私たちは、企業の商品を購入したり、サービスを利用したりすることで、そこで働く人たちの未来を変えることができます。
働く人に十分な賃金を払い、休暇を確保し、安全な職場をつくり、人の負担を減らす企業の商品やサービスが選ばれれば、そうした企業により多くの売上が集まります。その結果、働く人を大切にする経営を続けやすくなります。
反対に、低賃金や長時間労働、安全上の問題を改善しない企業の商品やサービスが売れ続ければ、そうした働かせ方のままでも事業を続けることができます。
だからこの企業審査では、「私たちがお金を使うなら、どの企業を選ぶことが、そこで働く人にとってより良い社会につながるのか」という視点から企業を評価します。
今回審査する株式会社三井住友銀行は、総合81点、シビックランクAです。
三井住友銀行の特に強い点は、利益を働く人の賃金と休息へ返していることです。2026年度は4%のベースアップを実施し、賞与増加や人事制度改定を含めると10%を超える賃上げとなりました。2025年度の有給休暇取得率は95.5%、平均取得日数は19.1日、月平均の法定外労働時間は13.3時間です。[出典2・4]
そのため、この企業の預金、振込、住宅ローン、Oliveなどのサービスを利用すれば、利益を賃上げや休暇へ返し、金融機関で働く人が生活と仕事を両立しやすい社会になる可能性が高まります。
一方で、改善点として男女の待遇差と、システム障害からの復旧力が残ります。正規雇用労働者の男女賃金比率は53.5%で、同じ職責階層に限っても約90%です。また2025年4月のシステム障害では、関西を中心に約50拠点のATMなどが利用できなくなり、復旧まで約22時間を要しました。[出典3・14]
この記事では、株式会社三井住友銀行の強みと課題をさらに詳しく企業審査していきます。
株式会社三井住友銀行の企業審査結果
三井住友銀行は、賃上げ、休暇、育児支援、AI・デジタル投資、サイバー対策、災害時の金融支援で高い実績を確認できます。一方、男女賃金差、銀行単体の健康・安全結果の開示、AIで削減した時間の人への還元、2025年の大規模システム障害が点数を抑えました。
| 評価軸 | 点数 |
|---|---|
| Safety | 42/50 |
| Innovation | 19/25 |
| Protection | 20/25 |
| 総合点 | 81/100 |
| シビックランク | A |
評価時点:2026年10月
主な強み
- 2026年度に4%のベースアップ、賞与・制度改定込みで10%超の賃上げ
- 平均年間給与933万8,000円
- 有給取得率95.5%、平均19.1日
- 月平均法定外労働13.3時間、月60時間超の法定外労働者比率0%
- 男性育休取得率97.8%
- 24時間365日のサイバー監視
- SMBC AIオペレーターなど24時間のデジタルサービス
- 災害時の預金取扱・融資特例を継続実施
主な課題
- 正規雇用の男女賃金比率53.5%
- 同一の職責階層でも男女賃金比率は約90%
- 銀行単体の労災件数、メンタル休職率などの結果KPIが十分公開されていない
- AI導入で何時間の行内作業が減ったかを全社KPIとして確認できない
- 2025年4月のシステム障害が約22時間継続
- 2025年に約2,000人分の顧客書類を期限前に誤廃棄した可能性が判明
事業内容と人間への貢献
三井住友銀行は、個人の預金・振込・住宅ローンから、企業融資、決済、外国為替、事業承継、海外取引まで担う銀行です。銀行が止まれば、買い物の決済、給与の受取、家賃や公共料金の支払、企業の仕入・給与支払まで影響するため、サービスの安全性と継続性そのものが生活基盤に直結します。
基本情報
2026年3月末時点で、従業員数は28,030人、国内本支店455拠点、海外支店20拠点です。総資産は単体265兆5,584億円、預金171兆3,359億円、貸出金110兆7,487億円です。株主は三井住友フィナンシャルグループ100%です。[出典1]
