私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
今回審査する日本山村硝子株式会社は、総合52点、シビックランクDです。
日本山村硝子の特に強い点は、飲料・食品に使われる容器の安全管理です。ガラスびんは検査機と認定作業員の両方で全数検査し、食品用のガラスびん・プラスチック容器を製造する工場ではFSSC22000認証を取得しています。さらに、2026年3月期の単体平均年間給与は693万1,805円で、前年より4.1%増えています。[出典2・5・6]
そのため、日本山村硝子の容器を採用した商品が選ばれれば、食品や飲料の安全を守る品質管理に加え、高温設備の周辺作業を自動化するなど、人の危険や負担を減らす製造技術が続きやすくなります。容器の品質と、工場で働く人の安全の両方に強い社会になる可能性が高まります。
一方で、改善点として、製造会社として重要な死亡災害、休業災害、度数率などの最新単体KPIが公表されていないことが残ります。2025年度の男性育児休業取得率も18.2%で、自社目標の85%以上から大きく離れています。安全対策や育児制度が実際にどこまで成果につながっているのかを、外部から比較できる形で示す必要があります。[出典2・4]
この記事では、日本山村硝子株式会社の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
日本山村硝子株式会社の企業審査結果
日本山村硝子は、製品品質と研究開発では強い企業です。働く人についても平均給与の上昇、長い平均勤続年数、労働組合、安全衛生活動を確認できます。一方、育児支援の利用実績、最新の労災結果、自動化の人間への還元、工場停止時の代替能力・復旧時間の情報公開が点数を抑えました。
| 評価軸 | 得点 | 主な評価 |
|---|---|---|
| Safety | 30/50 | 平均年収693万円、残業・有休実績、労組、品質認証・全数検査を評価。男性育休18.2%、女性管理職6.1%、最新単体労災KPI非公表が課題 |
| Innovation | 14/25 | 成形・搬送・給油などの自動化設備、容器改善、新素材・半導体・CCU研究を評価。自動化後の残業・人数・賃金・休日への還元が非公表 |
| Protection | 8/25 | 各工場の防災・緊急事態訓練と情報セキュリティ体制を評価。代替生産能力、サイバー訓練結果、復旧時間、市民支援の開示が弱い |
| 総合 | 52/100 | シビックランクD |
主な強み
・単体平均年間給与693万1,805円、前年比4.1%増
・ガラスびん・食品用プラスチック容器でFSSC22000認証
・検査機と認定作業員によるガラスびんの全数検査
・成形機、搬送、パレタイザー、自動給油などの自動化技術
・水素燃焼、CCU、半導体用ガラスセラミックス、医療機器など研究開発を継続
・各工場で防災・環境緊急事態訓練を実施
主な課題
・男性育児休業取得率18.2%
・女性管理職比率6.1%
・単体の最新労災件数、死亡災害、休業災害、度数率の公開情報がない
・製造現場の暑さを指摘する従業員口コミがある
・自動化後に残業、危険作業、必要人数、賃金、休日がどう変わったか公開情報がない
・工場停止時の代替生産能力、復旧目標時間、サイバー復元訓練の結果が非公表
事業内容と人間への貢献
日本山村硝子は、生活の中で直接社名を見る機会は多くありませんが、飲料や食品を安全に保存し、運び、店頭まで届けるための容器をつくっています。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 日本山村硝子株式会社 |
| 英文名 | Nihon Yamamura Glass Co., Ltd. |
| 創業 | 1914年 |
| 代表者 | 代表取締役 社長執行役員 山村 昇 |
| 本社 | 兵庫県尼崎市 |
| 資本金 | 約140億円 |
| 単体従業員数 | 773人、2026年3月末 |
| 平均年齢 | 44.8歳 |
| 平均勤続年数 | 21.2年 |
