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富士観光興業株式会社を企業審査|シビックランクD・53点|天然記念物の安全管理と自然教育を評価、労働情報の個社開示に課題

私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。

働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。

反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。

だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。

今回審査する富士観光興業株式会社は、総合53点、シビックランクDです。

富士観光興業株式会社の特に強い点は、富岳風穴・鳴沢氷穴という天然洞窟で、利用者の安全を守るための具体的な基準を設けていることです。鳴沢氷穴では天井が約91cmまで低くなる場所や滑りやすい階段があることを事前に知らせ、身長100cm未満の子どもの入洞を禁止しています。台風、雷、豪雨、強風などで危険と判断した場合にはネイチャーガイドツアーを中止します。

そのため、この企業のサービスを利用すれば、観光客を増やすことだけを優先せず、危険なときには利用を制限し、富士山の自然を安全に学べる観光を続ける企業に売上が集まります。利用者の安全を優先しながら、天然記念物を自然教育に活用する観光に強い社会になる可能性が高まります。

一方で、改善点として富士観光興業で働く人の情報公開不足が残ります。給与、賃上げ率、平均残業時間、年間休日、有給取得率、離職率、育児休業取得率、労働災害件数などが公表されていません。これらは、施設を支える従業員が十分な賃金と休息を得て、安全に働けているのかを判断するために重要な情報です。

この記事では、富士観光興業株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。

目次

富士観光興業株式会社の企業審査結果

富士観光興業は、利用者の安全管理と自然観光の教育的価値では具体的な取り組みがあります。一方、Safetyの中でも賃金や労働時間など従業員の生活に直結する情報がほぼ公開されていないため、総合点はDランクにとどまりました。

評価軸得点主な評価
Safety21/50入洞安全管理、人権方針、グループ安全制度は評価。賃金・残業・有給・個社労災が非公表
Innovation13/25ネイチャーガイド、多言語・教育旅行などは評価。作業負担削減や従業員への還元成果は不足
Protection19/25グループ災害管理、危険時の利用制限・中止基準を評価。個社BCPや復旧時間の公開は不足
合計53/100シビックランクD

主な強み

  • 天然洞窟の具体的な危険箇所を事前公開
  • 身長100cm未満の子どもの入洞を禁止
  • 悪天候や危険時にはガイドツアーを中止
  • ネイチャーガイド・教育旅行・外国語ガイドを提供
  • 富士急グループの人権・安全・災害管理制度の対象
  • 天然記念物を自然教育へ活用

主な課題

  • 富士観光興業単体の給与が非公表
  • 賃上げ実績が非公表
  • 平均残業時間・年間休日・有給取得率が非公表
  • 離職率や雇用形態別待遇が非公表
  • 個社の労働災害件数が非公表
  • サービス改善による利益が従業員へどう還元されたか不明
  • 個社BCPや復旧時間の具体的情報が不足

事業内容と人間への貢献

富士観光興業は、富士山の火山活動によって形成された洞窟を安全に公開し、観光と自然教育を提供する会社です。

単に洞窟への入場料を得るのではなく、天然記念物を保全しながら、人が富士山の地質や森林、生態系について学べる状態を維持する役割があります。

基本情報

項目内容
会社名富士観光興業株式会社
法人番号6090001009992
所在地山梨県南都留郡富士河口湖町西湖青木ヶ原2068-1
会長梶原 実
社長三浦 健吾
主な事業所富岳風穴、鳴沢氷穴
社会保険被保険者数11人
グループ富士急グループ