有価証券報告書では平均年齢41歳2カ月、平均勤続17年6カ月、平均年間給与933万8,000円です。[出典3]
主な事業内容
- 普通預金・定期預金
- 振込・決済・ATM
- 住宅ローン、各種個人ローン
- 資産運用・投資信託
- 法人融資・決済
- 外国為替・海外金融
- 事業承継・M&A等の法人支援
- Olive、SMBCダイレクト等のデジタル金融
- 災害時の預金取扱・緊急融資
事業による人間への貢献
銀行の役割は「お金を預かる」だけではありません。
会社員は給与を受け取り、家賃や公共料金を自動で払い、店ではカードや振込で決済します。企業は銀行口座を使って取引先への支払や従業員への給与振込を行います。銀行のシステムが安定して動けば、利用者は現金を持ち歩かずに生活でき、企業は大量の支払を一件ずつ手作業で行わずに済みます。
三井住友銀行は、店舗、ATM、インターネットバンキング、アプリ、AI電話対応など複数の接点を持っています。利用者が銀行窓口へ行かなくても、残高確認、振込、問い合わせなどを行えることは、移動と待ち時間を減らす具体的な人間貢献です。
Safety|42/50
Safetyでは、銀行で働く人が賃金と休息を得られているか、育児や介護と両立できるか、利用者が安全にお金を預け・動かせるかを確認します。三井住友銀行は賃金、休暇、育児支援が非常に強い一方、男女賃金差と健康・安全結果の公開には課題があります。
賃金・利益の還元|10/10
2026年度の春季労使交渉では、4%のベースアップで妥結しました。ベアは4年連続で、賞与増加、人事制度改定による引き上げを合わせると10%を超える賃上げです。2001年の合併以降で最大の上昇幅と報じられています。[出典4]
さらに2026年3月期の平均年間給与は933万8,000円で、前年度比4.73%増です。[出典3]
銀行の利益が増えても社員の基本給が変わらなければ、人への還元とは言えません。三井住友銀行では既存社員の基本給を直接引き上げるベアが4年続き、直近は4%まで上がっています。
高水準の給与と複数年のベアを確認できるため10/10点です。
労働時間・休息|10/10
2025年度の有給休暇取得率は95.5%、平均取得日数は19.1日です。月平均法定外労働時間は13.3時間で、1カ月の法定外労働が60時間を超えた従業員の比率は0%です。[出典2]
休暇取得率95.5%は、付与された有給の大部分を実際に使えている水準です。会社はスライド勤務、在宅勤務、サテライトオフィス、時間単位休暇なども用意しています。[出典5]
労働時間と実際の休暇取得の両方で高水準の結果が確認できるため10/10点です。
雇用の安定・待遇の公平性|3/5
2026年3月期の正規雇用労働者の男女賃金比率は53.5%、全労働者では46.9%です。女性管理職比率は22.8%です。[出典3]
会社は、正規雇用の大きな差について、管理職や職責の大きい女性が男性より少ないこと、女性採用の拡大から年数が浅く経験年数の短い層に女性が多いこと、過去の職種別採用、短時間勤務の利用者に女性が多いことを理由として説明しています。
同一の職責階層に限った男女賃金比率は約90%です。つまり53.5%という全体差の全てを同じ仕事の男女間の賃金差と解釈することはできません。それでも、同一階層でも約10%の差が残り、管理職・高職責への登用差も大きいため改善が必要です。
そのため3/5点です。同一職責で95~100%に近づき、女性管理職や高職責層の比率が上昇し、正規雇用全体の差も継続縮小すれば4~5点を検討できます。
福利厚生・育児・介護|5/5
2025年度の男性育休取得率は97.8%、平均取得日数は19日です。女性の取得率は99.9%です。[出典2・6]
育児休業だけでなく、子ども休暇、短時間勤務、勤務地変更制度、介護休業、介護休暇、時間単位休暇などを整備しています。育児休業で人が抜けても残った人へ負担を集中させないため、チームレジリエンス強化のガイドブックや、対応したチームへの報奨金制度も導入しています。[出典6]