| 単体売上高 | 473億9,300万円、2026年3月期 |
| 主な事業 | ガラスびん、プラスチック容器・キャップ、ニューガラス、製造設備・プラント |
情報ランク:A。[出典1・2]
ガラスびんとプラスチック容器
ガラスびんは、飲料、食品、調味料、酒類などを外気や異物から守り、製造後から消費されるまで品質を保つ役割があります。
同社はガラスびんで国内約40%のシェアを持つと公表しています。東京、埼玉、播磨にガラスびん工場を持ち、プラスチック事業では関西・宇都宮の工場でPETボトル関連製品やキャップ等を製造しています。[出典1・3]
容器を検査し、異常品を市場へ出さない
ガラスびんは成形後、検査機による検査に加え、認定を受けた作業員が目視確認し、全数を検査します。
びんは中身を直接入れる容器なので、割れ、欠け、異物、寸法異常などがあれば利用者のけがや商品の品質問題につながります。全数検査は、不良品が食品・飲料メーカーや消費者へ届く可能性を下げる具体的な安全工程です。[出典6]
容器製造設備も自社開発する
エンジニアリング事業では、ガラスびん成形機、デパレタイザー、パレタイザー、搬送設備、洗浄・充填設備などを扱っています。
MSRと呼ばれるロボット式自動給油装置では、成形機の金型へ人が行っていた給油工程の自動化を進めています。人が高温設備へ接近する作業や反復作業を減らす方向として評価できます。[出典11]
ガラス技術を半導体・医療・環境分野へ広げる
ニューガラス分野では、電子材料、半導体関連材料、ガラスペーストなどを開発しています。
2025年には医療機器分野への参入を進め、2026年には先端半導体向けガラスセラミック基板の国際共同開発や、CO2を回収・資源化するCCU技術の研究を発表しました。容器製造で蓄積したガラス技術を別分野へ展開しています。[出典12・13・14]
Safety 30/50
Safetyでは、平均給与や制度だけでなく、工場で実際に安全に働けるか、十分に休めるか、育児との両立が進んでいるか、容器を安全に利用できるかを確認しました。
日本山村硝子は給与、長期勤続、労組、品質管理では評価できます。一方、男性育休、女性管理職、最新の会社単体労災KPIに改善余地があります。
賃金・利益の還元:6/10
2026年3月期の単体平均年間給与は693万1,805円で、前年から4.1%増加しました。平均年齢44.8歳、平均勤続年数21.2年です。[出典2]
平均給与が実際に前年より増えているため加点します。
一方、平均給与には賞与や時間外手当なども含まれます。既存社員の基本給を何%引き上げたのか、工場勤務者や若年層の中央値、非正規を含む賃金改善、利益増加分をどれだけ従業員へ還元したかまでは公表されていません。
そのため6/10点です。固定給の引上げ率、職種・雇用区分別の賃金推移、利益配分まで確認できれば8点以上を検討できます。
情報ランク:A。
労働時間・休息:6/10
会社公式の女性活躍推進情報では、2023年度の平均残業時間は月10.7時間、有給休暇取得率は66.9%です。現在の行動計画では、有給休暇取得率を全社平均65%以上、各部署60%以上とする目標を掲げています。[出典3・4]
現在の求人でも、埼玉工場の設備保全職は月平均残業10時間・年間休日126日、東京工場の求人は月平均残業5時間・年間休日126日とされており、一部職種では残業が比較的短く抑えられています。[出典17]
一方、3交替勤務の製造職では年間休日115日という求人もあり、勤務体系によって休日数が異なります。
また、2024年度・2025年度の会社単体平均残業時間と有休取得率の最新値は、今回確認した公開情報では更新値を確認できませんでした。
実績が確認できるものの最新性と職種差に課題があるため6/10点です。最新の全社平均残業、有休取得率、総実労働時間を毎年公開し、残業10時間前後・有休70%以上などが継続して確認できれば8点を検討できます。
情報ランク:A。
雇用の安定・待遇の公平性:3/5
平均勤続年数は21.2年で、長く働く社員が多いことが確認できます。
日本山村硝子労働組合には609人が加入しており、会社は労使関係を安定していると説明しています。[出典2]