会社公式サイトでは、富岳風穴と鳴沢氷穴を事業所として掲載し、会長を梶原実氏、社長を三浦健吾氏としています。

Gビズインフォでは、本店所在地と社会保険被保険者数11人を確認できます。

主な事業内容

富岳風穴・鳴沢氷穴の入洞施設運営に加え、青木ヶ原樹海を歩くネイチャーガイドツアーを提供しています。

ガイドコースは約1時間から5時間まで用意され、洞窟だけでなく、樹木や草花、富士山噴火から洞窟が形成されるまでの過程を案内しています。

団体向けには英語、中国語、ドイツ語による外国語ガイドにも対応しています。

学校行事・移動教室などの教育旅行にも対応しており、一般観光だけでなく自然教育の場として施設を活用しています。

事業による人間への貢献

富士観光興業の大きな役割は、富士山の自然を人が実際に体験できる状態で残すことです。

富岳風穴・鳴沢氷穴を訪れることで、利用者は、

  • 富士山の火山活動
  • 溶岩洞窟の形成
  • 青木ヶ原樹海
  • 植物や生態系
  • 天然洞窟の歴史的利用

などを実際の自然環境から学べます。

学校旅行で利用すれば、子どもが教科書や映像だけでは分かりにくい火山や森林を、自分の目と身体で体験できます。

外国語ガイドを利用すれば、日本語を話せない旅行者にも富士山の自然を伝えられます。

また、富士山周辺を訪れる旅行者が増えれば、バス、宿泊施設、飲食店、土産物店など地域の観光産業にも需要が広がります。

ただし、観光客を増やすだけでは十分ではありません。

そこで働く人が十分な賃金と休息を得ながら、自然を壊さず、安全に観光を続けられることが重要です。

Safety

富士観光興業では、天然洞窟という事故リスクのある施設を扱うため、利用者の安全管理が企業評価の中心になります。

利用者向けの危険情報は比較的詳しく公開されています。一方、働く人の給与・休息・労災については情報が少なく、利用者安全と従業員情報の透明性に大きな差があります。

賃金・利益の還元 0/10点

富士観光興業単体の平均給与、給与中央値、ベースアップ、定期昇給、賞与、利益の従業員還元について公開情報がありません。

公開情報がないため、従業員の賃金が低いと判断しているわけではありません。

しかし、施設の売上や利益が、そこで働く人の生活向上へどれだけ返されているかを評価できません。

賃金は働く人が生活を維持し、仕事を続けるための最も基本的な条件です。

公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象とし、0/10点としました。

平均給与、職種別賃金、賃上げ率、賞与実績などを継続的に公開し、実際に十分な賃金上昇が確認できれば4点以上へ上げられます。

労働時間・休息 0/10点

富岳風穴・鳴沢氷穴の営業時間は公開されています。

しかし、施設の営業時間は従業員の実労働時間ではありません。

富士観光興業単体の、

  • 平均残業時間
  • 年間休日
  • 有給休暇取得率
  • 休日出勤
  • 繁忙期の勤務時間

について公開情報がありません。

観光施設は土日祝日や大型連休に利用者が集中するため、働く人が十分に休めているかは特に重要です。

公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象とし、0/10点としました。

月平均残業時間、年間休日、有給取得率などを公開し、残業が少なく十分な休息を確保できている実績が確認できれば4~6点以上へ上げられます。

雇用の安定・待遇の公平性 3/5点

Gビズインフォでは、社会保険被保険者数11人が確認できます。

小規模ながら、実際に人を雇用して観光施設を運営する会社であることは確認できます。

一方、

  • 正社員数
  • 契約社員数
  • パート・アルバイト数
  • 離職率
  • 平均勤続年数
  • 男女別待遇
  • 雇用更新率

は公表されていません。

雇用実態そのものは確認できるため3/5点としました。

雇用形態別の人数や待遇、離職率、勤続年数などが公開され、安定した雇用が確認できれば4~5点へ上げられます。

福利厚生・育児・介護 3/5点

富士急グループでは、社員寮、グループ施設割引、スポーツジム利用などの福利厚生を設けています。

仕事と育児の両立支援では、グループ従業員向け保育所「フジQキッズガーデン」を運営しています。

観光業は土日や祝日が繁忙期になりやすいため、休日にも利用できる保育施設は、子育て中の従業員が仕事を続ける助けになります。

ただし、

  • 富士観光興業の従業員が実際に利用できる制度
  • 育児休業取得人数
  • 男性育児休業取得率
  • 介護休業取得状況
  • 時短勤務利用人数

などの個社実績は公表されていません。

グループ制度を評価して3/5点としました。

富士観光興業での利用実績まで確認できれば4~5点へ上げられます。

人権・ハラスメント・労使関係 4/5点

富士急グループは2025年3月に「富士急グループ人権方針」を制定しています。

国際人権章典、ILO宣言、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を踏まえ、人権デューデリジェンス、教育、救済などを進める方針です。

