私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
今回審査する株式会社みずほ銀行は、総合74点、シビックランクBです。
みずほ銀行の特に強い点は、AIを使って行員の事務負担を具体的に減らし始めていることです。法人営業向けの「みずほRM Studio」では、提案準備時間を約50%削減し、顧客との対話機会を約3倍へ増やすことを目指しています。社内検索AI「Wiz Search」でも検索時間を月約700時間削減しています。[出典4・5]
そのため、みずほ銀行の預金・決済・融資などのサービスが選ばれれば、金融機関で働く人が資料探しや提案準備に使う時間を減らし、顧客との対話や高度な判断に時間を使える社会につながる可能性が高まります。
一方で、改善点として情報管理が残ります。2025年6月にはiDeCo申込者5,572名の情報ファイルを提携先へ誤送信し、2026年2月には外部委託先で海外拠点の顧客・従業員情報が保存されていた可能性のある記録媒体が紛失しました。サイバー防御の技術水準は高い一方、実際の情報管理事故が続いているため、満点評価にはできません。[出典11・12]
この記事では、株式会社みずほ銀行の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
株式会社みずほ銀行の企業審査結果
みずほ銀行は、賃金、育児支援、AIによる業務削減、サイバー防御、BCPでは高い水準を確認できます。一方、男女賃金差、部署による残業差、AIで削減した時間の賃金・休日への還元、情報管理事故が点数を抑えました。
| 評価軸 | 得点 | 主な評価 |
|---|---|---|
| Safety | 35/50 | 平均年収870.1万円、男性育休94%、有休取得率の高さを評価。男女賃金比率55.8%、残業の部署差、情報管理事故が課題 |
| Innovation | 20/25 | RM Studio、Wiz Search、面談記録AIなどで作業時間を具体的に削減。削減成果を賃金・休日へ返した数値は弱い |
| Protection | 19/25 | 24時間365日SOC、Mizuho-CIRT、TLPT、BCP訓練、複数バックアップ拠点を評価。情報誤送信・記録媒体紛失で減点 |
| 総合 | 74/100 | シビックランクB |
主な強み
・2026年3月期の単体平均年間給与870万1,000円、前年比5.9%増
・男性育児休業取得率94%
・RM Studioで提案準備時間を約50%削減
・Wiz Searchで検索時間を月約700時間削減
・24時間365日の統合SOC、Mizuho-CIRT、TLPTを実施
・東京・大阪の二重運用、多摩のホットスタンバイ、千葉の遠隔バックアップを含むBCP
・2025年度の基幹システムMINORI更新を問題なく完了
主な課題
・正規雇用の男女賃金比率55.8%
・課長相当職以上の女性管理職比率21.3%
・従業員口コミでは残業月26~29時間程度で、部署差を指摘する投稿がある
・AIで減らした時間が賃金、休日、総労働時間にどこまで返ったかの公開が弱い
・2025年のiDeCo申込者5,572名の情報誤送信
・2026年の外部委託先での記録媒体紛失
・2021年にシステム障害が相次いだ履歴があり、安定運用の継続確認が必要
事業内容と人間への貢献
みずほ銀行は、個人の預金や振込、住宅ローンだけでなく、企業融資、決済、外国為替、投資銀行業務、海外取引まで担う大手銀行です。2026年4月にはみずほリサーチ&テクノロジーズを吸収合併し、銀行機能に研究・コンサルティング・IT・技術開発を統合しました。[出典1・3]
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社みずほ銀行 |
| 英文名 | Mizuho Bank, Ltd. |
| 設立 | 2013年7月1日 |
| 代表者 | 取締役頭取 加藤 勝彦 |
| 本店 | 東京都千代田区大手町1丁目5番5号 大手町タワー |
| 資本金 | 1兆4,040億円 |
| 従業員数 | 23,356人、2026年3月末 |
| 平均年齢 | 40.7歳 |
| 平均勤続年数 | 16.3年 |
| 平均年間給与 | 870万1,000円 |
| 国内ネットワーク | 468拠点、2026年6月末 |
