私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
今回審査する株式会社高島屋は、総合61点、シビックランクCです。
株式会社高島屋の特に強い点は、月平均残業5.7時間、年間休日122日、男女とも育休取得率100%という、働く人の時間と育児を守る実績です。[出典1]
そのため、この企業の商品を買ったりサービスを利用したりすれば、長時間労働を減らし、育児と仕事を両立しながら働き続けやすい社会になる可能性が高まります。
一方で、改善点として正規雇用労働者の男女賃金比率61.6%と、2024年度の労働災害129件が残ります。賃金差の背景を職種・役職・勤続年数などに分けて公開し、労災についても死亡・休業・軽微事故の内訳や度数率を示して、実際に事故が減っているか確認できる状態にする必要があります。[出典4・5]
この記事では、株式会社高島屋の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
株式会社高島屋の企業審査結果
高島屋は、残業の少なさ、育児支援、人権・労使制度、商品品質管理では具体的な実績があります。一方、男女賃金差、労災の結果開示、AI・DXの人への還元、災害・システム停止後の定量的な復旧力が弱点です。
| 評価軸 | 点数 |
|---|---|
| Safety | 34/50 |
| Innovation | 14/25 |
| Protection | 13/25 |
| 総合点 | 61/100 |
| シビックランク | C |
評価時点:2026年10月3日
主な強み
・月平均残業5.7時間、年間休日122日
・男女とも育休取得率100%、育児勤務制度利用者219人
・平均勤続年数25.3年
・東西の検査室、取引先の製造工程確認など商品安全の仕組み
・労働組合と国際産業別労組を含むグローバル枠組み協定
・2025年にグループ情報セキュリティ基本方針を策定し、第三者アセスメントを明記
主な課題
・正規雇用労働者の男女賃金比率61.6%
・2024年度の労働災害129件について重大度別内訳や度数率が非公表
・AI・DXの導入後に何時間の作業が減り、その成果が賃金・休日へどう返ったかが非公表
・事業停止後のRTO・RPO、代替拠点、復旧訓練の実測結果が非公表
事業内容と人間への貢献
高島屋の価値は、百貨店で商品を並べることだけではありません。個人客には店舗・オンラインで食品、衣料品、生活用品、贈答品などを提供し、法人事業ではユニフォーム、記念品、EC運営、防災備蓄品などの企画・調達・管理まで行っています。[出典7]
基本情報
株式会社高島屋は1831年創業、1919年設立。本店所在地は大阪市中央区難波5丁目1番5号です。2026年2月期の連結営業収益は4,923億7,000万円、連結営業利益は535億1,600万円。国内11百貨店、海外4百貨店を展開しています。採用サイトでは2026年2月末時点の単体従業員数を6,611人、連結10,556人としています。[出典1]
有価証券報告書でいう「就業人員」は単体3,463人、連結6,518人で、臨時従業員の年間平均雇用人員は別に記載されています。採用サイトの「従業員数」と法定開示の「就業人員」は定義が異なるため、同じ数字として比較しません。[出典4]
主な事業内容
・国内百貨店
・通信販売、オンラインストア
・法人向けの商品・サービス調達
・ユニフォーム、ノベルティ、記念品の企画・管理
・企業向け防災備蓄品、衛生用品、使用期限管理
・グループを通じた商業開発、金融、海外百貨店など
法人事業では、防災備蓄品について水・食料・救急用品・発電機などの手配だけでなく、使用期限管理システムまで提供しています。企業の担当者が「どこに何が何個あるか」「いつ交換すべきか」を把握しやすくなるため、災害時に必要な物資が期限切れだったという失敗を減らせます。[出典7・8]
事業による人間への貢献
百貨店は、多数のメーカーやブランドの商品を一つの場所で比較し、販売員の説明を受けながら購入できる場です。高島屋は店舗だけでなくオンラインストアも持つため、来店できない人にも商品を届けられます。
また、バリアフリーアクセスルート、車いす対応、ユニバーサルマナー研修を進め、2026年2月時点で国内百貨店従業員のユニバーサル関連資格取得率は28.3%です。災害時の障がい者避難誘導を想定した訓練も実施しています。高齢者や障がいのある人が店舗を利用しやすくなることは、買い物への参加機会そのものを広げます。[出典9]