方針はすべてのグループ役員・従業員を対象としているため、富士観光興業も対象です。

さらに、コンプライアンスや人権問題を相談できる内部通報窓口「ヘルプQライン」もあります。

従業員が上司や職場内では相談しにくいハラスメントなどに直面した場合、通常の指揮命令系統とは別の経路で問題を伝えられる仕組みになります。

制度の適用を確認できるため4/5点としました。

富士観光興業での相談件数、是正件数、従業員意識調査など成果まで確認できれば5点へ上げられます。

労働安全・健康 6/10点

富士急グループでは、レジャー・観光施設にも「観光等安全マネジメント」を導入し、安全対策会議を月次で実施しています。

また、労働安全衛生マネジメントシステムに沿って労災防止を進めています。

天然洞窟を扱う現場では、

  • 滑りやすい路面
  • 急な階段
  • 低温環境
  • 頭上障害
  • 悪天候
  • 森林内での事故

など、一般的な事務職とは異なる危険があります。

グループとして継続的な安全管理を行っていることは、従業員と利用者双方の事故防止につながります。

一方、富士観光興業単体の、

  • 労災件数
  • 休業災害件数
  • ヒヤリハット件数
  • 安全研修時間
  • 健康診断受診率

は公表されていません。

制度と運用体制は確認できるため6/10点としました。

富士観光興業自身の事故減少や安全成果まで確認できれば8~10点へ上げられます。

商品・サービスの安全 5/5点

富士観光興業のSafetyで最も強い項目です。

鳴沢氷穴では、最も低い場所の天井が約91cmしかなく、頭部をぶつける危険があることを事前に公開しています。

階段も通常の建物の平坦な階段ではなく、湿った石を利用した場所があり、冬から春にかけては氷によってさらに滑りやすくなります。

最深部でも氷上で転倒する危険があります。

また、地下約21mから階段を使って戻る身体負担や、夏には外気との温度差が20度以上になる場合があることも案内しています。

身長100cm未満の子どもは入洞できず、おんぶや抱っこによる入洞も禁止しています。

これは、入場者数を増やすために誰でも入れるのではなく、事故リスクの高い利用者を事前に制限する仕組みです。

ネイチャーガイドツアーについても、一人だけでの実施を安全上行わず、台風、雷、豪雨、強風などの場合は中止します。

利用者の危険を具体的に説明し、必要な場合には売上より安全を優先して入洞・ツアーを制限しているため5/5点としました。

従業員・元従業員の口コミ

OpenWork、転職会議、Indeed等を調べましたが、富士観光興業株式会社そのものについて、現在の職場環境を判断できる十分な従業員・元従業員口コミは確認できませんでした。

検索結果には「富士観光開発株式会社」など名称の似た別法人が多数含まれます。

これらは法人も事業も異なるため、富士観光興業の口コミとして使用していません。

口コミが少ないこと自体は減点理由ではありません。

一方、会社自身も給与・残業・休日などをほとんど公開していないため、働く人の実態を外部から検証する材料が不足しています。

SNS・匿名掲示板の確認結果

X、Facebook、YouTube、5ちゃんねるなどについても確認しましたが、富士観光興業の現在の職場環境について、対象法人を確認できる有用な投稿は今回の調査では得られませんでした。