| 海外ネットワーク | 78拠点、2026年6月末 |
| 株主 | 株式会社みずほフィナンシャルグループ100% |
情報ランク:A。[出典1・2]
預金・決済
銀行口座は、給与受取、公共料金、家賃、買い物、送金など日常生活の土台です。銀行が安定して動かなければ、個人は現金を引き出せず、企業は仕入先や従業員へ支払いできなくなります。
みずほ銀行はATM、インターネットバンキング、法人向け決済など複数チャネルを提供しており、決済インフラを止めないこと自体が大きな人間貢献です。
融資と法人支援
個人向けには住宅ローンなどを提供し、法人向けには運転資金、設備投資、M&A、海外進出、資金調達などを支援しています。
銀行が資金を供給することで、企業は設備を導入し、人を雇い、事業を続けることができます。反対に、融資審査や金融サービスが止まれば、資金繰りが難しくなる企業もあります。
研究・コンサルティング・ITを銀行へ統合
2026年4月1日、みずほ銀行はみずほリサーチ&テクノロジーズを吸収合併しました。これにより、マクロ経済、経営戦略、サステナビリティ、デジタル、IT開発などの専門人材を銀行の中へ統合しています。[出典3]
単なる預金・融資だけではなく、金融と技術、調査、コンサルティングを一体で提供する方向へ会社の役割が広がっています。
Safety 35/50
みずほ銀行のSafetyでは、行員の賃金や休暇だけでなく、長時間労働を抑えられているか、育児と仕事を両立できるか、そして顧客が金融サービスを安全に利用できるかを確認しました。平均給与の上昇、男性育休、有休取得では強みがあります。一方、男女賃金差、部署による残業差、銀行単体で比較できる労働安全・健康の結果開示、情報管理事故には改善余地があります。
賃金・利益の還元:8/10
2026年3月期の単体平均年間給与は870万1,000円で、前年より5.9%増加しました。平均年齢は40.7歳、平均勤続年数は16.3年です。[出典2]
平均給与が実際に上昇しており、金融業の中でも高い給与水準を維持していることを評価します。
一方、平均年間給与だけでは、若手・中堅・管理職それぞれの基本給がどれだけ上がったのか、非管理職を含む幅広い社員へ利益がどの程度還元されたのかまでは分かりません。
そのため8/10点です。職位別の固定給引上げ率や賃金中央値、AIによる生産性向上分を賃金へ還元した実績まで確認できれば9~10点を検討できます。
情報ランク:A。
労働時間・休息:6/10
公表データでは、対象となる正規雇用労働者の月平均時間外労働は20.1時間、有給休暇取得率は90.3%とされています。[出典18]
有休取得率は高く、休暇を実際に使えている点は評価できます。
一方、従業員口コミでは残業時間にばらつきがあります。転職会議では投稿者平均26.4時間、OpenWorkでは29.1時間という集計があり、2026年の口コミでも「有休は取りやすい」という声と同時に、残業は部署によってかなり違うという指摘があります。[出典14・15]
口コミは社員全体を代表する統計ではありませんが、会社の公表値だけでは見えにくい部署差を確認する補助材料になります。
全社として休暇取得は進んでいる一方、部署差と残業水準を考慮して6/10点です。部署別の時間外労働を縮小し、全社平均で月10時間前後まで下げられれば8点以上を検討できます。
情報ランク:A・B。
雇用の安定・待遇の公平性:3/5
2026年3月末の従業員数は23,356人、平均勤続年数は16.3年です。長期勤続が可能な雇用基盤を確認できます。[出典1・2]
一方、2025年度の正規雇用労働者の男女賃金比率は55.8%です。課長相当職以上の女性管理職比率は21.3%、部長相当職では17.0%です。[出典18]
会社側は、賃金差の主な理由として、賃金の高い管理職層に男性が多いことや、労働時間などの構成差を説明しています。これは「同じ仕事の男女に異なる賃金を払っている」ことを直接示す数字ではありません。
それでも、上位職の男女構成が給与差として表れていることは確認できるため、待遇の公平性という観点では改善余地があります。
長期勤続を評価しつつ3/5点です。
情報ランク:A。
福利厚生・育児・介護:5/5
男性の育児休業取得率は94%です。[出典18]
男性社員も育児休業を実際に利用できていることは、制度があるだけではなく運用が進んでいることを示します。