制度と高い利用実績の両方を確認できるため5/5点です。
人権・ハラスメント・労使関係|4/5
有価証券報告書では、三井住友銀行従業員組合の組合員数は19,070人で、労使関係について特記すべき事項はないとされています。[出典3]
求職者向けにもハラスメント相談窓口を設け、面接場所、飲酒禁止、面談時間、連絡方法を具体的に定めています。顧客から従業員への暴力、威嚇、差別的言動、長時間拘束などのカスタマーハラスメントにも対応方針を設けています。[出典7]
一方、銀行単体のハラスメント相談件数、認定件数、是正件数を継続比較できる情報は限定的です。
そのため4/5点です。相談・是正結果まで毎年公開し、改善を確認できれば5点を検討できます。
労働安全・健康|6/10
SMBCグループでは、定期健康診断、全従業員へのストレスチェック、外部専門カウンセラーによる相談、ストレス数値が高い拠点へのフォローなどを実施しています。[出典8]
銀行業では製造現場のような重量物災害だけでなく、長時間の事務・営業、顧客対応、精神的負担による健康悪化も重要です。月平均法定外労働13.3時間、60時間超比率0%は健康面でもプラスです。
一方、三井住友銀行単体の労災件数、メンタルヘルス休職率、高ストレス者率などを毎年比較できる公開情報は十分ではありません。
公開情報がない点は課題です。採点上も減点対象です。そのため6/10点です。銀行単体の結果KPIを公開し、低い事故・休職水準が確認できれば8点以上を検討できます。
商品・サービスの安全|4/5
三井住友銀行は、SMBCセーフティパスによる生体認証、ワンタイムパスワード、追加認証、フィッシング対策、不正取引モニタリングなどを実施しています。セーフティパスでは登録端末の生体認証が必要になり、登録直後の振込を一定時間制限する措置もあります。[出典9]
一方、2025年4月にはシステム障害によって一部のATM、インターネットバンキング等が利用できなくなりました。金融サービスでは、不正に盗まれないだけでなく、必要なときに自分のお金へアクセスできることも安全性です。[出典14]
そのため4/5点です。重大な利用停止を長期間発生させず、障害件数・復旧時間を継続的に低水準へ抑えられれば5点を検討できます。
従業員・元従業員の口コミ
転職会議の投稿集計では、残業時間26.2時間/月、有給消化率75.7%です。会社公式の法定外労働13.3時間、有休95.5%とは差がありますが、集計対象、時期、残業の定義が異なるため単純比較はできません。[出典17・情報ランクB]
Indeedでは97件の口コミで総合3.7/5、勤務時間と残業3.9、給与と福利厚生4.1です。2026年の銀行事務経験者は「全体的には安定した環境で働ける職場でした」と記しています。[出典18・情報ランクB]
口コミは個人経験であり全社の事実として扱いません。一方、公式の平均値より長い残業を示す投稿集計もあるため、部署・職種別の残業分布まで公開すれば実態をさらに確認しやすくなります。
SNS・匿名掲示板の確認結果
X、5ちゃんねる、爆サイについて、三井住友銀行と残業、退職、パワハラ、AI、人員削減、システム障害などを組み合わせて確認しました。
現在の三井住友銀行の直接雇用者であることと投稿内容を十分確認でき、今回の点数を変更できる具体性を持つ投稿は確認できませんでした。発信者の勤務先や時期を確認できない投稿は採点根拠にしていません。
Innovation|19/25
三井住友銀行は、問い合わせ、提案書作成、営業支援などをAIへ移し始めています。Innovationでは「AIを入れた」ことより、人が何に使っていた時間をAIが代替し、その時間を人へどう返したかを重視します。導入範囲は広い一方、全社の削減時間を示す数字はまだ不足しています。
作業負担・危険の削減|6/10