匿名投稿や同名・類似企業の情報を富士観光興業の事実として使用していません。

Innovation

富士観光興業のInnovationは、製造業のロボット化のような省人化よりも、天然洞窟を「見る場所」から「自然を学ぶ場所」へ広げている点にあります。

一方、従業員が行っていた危険作業や重労働を技術でどれだけ減らしたのか、そこで生まれた利益や時間を働く人へどう返したのかという情報は不足しています。

作業負担・危険の削減 4/10点

利用者に対する安全管理は具体的ですが、従業員の作業負担を技術や設備でどれだけ削減したのかは十分に公表されていません。

洞内点検、清掃、階段・手すりの維持、氷や水への対応、森林ガイドなどで、

「以前は何人で何時間必要だったか」

「設備によって何時間減ったか」

「危険な作業を何件減らしたか」

といった成果は公開されていません。

安全管理の存在を評価して4/10点としましたが、働く人の負担削減が数値で確認できないため高得点にはしていません。

商品・サービスの改善 5/5点

富岳風穴・鳴沢氷穴では、洞窟を見るだけでなく、青木ヶ原樹海や富士山の自然を学ぶネイチャーガイドツアーを提供しています。

コースは約1時間から5時間まであり、参加者の目的や時間に合わせて選べます。

団体向けには英語、中国語、ドイツ語による外国語ガイドにも対応しています。

学校行事・移動教室などの教育旅行にも対応しています。

その結果、利用者は景色を見るだけでなく、

  • なぜ洞窟ができたのか
  • 樹海がどのように形成されたのか
  • どのような植物が生きているのか

まで学べます。

天然記念物の価値を人へ伝えるサービス改善として5/5点としました。

改善成果の人間への還元 1/5点

サービス改善によって、利用者はより深く富士山の自然を学べるようになっています。

一方、そのサービスから得られた収益や効率化が、

  • 従業員の賃金上昇
  • 年間休日増加
  • 残業削減
  • 人員増強
  • 危険作業削減

へどれだけ返されたのかは公表されていません。

利用者への還元は確認できますが、働く人への還元成果が確認できないため1/5点としました。

具体的な賃上げ・休暇増加・労働時間削減が確認できれば3点以上へ上げられます。

研究開発・現場改善の継続 3/5点

富士急グループでは、安全対策会議を月次で実施し、継続的な安全改善を進めています。

富士観光興業でも、洞窟の注意事項を更新し、洞内だけでなく夏季の熱中症・脱水症などにも注意を呼びかけています。

天然施設では季節によって氷、路面、水分、気温などの状態が変わります。

そのため、一度安全対策を作って終わるのではなく、状態に合わせて注意事項を更新することには意味があります。

継続改善が確認できるため3/5点としました。

一方、改善件数や事故減少率などの個社KPIまでは公表されていません。

Protection

富士観光興業は富士山周辺の自然を事業基盤としているため、地震、豪雨、強風、噴火などへの備えは事業そのものと直結します。

危険時には利用を止める仕組みと、富士急グループの災害管理を評価できます。

一方、富士観光興業単体のBCP、復旧時間、代替拠点などの情報は不足しています。

災害への備え・訓練 4/5点

富士急グループでは、安全統括部門が自然災害を含むグループ全体のリスク管理を行っています。

富士山周辺で事業を続ける以上、

  • 地震
  • 豪雨
  • 強風
  • 土砂災害
  • 富士山噴火

などへの備えは欠かせません。

ネイチャーガイドについては、台風、雷、豪雨、強風などで危険と判断した場合に中止できるルールがあります。

例えば強風で樹海内の枝が落下する危険が高まった場合、予定どおり観光客を歩かせるのではなく、ツアーを中止して事故を防げます。

具体的な危険回避制度があるため4/5点としました。

富士観光興業自身の防災訓練回数や参加人数、訓練結果まで公開されれば5点へ上げられます。

生産・物流・調達の代替 3/5点

製造企業ではないため、代替生産設備という評価にはなりません。

一方、富岳風穴と鳴沢氷穴という複数施設を運営し、ネイチャーガイドにも複数コースがあります。

一つのサービスしか持たない会社よりは、利用者へ別の自然体験を提供できる可能性があります。

ただし、

  • 一方の洞窟が長期間閉鎖された場合の代替サービス
  • 代替営業拠点
  • 災害時の資材調達
  • 電力・通信停止への代替手段

は公表されていません。

複数の施設・サービスがあることを評価して3/5点としました。

サイバー防衛・情報保護 4/5点

富士観光興業では、問い合わせやガイド予約などを通じて利用者の個人情報を扱います。

富士急グループとして個人情報保護やコンプライアンス管理を行っており、グループ企業にも適用されます。

例えば予約情報が漏えいすれば、利用者の氏名、連絡先、旅行予定などが第三者へ渡る可能性があります。

グループ管理制度があることで、こうした情報を適切に扱う基盤になります。

一方、富士観光興業単体の、

