客に地域文化を紹介するとともに、地域産品をホテルサービスへ取り込んでいる点は評価できます。

一方、

  • 地域雇用額
  • 地域企業からの調達額
  • 障害者への宿泊支援
  • 災害時の宿泊提供
  • 地域還元額

など、社会への還元を定量化できるホテル富士急単体の情報は十分公開されていません。

そのため高く評価しつつ満点にはしません。

事業による人間への貢献:17/20点

情報公開・説明責任:7/10点

株式会社ホテル富士急は、利用者向け情報については比較的細かく公開しています。

一方、会社そのものについての経営・労働・安全情報は親会社である富士急行の公開資料に依存する部分が大きくなっています。

各ホテルの公式サイトでは、

  • 客室
  • 設備
  • 利用規則
  • キャンセル条件
  • プライバシーポリシー
  • 工事情報
  • 休館情報
  • 安全上の注意

などを確認できます。

2026年にはモバイルバッテリーの発火リスクについても注意喚起しています。

2025年には富士宮富士急ホテルでシステム障害が発生し、メール問い合わせを一時停止したことも公式サイト上で告知しました。

問題が発生した際に利用者へ告知している点は評価できます。

一方、

  • 従業員データ
  • 労災実績
  • 離職率
  • 平均残業時間
  • 男女賃金差
  • CO₂排出量
  • 食品廃棄量

などは、株式会社ホテル富士急単体では十分確認できません。

富士急グループ全体ではサステナビリティ情報、人権方針、安全関連KPI、女性管理職比率、育児休業取得率、地域還元などが公開されています。

しかし、グループ全体の数字をそのまま株式会社ホテル富士急の実績として扱うことはできません。

情報公開・説明責任:7/10点

良いニュース

株式会社ホテル富士急では、近年、宿泊設備の更新、安全対策、地域文化との連携が進められています。

単なる新しい部屋の販売だけではなく、宿泊者の快適性、安全性、地域との関係を改善しているかを見ます。

2025年には、富士宮富士急ホテルの高層階6・7階をリニューアルし、「フジヤマツイン」「フジヤマダブル」を新設しました。

従来のシングル2室を1室にすることで客室を広くし、富士山を望める和モダンの空間に変更しています。

同年には、富士山ステーションホテルに4人まで宿泊できる「Family Bunk Room」を新設しました。

地元の「ふじやま織り」や信楽焼を取り入れ、2段ベッドには落下防止柵と夜間照明も設置しています。

富士山ステーションホテルでは2025年7月から全客室を禁煙化しました。

2026年2月には運営施設でモバイルバッテリーの発煙・発火事故を想定した注意喚起を行い、充電場所や不在時の充電について具体的な安全ルールを示しています。

こうした改善は、ホテルが売上を設備や利用者の安全へ再投資していることを確認できる材料です。

悪いニュース

今回の調査では、株式会社ホテル富士急自体について、直近の重大な死亡事故、大規模食中毒、重大火災、行政処分は確認できませんでした。

ただし、問題がまったく見当たらないわけではありません。

2025年には富士宮富士急ホテルでシステム不具合が発生し、メール問い合わせを一時停止しています。

利用者への告知は行われており、重大な情報漏えいが発生したとの公表は確認できませんでした。

労働面では、社員口コミに、

  • 給与水準
  • 仕事量
  • 役割分担
  • 管理職のマネジメント

への不満が投稿されています。

また、有給休暇の扱いに対する不満も確認できます。

これらは少数の口コミであるため、会社全体の事実とは扱いませんが、改善余地を調べる材料にはなります。

親会社の富士急グループでは安全に関する事故件数も公開されていますが、鉄道・バス・レジャーなどを含むグループ全体の数字です。

株式会社ホテル富士急で発生した事故とは確認できないものを、ホテル富士急の不祥事として扱うことはしません。

確認された問題、グループ情報、口コミ上の指摘を分けて評価します。

口コミではどのように評価されているのか

社員口コミは、会社が公開する制度と実際の職場との違いを探すための補助資料として確認します。

転職会議では株式会社ホテル富士急について少数の口コミが確認できます。

観光地という立地や富士急グループである安心感、グループホテル割引などを評価する声があります。

一方で、

  • 給与の低さ
  • 仕事量
  • 役割分担
  • 年功序列
  • 管理職のマネジメント
  • 住宅支援

などへの不満も投稿されています。

口コミサイト上では残業時間や有給消化率が比較的良好に見える集計もありますが、投稿件数が少なく、会社全体を代表する統計とは判断できません。

X、Facebook、YouTube、TikTok、掲示板などについても確認しましたが、企業の点数を変更できるほど具体的で裏付け可能な情報は確認できませんでした。