2026年に「SMBC AIオペレーター」を開始し、Olive、振込、口座振替など一般的な問い合わせを毎日24時間AIが受け付けています。回答できない場合は有人オペレーターへの転送先を探します。[出典10]
さらに法人営業では「営業推進AIアプリケーション」、Sakana AIと共同開発した「提案書自動生成アプリケーション」を導入しています。後者は、行員が行ってきた情報収集、仮説構築、ストーリー策定をAIで支援します。[出典11]
問い合わせ対応や資料作成という反復・時間消費型業務を技術へ移しているため6/10点です。
一方、銀行単体で年間何時間を削減したか、行員1人あたりの残業が何時間減ったかという共通KPIは公開されていません。大規模な時間削減が実測できれば8点以上を検討できます。
商品・サービスの改善|5/5
SMBC AIオペレーターは24時間利用でき、営業時間外でも一般的な問い合わせへ対応します。Olive、アプリ、インターネットバンキングなども含め、銀行店舗へ行かずに利用できる金融サービスを拡大しています。[出典10]
利用者側では、問い合わせのため翌営業日まで待つ時間や、店舗へ移動する時間を減らせます。
実際のサービスへ継続的に導入しているため5/5点です。
改善成果の人間への還元|3/5
AI・デジタル化が進む一方で、2026年度に4%ベア、有休取得率95.5%、月平均法定外労働13.3時間という良好な人への還元も確認できます。
しかし、AI導入によって浮いた時間や利益が「何時間の残業削減」「何%の賃上げ」「何日の休日増加」へ直接つながったのかという因果は公開されていません。
またAIオペレーターの導入後、有人コールセンターの受付時間は短縮されましたが、その結果として担当者がどこへ配置転換されたのか、非正規契約や採用人数がどう変化したのかは公表されていません。[出典10]
そのため3/5点です。AI導入前後の削減時間、残業、配置転換、採用、賃金、休日を同じ時系列で公開し、人への還元が確認できれば4~5点を検討できます。
研究開発・現場改善の継続|5/5
三井住友銀行はAIオペレーター、営業推進AI、提案書自動生成、AIガバナンスなどを複数領域で継続して導入しています。
単発の実証実験だけでなく、顧客対応と行内業務の両方へ実装を広げているため5/5点です。
自動化・AI導入後の雇用状況
2026年3月末の従業員数は28,030人で、大幅な人員減少は確認できません。[出典1・3]
今回確認した公開資料・報道では、AI導入を理由とする大規模な希望退職や人員整理を裏付ける情報は確認できませんでした。
ただし、有人コールセンターの受付時間はAI導入後に短縮されています。そこで働いていた人の配置転換、契約更新、採用数などは公開されていません。今後はAIによって減った仕事だけでなく、そこで働いていた人がどうなったかまで追う必要があります。
Protection|20/25
銀行のProtectionは、地震やサイバー攻撃が起きても預金、振込、給与支払、企業決済を止めないことです。三井住友銀行はサイバー監視、複数チャネル、災害時の特例対応で強い一方、2025年の長時間システム障害と顧客書類の誤廃棄が満点を妨げています。
災害への備え・訓練|4/5
SMBCグループはコンティンジェンシープランを整備し、サイバーを含む各種訓練を定期的に実施しています。重要システムではバックアップや代替運用を準備しています。[出典13]
一方、三井住友銀行単体で主要なBCP訓練について、何時間で切替できたか、目標時間を何%達成したかという最新の実測値は十分公開されていません。
そのため4/5点です。訓練結果と実測復旧時間を毎年公開できれば5点を検討できます。
生産・物流・調達の代替|4/5
銀行には製造ラインはありませんが、店舗、ATM、インターネットバンキング、アプリ、電話など複数のサービス経路があります。システム面でもバックアップを確保し、不測の事態でも業務継続できるようコンティンジェンシープランを整備しています。[出典13]
過去の勘定系システムでは東西相互バックアップ構成も整備されています。