Safety|34/50
高島屋のSafetyは、残業・休暇・育児支援・人権制度・品質管理に強みがあります。一方、男女賃金差と労災129件は明確な課題です。制度が充実していることと、事故や待遇差が残っていることを相殺せず、別々に採点します。
賃金・利益の還元|6/10
2026年2月期の有価証券報告書では、提出会社の平均年間給与は792万円で、賞与と基準外賃金を含みます。平均勤続年数は25.3年です。[出典4]
平均給与を法定開示しているため、賃金水準を外部から確認できる点を評価します。一方、平均値だけでは販売職、バイヤー、管理職、短時間勤務者などの分布は分かりません。賃金中央値、職種・等級別給与、既存社員のベースアップ率、利益増加時に従業員へどの程度還元したかについて十分な公開情報がありません。
そのため6/10点です。賃金中央値、職種・等級・雇用区分別の給与、毎年のベースアップ率まで公開し、高い水準が広い従業員層で確認できれば8点以上を検討できます。
労働時間・休息|8/10
2026年2月時点の月平均残業時間は5.7時間、年間休日122日、年間総労働時間1,806時間です。2025年12月時点の有給休暇取得日数は13.7日、取得率63.7%です。[出典1]
月5.7時間の残業であれば、単純平均では1勤務日あたりの残業は短く、仕事以外の時間を確保しやすい水準です。年間休日122日も、週2日程度の休日に祝日などを加えた水準に近く、休息を取りやすい制度になっています。
一方、有給取得率63.7%には改善余地があります。口コミでも繁忙期の残業や一部の育児勤務者の残業負荷が指摘されています。会社平均が低くても、店舗・職種・時期によって負荷が集中している可能性を確認する必要があります。
そのため8/10点です。有給取得率80%以上を継続し、職種・店舗別の残業分布や長時間労働者数まで公開し、負荷の偏りが小さいことを確認できれば10点を検討できます。
雇用の安定・待遇の公平性|3/5
平均勤続年数25.3年、2024年度の高島屋単体の離職率2.0%、女性管理職比率34.8%は、長期雇用と女性登用の面で評価できます。洛西店は2026年8月3日に閉店しましたが、報道では従業員75人を原則として社内配置転換するとされています。[出典1・5・10]
一方、2026年2月期の男女賃金比率は全労働者59.9%、正規雇用労働者61.6%、パート・有期58.8%です。この数字は同じ仕事をする男女に異なる賃金を払っていることを直接示すものではなく、役職、職種、勤続、勤務時間などの構成差でも変わります。しかし正規雇用で61.6%という差がある以上、管理職登用や職種配置を含む構造的な差を縮める必要があります。[出典4]
そのため3/5点です。等級・職種・勤続年数を調整した賃金差、昇進率、管理職候補層の男女比を公開し、正規雇用の総合賃金比率も継続して改善すれば4~5点を検討できます。
福利厚生・育児・介護|5/5
2026年2月時点の育休取得率は男性100%、女性100%。2026年3月時点の育児勤務制度利用者は219人です。[出典1]
高島屋は育児休職、短時間勤務、学校行事休暇などを設け、繁忙期の日曜・祝日には一時的な社内保育も実施しています。2025年度は7店舗で実施し、延べ254人の子どもが利用しました。介護についても、対象家族1人につき通算9年まで利用できる介護短時間勤務制度があります。[出典11]
制度だけでなく利用実績まで確認でき、仕事と育児・介護の両立に直接つながるため5/5点とします。
人権・ハラスメント・労使関係|4/5
高島屋は2008年、高島屋労働組合、UAゼンセンの前身組織、国際産業別労組UNIとの4者によるグローバル枠組み協定を締結しました。人権、労働、環境について毎年度労使で活動を検証しています。ハラスメント外部相談窓口も設け、人権デューデリジェンスやカスタマーハラスメント対応研修を進めています。2024年度の高島屋単体の団体労働協約対象割合は81.8%です。[出典5・12]
労働者側を含む検証の仕組みがあるため4/5点です。一方、ハラスメント相談件数、是正件数、人権デューデリジェンスで見つかった問題と改善結果などの定量的な公開は限定的です。これらを継続公開し、改善結果まで確認できれば5点を検討できます。
労働安全・健康|4/10
2024年度の労働災害件数は高島屋単体129件でした。2023年度の134件から5件減っていますが、2020年度は103件であり、長期的に一貫して減少しているとは言えません。連結のストレスチェック回答率は2024年度98.5%です。[出典5]