一方、女性管理職比率は6.1%です。男女の賃金比率は全労働者80.1%、正規雇用82.6%、非正規等70.8%です。[出典2]
男女賃金比率は、同じ仕事をする男女へ異なる賃金を払っていることを直接示す数値ではありません。しかし、管理職への登用や職種構成を含め、男女のキャリア構造に差が残っていることは確認できます。
長期勤続と労組を評価しつつ、管理職構成と賃金差に改善余地があるため3/5点です。
情報ランク:A。
福利厚生・育児・介護:3/5
テレワーク、コアタイムなしのスーパーフレックス、育児休業、育児短時間勤務などを整備しています。育児休業は子どもが3歳になるまで利用でき、休業前後には上司との面談も行います。[出典3]
一方、2025年度の男性育児休業取得率は18.2%です。会社は2025~2030年の行動計画で、男性の育児休業または育児目的休暇の取得率85%以上を目標にしています。[出典2・4]
制度はあるものの、現在の男性取得実績は自社目標と大きく離れています。
そのため3/5点です。男性取得率を85%以上へ引き上げ、育休取得後の復職率や介護休業利用実績まで継続公開できれば4~5点を検討できます。
情報ランク:A。
人権・ハラスメント・労使関係:3/5
山村グループ人権方針を策定し、ハラスメント防止、内部通報制度、各事業所のハラスメント相談員などを設けています。
内部通報窓口は正社員だけでなく契約社員や派遣社員も利用でき、コンプライアンス監査も実施しています。[出典7・8]
一方、日本山村硝子単体のハラスメント相談件数、認定件数、是正件数、内部通報件数、再発率などの結果情報は公表されていません。
制度と窓口は確認できるため3/5点です。相談から是正までの実績と再発防止結果が公開されれば4点以上を検討できます。
情報ランク:A。
労働安全・健康:4/10
製造業では、高温設備、ガラス、搬送設備、フォークリフト、重量物、交替勤務などへの安全管理が重要です。
会社は、労働災害や通勤災害を全社員へ共有し、KYT、リスクアセスメント、ヒヤリハット、安全衛生委員会、安全パトロールなどを実施しています。[出典3]
一方、最新の日本山村硝子単体について、死亡災害件数、休業災害件数、度数率、強度率などを年度比較できる公開情報がありません。こうした重要情報が公開されていない点は課題であり、採点上も減点対象です。
Indeedでは播磨工場の製造職経験者から「製造現場は高温多湿で季節問わず暑い」という投稿があり、別の投稿では熱中症対策を積極的に実施しているとの記述もあります。口コミは個人の経験ですが、高温作業が安全上の確認事項であることを示す補助情報になります。[出典16]
制度と対策は確認できますが、事故結果を外部から比較できず、製造現場の暑熱負荷も確認されるため4/10点です。
死亡0、重度0、休業災害件数、度数率、熱中症件数などを単体で公開し、改善が継続して確認できれば6~8点を検討できます。
情報ランク:A・B。
商品・サービスの安全:5/5
ガラスびんの東京・埼玉・播磨工場と、食品用プラスチック容器を製造する関西・宇都宮工場ではFSSC22000 Version 6の認証を確認できます。ガラスびん・プラスチック事業ではISO9001も取得しています。[出典5]
ガラスびんでは、検査機と認定作業員による全数検査を行っています。[出典6]
食品や飲料へ直接触れる容器では、不良品を工程内で取り除くことが利用者のけがや異物混入、内容物の漏れを防ぐことにつながります。
品質マネジメント、食品安全認証、全数検査という複数の仕組みを実製造へ適用しているため5/5点です。
情報ランク:A。
従業員・元従業員の口コミ
Indeedでは日本山村硝子の口コミ件数自体が多くなく、職場全体を代表する統計にはできません。
播磨工場の製造職経験者からは、高温環境について「製造現場は高温多湿で季節問わず暑い」という投稿があります。
別の製造職投稿では、3交替勤務で休憩が短くなる場合があることを指摘する一方、「熱中症対策も積極的に実施しています」と書かれています。[出典16]