育児・介護との両立支援、柔軟な働き方に関する制度も整備されており、銀行のように多くの社員が働く企業で高い男性育休取得率を実現している点を高く評価します。
そのため5/5点です。
情報ランク:A。
人権・ハラスメント・労使関係:4/5
みずほでは人権方針、コンプライアンス体制、内部通報制度、ハラスメント防止などをグループ共通のガバナンスとして整備し、みずほ銀行もその対象となっています。
大規模な金融機関では、営業目標、顧客対応、組織階層などから心理的負荷が生じる可能性があるため、制度の存在だけでなく、相談後に是正できるかが重要です。
今回確認した公開情報では、みずほ銀行単体のハラスメント相談件数、認定件数、是正件数、再発率まで毎年比較できる形では確認できませんでした。
制度とグループガバナンスを評価しつつ、結果開示を残して4/5点です。
情報ランク:A。
労働安全・健康:6/10
銀行では製造業のような高温設備や重量物の危険は小さい一方、長時間のデスクワーク、営業負荷、顧客対応、システム障害時の対応など、精神的・時間的な負荷が重要になります。
有休取得率90.3%、男性育休94%など、休息や両立支援の結果は確認できます。[出典18]
一方、社員口コミでは部署による残業差が指摘されています。また、みずほ銀行単体のメンタルヘルス休職率、長時間労働者数、労災件数などを毎年比較できる最新公開情報は、今回確認した範囲では十分ではありません。
健康施策と休暇実績を評価しつつ6/10点です。
メンタル不調による休職率、長時間労働者比率、労災件数などを単体で継続公開し、改善が確認できれば7~8点を検討できます。
情報ランク:A・B。
商品・サービスの安全:3/5
銀行の商品・サービス安全では、預金や送金を正しく処理できること、ATMやインターネットバンキングが安定して動くこと、顧客情報を誤って外部へ出さないことが重要です。
みずほ銀行では2021年にシステム障害が相次ぎ、金融庁から業務改善命令を受けました。その後、システム運用・危機管理を見直し、2025年度に実施した基幹システムMINORIの大規模更新は問題なく完了しています。[出典10・13]
一方、2025年にはiDeCo申込者5,572名分の情報ファイルを提携先へ誤送信し、2026年には外部委託先で記録媒体紛失が発生しました。[出典11・12]
システム安定化の改善は評価できますが、顧客情報を扱う銀行として情報管理事故を無視できないため3/5点です。
情報ランク:A・S。
従業員・元従業員の口コミ
転職会議では、投稿者集計として月平均残業26.4時間、有休消化率70%が示されています。OpenWorkでは月平均残業29.1時間、有休消化率70.1%です。[出典14・15]
2026年の口コミでは、有休取得への意識が高く休暇を取りやすいという内容がある一方、残業時間は部署によって大きく異なるという指摘もあります。[出典14]
大企業のため、部署、支店、本部、職種、上司によって勤務体験が変わる可能性があります。口コミの数値を会社公式の実績値と同一視せず、部署差を把握する補助情報として使用します。
情報ランク:B。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイについて、「みずほ銀行」「残業」「給与」「パワハラ」「育休」「システム」「AI」「退職」などを組み合わせて確認しました。
今回の検索範囲では、2026年時点のみずほ銀行の社員・元社員であること、勤務時期や職場との関係まで確認でき、採点根拠として使用できる投稿本文は確認できませんでした。
投稿が確認できなかったことを「問題がない」という評価には使っていません。
Innovation 20/25
みずほ銀行のInnovationでは、AIを導入していること自体ではなく、行員が実際に使っていた時間をどれだけ削減できたか、その成果をより価値の高い仕事や働く人の時間へ返せているかを確認しました。作業時間の削減量を具体的に示している点は強い一方、浮いた時間が残業、休日、賃金へどれだけ還元されたかはまだ十分に見えません。
作業負担・危険の削減:8/10
2026年3月、みずほ銀行は法人営業向けAI「みずほRM Studio」の本格展開を発表しました。提案準備にかかる時間を約50%削減し、顧客との対話機会を約3倍へ増やすことを目指しています。まず約800人の法人営業担当者で利用し、2026年度中に約3,500人へ拡大する計画です。[出典4]