安全衛生の仕組みや健康管理を行っていることは評価できます。しかし、129件のうち死亡、休業、軽微事故がそれぞれ何件なのか、度数率・強度率、転倒・切創などの原因別件数、再発防止後に何件減ったのかが外部から分かりません。
そのため4/10点です。死亡・重大・休業・軽微事故を分け、度数率・強度率、事故原因、店舗別傾向、翌年度の改善結果まで公開し、重大事故が低水準で事故件数も継続減少すれば6~8点を検討できます。
商品・サービスの安全|4/5
高島屋は東西に検査室を設置して専任スタッフを配置し、新規取引先について製造工程や品質管理体制を事前確認しています。食品事業者にはHACCP対応の説明・資料提供も行い、蛍光X線分析装置やマイクロスコープなどを検査に使っています。2026年6月版の食品・食堂、繊維・雑貨日用品向け品質管理規則も公開しています。[出典2・3]
一方、2023年にはオンラインストアで販売した冷凍クリスマスケーキ2,879個のうち807件の破損が確認されました。高島屋は原因を特定できなかったものの、製造から配送まで販売者として全責任を負うと表明し、返金・交換と管理体制改善を行いました。[出典13]
大規模な品質問題を自ら公表し補償した点は評価しますが、原因を特定できなかった事実は残ります。そのため4/5点です。重大品質事故の発生件数、取引先監査結果、再発防止後の不良率まで継続公開し、低い事故水準が確認できれば5点を検討できます。
従業員・元従業員の口コミ
Indeedでは総合評価3.6/5、勤務時間と残業3.8、給与と福利厚生3.9となっています。2025年12月の販売職投稿には「シフト制で繁忙期は忙しく残業もあります。」という記述があります。[出典14]
転職会議では投稿者集計の平均残業時間11.4時間/月、有給消化率68.2%です。2026年8月の50代女性正社員・マーチャンダイザー/バイヤー・課長クラスの投稿では、社内託児や女性管理職登用を評価する一方、「育児勤務の方の残業が特に多く、問題になっている。」としています。[出典15]
口コミは個人経験であり会社全体の事実として扱いません。ただし、公式平均5.7時間より口コミ集計11.4時間が高いことや、育児勤務者の一部に負担を指摘する投稿があることから、全社平均だけでなく職種・店舗・勤務制度別の分布を公開する必要があります。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイなどについて、高島屋の残業、退職、ハラスメント、AI・省人化、人員削減などを確認しました。現在の株式会社高島屋の直接雇用者だと具体的に確認でき、採点を変更するだけの信頼性を持つ投稿は確認できませんでした。
検索で見つかる匿名掲示板には百貨店全般の閉店議論や、高島屋施設で働く委託先とみられる投稿などがありますが、株式会社高島屋の直接雇用者の現在の実態とは確認できないため、採点根拠にはしていません。
Innovation|14/25
高島屋は2026年度方針で、DX・AIを使って定型業務を自動化し、時間を生み出すことを明確に掲げています。方向性は人手不足への対応として合理的ですが、企業審査では「AIを導入した」ことではなく、その結果として何時間の仕事が減り、働く人へ何が返ったかを重視します。
作業負担・危険の削減|4/10
2026年度の経営方針では、労働人口減少と人手不足を背景に「DX・AI活用を通じて、定型業務の自動化による時間創出」を進めるとしています。[出典6]
定型入力や照合作業などをAI・システムへ移せば、従業員が単純反復作業に使う時間を減らし、接客や企画へ時間を振り向けられます。しかし、どの業務を何時間削減したか、何人分の工数が減ったか、ミスや身体負荷がどれだけ減ったかについて対象会社単体の実績値は公開されていません。
そのため4/10点です。導入前後の作業時間、処理件数、必要人数、ミス率、残業時間を公開し、実際に大きな負担削減が確認できれば6~8点を検討できます。
商品・サービスの改善|4/5
高島屋はタカシマヤアプリ、オンラインストア、デジタルを使った商品提案、次世代型SCなどを進めています。店舗ではバリアフリーアクセスやユニバーサル対応も進めています。[出典6・9]
利用者は店舗だけでなくデジタルから商品・サービスへアクセスでき、身体的な制約がある人への店舗利用支援もあります。商品販売とデジタル接点を組み合わせているため4/5点です。