  • サイバー訓練
  • 情報漏えい件数
  • セキュリティ監査
  • 第三者認証

などは公表されていません。

そのため4/5点としました。

供給継続・復旧能力 4/5点

天然施設では、どんな状況でも営業を続けることが良いとは限りません。

洞内や天候が危険な場合には閉鎖し、安全を確認してから再開することが重要です。

富岳風穴・鳴沢氷穴では、天候や洞内状況によって営業時間を変更する場合があることを事前に案内しています。

危険な状態でも営業を続けるのではなく、安全に合わせて事業を調整できる点を評価して4/5点としました。

一方、大規模災害で施設が閉鎖した場合、

「何日で復旧を目指すのか」

「どのような手順で安全確認するのか」

などの個社BCPは公開されていません。

危機時の市民への対応 4/5点

危険が高まった場合に利用者を入れない、ツアーを中止するという明確な対応があります。

観光施設における危機対応では、サービス提供を無理に続けることより、人を危険な場所へ入れないことが重要です。

利用者の安全を優先する具体的な対応を評価して4/5点としました。

一方、地域で大規模災害が起きた際の住民支援や自治体との協力実績などは公表されていないため5点とはしていません。

良いニュース・最近の前向きな動き

富士観光興業の前向きな動きでは、観光客を増やすだけでなく、利用者の安全と自然環境への理解を高める方向へ事業を広げていることを重視します。

富士観光興業のサービスを選ぶことで、天然記念物を安全に公開し、富士山の自然を学ぶ機会を増やす事業へ売上が集まります。

国立公園オフィシャルパートナーシップで自然教育を強化

2025年12月、富士急行は環境省と国立公園オフィシャルパートナーシップを締結しました。

取り組みの対象として富岳風穴・鳴沢氷穴も挙げられています。

今後、

  • ネイチャーガイドツアーの利用促進
  • 国立公園の動植物の紹介
  • 子ども向け自然学習ワークショップ
  • 自然環境保全への理解促進

などを進める方針です。

例えば子どもが鳴沢氷穴を訪れた際に、単に「冷たい洞窟だった」で終わるのではなく、富士山の噴火や森林形成まで学べれば、自然を守る理由を実体験から理解できます。

観光による収益と自然教育を結びつける取り組みとして評価できます。

危険を隠さず具体的に伝える

天然洞窟には転倒や頭部打撲などの危険があります。

富士観光興業は、

  • 約91cmの低い天井
  • 滑りやすい階段
  • 氷上での転倒
  • 地下約21mから戻る身体負担
  • 夏季の大きな温度差

などを具体的に公開しています。

利用者は入洞前に自分や家族の体力と照らし合わせて判断できます。

事故リスクを小さく見せて集客するのではなく、事前に危険を伝える経営は利用者安全に直接つながります。

悪いニュース・問題となった動き

富士観光興業自身について、今回の調査では重大な行政処分や組織的不祥事を裏付ける公的資料は確認されませんでした。

一方、働く人について重要な情報が公開されていないことは大きな課題です。

この状態が続けば、利用者が安全な洞窟観光を楽しめても、そのサービスを支える従業員が十分な賃金、休息、安全を得ているのか判断できません。

富士観光興業単体の労働情報がほとんど公表されていない

社会保険被保険者数11人は公的情報から確認できます。

一方、

  • 平均給与
  • 賃上げ率
  • 平均残業時間
  • 年間休日
  • 有給取得率
  • 離職率
  • 育児休業取得率
  • 労災件数

などは公表されていません。

こうした重要情報が公開されていない点は課題です。採点上も減点対象です。

利用者に対して洞窟の危険性を詳しく公開しているのと同じように、そこで働く人が安全か、十分に休めているかについても具体的な情報公開が必要です。

富士急グループ全体の安全KPIには重大事故が残る

富士急グループが公表した2024年度実績では、自社起因の運転事故・インシデント等が139件、死者1人、治療30日以上の人が10人とされています。

労働災害事故を含むグループ全体の数字です。

これは富士観光興業の事故件数ではありません。

そのため139件や死亡1人を富士観光興業自身の事故として減点していません。

一方、グループの安全制度を富士観光興業の評価へ使う以上、グループ全体で安全上の課題が残っていることも無視できません。

富士観光興業単体の事故・労災件数を公開すれば、グループの安全制度が同社の現場で実際に成果を出しているのか判断しやすくなります。

総合評価と、これから改善してほしいこと

富士観光興業株式会社は53点/100点、シビックランクDです。

Cランクは60点からなので、あと7点必要です。

利用者安全と自然教育では具体的な強みがあります。

特に天然洞窟の危険を具体的に公開し、危険な人や状況では入洞やツアーを制限していることは評価できます。

一方、働く人の賃金・休息・安全成果について個社情報がほとんどなく、ここが総合点を大きく下げています。