みずほのDX紹介では、従来1~3時間かかっていた提案準備を30分未満に短縮できるケースも紹介されています。社内検索AI「Wiz Search」では、情報検索に使う時間を月約700時間削減しています。[出典5]
また、面談記録作成へのAI活用では、実証段階で1人あたり月4時間超の削減効果が確認され、利用者の93%が継続利用を希望しました。[出典6]
「AIを導入した」という抽象的な説明ではなく、何時間減ったのかを複数の業務で示している点を高く評価します。
一方、銀行全体の総実労働時間や残業がAI導入前後で何時間減ったかまでは公表されていないため8/10点です。
情報ランク:A。
商品・サービスの改善:5/5
AIを行内事務だけでなく、法人営業の提案支援、情報検索、面談記録、顧客対応などへ広げています。
2026年には生成AI関連の社内アプリ活用を進めるほか、Swiftのブロックチェーン型共有台帳を利用した取引にも取り組んでいます。さらに、2026年4月にみずほリサーチ&テクノロジーズを吸収合併し、銀行、調査、コンサルティング、IT、先端技術の機能を一社へ統合しました。[出典3]
既存業務の効率化と新しい金融サービスの両方を継続的に改善しているため5/5点です。
情報ランク:A。
改善成果の人間への還元:2/5
AIによって提案準備を約50%削減、検索時間を月約700時間削減するなど、人が使っていた時間を取り戻す成果は確認できます。[出典4・5]
一方、その削減時間によって、行員の月平均残業が何時間下がったのか、年間休日や有休取得がどれだけ増えたのか、賃金や賞与へどの程度還元されたのかについて、AI導入前後を比較できる公開情報は確認できませんでした。
RM Studioでは、浮いた時間を顧客との対話へ回すことを明示しています。これは仕事の質を高める還元として評価できますが、働く人の自由時間や賃金への還元とは別です。
そのため2/5点です。
AIで削減した時間を総実労働時間、残業、休暇、賃金へどう返したかを毎年公表できれば4~5点を検討できます。
情報ランク:A。
研究開発・現場改善の継続:5/5
みずほは生成AI、社内検索、営業支援AI、面談記録AIなど、複数の現場業務で実証と本格展開を繰り返しています。
2026年4月にはみずほリサーチ&テクノロジーズを銀行へ統合し、研究・IT・コンサルティング人材を内部へ取り込みました。[出典3]
単発の実証ではなく、実証、利用者評価、本番展開、対象者拡大まで進めているため5/5点です。
情報ランク:A。
自動化・AI導入後の雇用状況
2026年3月末のみずほ銀行の従業員数は23,356人です。[出典1・2]
2026年4月にはみずほリサーチ&テクノロジーズを吸収合併しているため、その後の従業員数を前年と単純比較すると、AIによる雇用影響と組織再編の影響が混ざります。
今回確認した公開情報では、RM Studio、Wiz Search、面談記録AIなどを理由にした大規模解雇、雇止め、採用停止を確認できませんでした。
ただし、「AI導入後も雇用を守った」と断定できるほど、対象業務ごとの配置転換人数、採用抑制、自然減、職種別人員推移が公開されているわけではありません。
そのため、AIによる雇用影響は現時点では中立的に扱い、作業時間削減の成果のみをInnovationへ反映しています。
Innovation小計:20/25点
Protection 19/25
みずほ銀行のProtectionでは、地震や停電だけでなく、サイバー攻撃、システム障害、拠点停止が起きても預金・送金・決済を維持できるかが重要です。24時間365日の監視、複数拠点、実動訓練などは強い一方、2025年と2026年に情報管理事故が続いたため、技術的な防御体制と実際の運用結果を分けて評価しました。
災害への備え・訓練:5/5
みずほでは、危機管理部署を設け、自然災害、テロ、感染症、システム障害、サイバー攻撃などを想定した事業継続体制をグループで整備し、みずほ銀行もその対象となっています。経営層を含む実動訓練やシステム障害対応訓練も行っています。[出典8]
銀行の業務は、災害時でも給与、決済、現金、企業資金を動かす必要があるため、計画だけでなく訓練を継続していることを高く評価します。
そのため5/5点です。
情報ランク:A。
生産・物流・調達の代替:3/5
銀行では工場の代替生産ではなく、拠点、データセンター、システム運用、人員を別の場所へ切り替えられるかを評価します。