一方、デジタル施策によって待ち時間が何分減った、問い合わせが何件減った、利用者満足度が何ポイント上がったという成果数字は十分公開されていません。継続的な利用成果まで確認できれば5点を検討できます。
改善成果の人間への還元|2/5
2026年度の方針では、DX・AIによる時間創出と同時に、働きがい・エンゲージメントを高め、人的資本経営を強化するとしています。生産性向上を人へ返す方向性は確認できます。[出典6]
しかし、AIによって年間何時間削減し、その結果として残業が何時間減った、休日が増えた、賃金が上がったという因果関係のある実績は公開されていません。計画と成果は分けて評価する必要があります。
そのため2/5点です。DX導入前後の削減時間と、残業・賃金・休日・配置転換を同じ時系列で公表し、人への還元が確認できれば3~4点を検討できます。
継続的な研究開発・現場改善|4/5
高島屋は中期経営計画で仕事変革とデジタル活用を継続テーマとし、顧客接点、店舗、EC、AI・DXを横断して改善を続けています。品質管理規則も2026年6月に更新しており、サービスと品質管理の両面で改善を継続しています。[出典2・6]
単発導入ではなく継続方針が確認できるため4/5点です。百貨店は研究開発企業ではなく、改善効果の数値も十分ではないため満点にはしていません。改善件数、削減工数、顧客満足、事故削減を継続して数値化できれば5点を検討できます。
自動化・AI導入後の雇用状況
現時点で、DX・AI導入を理由に株式会社高島屋が大規模な人員削減を行ったと確認できる公開情報はありません。2026年8月に閉店した洛西店は収益性と老朽設備への投資回収が難しいことが理由で、AI導入による閉店とは説明されていません。洛西店の従業員75人については、報道で原則として社内配置転換するとされています。[出典10・16]
したがって、店舗閉鎖とAIを因果関係があるようには扱いません。一方、定型業務自動化を進める以上、導入前後の従業員数、採用数、契約更新、外注化、配置転換、再教育、退職者数を公開し、人員削減ではなく負担軽減や高付加価値業務への転換につながったことを確認できるようにしてほしいところです。
Protection|13/25
高島屋はリスク管理、情報セキュリティ、店舗の防災訓練、災害募金など一定の備えを持っています。一方、巨大地震やサイバー攻撃で店舗・EC・物流が止まった場合に「何時間で戻るか」という定量的な復旧力は見えにくく、Protectionの大きな弱点です。
災害への備え・訓練|3/5
高島屋はグループのリスクマネジメント体制を設け、店舗では障がい者の避難誘導を想定した防災訓練などを実施しています。[出典9・17]
例えば大地震でエレベーターが止まり、車いす利用者が通常ルートで避難できなくなった場合、従業員が日頃から誘導方法を訓練していれば避難の混乱を減らせます。
そのため3/5点です。一方、全店舗で年何回訓練したか、参加率、訓練で判明した課題、改善後の避難時間などは十分公開されていません。全店共通KPIと実測結果を公開できれば4~5点を検討できます。
生産・物流・調達の代替|2/5
高島屋は複数の国内店舗とオンラインストアを持つため、一つの店舗が休業しても別店舗・ECという販売チャネルがあります。洛西店閉店後も2026年9月1日に隣接施設へ「タカシマヤローズショップ洛西」を開設し、食料品やギフトの一部提供を継続しました。[出典18]
一方、2026年7月の熊本地震では交通規制などの影響でオンラインストアの配送遅延が発生し、クール品や賞味期限の短い商品の注文を断る場合があると案内しました。外部物流が止まれば販売チャネルがあっても商品は届きません。[出典19]
そのため2/5点です。主要物流拠点や配送会社が止まった場合の代替物流、代替仕入先、切替所要時間、代替可能量を実地訓練で示せれば3~4点を検討できます。
サイバー防衛・情報保護|4/5
高島屋グループは2025年7月に情報セキュリティ基本方針を策定し、情報資産の機密性・完全性・可用性、定期的なリスク評価、従業員教育、専門の第三者機関による定期アセスメント、インシデント時の報告・初動手順を明記しています。[出典20]
ECや顧客情報を扱う百貨店では、サイバー攻撃で会員情報や決済関連情報が漏えいしたり、オンライン注文が止まったりするリスクがあります。第三者評価と継続教育を制度化していることは、利用者情報とサービス継続を守る仕組みとして評価できます。