一つの店舗が閉じても別店舗やデジタル経路へ切り替えられるため4/5点です。ただし2025年の障害では、対象口座について他支店ATMやインターネットバンキングまで利用できないケースが生じました。代替経路が同時に止まるリスクが残ったため満点にはしません。
サイバー防衛・情報保護|4/5
SMBCグループは2026年3月末時点で850人超のセキュリティ専門スタッフを配置し、SOCで24時間365日監視しています。第三者による成熟度評価、脆弱性診断、脅威ベースのペネトレーションテスト、CSIRTも実施しています。[出典13]
三井住友銀行はサイバーセキュリティ経営宣言の対象会社に明示されています。
一方、2025年には池田市の公金収納に関する書類について、約2,000人分を保存期限前に誤廃棄した可能性が判明しました。内部調査では焼却された可能性が高く、外部漏えいの可能性は極めて低いとしていますが、情報管理上の事故であることは変わりません。[出典15]
高度なサイバー防御と人為的な情報管理事故を分けて評価し、4/5点とします。
供給継続・復旧能力|3/5
2025年4月のシステム障害では、午前1時20分頃から関西を中心に約50の支店・出張所のATM等が利用できなくなり、一部口座ではインターネットバンキングや他のATMも利用できませんでした。銀行は全国7カ所に臨時の現金支払い拠点を設置しました。[出典14]
障害は同日23時台に復旧し、約22時間にわたり利用者の資金アクセスへ影響しました。
臨時拠点を設けて代替手段を用意した点は評価できますが、金融インフラとして長時間の停止は大きな課題です。
そのため3/5点です。重大障害を減らし、障害発生から主要サービス復旧までの時間を大幅に短縮し、RTOと実績を公開できれば4~5点を検討できます。
危機時の市民への対応|5/5
三井住友銀行は、台風、大雨、火災など災害が発生するたびに、被災者向けの預金取扱や融資の特例を公表しています。2026年9月にも台風や大雨の被災者への対応を相次いで案内しています。[出典16]
銀行の本業そのものを災害対応へ使っているため5/5点です。
良いニュース・最近の前向きな動き
最近の三井住友銀行では、働く人への賃金還元とAIによるサービス改善が同時に進んでいます。前者はSafety、後者はInnovationに関係します。この銀行のサービスが選ばれれば、高い利益を社員へ返しながら、人が行ってきた反復業務を技術へ移す経営が続きやすくなります。
2026年春闘 4%ベア、総合で10%超の賃上げ(Safety)
2026年度は4%のベースアップで妥結し、賞与増加と人事制度改定を合わせて10%超の賃上げとなりました。[出典4]
初任給だけではなく既存社員の基本給そのものを上げるベアである点が重要です。物価が上がる中で賃金を引き上げれば、働く人が企業利益の恩恵を生活で受け取りやすくなります。
2026年 SMBC AIオペレーターを24時間運用(Innovation)
一般的な問い合わせをAIが毎日24時間受け付けるSMBC AIオペレーターを開始しました。[出典10]
利用者は夜間でも回答を得やすくなり、行員側では定型的な問い合わせ対応を減らせる可能性があります。ただし、削減時間と雇用への影響は今後も確認する必要があります。
2026年 提案書自動生成AIを実務へ導入(Innovation)
Sakana AIとの共同開発で、情報収集、仮説構築、ストーリー策定を支援する提案書自動生成アプリを銀行業務へ導入しました。[出典11]
行員が資料探しや下書きだけに時間を使うのではなく、顧客の経営課題を考える時間へ移せる可能性があります。
悪いニュース・問題となった動き
三井住友銀行では、システムと情報管理に実際の問題が発生しています。銀行の場合、必要なときに現金を引き出せない、個人情報を適切に管理できないという問題は利用者のSafetyとProtectionへ直結します。改善されなければ、デジタル化が進むほど一つの障害が多くの利用者へ広がる危険が残ります。