みずほの決済関連資料では、資金決済業務を東京と大阪で二重運用し、多摩にホットスタンバイ環境、千葉に遠隔バックアップ拠点を設ける構成が示されています。リモートアクセスも代替手段として用意されています。[出典9]
複数地域へ機能を分散している点は強みです。
一方、すべての重要業務について、どの拠点停止時に何%の処理能力を代替できるのか、切替に何分かかるのかという銀行単体の一覧は公開されていません。
そのため3/5点です。
情報ランク:A。
サイバー防衛・情報保護:3/5
みずほでは、統合SOCによる24時間365日の監視、Mizuho-CIRT、マルウェア分析、多層防御、TLPT、経営層を含むインシデント訓練、役割別教育、年2回以上の標的型メール訓練などを実施しています。[出典7]
技術的なサイバー防御体制は非常に具体的です。
しかし、2025年6月にはiDeCo申込者5,572名分の情報ファイルを、行員が提携先金融機関へ誤送信しました。送信先で削除されたことは確認されていますが、人的な情報管理事故です。[出典11]
さらに2026年2月には、外部委託先で海外関連システム開発に使われていた記録媒体が紛失しました。顧客や従業員情報が保存されていた可能性があり、発表時点で不正利用は確認されていませんでした。[出典12]
サイバー攻撃への技術防御が強くても、誤送信や委託先の媒体管理まで含めて情報保護です。
事故が続いているため3/5点とします。
情報ランク:A。
供給継続・復旧能力:4/5
2021年にシステム障害が相次いだ後、みずほはシステム運用・危機対応を見直してきました。2025年度には基幹システムMINORIの大規模な更新を実施し、問題なく完了したと説明しています。2026年度にも追加更新を予定しています。[出典10]
2026年10月17~18日には基幹システム関連の計画メンテナンスが予定されており、事前に利用停止時間を告知し、一部では他行ATMなどの代替手段も案内しています。[出典17]
過去の重大障害を受けて、停止を想定した更新・顧客周知・代替手段の準備まで進めている点を評価します。
一方、主要サービスごとのRTO・RPO、実際の復旧訓練時間を外部から一覧比較できる情報は限定的なため4/5点です。
情報ランク:A・S。
危機時の市民への対応:4/5
銀行は災害時だけでなく、詐欺被害が発生した際にも市民の資金を守る役割があります。
2026年6月、みずほ銀行を含む大手銀行9行は、警察庁と連携して特殊詐欺の被害金を追跡し、口座凍結や被害回復につなげる枠組みを開始しました。[出典16]
金融機関が自社口座だけを見るのではなく、銀行間と警察で資金の移動を追うことで、詐欺被害の拡大防止と回復を早める取り組みです。
一方、災害時の市民向け支援について、みずほ銀行単体の支援量、利用人数、復旧時間などを継続比較できる情報は限られるため4/5点です。
情報ランク:S・A。
Protection小計:19/25点
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の前向きな動きでは、AIで行員の作業時間を実際に減らし始めたことと、過去のシステム障害を踏まえて基幹システムの更新・運用を慎重に進めていることが重要です。銀行の技術投資が、単なる新機能ではなく、働く人の時間と金融インフラの安定へつながるかを確認します。
2026年:法人営業AI「みずほRM Studio」を本格展開
2026年3月、みずほ銀行は法人営業向けAI「みずほRM Studio」の本格展開を発表しました。提案準備時間を約50%削減し、顧客との対話機会を約3倍へ増やすことを目指しています。2026年度中に対象を約3,500人へ拡大する計画です。[出典4]
営業担当者が資料探しや提案書準備だけに時間を使うのではなく、顧客の相談や判断に時間を使えるようにする方向としてInnovationで高く評価しました。
2026年:みずほリサーチ&テクノロジーズを吸収合併
2026年4月1日、みずほ銀行はみずほリサーチ&テクノロジーズを吸収合併しました。[出典3]
銀行、調査、コンサルティング、IT、先端技術の人材を同じ法人へ統合することで、金融と技術を一体で改善しやすい体制へ変わっています。
組織を統合しただけでは人間への貢献とは判断しませんが、AI・システム改善を継続的に進める研究開発基盤として評価しています。
2025年度:基幹システムMINORIの更新を問題なく完了