品質管理系の投稿には職場の人間関係を肯定的に見る内容もあります。
口コミから分かるのは、製造現場では暑熱と交替勤務が重要な労働条件である一方、職場や職種によって体験が異なるということです。会社全体の事実には一般化しません。
情報ランク:B。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイについて、「日本山村硝子」「山村硝子」「工場」「残業」「給料」「暑い」「労災」「退職」「自動化」などを組み合わせて確認しました。
今回の検索範囲では、2026年時点の日本山村硝子社員・元社員だと確認でき、勤務拠点や時期まで特定したうえで採点へ使える投稿本文は確認できませんでした。
投稿が確認できなかったことを「問題がない」という評価には使っていません。
Innovation 14/25
Innovationでは、工場に機械があること自体ではなく、人が担っていた危険・反復・重量作業をどれだけ機械へ移し、その成果を働く人へ返しているかを評価します。
日本山村硝子は設備開発と研究開発には強い一方、自社工場で自動化した結果、残業や事故、必要人数、賃金、休日がどう変わったかという人間側の結果が弱点です。
作業負担・危険の削減:4/10
日本山村硝子は、ガラスびん成形機、デパレタイザー、パレタイザー、搬送設備、洗浄・充填ラインなどを開発しています。
ロボット式自動給油装置MSRでは、成形機の金型に対する給油作業を自動化しています。高温な成形設備へ人が接近する作業を機械へ移す方向は、作業負担と危険を減らす取り組みです。[出典11]
一方、自社工場で導入した設備について、導入前後で人の作業時間が何時間減ったのか、高温設備への接近回数が何回減ったのか、事故やヒヤリハットが何件減ったのかという公開情報がありません。
技術自体は具体的ですが、人への効果を定量確認できないため4/10点です。
削減時間、作業回数、重量、事故、必要人員を導入前後で公開できれば6~8点を検討できます。
情報ランク:A。
商品・サービスの改善:5/5
容器分野では、品質検査の高度化に加え、PETボトルキャップを同じ用途へ戻す水平リサイクルなど、資源循環を含む商品改善を進めています。
ニューガラスでは半導体、電子材料、医療分野へ展開し、ガラス製造では水素燃焼による低炭素化の実証にも成功しています。[出典12・15]
既存の容器を改善するだけでなく、異なる産業へガラス技術を応用する開発が継続しているため5/5点です。
情報ランク:A。
改善成果の人間への還元:0/5
自動化・省人化設備の開発と導入は確認できます。
しかし、自動化によって日本山村硝子社員の残業が何時間減ったのか、休日が増えたのか、賃金へ還元されたのか、危険作業が何件減ったのか、人員をどのように再配置したのかについて公開情報がありません。
こうした重要情報が公開されていない点は課題であり、採点上も減点対象です。
そのため0/5点です。
設備ごとに導入前後の作業時間、必要人数、配置転換、残業、賃金、休日、労災を公開し、実際に複数の人間側指標が改善していれば3~5点を検討できます。
情報ランク:A。重要な成果情報は非公表。
研究開発・現場改善の継続:5/5
同社は研究開発拠点Y-BIRDを持ち、容器だけでなく新材料・新工法の開発を継続しています。[出典12]
2025年には水素燃焼によるガラスびん製造、医療機器分野への参入を進め、2026年には先端半導体向けガラスセラミック基板の共同開発、CO2回収・資源化技術の研究を発表しました。[出典13・14・15]
単年度の実証だけではなく複数分野で継続した研究開発が確認できるため5/5点です。
情報ランク:A。
自動化・AI導入後の雇用状況
2025年3月末の単体従業員数は750人、2026年3月末は773人で、直近1年間では23人増えています。[出典2]
また、工場の設備保全、製造、品質関連の求人も確認できます。[出典17]
このため、少なくとも会社全体の従業員数だけを見れば、自動化と同時期に大幅な人員削減が進んでいる状態ではありません。
ただし、従業員数増加の理由を自動化と結びつけることもできません。自動化した工程の担当人数、配置転換人数、採用抑制、契約終了、退職者数などは公表されていません。