2025年4月 約22時間のシステム障害(Safety・Protection)
午前1時20分頃から関西を中心に約50拠点のATMなどで障害が発生しました。一部口座ではインターネットバンキングや他のATMも利用できず、全国7カ所に臨時の現金支払い拠点を設置しました。復旧は同日23時台で、約22時間の影響です。[出典14]
2025年 約2,000人分の顧客書類を誤廃棄した可能性(Protection)
池田市公金収納に関する書類について、約2,000人分を保存期限前に誤って廃棄した可能性が判明しました。氏名、住所、納付金額、納付内容などが含まれます。内部調査では焼却された可能性が高く、外部漏えいの可能性は極めて低いとされています。[出典15]
2025年度 正規雇用の男女賃金比率53.5%(Safety)
会社は構成要因を具体的に説明し、同一職責階層では約90%まで差が縮まるとしています。[出典3]
原因を説明していることは評価できますが、女性の管理職・高職責層への登用と、同一階層でも残る差を実際に縮める必要があります。
総合評価と、これから改善してほしいこと
株式会社三井住友銀行は81点、シビックランクAです。次のSランクは90点からなので、あと9点必要です。
賃金、休暇、育児支援、サイバー体制、災害時の金融支援はかなり強い企業です。Sへ進むためには、男女の待遇差、健康・安全の結果、AIの人への還元、システム復旧力を結果の数字で改善する必要があります。
男女賃金差を縮め、高職責への登用差を改善してほしい(Safety)
現在の「雇用の安定・待遇の公平性」は3/5点です。
同一職責で95%以上へ近づき、女性管理職・高職責層の比率を引き上げ、正規雇用全体の賃金比率も継続改善すれば3→4点を検討できます。加点は+1点で総合81→82点、Aランクのままです。
参考企業はプラス株式会社です。Google Drive上の現行審査では正規雇用の男女賃金比率79.1%で、「雇用の安定・待遇の公平性」4/5点です。業種差はありますが、全体差を縮める参考になります。[参考企業出典20]
AIの削減時間を行員の残業・自由時間へ返してほしい(Innovation)
現在の「作業負担・危険の削減」は6/10点、「改善成果の人間への還元」は3/5点です。
AI導入前後の年間削減時間、1人あたり削減時間、残業、配置転換、採用、賃金、有休を同じ時系列で公開し、大きな削減が確認できれば6→8点、削減した時間が残業や休日へ返れば3→4点を検討できます。両方なら+3点で総合81→84点です。
参考企業は株式会社みずほ銀行です。Google Drive上の現行審査ではInnovation 20/25点、「作業負担・危険の削減」8/10点です。法人営業AIで提案準備時間を約50%削減し、社内検索AIでは検索時間を月約700時間削減しています。[参考企業出典21]
システム障害からの復旧時間を短くしてほしい(Protection)
現在の「供給継続・復旧能力」は3/5点です。
重大障害について、発生から検知までの時間、代替系への切替時間、ATM・オンライン・法人決済ごとのRTO、実際の復旧時間、再発防止後の訓練結果を公開し、主要サービスを短時間で復旧できることが確認できれば3→4点を検討できます。加点は+1点で総合81→82点です。
参考企業は伊藤忠商事株式会社です。Google Drive上の現行審査ではProtection 22/25点、災害への備え・訓練5/5点、サイバー防衛・情報保護5/5点、供給継続・復旧能力4/5点です。[参考企業出典22]
健康・安全とサイバーの結果KPIまで公開してほしい(Safety・Protection)
現在の「労働安全・健康」は6/10点、「サイバー防衛・情報保護」は4/5点です。
銀行単体のメンタル休職率、労災件数、高ストレス者率、重大サイバー事故件数、復旧時間などを継続公開し、低い事故率と改善が確認できれば、労働安全・健康6→8点、サイバー防衛4→5点を検討できます。合計+3点で総合81→84点です。