そのため4/5点です。MFA・EDRの適用率、フィッシング訓練結果、重大インシデント件数、バックアップ復元訓練時間など実装成果を公開できれば5点を検討できます。
事業継続・復旧|1/5
リスク管理体制や危機対応手順は確認できますが、店舗・本社・EC基幹システム・物流拠点が停止した場合の目標復旧時間RTO、目標復旧時点RPO、代替拠点、実地復旧訓練の時間について具体的な公開情報がありません。[出典17・20]
例えばオンラインストアがサイバー攻撃で停止した場合、バックアップがあるだけでは利用者は買い物を再開できません。「何時間で注文受付を再開し、どこまでのデータを戻せるか」が重要です。
そのため1/5点です。主要業務ごとのRTO・RPOを設定し、年次訓練で実測した復旧時間を公開できれば3点以上を検討できます。
危機時の市民への対応|3/5
2026年7月の熊本地震を受け、高島屋グループは店頭とWebで募金を実施しました。2026年9月10日の公表では、店頭・Web募金と高島屋・東神開発の企業寄付を合わせて600万円を日本赤十字社へ2026年10月7日に寄付する予定としています。10月3日時点では寄付完了予定日前のため、「寄付済み」とは扱いません。[出典21]
Web募金だけでも208万6,000円、716件の参加があり、百貨店の顧客接点を被災地支援へつなげています。[出典22]
そのため3/5点です。一方、自社の物資・店舗・物流を使って災害時に何人へ何日分の物資を届けたかという直接支援の定量実績は十分公開されていません。店舗開放、物資供給、自治体協定と実績まで確認できれば4~5点を検討できます。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の前向きな動きでは、働く時間の短さと育児支援、DX・AIで定型作業を減らす方針、閉店地域でのサテライト店舗継続、熊本地震支援を評価します。こうした行動が続けば、百貨店を利用することが、働く人の時間確保や地域サービスの維持、災害支援を支えることにつながります。
2026年 月平均残業5.7時間・育休男女100%を公表(Safety)
2026年2月時点で月平均残業5.7時間、年間休日122日、育休取得率は男女とも100%です。育児勤務制度利用者も219人います。[出典1]
制度名だけでなく利用実績まで出しており、働く人が育児のために仕事を辞めずに済む可能性を高めます。一方、口コミで育児勤務者の残業負荷を指摘する声もあるため、制度利用者の残業時間まで公開すれば実態をさらに確認できます。
2026年 DX・AIで定型業務を自動化し時間を生み出す方針(Innovation)
2026年度方針では、人手不足への対応としてDX・AIを活用し、定型業務を自動化して時間を生み出すことを掲げています。[出典6]
人が入力・照合などの反復作業に使う時間を減らし、その時間を接客・企画・教育や休息へ回せれば、人手不足と働きやすさを同時に改善できます。今後は「何時間減ったか」と「その時間を何に返したか」の実績公開が必要です。
2026年9月 洛西にサテライトショップを開設(Protection)
洛西店は2026年8月3日に営業を終了しましたが、高島屋は9月1日に隣接施設へタカシマヤローズショップ洛西を開設し、食料品やギフトの一部サービスを継続しました。[出典18]
フルサイズの百貨店と同じサービスではありませんが、地域から完全撤退せず、小規模な接点を残したことは、地域利用者の不便を減らす対応として評価できます。
2026年 熊本地震支援で総額600万円を寄付予定(Protection)
高島屋グループは店頭・Web募金を実施し、企業寄付と合わせた600万円を日本赤十字社へ2026年10月7日に寄付する予定です。[出典21]
顧客が店頭やWebから支援へ参加できる仕組みを提供し、企業自身も資金を加えることで、百貨店の顧客基盤を被災地支援へつなげています。
悪いニュース・問題となった動き
課題では、男女賃金差、労災129件、洛西店閉店、過去の大規模なケーキ破損事故を重く見ます。働き方や商品安全の制度が整っていても、実際の格差や事故が残れば利用者の支出がその状態を支えることにもなるため、改善実績まで確認する必要があります。
2026年開示 正規雇用の男女賃金比率61.6%(Safety)
2026年2月期の法定開示では、女性の賃金は男性を100とした場合、全労働者59.9%、正規雇用61.6%、非正規58.8%です。[出典4]