「自動化したが雇用を守った」「自動化で人を減らした」のどちらも、現在の公開情報だけでは断定しません。
Innovation小計:14/25点
Protection 8/25
Protectionでは、地震、火災、設備停止、原料不足、サイバー攻撃などが起きた場合に、容器供給をどこまで維持し、早く復旧できるかを確認します。
日本山村硝子は工場訓練と危機管理体制は確認できますが、「一つの工場が止まったら他工場がどれだけ代替できるか」「システムを何時間で戻せるか」という結果情報が弱くなっています。
災害への備え・訓練:4/5
会社は関西本社、東京本社、各事業所で定期的に防災訓練や防災会議を行っています。
災害発生時には事業所ごとに災害対策本部を設置し、必要に応じて社長を本部長とする全社災害対策本部を設置する体制です。[出典9]
さらに各工場では、苛性ソーダ、重油、LNG、排水などの漏えい・異常を想定した環境緊急事態訓練を毎年実施しています。[出典10]
計画だけでなく工場単位の訓練まで確認できるため4/5点です。
一方、訓練で何分で避難・封じ込めできたか、訓練で見つかった問題を何件改善したかなど、結果KPIまでは公表されていないため満点にはしません。
情報ランク:A。
生産・物流・調達の代替:1/5
ガラスびんでは東京、埼玉、播磨の複数工場を持ち、プラスチック事業にも関西・宇都宮の製造拠点があります。[出典3]
しかし、例えば埼玉工場が停止した場合に東京・播磨工場でどの製品を何%代替できるのか、金型や原料をどう移すのか、物流ルートをどこまで切り替えられるのかについて公開情報がありません。
複数工場があるだけで実際に代替生産できると推測して高得点にはしません。
そのため1/5点です。製品別の代替拠点、追加生産能力、切替時間、代替物流、訓練実績まで公表されれば3~5点を検討できます。
情報ランク:A。重要な代替能力情報は非公表。
サイバー防衛・情報保護:2/5
情報セキュリティ方針、情報セキュリティ委員会、社員教育などの管理体制を公表しています。[出典9]
一方、MFA、EDR、SOC、外部侵入テスト、標的型メール訓練、バックアップ分離、復元訓練、インシデント件数などの具体的な技術・成果情報は公開されていません。
基本的な管理体制は確認できるため2/5点です。
訓練頻度、監視体制、第三者テスト、復元実績まで確認できれば3~5点を検討できます。
情報ランク:A。
供給継続・復旧能力:1/5
危機管理体制と複数工場はありますが、主要工場・基幹システムごとのRTO、RPO、代替設備、実際の復旧訓練時間について公開情報がありません。
こうした重要情報が公開されていない点は課題であり、採点上も減点対象です。
容器は飲料・食品の生産に不可欠なので、容器工場が長期間止まれば、内容物を製造できても出荷できない可能性があります。
主要設備・システムごとに復旧目標と訓練結果を示せれば3点以上を検討できます。
情報ランク:A。
危機時の市民への対応:0/5
今回確認した公開情報では、日本山村硝子株式会社単体が自治体と災害時物資供給協定を結び、避難所へ直接物資を供給した実績や、市民へ直接支援を行った現在の制度を確認できませんでした。
工場の防災は事業継続として評価していますが、それを市民支援の実績へ置き換えません。
そのため0/5点です。
自治体との具体的な協定、避難所支援、災害時の物資・施設提供などが確認できれば再評価します。
Protection小計:8/25点
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の前向きな動きでは、容器会社として培ったガラス・材料技術を、脱炭素、半導体、医療へ広げていることが目立ちます。
こうした研究へ売上が回れば、既存製品をつくるだけでなく、人の生活や産業を支える新しい技術を生み出す余地が広がります。
2026年:CO2回収・資源化技術の研究を発表
2026年、日本山村硝子はCO2を回収し、有用物質へ変えるCCU技術の研究成果を発表しました。[出典13]