労働安全の参考企業はキリンビバレッジ株式会社です。Drive上の現行審査では死亡0人、休業災害度数率0.58、安全方針適用100%を法人単位で公開し、「労働安全・健康」8/10点です。[参考企業出典23]
Sランクへ上がるための具体例
現在81点・Aで、Sまであと9点です。
- 雇用の安定・待遇の公平性:3→4点 +1
- 労働安全・健康:6→8点 +2
- 作業負担・危険の削減:6→8点 +2
- 改善成果の人間への還元:3→4点 +1
- 災害への備え・訓練:4→5点 +1
- サイバー防衛・情報保護:4→5点 +1
- 供給継続・復旧能力:3→4点 +1
合計+9点で81→90点となり、シビックランクSです。
情報を公開しただけでは自動加点しません。賃金差が実際に縮まり、AIで仕事時間が減り、健康・安全の結果が良好で、障害から短時間で復旧できることまで確認できた場合に評価を上げます。
出典一覧
1.株式会社三井住友銀行「会社概要」【情報ランクA】
2.株式会社三井住友銀行「ダイバーシティデータ・働き方改革」【情報ランクA】
3.株式会社三井住友銀行「2026年3月期 有価証券報告書」【情報ランクS・A】
4.2026年春季労使交渉に関するTBS NEWS DIG・テレビ朝日報道
5.株式会社三井住友銀行「働き方改革」【情報ランクA】
6.株式会社三井住友銀行「両立支援」【情報ランクA】
7.株式会社三井住友銀行「求職者等に対するハラスメント対策」「お客さま対応における基本方針」【情報ランクA】
8.三井住友フィナンシャルグループ「健康経営」【情報ランクA】
9.株式会社三井住友銀行「SMBCセーフティパス」「セキュリティ」【情報ランクA】
10.株式会社三井住友銀行「SMBC AIオペレーター」「コールセンター受付時間変更」【情報ランクA】
11.株式会社三井住友銀行「営業推進AI」「提案書自動生成アプリケーション」【情報ランクA】
12.株式会社三井住友銀行・SMBCグループのAI関連公開情報【情報ランクA】
13.三井住友フィナンシャルグループ「サイバーセキュリティ」「事業等のリスク」【情報ランクA】
14.2025年4月の三井住友銀行システム障害に関する同行公表・報道
15.株式会社三井住友銀行「お客さま情報の滅失(誤廃棄)懸念事案につきまして」【情報ランクA】
16.株式会社三井住友銀行「災害に係る被災者の皆さまに対する預金等の取扱および融資」【情報ランクA】
17.転職会議「株式会社三井住友銀行」【情報ランクB】
18.Indeed「株式会社三井住友銀行のクチコミ」【情報ランクB】
19.三井住友銀行AI Transformation責任者への公開インタビュー
20.Google Drive現行審査「プラス株式会社|76点・B」【比較用】
21.Google Drive現行審査「株式会社みずほ銀行|74点・B」【比較用】
22.Google Drive現行審査「伊藤忠商事株式会社|83点・A」【比較用】
23.Google Drive現行審査「キリンビバレッジ株式会社|74点・B」【比較用】
シビックランクの基準
| シビックランク | 点数 |
|---|---|
| S | 90~100 |
| A | 80~89 |
| B | 70~79 |
| C | 60~69 |
| D | 50~59 |
| E | 40~49 |
| F | 20~39 |
| G | 0~19 |
情報ランクの基準
| 情報ランク | 基準 |
|---|---|
| S | 公的機関、裁判所、規制当局、独立した第三者による調査・監査・認証など、内容そのものに独立した裏づけがある情報 |
| A | 企業公式資料、採用情報、公式声明・公式SNS、氏名・役職・立場を確認できる公表情報 |
| B | 従業員・元従業員の口コミ、一般SNS、匿名掲示板など、発信者と対象企業との関係を独立に確認しにくい情報 |