口コミは補助資料として使用し、匿名投稿だけを理由に大幅な減点はしていません。

株式会社ホテル富士急を利用することで何を支えるのか

富士山ステーションホテルや富士宮富士急ホテルなどに宿泊すれば、その宿泊料金は株式会社ホテル富士急の事業を支える売上になります。

その売上は、

  • ホテルスタッフの給与
  • 客室清掃
  • 設備の修繕
  • 防火対策
  • 衛生管理
  • 予約システム
  • 人材採用
  • 人材育成
  • 客室リニューアル

などを支えます。

さらに、ホテルに人が宿泊すれば、その宿泊客が周辺の鉄道やバスを利用し、飲食店で食事をし、観光施設や土産店を利用する可能性も高まります。

つまり株式会社ホテル富士急の事業は、自社だけで完結するものではなく、富士山周辺の観光経済にもつながっています。

2025年の客室リニューアルで「ふじやま織り」を取り入れたことは、こうした地域との関係を分かりやすく示す例です。

一方、ホテルのサービスは従業員の労働によって成り立っています。

宿泊者が安く快適に泊まれるとしても、その裏側で低賃金や過重労働が常態化しているのであれば、人への貢献として高く評価することはできません。

株式会社ホテル富士急については、その部分を判断する会社単体の情報がまだ不足しています。

今後改善してほしい点

最優先で改善してほしいのは、株式会社ホテル富士急自身の労働環境を数字で公開することです。

親会社の富士急行は人権や育児支援について多くの情報を公開しています。

しかし、

  • ホテル富士急で何人が育児休業を取ったのか
  • 平均残業時間はいくらなのか
  • 有給休暇を何日取得しているのか
  • 離職率はどの程度なのか
  • 労働災害は何件発生しているのか

といった会社単体の情報は十分確認できません。

親会社に制度があること、対象会社にも制度が適用されること、実際に利用されていること、成果が出ていることは、それぞれ分けて示す必要があります。

次に安全情報です。

防火基準適合証について、公式ページに掲載されている有効期限が2024年3月までとなっています。

更新されているのであれば、最新の交付状況を公開してほしいところです。

ホテルごとの、

  • 労災件数
  • 宿泊者事故
  • 食中毒件数
  • 避難訓練回数
  • 食品衛生監査
  • 防火点検

なども公開すれば、安全性を客観的に評価しやすくなります。

さらに、

  • 食品ロス
  • 電力使用量
  • 水使用量
  • CO₂排出量
  • 地域企業からの調達額

などをホテル単位で公開すれば、地域や環境への貢献もより明確になります。

総合評価

株式会社ホテル富士急は、富士宮富士急ホテル、富士山ステーションホテル、キャビン&ラウンジ ハイランドステーションインを運営し、富士山周辺の観光とビジネス需要を支えています。

防火・食品衛生に関する認証取得履歴、全室禁煙化、モバイルバッテリーの発火対策、子どもが利用する2段ベッドの安全設備など、具体的な安全対策も確認できました。

また、客室リニューアルに地元の伝統工芸を取り入れるなど、富士山観光だけでなく地域文化とのつながりも見られます。

一方で、企業としての情報公開は親会社の富士急行に依存する部分が大きく、ホテル富士急単体の残業、有休、離職率、労災、安全実績などは十分公開されていません。

社員口コミには給与や仕事量、役割分担、マネジメントへの不満もあります。

少数口コミなので断定はできませんが、会社自身が定量情報を公開すれば、こうした指摘についても外部から検証できるようになります。

社会に必要な宿泊機能と地域観光への貢献は高く評価できますが、働く人と安全に関する企業単体の透明性をさらに高めてほしい会社です。

評価点

評価項目点数
Safety42/50点
人間尊重・労働環境13/20点
事業による人間への貢献17/20点
情報公開・説明責任7/10点
総合得点79/100点

シビックランク:B

株式会社ホテル富士急は、富士山周辺の宿泊インフラと地域観光への貢献は高く評価できる一方、労働環境と会社単体の安全実績をさらに公開することが必要な企業と評価します。

情報ランク

情報ランク:A

今回の調査では、ホテル各施設の公式サイト、富士急行のグループ・サステナビリティ資料、ハローワーク求人情報、第三者社員口コミなどを利用できました。

会社の従業員数、資本金、求人条件などを公的な求人情報から確認でき、ホテルの安全対策についても公式情報があります。

一方、株式会社ホテル富士急単体の統合報告書やサステナビリティレポートは確認できず、労働・安全・環境については親会社グループの数字しかない項目が多数あります。

そのため、情報の信頼性自体は比較的高いものの、対象会社単体の情報量がSランク相当とはいえず、情報ランクAとしました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次