同一職務の男女に異なる賃金を支払っていることを直接示す数字ではありませんが、職位や職種の構成を含む組織全体の結果として差が大きいことは事実です。女性管理職比率34.8%まで進んでいるからこそ、役職・等級別の差を公開し、総合比率も縮める必要があります。
2024年度 労働災害129件(Safety)
2024年度の高島屋単体の労働災害は129件でした。前年134件からは減りましたが、2020年度103件より多い状態です。[出典5]
事故を減らせば、販売・物流・バックヤードなどで働く人がけがをせず生活を続けられます。重大度別件数と事故原因を公開し、対策後にどれだけ減ったかまで追える状態が必要です。
2026年8月 高島屋洛西店が営業終了(Protection・Safety)
洛西店は2024年度に営業赤字となり、黒字化の見通しと老朽施設への投資回収が難しいとして、2026年8月3日に営業を終了しました。2025年2月末時点の従業員は75人でした。[出典10]
地域住民にとっては売場とサービスの縮小となります。一方、サテライトショップを残し、報道では従業員を原則社内配置転換するとされているため、完全撤退・大量解雇とは区別して評価します。
2023年 クリスマスケーキ2,879個中807件が破損(Safety)
オンラインストアで販売した冷凍クリスマスケーキ2,879個のうち807件で破損が確認されました。高島屋は製造委託先・配送委託先を調査しましたが明確な原因を特定できず、販売者として責任を負い、返金・交換を行いました。[出典13]
品質問題を隠さず責任を認めた対応は評価できますが、原因が特定できなければ同じ問題をどこで防ぐべきかが曖昧になります。現在の品質管理制度が、その後どれだけ事故を減らしたかを数値で示してほしいところです。
総合評価と、これから改善してほしいこと
株式会社高島屋は現在61点・シビックランクCです。次のBランクは70点からなので、あと9点必要です。
月平均残業5.7時間、年間休日122日、男女育休100%、長い平均勤続年数、人権・労使制度、商品品質管理は明確な強みです。一方、正規雇用の男女賃金比率61.6%、労災129件、AI・DXの成果還元、復旧時間の非公表が点数を押し下げています。
男女賃金差の構造を公開し縮めてほしい|雇用の安定・待遇の公平性 3→4/5
現在は3/5点です。女性管理職比率34.8%や長い勤続年数は評価できますが、正規雇用の男女賃金比率61.6%には大きな差があります。
職種・等級・勤続年数・勤務時間をそろえた調整後賃金差を公開し、昇進率や管理職候補層の男女比も示したうえで、正規雇用の総合賃金比率も継続的に改善すれば4/5点を検討できます。
3→4点で+1点、総合61→62点となります。単独ではBに届きませんが、女性が長く働くだけでなく、同じように高い職位・報酬へ進める可能性を高める改善です。
参考企業として、当サイトのSBペイメントサービス株式会社の現行審査は68点・Cで、「雇用の安定・平等」は4/5点です。正規雇用の男女賃金比率は78.2%で、高島屋より差が小さい一方、同社にも女性管理職比率などの課題があります。
労災を重大度別に公開し、事故そのものを減らしてほしい|労働安全・健康 4→8/10
現在は4/10点です。2024年度に129件という件数を公開している点は評価しますが、死亡・重大・休業・軽微の内訳と度数率・強度率がないため、事故の重さを判断できません。
死亡・重大・休業・軽微事故を分け、度数率・強度率、原因、再発防止策を毎年公開し、重大事故が低水準で総件数も継続して減少することが確認できれば8/10点を検討できます。
4→8点で+4点、総合61→65点です。けがや休業を減らすことは、従業員が健康な状態で仕事と生活を続けるための直接的な利益です。
参考企業として、当サイトのアスクル株式会社の現行審査は74点・Bで、「労働安全・健康」は8/10点です。死亡・重篤・軽微事故を区分して公開しており、事故の重さと改善状況を外部から判断しやすい点を評価しています。
DX・AIで生まれた時間を賃金・休日・残業削減へ返してほしい|改善成果の人間への還元 2→4/5
現在は2/5点です。高島屋は定型業務をAI・DXで自動化して時間を生み出す方針を公表していますが、その時間が働く人へどう返ったかという実績がありません。
業務ごとに導入前後の作業時間、必要人数、残業時間を測り、配置転換・再教育の人数とともに公開したうえで、残業削減、年間休日増、賃上げなど複数の成果が確認できれば4/5点を検討できます。