賃金を公開するだけでなく、実際に働く人へ利益を返してほしい

現在の「賃金・利益の還元」は0/10点です。

平均給与や賃上げ率が公表されていないため、施設利用による売上が従業員の生活改善へどの程度返されているのか評価できません。

平均給与、職種別給与、ベースアップ、賞与などを公開し、継続的な賃金改善が確認できれば4/10点程度まで上げられます。

高い賃上げを複数年継続し、非正規を含めて幅広い従業員へ還元していることまで確認できれば6~10点を目指せます。

現在0点から4点になれば、総合点は57点になります。

残業・休日・有給の実績を公開し、十分な休息を確保してほしい

「労働時間・休息」は現在0/10点です。

観光業では、一般の人が休む土日祝日や大型連休が繁忙期になります。

そのため年間休日だけでなく、

  • 月平均残業時間
  • 有給取得率
  • 休日出勤
  • 連続勤務
  • 繁忙期のシフト

などの実績が重要です。

十分な休日と低い残業時間が確認できれば4~6点へ上げられます。

例えば賃金0→4点、労働時間0→4点まで改善すれば、総合61点となりCランクへ上がります。

個社の事故・労災を公開し、安全対策の成果まで示してほしい

「労働安全・健康」は現在6/10点です。

グループの安全制度は確認できますが、富士観光興業で何件の事故や労災が起きているかは公開されていません。

  • 従業員労災件数
  • 利用者事故件数
  • ヒヤリハット
  • 安全研修時間
  • 前年からの事故減少率

を公表し、事故が継続的に減っていることまで確認できれば8~10点へ上げられます。

6→8点なら総合55点、6→10点なら57点となります。

サービス改善の利益を働く人にも返してほしい

「改善成果の人間への還元」は現在1/5点です。

ネイチャーガイド、多言語対応、教育旅行などサービスは改善されています。

一方、その成果によって、

  • 賃金が上がった
  • 残業が減った
  • 休日が増えた
  • 人員が増えた
  • 危険作業が減った

といった従業員への還元は公表されていません。

複数の具体的成果が確認できれば3~4点へ上げられます。

次のランクへ上がるための具体例

現在53点・Dランクです。

Cランクの下限60点まであと7点です。

例えば、

  • 賃金・利益の還元 0→4点 +4点
  • 労働時間・休息 0→4点 +4点

まで改善すれば、総合61点となりCランクへ上がります。

別の組み合わせでは、

  • 労働安全・健康 6→8点 +2点
  • 改善成果の人間への還元 1→4点 +3点
  • 災害への備え・訓練 4→5点 +1点
  • 供給継続・復旧能力 4→5点 +1点

で合計60点となり、Cランクに到達します。

情報を公開しただけでは点数は上がりません。

公開された内容から、賃金上昇、残業削減、休日増加、事故削減など、働く人や利用者への実際の利益が確認できることが必要です。

出典一覧

  1. 富士観光興業株式会社「会社案内」
    会社所在地、代表者、富岳風穴・鳴沢氷穴の運営を確認。
  2. Gビズインフォ「富士観光興業株式会社」
    法人番号、本店所在地、社会保険被保険者数を確認。
  3. 富岳風穴・鳴沢氷穴「入洞前の注意事項」
    天井約91cm、滑りやすい階段、温度差、利用制限などを確認。
  4. 富岳風穴・鳴沢氷穴「ネイチャーガイド」
    コース、外国語対応、教育旅行などを確認。
  5. 富士急行株式会社「富士急グループ人権方針」
    人権方針、適用範囲、人権デューデリジェンス、救済制度を確認。
  6. 富士急行株式会社「安全・安心の更なる追求」
    安全マネジメント、安全対策会議、労働安全衛生管理、安全KPIを確認。
  7. 富士急行株式会社「国立公園オフィシャルパートナーシップ」
    富岳風穴・鳴沢氷穴における自然教育・環境保全の取り組みを確認。

シビックランクの基準

シビックランク総合点
S90~100点
A80~89点
B70~79点
C60~69点
D50~59点
E40~49点
F20~39点
G0~19点

富士観光興業株式会社は53点のため、シビックランクDです。

情報ランクの基準

情報ランク基準
S公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関による調査・認証・検証など
A企業公式サイト、公式報告書、採用情報、公式声明など、発信主体を確認できる情報
B従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者との関係を独立に確認しにくい情報

今回の審査では、法人情報などの公的情報をS、富士観光興業・富士急行の公式資料をAとして中心的に使用しました。

従業員口コミについては、富士観光興業株式会社本人のものと確認できる十分な情報がなく、同名・類似法人の情報は使用していません。

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