排出したCO2を単に処分するだけでなく、資源として再利用する方向の研究です。
まだ研究段階を含むため現在の工場排出量削減実績としては加点していませんが、研究開発の継続性として評価しています。
2026年:先端半導体向けガラスセラミック基板を共同開発
2026年には海外企業と先端半導体向けガラスセラミック基板の共同開発を発表しました。[出典14]
半導体の高性能化では、微細配線や熱、寸法安定性などを支える材料技術が重要です。
容器メーカーとして蓄積したガラス技術を、高度な電子材料へ応用している点がInnovationの強みです。
2025年:水素燃焼によるガラスびん製造に成功
2025年には水素を燃料として利用するガラスびん製造の実証に成功しました。[出典15]
ガラス溶融は高温の熱を大量に必要とするため、燃料を低炭素化できれば製造時のCO2排出削減につながります。
技術実証を実際の排出削減量へ結びつけられるかを今後確認する必要があります。
悪いニュース・問題となった動き
直近で大規模回収や重大な行政処分を確認したことよりも、今回の審査では「働く人の結果が十分に見えないこと」が重要な課題になりました。
特に育児、製造現場の安全、自動化後の還元は、制度や技術があるだけではなく、結果を数字で示す必要があります。
男性育児休業取得率18.2%で自社目標85%と大きな差
2025年度の男性育児休業取得率は18.2%です。[出典2]
会社は現在の行動計画で、男性の育児休業・育児目的休暇取得率85%以上を目標にしています。[出典4]
制度が存在しても、実際に男性が利用できなければ、育児負担が一方へ偏りやすくなります。
取得を阻む職場要因を調べ、交替勤務を含む製造現場でも利用しやすくすることが必要です。
最新の単体労災KPIが公表されていない
安全衛生活動は具体的ですが、日本山村硝子単体の最新の死亡災害、休業災害、度数率などを年度比較できる公開情報がありません。
高温設備を扱う製造会社では、事故件数や熱中症の結果はSafetyを判断する重要情報です。
公開情報がない点は課題であり、採点上も減点対象です。
自動化の成果が働く人へどう返ったか公表されていない
成形、搬送、積み付け、給油などの自動化技術を持っています。
しかし、自社工場で自動化後に残業が何時間減ったのか、危険作業が何件減ったのか、休日や賃金へどれだけ還元したのかは公開されていません。
技術力が高い会社だからこそ、人がどれだけ楽になったかまで示すことを期待します。
総合評価と、これから改善してほしいこと
現在は52点・シビックランクDです。
次のCランクは60点からなので、あと8点必要です。
商品安全と研究開発は強い一方、働く人の安全・育児、自動化の還元、工場停止時の代替性を改善・公開できれば、点数は大きく上がります。
労災と暑熱対策の結果を単体で公開する:労働安全・健康 4→6/10
現在の「労働安全・健康」は4/10点です。
KYT、安全衛生委員会、リスクアセスメント、熱中症対策などは確認できますが、最新の死亡災害、休業災害、度数率、熱中症件数が会社単体で公開されていません。
改善条件は、死亡災害、重度・休業災害、度数率、熱中症件数、ヒヤリハットを毎年公開し、暑熱対策・設備改善後に事故や熱中症が減少していることを確認できることです。
その場合、
現在4/10 → 6/10
加点:+2点
総合:52→54点
ランク:Dのまま
を想定できます。
参考企業はアスクル株式会社です。Drive上の最新版審査は74点・Bで、労働安全・健康8/10点。死亡0、重度0、軽度2など事故結果を具体的に公開していることを評価しています。
自動化で浮いた時間を残業・休日・安全へ返す:改善成果の人間への還元 0→3/5
現在の「改善成果の人間への還元」は0/5点です。
自動化設備は豊富ですが、導入後に働く人が何時間楽になったかが公開されていません。
改善条件は、設備導入前後の作業時間、必要人数、配置転換、残業、危険作業、賃金、休日を時系列で公開し、残業削減や危険作業削減など人間側の改善が確認できることです。
その場合、
現在0/5 → 3/5
加点:+3点
総合:52→55点
ランク:Dのまま