2021年にシステム障害が相次いだみずほにとって、基幹システムを安定して更新できるかは非常に重要です。
2025年度に実施したMINORIの大規模更新は問題なく完了したと説明されています。[出典10]
過去に障害を起こした企業では、改善策を作ったことより、その後に安定運用を積み重ねられるかを重視します。今回の更新成功はProtectionの改善実績として評価しました。
悪いニュース・問題となった動き
みずほ銀行の直近の問題では、サイバー攻撃で防御を突破されたことよりも、人や委託先を含む情報管理で事故が続いている点が重要です。技術的なサイバー対策が高度でも、顧客データを誤送信したり記録媒体を紛失したりすれば、金融機関としての情報保護は十分とはいえません。
2026年2月:外部委託先で記録媒体を紛失
2026年2月、みずほ銀行が利用する外部委託先で、海外関連システムの開発に使われていた記録媒体が紛失しました。発表時点では、媒体に実際に情報が保存されていたかは確認できていませんでしたが、海外の個人・法人顧客の氏名、住所、電話番号、口座番号、残高、送金情報や、従業員情報などが含まれていた可能性があるとされています。[出典12]
データは容易に解読できない状態で、不正利用も確認されていないと説明されています。それでも、銀行自身だけでなく委託先の媒体管理まで含めて情報保護を徹底する必要があります。
2025年6月:iDeCo申込者5,572名分の情報を誤送信
2025年6月、みずほ銀行の行員が、iDeCo申込者5,572名分の情報を含むファイルを提携先金融機関へ誤送信しました。情報にはメールアドレス、申込受付番号、手続状況などが含まれていました。[出典11]
誤送信先ではメールとファイルを削除したことが確認されていますが、顧客情報を大量に扱う銀行として、送信前チェックやDLPなど人的ミスを止める仕組みを強化する必要があります。
2021年:システム障害が相次ぎ金融庁が業務改善命令
2021年にはシステム障害が相次ぎ、ATM取引や振込などに影響が発生しました。金融庁は同年、みずほ銀行とみずほフィナンシャルグループへ業務改善命令を出しています。[出典13]
これは現在のシステム状況をそのまま示すものではありません。2025年度のMINORI更新成功など、その後の改善も確認しています。
ただし、銀行のProtectionを評価するうえでは、過去の重大障害を消去せず、その後に同じ問題を繰り返していないかを継続して確認します。
総合評価と、これから改善してほしいこと
現在の総合評価は74点、シビックランクBです。
次のAランクは80点からなので、あと6点必要です。
みずほ銀行は、AIによる業務時間削減、育児支援、サイバー防御、BCPでは高い水準にあります。Aランクへ進むためには、「技術を導入した」「制度を整えた」だけではなく、情報管理事故を減らし、AIで生まれた余力を働く人へ返し、部署による労働時間差を縮めることが重要です。
情報管理事故を繰り返さない:サイバー防衛・情報保護 3→5/5
現在の「サイバー防衛・情報保護」は3/5点です。
24時間365日のSOC、Mizuho-CIRT、TLPT、標的型メール訓練など、技術的な防御体制は非常に強い一方、2025年のiDeCo情報誤送信と2026年の委託先記録媒体紛失が確認されています。
改善条件は、委託先を含めた外部記録媒体の管理、DLP、送信前確認、多要素承認などを強化し、顧客情報の重大誤送信・紛失を継続してゼロにすることです。加えて、事故件数と再発防止結果を毎年公開できれば、技術と運用の両方を評価できます。
その場合、
現在3/5 → 5/5
加点:+2点
総合:74→76点
ランク:Bのまま
を想定できます。
参考企業はSBペイメントサービス株式会社です。Drive上の最新版審査では、ISO/IEC 27001やPCI DSSなど、決済事業に必要な情報保護の第三者基準を複数確認できることを強みとして評価しています。
AIで削減した時間を残業・休日へ返す:改善成果の人間への還元 2→4/5
現在の「改善成果の人間への還元」は2/5点です。
RM Studioで提案準備を約50%削減し、Wiz Searchで検索時間を月約700時間削減するなど、効率化そのものは非常に具体的です。
改善条件は、AI導入部門について、導入前後の残業時間、総実労働時間、有休取得、休日、賃金などを公開し、浮いた時間が働く人の自由時間や待遇へ返っていることを確認できることです。
その場合、