2→4点で+2点、総合61→63点です。AIの目的を人員削減ではなく、人が単純作業から離れ、自由時間や報酬を得ることへつなげる改善です。
参考企業のキリングループロジスティクス株式会社は、当サイトの現行審査で65点・C、Innovation 20/25点、「改善成果の人間への還元」3/5点です。業務改善・多能工化を背景に年間所定労働時間を1,920時間から1,896時間へ24時間短縮しており、効率化を人の時間へ返した具体例です。
RTO・RPOと復旧訓練の実測値を公開してほしい|事業継続・復旧 1→3/5
現在は1/5点です。リスク管理や情報セキュリティ方針はありますが、店舗、本社、EC、物流システムが停止したときの目標復旧時間と訓練実績が公開されていません。
主要業務ごとにRTO・RPO、代替拠点、手動運用、バックアップ復元手順を設定し、年1回以上の復旧訓練で「何時間で戻せたか」を測り、結果を公開できれば3/5点を検討できます。
1→3点で+2点、総合61→63点です。大規模災害やランサムウェアが起きても、利用者が早く買い物を再開でき、取引先も販売を続けやすくなります。
参考企業のキリングループロジスティクス株式会社は、当サイトの現行審査で「事業継続・復旧」4/5点、「生産・物流・調達の代替性」5/5点です。トラック・鉄道・内航海運を平時から併用し、鉄道障害時のバックアップ輸送協定も持っています。
次のBランクへ上がるための具体例
現在61点・Cで、Bは70点からです。あと9点必要です。
・雇用の安定・待遇の公平性 3→4点:+1点
・労働安全・健康 4→8点:+4点
・改善成果の人間への還元 2→4点:+2点
・事業継続・復旧 1→3点:+2点
この4項目をすべて満たせば合計+9点となり、総合70点・シビックランクBに到達します。
点数を上げるために数字を公開するのではなく、男女のキャリア差が縮まる、事故でけがをする人が減る、AIで生まれた時間が従業員へ返る、災害やサイバー攻撃から早く復旧できるという実態が先に改善し、その結果として点数が上がることが重要です。
出典一覧
1.株式会社高島屋「データで見る高島屋」2026年
2.株式会社高島屋「品質管理規則」2026年6月版
3.株式会社高島屋「ステークホルダーに対する取り組み/品質管理」
4.株式会社高島屋 2026年2月期有価証券報告書・人的資本開示
5.高島屋グループ「統合報告書2025」社会データ
6.株式会社高島屋「2026年2月期決算短信」「第160回定時株主総会招集ご通知」
7.高島屋法人事業部「事業内容のご案内」
8.高島屋法人事業部「防災対策」
9.株式会社高島屋「施設・サービスユニバーサル化」
10.株式会社高島屋「高島屋洛西店の営業終了に関するお知らせ」2025年10月14日
11.株式会社高島屋「働き方改革推進/育児・介護支援」
12.株式会社高島屋「グローバル枠組み協定」「人権を尊重する経営の実践」
13.株式会社高島屋「弊社にて販売した冷凍クリスマスケーキの破損について」2023年12月27日
14.Indeed「株式会社高島屋の社員クチコミ・評判」
15.転職会議「高島屋の評判・社員口コミ」
16.共同通信「高島屋洛西店の従業員配置転換に関する報道」
17.株式会社高島屋「リスクマネジメント」
18.株式会社高島屋「タカシマヤローズショップ洛西」2026年5月29日
19.高島屋オンラインストア「令和8年熊本地震の影響による配送遅延について」2026年7月29日
20.高島屋グループ「情報セキュリティ基本方針」2025年7月策定
21.株式会社高島屋「令和8年熊本地震被災地支援募金 寄付のお知らせ」2026年9月10日
22.高島屋クラウドファンディング「令和8年熊本地震被災地支援募金」
シビックランクの基準
| シビックランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
株式会社高島屋は61点のため、今回の評価はシビックランクCです。
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、記名取材など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
情報ランクは情報の出どころと検証状態を示すもので、企業の良し悪しを評価する総合シビックランクとは別です。Sは独立した第三者の裏づけがあるため最も強い根拠として扱います。AとBは単純な上下関係ではなく、公表情報と現場側情報という性質の違いです。