を想定できます。
参考企業はキリングループロジスティクス株式会社です。Drive上の最新版審査は65点・C、Innovation20/25点で、業務改善を背景に年間所定労働時間を1,920時間から1,896時間へ24時間短縮した実績を評価しています。
男性育休を自社目標85%以上へ引き上げる:福利厚生・育児・介護 3→4/5
現在の「福利厚生・育児・介護」は3/5点です。
男性育児休業取得率は18.2%で、自社目標85%以上との差が大きく残っています。
交替勤務者を含めて取得計画を立て、代替要員の確保や管理職評価を含む仕組みを整え、85%以上の取得実績を確認できれば、
現在3/5 → 4/5
加点:+1点
総合:52→53点
ランク:Dのまま
を想定できます。
参考企業は株式会社JR東海リテイリング・プラスです。Drive上の最新版審査は56点・Dで、男性育児休業取得率100%を確認できることをSafety上の強みとして評価しています。
複数工場を実際の代替生産網にする:生産・物流・調達の代替 1→3/5
現在の「生産・物流・調達の代替」は1/5点です。
東京、埼玉、播磨など複数の工場がありますが、1工場停止時に他工場がどれだけ代替できるかは公開されていません。
主要品種ごとに代替工場、追加生産能力、金型・原料の切替方法、代替物流ルートを定め、実際の訓練で切替時間と供給維持率を測定・公開できれば、
現在1/5 → 3/5
加点:+2点
総合:52→54点
ランク:Dのまま
を想定できます。
参考企業はキリングループロジスティクス株式会社です。Drive上の最新版審査では、生産・物流・調達の代替5/5点。鉄道輸送が止まった場合にトラック等へ切り替えるバックアップ輸送体制まで確認できることを評価しています。
次のCランクへ上がる具体例
現在52点・Dです。
Cは60点からなので、あと8点です。
例えば、
・労働安全・健康:4→6点 +2
・改善成果の人間への還元:0→3点 +3
・福利厚生・育児・介護:3→4点 +1
・生産・物流・調達の代替:1→3点 +2
をすべて実現すれば、
52点→60点
となり、シビックランクDからCへ上がります。
日本山村硝子は「技術がない会社」ではありません。むしろ、製造設備、自動化、品質検査、新素材研究では強い企業です。
だからこそ次に必要なのは、その技術によって社員の危険が何件減り、残業が何時間減り、育児や休暇にどれだけ時間を使えるようになったのかを数字で示すことです。
現時点の総合評価は52点/100点、シビックランクDです。
出典一覧
1.日本山村硝子株式会社「会社概要」
2.日本山村硝子株式会社「2026年3月期 有価証券報告書」
3.日本山村硝子株式会社「従業員への取り組み」
4.日本山村硝子株式会社「一般事業主行動計画」
5.日本山村硝子株式会社「ISO・FSSC等 認証情報」
6.日本山村硝子株式会社「ガラスびんの製造・検査工程」
7.日本山村硝子株式会社「山村グループ人権方針」
8.日本山村硝子株式会社「コーポレート・ガバナンス/コンプライアンス」
9.日本山村硝子株式会社「リスクマネジメント」
10.日本山村硝子株式会社「環境マネジメント/緊急事態訓練」
11.日本山村硝子株式会社「エンジニアリング事業・製造設備」
12.日本山村硝子株式会社「研究開発拠点 Y-BIRD」
13.日本山村硝子株式会社「CO2回収・資源化に関する研究」
14.日本山村硝子株式会社「先端半導体向けガラスセラミック基板の共同開発」
15.日本山村硝子株式会社「水素燃焼によるガラスびん製造実証」
16.Indeed「日本山村硝子株式会社 従業員クチコミ」
17.厚生労働省 ハローワーク「日本山村硝子株式会社 求人情報」
シビックランクの基準
| ランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、氏名・役職・立場を確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
情報ランクは企業そのものの良し悪しではなく、個々の情報の出どころと検証状態を示します。