現在2/5 → 4/5
加点:+2点
総合:74→76点
ランク:Bのまま
を想定できます。
参考企業はキリングループロジスティクス株式会社です。Drive上の最新版審査では、業務改善を背景に年間所定労働時間を1,920時間から1,896時間へ24時間短縮した実績を評価しています。
部署による残業差を縮める:労働時間・休息 6→8/10
現在の「労働時間・休息」は6/10点です。
有休取得率は高い一方、従業員口コミでは月26~29時間程度の残業集計があり、2026年の口コミでも部署による差が指摘されています。
改善条件は、全社平均だけでなく部署別の長時間労働者比率を管理し、繁忙部署でも残業を抑えることです。全社平均を月10時間前後へ下げ、有休取得率の高さも維持できれば8点を検討できます。
その場合、
現在6/10 → 8/10
加点:+2点
総合:74→76点
ランク:Bのまま
を想定できます。
参考企業は株式会社JR東海リテイリング・プラスです。Drive上の最新版審査では、平均残業7.8時間、有休取得率76.1%という会社単体の実績を確認できることを評価しています。
Aランクへ上がる具体例
現在74点・Bです。
Aは80点からなので、あと6点です。
例えば、
・サイバー防衛・情報保護:3→5点 +2
・改善成果の人間への還元:2→4点 +2
・労働時間・休息:6→8点 +2
をすべて実現すれば、
74点→80点
となり、シビックランクBからAへ上がります。
みずほ銀行は、AI、サイバー、BCPの技術そのものはすでに高い水準です。
次に重要なのは、その技術によって「顧客情報事故が実際に減った」「行員の残業が実際に減った」「浮いた時間が休暇や賃金へ返った」という結果を数字で示すことです。
現時点の総合評価は74点/100点、シビックランクBです。
出典一覧
1.株式会社みずほ銀行「会社概要」
2.みずほフィナンシャルグループ「2026年3月期 有価証券報告書・従業員情報」
3.株式会社みずほ銀行「みずほリサーチ&テクノロジーズとの合併」
4.みずほフィナンシャルグループ「みずほRM Studioの本格展開」
5.みずほフィナンシャルグループ「DX・AI活用事例」
6.みずほフィナンシャルグループ「生成AI・面談記録AIの活用」
7.みずほフィナンシャルグループ「サイバーセキュリティ」
8.みずほフィナンシャルグループ「危機管理・事業継続」
9.みずほ銀行「JPY Clearing Services/事業継続体制」
10.みずほフィナンシャルグループ「基幹システムMINORI更新に関する説明」
11.株式会社みずほ銀行「iDeCo申込者情報の誤送信について」
12.株式会社みずほ銀行「外部委託先における記録媒体紛失について」
13.金融庁「みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループに対する行政処分」
14.転職会議「株式会社みずほ銀行 従業員・元従業員口コミ」
15.OpenWork「株式会社みずほ銀行 社員クチコミ」
16.金融庁・警察庁「特殊詐欺被害金の追跡・被害回復に向けた金融機関連携」
17.株式会社みずほ銀行「2026年10月17日~18日のシステムメンテナンス」
18.株式会社みずほ銀行・女性活躍推進関連公表データ
シビックランクの基準
| ランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100点 |
| A | 80~89点 |
| B | 70~79点 |
| C | 60~69点 |
| D | 50~59点 |
| E | 40~49点 |
| F | 20~39点 |
| G | 0~19点 |
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者機関の調査・監査・検証・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・SNS、氏名・役職・立場を確認できる記名取材や公表発言など、発信主体を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者の身元や対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
情報ランクは企業そのものの良し悪しではなく、個々の情報の出どころと検証状態を示します。
